JPH11286720A - 耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法 - Google Patents
耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法Info
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- JPH11286720A JPH11286720A JP9108498A JP9108498A JPH11286720A JP H11286720 A JPH11286720 A JP H11286720A JP 9108498 A JP9108498 A JP 9108498A JP 9108498 A JP9108498 A JP 9108498A JP H11286720 A JPH11286720 A JP H11286720A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】降伏応力110〜155ksiの高強度でも耐SSC性に優
れる鋼材の製造方法を提供する。 【解決手段】C:0.2〜0.35%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
0.1〜1.0%、P≦0.025%、S≦0.01%、Cr:0.3〜1.2
%、Mo:0.2〜1.0%、Al:0.005〜0.50%、Ti≦0.50
%、Zr≦0.5%で、Ti+0.5Zr:0.005〜0.75%、B:0.00
01〜0.01%、Nb:0.05〜0.5%、V:0〜0.5%、W:0〜1.
0%、Ca:0〜0.01%、Ni≦ 0.1%、N≦0.01%、O≦0.01
%、残部はFe及び不純物の鋼材を、1050℃超〜 1250℃
の温度域の温度であるT1 ℃に、700〜T1℃の温度域を
20〜50℃/秒の加熱速度で昇温した後、T1 〜1050℃の
温度域での保持時間を 3分以内として温度T2 ℃から焼
入れし、その後、焼戻しを行う。但し、T2 ℃≦T1 ℃
である。
れる鋼材の製造方法を提供する。 【解決手段】C:0.2〜0.35%、Si:0.05〜0.5%、Mn:
0.1〜1.0%、P≦0.025%、S≦0.01%、Cr:0.3〜1.2
%、Mo:0.2〜1.0%、Al:0.005〜0.50%、Ti≦0.50
%、Zr≦0.5%で、Ti+0.5Zr:0.005〜0.75%、B:0.00
01〜0.01%、Nb:0.05〜0.5%、V:0〜0.5%、W:0〜1.
0%、Ca:0〜0.01%、Ni≦ 0.1%、N≦0.01%、O≦0.01
%、残部はFe及び不純物の鋼材を、1050℃超〜 1250℃
の温度域の温度であるT1 ℃に、700〜T1℃の温度域を
20〜50℃/秒の加熱速度で昇温した後、T1 〜1050℃の
温度域での保持時間を 3分以内として温度T2 ℃から焼
入れし、その後、焼戻しを行う。但し、T2 ℃≦T1 ℃
である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐硫化物応力割れ
性に優れた高強度鋼材の製造方法に関し、より詳しく
は、油井やガス井用のケーシングやチュービング、掘削
用のドリルパイプ、輸送用のラインパイプ、更には化学
プラント用配管などに用いられる強度及び耐硫化物応力
割れ性に優れた鋼材の製造方法に関するものである。
性に優れた高強度鋼材の製造方法に関し、より詳しく
は、油井やガス井用のケーシングやチュービング、掘削
用のドリルパイプ、輸送用のラインパイプ、更には化学
プラント用配管などに用いられる強度及び耐硫化物応力
割れ性に優れた鋼材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のエネルギー事情の逼迫に伴い、こ
れまで敬遠されてきた硫化水素を多く含む原油や天然ガ
スが活用される情勢になってきており、それらの掘削、
輸送、貯蔵等が必要となってきた。その上、油井やガス
井の深井戸化、輸送効率の向上、更には低コスト化のた
めに、この分野で用いられる鋼材、特に鋼管について
は、これまで以上に高強度化が要求されている。すなわ
ち、従来広く用いられていた80ksi級[降伏応力
(YS)が80〜90ksi(552〜621MP
a)]や90ksi級[YSが90〜100ksi(6
21〜686MPa)]の耐硫化物応力割れ性に優れた
鋼管に代わって、最近では110ksi級[YSが11
0〜125ksi(758〜862MPa)]や125
ksi級[YSが125〜140ksi(862〜96
5MPa)]級の耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼
管が使用されるようになり、更にはYSが140ksi
(965MPa)以上の耐硫化物応力割れ性に優れた超
高強度鋼管に対する要求も高まりつつある。
れまで敬遠されてきた硫化水素を多く含む原油や天然ガ
スが活用される情勢になってきており、それらの掘削、
輸送、貯蔵等が必要となってきた。その上、油井やガス
井の深井戸化、輸送効率の向上、更には低コスト化のた
めに、この分野で用いられる鋼材、特に鋼管について
は、これまで以上に高強度化が要求されている。すなわ
ち、従来広く用いられていた80ksi級[降伏応力
(YS)が80〜90ksi(552〜621MP
a)]や90ksi級[YSが90〜100ksi(6
21〜686MPa)]の耐硫化物応力割れ性に優れた
鋼管に代わって、最近では110ksi級[YSが11
0〜125ksi(758〜862MPa)]や125
ksi級[YSが125〜140ksi(862〜96
5MPa)]級の耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼
管が使用されるようになり、更にはYSが140ksi
(965MPa)以上の耐硫化物応力割れ性に優れた超
高強度鋼管に対する要求も高まりつつある。
【0003】一般に、鋼材はその強度が増すほど硫化物
応力割れ性(以下、「硫化物応力割れ」を「SSC」と
いう)が大きくなる。したがって、硫化水素を多く含む
環境下で使用される鋼材の高強度化に対し、最も大きな
課題となるのは耐SSC性の改善である。
応力割れ性(以下、「硫化物応力割れ」を「SSC」と
いう)が大きくなる。したがって、硫化水素を多く含む
環境下で使用される鋼材の高強度化に対し、最も大きな
課題となるのは耐SSC性の改善である。
【0004】上記の耐SSC性の改善に関しては、例え
ば、鋼材の組織をマルテンサイトが約80%以上の組
織とする、高温焼戻し処理する、鋼を高清浄度化す
る、鋼材の組織を細粒組織とする、などの対策が講じ
られてきた。
ば、鋼材の組織をマルテンサイトが約80%以上の組
織とする、高温焼戻し処理する、鋼を高清浄度化す
る、鋼材の組織を細粒組織とする、などの対策が講じ
られてきた。
【0005】鋼を焼入れ焼戻しして同じ強度レベルに調
質処理する場合の靭性は、不完全焼入れ組織を低温で焼
き戻し処理した場合よりも、充分な焼入れを行った組織
を高温で焼き戻し処理した方が遥かに優れているのはよ
く知られたことである。上記のとは、SSCに対す
る抵抗性(耐SSC性)についても同じ傾向のあること
を示している。
質処理する場合の靭性は、不完全焼入れ組織を低温で焼
き戻し処理した場合よりも、充分な焼入れを行った組織
を高温で焼き戻し処理した方が遥かに優れているのはよ
く知られたことである。上記のとは、SSCに対す
る抵抗性(耐SSC性)についても同じ傾向のあること
を示している。
【0006】SSCは、遅れ破壊と同様に水素脆化の一
種と考えられている。このため、割れの起点となる非金
属介在物をできるだけ少なくし、又、オーステナイト粒
界の強化、換言すればオーステナイト粒界の脆化の防止
を行うことが耐SSC性の向上に有効である。したがっ
て、不純物元素としてのPやSはできるだけ少なくし
て、の鋼の高清浄度化を達成させる。
種と考えられている。このため、割れの起点となる非金
属介在物をできるだけ少なくし、又、オーステナイト粒
界の強化、換言すればオーステナイト粒界の脆化の防止
を行うことが耐SSC性の向上に有効である。したがっ
て、不純物元素としてのPやSはできるだけ少なくし
て、の鋼の高清浄度化を達成させる。
【0007】の鋼材組織の細粒化については、鋼材の
強度が高くなるとその脆性割れは結晶粒単位あるいは所
謂「破面単位」で進展するので、組織を細粒化すると割
れに対する抑止力が増す。その上、細粒化そのものも強
度上昇に寄与し、更に、細粒化すれば単位体積当たりの
粒界面積が増加するので間接的に不純物元素の粒界偏析
が軽減され粒界脆化が防止されることから、耐SSC性
に優れた高強度材については組織の細粒化に特に力点が
置かれてきた。
強度が高くなるとその脆性割れは結晶粒単位あるいは所
謂「破面単位」で進展するので、組織を細粒化すると割
れに対する抑止力が増す。その上、細粒化そのものも強
度上昇に寄与し、更に、細粒化すれば単位体積当たりの
粒界面積が増加するので間接的に不純物元素の粒界偏析
が軽減され粒界脆化が防止されることから、耐SSC性
に優れた高強度材については組織の細粒化に特に力点が
置かれてきた。
【0008】鋼材組織の細粒化の手法として一般に利用
されるのは、変態、加工変形、加工変形後の再結晶時の
粒成長抑止などである。鋳造後の鋼塊を熱間で鋼管など
所定の形状の鋼材に成形する際は、必然的に加工変形が
加えられ、加工と再結晶の繰り返しにより細粒化され
る。
されるのは、変態、加工変形、加工変形後の再結晶時の
