JPH11287318A - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置

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JPH11287318A
JPH11287318A JP10087355A JP8735598A JPH11287318A JP H11287318 A JPH11287318 A JP H11287318A JP 10087355 A JP10087355 A JP 10087355A JP 8735598 A JP8735598 A JP 8735598A JP H11287318 A JPH11287318 A JP H11287318A
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JP
Japan
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clutch
speed
shift
stage
output stage
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JP10087355A
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English (en)
Inventor
Daisuke Inoue
大輔 井上
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチツウクラッチのダウンシフト変速に
おいて、安定したエンジンブレーキ力を得てスムーズな
変速を実現させる。 【解決手段】 前変速出力段側クラッチの解放及び変速
出力段側クラッチの係合によるクラッチツウクラッチの
ダウンシフトを行うに際し、ダウンシフトを実行すべき
判断があったときに前変速段側クラッチ油圧を低下させ
ると共に、変速出力段側クラッチ油圧を上昇させる制御
を実行し、変速出力段側クラッチを完全係合させずに、
該変速出力段側クラッチの伝達トルク容量が一定となる
ようにフィードバック制御する。その結果、常に一定の
エンジンブレーキ力を得ることができ、スムーズな変速
ができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のクラッチを
有し、変速出力段側クラッチの係合、及び前変速段側ク
ラッチの解放によるクラッチツウクラッチ変速により、
所定の条件下でコーストダウンシフトを実行する車両用
自動変速機のコーストダウンシフト制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧制御装置の制御精度の向上により、
最近では自動変速機のアップシフト、あるいはダウンシ
フトをいわゆるクラッチツウクラッチ変速によって実現
する方法が広く採用されてきている。
【0003】クラッチツウクラッチ変速とは、変速出力
段(これから変速しようとする先の変速段)側のクラッ
チの係合、及び前変速段(これまで達成されていた変速
段)側のクラッチの解放を同時に行うことにより、目的
とする変速を実現するものである。
【0004】一方、アクセルが解放され、自然に(ある
いは制動を伴って)車速が低下したときに所定のダウン
変速点をよぎると、いわゆるコーストダウンシフトが実
行される。
【0005】クラッチツウクラッチ変速によって、この
コーストダウンシフトを実行するときは、変速出力段側
クラッチを係合させつつ、前変速段側クラッチを解放す
ることになる(特公平6−8665号あるいは特開平4
−278844号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記コ
ーストダウン変速点は、変速時間を考慮して、ある程度
急激に減速された場合であっても、常に被駆動状態が維
持されるように、本来設定したいダウンシフト変速点よ
りも高車速側に設定されている。
【0007】そのため、コーストダウンシフトは一般的
な走行では車速が未だあまり低減していないときに実行
されるため、変速後(特に第1速段や第2速段のような
変速段)において過度のエンジンブレーキ力が発生する
ことがあるという問題があった。
【0008】又、変速に伴うショックが大きくなり易い
という問題もあった。
【0009】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、クラッチツウクラッチ変速によ
るコーストダウンシフトを過度のエンジンブレーキ力を
発生することなく、又大きな変速ショックを伴うことな
く合理的に実現することのできる車両用自動変速機のコ
ーストダウンシフト制御装置を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、コースト時に所定の条件下で前変速出力段側クラッ
チの解放及び変速出力段側クラッチの係合によるクラッ
チツウクラッチのコーストダウンシフトを実行する車両
用自動変速機のコーストダウンシフト制御装置におい
て、前記コーストダウンシフトを実行すべき判断があっ
たことを検出する手段と、該コーストダウンシフトを実
行すべき判断があったときに、前記変速出力段側クラッ
チを完全係合させずに、該変速出力段側クラッチの伝達
トルク容量が一定となるように該変速出力段側クラッチ
の供給油圧をフィードバック制御する制御手段と、該フ
ィードバック制御の終了条件が成立したか否かを判断す
る手段と、該終了条件が成立したら変速出力段側クラッ
チを完全係合させる手段と、を備えたことにより、上記
課題を解決したものである。
【0011】コーストダウンシフト時においては、エン
ジン回転速度は基本的にアイドル回転速度にまで低下し
ようとしており、これに打ち勝って変速出力段側(係合
側)のクラッチが係合されることにより、エンジン回転
速度がより引き上げられる作業が行われる。従って、こ
の変速出力段側クラッチ(係合側クラッチ)の供給油圧
を制御することにより、エンジンの引上げ度合いを制御
することができる。
【0012】本発明では、この点に着目し、係合側の供
給油圧を、低速段側のクラッチの伝達トルク容量が一定
