JPH11286224A - 差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車 - Google Patents

差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車

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JPH11286224A
JPH11286224A JP8989098A JP8989098A JPH11286224A JP H11286224 A JPH11286224 A JP H11286224A JP 8989098 A JP8989098 A JP 8989098A JP 8989098 A JP8989098 A JP 8989098A JP H11286224 A JPH11286224 A JP H11286224A
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JP
Japan
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transmission
wheel drive
limiting mechanism
differential limiting
torque
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JP8989098A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Kanetani
勉 金谷
Kazunobu Sato
員暢 佐藤
Atsushi Yamashita
淳 山下
Yoshihiro Fukumoto
好博 福本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maruyama Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Maruyama Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 総輪駆動運搬車において、分担荷重の変化に
基づくタイヤの動荷重半径の差によるタイヤ摩耗を抑制
するとともに地面からタイヤが浮き上がったときでも残
りの車軸に所定の駆動トルクを伝達可能にする。 【解決手段】 一つの原動機から全ての車輪にトランス
ミッションを介して駆動トルクを伝達するように構成さ
れた総輪駆動運搬車において、トランスミッション32
の出力ギア26と、このギア26に固着されたケージ1
0と、このケージ10内に配設され、このケージ10と
一体に回転かつ軸方向に摺動可能なカムフォロワ12
と、このカムフォロワ12の側面側に係脱自在とされた
一対のフェイスカム14a、14bと、これらのフェイ
スカム14a、14bをカムフォロワ12に向かって押
し付けるように力を作用させた皿ばね16とを有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜地用運搬車、
作業車両、不整地運搬車等のオフロードの総輪駆動運搬
車であって、一つの原動機から全ての車輪にトランスミ
ッションを介して駆動トルクを伝達するように構成され
た差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆
動運搬車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、畑、果樹園、山等の傾斜地用運
搬車等のオフロードの総輪駆動運搬車では、約1.5〜
5km/hの低速で旋回時にブレーキをかけないで走行
する必要がある。このため、たとえば果樹園のように作
物が密植されている場所において、薬液を散布する防除
作業等により、小回りが必要なときには、ステアリング
ハンドルを操作するとともに、旋回方向内側の後輪のみ
を制動する、いわゆる片ブレーキにより、ステアリング
ハンドル操作のみの場合よりも、旋回半径を縮小して小
回りできるようにする。また、従来の別の総輪駆動運搬
車のトランスミッションとして実公平4−44212号
公報に示されるようなものがある。これは、ベルクラン
ク24及び棒状のドラッグリンク25から構成される逆
相4輪操舵装置を有し、ステアリングハンドルの操作に
より、旋回内輪側の前後輪を互いに接近する方向に移動
させたり、旋回外輪側の前後輪を互いに遠ざかるように
移動させたりする逆相4輪操舵動作により、旋回半径を
縮小して小回りできるようにしている。さらに、従来の
総輪駆動運搬車では、駆動トルクは、走行用原動機から
トランスミッションを経て前後のプロペラシャフトに分
