JPH11287788A - 超音波試験方法 - Google Patents
超音波試験方法Info
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- JPH11287788A JPH11287788A JP10105620A JP10562098A JPH11287788A JP H11287788 A JPH11287788 A JP H11287788A JP 10105620 A JP10105620 A JP 10105620A JP 10562098 A JP10562098 A JP 10562098A JP H11287788 A JPH11287788 A JP H11287788A
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- G01N29/04—Analysing solids
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- G01N29/00—Investigating or analysing materials by the use of ultrasonic, sonic or infrasonic waves; Visualisation of the interior of objects by transmitting ultrasonic or sonic waves through the object
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- G01N29/341—Generating the ultrasonic, sonic or infrasonic waves, e.g. electronic circuits specially adapted therefor with time characteristics
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水素侵食による微小割れやクリープボイドに
起因する欠陥エコーと内面クラッド界面や結晶粒界等に
起因する疑似エコーとを明確に弁別し得る超音波探傷試
験方法を提供すること。 【解決手段】 探触子から送信する超音波パルスの波数
を1波以上3波以下、望ましくは、1波以上2波以下と
する。欠陥エコーと疑似エコーとを弁別するための特徴
パラメーターとして、識別用受信超音波パルスの周波数
領域における分散、重心、バンド幅等の各種パラメータ
ーや、識別用受信超音波パルスの鋭さを表すパラメータ
ーが適当である旨が、発明者らの実験によって明らかと
なった。また、デコンボリューション法を用いること
で、欠陥部以外の影響を除去でき、検査精度をさらに向
上させることが可能となった。
起因する欠陥エコーと内面クラッド界面や結晶粒界等に
起因する疑似エコーとを明確に弁別し得る超音波探傷試
験方法を提供すること。 【解決手段】 探触子から送信する超音波パルスの波数
を1波以上3波以下、望ましくは、1波以上2波以下と
する。欠陥エコーと疑似エコーとを弁別するための特徴
パラメーターとして、識別用受信超音波パルスの周波数
領域における分散、重心、バンド幅等の各種パラメータ
ーや、識別用受信超音波パルスの鋭さを表すパラメータ
ーが適当である旨が、発明者らの実験によって明らかと
なった。また、デコンボリューション法を用いること
で、欠陥部以外の影響を除去でき、検査精度をさらに向
上させることが可能となった。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、探触子から超音波
パルスを送信し且つ受信することで、試験対象部の劣化
度評価や探傷を行うための超音波試験方法に関するもの
である。
パルスを送信し且つ受信することで、試験対象部の劣化
度評価や探傷を行うための超音波試験方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、超音波試験方法においては、波数
が十数波以上の超音波パルスを発信する狭帯域センサと
称される探触子が使用されていた。一般的にこのような
波数の多い超音波パルスを使用していたのは、高エネル
ギーのパルスが望まれていたからである。そして、試験
対象部に超音波パルスを送信し、受信時間ゲートを掛け
たり超音波パルスのエコー高さや振幅を拠り所とするこ
とで、劣化の程度や欠陥の有無を判定していた。
が十数波以上の超音波パルスを発信する狭帯域センサと
称される探触子が使用されていた。一般的にこのような
波数の多い超音波パルスを使用していたのは、高エネル
ギーのパルスが望まれていたからである。そして、試験
対象部に超音波パルスを送信し、受信時間ゲートを掛け
たり超音波パルスのエコー高さや振幅を拠り所とするこ
とで、劣化の程度や欠陥の有無を判定していた。
【0003】ところで、例えば、クロム鋼では水素侵食
による微小割れからの反射信号を欠陥エコーとして捕ら
えることにより、試験対象部の材料劣化を判断すること
が可能である。一方、同様の試験対象部において、内面
クラッド界面によって疑似エコーの生じる場合もある。
そして、上述の波数の多い超音波パルスを発する探触子
を用いた超音波試験方法においては両エコーの形状同士
が極めて近似しており、未熟練者にとってこれら近似し
た形状のエコーを弁別することは極めて困難であった。
また、かかる欠陥エコーと疑似エコーとの近似現象は、
例えば、クリープ損傷におけるクリープボイドからの反
射エコーと結晶粒界からの反射エコーとの関係や、溶接
ルート部に生じる粒界応力腐食割からの反射エコーと形
状エコーとの関係においても生じている。
による微小割れからの反射信号を欠陥エコーとして捕ら
えることにより、試験対象部の材料劣化を判断すること
が可能である。一方、同様の試験対象部において、内面
クラッド界面によって疑似エコーの生じる場合もある。
そして、上述の波数の多い超音波パルスを発する探触子
を用いた超音波試験方法においては両エコーの形状同士
が極めて近似しており、未熟練者にとってこれら近似し
た形状のエコーを弁別することは極めて困難であった。
また、かかる欠陥エコーと疑似エコーとの近似現象は、
例えば、クリープ損傷におけるクリープボイドからの反
射エコーと結晶粒界からの反射エコーとの関係や、溶接
ルート部に生じる粒界応力腐食割からの反射エコーと形
