JPH0794111A - カラー陰極線管の陰極構体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒータ点火時に、ホワイトバランス崩れと呼
ばれる色調の変化を生じない信頼性の高いカラー陰極線
管を得る。 【構成】 インライン型カラー陰極線管の陰極構体にお
いて、３個の陰極１のうちの中央に配置固定された陰極
スリーブ支持体２と陰極スリーブ４との溶接固着領域と
なる陰極スリーブ支持体２の、陰極支持体３の下端部３
ａからの突出部２ａの周囲を囲む筒状に突出させた筒状
突出部３ｂを有する陰極支持体３を配置する。 【効果】 ヒータ点火時に、両側の陰極基体の熱放射，
熱伝導が阻止され、中央の陰極スリーブ支持体の陰極支
持体下端部からの膨張量は両側の陰極とほぼ等しくな
り、陰極基体と電極の間隔の変動量も等しくなるので、
ヒータ点火時のホワイトバランス崩れと呼ばれる色調の
変化を生じない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はカラー陰極線管の陰極構
体に関し、特にインライン型カラー陰極線管の陰極構体
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の陰極支持体にハーメチッ
クシールなどの絶縁体を使用しているインライン型カラ
ー陰極線管の陰極構体は、図３に示すように、ヒータ７
が点灯されると、３個の陰極１それぞれが、陰極スリー
ブ支持体２に溶接固定されたほぼ帽状の陰極基体５に含
まれる還元剤と、その上に塗布されたアルカリ土類金属
６との反応が促進されて、７００〜８００℃の動作温度
において電子放出を行う。

【０００３】この陰極構体の、３個の陰極１のうちの中
央に配置固定された陰極１の陰極スリーブ４と、陰極ス
リーブ４との溶接固着領域となる陰極スリーブ支持体２
の、陰極支持体３の下端部３ａからの突出部２ａの周囲
には何も配置されていず、両側の陰極１に対応する陰極
支持体３部分の構造と同じであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のカラー陰極線管の陰極構体は、３個の陰極１とも
に、陰極支持体３の下端部３ａからの突出長ｌ₁ ，ｌ
₂ ，ｌ₃ が同一の陰極スリーブ支持体２を私用している
ので、両側の陰極支持体３の下端部３ａからの突出部２
ａの膨張量に比べ、中央の陰極支持体３の下端部３ａか
らの突出部２ａの膨張量は、両側の陰極基体５の熱放
射，熱伝導により高温になるため大きくなる。

【０００５】一方、動作状態の陰極電流ＩＫは陰極基体
５と第１グリッド電極（図示せず）および第２グリッド
電極（図示せず）の間隔と、それぞれに印加する電圧に
よって決まる。通常画面にビーム電流を取り出す時の電
圧設定は、ヒータ７を点火してから十分時間がたってか
ら行うので、各電極は熱的平衡を保っている。

【０００６】しかしながら、ヒータ７の点火時には、陰
極スリーブ４を陰極スリーブ支持体２の膨張量の差によ
って、陰極基体５と各電極との間隔が変動する。この
時、両側の陰極基体５の熱放射，熱伝導により、中央の
陰極スリーブ支持体２の陰極支持体３の下端部３ａから
の熱膨張が大きくなるため、両側の陰極１に比べ、中央
の陰極１の間隔の変動量が大きくなり、図４に示すよう
に、中央の陰極１のＩＫのみが極大のピーク値をもった
り、安定するまでに長時間を要して、ヒータ７の点火時
にホワイトバランス崩れと呼ばれる色調の変化を生じる
などの欠点があった。