粒成長抑止などである。鋳造後の鋼塊を熱間で鋼管など
所定の形状の鋼材に成形する際は、必然的に加工変形が
加えられ、加工と再結晶の繰り返しにより細粒化され
る。
【0009】しかし、焼入れは一般にオーステナイト領
域、つまり、Ac3 点以上に加熱しなければならないの
で、結晶粒成長が起きやすく、結晶を細粒にしておくに
は、焼入れ時の加熱温度を低くすることが望ましい。と
ころが、細粒であることも、焼入れ時の加熱温度を低く
することも、焼入れ性を大きく低下させる要因であり、
通常の冷却手段では焼入れ時に80%以上がマルテンサ
イトである組織を確保することが難しくなってくる。
又、細粒化のために焼入れ時の加熱温度を低くすると、
焼入れ時に合金元素が基地に固溶し難くなって、鋼材を
高強度化するためには低温焼戻しが必要となる。低温で
の焼戻しは後述するように耐SSC性を著しく低下させ
てしまう。一方、焼入れ性確保のために合金元素を多量
に添加すれば、鋼の加工性を悪くし、更にコストアップ
の要因にもなる。
域、つまり、Ac3 点以上に加熱しなければならないの
で、結晶粒成長が起きやすく、結晶を細粒にしておくに
は、焼入れ時の加熱温度を低くすることが望ましい。と
ころが、細粒であることも、焼入れ時の加熱温度を低く
することも、焼入れ性を大きく低下させる要因であり、
通常の冷却手段では焼入れ時に80%以上がマルテンサ
イトである組織を確保することが難しくなってくる。
又、細粒化のために焼入れ時の加熱温度を低くすると、
焼入れ時に合金元素が基地に固溶し難くなって、鋼材を
高強度化するためには低温焼戻しが必要となる。低温で
の焼戻しは後述するように耐SSC性を著しく低下させ
てしまう。一方、焼入れ性確保のために合金元素を多量
に添加すれば、鋼の加工性を悪くし、更にコストアップ
の要因にもなる。
【0010】そこで、主としてNbやVなど微細な炭化
物や炭窒化物などの析出物を形成する元素を添加し、再
結晶時の粒成長抑止ばかりでなく、焼入れのための加熱
過程での粒成長を抑止する方法が採られることが多い。
物や炭窒化物などの析出物を形成する元素を添加し、再
結晶時の粒成長抑止ばかりでなく、焼入れのための加熱
過程での粒成長を抑止する方法が採られることが多い。
【0011】焼入れ焼戻しの調質処理においても、低温
加熱焼入れ、2回焼入れ、あるいは誘導加熱などによる
急速加熱焼入れなど、細粒組織を得るための対策が以前
から行われてきた。例えば、特開昭61−9519号公
報には、急速加熱法を適用する「耐硫化物腐食割れ性に
優れた高強度鋼の製法」が開示されている。特開昭59
−232220号公報には、鋼を2回焼入れする「耐硫
化物腐食割れ性に優れた高強度鋼の製法」が開示されて
いる。
加熱焼入れ、2回焼入れ、あるいは誘導加熱などによる
急速加熱焼入れなど、細粒組織を得るための対策が以前
から行われてきた。例えば、特開昭61−9519号公
報には、急速加熱法を適用する「耐硫化物腐食割れ性に
優れた高強度鋼の製法」が開示されている。特開昭59
−232220号公報には、鋼を2回焼入れする「耐硫
化物腐食割れ性に優れた高強度鋼の製法」が開示されて
いる。
【0012】最近では、省エネルギー及び工程簡略によ
る低コスト化の観点から、熱間の圧延加工終了時点の高
温から直ちに焼入れを行う所謂「直接焼入れ法」が検討
されている。しかし、「直接焼入れ法」は、鋼材を一旦
冷却した後に再加熱して焼入れる通常の焼入れ方法に比
べて、焼入れ後の結晶粒が大きくなりがちである。その
対策として、例えば特開平5−255749号公報に
は、細粒組織を得るために圧延途中で強制冷却し、さら
に圧下してから直接焼入れする「耐SSC性の優れた高
強度高靭性シームレス鋼管の製造法」が開示されてい
る。特開平5−271772号公報には、熱間の穿孔後
の圧延途中で一旦Ar3 点以下に冷却して変態させた
後、再度加熱して圧延を行い直接焼入れする「耐硫化物
応力割れ性に優れた油井用鋼管の製造法」が開示されて
いる。
る低コスト化の観点から、熱間の圧延加工終了時点の高
温から直ちに焼入れを行う所謂「直接焼入れ法」が検討
されている。しかし、「直接焼入れ法」は、鋼材を一旦
冷却した後に再加熱して焼入れる通常の焼入れ方法に比
べて、焼入れ後の結晶粒が大きくなりがちである。その
対策として、例えば特開平5−255749号公報に
は、細粒組織を得るために圧延途中で強制冷却し、さら
に圧下してから直接焼入れする「耐SSC性の優れた高
強度高靭性シームレス鋼管の製造法」が開示されてい
る。特開平5−271772号公報には、熱間の穿孔後
の圧延途中で一旦Ar3 点以下に冷却して変態させた
後、再度加熱して圧延を行い直接焼入れする「耐硫化物
応力割れ性に優れた油井用鋼管の製造法」が開示されて
いる。
【0013】しかしながら、上記の各公報で提案された
技術はいずれも降伏応力(YS)が90ksi級[YS
が90〜100ksi(621〜686MPa)]や1
00ksi級[YSが100〜110ksi(686〜
758MPa)]の耐SSC性に優れた高強度鋼に対す
るものであった。このため、上記の各公報で提案された
技術を用いてもYSが110ksi(758MPa)以
上になると、特にYSが120ksi(823MPa)
を超えるようになると、必ずしも所望の耐SSC性が得
られるものではなかった。
技術はいずれも降伏応力(YS)が90ksi級[YS
が90〜100ksi(621〜686MPa)]や1
00ksi級[YSが100〜110ksi(686〜
758MPa)]の耐SSC性に優れた高強度鋼に対す
るものであった。このため、上記の各公報で提案された
技術を用いてもYSが110ksi(758MPa)以
上になると、特にYSが120ksi(823MPa)
を超えるようになると、必ずしも所望の耐SSC性が得
られるものではなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、油井やガス井及びそれらに関連し
た諸設備や化学プラント設備などに用いられる強度及び
耐SSC性に優れた鋼材の製造方法を提供することを目
的とする。具体的な目標は、YSが110〜155ks
i(758〜1068MPa)の高強度でも耐SSC性
に優れる鋼材の製造方法を提供することにある。
鑑みなされたもので、油井やガス井及びそれらに関連し
た諸設備や化学プラント設備などに用いられる強度及び
耐SSC性に優れた鋼材の製造方法を提供することを目
的とする。具体的な目標は、YSが110〜155ks
i(758〜1068MPa)の高強度でも耐SSC性
に優れる鋼材の製造方法を提供することにある。
【0015】なお、耐SSC性の目標は、NACE TM 0177
A法(「NACE」は「National Association of Corrosio
n Engineers 」の略)に規定された浴中、つまり、「1
気圧の硫化水素で飽和した25℃の0.5%酢酸+5%
食塩水」中で定荷重試験を行った時の割れ発生限界応力
(σth)が鋼材のYSの80%以上であることである。
前記の条件を満たせば、その鋼材は昨今の厳しい腐食環
境下での使用に充分耐え得ることが知られている。
A法(「NACE」は「National Association of Corrosio
n Engineers 」の略)に規定された浴中、つまり、「1
気圧の硫化水素で飽和した25℃の0.5%酢酸+5%
食塩水」中で定荷重試験を行った時の割れ発生限界応力
(σth)が鋼材のYSの80%以上であることである。
前記の条件を満たせば、その鋼材は昨今の厳しい腐食環
境下での使用に充分耐え得ることが知られている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
耐SSC性に優れた高強度鋼材の製造方法にある。
耐SSC性に優れた高強度鋼材の製造方法にある。
【0017】すなわち、「重量%で、C:0.2〜0.
35%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.1〜
1.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以
下、Cr:0.3〜1.2%、Mo:0.2〜1.0
%、Al:0.005〜0.50%、Ti:0.50%
以下、Zr:0.50%以下で、且つTi(%)+0.
5Zr(%):0.005〜0.75%、B:0.00
01〜0.01%、Nb:0.05〜0.5%、V:0
〜0.5%、W:0〜1.0%、Ca:0〜0.01
%、Ni:0.1%以下、N:0.01%以下、O(酸
素):0.01%以下、残部はFe及び不可避不純物の
化学組成の鋼材を、1050℃を超え1250℃以下の
温度域の温度であるT1 ℃に、700〜T1 ℃の温度域
を20〜50℃/秒の加熱速度で昇温した後、T1 〜1
050℃の温度域での保持時間を3分以内として温度T
2 ℃から焼入れし、その後、焼戻しを行うことを特徴と
する110〜155ksiの降伏応力を有する耐硫化物
応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法。但し、T2
℃≦T1 ℃」である。
35%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.1〜
1.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以
下、Cr:0.3〜1.2%、Mo:0.2〜1.0
%、Al:0.005〜0.50%、Ti:0.50%
以下、Zr:0.50%以下で、且つTi(%)+0.