に維持されるように制御するようにしている。そのた
め、当該コーストダウンシフト制御の実行中、たとえエ
ンジン回転速度が多少上下したとしても、車両には変速
段に応じて所定のエンジンブレーキがかかり、安定した
状態で減速していくことができる。
【0013】なお、上記「所定の条件」としては、後述
する実施形態のように、具体的には種々の条件を考慮で
きるが、「コーストダウンシフト」を実行するための条
件であるため、少なくともアクセル開度が(零又は零に
近い)所定値以下の状態で車速が低下する、の2つの条
件の成立は必須となる。
【0014】このようにして開始された上記伝達トルク
容量一定のフィードバック制御は、基本的には前記「フ
ィードバック制御の実行条件」が例えばアクセルペダル
が踏み込まれたり、車速が所定値以下となることによっ
て、成立しなくなったとき、即ち、フィードバック制御
の終了条件が成立したときに終了する。
【0015】なお、クラッチツウクラッチ変速の場合、
変速出力直後は変速出力段側クラッチは未だ容量を持っ
ていないため、変速出力段側クラッチの伝達トルク容量
を変速段側クラッチの供給油圧で制御することはできな
い。本発明は、該変速出力段側クラッチが容量を持つま
での間は特にどういう制御を行うかについてはこれを限
定しない(何もしなくてもよい)が、この段階で(即
ち、変速出力段側クラッチが容量を持つまでの間)前変
速段側クラッチの伝達トルク容量が一定となるように制
御することを妨げるものではない。特に、車速の低下に
伴って変速出力段が一段下の変速段に切換ったときに、
新たに変速出力段側クラッチとなったクラッチが容量を
持つまでの間、(それまで変速出力段側クラッチとして
フィードバック制御されてきた)前変速段側クラッチと
の連係によってそれぞれの伝達トルク容量を一定に維持
するようにすると、非常に安定した制御を実現すること
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を図面を参
照しながら詳細に説明する。
【0017】図4は、本発明が適用されたトルクコンバ
ータ付きのツインクラッチ式4段自動変速機の全体の構
造を模式的に示した図である。
【0018】図4において、1はエンジンを、2はロッ
クアップ機構付きのトルクコンバータを、3はツインク
ラッチ式自動変速機を表わしている。
【0019】エンジン1の出力軸10はトルクコンバー
タ2のフロントカバー20に連結されている。フロント
カバー20は、流体流を介して連結されるポンプインペ
ラ21とタービン22を介して、あるいは、ロックアッ
プクラッチ23を介してトルクコンバータ出力軸24に
連結されている。トルクコンバータ2の出力軸24は、
ツインクラッチ式自動変速機3の入力軸(変速機入力
軸)30に一体回転可能に連結されている。なお、25
はステータ、26はワンウェイクラッチである。
【0020】入力軸30は、第1クラッチC1の第1ク
ラッチ入力ディスクC1i 、第2クラッチC2の第2ク
ラッチ入力ディスクC2i が連結されている。
【0021】そして、第1クラッチC1の第1クラッチ
出力ディスクC1o 、第2クラッチC2の第2クラッチ
出力ディスクC2o に、それぞれ、第1クラッチ出力軸
40、第2クラッチ出力軸50が、入力軸30の外側に
同軸的に連結されている。
【0022】又、副軸60と出力軸(変速機出力軸)7
0が、これらの軸に平行に配設されている。
【0023】第2クラッチ出力軸50には、第2速ドラ
イブギヤI2 、副軸ドライブギヤIs 、第4速ドライブ
ギヤI4 が固定的に連結されている。
【0024】一方、第1クラッチ出力軸40には、第4
速ドライブギヤI4 に隣接するようにして第3速ドライ
ブギヤI3 が、更にそのトルクコンバータ2側に第1速
ドライブギヤI1 が固定的に連結されている。
【0025】出力軸70には、第2速ドライブギヤI2
と常時噛合する第2速ドリブンギヤO2 、第4速ドライ
ブギヤI4 と常時噛合する第4速ドリブンギヤO4 、第
3速ドライブギヤI3 と常時噛合する第3速ドリブンギ
ヤO3 、第1速ドライブギヤI1 と常時噛合する第1速
ドリブンギヤO1 が、それぞれ、回転自在に取り付けら
れている。
【0026】第1シンクロ(シンクロ機構)D1は、出
力軸70に固定的に連結された第1ハブH1と、その外
周端部上に軸方向摺動自在に取り付けられた第1スリー
ブS1からなり、この第1スリーブS1を、第1シフト
フォークY1を介して第1スリーブアクチュエータAC
T1によって移動し、第1速ドリブンギヤO1 に固定結
合されている第1速クラッチギヤG1 、又は、第3速ド
リブンギヤO3 に固定結合されている第3速クラッチギ
ヤG3 に係合させることによって、第1速ドリブンギヤ
O1 及び第3速ドリブンギヤO3 を選択的に出力軸70
に連結させる。
【0027】同様に、第2シンクロ(シンクロ機構)D
2は出力軸70に固定的に連結された第2ハブH2と、
その外周端部上に軸方向摺動自在に取り付けられた第2
スリーブS2からなり、この第2スリーブS2を、第1
シフトフォークY2を介して第2スリーブアクチュエー
タACT2によって移動し、第4速ドリブンギヤO4に
固定結合されている第4速クラッチギヤG4 、又は、第
2速ドリブンギヤO2に固定結合されている第2速クラ
ッチギヤG2 に係合させることによって第4速ドリブン
ギヤO4 、及び第2速ドリブンギヤO2 を選択的に出力
軸70に連結させる。
【0028】副軸60には、副軸ドライブギヤIs と常
時噛合する副軸ドリブンギヤOs 、第1速ドライブギヤ
I1 とアイドラギヤMR を介して常時噛合する後進ドラ
イブギヤIR が配設されている。副軸ドリブンギヤOs
は副軸60に固定的に連結され、常時副軸60と一体に
回転するが、後進ドライブギヤIR は回転自在に取り付
けられていて、両ギヤの中間に配設された第3シンクロ
(シンクロ機構)D3により、選択的に副軸60に連結
される。
【0029】第3シンクロD3は、副軸60に固定的に
連結された第3ハブH3と、その外周端部上に軸方向摺
動自在に取り付けられた第3スリーブS3からなり、こ
の第3スリーブS3を第3シフトフォークY3を介して
第3スリーブアクチュエータACT3によって移動し、
