JPH11286696A - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

内燃機関用潤滑油組成物

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JPH11286696A
JPH11286696A JP10369398A JP10369398A JPH11286696A JP H11286696 A JPH11286696 A JP H11286696A JP 10369398 A JP10369398 A JP 10369398A JP 10369398 A JP10369398 A JP 10369398A JP H11286696 A JPH11286696 A JP H11286696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温流動性に優れ、省燃費性及びエンジン耐久
性に優れた内燃機関用潤滑油組成物を提供する。 【解決手段】(A)100℃における動粘度2.5〜
3.5mm/s、流動点−30℃以下の接触脱蝋プロ
セスにより製造される潤滑油基油1〜25重量%と、1
00℃における動粘度3.5〜7.0mm/s、芳香
族含有量0〜5重量%、流動点−15℃以下の水素化分
解プロセスにより製造される潤滑油基油75〜99.5
重量%からなる潤滑油基油100重量部に対して、
(B)モリブデンジチオカーバメイト及びモリブデンジ
チオフォスフェイトから選ばれた油溶性有機Mo化合物
をMo含有量として、300〜1200ppm含むこと
を特徴とする内燃機関用潤滑油組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低温流動性に優れ、
省燃費性及びエンジン耐久性に優れた内燃機関用潤滑油
組成物に関し、詳しくは低粘度の接触脱蝋基油及び水素
化処理された基油をバランスよく配合し、有機Mo化合
物を適量配合した内燃機関用潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】地球全体の温暖化、オゾン層の破壊等、
地球規模での環境問題が大きくクローズアップされ、と
りわけ地球全体の温暖化に大きな影響があるといわれて
いるCO削減については各国でその規制値の決め方を
めぐって大きな関心を呼んでいる。CO削減について
は自動車の燃費の削減を図ることが大きな課題の一つで
あるが、潤滑油、とりわけエンジン油の果たす役割は大
きいものがある。
【0003】潤滑油における省燃費対策としては、低
粘度化による流体潤滑領域における粘性抵抗及びエンジ
ン内の攪拌抵抗の低減、最適な摩擦調整剤と各種添加
剤の配合による混合及び境界潤滑領域下での摩擦損失の
低減、が提言されており、摩擦調整剤としては有機Mo
化合物を中心として多くの研究がなされている。
【0004】特に最近は有機Mo化合物の効果が着目さ
れており、基本技術(特開昭51−80825号、同5
2−19629号、同52−106824号)に加え
て、精製度を上げた基油との組み合わせ(例えば、特許
公報2602102号、特開平6−313183号及び
同8−209178号)、省燃費性の持続性に優れた硫
黄系添加剤の併用(特公平5−83599号、特開平5
−163497号)等の改良技術が報告されている。
【0005】これまで報告されている多くはその適用エ
ンジン油としては、SAE(米国自動車技術車協会)の
粘度分類で見ると5W20もしくは5W30までであ
り、それ以下の低粘度品、例えば、0W20油等はむし
ろ燃費が悪化する(例えば、SAE Paper 93
2690)とされて適用の報告はなされていない。
【0006】エンジン油の粘度を5W20より更に下げ
た場合には、攪拌抵抗がより減少し、更なる省燃費性が
期待されると共に低温始動性も向上することから、始動
時のエンジンの空吹かしも減り、始動時の排気ガス低減
にも効果的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれまで
5W−20以下の低粘度化は、境界潤滑領域での摩擦が
増加し燃費がむしろ悪化するのと共に蒸発性等の問題か
らオイル消費が増加し、エンジン耐久性も悪化するとさ
れていた。
【0008】そこで本発明の課題は、低温流動性に優
れ、省燃費性及びエンジン耐久性に優れた内燃機関用潤
滑油組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低温流動
性に優れ、好ましくはSAE粘度分類0Wの低温粘度特
性を持つ、省燃費性に優れたエンジン油の開発について
鋭意検討を重ねた。その結果、低温流動性に優れた接触
脱蝋潤滑油基油と、水素化分解プロセスにより製造され
た潤滑油基油を最適量組み合わせ、有機Mo化合物を配
合した、SAE粘度分類5W以下の低温粘度特性を保
ち、省燃費性及びエンジン耐久性に優れた内燃機関用潤
滑油組成物を見出し、本発明を開発することができた。
