JPH11285383A - 新規な挿入配列 - Google Patents

新規な挿入配列

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JPH11285383A
JPH11285383A JP10088748A JP8874898A JPH11285383A JP H11285383 A JPH11285383 A JP H11285383A JP 10088748 A JP10088748 A JP 10088748A JP 8874898 A JP8874898 A JP 8874898A JP H11285383 A JPH11285383 A JP H11285383A
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JP
Japan
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nucleic acid
acid sequence
primer
sequence
dna fragments
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Pending
Application number
JP10088748A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Kusumoto
楠本  正博
Yoshiaki Nishiya
西矢  芳昭
Yoshihisa Kawamura
川村  良久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大腸菌の染色体上の新規な挿入配列の核酸配
列、該挿入配列を利用した迅速かつ簡便な細菌型別方法
を提供する 【解決手段】配列番号1に示される核酸配列または該配
列に相補的な核酸配列を有する新規な挿入配列、該配列
のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列
を含有するオリゴヌクレオチド、および該オリゴヌクレ
オチドである核酸増幅プライマー、熱安定性DNAポリ
メラーゼ、dNTPおよび緩衝液を含む細菌の染色体上
に複数のコピーが存在する挿入配列に挟まれた複数の領
域のDNA断片からDNA断片を増幅する方法および試
薬。ならびに該DNA増幅方法で得られた増幅DNA断
片の鎖長を比較する細菌の型別方法。上記挿入配列をベ
ロ毒素遺伝子に挿入することにより、ベロ毒素産生性大
腸菌のベロ毒素産生能を消失させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌の染色体上の
新規な挿入配列および該挿入配列に挟まれた複数の領域
のDNA断片から1つまたはそれ以上のDNA断片を増
幅するための試薬および該増幅方法ならびに細菌を型別
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転移因子とは、染色体上で転移し得るD
NA断片で、原核生物から真核生物までの広い範囲の生
物に存在することが知られている。細菌の転移因子は、
挿入配列(IS)とトランスポゾンに分類される。IS
は通常、大きさが760〜2,000bp程度のDNA
断片であり、その両端に8〜25bp程度の逆向きの繰
り返し構造(インバーテッドリピート)を有し、内部に
は転移に必要な酵素であるトランスポゼースをコードす
る配列がみられる。
【0003】一方、トランスポゾンはインバーテッドリ
ピートおよびトランスポゼースをコードする配列に加え
て、転移には直接関与しない薬剤耐性遺伝子などを併せ
持つ転移因子であり、2つのISの間に薬剤耐性遺伝子
が挟まれた構造のものと、IS内に薬剤耐性遺伝子が挿
入された構造のものが存在する。
【0004】また、大腸菌においては染色体上に数種類
のISがあり、それぞれのISについて複数個のコピー
が存在することも知られている。
【0005】ISをはじめとする転移因子は、その転移
により広く染色体の再編成(挿入、切断、逆位、欠失な
ど)に関与し、細菌の染色体における各種遺伝子群の配
置を変化させる。したがって、細菌の染色体におけるI
Sの配置は該菌株の特徴を示すものであり、その解析に
よる細菌の型別は特定の細菌の分布あるいは伝搬経路な
どを探る目的で行われる疫学調査にも十分に適用し得
る。特に、近年頻発している病原性大腸菌(O157な
ど)への集団感染においては、食品あるいは食材料に関
する疫学調査の結果、感染の原因と判断し得る食材が同