後進ドライブギヤIR に固定結合されている後進クラッ
チギヤGR に係合させることによって、後進ドライブギ
ヤIR を選択的に副軸60と一体に回転させる。
【0030】図5の(A)(B)は、各速度段におけ
る、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1スリー
ブS1、第2スリーブS2、第3スリーブS3の係合の
状態を示したものである。
【0031】○が付されたものは、その変速段における
動力の伝達のための係合であって、Δはダウンシフト用
の予備選択を、▽はアップシフト用の予備選択をした場
合に付加される係合を示している。予備選択により付加
された係合は、その変速段における動力の伝達には寄与
しない。
【0032】例えば、第1速段では第1クラッチC1が
係合され、第1クラッチ出力ディスクC1o に結合され
た第1クラッチ出力軸40が第1速ドライブギヤI1 、
第3速ドライブギヤI3 と共に回転し、第1速ドライブ
ギヤI1 に常時噛合している第1速ドリブンギヤO1 が
回転し、次に、第1スリーブS1が第1速クラッチギヤ
G1 側に位置していることによって出力軸70が第1ハ
ブH1、第2ハブH2と共に回転し、動力が伝達され
る。
【0033】第2速段では第2クラッチC2が係合さ
れ、第2クラッチ出力ディスクC2oに結合された第2
クラッチ出力軸50が第2速ドライブギヤI2 、第2ク
ラッチ出力軸50、第4速ドライブギヤI4 、副軸ドラ
イブギヤIs と共に回転し、第2速ドライブギヤI2 に
常時噛合している第2速ドリブンギヤO2 が回転し、次
に、第2スリーブS2が第2速クラッチギヤG2 側に位
置していることによって、出力軸70が第1ハブH1、
第2ハブH2と共に回転し、動力が伝達される。
【0034】第3速段では第1クラッチC1が係合さ
れ、第1クラッチ出力ディスクC1oに結合された第1
クラッチ出力軸40が第1速ドライブギヤI1 、第3速
ドライブギヤI3 と共に回転し、第3速ドライブギヤI
3 に常時噛合している第3速ドリブンギヤO3 が回転
し、次に、前述のように第1スリーブS1が第3速クラ
ッチギヤG3 側に位置していることによって、出力軸7
0が第1ハブH1、第2ハブH2と共に回転し、動力が
伝達される。
【0035】第4速段では第2クラッチC2が係合さ
れ、第2クラッチ出力ディスクC2oに係合された第2
クラッチ出力軸50が第2速ドライブギヤI2 、第2ク
ラッチ出力軸50、第4速ドライブギヤI4 、副軸ドラ
イブギヤIs と共に回転し、第4速ドライブギヤI4 に
常時噛合している第4速ドリブンギヤO4 が回転し、次
に、第2スリーブS2が第4速クラッチギヤG4 側に位
置していることによって、出力軸70が第1ハブH1、
第1ハブH2と共に回転し、動力が伝達される。
【0036】後進段では第2クラッチC2が係合され、
第2クラッチ出力ディスクC2o に結合された第2クラ
ッチ出力軸50が第2速ドライブギヤI2 、第2クラッ
チ出力軸50、第4速ドライブギヤI4 、副軸ドライブ
ギヤIs と共に回転し、副軸ドライブギヤIs に常時噛
合している副軸ドリブンギヤOs を介して副軸60が回
転し、第3スリーブS3が後進クラッチギヤGR 側に位
置していることにより後進ドライブギヤIR が回転し、
その結果、後進アイドラギヤMR を介して第1速ドリブ
ンギヤO1 が回転し、次に、第1スリーブS1が第1速
クラッチギヤG1 側に位置していることによって、出力
軸70が第1ハブH1、第2ハブH2と共に回転し、動
力が伝達される。
【0037】そして、各変速段の間の変速は、変速後の
変速段の伝達経路の完成に必要なスリーブを移動して係
合し、次に、変速前に使用されている一方のクラッチを
解放しながら、変速後に使用される他方のクラッチを係
合していき、変速前の変速段の伝達経路を完成している
スリーブを移動して解放することにより行われる。
【0038】例えば、第2速段から第3速段への変速
は、第1スリーブS1を第3クラッチギヤG3 と係合す
るように移動せしめ、第2クラッチC2を解放させなが
ら、第1クラッチC1を係合し、そして、第2スリーブ
S2を第2速クラッチギヤG2との係合から解放される
ように移動せしめる。
【0039】なお、この実施形態では図5の(B)に示
すようにその時点での走行環境(例えば車速)から次変
速段を予測し、これに対応するシンクロ機構を予め係合
させておくことにより、変速判断があった時点で直ちに
クラッチの切換え制御に入れるように制御している(後
述)。
【0040】第1クラッチC1と第2クラッチC2の係
合、解放の制御(クラッチツウクラッチの切換制御)
は、それぞれ、第1クラッチ入力ディスクC1i 、第2
クラッチ入力ディスクC2i に連結された第1クラッチ
・クラッチプレート(図示しない)、第2クラッチ・ク
ラッチプレート(図示しない)を、油圧によって駆動さ
れる第1クラッチピストン(図示しない)、第2クラッ
チピストン(図示しない)によって、第1クラッチ出力
ディスクC1o 、第2クラッチ出力ディスクC2o に連
結された第1クラッチ・クラッチプレート(図示しな
い)、第2クラッチ・クラッチプレート(図示しない)
に摩擦係合せしめることによって行われる。
【0041】前記ピストンの駆動は、図4における油圧
供給源OPから供給された作動油をピストン油室に給排
制御することにより行われ、第1クラッチ供給油圧制御
弁VC1及び第2クラッチ供給油圧制御弁VC2を電子
制御ユニット(以下ECUという)100によって、微
細に制御することにより行われる。
【0042】又、第1スリーブS1、第1スリーブS
2、第3スリーブS3の移動は、前述したように、それ
ぞれ、第1スリーブアクチュエータACT1、第2スリ
ーブアクチュエータACT2、第3スリーブアクチュエ
ータACT3により行われる。
【0043】各スリーブアクチュエータの構造の詳細な
説明は省略するが、シフトフォークが連結されたピスト
ンを所望の方向に移動するものであって、油圧供給源O
Pから供給された作動油をピストンの両側に形成されて
いるピストン油室に給排制御することにより行われる。
そのため、各ピストン油室への作動油の供給を制御する