状エコーとの関係においても生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術の実状
に鑑みて、本発明は、欠陥エコーと疑似エコーとを明確
に弁別し得る超音波試験方法を提供することを目的とす
る。
に鑑みて、本発明は、欠陥エコーと疑似エコーとを明確
に弁別し得る超音波試験方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る超音波試験方法の特徴は、探触子から
超音波パルスを送受信する超音波試験方法において、送
信超音波パルスの波数が1波以上3波以下であり、受信
超音波パルスの特徴パラメーターにより欠陥エコーと疑
似エコーとを識別することにある。
め、本発明に係る超音波試験方法の特徴は、探触子から
超音波パルスを送受信する超音波試験方法において、送
信超音波パルスの波数が1波以上3波以下であり、受信
超音波パルスの特徴パラメーターにより欠陥エコーと疑
似エコーとを識別することにある。
【0006】発明者らの実験によれば、波数3以下の鋭
い超音波パルスを微小割れ等の欠陥に向けて発信する
と、受信超音波パルスも同じく波数の少ない鋭い波形と
なることが確認された。これに対し、内面クラッド界面
等の疑似エコーを発生する部分に向けて波数3以下の超
音波パルスを発信すると、波数の増大した冗長な超音波
パルスの受信されることが判明した。通常、このような
疑似エコーと欠陥エコーとの差異は、波数の多い探触子
を用いていた従来では僅かな差異であるため検出し難
く、本発明の如く鋭いパルスを発信することによって、
かかる差異を明確に識別し得るようになった。
い超音波パルスを微小割れ等の欠陥に向けて発信する
と、受信超音波パルスも同じく波数の少ない鋭い波形と
なることが確認された。これに対し、内面クラッド界面
等の疑似エコーを発生する部分に向けて波数3以下の超
音波パルスを発信すると、波数の増大した冗長な超音波
パルスの受信されることが判明した。通常、このような
疑似エコーと欠陥エコーとの差異は、波数の多い探触子
を用いていた従来では僅かな差異であるため検出し難
く、本発明の如く鋭いパルスを発信することによって、
かかる差異を明確に識別し得るようになった。
【0007】したがって、送信超音波パルスが鋭いほど
欠陥エコーと疑似エコーとを識別し易く、可能であれば
送信超音波パルスの波数が1波以上2波以下とすること
が望ましい。
欠陥エコーと疑似エコーとを識別し易く、可能であれば
送信超音波パルスの波数が1波以上2波以下とすること
が望ましい。
【0008】発明者らの実験によれば前記特徴パラメー
ターとして前記識別用受信超音波パルスの周波数領域に
おける各種パラメーターを用いると、欠陥エコーと疑似
エコーの弁別も容易となることが判明した。送信超音波
パルスが広帯域であることから、その周波数成分を活用
して僅かなエコーの差を把握することが可能になったも
のと考えられる。また、前記特徴パラメーターとして、
識別用受信超音波パルスの鋭さを表すパラメーターを用
いてもよい。
ターとして前記識別用受信超音波パルスの周波数領域に
おける各種パラメーターを用いると、欠陥エコーと疑似
エコーの弁別も容易となることが判明した。送信超音波
パルスが広帯域であることから、その周波数成分を活用
して僅かなエコーの差を把握することが可能になったも
のと考えられる。また、前記特徴パラメーターとして、
識別用受信超音波パルスの鋭さを表すパラメーターを用
いてもよい。
【0009】一方、前記識別用受信超音波パルスとし
て、上記式(1)の周波数応答関数H(ω)を逆フーリ
エ変換した時間応答関数h(t)を用いるとよい。試験
対象である受信超音波パルスの周波数応答関数O(ω)
と、基準とする受信超音波パルスの周波数応答関数B
(ω)との共通する部分を相殺することにより、周波数
応答関数H(ω)から、欠陥又は基準反射源での散乱・
反射により超音波が受ける影響F(ω),E(ω)以外
の影響を除去することができるからである。
て、上記式(1)の周波数応答関数H(ω)を逆フーリ
エ変換した時間応答関数h(t)を用いるとよい。試験
対象である受信超音波パルスの周波数応答関数O(ω)
と、基準とする受信超音波パルスの周波数応答関数B
(ω)との共通する部分を相殺することにより、周波数
応答関数H(ω)から、欠陥又は基準反射源での散乱・
反射により超音波が受ける影響F(ω),E(ω)以外
の影響を除去することができるからである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、図1〜5を参照しながら、
本発明の第一の実施形態について説明する。図2(a)
は、本発明に係る超音波試験装置1の論理ブロック図を
示し、この超音波試験装置1は、大略、探触子2、パル
サー/レシーバー3、A/Dコンバーター4、パーソナ
ルコンピューター5、CRT装置6及びアラーム7によ
り構成されている。パルサー/レシーバー3はパーソナ
ルコンピューター5に制御され、探触子2から超音波を
試験対象部Sに対し発信し受信する。探触子2により受
信された超音波は、パルサー/レシーバー3及びA/D
コンバーター4を介してパーソナルコンピューター5に
より後述のごとく処理され、CRT装置6にその受信波
形が表示される。また、パーソナルコンピューター5
は、後述する受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表
すパラメーターが一定のしきい値を越えた場合に、アラ
ーム7を動作させて警報情報を目視可能なように表示さ
せると共に警報音を発生する。
本発明の第一の実施形態について説明する。図2(a)
は、本発明に係る超音波試験装置1の論理ブロック図を
示し、この超音波試験装置1は、大略、探触子2、パル
サー/レシーバー3、A/Dコンバーター4、パーソナ
ルコンピューター5、CRT装置6及びアラーム7によ
り構成されている。パルサー/レシーバー3はパーソナ
ルコンピューター5に制御され、探触子2から超音波を
試験対象部Sに対し発信し受信する。探触子2により受
信された超音波は、パルサー/レシーバー3及びA/D
コンバーター4を介してパーソナルコンピューター5に
より後述のごとく処理され、CRT装置6にその受信波
形が表示される。また、パーソナルコンピューター5
は、後述する受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表
すパラメーターが一定のしきい値を越えた場合に、アラ