【０００７】本発明の目的は、ヒータ点火時にホワイト
バランス崩れと呼ばれる色調の変化を生じない信頼性の
高い、カラー陰極線管の陰極構体を得ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、陰極スリーブ
上部に還元剤を含む帽状に成形された陰極基体が接続さ
れ、その上にアルカリ土類酸化物が被覆され、前記陰極
スリーブ内部にヒータが挿入された赤，緑，青用の３個
の陰極がそれぞれの陰極スリーブ支持体に支持固定さ
れ、前記陰極スリーブ支持体が陰極支持体に支持され直
線上に配置固定されたインライン型陰極線管の陰極構体
において、前記３個の陰極のうちの中央に配置固定され
た陰極の陰極スリーブ支持体と陰極スリーブとの溶接固
着領域となる前記陰極スリーブ支持体の陰極支持体下端
部からの突出部の周囲に囲繞部材である筒状に突出させ
た筒状突出部を有する陰極支持体を配置または筒状金属
を陰極支持体に固着配置することを特徴とする。

【０００９】

【作用】上記の構成によると、中央に配置固定された陰
極の陰極スリーブ支持体と、陰極スリーブとの溶接固着
領域となる陰極スリーブ支持体の陰極支持体下端部から
の突出部の周囲に囲繞部材である筒状に突出させた筒状
突出部を有する陰極支持体を配置または、筒状金属を陰
極支持体に固着配置しているので、ヒータ点火時に両側
の陰極基体の熱放射、熱伝導が阻止され、中央の陰極ス
リーブ支持体の陰極支持体下端部からの膨張量は、両側
の陰極スリーブ支持体の陰極支持体下端からの膨張量と
ほぼ等しくなるので、中央の陰極基体と第１グリッド電
極との間隔の変動量は、両側の陰極基体と第１グリッド
電極との間隔の変動量とほぼ等しくなり、ヒータ点火時
に起こるホワイトバランス崩れなどの色調変動の生じな
い信頼性の高いインライン型陰極線管の陰極基体を得る
ことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。

【００１１】図１は、本発明の一実施例のカラー陰極線
管の陰極構体の断面図である。

【００１２】図１に示すように、３個の陰極１は、直線
上に配置され、陰極スリーブ支持体２および陰極支持体
３を介してガラス棒（図示せず）に支持固定されてい
る。各陰極１は、陰極スリーブ４とそれに溶接固定され
た陰極基体５と、この陰極基体５の頂部に塗布されたア
ルカリ土類酸化物６とからなり、各陰極スリーブ４の中
にはヒータ７が挿入され、ヒータ支持体（図示せず）に
溶接固定れている。

【００１３】また、前記３個の陰極１のうち中央に配置
固定された陰極１の陰極スリーブ支持体２と陰極スリー
ブ４との溶接固着領域となる前記陰極スリーブ支持体２
の陰極支持体３下端部３ａからの突出部２ａの周囲を囲
繞部材である筒状に突出させた筒状突出部３ｂを有する
陰極支持体３を配置している。

【００１４】次に上記に筒状突出部３ｂを有する陰極支
持体３の動作について説明する。

【００１５】この実施例によれば、中央に配置固定され
た陰極１の陰極スリーブ支持体２と陰極スリーブ４との
溶接固着領域となる陰極スリーブ支持体２の陰極支持体
３の下端部３ａからの突出部２ａの周囲を囲む筒状に突
出させた筒状突出部３ｂを有する陰極支持体３を配置し
てあるから、ヒータ７の点火時に、両側の陰極基体５の
熱放射，熱伝導が阻止され、中央の陰極スリーブ支持体
２の陰極支持体３下端部３ａからの膨張量は、両側の陰
極スリーブ支持体２の陰極支持体３の下端部３ａから膨
張量とほぼ等しくなるので、中央の陰極基体５と図示し
ない第１グリッド電極との間隔の変動量は、両側の陰極
基体５と第１グリッド電極の間隔の変動量とほぼ等しく
なり、ヒータ７点火時のホワイトバランス崩れと呼ばれ
る色調の変化を生じないという作用効果を奏する。