弁と、各ピストン油室からの作動油の排出を制御する弁
とが備えられ、ECU100によってこれらの弁の開閉
が制御される。
【0044】本発明においては、各スリーブが所定の移
動をしたかどうかを確認することが必要があるため、第
1スリーブアクチュエータACT1、第2スリーブアク
チュエータACT2、第3スリーブアクチュエータAC
T3は、前記ピストンの移動からスリーブの位置を検出
する第1、第2、第3のスリーブ位置センサ115a、
115b、115cを有していて、その信号はECU1
00の入力インターフェイス回路101に送られる。
【0045】ECU100は、デジタルコンピューテか
らなり、相互に接続された入力インターフェイス回路1
01、ADC(アナログデジタル変換器)102、CP
U(マイクロプロセッサ)103、RAM(ランダムア
クセスメモリ)104、ROM(リードオンリメモリ)
105、出力インターフェイス回路106を具備してい
る。
【0046】CPU103には、ギヤ段位置を検出する
ギヤ段センサ111、車速(変速機出力軸の回転速度)
を検出する車速センサ112、スロットル開度を出力す
るスロットル開度センサ113、入力軸30の回転速度
を検出する入力軸回転速度センサ114、及び前述の各
スリーブアクチュエータ内に設けられたスリーブ位置を
検出するスリーブ位置センサ115a、115b、11
5c等の各センサの出力信号が、入力インターフェイス
回路101を介して、あるいは更にADC102を介し
て入力される。
【0047】CPU103は上記各種センサの値と、R
OM105に記憶しておいたデータから後述する本発明
の制御を行うために、前記各スリーブを移動せしめるス
リーブアクチュエータを制御する信号を発生する他、ツ
インクラッチ式自動変速機のクラッチを制御する第1ク
ラッチ供給油圧制御弁VC1及び第2クラッチ供給油圧
制御弁VC2を制御する信号、前記ロックアップクラッ
チを制御するロックアップ油圧制御弁VLを制御する信
号を発生し、出力インターフェイス回路106を介し
て、それぞれに送出する。
【0048】次に制御の内容について詳しく説明する。
【0049】図3は、本発明に係るコーストダウンシフ
トの制御を示すタイムチャートである。
【0050】このタイムチャートは、第4速段及び第2
速段兼用の第2クラッチC2 に対するデューティ比、第
3速段及び第1速段用の第1クラッチC1 に対するデュ
ーティ比、タービン回転速度(=変速機入力軸30の回
転速度)NT、第1、第2シンクロD1 、D2 の切換え
状態、変速出力、エンジン回転速度NE、各変速段の同
期回転速度DK1 、DK2 、DK3 、DK4 、及び目標
タービン回転速度NTt相互の関係を示している。
【0051】理解を容易にするため、ここではエンジン
回転速度NEは一定として表示している。但し、本発明
は、その趣旨よりたとえエンジン回転速度NEが何らか
の原因で変動したとしても常に所定のエンジンブレーキ
が得られるという大きな利点がある。これについては後
述する。
【0052】なお、図3のデューティ比、油圧の欄にお
いて太線はデューティ比を示し、細線は油圧を示してい
る。デューティ比が100%のとき、各クラッチC1 、
C2にライン圧が100%供給され、デューティ比が0
%のとき、各クラッチC1 、C2 の油圧が完全ドレンさ
れる。
【0053】又、前述したように、第1クラッチC1 は
第3速段のクラッチcl3 と第1速段のクラッチcl1 とし
ての機能を兼用し、第2クラッチC2 は第4速段のクラ
ッチcl4 と第2速段のクラッチcl2 としての機能を兼用
する。以下説明の便宜のため、適宜呼び名称を切換えて
説明する。
【0054】図3の左端の時刻t1 で示す部分は、第4
速段クラッチcl4 が完全係合し、且つ第3速段クラッチ
cl3 が完全解放されている変速動作前の状態(第4速段
が成立している状態)を示している。
【0055】この第4速段の状態から、コースト状態
(スロットル開度が全閉又は全閉に近い状態)でタービ
ン回転速度NTが第3速段のダウンシフト点以下になる
と、ダウンシフトすべき変速判断があったとして、まず
時刻t2 で第4速段クラッチcl4 のデューティ比を急激
に落とし、該第4速段クラッチcl4 を解放する(但しこ
こでは未だ完全解放状態ではない)。
【0056】又、これと同時に、第3速段クラッチcl3
を係合させるべく、第3速段クラッチcl3 の油圧を期間
T1 だけデューティ比100%を出力し(いわゆるファ
ーストクイックフィルと呼ばれる操作)、時刻t3 より
デューティ比をDL1 にまで下げた状態で待機させ、そ
の後ΔDL1 ずつ上昇させる。
【0057】なお、このデューティ比DL1 は、第3速
段クラッチcl3 が容量を持つぎりぎりの値である。
【0058】従来ならば、第4速段クラッチcl4 の解放
と共に第3速段クラッチcl3 の係合が開始されるので、
タービン回転速度NTはある時刻から上昇を開始する。
しかしながらこの実施形態ではここで車両を弱エンジン
ブレーキ状態に維持するために、タービン回転速度NT
が、第3速段クラッチcl3 の伝達トルク容量が一定とな
るように設定した目標回転速度(目標値)NTtに維持
されるように該第3速段クラッチ(変速出力段側クラッ
チ)cl3 のデューティ比を制御する。即ち、タービン回
転速度NT(この時点では第4速段の同期回転速度DK
4 に同じ)がこの目標回転速度NTtとなった時刻t4
で第4速段クラッチcl4 のデューティ比を完全ドレン
(0%)状態にすると共に、タービン回転速度NTが目
標回転速度NTtを維持するように第3速段クラッチcl
3 のデューティ比をフィードバック制御する。なお、こ
のタービン回転速度NTは目標回転速度NTtの設定に
ついては後述する。
【0059】一方、時刻t4 からカウント開始されたド
レンタイマT2 が経過したことが検出されると(時刻t
5 )、第2シンクロD2 を第4速段位置から第2速段位
置へと切換える指令が出される。
【0060】なお、ここで、第2シンクロD2 の切換指
令をドレンタイマT2 が経過したするまで待ってから開
始されるようにしたのは、第4速段クラッチcl4 の油圧
が少しでも容量を持っていると、第2シンクロD2 の切