ーム7を動作させて警報情報を目視可能なように表示さ
せると共に警報音を発生する。
【0011】図2(b)に示すように探触子2は、大
略、ケース11及びシールド筒11bの内部で底板11
aの上に振動子14を設け、さらにこの上部にダンパー
15を順次設けることで構成してある。コネクター12
及び接続ケーブル12aを介して振動子14に印加され
る急激な電圧により、振動子14はその厚さ方向に伸縮
し、試験対象部Sに対し矢印の如く超音波パルスを発信
し、再びこれを受信する。振動子14の裏面に設けたダ
ンパー15は、本発明において振動子14の振動を急激
に減衰させるように調整してある。
略、ケース11及びシールド筒11bの内部で底板11
aの上に振動子14を設け、さらにこの上部にダンパー
15を順次設けることで構成してある。コネクター12
及び接続ケーブル12aを介して振動子14に印加され
る急激な電圧により、振動子14はその厚さ方向に伸縮
し、試験対象部Sに対し矢印の如く超音波パルスを発信
し、再びこれを受信する。振動子14の裏面に設けたダ
ンパー15は、本発明において振動子14の振動を急激
に減衰させるように調整してある。
【0012】図3(a)は、本発明に係る探触子が発信
するエコーの波形である。同図のものは波数が2波であ
るが、発明者らの実験によれば、波数が3波以下であれ
ば、疑似エコーと欠陥エコーとの弁別を行い得ることが
確認されている。但し、波数が少ないほど弁別精度は向
上するため、さらに望ましくは、送信パルスの波数は2
波以下である。この種の波数の少ない探触子は、一般的
に広帯域探触子と呼ばれており、先のダンパー15によ
る減衰効率を非常に向上させたものである。但し、これ
に対し、図3(b)に示す波形は、従来型のいわゆる狭
帯域探触子と呼ばれる探触子を使用した場合における、
送信超音波パルスの波形を示している。これらの波数の
差は、先のダンパー15の減衰能力の差によるものであ
る。なお、狭帯域及び広帯域とは、結果的に超音波パル
スを構成する周波数がそのようになるだけであって、本
発明では波数のみを問題とする。
するエコーの波形である。同図のものは波数が2波であ
るが、発明者らの実験によれば、波数が3波以下であれ
ば、疑似エコーと欠陥エコーとの弁別を行い得ることが
確認されている。但し、波数が少ないほど弁別精度は向
上するため、さらに望ましくは、送信パルスの波数は2
波以下である。この種の波数の少ない探触子は、一般的
に広帯域探触子と呼ばれており、先のダンパー15によ
る減衰効率を非常に向上させたものである。但し、これ
に対し、図3(b)に示す波形は、従来型のいわゆる狭
帯域探触子と呼ばれる探触子を使用した場合における、
送信超音波パルスの波形を示している。これらの波数の
差は、先のダンパー15の減衰能力の差によるものであ
る。なお、狭帯域及び広帯域とは、結果的に超音波パル
スを構成する周波数がそのようになるだけであって、本
発明では波数のみを問題とする。
【0013】図4(a)〜(c)は受信超音波パルスの
周波数スペクトルと各種パラメーターとの関係を示し、
(a)はパワースペクトルの分散、(b)は周波数スペ
クトルの重心、(c)はバンド幅をそれぞれ説明するた
めの図である。本発明では、特徴パラメーターとして、
これら識別用受信超音波パルスの周波数領域における各
種パラメーターを用いる。
周波数スペクトルと各種パラメーターとの関係を示し、
(a)はパワースペクトルの分散、(b)は周波数スペ
クトルの重心、(c)はバンド幅をそれぞれ説明するた
めの図である。本発明では、特徴パラメーターとして、
これら識別用受信超音波パルスの周波数領域における各
種パラメーターを用いる。
【0014】ここに、「パワースペクトルの分散」を求
めるには、図4(a)に示すように、まず、周波数スペ
クトルの関数P(f)が最大値の50%に達する周波数
fh1及びfh2を求める。また、これら周波数fh1
及びfh2の中央値である周波数fhcを求める。次い
で、下側のfh1におけるP(f)の値を示す点q1と
中央周波数fhcにおけるP(f)の値を示す点q2と
を通る直線Qを求める。パワースペクトルの分散Pm
は、これらP(f)とQとの差分の最大値である。
めるには、図4(a)に示すように、まず、周波数スペ
クトルの関数P(f)が最大値の50%に達する周波数
fh1及びfh2を求める。また、これら周波数fh1
及びfh2の中央値である周波数fhcを求める。次い
で、下側のfh1におけるP(f)の値を示す点q1と
中央周波数fhcにおけるP(f)の値を示す点q2と
を通る直線Qを求める。パワースペクトルの分散Pm
は、これらP(f)とQとの差分の最大値である。
【0015】一方、「周波数スペクトルの重心」は、同
図(b)及び次式によって示される。 P(f)・fdf/ P(f)df
図(b)及び次式によって示される。 P(f)・fdf/ P(f)df
【0016】また、「バンド幅」を求めるには、同図
(c)に示すように、先述の周波数fh1及びfh2の
差分dfhと中央周波数fhcとを求める。そして、バ
ンド幅は次式によって示される。 dfh/fhc
(c)に示すように、先述の周波数fh1及びfh2の
差分dfhと中央周波数fhcとを求める。そして、バ
ンド幅は次式によって示される。 dfh/fhc
【0017】さらに、同図(d)は探触子2による識別
用受信超音波パルスの検波後の波形における包絡線と、
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表す各種パラメ
ーターとの関係を示す図である。同図(d)における値
w1は包絡線の全幅を示し、値w2は包絡線の電圧がピ
ーク電圧の25%に達する場合の時間幅を示している。
値xは25%からピークへの包絡線の立ち上がり時間を
示している。また、値yは25%からピークまでの電
圧、θはピーク及び25%に達した包絡線の電圧を結ぶ
線分の勾配を示す。すなわち、z=tanθとすればz
=y/xとなり、値x及び値z=tanθは、いずれも
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表すパラメータ
ーに等しい。
用受信超音波パルスの検波後の波形における包絡線と、
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表す各種パラメ
ーターとの関係を示す図である。同図(d)における値
w1は包絡線の全幅を示し、値w2は包絡線の電圧がピ