【００１６】

【実施例２】図２は、本発明の第２実施例の陰極構体の
断面図である。この実施例は図３で述べた第１の実施例
の、中央に配置固定された陰極１の陰極スリーブ支持体
２と陰極スリーブ４との溶接固着領域となる陰極スリー
ブ支持体２の、陰極支持体３の下端部３ａからの突出部
２ａの周囲を筒状に突出させた筒状突出部３ｂを有する
陰極支持体３に代えて、図２に示すように、囲繞部材で
ある筒状金属８を陰極支持体３の下端部３ａに固着配置
した点を除いては、第１の実施例と同様であるため、同
一部分には同一参照符号を付してその説明を省略する。

【００１７】この実施例では、中央に配置固定された陰
極１の陰極スリーブ支持体２と陰極スリーブ４との溶接
固着領域となる陰極スリーブ支持体２の、陰極支持体３
の下端部３ａからの突出部２ａの周囲を囲む筒状金属８
を陰極支持体３に固着配置してあるから、ヒータ７の点
火時に両側の陰極基体５の熱放射，熱伝導が阻止され、
中央の陰極スリーブ支持体２の陰極支持体３の下端部３
ａからの膨張量は、両側の陰極スリーブ支持体２の陰極
支持体３の下端部３ａからの膨張量とほぼ等しくなるの
で、中央の陰極基体５と図示しない第１グリッド電極と
の間隔の変動量は、両側の陰極基体５と第１グリッド電
極との間隔の変動量とほぼ等しくなりヒータ７の点火時
のホワイトバランス崩れと呼ばれる色調の変化を生じな
いという第１の実施例と同様の効果がある。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、インライ
ン型カラー陰極線管の陰極構体において、中央の陰極ス
リーブ支持体の、陰極スリーブとの溶接固着領域とな
る、陰極スリーブ支持体の陰極支持体下端部からの突出
部の周囲に囲繞部材である筒状に突出させた筒状突出部
を有する陰極支持体を配置または筒状金属を陰極支持体
に固着配置することにより、ヒータ点火時の中央の陰極
基体と電極の間隔の変動量が両側の陰極基体と電極の間
隔の変動量がほぼ等しくなり、中央の陰極と両側の陰極
の陰極電流ＩＫがほぼ等しくなるので、ヒータ点火時に
起こるホワイトバランス崩れなどの色調変化の生じない
信頼性の高いインライン型カラー陰極線管を得ることが
できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は本発明の一実施例のカラー陰極線管の
陰極構体の断面図

【図２】 本発明の他の実施例の陰極構体の断面図

【図３】 従来のカラー陰極線管の陰極構体の一例の断
面図

【図４】 時間に対するＩＫ特性の変化を示す特性図

【符号の説明】

１ 陰極 ２ 陰極スリーブ支持体 ２ａ 突出部 ３ 陰極支持体 ３ａ 下端部 ３ｂ 筒状突出部 ４ 陰極スリーブ ５ 陰極基体 ６ アルカリ土類酸化物 ７ ヒータ ８ 筒状金属

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】陰極スリーブ上部に還元剤を含む帽状に成
   形された陰極基体が接続され、その上にアルカリ土類酸
   化物が被覆され、前記陰極スリーブ内部にヒータが挿入
   された赤，緑，青用の３個の陰極がそれぞれの陰極スリ
   ーブ支持体に支持固定され、前記陰極スリーブ支持体が
   陰極支持体に支持され直線上に配置固定されたインライ
   ン型カラー陰極線管の陰極構体において、前記３個の陰
   極のうちの中央に配置固定された陰極の陰極スリーブ支
   持体と陰極スリーブとの溶接固着領域となる前記陰極ス
   リーブ支持体の陰極支持体下端部からの突出部の周囲に
   囲繞部材を配置したことを特徴とするカラー陰極線管の
   陰極構体。
2. 【請求項２】上記囲繞部材が陰極支持体下端部に突出し
   て設けた筒状突出部であることを特徴とする請求項１記
   載のカラー陰極線管の陰極構体。
3. 【請求項３】上記囲繞部材が陰極支持体下端部に固着配
   置された筒状金属であることを特徴とする請求項１記載
   のカラー陰極線管の陰極構体。