配され、前後軸中央の前後デフを介して前後輪へと伝え
られる。また、デフは、旋回時内外輪半径の違いに基づ
く内外輪の摩耗を防止するため、内外輪の相対回転を調
整するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の総輪駆動運搬車の片ブレーキによる旋回方
法には、非制動側の車輪の動きによって、制動側の車輪
が強制的に引きずられるヨーモーメントのため、土が寄
せられて地面が荒れたり、作物の根が切断されたりして
果樹園等の土壌が傷められ、更にタイヤが摩耗しやすい
という問題点がある。また、総輪駆動運搬車の小旋回時
に、前後輪の軌跡差によるブレーキがかかった状態とな
るタイトコーナーブレーキング現象による大きな走行抵
抗が発生するという問題点がある。上記の実公平4−4
4212号公報に示されるものにおいては、片ブレーキ
を使用しないで旋回できるので、上述のような地面の荒
れ、作物の根の切断、タイヤの摩耗促進等の問題なしに
小回り旋回できるが、逆相4輪操舵装置(4輪駆動車の
場合)や、この装置を駆動する油圧機器(ステアリング
シリンダ23等)を必要とするため、車体や油圧回路が
設計変更になり、装置の価格が高くなるという問題点が
ある。
【0004】また、上述のような従来のものに共通し
て、急傾斜地での旋回時には、左右の車輪にかかる荷重
が不均一になるが、各車輪には何ら調整することなく駆
動トルクが供給される構成であるため、大きい荷重のか
かる車輪の出力トルクが不足して、車両が旋回不能にな
ることがある。更に、車輪の全てが接地している場合は
よいが、脱輪時等で地面から浮き上がった車輪がある
と、ここから無駄な駆動トルクが流出してしまうため、
デフロック装置が付加されない限り、エンジンの出力ト
ルクを有効に利用できないことがある等の問題点があ
る。ところで、各車輪の分担荷重がほぼ一定と見なせる
乗用車でさえ、タイヤの摩耗は否めない。特に、総輪駆
動運搬車では、荷の積載時と非積載時とで、各車輪の分
担荷重が大きく異なる場合があり、動荷重半径(負荷時
タイヤが1回転したとき進む距離から求めた半径)が異
なることが原因でタイヤが摩耗していた。たとえば、容
量1000リットルの薬剤タンクを有する薬剤散布車の
場合、格納時(タンク内は空のとき)には左右前輪の分
担荷重は約300kgf、左右後輪の分担荷重は約56
0kgfであるのに対して、作業時(薬液1000リッ
トルを満たしたとき)には左右前輪の分担荷重は約60
0kgf、左右後輪の分担荷重は約760kgfであ
る。
【0005】また、前後輪で車輪の径が異なるものを用
いる場合がある。例えば、悪路における走行性の向上を
目指し、前輪の揺動を許容するため、あるいは薬剤散布
等において、車高を低く保つように運転席を前軸上方付
近に設けることがあり、かかる場合に、前輪を、後輪に
比較して径を小とすることも行われている。これらの車
両では、原動機から所定の大きさの駆動トルクが各車軸
・各車輪へと伝えられ、トランスミッションやデフのみ
では旋回時の内外輪の回転半径差や動荷重半径を十分に
補正するのは困難である。このため、タイヤが偏摩耗し
たり、地面を荒らし、土寄せすることが生じ、特に、ブ
レーキを作用させながらの急旋回時には、これが顕著で
あるために、例えば、果樹園の圃場では、樹木の根を損
傷することが問題となっている。
【0006】本発明は、これらに鑑みて提案されたもの
で、車輪から受けるトルクが設定値以上となったとき、
設定値の範囲で駆動トルクを分配する差動制限機構をト
ランスミッションに設けることで、車輪の動荷重半径の
基づく偏摩耗を防止し、ブレーキをかけずに急旋回し、
しかも地面を荒らさずに走行することが可能な差動制限
機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車を
提案するものである。すなわち、本発明は、一つの原動
機から全ての車輪にトランスミッションを介して駆動ト
ルクを伝達するように構成された総輪駆動運搬車の駆動
効率を向上し、小旋回時の旋回性能を向上する差動制限
機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車を
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、旋回中等にお
いて車輪から受けるトルクが設定値以上となったとき、
設定値の範囲で駆動トルクを分配することができるよう
な差動制限機構をトランスミッションに設けることによ
り、上記課題を解決する。すなわち、本発明は、一つの
原動機から全ての車輪にトランスミッションを介して駆
動トルクを伝達するように構成された総輪駆動運搬車に
おいて、一本の入力軸のトルクを、二本の出力軸に、負