5Zr(%):0.005〜0.75%、B:0.00
01〜0.01%、Nb:0.05〜0.5%、V:0
〜0.5%、W:0〜1.0%、Ca:0〜0.01
%、Ni:0.1%以下、N:0.01%以下、O(酸
素):0.01%以下、残部はFe及び不可避不純物の
化学組成の鋼材を、1050℃を超え1250℃以下の
温度域の温度であるT1 ℃に、700〜T1 ℃の温度域
を20〜50℃/秒の加熱速度で昇温した後、T1 〜1
050℃の温度域での保持時間を3分以内として温度T
2 ℃から焼入れし、その後、焼戻しを行うことを特徴と
する110〜155ksiの降伏応力を有する耐硫化物
応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法。但し、T2
℃≦T1 ℃」である。
【0018】なお、上記の「加熱速度」は、「被加熱材
である鋼材の中心部の700℃から所定の温度T1 ℃ま
での平均加熱速度」のことを指す。
である鋼材の中心部の700℃から所定の温度T1 ℃ま
での平均加熱速度」のことを指す。
【0019】本発明者らは、YSが110ksi(75
8MPa)以上で、しかも耐SSC性に優れた高強度鋼
材を製造するための方法に関し、種々の検討を行った。
8MPa)以上で、しかも耐SSC性に優れた高強度鋼
材を製造するための方法に関し、種々の検討を行った。
【0020】結晶粒の微細化は、YSが100ksi級
[YSが100〜110ksi]までの鋼材、なかで
も、YSが80ksi級[YSが80〜90ksi]や
90ksi級[YSが90〜100ksi]の鋼材の耐
SSC性を高めるのには有効であるが、YSが110k
si(758MPa)以上の鋼材に対しては耐SSC性
を向上させる作用が不安定になり、特にYSが120k
siを超える鋼材に対しては、耐SSC性の向上効果が
認められない。つまり、低温焼戻しによって鋼材の強度
を高める限り、結晶粒の微細化による耐SSC性の向上
には限界がある。
[YSが100〜110ksi]までの鋼材、なかで
も、YSが80ksi級[YSが80〜90ksi]や
90ksi級[YSが90〜100ksi]の鋼材の耐
SSC性を高めるのには有効であるが、YSが110k
si(758MPa)以上の鋼材に対しては耐SSC性
を向上させる作用が不安定になり、特にYSが120k
siを超える鋼材に対しては、耐SSC性の向上効果が
認められない。つまり、低温焼戻しによって鋼材の強度
を高める限り、結晶粒の微細化による耐SSC性の向上
には限界がある。
【0021】SSCは水素脆化の一種であり、硫化水素
環境での腐食により生じた水素原子が、鋼中に侵入する
ことによって生じる。この水素脆化に関与する水素は、
常温程度の温度で鋼中を拡散しうる所謂「拡散性水素」
であり、割れ発生の起点となる危険性の大きい応力集中
部に、この水素が拡散してきて水素濃度が高くなると割
れ発生の限界応力が低下し、SSCに対する感受性が高
くなる。
環境での腐食により生じた水素原子が、鋼中に侵入する
ことによって生じる。この水素脆化に関与する水素は、
常温程度の温度で鋼中を拡散しうる所謂「拡散性水素」
であり、割れ発生の起点となる危険性の大きい応力集中
部に、この水素が拡散してきて水素濃度が高くなると割
れ発生の限界応力が低下し、SSCに対する感受性が高
くなる。
【0022】鋼中の転位や、炭化物、窒化物などの微細
析出物や粒界における偏析物は、「拡散性水素」のトラ
ップサイトとして作用する。ここでいうトラップサイト
とは、拡散ができないほど強力に水素を固定するのでは
なく、鋼中に固溶している水素が、その部分に存在する
方がより安定であり、鋼の素地(基地)の水素濃度レベ
ルよりは相対的に濃度が高くなる局所的部分のことをい
う。
析出物や粒界における偏析物は、「拡散性水素」のトラ
ップサイトとして作用する。ここでいうトラップサイト
とは、拡散ができないほど強力に水素を固定するのでは
なく、鋼中に固溶している水素が、その部分に存在する
方がより安定であり、鋼の素地(基地)の水素濃度レベ
ルよりは相対的に濃度が高くなる局所的部分のことをい
う。
【0023】鋼はその化学組成が同じであれば、硫化水
素環境での表面における腐食の進行はほぼ同じである。
したがって、腐食によって発生する水素量も同じであ
り、その内で鋼中に侵入する水素の比率も同じである。
このため、前記のトラップサイトが多ければ、鋼中の水
素濃度は高くなり、耐SSC性は低下してしまう。
素環境での表面における腐食の進行はほぼ同じである。
したがって、腐食によって発生する水素量も同じであ
り、その内で鋼中に侵入する水素の比率も同じである。
このため、前記のトラップサイトが多ければ、鋼中の水
素濃度は高くなり、耐SSC性は低下してしまう。
【0024】焼戻し温度を高くすれば、焼入れ時のマル
テンサイト変態によって導入された大量の転位が次第に
消失していく。高温での焼戻しが鋼材の耐SSC性を向
上させる理由の1つは、前記の「拡散性水素」のトラッ
プサイトになる転位の減少によるものであると推測され
る。なぜなら、鋼材の強度が高くなるほどSSCに対す
る感受性が増すのは、強化に寄与する転位が主として
「拡散性水素」のトラップサイトとして作用し、鋼中の
「拡散性水素」濃度を高めるからである。
テンサイト変態によって導入された大量の転位が次第に
消失していく。高温での焼戻しが鋼材の耐SSC性を向
上させる理由の1つは、前記の「拡散性水素」のトラッ
プサイトになる転位の減少によるものであると推測され
る。なぜなら、鋼材の強度が高くなるほどSSCに対す
る感受性が増すのは、強化に寄与する転位が主として
「拡散性水素」のトラップサイトとして作用し、鋼中の
「拡散性水素」濃度を高めるからである。
【0025】一般に、焼戻し温度を高くすると鋼材強度
は低下してしまう。高温で焼戻ししても鋼材に充分な強
度を確保させるには、焼入れ性を高めるとともに焼戻し
軟化抵抗を増大させる元素であるCr、Mo、Vを多量
添加することが効果的である。しかし、Crを多量に添
加した鋼は、硫化水素を含む酸性の水溶液中ではCrが
活性溶解して腐食速度が大きくなり、それに伴って鋼中
の「拡散性水素」濃度が高くなって、耐SSC性が劣化
することがある。同様に、Mo及びVに関してもその添
加量には限界がある。つまり、Moを多量添加した鋼で
は、焼戻しで針状のMo炭化物が析出し、これがSSC
の起点となるので耐SSC性が低下することがある。
又、Vを多量に添加した鋼では、Vの粗大な炭化物が多
量に析出し、この炭化物周辺にトラップされる水素濃度
が増すので耐SSC性が低下することがある。
は低下してしまう。高温で焼戻ししても鋼材に充分な強
度を確保させるには、焼入れ性を高めるとともに焼戻し
軟化抵抗を増大させる元素であるCr、Mo、Vを多量
添加することが効果的である。しかし、Crを多量に添
加した鋼は、硫化水素を含む酸性の水溶液中ではCrが
活性溶解して腐食速度が大きくなり、それに伴って鋼中
の「拡散性水素」濃度が高くなって、耐SSC性が劣化
することがある。同様に、Mo及びVに関してもその添
加量には限界がある。つまり、Moを多量添加した鋼で
は、焼戻しで針状のMo炭化物が析出し、これがSSC
の起点となるので耐SSC性が低下することがある。
又、Vを多量に添加した鋼では、Vの粗大な炭化物が多
量に析出し、この炭化物周辺にトラップされる水素濃度
が増すので耐SSC性が低下することがある。
【0026】そこで、前記の各元素に代わる強化元素と
細粒化手段を検討した。その結果、0.05重量%以上
のNbを含有させた鋼を用い、誘導加熱などの急速加熱
手段によって高温に加熱し、短時間の保持を行った後で
焼入れし、更に焼き戻しする熱処理を行えば、耐SSC
性の改善に効果的であることを知見した。
細粒化手段を検討した。その結果、0.05重量%以上
のNbを含有させた鋼を用い、誘導加熱などの急速加熱
手段によって高温に加熱し、短時間の保持を行った後で
焼入れし、更に焼き戻しする熱処理を行えば、耐SSC
性の改善に効果的であることを知見した。
【0027】Nbの炭化物は、通常の900℃近傍の焼
入れのための加熱温度ではほとんど基地に固溶しない。
このため従来Nbは、未固溶炭化物の所謂「ピンニング
作用」を利用して焼入れ加熱時の結晶粒の粗大化を防止
し、細粒組織を得る目的で添加されてきた。この目的の
ためには、0.05重量%未満のNbを含有させるだけ
で充分であり、それ以上の量のNbを含有させても未固
溶の粗大炭化物が増すだけで効果は飽和し、コストが嵩
むばかりで経済的に不利である。一方、加熱温度を高め
てNbの炭化物を基地に充分固溶させてから焼入れすれ
ば、焼戻し時の軟化抵抗を大きくすることができるので
高温で焼戻ししても鋼材に大きな強度を付与することが
可能である。但し、焼入れのための加熱温度を高めてN
bの炭化物を固溶させることは、結晶粒の著しい粗大化
を招くことになるので、従来は敬遠されてきた。
入れのための加熱温度ではほとんど基地に固溶しない。
このため従来Nbは、未固溶炭化物の所謂「ピンニング
作用」を利用して焼入れ加熱時の結晶粒の粗大化を防止
し、細粒組織を得る目的で添加されてきた。この目的の
ためには、0.05重量%未満のNbを含有させるだけ
で充分であり、それ以上の量のNbを含有させても未固
溶の粗大炭化物が増すだけで効果は飽和し、コストが嵩
むばかりで経済的に不利である。一方、加熱温度を高め
てNbの炭化物を基地に充分固溶させてから焼入れすれ
ば、焼戻し時の軟化抵抗を大きくすることができるので
高温で焼戻ししても鋼材に大きな強度を付与することが
可能である。但し、焼入れのための加熱温度を高めてN
bの炭化物を固溶させることは、結晶粒の著しい粗大化
を招くことになるので、従来は敬遠されてきた。