ーク電圧の25%に達する場合の時間幅を示している。
値xは25%からピークへの包絡線の立ち上がり時間を
示している。また、値yは25%からピークまでの電
圧、θはピーク及び25%に達した包絡線の電圧を結ぶ
線分の勾配を示す。すなわち、z=tanθとすればz
=y/xとなり、値x及び値z=tanθは、いずれも
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを表すパラメータ
ーに等しい。
【0018】次に、図5を参照しながら、上記信号処理
に加え、デコンボリューション法を用いてさらに底面エ
コーと欠陥エコーとの識別精度を向上させる手法につい
て説明する。
に加え、デコンボリューション法を用いてさらに底面エ
コーと欠陥エコーとの識別精度を向上させる手法につい
て説明する。
【0019】まず、試験対象である受信超音波パルスの
時間応答関数o(t)をフーリエ変換して得られる周波
数応答関数O(ω)は次の式(2)の通り求められる。 O(ω)=I(ω)C1(ω)M1(ω)F(ω)M2(ω)C2(ω) −(2)
時間応答関数o(t)をフーリエ変換して得られる周波
数応答関数O(ω)は次の式(2)の通り求められる。 O(ω)=I(ω)C1(ω)M1(ω)F(ω)M2(ω)C2(ω) −(2)
【0020】ここに、上式の右辺における各関数は周波
数領域における関数を示し、I(ω)は入射超音波、C1
(ω)は探触子と試験体表面との接触状況等の超音波が探
触子から試験体へ通過する際に受ける影響、M1(ω)は
試験体表面から欠陥までの間で超音波が受ける拡散・減
衰の影響、F(ω)は欠陥での散乱・反射により超音波が
受ける影響、M2(ω)は欠陥から試験体表面までの間で
超音波が受ける拡散・減衰の影響、C2(ω)は探触子と
試験体表面との接触状況等の超音波が試験体から探触子
へ通過する際に受ける影響をそれぞれ示す。
数領域における関数を示し、I(ω)は入射超音波、C1
(ω)は探触子と試験体表面との接触状況等の超音波が探
触子から試験体へ通過する際に受ける影響、M1(ω)は
試験体表面から欠陥までの間で超音波が受ける拡散・減
衰の影響、F(ω)は欠陥での散乱・反射により超音波が
受ける影響、M2(ω)は欠陥から試験体表面までの間で
超音波が受ける拡散・減衰の影響、C2(ω)は探触子と
試験体表面との接触状況等の超音波が試験体から探触子
へ通過する際に受ける影響をそれぞれ示す。
【0021】一方、基準とする受信超音波パルスの時間
応答関数b(t)をフーリエ変換して得られる周波数応
答関数B(ω)は次の式(3)の通り求められる。参照
とする受信超音波パルスは、例えば、先の図1における
符号P3に探触子2を位置させて角部Cからの反射信号
を得る。基準とする受信超音波パルスは上記凹状の角部
以外の既知形状の基準反射源、例えばR面や凸状の角部
から得ても構わない。 B(ω)=I(ω)C1(ω)M1(ω)E(ω)M2(ω)C2(ω) −(3)
応答関数b(t)をフーリエ変換して得られる周波数応
答関数B(ω)は次の式(3)の通り求められる。参照
とする受信超音波パルスは、例えば、先の図1における
符号P3に探触子2を位置させて角部Cからの反射信号
を得る。基準とする受信超音波パルスは上記凹状の角部
以外の既知形状の基準反射源、例えばR面や凸状の角部
から得ても構わない。 B(ω)=I(ω)C1(ω)M1(ω)E(ω)M2(ω)C2(ω) −(3)
【0022】ここに、I(ω)、C1(ω)、M1(ω)、M2
(ω)及びC2(ω)は、同じ探触子を用いて同様の試験体
から基準とする受信超音波パルスを得るのであるから、
上記O(ω)における関数と同一であると考えられる。
E(ω)は基準反射源での散乱・反射により超音波が受け
る影響の特性関数である。
(ω)及びC2(ω)は、同じ探触子を用いて同様の試験体
から基準とする受信超音波パルスを得るのであるから、
上記O(ω)における関数と同一であると考えられる。
E(ω)は基準反射源での散乱・反射により超音波が受け
る影響の特性関数である。
【0023】上記式(2)、(3)を用いて、次の周波
数応答関数H(ω)を求める。 H(ω)=O(ω)/B(ω) =(I(ω)C1(ω)M1(ω)F(ω)M2(ω)C2(ω)) /(I(ω)C1(ω)M1(ω)E(ω)M2(ω)C2(ω)) =F(ω)/E(ω) −(4)
数応答関数H(ω)を求める。 H(ω)=O(ω)/B(ω) =(I(ω)C1(ω)M1(ω)F(ω)M2(ω)C2(ω)) /(I(ω)C1(ω)M1(ω)E(ω)M2(ω)C2(ω)) =F(ω)/E(ω) −(4)
【0024】すなわち、上式(4)によれば、周波数応
答関数H(ω)から、欠陥又は基準反射源での散乱・反
射により超音波が受ける影響F(ω),E(ω)以外の
影響を除去することができ、受信超音波パルスの解析精
度を向上させることが可能となる。そして、式(4)の
周波数応答関数H(ω)を逆フーリエ変換して時間応答
関数h(t)求め、この時間応答関数h(t)における
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを示すパラメータ
ーをもって、欠陥の識別を上記第一実施形態の如く行
う。上述の如き時間応答関数h(t)求める一連の手順
をデコンボリューション法という。なお、これらデコン
ボリューション法にかかる式(2)〜(4)の処理及び
逆フーリエ変換処理は、上記パーソナルコンピューター
5においてなされる。
答関数H(ω)から、欠陥又は基準反射源での散乱・反
射により超音波が受ける影響F(ω),E(ω)以外の
影響を除去することができ、受信超音波パルスの解析精
度を向上させることが可能となる。そして、式(4)の
周波数応答関数H(ω)を逆フーリエ変換して時間応答
関数h(t)求め、この時間応答関数h(t)における
受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを示すパラメータ
ーをもって、欠陥の識別を上記第一実施形態の如く行
う。上述の如き時間応答関数h(t)求める一連の手順
をデコンボリューション法という。なお、これらデコン
ボリューション法にかかる式(2)〜(4)の処理及び
逆フーリエ変換処理は、上記パーソナルコンピューター
5においてなされる。
【0025】図5における(a)は欠陥エコー、(b)
は内面クラッド界面からの疑似エコー、(c)は基準エ
コーの原波形を示す。また、図5における(d)はデコ