荷に応じて必要な値に分配する差動制限機構を有してな
る差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆
動運搬車である(請求項1)。また、請求項2記載の発
明は、請求項1記載の差動制限機構付きトランスミッシ
ョンを備えた総輪駆動運搬車において、前記差動制限機
構は、カム式としたものである。
【0008】請求項3記載の発明は、一つの原動機から
全ての車輪にトランスミッションを介して駆動トルクを
伝達するように構成された総輪駆動運搬車において、ト
ランスミッション(32)の出力ギヤ(28)と噛み合
わされたギヤ(26)と、このギヤ(26)に固着され
たケージ(10)と、ケージ(10)内に配設され、こ
のケージ(10)と一体に回転かつ軸方向に摺動可能な
カムフォロワ(12)と、カムフォロワ(12)の側面
側に係脱自在とされた一対のフェイスカム(14a、1
4b)と、これらのフェイスカム(14a、14b)を
カムフォロワ(12)に向かって押し付けるように力を
作用させる皿ばね(16)とを有してなる。請求項4記
載の発明は、前記ケージ(10)には、内周面の軸方向
に平行なスプライン溝(10a)が形成されるととも
に、前記カムフォロワ(12)は、前記スプライン溝
(10a)に係合し摺接可能な係合突条(12a)を有
する当接面を底面とし、ケージ中心へ向ける六角錐台と
され、ケージ内周面に沿って複数並設され、前記フェイ
スカム(14a、14b)には、このカムフォロワ(1
2)の斜面に係脱自在に摺接可能な連続する山形のカム
面(14a2、14b2)を形成されてなる差動制限機
構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車であ
る。
【0009】請求項5記載の発明は、前記総輪駆動運搬
車が、前輪が小径、後輪が大径とされる。請求項6記載
の発明は、前記総輪駆動運搬車が、前後輪が同径とされ
る。請求項7記載の発明は、前記総輪駆動運搬車が、薬
剤タンクを備える薬剤散布車とされる。なお、かっこ内
の符号は、実施の形態の対応する部材を示す。
【0010】車両のトランスミッションに設けられた差
動制限機構は、車両の旋回中等において、いずれかの出
力軸の駆動トルクに余裕が生じ、相対的に速く回転し始
めると、差動制限により、これと反対に大きいトルクの
必要な出力軸の回転は減速し、この減速によって余った
トルクを大きいトルクの必要な出力軸に分配する。従っ
て、急傾斜地等で旋回時に各出力軸にかかる荷重に不均
一が生じても、大きい駆動トルクの必要な出力軸に大き
い駆動トルクを供給することができるので、荷重不均一
による旋回不能の発生を従来よりも少なくすることがで
きる。また、脱輪等で地面から浮き上がった車輪がある
場合には、その車輪の回転速度を低下させて伝達トルク
を制限し、それによって余ったトルクを、接地している
他の車輪に供給することができるので、エンジンの発生
トルクを有効に利用することができる。旋回時にタイヤ
の引きずりが発生しないので、地面が荒れたり、作物の
根が切断されたり、タイヤが摩耗しやすいというような
ことが改善される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図によ
り、以下に詳細に説明する。図1に、4輪駆動運搬車に
対し本発明を実施した概略図を示す。図2に、本発明が
適用される4輪駆動運搬車の動力伝達系統を示す。図2
に示すように、車両のエンジン30の駆動トルクは、ト
ランスミッション32、差動制限機構20、出力軸22
(又は24)、プロペラシャフト29(又は31)、デ
フ33(又は34)を介して車輪35(又は36)に伝
達されるように構成されている。トランスミッション3
2の出力ギヤ28は、図1に示すように、差動制限機構
20のギヤ26と噛み合っている。ギヤ26は、図示し
てないボルト・ナットをもってケージ10と一体化され
ているが、図1では接続部分の境界線を省略して共通の
斜線を施してある。ケージ10及びギヤ26によって形
成される空間27内に差動制限機構20のカム機構が収
容されている。
【0012】差動制限機構20は、ギヤ26、ケージ1
0、カムフォロワ12、2つのフェイスカム14a、1
4b及び図示されない皿ばね等によって構成される。差
動制限機構20は、後述するように、一本の入力軸のト
ルクを、二本の出力軸に、負荷に応じて必要な値に分配
するものであり、車両の旋回中等において、前後輪の一
方の出力軸に限界を越える大きいトルクが作用し、速く
回転し始めると、差動制限により、これと反対側の大き
いトルクの必要な他方の出力軸に余ったトルクを分配す
るものである。なお、図2において、符号37は主ブレ
ーキ、38は駐車ブレーキ、39は送風機である。な