【0028】これに関して、本発明者らは、適正量のN
bを含有する鋼を誘導加熱などの急速加熱手段によって
高温に加熱し、短時間の保持を行った後で焼入れすれ
ば、Nbの炭化物を基地に充分固溶させることができる
ので焼戻し軟化抵抗が大きくなり、しかも結晶粒の粗大
化も防止できることを見いだした。つまり、細粒組織
と、Nbが焼戻し軟化抵抗に寄与した高温焼戻しが可能
となり、鋼の耐SSC性が大きく高まることが判明した
のである。更に、適正量のNbとVとを含有する鋼の場
合には、より一層の高温焼戻しが可能となることも明ら
かになった。
bを含有する鋼を誘導加熱などの急速加熱手段によって
高温に加熱し、短時間の保持を行った後で焼入れすれ
ば、Nbの炭化物を基地に充分固溶させることができる
ので焼戻し軟化抵抗が大きくなり、しかも結晶粒の粗大
化も防止できることを見いだした。つまり、細粒組織
と、Nbが焼戻し軟化抵抗に寄与した高温焼戻しが可能
となり、鋼の耐SSC性が大きく高まることが判明した
のである。更に、適正量のNbとVとを含有する鋼の場
合には、より一層の高温焼戻しが可能となることも明ら
かになった。
【0029】上記のNbを含有させた鋼の高温焼戻しが
耐SSC性の改善に有効である理由は以下のように考え
られる。
耐SSC性の改善に有効である理由は以下のように考え
られる。
【0030】焼戻し時に析出した微細なNbの炭化物は
粗大化しにくいので、同じ量のMoやVを含有させた場
合に比べて強化への寄与が大きく、高温焼戻しを可能と
する。このため、「拡散性水素」のトラップサイトとな
る転位をより低減することができる。又、Nbの炭化物
は微細であるため、その周囲にトラップされる「拡散性
水素」がMo炭化物やV炭化物に比べて少なく、吸蔵さ
れる「拡散性水素」の総量が少ないため耐SSC性に優
れる。
粗大化しにくいので、同じ量のMoやVを含有させた場
合に比べて強化への寄与が大きく、高温焼戻しを可能と
する。このため、「拡散性水素」のトラップサイトとな
る転位をより低減することができる。又、Nbの炭化物
は微細であるため、その周囲にトラップされる「拡散性
水素」がMo炭化物やV炭化物に比べて少なく、吸蔵さ
れる「拡散性水素」の総量が少ないため耐SSC性に優
れる。
【0031】熱処理条件については、焼入れのための加
熱でNbの炭化物を基地に充分固溶させるために高温加
熱することが重要であり、一方、高温加熱による結晶粒
の粗大化を防止するためは、急速加熱短時間保持して焼
入れすることが重要である。
熱でNbの炭化物を基地に充分固溶させるために高温加
熱することが重要であり、一方、高温加熱による結晶粒
の粗大化を防止するためは、急速加熱短時間保持して焼
入れすることが重要である。
【0032】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
たものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「重
量%」を意味する。
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「重
量%」を意味する。
【0034】(A)鋼材の化学組成 C:Cは焼入れ性を高め、強度を向上させるのに有効な
元素である。しかし、その含有量が0.2%未満では、
焼入れ硬さが不足し、高温での焼戻しでは目標とするY
Sで110〜155ksi(758〜1068MPa)
の高強度が得られない。一方、0.35%を超えると、
炭化物が増加し、「拡散性水素」のトラップサイトが多
くなって水素吸蔵量が増えるので耐SSC性が低下す
る。更に、焼割れ感受性も増大する。したがって、Cの
含有量を0.2〜0.35%とした。C含有量の上限は
0.3%とすることが好ましい。
元素である。しかし、その含有量が0.2%未満では、
焼入れ硬さが不足し、高温での焼戻しでは目標とするY
Sで110〜155ksi(758〜1068MPa)
の高強度が得られない。一方、0.35%を超えると、
炭化物が増加し、「拡散性水素」のトラップサイトが多
くなって水素吸蔵量が増えるので耐SSC性が低下す
る。更に、焼割れ感受性も増大する。したがって、Cの
含有量を0.2〜0.35%とした。C含有量の上限は
0.3%とすることが好ましい。
【0035】Si:Siは、鋼の脱酸に有効な元素であ
り、焼戻し軟化抵抗を高めて耐SSC性を向上させる元
素でもある。脱酸の目的からは0.05%以上の含有量
とする必要がある。しかし、その含有量が0.5%を超
えると靭性が低下するし、粒界強度が低くなるので耐S
SC性も却って低下してしまう。したがって、Siの含
有量を0.05〜0.5%とした。なお、Si含有量の
上限は0.3%とすることが好ましい。
り、焼戻し軟化抵抗を高めて耐SSC性を向上させる元
素でもある。脱酸の目的からは0.05%以上の含有量
とする必要がある。しかし、その含有量が0.5%を超
えると靭性が低下するし、粒界強度が低くなるので耐S
SC性も却って低下してしまう。したがって、Siの含
有量を0.05〜0.5%とした。なお、Si含有量の
上限は0.3%とすることが好ましい。
【0036】Mn:Mnは、鋼の焼入れ性を確保するの
に有効な元素である。この目的からは0.1%以上の含
有量が必要である。しかし、1.0%を超えて含有させ
ると粒界に偏析して耐SSC性及び靭性の低下を招く。
したがって、Mnの含有量を0.1〜1.0%とした。
なお、Mn含有量の上限は望ましくは0.5%である。
に有効な元素である。この目的からは0.1%以上の含
有量が必要である。しかし、1.0%を超えて含有させ
ると粒界に偏析して耐SSC性及び靭性の低下を招く。
したがって、Mnの含有量を0.1〜1.0%とした。
なお、Mn含有量の上限は望ましくは0.5%である。
【0037】P:Pは不純物として鋼中に不可避的に存
在するが、粒界に偏析して耐SSC性を劣化させてしま
う。特に、その含有量が0.025%を超えると耐SS
C性の劣化が著しくなる。このため、不純物として混入
するとしてもその含有量は0.025%以下にする必要
がある。なお、耐SSC性を高めるためにPの含有量は
できるだけ低くすることが望ましい。
在するが、粒界に偏析して耐SSC性を劣化させてしま
う。特に、その含有量が0.025%を超えると耐SS
C性の劣化が著しくなる。このため、不純物として混入
するとしてもその含有量は0.025%以下にする必要
がある。なお、耐SSC性を高めるためにPの含有量は
できるだけ低くすることが望ましい。
【0038】S:SはPと同様に不純物として鋼中に不
可避的に存在するが、粒界に偏析することと、硫化物系
の介在物を多量に生成することによって耐SSC性を低
下させてしまう。特に、その含有量が0.01%を超え
ると耐SSC性の低下が著しくなる。したがって、不純
物として混入するとしてもその含有量は0.01%以下
にする必要がある。なお、耐SSC性を高めるためにS
の含有量はできるだけ低くすることが望ましい。
可避的に存在するが、粒界に偏析することと、硫化物系
の介在物を多量に生成することによって耐SSC性を低
下させてしまう。特に、その含有量が0.01%を超え
ると耐SSC性の低下が著しくなる。したがって、不純
物として混入するとしてもその含有量は0.01%以下
にする必要がある。なお、耐SSC性を高めるためにS
の含有量はできるだけ低くすることが望ましい。
【0039】Cr:Crは、焼入れ性を上げるとともに
焼戻し軟化抵抗を高めて高温焼戻しを可能にし、耐SS
C性を向上させる作用がある。前記の効果を確実に得る
ためにはCrの含有量は0.3%以上とする必要があ
る。しかし、Crを1.2%を超えて含有させると、硫
化水素を含む酸性の湿潤環境ではCrが活性溶解して腐
食速度が大きくなり、鋼中の「拡散性水素」濃度が高く
なって、却って耐SSC性の低下を招く。したがって、
Crの含有量を0.3〜1.2%とした。なお、Cr含
有量の上限は0.5%とすることが好ましい。
焼戻し軟化抵抗を高めて高温焼戻しを可能にし、耐SS
C性を向上させる作用がある。前記の効果を確実に得る
ためにはCrの含有量は0.3%以上とする必要があ
る。しかし、Crを1.2%を超えて含有させると、硫
化水素を含む酸性の湿潤環境ではCrが活性溶解して腐
食速度が大きくなり、鋼中の「拡散性水素」濃度が高く
なって、却って耐SSC性の低下を招く。したがって、
Crの含有量を0.3〜1.2%とした。なお、Cr含
有量の上限は0.5%とすることが好ましい。
【0040】Mo:Moは、Crと同様に焼入れ性を向
上させるとともに、焼戻し軟化抵抗を高めて高温焼戻し
を可能にし、耐SSC性を向上させる作用を有する。し
かし、その含有量が0.2%未満では前記の効果が得ら
れない。一方、1.0%を超えて含有させると、焼戻し
で針状のMo炭化物が析出してその周辺の応力集中によ
り耐SSC性が却って低下してしまう。したがって、M
oの含有量を0.2〜1.0%とした。なお、Mo含有
量は0.3〜0.8%とすることが好ましい。
上させるとともに、焼戻し軟化抵抗を高めて高温焼戻し
を可能にし、耐SSC性を向上させる作用を有する。し
かし、その含有量が0.2%未満では前記の効果が得ら
れない。一方、1.0%を超えて含有させると、焼戻し
で針状のMo炭化物が析出してその周辺の応力集中によ
り耐SSC性が却って低下してしまう。したがって、M
oの含有量を0.2〜1.0%とした。なお、Mo含有
量は0.3〜0.8%とすることが好ましい。
【0041】Al:Alは、鋼の脱酸に必要な元素であ
る。しかし、その含有量が0.005%未満ではその効
果が得難い。一方、0.50%を超えて含有させると粗
大なAl系介在物が多くなって靭性及び耐SSC性が低
下する。したがって、Alの含有量を0.005〜0.