【0010】即ち、本発明の上記課題は、 1.(A)100℃における動粘度2.5〜3.5mm
/s、流動点−30℃以下の接触脱蝋プロセスにより
製造される潤滑油基油1〜25重量%と、100℃にお
ける動粘度3.5〜7.0mm/s、芳香族含有量0
〜5重量%、流動点−15℃以下の水素化分解プロセス
により製造される潤滑油基油75〜99.5重量%から
なる潤滑油基油100重量部に対して、(B)モリブデ
ンジチオカーバメイト(以下、MoDTCと略す)及び
モリブデンジチオフォスフェイト(以下、MoDTPと
略す)から選ばれた油溶性有機Mo化合物をMo含有量
として、300〜1200ppm含むことを特徴とする
内燃機関用潤滑油組成物、
【0011】2.接触脱蝋プロセスにより製造される潤
滑油基油の流動点が−40℃以下であることを特徴とす
る上記1に記載の内燃機関用潤滑油組成物、
【0012】3.水素化分解プロセスにより製造される
潤滑油基油の粘度指数が120以上であることを特徴と
する上記1又は2に記載の内燃機関用潤滑油組成物、
【0013】4.潤滑油組成物のSAE粘度分類がOW
20であることを特徴とする上記1、2又は3に記載の
内燃機関用潤滑油組成物、の各々により達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。接触脱蝋基油は、触媒を用いて低温で析出し易い
ワックス分を異性化し、流動点を下げ低温性能を向上さ
せるプロセスで、その装置にかける原料油は、溶剤精製
生成基油もしくは水素化分解基油どちらも用いることが
可能である。接触脱蝋基油の低温性能の目安である流動
点は−30℃以下、好ましくは−40℃以下が望まし
い。
【0015】本基油は低温性能は優れているが、反面、
低粘度のため蒸発性が高く、また粘度指数が低いために
高温での粘度が低くなり、低温での始動性、高温での耐
久性を要求するエンジン油には単体では使用することが
できない。そこで粘度指数が高く、酸化安定性等に優れ
ている水素化処理された基油との組み合わせを検討した
結果、100℃における動粘度2.5〜3.5mm
s、流動点−30℃以下、好ましくは−40℃以下の接
触脱蝋プロセスにより製造される潤滑油基油1〜25重
量%と、100℃における動粘度が3.5〜7.0mm
/s、芳香族含有量0〜5重量%、流動点−15℃以
下で、好ましくは粘度指数120以上の水素化分解プロ
セスにより製造される潤滑油基油75〜99重量%の潤
滑油基油を組み合わせ、最適添加剤を配合することで、
目的の低粘度で省燃費性及びエンジン耐久性に優れた内
燃機関用潤滑油を開発することができた。
【0016】例えば、エンジン油の粘度分類であるSA
Eに規定された0W油は−30℃でも始動するように規
定されているが、従来使用されてきた溶剤精製基油及び
水素化分解もしくは水素化処理された基油のみでは、こ
の0Wの規定に適合することはできない。
【0017】そこで先に示した接触脱蝋基油と組み合わ
せることにより0Wの規定に適合し、且つオイル消費の
目安であるNOACK蒸散性についてもAPIエンジン
油性能分類であるAPISJ/ILSACGF−2に規
定されたNOACK22%以下の要求に十分満足するこ
とが可能となった。尚、接触脱蝋基油と水素化処理もし
くは水素化分解基油との配合量は、両者の粘度及び低温
性能に準じて請求項1の範囲で変更して選定することと
なる。
【0018】接触脱蝋プロセスにより製造される潤滑油
基油が1重量%未満では、低温性能が劣るため、低温で
の始動性が困難になるという不都合があり、また25重
量%を超えると、NOACK蒸散性に劣り、オイル消費
量が増加し、エンジン耐久性にも劣るという不都合があ
る。一方、水素化分解プロセスにより製造される潤滑油
基油が75重量%未満では、省燃費性、エンジン耐久性
に劣るという不都合がある。
【0019】摩擦調整剤等の配合も本発明には極めて有
効であり、境界潤滑領域における低粘度油の摩擦損失増
加に対してはMoDTCに代表される有機Mo化合物は
極めて重要である。
【0020】有機Mo化合物は、摩擦面にMoS皮膜
を生成し、金属間接触を防ぎ、低粘度油に由来する摩擦
係数増加を防止する。この有機Mo化合物はMo量とし
て300ppm未満では省燃費効果が少なく、また12
00ppmを超える含有量ではILSACGF−2に規
定されている高温清浄性試験TEOSTに合格すること
はできず、エンジン耐久性に劣る結果となる。
【0021】以上の必須成分の他に通常エンジン油に使
用するZnDTPに代表されるZn系酸化防止剤、アル
キル芳香族アミン、アルキルフェノール、アルキルジチ
オカーバメイト等の無灰系酸化防止剤、金属系清浄剤と
してはCa、Mg、Ba、Na各金属成分を含有するス
ルフォネート、フェネート及びサリシネート等のカルボ
キシル化合物等の各種化合物、コハク酸イミド、コハク
酸エステル等の無灰系分散剤、マルチグレードエンジン
油に使用するOCP(オレフィンコポリマー)PMA
(ポリメタアクリレート)OCPとPMAのMixタイ