お、本実施の形態では、4輪駆動運搬車は、スピードス
プレーヤ等の薬剤散布車を対象としている。但し、これ
に限定されるものではなく、不整地等において、急旋回
を必要とするとする運搬車、傾斜地等を走行する運搬車
等であっても良い。
【0013】以下に、差動制限機構20について、詳細
に説明する。図3に分解斜視図を示すように、差動制限
機構20は、リング状で内周面に略スプライン溝状のケ
ージ溝10aが形成されたケージ10と、ここに当接す
る面にケージ溝10aにはめ合わされる係合突条12a
を有し、かつケージ10中心へ向けて六角錐台からなる
複数のカムフォロワ12と、カムフォロワ12の両側面
側に配置され円盤面に連続山形状に形成されたカム面1
4a1、14b1を有するフェイスカム14a、14b
と、このフェイスカム14a、14bのカム面14a
1、14b1をカムフォロワ12に向かって所定の押付
力で押し付けるように作用させた皿ばね16とからな
る。また、第1フェイスカム14aには、出力軸22に
一体回転可能にスプラインを介してはめ合わされ、同様
に第2フェイスカム14bには、出力軸24に一体回転
可能にスプラインを介してはめ合わされるようになって
いる。
【0014】なお、図3中、符号40,41はスラスト
ベアリング、42,43はスラストワッシャ、44はシ
ム、45,46はラジアルベアリング、47,48はラ
ジアルベアリング45,46を保持するシャフトハブ、
49は、出力軸24(図1参照)との間の油漏れを防止
するオイルキャッチャ、50は取付ねじである。前記ス
ラストワッシャ42、43あるいはシム44の厚みを変
えることで、前記フェイスカム14a、14bのカムフ
ォロワ12に対する皿ばね16の付勢力を変えることが
できる。
【0015】次に、この実施の形態の作用を説明する。
図1に示すように、トランスミッション32から出力ギ
ヤ28に伝達された駆動トルクは、更に、差動制限機構
20のギヤ26、ケージ10、カムフォロワ12、第1
のフェイスカム14a及び第2のフェイスカム14bを
介して前輪側出力軸22,後輪側出力軸24に伝達され
る。この場合、図4において、ケージ10の内周面のケ
ージ溝10aを介して、カムフォロワ12に図中下方向
に駆動力が作用したとき、太線A、B、C、及びDで示
すように、フェイスカム14a及び14bのカムの山頂
に向かう状態にある係合突条12a、12a等がト
ルクをフェイスカム14a及び14bに伝達し、フェイ
スカム14a及び14bのカムの谷底に向かう状態にあ
る係合突条12a、12a等はトルクをフェイスカ
ム14a及び14bに伝達しない。なお、図4中で背後
に隠れて見えていない複数の係合突条も同様にして、カ
ムの山頂に向かう状態にあるか、カムの谷底に向かう状
態にあるかに応じて、トルクを伝達するものと、トルク
を伝達しないものとに振り分けられることになる。
【0016】(直進機能)図4において、第1フェイス
カム14aと一体回転可能な前輪側出力軸22の回転速
度NL が、第2フェイスカム14bと一体回転可能な後
輪側出力軸24の回転速度NR と等しいときには、カム
フォロワ12の各係合突条12a、12a…に図中左右
方向の動きはほとんどない。従って、差動制限機構20
に伝達された駆動トルクは、差動制限をすることなく、
出力軸22,24を経て前後の車輪に均等に分配され
る。すなわち、前輪側出力軸22の駆動トルクTL は後
輪側出力軸24の駆動トルクTR と等しくなる。
【0017】(差動機能)次に、前後輪に連なる軸に、
たとえば、図5中左側の第1フェイスカム14aが図中
下方向に速く回転したとする(図中右側の第2フェイス
カム14bは、停止していると仮定する)。まず、カム
フォロワ12の係合突条12aは、第1フェイスカム
14aを図中下方向に押し下げるように回転させ、駆動
トルクを伝達する(同図(a))。これと同時に、係合
突条12aは、第2フェイスカム14bの移動に伴っ
てカムの谷底方向に滑り、谷底に至るまで、ケージ10
のケージ溝10aに沿って図中左方向に移動していくこ
とになる。また、係合突条12aは、フェイスカム1
4aのカムの谷底に達し、ケージ10のケージ溝10a
内において、図中最も左に移動した位置に位置し、トル
クを伝達できない状態となる。一方、係合突条12a
は、カムの斜面を押す状態ではなく、第1フェイスカム
14aによって図中右方に押され、第2フェイスカム1
4bの斜面を滑り降りながらケージ溝10a内を(図中
右方向に)移動する。また、係合突条12aは、第1
フェイスカム14aの頂部を乗り越えて、このカム面を
押し始める(同図(b))。次に、係合突条12a
は、第1フェイスカム14aのカムの谷底に達し、ケー
ジ10のケージ溝10a内において、図中最も左に移動