50%とした。Al含有量の望ましい範囲は0.01〜
0.10%である。なお、本明細書でいうAlとは所謂
「sol.Al(酸可溶Al)」のことである。
る。しかし、その含有量が0.005%未満ではその効
果が得難い。一方、0.50%を超えて含有させると粗
大なAl系介在物が多くなって靭性及び耐SSC性が低
下する。したがって、Alの含有量を0.005〜0.
50%とした。Al含有量の望ましい範囲は0.01〜
0.10%である。なお、本明細書でいうAlとは所謂
「sol.Al(酸可溶Al)」のことである。
【0042】Ti、Zr:TiとZrは、それぞれ鋼中
の不純物であるNをTiNやZrNとして固定する目的
で添加する。又、N固定に必要とするよりも過剰なTi
やZrは、炭化物となって微細に析出し、焼戻し軟化抵
抗を高める効果を有する。Nの固定は、焼入れ性向上の
ために添加するBがBNとなるのを抑制し、Bを固溶状
態に維持して充分な焼入れ性を確保するためである。こ
うした効果は、TiとZrの含有量に関し、Ti(%)
+0.5Zr(%)の値が0.005%以上の場合に確
実に得られる。しかし、Ti(%)+0.5Zr(%)
の値で0.75%を超えるTiとZrを含有させても前
記の効果は飽和するのでコストが嵩んでしまうし、粗大
な炭化物が増加して靭性及び耐SSC性が低下すること
がある。
の不純物であるNをTiNやZrNとして固定する目的
で添加する。又、N固定に必要とするよりも過剰なTi
やZrは、炭化物となって微細に析出し、焼戻し軟化抵
抗を高める効果を有する。Nの固定は、焼入れ性向上の
ために添加するBがBNとなるのを抑制し、Bを固溶状
態に維持して充分な焼入れ性を確保するためである。こ
うした効果は、TiとZrの含有量に関し、Ti(%)
+0.5Zr(%)の値が0.005%以上の場合に確
実に得られる。しかし、Ti(%)+0.5Zr(%)
の値で0.75%を超えるTiとZrを含有させても前
記の効果は飽和するのでコストが嵩んでしまうし、粗大
な炭化物が増加して靭性及び耐SSC性が低下すること
がある。
【0043】なお、Ti(%)+0.5Zr(%)の値
が0.005〜0.75%でありさえすれば良いので、
必ずしもTiとZrを複合して含有させる必要はない。
Zrを添加しない、つまりTiを単独で添加する場合、
その含有量が0.50%を超えると炭化物が増加し靭性
及び耐SSC性が低下する。逆にTiを添加しない、つ
まりZrを単独で添加する場合に、Zrを0.50%を
超えて含有させると炭化物が増加し靭性及び耐SSC性
が低下する。
が0.005〜0.75%でありさえすれば良いので、
必ずしもTiとZrを複合して含有させる必要はない。
Zrを添加しない、つまりTiを単独で添加する場合、
その含有量が0.50%を超えると炭化物が増加し靭性
及び耐SSC性が低下する。逆にTiを添加しない、つ
まりZrを単独で添加する場合に、Zrを0.50%を
超えて含有させると炭化物が増加し靭性及び耐SSC性
が低下する。
【0044】したがって本発明においては、TiとZr
の含有量をいずれも0.50%以下で、且つTi(%)
+0.5Zr(%)の値を0.005〜0.75%とし
た。
の含有量をいずれも0.50%以下で、且つTi(%)
+0.5Zr(%)の値を0.005〜0.75%とし
た。
【0045】なお、Ti含有量は0.01〜0.10%
とすることが好ましい。又、Zrには、引張試験時の降
伏点伸びを高め、結果として耐SSC性を向上させる作
用もあるので、特に、高い強度が要求される場合には、
Zrを含有させることが好ましい。Zrの好ましい含有
量は0.1〜0.45%である。
とすることが好ましい。又、Zrには、引張試験時の降
伏点伸びを高め、結果として耐SSC性を向上させる作
用もあるので、特に、高い強度が要求される場合には、
Zrを含有させることが好ましい。Zrの好ましい含有
量は0.1〜0.45%である。
【0046】B:Bは、微量で鋼の焼入れ性を向上させ
る作用を有する。しかし、その含有量が0.0001%
未満ではその効果が充分でなく、0.01%を超えると
靭性及び耐SSC性が低下するため、Bの含有量を0.
0001〜0.01%とした。なお、B含有量の望まし
い範囲は、0.0002〜0.002%である。
る作用を有する。しかし、その含有量が0.0001%
未満ではその効果が充分でなく、0.01%を超えると
靭性及び耐SSC性が低下するため、Bの含有量を0.