ンボリューション後の欠陥エコー、(e)はデコンボリ
ューション後の疑似エコーである。本実施形態では、デ
コンボリューション後の時間応答関数h(t)、すなわ
ち、図5(d)(e)のエコーを識別用受信超音波パル
スとして用いる。
は内面クラッド界面からの疑似エコー、(c)は基準エ
コーの原波形を示す。また、図5における(d)はデコ
ンボリューション後の欠陥エコー、(e)はデコンボリ
ューション後の疑似エコーである。本実施形態では、デ
コンボリューション後の時間応答関数h(t)、すなわ
ち、図5(d)(e)のエコーを識別用受信超音波パル
スとして用いる。
【0026】次に、図6,7を参照しながら、本発明の
第二実施形態について説明する。以下、上記第一実施形
態と同様の部材には同様の符号を付してある。本実施形
態は、例えば溶接ルート部を斜角探傷により検査する際
に適用されるものである。
第二実施形態について説明する。以下、上記第一実施形
態と同様の部材には同様の符号を付してある。本実施形
態は、例えば溶接ルート部を斜角探傷により検査する際
に適用されるものである。
【0027】図6は、本実施形態に用いられる探触子2
の断面図である。この探触子2の基本構造はほぼ第一実
施形態と同様であるが、アクリル樹脂製の楔13を介し
て振動子14から試験対象部Sに対して斜めに超音波を
入射しかつ受信する点が異なっている。振動子14の背
面にはダンパー15が設けられている。また、振動子1
4から楔13内に伝達される超音波の内、余分な表面反
射波等は吸音材16により吸収される。
の断面図である。この探触子2の基本構造はほぼ第一実
施形態と同様であるが、アクリル樹脂製の楔13を介し
て振動子14から試験対象部Sに対して斜めに超音波を
入射しかつ受信する点が異なっている。振動子14の背
面にはダンパー15が設けられている。また、振動子1
4から楔13内に伝達される超音波の内、余分な表面反
射波等は吸音材16により吸収される。
【0028】試験を行うに際しては、例えば、探触子2
を、図7の位置P1,P2,P3に示す如く、適宜移動
させる。ここに、本実施形態における試験対象部Sは、
オーステナイト系ステンレス鋼管S1の端部を溶接した
溶接ビードS2及びその近傍である。符号Dは粒界応力
腐食割れによる亀裂、符号Rは溶接ビードS2における
ルート部、符号Cは鋼管S1の内面における角部であ
る。そして、探触子2が符号P1に位置するときは亀裂
Dに起因する亀裂信号、符号P2に位置するときには溶
接ルート部Rにおける柱状晶に起因する信号、符号P3
に位置するときには角部Cに起因する形状信号が、それ
ぞれ受信されることとなる。なお、図7における亀裂D
から生ずるエコーは欠陥エコーであり、溶接ルート部R
及び角部Cから生ずるエコーは疑似エコーであるが、こ
の場合、角部Cは溶接ルート部R及び亀裂Dと離れてい
るため識別し易く、通常は互いに近接していることの多
い溶接ルート部Rと亀裂Dとの識別が問題となる。
を、図7の位置P1,P2,P3に示す如く、適宜移動
させる。ここに、本実施形態における試験対象部Sは、
オーステナイト系ステンレス鋼管S1の端部を溶接した
溶接ビードS2及びその近傍である。符号Dは粒界応力
腐食割れによる亀裂、符号Rは溶接ビードS2における
ルート部、符号Cは鋼管S1の内面における角部であ
る。そして、探触子2が符号P1に位置するときは亀裂
Dに起因する亀裂信号、符号P2に位置するときには溶
接ルート部Rにおける柱状晶に起因する信号、符号P3
に位置するときには角部Cに起因する形状信号が、それ
ぞれ受信されることとなる。なお、図7における亀裂D
から生ずるエコーは欠陥エコーであり、溶接ルート部R
及び角部Cから生ずるエコーは疑似エコーであるが、こ
の場合、角部Cは溶接ルート部R及び亀裂Dと離れてい
るため識別し易く、通常は互いに近接していることの多
い溶接ルート部Rと亀裂Dとの識別が問題となる。
【0029】
【実施例】まず、第一実施例について説明する。本実施
例では、板厚25.4mmの0.5Cr鋼を高温・高圧の水
素雰囲気内で500時間暴露することにより水素侵食を
発生させた暴露材と健全な同板厚の0.5Cr鋼との比較試
験を行った。また、本実施例及び第二実施例では、上記
第一実施形態にかかる垂直探傷用の探触子を用いて試験
を行った。
例では、板厚25.4mmの0.5Cr鋼を高温・高圧の水
素雰囲気内で500時間暴露することにより水素侵食を
発生させた暴露材と健全な同板厚の0.5Cr鋼との比較試
験を行った。また、本実施例及び第二実施例では、上記
第一実施形態にかかる垂直探傷用の探触子を用いて試験
を行った。
【0030】図8(a)は、同比較試験における波数3
の探触子を使用した場合における周波数スペクトルの重
心とパワースペクトルの分散との関係を示すグラフであ
る。水素侵食による微小割れに起因する欠陥エコーの分
布範囲A1は、内面クラッド界面から発生する疑似エコ
ーの分布範囲A2と明確に弁別されている。すなわち、
欠陥エコー範囲A1は、疑似エコー範囲A2よりも周波
数スペクトルの重心及びパワースペクトルの分散の双方
のパラメーターが大きい傾向にあることが伺える。
の探触子を使用した場合における周波数スペクトルの重
心とパワースペクトルの分散との関係を示すグラフであ
る。水素侵食による微小割れに起因する欠陥エコーの分
布範囲A1は、内面クラッド界面から発生する疑似エコ
ーの分布範囲A2と明確に弁別されている。すなわち、
欠陥エコー範囲A1は、疑似エコー範囲A2よりも周波
数スペクトルの重心及びパワースペクトルの分散の双方
のパラメーターが大きい傾向にあることが伺える。
【0031】これに対し、図8(b)に示すように、図
3(b)を引用して説明した従来型の多波数探触子を使
用した場合における周波数スペクトルの重心とパワース
ペクトルの分散との関係を示すグラフでは、欠陥エコー
の範囲A1と疑似エコーの範囲A2とが互いに交錯して
おり、両者を弁別することが困難であることが伺える。
3(b)を引用して説明した従来型の多波数探触子を使
用した場合における周波数スペクトルの重心とパワース
ペクトルの分散との関係を示すグラフでは、欠陥エコー
の範囲A1と疑似エコーの範囲A2とが互いに交錯して
おり、両者を弁別することが困難であることが伺える。
【0032】また、図8(a)から明らかなように、欠
陥エコーと疑似エコーとの弁別は、パラメーターである
周波数スペクトルの重心又はパワースペクトルの分散の