した位置に達し、トルクを伝達できない状態となる。こ
の状態では係合突条12a、ともに駆動トルクを伝
達できないが、係合突条12aは第1フェイスカム1
4aに押されて図中右方向に移動する。また、係合突条
12a、は、第1フェイスカム14aを図中下方に
押して、第1フェイスカム14aに駆動トルクが伝達さ
れることになる(同図(c))。
【0018】次に、係合突条12a、ともに、依然
として駆動トルクを伝達できないが、第1フェイスカム
14aに押されて、更に、図中右方向に移動する。ま
た、係合突条12a、は、第1フェイスカム14a
を図中下方に押して、第1フェイスカム14aに駆動ト
ルクが伝達される状態が続く(同図(d))。このよう
にして、図5(a)から同図(d)の状態が順次繰り返
されて、図中左側の第1フェイスカム14aの回転速度
NL が、図中右側の第2フェイスカム14bの回転速度
NR (ゼロと仮定してある)よりも大きい状態とされ
(NL >NR )、円滑な前後輪の差動動作が許容され
る。すなわち、前後の回転差を保持しながら前進してい
くことができるので、小回り旋回が可能となる。なお、
上述の説明においては、説明のために、第2フェイスカ
ム14bの回転速度NR をゼロと仮定したが、実際に
は、必要とする旋回半径の大きさに応じて、第2フェイ
スカム14bの回転速度NR は、ゼロよりは大きいが、
第1フェイスカム14aの回転速度NL よりは小さい範
囲内の値をとることになる。
【0019】(差動制限トルク機能)上述のように、カ
ムフォロワ12の係合突条12aに、第1フェイスカム
14aのカム山を下方に押す力が働くと、この力の一部
が第1フェイスカム14aを回転させる駆動力となると
ともに、図6(a)に示すように残りの力は両接触面間
で摩擦力fL として作用し、また、係合突条12aと第
2フェイスカム14bとの接触面間で摩擦力fR として
作用する。その際、速く回転する方の第1フェイスカム
14aには小さい駆動トルクが伝達されるが、これに皿
ばね16による押付力(ブレーキ力)が作用して差動回
転が制限されることにより、遅く回転する方の第2フェ
イスカム14bには大きい駆動トルクが伝達されること
になる(TR >TL )。カムフォロワ12の係合突条1
2aをフェイスカム14a、14bに押し付ける力が大
きいほど、摩擦力(ブレーキ力)は大きくなるが、この
力の大きさは、皿ばね16の初期設定力によって決まる
ことになる。このようなトルク配分の状態は、同図
(b)→同図(c)→同図(d)のように変化してい
く。上述した作用により、トルク感応型の差動制限機能
が得られる。すなわち、回転速度の差を強制的に制限し
て、これに応じた駆動トルクの差を生じさせ、前後軸に
対してトルクの配分が行われることになる。
【0020】なお、上記実施の形態の説明においては、
4輪駆動運搬車に本発明を適用するものとしたが、6輪
駆動等の作業車にも本発明を適用することができる。こ
の場合、車輪を駆動する複数の出力軸のうちで、最も前
方の出力軸と最も後方の出力軸との間に本発明を実施す
るようにすればよい。また、4輪駆動運搬車の前後輪の
タイヤ径が異なるものに適用することもできる。前後輪
で同じ減速比にしたい場合に、トルク分配により動力を
振り分けることができるので、減速比の違いを吸収して
同じ減速比として回転数を調整することが可能となる。
このため、前輪の揺動を許容するため、あるいは薬剤散
布等において、車高を低く保つように運転席を前軸上方
付近に設けることがあり、かかる場合に、前輪を、後輪
に比較して径を小とすることがある。これらの車両で
は、原動機から所定の大きさの駆動トルクが各車軸・各
車輪へと伝えられるが、本実施の形態の差動制限機構を
適用することにより、旋回時の内外輪の回転半径差や動
荷重半径を十分に補正することができる。このため、従
来のように、急旋回時等に、タイヤが偏摩耗したり、地
面を荒らし、土寄せしたりすることがなく、果樹園の圃
場において、樹木の根を損傷することを防止することが
できる。なお、駆動力分配制御としては、多板クラッチ
式のもの、ビスカス式のもの、ウォームギヤ式のもの等
を使用することもできるが、本発明のカム式のものが特
に好適である。
【0021】本発明により、旋回時間比率は従来の約2
0%となり、旋回性の向上により旋回時間を1/3とす
ることができ、作業時間は約15%削減でき、作業効率
が向上する。また、従来、傾斜地において、前輪荷重が
30%に減少した場合、駆動力分配制御無しの場合、総
駆動力は、80%となるが、本発明では、駆動力配分制
御により、前輪と後輪の駆動力を各々30%、70%と
することができ、総駆動を100%に近いものとするこ
とができる。旋回時の駆動効率が約25%向上する、旋