換えに支障がでる可能性があるため、それを防止したた
めである。シンクロの移動は、支障がない範囲でできる
だけ早く切換えを開始・移動・完了させる。
【0061】時刻t6 で第2シンクロD2 の切換えが完
了したことが確認されると、時刻t7 で3→2の変速出
力が出され、新しく低速段側クラッチとなった第2速段
クラッチcl2 (第2クラッチC2 )を再び係合させるべ
く、所定時間T3 だけ第2速段クラッチcl2 のデューテ
ィ比を100%出力し(ファーストクイックフィルを実
施し)、その後時刻t8 から一旦、デューティ比をDL
1 まで下げて待機させ、その後ΔDL1 ずつ上昇させる
が時刻t9 で第3変速段クラッチcl3 (第1クラッチC
1 )の回転速度(この時点では第3速段の同期回転速度
DK3 )が目標値NTtになるまでは第3速段クラッチ
cl3 によるフィードバックを継続し時刻t9 で第3速段
クラッチcl3 (第1クラッチC1 )のデューティ比を0
%(完全ドレン)にする。
【0062】前記と同様に時刻t9 以降では、(新たに
低速段側クラッチとなった)第2速段クラッチcl2 (第
2クラッチC2 )が容量を持ってきているので、この段
階でタービン回転速度NTを目標回転速度NTtに維持
する制御は、第2速段クラッチcl2 のフィードバック制
御によって実現するように切換えられる。
【0063】時刻t10で、第3速段クラッチcl3 (第1
クラッチC1 )の油圧が完全にドレンされたことが(ド
レンタイマにより)検出されると、第1シンクロD1 を
第3速段位置から第1速段位置へ切換える作業が開始さ
れる。
【0064】時刻t11で第1シンクロD1 の切換えが完
了したことが確認されると、時刻t12で2→1の変速出
力が出され、新しく低速段側クラッチとなった第1変速
段クラッチcl1 (第1クラッチC1 )のデューティ比を
再び、所定時間T4 だけ100%とし(ファーストクイ
ックフィルを実施し)デューティ比をDL1 とした後
(時刻t13)、ΔDL1 ずつ増大させるが、時刻t14で
第1クラッチC1 が容量を持ち始めるまでは第2 速段ク
ラッチcl2 によるフィードバックを継続し、時刻t14で
第2速段クラッチcl2 を完全ドレンする。
【0065】時刻t14以降はタービン回転速度NTを目
標回転速度NTtに維持する制御は(低速段側クラッチ
である)第1速段クラッチcl1 (第1クラッチC1 )の
デューティ比をフィードバック制御することによって行
う。
【0066】なお、タービン回転速度NTが目標回転速
度NTtに達した時刻t15以降は、ここでフィードバッ
ク制御を止め、タービン回転速度NTが所定の低下速度
で低下するように、第1速段クラッチcl1 の油圧をフィ
ードバック制御してもよい。
【0067】時刻t16になると、第1変速クラッチcl1
が完全に係合したとして(車速により確認:フィードバ
ック制御の終了条件成立)、該第1速段クラッチcl1 の
デューティ比は100%に維持され、やがて車両は時刻
t17で停止する。
【0068】次に本実施形態における制御フローについ
て詳しく説明する。
【0069】図6に変速制御全般のフローチャート、図
7に変速制御サブルーチンフローチャート、図8にシン
クロ制御サブルーチンフローチャートを示す。これらの
フローチャートによって実行しようとする制御の主な実
体的な内容については、既に図3を用いて説明済みであ
るため、ここでは各フローチャートに沿ってその手順を
概略的に説明するに止める。
【0070】図6に示されるように、この一連の制御フ
ローは、変速制御処理ルーチン(ステップ001)、コ
ーストダウン制御処理ルーチン(ステップ002)、か
ら主に構成される。先ずこのうちの変速制御ルーチン
(ステップ001)を詳細に説明する。
【0071】図7において、ステップ101にて現在の
変速判断をmsftjdg に記憶し、ステップ102にてシフ
ト位置、変速判断段、アクセル開度によりアップシフト
変速点、ダウンシフト変速点をマップサーチする。ここ
で、変速判断段とは、現在の走行条件、あるいは走行状
態から第何速段に存在すべきかを判断した結果求められ
た変速段を示す。シフト位置とは、ドライブレンジ、2
速レンジ、あるいはリバースレンジ等のシフトレバーの
位置を意味し、アップシフト変速点、ダウンシフト変速
点は、その時点でアップ側及びダウン側に予めマップに
よって定められている(自動変速機の)出力軸回転速度
の変速閾値のことである。
【0072】ステップ104では、出力軸回転速度がア
ップシフト変速点より高いか否かが判断され、高いと判
断されたときにはステップ105で変速判断段を1だけ
加算し、アップフラグをオン、ダウンフラグをオフと
し、アップシフト判断を実施する。一方、ステップ10
4で出力軸回転速度≦アップシフト変速点であった場合
には、同様にステップ106、107においてダウンシ
フトの判断を実施する。
【0073】ステップ108にて変速判断段が変更され
たか否かを判断し、変速されていた場合にはステップ1
01へ戻り、新たな変速判断段に基づく変速判断の更新
を実施する。ステップ108で変更されていない場合に
は、ステップ109に進み、シンクロ制御処理を行う
(図8で説明)。
【0074】ステップ110〜115は、変速禁止フラ
グがオフ(ステップ110)のときに、変速判断段の変
速出力の反映を制御するためのものである。この制御フ
ローにより、時刻t2 で第4速段→第3速段、時刻t7
で第3速段→第2速段、時刻t12で第2速段→第1速段
の変速出力を順次発生させる手順が実現される。
【0075】次に、図8にステップ109(図7)にお
いて実行されるシンクロ制御処理のサブルーチンを示
す。
【0076】ステップ201にてシンクロ位置判断(シ
ンクロ機構は最終的にどの位置にあるべきか)を、シフ
ト位置、変速判断段、出力軸回転速度よりマップサーチ
する。ステップ202ではこの結果得られたシンクロ位
置判断が実際のシンクロ位置出力と異なるか否かが判断
され、異なっていた場合にはステップ203においてシ
ンクロ移動要求フラグをオン、シンクロ移動完了フラグ
をオフとする。
【0077】図5(B)にDレンジでのシンクロ位置判
断マップの例を示す。例えば変速判断段が第1速段であ