0001〜0.01%とした。なお、B含有量の望まし
い範囲は、0.0002〜0.002%である。
【0047】Nb:Nbは、本発明において最も重要な
役割を果たす元素である。すなわち、1050℃を超え
るような高温に加熱してNbの炭化物を基地に充分固溶
させてから焼入れすれば、その後の焼戻し時に微細炭化
物として析出して強化に大きく寄与し、高温焼戻しを可
能とし耐SSC性を大きく向上させる。この効果を得る
ためにはNbを0.05%以上含有させる必要がある。
一方、0.5%を超えて含有させると、高温焼入れして
もNbの炭化物を基地に充分固溶させることができなく
なり、この溶け残った粗大なNb炭化物が「拡散性水
素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が増えるので
耐SSC性が低下する。したがって、Nbの含有量を
0.05〜0.5%とした。なお、Nb含有量の上限は
0.1%とすることが好ましい。
役割を果たす元素である。すなわち、1050℃を超え
るような高温に加熱してNbの炭化物を基地に充分固溶
させてから焼入れすれば、その後の焼戻し時に微細炭化
物として析出して強化に大きく寄与し、高温焼戻しを可
能とし耐SSC性を大きく向上させる。この効果を得る
ためにはNbを0.05%以上含有させる必要がある。
一方、0.5%を超えて含有させると、高温焼入れして
もNbの炭化物を基地に充分固溶させることができなく
なり、この溶け残った粗大なNb炭化物が「拡散性水
素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が増えるので
耐SSC性が低下する。したがって、Nbの含有量を
0.05〜0.5%とした。なお、Nb含有量の上限は
0.1%とすることが好ましい。
【0048】V:Vは添加しなくても良い。添加すれ
ば、焼戻し時に微細な炭化物として析出して焼戻し軟化
抵抗を高め、高温焼戻しを可能とすることにより耐SS
C性を改善する作用を有する。特に、Nbと複合して含
有させることにより、一層の高温焼戻しが可能となるの
で、耐SSC性が大きく向上する。したがって、前記の
効果を確保したい場合には、Vを添加含有させても良
い。なお、前記の効果を確実に得るには、Vは0.00
5%以上の含有量とすることが好ましい。一方、V含有
量が0.5%を超えるとV炭化物が粗大化して強化に寄
与しなくなることに加え、その粗大炭化物が「拡散性水
素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が増えるので
却って耐SSC性が低下する。このため、Vの含有量を
0〜0.5%とした。なお、V含有量の上限は0.3%
とすることが好ましい。
ば、焼戻し時に微細な炭化物として析出して焼戻し軟化
抵抗を高め、高温焼戻しを可能とすることにより耐SS
C性を改善する作用を有する。特に、Nbと複合して含
有させることにより、一層の高温焼戻しが可能となるの
で、耐SSC性が大きく向上する。したがって、前記の
効果を確保したい場合には、Vを添加含有させても良
い。なお、前記の効果を確実に得るには、Vは0.00
5%以上の含有量とすることが好ましい。一方、V含有
量が0.5%を超えるとV炭化物が粗大化して強化に寄
与しなくなることに加え、その粗大炭化物が「拡散性水
素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が増えるので
却って耐SSC性が低下する。このため、Vの含有量を
0〜0.5%とした。なお、V含有量の上限は0.3%
とすることが好ましい。
【0049】W:Wは添加しなくても良いが、Moと同
様焼入れ性を高めるとともに、焼戻し軟化抵抗を高めて
高温焼戻しを可能にし、耐SSC性を向上させる作用を
有するので、必要により含有させる。添加により前記の
効果を確実に発揮させるには、Wの含有量は0.3%以
上とすることが好ましい。しかし、1.0%を超えて含
有させると析出炭化物の粗大化が起こって前記の効果が
飽和あるいは低下するのに加え、粗大化した炭化物が
「拡散性水素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が
増えるので却って耐SSC性が低下する。したがって、
Wの含有量を0〜1.0%とした。なお、W含有量の上
限は0.7%とすることが好ましい。
様焼入れ性を高めるとともに、焼戻し軟化抵抗を高めて
高温焼戻しを可能にし、耐SSC性を向上させる作用を
有するので、必要により含有させる。添加により前記の
効果を確実に発揮させるには、Wの含有量は0.3%以
上とすることが好ましい。しかし、1.0%を超えて含
有させると析出炭化物の粗大化が起こって前記の効果が
飽和あるいは低下するのに加え、粗大化した炭化物が
「拡散性水素」のトラップサイトとなって水素吸蔵量が
増えるので却って耐SSC性が低下する。したがって、
Wの含有量を0〜1.0%とした。なお、W含有量の上
限は0.7%とすることが好ましい。
【0050】Ca:Caは添加しなくても良い。添加す
れば、鋼中のSと結合して硫化物を形成し、介在物の形
状を改善して耐SSC性を向上させる。したがって、前
記の効果を確保したい場合には、Caを添加含有させて
も良い。なお、前記の効果を確実に得るには、Caは
0.0001%以上の含有量とすることが好ましい。し
かし、その含有量が0.01%を超えると、却って耐S
SC性が低下するばかりか靭性も低下するし、鋼材表面
に地疵などの欠陥が発生し易くなる。したがって、Ca
の含有量を0〜0.01%とした。
れば、鋼中のSと結合して硫化物を形成し、介在物の形
状を改善して耐SSC性を向上させる。したがって、前
記の効果を確保したい場合には、Caを添加含有させて
も良い。なお、前記の効果を確実に得るには、Caは
0.0001%以上の含有量とすることが好ましい。し
かし、その含有量が0.01%を超えると、却って耐S
SC性が低下するばかりか靭性も低下するし、鋼材表面
に地疵などの欠陥が発生し易くなる。したがって、Ca
の含有量を0〜0.01%とした。
【0051】Ni:Niは不純物として鋼中に存在し、
本発明の化学組成範囲の鋼においては耐SSC性を低下
させる。特に、Niの含有量が0.1%を超えると耐S
SC性の低下が著しくなる。したがって、Niの含有量
0.1%以下とした。なお、Niは、Cr原料中に不可
避的に含まれており、Crを添加含有させる場合、Ni
の含有量を0(ゼロ)にすることは工業的に極めて難し
いが、できるだけ少なくすることが望ましい。
本発明の化学組成範囲の鋼においては耐SSC性を低下
させる。特に、Niの含有量が0.1%を超えると耐S
SC性の低下が著しくなる。したがって、Niの含有量
0.1%以下とした。なお、Niは、Cr原料中に不可
避的に含まれており、Crを添加含有させる場合、Ni
の含有量を0(ゼロ)にすることは工業的に極めて難し
いが、できるだけ少なくすることが望ましい。
【0052】N:Nは不純物として鋼中に存在し、粒界
に偏析して靭性及び耐SSC性を低下させる。しかし、
その含有量が0.01%以下であれば許容できることか
ら、Nの含有量を0.01%以下とした。なお、Nは大
気中などから鋼中に侵入し、その含有量を0(ゼロ)に
することは工業的に極めて難しいが、できるだけ少なく
することが望ましい。
に偏析して靭性及び耐SSC性を低下させる。しかし、
その含有量が0.01%以下であれば許容できることか
ら、Nの含有量を0.01%以下とした。なお、Nは大
気中などから鋼中に侵入し、その含有量を0(ゼロ)に
することは工業的に極めて難しいが、できるだけ少なく
することが望ましい。
【0053】O(酸素):Oは不純物として鋼中に存在
し、粒界に偏析して靭性及び耐SSC性を低下させる。
しかし、その含有量が0.01%以下であれば許容でき
ることから、Oの含有量を0.01%以下とした。な
お、Oは大気中などから鋼中に侵入し、その含有量を0
(ゼロ)にすることは工業的に極めて難しいが、できる
だけ少なくすることが望ましい。
し、粒界に偏析して靭性及び耐SSC性を低下させる。
しかし、その含有量が0.01%以下であれば許容でき
ることから、Oの含有量を0.01%以下とした。な
お、Oは大気中などから鋼中に侵入し、その含有量を0
(ゼロ)にすることは工業的に極めて難しいが、できる
だけ少なくすることが望ましい。
【0054】上記の化学組成を有する鋼は通常の方法で
溶製された後、例えば、通常の方法による熱間での鍛
造、穿孔や圧延などの熱間加工によって鋼管や鋼板など
所定の形状の鋼材に成形された後に一旦冷却され、次い
で、所望の強度や耐SSC性を確保するために、急速加
熱焼入れされ、更に、焼戻しされる。
溶製された後、例えば、通常の方法による熱間での鍛
造、穿孔や圧延などの熱間加工によって鋼管や鋼板など
所定の形状の鋼材に成形された後に一旦冷却され、次い
で、所望の強度や耐SSC性を確保するために、急速加
熱焼入れされ、更に、焼戻しされる。
【0055】なお、鍛造、穿孔、圧延などの熱間加工は
通常の条件で行えば良いが、例えば、鋼塊、ビレットや
スラブといった鋼片を1000〜1250℃の温度域の
温度に加熱し、表面疵などの発生防止の点から900〜
1100℃の温度で鋼管や鋼板など所定の形状の鋼材に
仕上げることが望ましい。
通常の条件で行えば良いが、例えば、鋼塊、ビレットや
スラブといった鋼片を1000〜1250℃の温度域の
温度に加熱し、表面疵などの発生防止の点から900〜
1100℃の温度で鋼管や鋼板など所定の形状の鋼材に
仕上げることが望ましい。
【0056】(B)熱処理条件 (B−1)焼入れ 熱間加工によって所定の形状に成形した鋼材に、所望の
高強度と耐SSC性とを具備させるためには、焼入れの
ための加熱速度、加熱温度及び加熱の保持時間を制御し
て、オーステナイト粒を粗大化させない範囲でNbの炭
化物を基地に充分固溶させ、しかも、充分な焼入れ組織
とすることが必要である。
高強度と耐SSC性とを具備させるためには、焼入れの
ための加熱速度、加熱温度及び加熱の保持時間を制御し
て、オーステナイト粒を粗大化させない範囲でNbの炭
化物を基地に充分固溶させ、しかも、充分な焼入れ組織
とすることが必要である。
【0057】このためには、先ず、700℃以上の温度
域での加熱速度を20〜50℃/秒とする必要がある。
これは、焼入れのための加熱に際して、700℃以上の
温度域の加熱速度がオーステナイト粒の成長に大きな影
響を及ぼすためで、加熱速度が20℃/秒未満では、1
050℃を超え1250℃以下の温度域の温度であるT
1 ℃に加熱昇温すると結晶粒が粗大化してしまう。一
方、50℃/秒を超えると混粒を生じて耐SSC性が低
下する。なお、700℃未満の温度域の加熱速度は特に
規定しなくて良いが、生産性の面から、例えば10℃/