うちいずれか一方のみを用いる場合でも可能である。よ
って、これら欠陥エコーの分布範囲A1及び疑似エコー
の分布範囲A2間におけるパラメーターzのしきい値z
gと、パラメーターxのしきい値xgとのうち、少なく
ともいずれか一方を、各パラメーターz,xが越えるか
下回る場合に、両者を区別するようにすることができ
る。以下の各実施例においても同様である。
陥エコーと疑似エコーとの弁別は、パラメーターである
周波数スペクトルの重心又はパワースペクトルの分散の
うちいずれか一方のみを用いる場合でも可能である。よ
って、これら欠陥エコーの分布範囲A1及び疑似エコー
の分布範囲A2間におけるパラメーターzのしきい値z
gと、パラメーターxのしきい値xgとのうち、少なく
ともいずれか一方を、各パラメーターz,xが越えるか
下回る場合に、両者を区別するようにすることができ
る。以下の各実施例においても同様である。
【0033】先のパーソナルコンピューター5及びアラ
ーム7は、パラメーターzがしきい値zgを越える場
合、及び、パラメーターxがしきい値xgを下回る場合
のいずれかの場合に、アラーム7を作動させるように構
成してある。アラーム7により発せられる信号には、ブ
ザー等の音信号の他、ランプや発光ダイオード等の光信
号を用いても構わない。なお、図5の各グラフは、本実
施例の結果を示している。
ーム7は、パラメーターzがしきい値zgを越える場
合、及び、パラメーターxがしきい値xgを下回る場合
のいずれかの場合に、アラーム7を作動させるように構
成してある。アラーム7により発せられる信号には、ブ
ザー等の音信号の他、ランプや発光ダイオード等の光信
号を用いても構わない。なお、図5の各グラフは、本実
施例の結果を示している。
【0034】次に、本発明の第二実施例について説明す
る。本実施例では、直径10mmのSUS304製丸棒
を摂氏550度下においてクリープを発生させるべく8
万時間引っ張り加重を加えた劣化材と健全材との比較試
験を行った。
る。本実施例では、直径10mmのSUS304製丸棒
を摂氏550度下においてクリープを発生させるべく8
万時間引っ張り加重を加えた劣化材と健全材との比較試
験を行った。
【0035】図9(a)は、同比較試験における波数3
の探触子を使用した場合における周波数スペクトルの重
心とバンド幅との関係を示すグラフである。クリープボ
イドに起因する欠陥エコーの分布範囲A1は、結晶粒界
から発生する疑似エコーの分布範囲A2と明確に弁別さ
れている。すなわち、欠陥エコー範囲A1は、疑似エコ
ー範囲A2よりも周波数スペクトルの重心において小さ
い一方、バンド幅において大きい傾向にあることが伺え
る。
の探触子を使用した場合における周波数スペクトルの重
心とバンド幅との関係を示すグラフである。クリープボ
イドに起因する欠陥エコーの分布範囲A1は、結晶粒界
から発生する疑似エコーの分布範囲A2と明確に弁別さ
れている。すなわち、欠陥エコー範囲A1は、疑似エコ
ー範囲A2よりも周波数スペクトルの重心において小さ
い一方、バンド幅において大きい傾向にあることが伺え
る。
【0036】これに対し、図9(b)に示すように従来
型の多波数探触子を使用した場合における図9(a)と
同趣旨のグラフでは、欠陥エコーの範囲A1と疑似エコ
ーの範囲A2とが互いに交錯しており、両者を弁別する
ことが困難であることが伺える。
型の多波数探触子を使用した場合における図9(a)と
同趣旨のグラフでは、欠陥エコーの範囲A1と疑似エコ
ーの範囲A2とが互いに交錯しており、両者を弁別する
ことが困難であることが伺える。
【0037】次に、本発明の第三実施例について説明す
る。本実施例では、オーステナイト系ステンレス鋼管の
溶接部について、上記第二実施形態にかかる斜角探傷用
の探触子を用いて探傷試験を行った。この種の溶接部で
は、冷却時の柱状晶の発達により、溶接ルート部のエコ
ーや形状エコーの生じることが知られている。一方、試
験対象部における粒界応力腐食割れ等の欠陥部から生じ
る欠陥エコーは、溶接ルート部等から生じる疑似エコー
と同様の部位に現れることがある。かかる疑似エコーは
溶接線全長にわたってほぼ連続的に現れるものの、上述
の波数の多い超音波パルスを発する探触子を用いた超音
波探傷試験方法においては両エコーの形状同士が極めて
近似しており、未熟練者にとってこれら近似した形状の
エコーを弁別することは極めて困難であった。本実施例
では、これら近似した両エコーの判別を行った。
る。本実施例では、オーステナイト系ステンレス鋼管の
溶接部について、上記第二実施形態にかかる斜角探傷用
の探触子を用いて探傷試験を行った。この種の溶接部で
は、冷却時の柱状晶の発達により、溶接ルート部のエコ
ーや形状エコーの生じることが知られている。一方、試
験対象部における粒界応力腐食割れ等の欠陥部から生じ
る欠陥エコーは、溶接ルート部等から生じる疑似エコー
と同様の部位に現れることがある。かかる疑似エコーは
溶接線全長にわたってほぼ連続的に現れるものの、上述
の波数の多い超音波パルスを発する探触子を用いた超音
波探傷試験方法においては両エコーの形状同士が極めて
近似しており、未熟練者にとってこれら近似した形状の
エコーを弁別することは極めて困難であった。本実施例
では、これら近似した両エコーの判別を行った。
【0038】図10(a)は、波数3の探触子を使用し
た場合におけるパラメーターz=tanθとパラメータ
ーxとの関係を示すグラフである。先の亀裂Dに起因す
る欠陥エコーの分布範囲A1は、先のルート部Rに発生
する疑似エコーの分布範囲A2と明確に弁別されてい
る。すなわち、欠陥エコー範囲A1は、疑似エコー範囲
A2よりもパラメーターtanθが大きく、且つパラメ
ーターxが小さい傾向にあることが伺え、欠陥エコーは
疑似エコーよりも立ち上がりが鋭いといえる。
た場合におけるパラメーターz=tanθとパラメータ
ーxとの関係を示すグラフである。先の亀裂Dに起因す
る欠陥エコーの分布範囲A1は、先のルート部Rに発生
する疑似エコーの分布範囲A2と明確に弁別されてい
る。すなわち、欠陥エコー範囲A1は、疑似エコー範囲
A2よりもパラメーターtanθが大きく、且つパラメ
ーターxが小さい傾向にあることが伺え、欠陥エコーは
疑似エコーよりも立ち上がりが鋭いといえる。
【0039】これに対し、図4(b)に示す従来型の多
波数探触子を使用した場合におけるパラメーターz=t
anθとパラメーターxとの関係を示すグラフでは、欠
陥エコーの範囲A1と疑似エコーの範囲A2とが互いに