った場合には、その時点での出力軸回転速度がNo1よ
り小さいときと大きいときとで場合分けされ、出力軸回
転速度がNo1より小さいときは1速位置(第1シンク
ロD1 )のほかニュートラル位置(第2シンクロD2)
が予め用意される。出力軸回転速度がNo1より大きい
ときはシンクロ位置は1速側(第1シンクロD1 )のほ
か2速位置(第2シンクロD2 )が予め選択・連結され
た状態とされる。これは、出力軸回転速度がNo1より
大きいときはその次に起こる変速が第2速段への変速で
ある可能性が高いためである。同様に、変速判断段が第
2速段であったときは、その時の出力軸回転速度がNo
2より小さいときはシンクロ位置判断は1速位置と2速
位置が選択され、出力軸回転速度がNo2より大きいと
きは2速位置と3速位置が「シンクロ位置判断」として
決定される。
【0078】ステップ204〜ステップ212は、図3
において第2シンクロD2 位置を4速位置から2速位置
に切換える作業を時刻t5 から開始し時刻t6 で終了す
ること及び第1シンクロD1 の位置を3速位置から1速
位置に切換える作業を時刻t10から開始し、時刻t11で
終了すること、更に、これらの確認をするときに実施す
る作業に相当している。
【0079】即ち、シンクロ移動中であるか(ステップ
204)、又は、シンクロ移動禁止クラブオフ(ステッ
プ205)且つシンクロ移動要求フラグオン(ステップ
206)の場合にシンクロ移動タイマをクリアした上で
(ステップ207)シンクロ移動を実施し(ステップ2
08)、ステップ209にてシンクロの移動完了を判定
する。移動完了の場合にはステップ210にてシンクロ
移動完了フラグをオン、移動中フラグをオフにすとる共
に、シンクロ位置出力にシンクロ位置判断を代入する。
【0080】一方、ステップ209で移動が完了してい
ないと判断された場合は、シンクロ移動タイマが所定値
以上かどうかを確認し(ステップ211)、「NO」な
らばそのままリターンするが、「YES」ならば何らか
の原因でシンクロ切換不良が発生したとしてステップ2
12に進みシンクロフェールフラグをオン、シンクロ出
力をシンクロ判断、シンクロ判断をシンクロ出力とした
上で、シンクロ移動タイマをクリアしてリターンする。
この結果、シンクロ機構は元の位置に戻され、いつまで
もシンクロ移動が完了したと判断されないという状況か
ら抜けることができる。
【0081】次に、図9を用いて前記ステップ001
(図6)のコーストダウン処理のサブルーチンに係るフ
ローチャートを説明する。
【0082】ステップ301では、コーストダウンシフ
ト制御の前提条件(所定の条件)が成立するか否かが判
断される。この実施形態では、当該前提条件として次の
4条件が設定されている。
【0083】1)Dレンジが選択されていること 2)アイドル接点がオンとされていること 3)アクセル開度が(零に近い)所定値以下であること 4)出力軸回転速度(車速)が(零に近い)所定値以上
であること
【0084】前提条件が成立しなかった場合は本制御に
関係ないためリターンされる。前提条件が成立したと判
断されると、ステップ304に進んでコーストダウン中
であることを示すフラグがオンであるか否かが判断され
る。コーストダウン中フラグがオフであったときにはス
テップ306に進んで、ダウンシフトであるか否か(ダ
ウンフラグがオンか否か)が判断される。ダウンシフト
でなかった場合には、本制御ルーチンから抜ける。ダウ
ンシフトであった場合には、ステップ308に進み、現
在の変速出力が第2速段又は第4速段のいずれかである
か否かが判断される。もし変速出力が第2速段又は第4
速段のいずれかであった場合には、ステップ310に進
んで(高速段側の)デューティ比duhが第1クラッチ
C1 のデューティ比、(低速段側の)デューティ比du
lが第2クラッチC2 のデューティ比として定義され
る。又、変速出力が第2速段、第4速段のいずれでもな
かった場合には、ステップ312に進んでデューティ比
dulがC1 デューティ比、デューティ比duhがC2
デューティ比と定義される。
【0085】その後、ステップ314に進んでDH1
(図3の時刻t2 参照)の値を高速段側のデューティ比
duhに代入し、コーストダウン中フラグをオンとす
る。
【0086】又、ステップ316において、タービン回
転速度NTが目標回転速度NTtとなるようにフィード
バックによりデューティ比duhを決定する。ここで高
速段側のデューティ比duhによってタービン回転速度
NTtが目標値NTtとなるように制御するのは、この
段階では未だ低速段側のクラッチが容量を待っていない
ためである。なお、ここでの高速段側クラッチによる制
御は、(本発明では)必ずしも必須ではない。
【0087】その後ステップ324に進み、(低速段側
クラッチの)ファーストクイックフィルが完了したかど
うかが判断される。当初は未だ完了していないと判断さ
れるため、ステップ326に進んでファーストクイック
フィルが実施され、リターンする。
【0088】リターン後は、ステップ304においてコ
ーストダウン中フラグがオンであると判断されるように
なるため、ステップ318に進み、コーストダウンの終
了条件(フィードバック制御の終了条件)が成立してい
るか否かが判断される。コーストダウンの終了条件は次
の3つの条件が共に成立することである。
【0089】1)変速出力段が第1速段であること 2)タービン回転速度NTが目標値NTtより低くなる
こと 3)低速段側(第1速段)デューティ比が所定値以上で
あること
【0090】この段階では、未だ当該コーストダウン終
了条件が成立していないと判断されるため、ステップ3
20に進み、デューティ比duhが所定値DH2 (図3
の時刻t4 参照)より小さいか否かが判断される。デュ
ーティ比duhが所定値DH2 より大きいときは、ステ
ップ316に進んで前述したNT=NTtとなるよう
に、フィードバックによりデューティ比duhを決定す
る作業が続けられる。
【0091】やがて、低速段側(変速出力段側)クラッ
チが容量を持ってくると(ステップ316でのフィード
バック制御の結果として)ステップ320においてデュ
ーティ比duhが所定値DH2 より小さくなったと判断
されるようになるため、ステップ322に進んで該デュ