定された事例もみられた。
【0006】現在、疫学調査における細菌の型別には、
染色体DNAの制限酵素切断パターンをパルスフィール
ドゲル電気泳動によって調べる方法が、最も一般的に行
われている。しかし、パルスフィールドゲル電気泳動は
信頼性が高い反面、正確な結果を得るためには技術的に
熟練を要する操作を伴い、さらには結果が判明するまで
に24時間以上を必要とする問題も指摘されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大腸
菌の染色体上の新規なISの核酸配列、ならびに該IS
に挟まれた複数の領域のDNA断片から1つまたはそれ
以上の該DNA断片を増幅し、該増幅DNA断片の鎖長
を比較することにより、迅速かつ簡便に細菌を型別する
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために種々鋭意検討したところ、ベロ毒素産
生性大腸菌の産生するベロ毒素2型(VT2)をコード
する遺伝子およびVT2遺伝子に挿入されることにより
VT2遺伝子を不活性化するISとして、新規なISを
見出した。
【0009】すなわち、本発明は配列番号1に示される
核酸配列または該配列に相補的な核酸配列を有すること
を特徴とする新規な挿入配列である。
【0010】また、本発明は、配列番号1に示される核
酸配列または該配列に相補的な核酸配列のうち、少なく
とも連続した15塩基よりなる核酸配列を含有すること
を特徴とするオリゴヌクレオチドである。
【0011】さらに、本発明は配列番号2または3に示
される核酸配列または該配列に相補的な核酸配列のう
ち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列を含
有することを特徴とするオリゴヌクレオチドである。
【0012】本発明は、細菌の染色体上に複数のコピー
が存在する挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA断片
から1つまたはそれ以上のDNA断片を増幅するための
試薬であって、少なくとも2種のプライマーが、配列番
号2および3に示される核酸配列または該配列に相補的
な核酸配列のうち、少なくとも連続した15塩基よりな
る核酸配列を含有するオリゴヌクレオチドであり、一方
のプライマーの伸長生成物が、その相補体から分離され
た場合に、他方のプライマーの鋳型となるプライマー、
熱安定性DNAポリメラーゼ、dNTPおよび緩衝液を
含むことを特徴とするDNA断片の増幅用試薬である。
【0013】また、本発明は細菌の染色体上に複数のコ
ピーが存在する挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA
断片から1つまたはそれ以上のDNA断片を増幅するた
めの試薬であって、プライマーが、配列番号2および3
に示される核酸配列または該配列に相補的な核酸配列の
うち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列を
含有するオリゴヌクレオチドであり、該プライマーの伸
長生成物が、その相補体から分離された場合に、同じプ
ライマーの鋳型となるプライマー、熱安定性DNAポリ
メラーゼ、dNTPおよび緩衝液を含むことを特徴とす
るDNA増幅用試薬である。
【0014】また、本発明は、細菌の染色体上に複数の
コピーが存在する挿入配列に挟まれた複数の領域のDN
A断片から1つまたはそれ以上の該DNA断片を増幅す
る方法であって、少なくとも2種のプライマーとして、
配列番号2および3に示される核酸配列または該配列に
相補的な核酸配列のうち、少なくとも連続した15塩基
よりなる核酸配列を含有するオリゴヌクレオチドを使用
し、一方のプライマーの伸長生成物が、その相補体から
分離された場合に、他方のプライマーの鋳型となること
を特徴とするDNA断片の増幅方法である。
【0015】さらに、本発明は細菌の染色体上に複数の
コピーが存在する挿入配列に挟まれた複数の領域のDN
A断片から1つまたはそれ以上の該DNA断片を増幅す
る方法であって、プライマーとして、配列番号2および
3に示される核酸配列または該配列に相補的な核酸配列
のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列
を含有するオリゴヌクレオチドを使用し、該プライマー
の伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、同
じプライマーの鋳型となることを特徴とするDNA増幅
方法である。