交錯しており、両者を弁別することが困難であることが
伺える。
波数探触子を使用した場合におけるパラメーターz=t
anθとパラメーターxとの関係を示すグラフでは、欠
陥エコーの範囲A1と疑似エコーの範囲A2とが互いに
交錯しており、両者を弁別することが困難であることが
伺える。
【0040】図5に相当する第三実施例での各波形を図
10に示す。この図10において、(a)は欠陥エコ
ー、(b)は底面エコー、(c)は基準エコーの原波形
を示す。また、図10における(d)はデコンボリュー
ション後の欠陥エコー、(e)はデコンボリューション
後の底面エコーである。本実施形態では、デコンボリュ
ーション後の時間応答関数h(t)、すなわち、図10
(d)(e)のエコーを識別用受信超音波パルスとして
用いればよい。
10に示す。この図10において、(a)は欠陥エコ
ー、(b)は底面エコー、(c)は基準エコーの原波形
を示す。また、図10における(d)はデコンボリュー
ション後の欠陥エコー、(e)はデコンボリューション
後の底面エコーである。本実施形態では、デコンボリュ
ーション後の時間応答関数h(t)、すなわち、図10
(d)(e)のエコーを識別用受信超音波パルスとして
用いればよい。
【0041】最後に、本発明のさらに他の実施の可能性
について説明する。探触子の特性における広帯域又は狭
帯域とは、あくまでも結果的に周波数成分が広く分布し
たり狭い範囲で分布することによりそのように称される
のであって、狭帯域探触子といわれるものでも、中心周
波数の成分を探触子の固有振動数に合わせることによっ
て、波数を3以下にすることは可能である。
について説明する。探触子の特性における広帯域又は狭
帯域とは、あくまでも結果的に周波数成分が広く分布し
たり狭い範囲で分布することによりそのように称される
のであって、狭帯域探触子といわれるものでも、中心周
波数の成分を探触子の固有振動数に合わせることによっ
て、波数を3以下にすることは可能である。
【0042】上記各実施形態では、受信超音波パルスの
立ち上がりの鋭さを表すパラメーターとして、上述の
x,z=tanθを用いたが、これら以外のパラメータ
ーにより受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを評価す
ることも可能である。また、受信超音波パルスの立ち上
がりの鋭さを表すパラメーター以外の特徴パラメーター
により、底面エコーと欠陥エコーとを識別できる。底面
エコーは欠陥エコーよりも冗長となる傾向にあるので、
例えば上記図3(b)の符号w2、w3等に示す受信超
音波パルス全体の鋭さを表すパラメーターや、図3
(b)の符号x’に示すパルス持続時間、中心周波数を
特徴パラメーターとして用いることが可能である。
立ち上がりの鋭さを表すパラメーターとして、上述の
x,z=tanθを用いたが、これら以外のパラメータ
ーにより受信超音波パルスの立ち上がりの鋭さを評価す
ることも可能である。また、受信超音波パルスの立ち上
がりの鋭さを表すパラメーター以外の特徴パラメーター
により、底面エコーと欠陥エコーとを識別できる。底面
エコーは欠陥エコーよりも冗長となる傾向にあるので、
例えば上記図3(b)の符号w2、w3等に示す受信超
音波パルス全体の鋭さを表すパラメーターや、図3
(b)の符号x’に示すパルス持続時間、中心周波数を
特徴パラメーターとして用いることが可能である。
【0043】上記実施形態では、同一の探触子により超
音波パルスの送信及び受信を行ったが、送信用の探触子
と受信用の探触子を個別に設けてもよい。但し、欠陥部
や基準反射源以外の影響をできるだけ除去するには、上
記実施形態を採用することが望ましい。
音波パルスの送信及び受信を行ったが、送信用の探触子
と受信用の探触子を個別に設けてもよい。但し、欠陥部
や基準反射源以外の影響をできるだけ除去するには、上
記実施形態を採用することが望ましい。
【0044】
【発明の効果】このように、上記本発明に係る超音波試
験方法の特徴によれば、熟練者でなくとも欠陥エコーと
疑似エコーとを明確且つ迅速に弁別することが可能とな
り、超音波試験方法の検査精度をさらに向上させること
が可能となった。
験方法の特徴によれば、熟練者でなくとも欠陥エコーと
疑似エコーとを明確且つ迅速に弁別することが可能とな
り、超音波試験方法の検査精度をさらに向上させること
が可能となった。
【0045】特に、上記式(1)の試験周波数応答関数
H(ω)を逆フーリエ変換した時間応答関数h(t)を
用いると、周波数応答関数H(ω)から、欠陥又は基準
反射源での散乱・反射により超音波が受ける影響F
(ω),E(ω)以外の影響を除去することができるの
で、検査精度をより向上させることが可能となった。
H(ω)を逆フーリエ変換した時間応答関数h(t)を
用いると、周波数応答関数H(ω)から、欠陥又は基準
反射源での散乱・反射により超音波が受ける影響F
(ω),E(ω)以外の影響を除去することができるの
で、検査精度をより向上させることが可能となった。
【0046】なお、特許請求の範囲の項に記入した符号
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
【図1】本発明にかかる超音波試験装置の論理ブロック
図である。
図である。
【図2】第一実施形態にかかる探触子の縦断面図であ
る。
る。
【図3】(a)は本発明に係る探触子使用時における送
信超音波パルスの波形を示すグラフ、(b)は従来型の
多波数探触子使用時における送信超音波パルスの波形を
示すグラフである。
信超音波パルスの波形を示すグラフ、(b)は従来型の
多波数探触子使用時における送信超音波パルスの波形を
示すグラフである。
【図4】(a)〜(c)は受信超音波パルスの周波数ス
ペクトルと各種パラメーターとの関係を示し、(a)は
パワースペクトルの分散、(b)は周波数スペクトルの
重心、(c)はバンド幅をそれぞれ説明し、(d)は受
信超音波パルスの波形の包絡線と25%からピークへの
包絡線の勾配(tanθ)及び25%からピークへの立
ち上がり時間(x)との関係を説明するための図であ
る。
ペクトルと各種パラメーターとの関係を示し、(a)は
パワースペクトルの分散、(b)は周波数スペクトルの
重心、(c)はバンド幅をそれぞれ説明し、(d)は受
信超音波パルスの波形の包絡線と25%からピークへの
包絡線の勾配(tanθ)及び25%からピークへの立
ち上がり時間(x)との関係を説明するための図であ
る。