回時間比率20%、作業時間削減15%を考慮すると、
20%の燃費向上ができる。
【0022】
【実施例】図3に示すような本発明の差動制限機構を、
排気量2000ccの4輪駆動乗用車のトランスミッシ
ョンに組込んで各種試験を行った。 (1)台上試験 (a)耐久試験:一般道路走行で10万km相当の駆動
試験。 (b)トルクバイアス特性試験:差動回転30rpm、
油温30℃。 (2)車両試験 (a)一般道路で5000km、山岳路で5000km
の走行試験。 (b)エンジンの最大トルクで急発進:前進50回,後
退20回、「8」字旋回:50回、旋回半径20m、速
度40〜50km/hで通常の円旋回:左20回,右2
0回。 (3)スプリットμ路での加速性試験 片側アスファルトの路面(μ=0.8)、反対側エポキ
シ樹脂+散水の路面(μ=0.0)の条件で、走破試
験。 (4)低μ路での制動試験 (5)ノイズ確認試験 (a)フル転舵、低速走行 (b)100km高速走行 それぞれの試験終了毎に各部点検を行ったが、結果はい
ずれも良好で、機能上全く問題はなかった。低μ路での
制動試験及びABSとの適応性の実験においては、従来
のものと比較して、優れた性能を示した。トルクバイア
ス特性試験では、トルクバイアス比は入力トルクに関係
なく一定であった。ノイズ確認試験では、車外及び車内
共にノイズは全く聞こえないという結果が出た。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の差動
制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬
車は、急傾斜地等で各出力軸にかかる荷重に不均一が生
じても、大きい駆動トルクの必要な出力軸のみに大きい
駆動トルクを供給することができるので、従来のような
荷重不均一による旋回不能ということがなく、旋回性を
向上することができる。このため、旋回性の向上によ
り、果樹園等における小回り旋回ができるため、薬剤を
隅々まで散布することが可能となる。さらに、車輪から
受けるトルクが設定値以上となったとき、一本の入力軸
のトルクを、二本の出力軸に、負荷に応じて必要な値に
分配する差動制限機構をトランスミッションに設けるこ
とで、積載時と被積載時とで大きく変動する荷重分担に
起因する車輪の動荷重半径に基づく偏摩耗を防止し、ブ
レーキをかけずに急旋回し、しかも地面を荒らさずに走
行することができる。また、脱輪等で地面から浮き上が
った車輪がある場合には、その車輪の回転速度を低下さ
せて伝達トルクを制限し、それによって余ったトルク
を、接地している他の車輪に供給することができるの
で、エンジンの発生トルクを有効に利用することができ
る。
【0024】更に、前後輪のタイヤが同径でないタイヤ
に適用することにより、同じ減速比としたい場合には、
トルクを分配することにより、前後輪の回転数を調整す
ることができる。旋回時にブレーキをかけずに、旋回で
きるため、従来のようなタイヤの引きずりが発生しない
ので、土を掘り起こして地面が荒れたり、作物の根が切
断されたりすることがないため、土壌が痛むことがな
く、更に、タイヤが摩耗しやすいというようなことはな
くなる。差動制限機構は、従来の差動装置のサイドギヤ
等の部品と置き換えて装置内に組込むことができるの
で、車体の変更は小規模のもので済み、また、油圧回路
を必要としないので、油圧回路を変更する必要はない。
従って、従来よりも高性能な装置でありながら、装置の
価格を比較的安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す後輪デフの概略構成
図である。
【図2】本発明が適用される4輪駆動作業車の動力伝達
系統を説明する図である。
【図3】差動制限機構の分解斜視図である。
【図4】車両直進時の差動制限機構の動作を説明する図
である。
【図5】車両旋回時の差動制限機構の作用を説明する図
で、同図(a)、同図(b)、同図(c)、同図(d)
は、それぞれ状態の変化を示す図である。
【図6】車両旋回時の差動制限機構の作用を説明する図
で、同図(a)、同図(b)、同図(c)、同図(d)
は、それぞれ状態の変化を示す図である。
【符号の説明】
10 ケージ 10a ケージ溝 12 カムフォロワ 12a 係合突条 14a 第1フェイスカム 14a1 カム面 14a2 カム面 14b 第2フェイスカム 14b1 カム面 14b2 カム面 16 皿ばね 20 差動制限機構 22、24 出力軸 26 ギヤ 27 空間 28 出力ギヤ 30 エンジン 32 トランスミッション
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】更に、前後輪のタイヤが同径でないタイヤ
に適用することにより、同じ減速比としたい場合には、