【0016】本発明は、上記DNA増幅方法で得られた
1つまたはそれ以上の増幅DNA断片の鎖長を比較する
ことを特徴とする細菌の型別方法である。
【0017】また、本発明は上記DNA増幅方法で得ら
れたDNA断片を制限酵素で消化し、該DNA断片の鎖
長を比較することを特徴とする細菌の型別方法である。
【0018】さらに、本発明は配列番号1に記載される
核酸配列または該配列に相補的な核酸配列をベロ毒素遺
伝子に挿入することにより、ベロ毒素産生性大腸菌のベ
ロ毒素産生能を消失させることを特徴とするベロ毒素産
生性大腸菌のベロ毒素産生能を消失させる方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の新規なISは、本発明者
らがベロ毒素遺伝子に生じた外来DNA断片の挿入を検
出するために、種々鋭意検討している中で、特定の塩基
配列を有するオリゴヌクレオチド(特願平10-47677号)
をプライマーとして、ベロ毒素遺伝子をPCRにより増
幅した際に、分子量の大きなDNA断片を得たことか
ら、その塩基配列を解析して得たものである。
【0020】本発明の新規なIS(配列番号1)は、ベ
ロ毒素産生性大腸菌の産生するベロ毒素2型(VT2)
をコードする遺伝子に挿入されることにより、VT2遺
伝子を不活性化するISである。また、VT1遺伝子を
不活性化できる可能性も有する。該ISは1,310b
pのDNA断片であり、その両端にISの特徴である2
5bpからなるインバーテッドリピートを有し、内部に
はトランスポゼースをコードする配列が見られる。
【0021】通常、細菌の染色体上には1種類のISに
ついて、複数個のコピーが存在する。本発明のIS(配
列番号1)はベロ毒素をコードする遺伝子とは無関係
に、染色体上に複数存在し得る。したがって、該ISの
存在はベロ毒素産生性大腸菌のみに限定されるものでは
ない。
【0022】また、該ISを発見した際、該ISがベロ
毒素遺伝子に挿入されることにより該遺伝子が不活性
化、すなわちベロ毒素の産生能が消失していた。したが
って、該ISを人為的にベロ毒素遺伝子に挿入すること
により、ベロ毒素産生性大腸菌のベロ毒素産生能を消失
させることが可能である。
【0023】本発明のオリゴヌクレオチドは、新規なI
S(配列番号1)から選択された、DNA断片であっ
て、少なくとも連続した15塩基、好ましくは20〜3
5塩基よりなる核酸配列を含有する。該オリゴヌクレオ
チドは、細菌の染色体上に複数存在する該ISに挟まれ
た複数の領域のDNA断片から1つまたはそれ以上の該
DNA断片を増幅する。複数の領域のDNA断片はラン
ダムに選択される。
【0024】本発明のオリゴヌクレオチドは、新規なI
S(配列番号1)の両端のインバーテッドリピートから
それぞれ選択され、配列番号2および3に示される核酸
配列(ただし、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグア
ニン、Tはチミンを表す。また、任意の位置のTはウラ
シル(U)と置換されていてもよい。)の少なくとも連
続した15塩基よりなる核酸配列を含有する。該オリゴ
ヌクレオチドは、細菌の染色体上に複数のコピーが存在
するISに挟まれた複数の領域のDNA断片、すなわ
ち、あるISと他のISの間に存在するDNA断片から
ランダムに選択された1つまたはそれ以上のDNA断片
を増幅する。
【0025】本発明のオリゴヌクレオチドは、プライマ
ーとして使用されるが、特に遺伝子増幅用のプライマー
として使用され得る。その際、少なくとも2種のオリゴ
ヌクレオチドが使用され、2種のプライマーは増幅しよ
うとする核酸配列の両端を規定し、一方のプライマーの
伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、他方
のプライマーの鋳型となるように、その塩基配列が選択
される。
【0026】また、本発明のオリゴヌクレオチドはシー
クエンス解析を行う場合のプライマーとしても使用され
得る。さらには、検出用プローブとしても使用可能であ
る。
【0027】本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号
2および3に示される塩基配列またはそれらの相補配列
の全域を使用する必要はない。配列表の塩基配列および
その相補配列に由来する適度な長さの配列が、PCR反
応条件などに合わせて、解離温度(Tm値)などを計算
することにより決定され得る。しかし、プライマーに十
分な特異性を持たせるためには、少なくとも連続した1
5塩基、さらに望ましくは、20塩基の長さが必要であ