プのポリマー、SDC(スチレンジエンコポリマー)等
の添加剤が併用可能である。その他の添加剤としては、
極圧添加剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤、着色剤等
も併用可能である。これら添加剤としては、公知のあら
ゆる種類のものを特別の制限なく用いることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例により本発
明を具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0023】実施例及び比較例に用いられた内燃機関用
潤滑油組成物を以下の表1(本発明の実施例)及び表2
(比較例)に示した。これらの潤滑油組成物の性能を以
下の試験機にて評価した。
【0024】(CCS粘度)試料油についてのCCS粘
度をJIS K2010に規定されるコールド・クラン
キング・シミュレータ(以下、CCSという)を用いた
エンジン油の見掛け粘度試験法にて測定した。尚、本試
験ではSAE5Wに規定されている−25℃(規格値3
500mPa.s以下)及びSAE5Wに規定されてい
る−30℃(規格値3500mPa.s以下)でのCC
S粘度を測定した。
【0025】(NOACK蒸発性試験)石油学会規格J
PI−5S−41−93で定められるエンジン油蒸発性
試験方法(NOACK法)にて、試料油の蒸発性を評価
した。APISJ/ILSACGF2に規定されている
蒸発性は22mass%以下である。
【0026】(エンジン試験)試験エンジンとして直列
4気筒、排気量2.2dm、OHCタイプのものを使
用した。試験条件は油温80℃、回転数1500rpm
の条件でモータリングした際の摩擦損失トルクを測定し
た。
【0027】(TEOST試験)エンジン内のエンジン
油の高温清浄性試験を評価する試験法で、最高油温48
0℃、試験時間114分の試験で試験後の試験機内に生
成したデポジット量を重量で測定する。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、低温流動性に優れ、省
燃費性及びエンジン耐久性に優れた内燃機関用潤滑油組
成物を提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】即ち、本発明の上記課題は、 1.(A)100℃における動粘度2.5〜3.5mm
/s、流動点−30℃以下の接触脱蝋プロセスにより
製造される潤滑油基油1〜25重量%と、100℃にお
ける動粘度3.5〜7.0mm/s、芳香族含有量0
〜5重量%、流動点−15℃以下の水素化分解プロセス
により製造される潤滑油基油75〜99重量%からなる
潤滑油基油100重量部に対して、(B)モリブデンジ
チオカーバメイト(以下、MoDTCと略す)及びモリ
ブデンジチオフォスフェイト(以下、MoDTPと略
す)から選ばれた油溶性有機Mo化合物をMo含有量と
して、300〜1200ppm含むことを特徴とする内
燃機関用潤滑油組成物、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 139:00) C10N 10:12 20:00 20:02 30:02 30:06 40:25 70:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)100℃における動粘度2.5〜
    3.5mm/s、流動点−30℃以下の接触脱蝋プロ
    セスにより製造される潤滑油基油1〜25重量%と、1
    00℃における動粘度3.5〜7.0mm/s、芳香
    族含有量0〜5重量%、流動点−15℃以下の水素化分
    解プロセスにより製造される潤滑油基油75〜99.5
    重量%からなる潤滑油基油100重量部に対して、
    (B)モリブデンジチオカーバメイト及びモリブデンジ
    チオフォスフェイトから選ばれた油溶性有機Mo化合物
    をMo含有量として、300〜1200ppm含むこと
    を特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
  2. 【請求項2】接触脱蝋プロセスにより製造される潤滑油
    基油の流動点が−40℃以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】水素化分解プロセスにより製造される潤滑
    油基油の粘度指数が120以上であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】潤滑油組成物のSAE粘度分類がOW20
    であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内
    燃機関用潤滑油組成物。
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