ーティ比duhが0%(完全ドレン)される。ステップ
322を経た後は、ステップ324でファーストクイッ
クフィルが完了しているか否かが再確認される。完了し
ていなければ再びステップ326に進むが、完了してい
ると確認されると、ステップ328に進んでファースト
クイックフィルの完了後に起動されるタイマが所定値以
上であるか否かが判断される。このタイマが所定値未満
であるうちは、ステップ330でデューティ比dulが
所定値DL1 に維持され、タイムアップした段階でステ
ップ332に進んで、再びデューティ比duhが0%で
あるか否かが確認される。もし、ステップ332で高速
段側のデューティ比dulが0%でないと判断されたと
きには、現時点が図3でいうt4 、t9 、あるいはt14
以前の状態であると考えれるため、ステップ336に進
んで低速段側のデューティ比dulをスイープアップ
(漸増)すると共に、ステップ338でその上限ガード
処理を施す。一方、もしデューティ比duhが0%であ
ると判断されたときには、高速段側のデューティ比du
hが完全ドレンされた後、即ち図3のt4 、t9 、ある
いはt14以降であると考えられるため、ステップ334
に進んでタービン回転速度NTが目標値NTtとなるよ
うにフィードバックにより低速段側のデューティ比du
lが決定される。
【0092】この制御フローにより、タービン回転速度
NTはいかなる変速出力がなされているときでも、必ず
目標値NTt(図3に示されるようにエンジン回転速度
NEが一定の場合は一定)に維持され、高過ぎも、又は
低過ぎもしない適度なエンジンブレーキが常に得られる
ことになる。
【0093】特に、変速出力段がそれまでよりも1段低
くなったときは、それまで低速段側クラッチであって以
降高速段側クラッチとなったクラッチによって目標値を
維持する制御がそのまま続けられ、新しく低速段側クラ
ッチとなったクラッチが容量を持ってきたときに、該高
速段側クラッチによる制御から低速段側クラッチによる
制御に切換えられるため、目標値を維持する制御が連続
的に実行され、極めて安定した制御を実現できる。
【0094】なお、第1速段の変速出力が出された後、
低速段側クラッチの出力側回転速度が低下してくると、
該クラッチの入力側回転速度(=タービン回転速度N
T)との差が小さくなるため、伝達トルク容量を一定に
保つために、低速段側のデューティ比dulは該クラッ
チの係合力を高めるべく上昇を続け自動的に完全係合へ
と移行できる。従って、図3のt15以降の適当な時期
(例えば時刻t16)でフィードバック制御を終了させれ
ば特に問題は生じない
【0095】なお、上記実施形態においては、シンクロ
機構を有した自動変速機に本発明を適用するようにして
いたが、本発明は、その趣旨よりシンクロ機構を有しな
い自動変速機にも当然適用可能である。
【0096】ここで、低速段側クラッチのトルク容量が
一定となるように、フィードバック制御するためのター
ビン回転速度NTの目標値NTtの設定について説明す
る。
【0097】トルクコンバータの速度比をe、トルクコ
ンバータのトルク比をeの関数のt(e)、トルクコン
バータの容量係数をeの関数のC(e)、トルクコンバ
ータのタービン回転速度をNT、トルクコンバータのポ
ンプ回転速度(=エンジン回転速度)をNE、トルクコ
ンバータのタービントルクをTT、トルクコンバータの
ポンプトルク(=エンジントルク)をTEとする。
【0098】公知であるトルクコンバータの性能の基礎
式である3式を次に示す。
【0099】 e=NT/NE …(1) t(e)=TT/TE …(2) C(e)=TE/(NE)2 …(3) により与えられる。
【0100】又、本発明の制御条件としてコーストダウ
ン変速領域では、t(e)は速度比によらず t(e)=1 …(4) C(e)=Cs−Cd×e …(5) (Cs,Cdは定数) と、t(e)は定数に、C(e)は一次関数で近似でき
る。
【0101】(1)〜(5)式を代入・変形すると、ト
ルクコンバータのタービントルク: TT=Cs×(NE)2 −Cd×NE×NT …(6) となる。
【0102】ここで、トルクコンバータのタービントル
クTTが一定となるように、トルクコンバータのタービ
ントルクの目標トルクである目標タービントルク(目標
トルク容量)TTtとし、又、この目標タービントルク
TTtが一定となるように、トルクコンバータのタービ
ン回転速度NTの目標速度である目標タービン回転速度
NTtを定める。
【0103】このとき、目標タービン回転速度NTt
は、(6)式を変形し、(7)式で表わされる。
【0104】 NTt=Cs/Cd×NE−TTt/Cd/NE …(7)
【0105】ここで、定数であるCs/Cd、TTt/
CdをそれぞれA、Bと置くと、(7)式は次のように
なる。
【0106】 NTt=A×NE−B/NE …(8)
【0107】従って、これまで説明してきたタービン回
転速度NTの目標値NTtとして(8 )式で求められる
値(エンジン回転速度NEに依存)を用いれば、低速段
クラッチを介してタービン側に伝達されてくるトルク容
量を常に一定に維持できることになる。
【0108】なお、この実施形態では(5 )式において
トルクコンバータの容量係数C(e)を一次関数で近似
し、目標NTtをエンジン回転速度NEの関数として求
めるようにしていたが、この方法ではなく、例えば目標
タービン回転速度NTtをエンジン回転速度NEのマッ
プで与えてもよい。
【0109】ところで、本発明は、あくまで「低速段側
クラッチの伝達トルク容量が一定」となるように制御す
るものであり、この点でただ単にエンジンブレーキを得
るために、例えばタービン回転速度NTがエンジン回転
速度NE+所定値となるようにフィードバック制御する
技術とは異なる。
【0110】以下この違いについて詳細に説明する。
【0111】コーストダウン制御中において、変速出力
段側クラッチにより例えばタービン回転速度NTをエン
ジン回転速度NE+所定値になるようにするためには、
クラッチトルク容量(クラッチ油圧)の方を収束点(理
論的に釣り合っている状態)付近で高度な精度で増減制
御する必要がある。(いわゆるフィードバック制御を実
施する必要がある。)その際の変速出力段側クラッチの