る。
【0028】プライマーが十分な特異性を有するために
は、3’末端の塩基は配列表の核酸配列に示される3’
末端の塩基を用いることが望ましい。使用する条件、目
的などに応じて、オリゴヌクレオチド中にある程度の置
換を行ってもよい。また、プライマーの特異性に影響を
及ぼさない程度に、ISの塩基配列に従って、プライマ
ーの5’末端側をさらに延長して使用してもよい。
【0029】本発明では、上記少なくとも2種のオリゴ
ヌクレオチドを増幅用プライマーとして使用し、一方の
プライマーの伸長生成物は、その相補体から分離された
場合、他方のプライマーの鋳型となるように配列を選択
する必要がある。
【0030】遺伝子増幅に用いるプライマーとしては、
上述のすべてのオリゴヌクレオチドが挙げられる。この
遺伝子増幅には、一般的にPCR(polymerase chain r
eaction)法が用いられる。
【0031】上述したように、各種試料からの細菌の染
色体上に複数のコピーが存在するISに挟まれた複数の
領域のDNA断片から、1つまたはそれ以上の該DNA
断片を増幅するには、配列番号2および3にそれぞれ示
されるオリゴヌクレオチドの組み合わせが好適に用いら
れ得る。しかし、配列番号2および3にそれぞれ示され
るオリゴヌクレオチドよりも外側のプライマーにより増
幅されたDNAを、さらに配列番号2および3にそれぞ
れ示されるオリゴヌクレオチドを用いて再増幅すること
によって、より高感度の増幅が可能となることが予想さ
れる。このとき使用する外側のプライマーは、該ISに
特異的であることが望ましいが、特異性の低いプライマ
ーも使用し得る。
【0032】細菌の染色体上に複数のコピーが存在する
ISに挟まれた複数の領域のDNA断片から1つまたは
それ以上の該DNA断片の増幅において、配列番号2お
よび3にそれぞれ示されるオリゴヌクレオチドの組み合
わせを用いることが必要である。このことは、増幅反応
における特異性には、使用する2つのオリゴヌクレオチ
ドの相乗効果が重要であることによる。また、さらに特
異性を高めるためには、増幅に使用するプライマーの濃
度をできるだけ低く抑えることも重要である。
【0033】本発明では、プライマーとして、配列番号
2および3に示される核酸配列または該配列に相補的な
核酸配列のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる
核酸配列を含有するオリゴヌクレオチドであり、該プラ
イマーの伸長生成物が、その相補体から分離された場合
に、同じプライマーの鋳型となるプライマー1種を使用
することも可能である。
【0034】本発明の細菌の染色体上に複数コピー存在
するISに挟まれた複数の領域のDNA断片から1つま
たはそれ以上の該DNA断片の増幅用試薬は、具体的に
は、少なくとも2種のプライマーが、配列番号2および
3に示される核酸配列または該配列に相補的な核酸配列
のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列
を含有する、細菌の染色体上に複数コピー存在するIS
に挟まれた複数の領域のDNA断片からランダムに選択
された1つまたはそれ以上の該DNA断片を増幅するた
めのオリゴヌクレオチドであって、一方のプライマーの
伸長生成物が、その相補体から分離された場合に、他方
のプライマーの鋳型となるプライマー、熱安定性DNA
ポリメラーゼ、dNTPおよび緩衝液を含む。
【0035】本発明の増幅用試薬は、上記少なくとも2
種のプライマーに代えて、配列番号2および3に示され
る核酸配列または該配列に相補的な核酸配列のうち、少
なくとも連続した15塩基よりなる核酸配列を含有する
オリゴヌクレオチドであり、該プライマーの伸長生成物
が、その相補体から分離された場合に、同じプライマー
の鋳型となるプライマー1種を使用してもよい。
【0036】上記プライマー、熱安定性DNAポリメラ
ーゼ、dNTPは当該増幅工程を十分に行い得る量が含
まれるが、例えばDNAポリメラーゼは1〜200U/
ml、dNTPは50〜500μM、プライマーは1〜
1000nM程度が含められる。
【0037】さらに、本発明の試薬には、細菌の染色体
上に複数コピー存在するISに挟まれた複数の領域のD
NA断片からランダムに選択された1つまたはそれ以上
の該DNA断片を単離するための工程に適した緩衝液お
よび当該DNA断片を増幅するに適した緩衝液を併せて
含めてもよい。さらに増幅したDNA断片を検出するた
めの試薬も、検出法に併せて各種組み合わせておくこと
もできる。
【0038】さらには、本発明では上記増幅方法で得ら