分以上とすることが好ましい。20〜50℃/秒の加熱
速度を得るための加熱方法(加熱手段)については、特
に制限しなくても良い。例えば、高周波加熱法など通常
の急速加熱方法で行えば良い。ここで、「加熱速度」と
は、既に述べたように、「被加熱材である鋼材の中心部
の700℃から所定の温度T1 ℃までの平均加熱速度」
のことを指す。
域での加熱速度を20〜50℃/秒とする必要がある。
これは、焼入れのための加熱に際して、700℃以上の
温度域の加熱速度がオーステナイト粒の成長に大きな影
響を及ぼすためで、加熱速度が20℃/秒未満では、1
050℃を超え1250℃以下の温度域の温度であるT
1 ℃に加熱昇温すると結晶粒が粗大化してしまう。一
方、50℃/秒を超えると混粒を生じて耐SSC性が低
下する。なお、700℃未満の温度域の加熱速度は特に
規定しなくて良いが、生産性の面から、例えば10℃/
分以上とすることが好ましい。20〜50℃/秒の加熱
速度を得るための加熱方法(加熱手段)については、特
に制限しなくても良い。例えば、高周波加熱法など通常
の急速加熱方法で行えば良い。ここで、「加熱速度」と
は、既に述べたように、「被加熱材である鋼材の中心部
の700℃から所定の温度T1 ℃までの平均加熱速度」
のことを指す。
【0058】次に、上記の加熱速度での加熱は前記の温
度T1 ℃まで行う必要がある。温度T1 が1050℃以
下の場合には、Nbの炭化物が基地に充分固溶しない。
このため、焼入れ後の焼戻しでNbの微細炭化物が析出
せず、所望の高強度(YSで110〜155ksi)を
得るためには低い温度で焼戻しする必要があり、耐SS
C性が低下してしまう。一方、温度T1 が1250℃を
超える場合には、前記した加熱速度で加熱しても結晶粒
が粗大化してしまう。
度T1 ℃まで行う必要がある。温度T1 が1050℃以
下の場合には、Nbの炭化物が基地に充分固溶しない。
このため、焼入れ後の焼戻しでNbの微細炭化物が析出
せず、所望の高強度(YSで110〜155ksi)を
得るためには低い温度で焼戻しする必要があり、耐SS
C性が低下してしまう。一方、温度T1 が1250℃を
超える場合には、前記した加熱速度で加熱しても結晶粒
が粗大化してしまう。
【0059】更に、前記の加熱速度で温度T1 ℃まで昇
温した後は、T1 〜1050 ℃の温度域での保持時間
を3分以内として温度T2 ℃(但し、T2 ℃≦T1 ℃)
から焼入れする必要がある。前記のT1 〜1050 ℃
の温度域での保持時間が3分を超えると、結晶粒が粗大
化してしまうからである。なお、前記温度域での保持時
間の下限は特に規定されるものではない。しかし、オー
ステナイト化を均一にするために30秒以上の保持時間
とすることが望ましい。焼入れの温度T2 ℃はオーステ
ナイト単相領域であれば特に問題はないが、充分な焼入
れ性を確保するために950℃以上の温度とすることが
好ましい。
温した後は、T1 〜1050 ℃の温度域での保持時間
を3分以内として温度T2 ℃(但し、T2 ℃≦T1 ℃)
から焼入れする必要がある。前記のT1 〜1050 ℃
の温度域での保持時間が3分を超えると、結晶粒が粗大
化してしまうからである。なお、前記温度域での保持時
間の下限は特に規定されるものではない。しかし、オー
ステナイト化を均一にするために30秒以上の保持時間
とすることが望ましい。焼入れの温度T2 ℃はオーステ
ナイト単相領域であれば特に問題はないが、充分な焼入
れ性を確保するために950℃以上の温度とすることが
好ましい。
【0060】なお、「T1 〜1050℃の温度域での保
持時間を3分以内とする」とは、「温度T1 に昇温した
後、温度T2 から焼入れするまでにT1 〜1050℃の
温度域での保持時間が合計で3分以内である」ことを意
味し、T1 〜1050℃の温度域での温度パターンはど
のようなものであっても良い。
持時間を3分以内とする」とは、「温度T1 に昇温した
後、温度T2 から焼入れするまでにT1 〜1050℃の
温度域での保持時間が合計で3分以内である」ことを意
味し、T1 〜1050℃の温度域での温度パターンはど
のようなものであっても良い。
【0061】温度T2 からの焼入れ方法についても、特
に制限しなくても良い。鋼材の化学組成に応じて適宜油
焼入れや水焼入れなど通常の焼入れ方法を用いれば良
い。すなわち、例えば、予め鋼材の化学組成に応じて予
備調査した結果に基づいて充分な焼入れ組織(例えば、
マルテンサイトが約80%以上であるような組織)とな
るように焼入れ方法を決定すれば良い。
に制限しなくても良い。鋼材の化学組成に応じて適宜油
焼入れや水焼入れなど通常の焼入れ方法を用いれば良
い。すなわち、例えば、予め鋼材の化学組成に応じて予
備調査した結果に基づいて充分な焼入れ組織(例えば、
マルテンサイトが約80%以上であるような組織)とな
るように焼入れ方法を決定すれば良い。
【0062】(B−2)焼戻し 焼戻しはAc1 点以下の温度で行えば良く、その温度は
特に規定されるものではない。しかし、YSが110k
si(758MPa)以上の高強度鋼材において目標と
する耐SSC性を確保するためには、680℃以上の温
度で焼戻し処理を施すのが望ましい。焼戻し後の冷却方
法も特に規定されるものではなく、放冷、風冷、ミスト
水冷や水冷など通常の冷却方法で行えば良い。
特に規定されるものではない。しかし、YSが110k
si(758MPa)以上の高強度鋼材において目標と
する耐SSC性を確保するためには、680℃以上の温
度で焼戻し処理を施すのが望ましい。焼戻し後の冷却方
法も特に規定されるものではなく、放冷、風冷、ミスト
水冷や水冷など通常の冷却方法で行えば良い。
【0063】
【実施例】表1〜3に示す化学組成を有する鋼を通常の
方法によって150kg真空溶解炉を用いて溶製した。
表1における鋼A〜E及び鋼7〜9は化学組成が本発明
で規定する範囲内にある本発明例の鋼、表2〜4におけ
る鋼F〜6は成分のいずれかが本発明で規定する含有量
の範囲から外れた比較例の鋼である。
方法によって150kg真空溶解炉を用いて溶製した。
表1における鋼A〜E及び鋼7〜9は化学組成が本発明
で規定する範囲内にある本発明例の鋼、表2〜4におけ
る鋼F〜6は成分のいずれかが本発明で規定する含有量
の範囲から外れた比較例の鋼である。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】次いで、これらの本発明例の鋼及び比較例
の鋼の鋼塊を通常の方法によって1250℃に加熱して
から熱間鍛造して40mm厚さ×80mm幅×250m
m長さの鋼片とし、この鋼片を1250℃に1時間加熱
してから圧延仕上げ温度950℃で厚さ14mmに熱間
圧延し、更に、平面研削により厚さ12mmに仕上げ
た。
の鋼の鋼塊を通常の方法によって1250℃に加熱して
から熱間鍛造して40mm厚さ×80mm幅×250m
m長さの鋼片とし、この鋼片を1250℃に1時間加熱
してから圧延仕上げ温度950℃で厚さ14mmに熱間
圧延し、更に、平面研削により厚さ12mmに仕上げ
た。
【0068】このようにして得られた厚さ12mmの鋼
板に表4〜7に示す種々の条件で焼入れ焼戻し処理を行
った。なお、焼入れは水焼入れとし、各供試鋼の化学組
成と焼入れ条件に応じて焼戻し条件を変え、所要の強度
が得られるようにした。
板に表4〜7に示す種々の条件で焼入れ焼戻し処理を行
った。なお、焼入れは水焼入れとし、各供試鋼の化学組
成と焼入れ条件に応じて焼戻し条件を変え、所要の強度
が得られるようにした。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】焼戻し後の厚さ12mmの鋼板から圧延方
向に平行にJIS Z 2201に規定される14B号の引張試験
片を採取し、常温(室温)で引張試験を行って、降伏応
力(YS)と引張強さ(TS)を測定した。
向に平行にJIS Z 2201に規定される14B号の引張試験
片を採取し、常温(室温)で引張試験を行って、降伏応
力(YS)と引張強さ(TS)を測定した。
【0074】焼戻し後の厚さ12mmの鋼板の厚み中央
部からは圧延方向に平行に、平行部の直径が6.35m
mで長さが25.4mmの丸棒引張試験片も採取し、NA
CE TM 0177 A法に準拠した方法で耐SSC性の評価も行
った。すなわち、1気圧の硫化水素で飽和した25℃の
0.5%酢酸+5%食塩水中で定荷重試験を行い、耐S
SC性を評価した。定荷重試験における負荷応力は、前
記の常温引張試験で得られたYSの80%、試験時間は
720時間とし、この試験中に破断が生じなかった場合
に耐SSC性が良好と判定した。
部からは圧延方向に平行に、平行部の直径が6.35m
mで長さが25.4mmの丸棒引張試験片も採取し、NA
CE TM 0177 A法に準拠した方法で耐SSC性の評価も行
った。すなわち、1気圧の硫化水素で飽和した25℃の
0.5%酢酸+5%食塩水中で定荷重試験を行い、耐S
SC性を評価した。定荷重試験における負荷応力は、前
記の常温引張試験で得られたYSの80%、試験時間は
720時間とし、この試験中に破断が生じなかった場合
に耐SSC性が良好と判定した。
【0075】上記の各種試験結果を、表4〜7に併せて
示す。
示す。
【0076】表4、表6及び表7から明らかなように、
鋼の化学組成が本発明で規定する範囲にあり、しかも熱
処理条件が本発明で規定する範囲にある場合(試験番号
1〜15及び80〜110)は、いずれも定荷重試験で
破断を生ずることがなく、耐SSC性は良好である。
鋼の化学組成が本発明で規定する範囲にあり、しかも熱
処理条件が本発明で規定する範囲にある場合(試験番号
1〜15及び80〜110)は、いずれも定荷重試験で
破断を生ずることがなく、耐SSC性は良好である。
【0077】これに対し、鋼の化学組成と熱処理条件の
いずれかが本発明で規定する範囲から外れた場合には、
表4〜6から明らかなように、すべて定荷重試験で破断
を生じ、耐SSC性に劣っている。
いずれかが本発明で規定する範囲から外れた場合には、
表4〜6から明らかなように、すべて定荷重試験で破断
を生じ、耐SSC性に劣っている。
【0078】すなわち、鋼の化学組成は本発明で規定す
る範囲にあるが、熱処理条件が本発明で規定する範囲か
ら外れる場合(試験番号16〜25)は、いずれも定荷
重試験で破断を生じ、耐SSC性に劣っている。なお、
YSが110ksi級(YSが110〜125ksi)
及び125ksi級(YSが125〜140ksi)に
強度を調整して試験した結果を示しているが、このYS
レベルで定荷重試験中に破断を生じれば、更に低温で焼
戻しして140ksi級(YSが140〜155ks
i)に強度調整すれば、一層短時間で破断してしまうこ
とは言うまでもない。
る範囲にあるが、熱処理条件が本発明で規定する範囲か