伝達トルク容量の収束値Tenは、トルクコンバータの
速度比eが、e=NT/NE、トルクコンバータの容量
係数C(e)がC(e)=TE/(NE)2 、トルクコ
ンバータのトルク比t(e)がt(e)=TT/TEで
あることから、(9)式のように求まる。
【0112】 Ten=t(e)×C(e)×(NE)2 …(9)
【0113】(9)式において、t(e)、C(e)は
NT/NEの関数であるから、NTt=NE+所定値と
した場合、結局、(9)式はNEの関数となる。
【0114】これは、変速出力段側クラッチの伝達トル
ク容量がエンジン回転速度NEに依存して変化し、エン
ジン回転速度NEが変化すると変速出力段側クラッチの
伝達トルク容量Tenもそれに応じて変化することを意
味する。このことは、得られるエンジンブレーキが、エ
ンジン回転速度NEの変化に応じて変化することにほか
ならない。
【0115】即ち、クラッチトルク容量の収束値Ten
は、エンジン回転速度NEによって決まるが、このエン
ジン回転速度NEは、補機駆動状態(例えばエアコン、
バッテリ等)、外気温・気圧等の外乱やエンジン制御状
態により、コースト状態とは言え変動する。その点、本
実施形態では変速出力側クラッチの伝達トルク容量が一
定となるようにフィードバック制御を実施するため、こ
のような不具合は発生しない。
【0116】図1、2は、横軸にエンジン回転速度N
E、縦軸に目標タービン回転速度NTtをとった図であ
る。
【0117】図1は本実施形態、図2は、目標タービン
回転速度NTtをNE(エンジン回転速度)+所定値と
した図である。ここでは、目標タービン回転速度NTt
と目標タービントルクTTtがエンジン回転速度NEに
よってどのように変化するかが示されている。図2の場
合、エンジン回転速度NEが上がれば上がる程、目標タ
ービントルクTTtが下がり、又、逆に、エンジン回転
速度NEが下がれば下がる程、目標タービントルクTT
tが上がっている。
【0118】コースト状態でのタービントルクTTは動
力が車輪側からエンジン側へと伝わるため、変速出力段
側のクラッチの伝達トルク容量に応じて決まる。目標タ
ービントルクTTtが上昇しているということは、低速
段側クラッチの伝達トルク容量も変化しているというこ
とである。これはエンジンブレーキ力が変化しているこ
とと同義である。
【0119】一方、図1は、本発明により目標タービン
トルクTTtを一定として導き出された(8)式のグラ
フである。即ち、目標タービン回転速度をNTtとして
A×NE−B/NE(A、Bは定数)を設定したもので
ある。
【0120】このグラフからも明らかなように、目標タ
ービントルクTTtは一定としたため、クラッチ油圧は
エンジン回転速度NEの高い・低いに依存しない。その
ため、フィードバック制御中にエンジン回転速度NEが
変化しても、一定の油圧でフィードバック制御が実現で
き、しかも一定のエンジンブレーキ力を得ることができ
る。
【0121】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、ダウンシフトを実行すべき判断があったときに、高
速段側クラッチ油圧を低下させると共に、低速段側クラ
ッチ油圧を上昇させているときに、低速段側クラッチを
完全係合させずに、低速段側クラッチの伝達トルク容量
が一定となるようにフィードバック制御することによ
り、常に所定の(不変の)エンジンブレーキ力を得るこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるエンジン回転速度と、目標ター
ビン回転速度、タービントルクの関係を示す図
【図2】図1における目標タービン回転速度をエンジン
回転速度+所定値としたときの図
【図3】本発明をツインクラッチタイプのコーストダウ
ンシフトに適用した際の制御特性を示すタイムチャート
【図4】本発明が適用されたツインクラッチタイプの車
両用自動変速機の概略を示すブロック図
【図5】上記自動変速機の各摩擦係合装置の係合状態及
びシンクロ機構の切換状態を示す線図
【図6】上記自動変速機においてコーストダウンシフト
を実行するためにコンピュータにおいて処理される制御
を示すフローチャート
【図7】図6における変速制御処理サブルーチンを示す
フローチャート
【図8】図7におけるシンクロ制御処理サブルーチンを
示すフローチャート
【図9】図6におけるコーストダウン制御処理サブルー
チンを示すフローチャート
【符号の説明】
20…油圧制御装置 30…コンピュータ 40…各種センサ群 NT…トルクコンバータのタービン回転速度 NE…トルクコンバータのポンプ回転速度(=エンジン
回転速度) TT…トルクコンバータのタービントルク TE…トルクコンバータのポンプトルク(=エンジント
ルク) NTt…目標タービン回転速度 TTt…目標タービントルク

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コースト時に所定の条件下で前変速出力段
    側クラッチの解放及び変速出力段側クラッチの係合によ
    るクラッチツウクラッチのコーストダウンシフトを実行
    する車両用自動変速機のコーストダウンシフト制御装置
    において、 前記コーストダウンシフトを実行すべき判断があったこ
    とを検出する手段と、 該コーストダウンシフトを実行すべき判断があったとき
    に、 前記変速出力段側クラッチを完全係合させずに、該変速
    出力段側クラッチの伝達トルク容量が一定となるように
    該変速出力段側クラッチの供給油圧をフィードバック制
    御する制御手段と、 該フィードバック制御の終了条件が成立したか否かを判
    断する手段と、 該終了条件が成立したら変速出力段側クラッチを完全係
    合させる手段と、 を備えたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
JP10087355A 1998-03-31 1998-03-31 車両用自動変速機の変速制御装置 Pending JPH11287318A (ja)

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