れた1つまたはそれ以上の増幅DNA断片の鎖長を比較
することにより、細菌の型別が可能となる。具体的に
は、本発明の細菌を型別する方法は、上記増幅方法で得
られた1つまたはそれ以上の増幅DNA断片を電気泳動
などにより検出し、該増幅DNA断片の鎖長を複数の試
料間で比較することを特徴とする。
【0039】上述のように、細菌の染色体上には1種類
のISについて複数個のコピーが存在する。また、IS
をはじめとする転移因子の転移などにより細菌の染色体
における各種遺伝子群の配置は様々に変化していること
から、細菌の染色体におけるISの配置は該菌株の特徴
となり得る。細菌の染色体上に複数コピー存在するIS
に挟まれた複数の領域のDNA断片の鎖長は、それぞれ
に対応するIS間の距離を示し得ることから、該DNA
断片をランダムに増幅し、該増幅DNA断片長のパター
ンを複数の試料間で比較することにより、迅速かつ簡便
な細菌の型別が可能となる。
【0040】本発明において、増幅する遺伝子はあらゆ
る材料または環境中に存在する細菌由来の遺伝子である
が、単離培養された菌体の遺伝子を増幅することも含ま
れる。また、本発明における試料には、上記の各種材料
や培養菌体の他、これらより単離および精製された核酸
なども含まれる。
【0041】すなわち、本発明における試料としては、
上記の各種材料を直接、用いる場合の他に、上記の各種
材料の培養液、またはそこから祖抽出または精製された
核酸などが用いられ得る。さらに、上記の各種材料から
単離された寒天培地上の菌体またはその培養液、または
そこから粗抽出または精製された核酸なども試料として
用いられ得る。
【0042】本発明の挿入遺伝子は、ベロ毒素1型(V
T1)および2型(VT2)の両遺伝子を保有するにも
かかわらず、ベロ毒素1型(VT1))を産生するが、
ベロ毒素2型(VT2)を産生しないベロ毒素産生性大
腸菌(VTEC菌株)から見出された遺伝子であり、V
T2遺伝子に挿入されたことにより、該菌株のVT2産
生能が消失、すなわちVT2遺伝子が不活性化されるこ
とが確認されているから、該挿入遺伝子をベロ毒素遺伝
子に挿入することにより、ベロ毒素産生性大腸菌のベロ
毒素産生能を消失させることが可能であると考える。
【0043】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に
説明する。 実施例1 (1)オリゴヌクレオチドの合成 細菌の染色体上に複数のコピーが存在するISに挟まれ
た複数の領域のDNA断片から1つまたはそれ以上の該
DNA断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドは、配
列番号1に示される核酸配列から選択し、その配列は、
配列番号2および3にそれぞれ示される。プライマー
1:配列番号2のうち、1〜23番目、プライマー2:
配列番号3のうち、1〜23番目 該オリゴヌクレオチドは、ABI社DNAシンセサイザ
ー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて合成する
ことにより得た。手法はABI社のマニュアルに従い、
各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55
℃にて一夜実施した。精製はHPLC(ベックマン製)
を用い、逆相クロマトカラム(ナカライテスク製)にて
実施した。
【0044】(2)試料の調製 由来の異なるベロ毒素産生性大腸菌6株の菌体コロニー
をそれぞれ直接、PCRの試料として使用した(表1参
照)。寒天培地上の菌体コロニー(1白金耳)を水10
0μlに懸濁し、そのうちの1μlをPCRに使用し
た。
【0045】
【表1】
【0046】(3)PCR 配列番号2および3に示されるオリゴヌクレオチド(プ
ライマー1および2)を、それぞれPCRのプライマー
として用いた。反応液組成は、プライマー1および2を
それぞれ0.2μM、dATPおよびdGTPおよびd
CTPおよびdTTPを各0.35mM、熱安定性DN
Aポリメラーゼ(KOD Dash:東洋紡製)25単
位/ml、および1倍濃度の増幅用緩衝液(東洋紡製)
である。実際の使用にあたっては、反応液に試料溶液
(菌体コロニー懸濁液)1μlを添加し、反応液量を1
00μlとして、以下の反応に供した。反応条件は以下
の通りである: 熱変性: 94℃、30秒 アニーリングおよび伸長反応: 70℃、8分 上記熱変性、アニーリングおよび伸長反応を30回繰り
返した。これらの操作はパーキンエルマー社のDNAサ
ーマルサイクラー(GeneAmp2400)を用いて