ら外れる場合(試験番号16〜25)は、いずれも定荷
重試験で破断を生じ、耐SSC性に劣っている。なお、
YSが110ksi級(YSが110〜125ksi)
及び125ksi級(YSが125〜140ksi)に
強度を調整して試験した結果を示しているが、このYS
レベルで定荷重試験中に破断を生じれば、更に低温で焼
戻しして140ksi級(YSが140〜155ks
i)に強度調整すれば、一層短時間で破断してしまうこ
とは言うまでもない。
【0079】表4における試験番号16及び17は加熱
速度が小さいので細粒化が充分でなく、耐SSC性が悪
い。一方、試験番号18及び19は加熱速度が大きすぎ
るので混粒組織となり、耐SSC性が低い。試験番号2
0及び21は加熱温度T1 が低いため焼入れのための加
熱時にNbの炭化物が基地に充分固溶せず、焼戻し温度
が低いことから耐SSC性は劣る。試験番号22及び2
3は、逆に、加熱温度T1 が高すぎるために粗粒化を起
こし、耐SSC性が低い。試験番号24及び25は保持
時間が長すぎるため粗粒化を起こし、耐SSC性が低下
する。
速度が小さいので細粒化が充分でなく、耐SSC性が悪
い。一方、試験番号18及び19は加熱速度が大きすぎ
るので混粒組織となり、耐SSC性が低い。試験番号2
0及び21は加熱温度T1 が低いため焼入れのための加
熱時にNbの炭化物が基地に充分固溶せず、焼戻し温度
が低いことから耐SSC性は劣る。試験番号22及び2
3は、逆に、加熱温度T1 が高すぎるために粗粒化を起
こし、耐SSC性が低い。試験番号24及び25は保持
時間が長すぎるため粗粒化を起こし、耐SSC性が低下
する。
【0080】一方、熱処理条件はいずれも本発明で規定
する範囲にあるが、鋼の化学組成が本発明で規定する範
囲から外れる場合にも(試験番号26〜79)、定荷重
試験で破断を生じ、耐SSC性が劣っている。
する範囲にあるが、鋼の化学組成が本発明で規定する範
囲から外れる場合にも(試験番号26〜79)、定荷重
試験で破断を生じ、耐SSC性が劣っている。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、YSが110〜155
ksi(758〜1068MPa)の高強度でも耐SS
C性に優れる鋼材が得られるので、油井やガス井用のケ
ーシングやチュービング、掘削用のドリルパイプ、輸送
用のラインパイプ、更には化学プラント用配管などに用
いることが可能で産業上の効果は極めて大きい。
ksi(758〜1068MPa)の高強度でも耐SS
C性に優れる鋼材が得られるので、油井やガス井用のケ
ーシングやチュービング、掘削用のドリルパイプ、輸送
用のラインパイプ、更には化学プラント用配管などに用
いることが可能で産業上の効果は極めて大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.2〜0.35%、S
i:0.05〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、
P:0.025%以下、S:0.01%以下、Cr:
0.3〜1.2%、Mo:0.2〜1.0%、Al:
0.005〜0.50%、Ti:0.50%以下、Z
r:0.50%以下で、且つTi(%)+0.5Zr
(%):0.005〜0.75%、B:0.0001〜
0.01%、Nb:0.05〜0.5%、V:0〜0.
5%、W:0〜1.0%、Ca:0〜0.01%、N
i:0.1%以下、N:0.01%以下、O(酸素):
0.01%以下、残部はFe及び不可避不純物の化学組
成の鋼材を、1050℃を超え1250℃以下の温度域
の温度であるT1 ℃に、700〜T1 ℃の温度域を20
〜50℃/秒の加熱速度で昇温した後、T1 〜1050
℃の温度域での保持時間を3分以内として温度T2 ℃か
ら焼入れし、その後、焼戻しを行うことを特徴とする1
10〜155ksiの降伏応力を有する耐硫化物応力割
れ性に優れた高強度鋼材の製造方法。但し、T2 ℃≦T
1 ℃である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9108498A JPH11286720A (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9108498A JPH11286720A (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11286720A true JPH11286720A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=14016662
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9108498A Pending JPH11286720A (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | 耐硫化物応力割れ性に優れた高強度鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11286720A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006003775A1 (ja) | 2004-06-14 | 2006-01-12 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 耐硫化物応力割れ性に優れた低合金油井管用鋼 |
JP2012026030A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-02-09 | Jfe Steel Corp | 耐硫化物応力割れ性に優れた油井用鋼管及びその製造方法 |
WO2013191131A1 (ja) * | 2012-06-20 | 2013-12-27 | 新日鐵住金株式会社 | 油井管用鋼及びその製造方法 |
CN103695797A (zh) * | 2013-12-21 | 2014-04-02 | 湘潭高新区风动机械有限公司 | 一种凿岩钎具用中空钢 |
CN104988407A (zh) * | 2015-06-23 | 2015-10-21 | 中国石油集团渤海石油装备制造有限公司 | 石油钻井抗硫钻杆及其制备方法 |
WO2018066689A1 (ja) * | 2016-10-06 | 2018-04-12 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼材、油井用鋼管、及び、鋼材の製造方法 |
CN112708829A (zh) * | 2020-12-21 | 2021-04-27 | 中天钢铁集团有限公司 | 一种高性能采煤机传动轴用钢的制备方法 |
-
1998
- 1998-04-03 JP JP9108498A patent/JPH11286720A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006003775A1 (ja) | 2004-06-14 | 2006-01-12 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 耐硫化物応力割れ性に優れた低合金油井管用鋼 |
EP1785501A1 (en) * | 2004-06-14 | 2007-05-16 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Low alloy steel for oil well pipe having excellent sulfide stress cracking resistance |
EP1785501A4 (en) * | 2004-06-14 | 2010-04-14 | Sumitomo Metal Ind | LOW-LAYERED STEEL FOR OIL BORE TUBE WITH EXCELLENT SULFID TENSION RISK RESISTANCE |
US8168010B2 (en) | 2004-06-14 | 2012-05-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Low alloy steel for oil well pipes having excellent sulfide stress cracking resistance |
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EA025937B1 (ru) * | 2012-06-20 | 2017-02-28 | Ниппон Стил Энд Сумитомо Метал Корпорейшн | Сталь для трубных изделий нефтепромыслового сортамента и способ ее производства |
CN104395489A (zh) * | 2012-06-20 | 2015-03-04 | 新日铁住金株式会社 | 油井管用钢及其制造方法 |
WO2013191131A1 (ja) * | 2012-06-20 | 2013-12-27 | 新日鐵住金株式会社 | 油井管用鋼及びその製造方法 |
US10407758B2 (en) | 2012-06-20 | 2019-09-10 | Nippon Steel Corporation | Steel for oil country tubular goods and method of producing the same |
CN103695797A (zh) * | 2013-12-21 | 2014-04-02 | 湘潭高新区风动机械有限公司 | 一种凿岩钎具用中空钢 |
CN104988407A (zh) * | 2015-06-23 | 2015-10-21 | 中国石油集团渤海石油装备制造有限公司 | 石油钻井抗硫钻杆及其制备方法 |
WO2018066689A1 (ja) * | 2016-10-06 | 2018-04-12 | 新日鐵住金株式会社 | 鋼材、油井用鋼管、及び、鋼材の製造方法 |
JPWO2018066689A1 (ja) * | 2016-10-06 | 2019-07-04 | 日本製鉄株式会社 | 鋼材、油井用鋼管、及び、鋼材の製造方法 |
CN112708829A (zh) * | 2020-12-21 | 2021-04-27 | 中天钢铁集团有限公司 | 一种高性能采煤机传动轴用钢的制备方法 |
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