トルクを分配することにより、前後輪の回転数を調整す
ることができる。旋回時にブレーキをかけずに、旋回で
きるため、従来のようなタイヤの引きずりが発生しない
ので、土を掘り起こして地面が荒れたり、作物の根が切
断されたりすることがないため、土壌がむことがな
く、更に、タイヤが摩耗しやすいというようなことはな
くなる。差動制限機構は、従来の差動装置のサイドギヤ
等の部品と置き換えて装置内に組込むことができるの
で、車体の変更は小規模のもので済み、また、油圧回路
を必要としないので、油圧回路を変更する必要はない。
従って、従来よりも高性能な装置でありながら、装置の
価格を比較的安くすることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つの原動機から全ての車輪にトランス
    ミッションを介して駆動トルクを伝達するように構成さ
    れた総輪駆動運搬車において、 一本の入力軸のトルクを、二本の出力軸に、負荷に応じ
    て必要な値に分配する差動制限機構を有してなる差動制
    限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬
    車。
  2. 【請求項2】 前記差動制限機構は、カム式である請求
    項1記載の差動制限機構付きトランスミッションを備え
    た総輪駆動運搬車。
  3. 【請求項3】 一つの原動機から全ての車輪にトランス
    ミッションを介して駆動トルクを伝達するように構成さ
    れた総輪駆動運搬車において、 トランスミッション(32)の出力ギヤ(28)と噛み
    合わされたギヤ(26)と、 このギヤ(26)に固着されたケージ(10)と、 ケージ(10)内に配設され、このケージ(10)と一
    体に回転かつ軸方向に摺動可能なカムフォロワ(12)
    と、 カムフォロワ(12)の側面側に係脱自在とされた一対
    のフェイスカム(14a、14b)と、 これらのフェイスカム(14a、14b)をカムフォロ
    ワ(12)に向かって押し付けるように力を作用させる
    皿ばね(16)とを有してなる差動制限機構付きトラン
    スミッションを備えた総輪駆動運搬車。
  4. 【請求項4】 前記ケージ(10)には、内周面の軸方
    向に平行なスプライン溝(10a)が形成されるととも
    に、 前記カムフォロワ(12)は、前記スプライン溝(10
    a)に係合し摺接可能な係合突条(12a)を有する当
    接面を底面とし、ケージ中心へ向ける六角錐台とされ、
    ケージ内周面に沿って複数並設され、 前記フェイスカム(14a、14b)は、このカムフォ
    ロワ(12)の斜面に係脱自在に摺接可能な連続する山
    形のカム面(14a2、14b2)を形成されてなる請
    求項3記載の差動制限機構付きトランスミッションを備
    えた総輪駆動運搬車。
  5. 【請求項5】 前記総輪駆動運搬車は、前輪が小径、後
    輪が大径とされる請求項1乃至4のいずれかに記載の差
    動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運
    搬車。
  6. 【請求項6】 前記総輪駆動運搬車は、前後輪が同径と
    される請求項1乃至4のいずれかに記載の差動制限機構
    付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車。
  7. 【請求項7】 前記総輪駆動運搬車は、薬剤タンクを備
    える薬剤散布車とされる請求項1乃至6のいずれかに記
    載の差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪
    駆動運搬車
JP8989098A 1998-04-02 1998-04-02 差動制限機構付きトランスミッションを備えた総輪駆動運搬車 Pending JPH11286224A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232079A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Univance Corp トランスファ装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232079A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Univance Corp トランスファ装置

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