行った。
【0047】(4)検出 増幅反応後の反応液10μlを1%アガロースゲルにて
電気泳動し、エチジウムブロマイド染色した後、紫外線
照射下での蛍光を検出した。電気泳動の条件は、定電圧
100V、30分間にて行った。操作方法ならびに他の
条件は、マニアティス(Maniatis)らのモレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning )(1982年)に記載
の技法に従った。反応液の他に分子量マーカーも同時に
泳動し、検出されたDNA断片の鎖長を比較する際の参
考とした。
【0048】(5)結果 増幅DNA断片の検出に用いたアガロースゲル電気泳動
を図1に示す。
【0049】図1から明らかなように、上記増幅方法に
より、由来の異なるベロ毒素産生性大腸菌(レーン1〜
6)について、明らかにパターンの異なる増幅DNA断
片が得られた。すなわち、本発明により、迅速かつ簡便
な細菌の型別が可能であることを示している。
【0050】
【発明の効果】本発明により、技術的な熟練および長時
間を要するパルスフィールドゲル電気泳動などを行うこ
となく、迅速かつ簡便に細菌を型別できる。したがっ
て、本発明は疫学調査などにも応用できる。また、本発
明で開示されたISを発見した際、該ISがベロ毒素遺
伝子に挿入されることにより該遺伝子が不活性化、すな
わちベロ毒素の産生能が消失していた。したがって、該
ISを人為的にベロ毒素遺伝子に挿入することにより、
ベロ毒素産生性大腸菌のベロ毒素産生能を消失させるこ
とが可能である。
【0051】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:1310 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ゲノムDNA 配列の特徴 起源:Verotoxin-producing Escherichia coli 配列 TGAACCGCCC CGGAAATCCT GGAGACTAAA CTCCCTGAGA AAGAGGTAAA CAGGATGACT 60 AAAAATACTC GTTTTTCCCC CGAAGTCCGT CAGCGGGCGA TTCGTATGGT TCTGGAAAGT 120 CAGGATGAAT ATGACTCACA GTGGGCGGCA ATTTGTTCCA TTGCCCCAAA GATTGGCTGT 180 ACGCCGGAGA CTCTGCGTGT CTGGGTTCGC CAGCATGAGC GGGATACCGG GGGCGGTGAT 240 GGTGGGCTCA CCAGCGCTGA ACGTCAGCGT CTGAAAGAGC TGGAACGTGA AAATCGTGAA 300 CTGCGCCGCA GTAACGATAT CCTTCGCCAG GCTTCCGCTT ATTTTGCGAA GGCGGAGTTC 360 GACCGCCTCT GGAAAAAATG ATGCCACTGC TGGATAAGCT GCGTGAGCAG TACGGGGTCG 420 GACCGGTATG CAGCGAACTG CATATTGCCC CGTCAACGTA TTACCATTGT CAGCAACAGC 480 GACATCATCC GGATAAACGC AGTGCCCGTG CGCAGCACGA CGACTGGCTG AAGAGAGAGA 540 TACAGCGCGT ATACGATGAA AATCATCAGG TGTACGGTGT GCGTAAAGTC TGGCGTCAGT 600 TGTTACGGGA AGGAATCAGG GTGGCCAGAT GTACAGTGGC ACGTCTCATG GCGGTTATGG 660 GACTTGCCGG TGTTCTCCGG GGTAAAAAGG TCCGTACGAC CATCAGCCGG AAAGCCGTTG 720 CCGCAGGCGA CCGCGTAAAC CGTCAGTTCG TGGCAGAACG ACCTGACCAG CTGTGGGTGG 780 CTGATTTTAC TTACGTCAGC ACATGGCAGG GCTTCGTCTA TGTGGCGTTT ATCATTGATG 840 TGTTTGCCGG ATACATCGTG GGGTGGCGGG TCTCATCGTC TATGGAAACG ACATTCGTGC 900 TGGATGCGCT GGAGCAGGCG TTGTGGGCCC GTCGTCCGTC TGGCACCATC CATCACAGCG 960 ATAAAGGCTC TCAGTATGTG TCACTGGCCT