【図5】第一実施例にかかる受信超音波パルスの時間応
答関数を示し、(a)は欠陥エコー、(b)は疑似エコ
ー、(c)は基準エコー、(d)はデコンボリューショ
ン後の疑似エコー、(e)はデコンボリューション後の
底面エコーである。
答関数を示し、(a)は欠陥エコー、(b)は疑似エコ
ー、(c)は基準エコー、(d)はデコンボリューショ
ン後の疑似エコー、(e)はデコンボリューション後の
底面エコーである。
【図6】第二実施形態にかかる探触子の縦断面図であ
る。
る。
【図7】第二実施形態にかかる厚肉配管溶接部の拡大縦
断面図である。
断面図である。
【図8】第一実施例にかかる周波数スペクトルの重心と
パワースペクトルの分散との関係を示すグラフであり、
(a)は波数3の探触子使用時、(b)は多波数探触子
使用時におけるグラフである。
パワースペクトルの分散との関係を示すグラフであり、
(a)は波数3の探触子使用時、(b)は多波数探触子
使用時におけるグラフである。
【図9】第二実施例にかかる周波数スペクトルの重心と
バンド幅との関係を示すグラフであり、(a)は波数3
の探触子使用時、(b)は多波数探触子使用時における
グラフである。
バンド幅との関係を示すグラフであり、(a)は波数3
の探触子使用時、(b)は多波数探触子使用時における
グラフである。
【図10】第三実施例にかかる25%からピークへの包
絡線の勾配(tanθ)と25%からピークへの立ち上
がり時間(x)との関係を示すグラフであり、(a)は
波数3の探触子使用時、(b)は多波数探触子使用時に
おけるグラフである。
絡線の勾配(tanθ)と25%からピークへの立ち上
がり時間(x)との関係を示すグラフであり、(a)は
波数3の探触子使用時、(b)は多波数探触子使用時に
おけるグラフである。
【図11】第三実施例にかかる図5相当図である。
1 超音波試験装置 2 探触子 3 パルサーレシーバー 4 A/Dコンバーター 5 パーソナルコンピューター 6 CRT装置 7 アラーム 11 ケース 11a底板 11bシールド筒 12 コネクター 12a接続ケーブル 13 楔 14 振動子 15 ダンパー 16 吸音材 S 試験対象部 S1鋼管 S2溶接ビード C 角部 D 亀裂 R 溶接ルート部
Claims (4)
- 【請求項1】 探触子(2)から超音波パルスを送受信
する超音波試験方法において、送信超音波パルスの波数
が1波以上3波以下であり、識別用受信超音波パルスの
特徴パラメーターにより欠陥エコーと疑似エコーとを識
別することを特徴とする超音波試験方法。 - 【請求項2】 前記送信超音波パルスの波数が1波以上
2波以下であり、前記特徴パラメーターが前記識別用受
信超音波パルスの周波数領域における各種パラメーター
であることを特徴とする請求項1に記載の超音波試験方
法。 - 【請求項3】 前記送信超音波パルスの波数が1波以上
2波以下であり、前記特徴パラメーター(x,z)が前
記識別用受信超音波パルスの鋭さを表すパラメーターで
あることを特徴とする請求項1に記載の超音波試験方
法。 - 【請求項4】 前記識別用受信超音波パルスとして、次
の式(1)の周波数応答関数H(ω)を逆フーリエ変換
した時間応答関数h(t)を用いることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の超音波試験方法。 H(ω)=O(ω)/B(ω) −(1) 但し、O(ω)は試験対象である受信超音波パルスの周
波数応答関数、 B(ω)は基準とする受信超音波パルスの周波数応答関
数である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10105620A JPH11287788A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波試験方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10105620A JPH11287788A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波試験方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11287788A true JPH11287788A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=14412547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10105620A Pending JPH11287788A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 超音波試験方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11287788A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002328120A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-15 | Hitachi Ltd | 超音波探触子および超音波探傷方法 |
JP2019211480A (ja) * | 2018-06-05 | 2019-12-12 | エルモス セミコンダクタ アーゲー | 反射超音波による障害物検出方法 |
JP2020537147A (ja) * | 2017-10-11 | 2020-12-17 | ビーピー エクスプロレーション オペレーティング カンパニー リミテッドBp Exploration Operating Company Limited | 音響周波数領域特徴を使用した事象の検出 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10105620A patent/JPH11287788A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002328120A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-15 | Hitachi Ltd | 超音波探触子および超音波探傷方法 |
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