ATACGGAGCG ACTAAAAGAA GCCGGATTAC 1020 TGGCATCAAC AGGGAGTACA GGCGACTCGT ATGACAACGC GATGGCTGAG AGCATCAATG 1080 GTCTTTACAA AGCGGAGGTA ATACACCGTA AGAGCTGGAA AAACCGTGCA GAAGTGGAAC 1140 TGGCCACACT AACGTGGGTG GACTGGTATA ACAATCGACG ATTGCTGGGA AGGCTGGGCC 1200 ATACTCCTCC GGCAGAAGCA GAAAAAGCTT ATTATGCTTC CATCGGAAAC GATGATCTGG 1260 CAGCCTGAGT TCACAGATAA AACACTCTCC AGGAAACCCG GGGCGGTTCA 1310
【0052】 配列番号:2 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:両形態 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..23 特徴を決定した方法:S 他の特徴:新規なISのインバーテッドリピートと相補的な配列を有する。 配列 CTCCAGGAAA CCCGGGGCGG TTC 23
【0053】配列番号:3 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:両形態 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..23 特徴を決定した方法:S 他の特徴:新規なISのインバーテッドリピートと相補
的な配列を有する。 配列 CTCCAGGATT TCCGGGGCGG TTC 23
【図面の簡単な説明】
【図1】 由来の異なるベロ毒素産生性大腸菌の菌体コ
ロニー中の遺伝子から、本発明のオリゴヌクレチドをプ
ライマーとして使用して増幅したDNA断片を示す図面
に代わる電気泳動写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12Q 1/68 C12R 1:19)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1に示される核酸配列または該
    配列に相補的な核酸配列を有することを特徴とする新規
    な挿入配列。
  2. 【請求項2】 配列番号1に示される核酸配列または該
    配列に相補的な核酸配列のうち、少なくとも連続した1
    5塩基よりなる核酸配列を含有することを特徴とするオ
    リゴヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2または3に示される核酸配列
    または該配列に相補的な核酸配列のうち、少なくとも連
    続した15塩基よりなる核酸配列を含有することを特徴
    とするオリゴヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 細菌の染色体上に複数のコピーが存在す
    る挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA断片から1つ
    またはそれ以上のDNA断片を増幅するための試薬であ
    って、少なくとも2種のプライマーが、配列番号2およ
    び3に示される核酸配列または該配列に相補的な核酸配
    列のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸配
    列を含有するオリゴヌクレオチドであり、一方のプライ
    マーの伸長生成物が、その相補体から分離された場合
    に、他方のプライマーの鋳型となるプライマー、熱安定
    性DNAポリメラーゼ、dNTPおよび緩衝液を含むこ
    とを特徴とするDNA増幅用試薬。
  5. 【請求項5】 細菌の染色体上に複数のコピーが存在す
    る挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA断片から1つ
    またはそれ以上のDNA断片を増幅するための試薬であ
    って、プライマーが、配列番号2および3に示される核
    酸配列または該配列に相補的な核酸配列のうち、少なく
    とも連続した15塩基よりなる核酸配列を含有するオリ
    ゴヌクレオチドであり、該プライマーの伸長生成物が、
    その相補体から分離された場合に、同じプライマーの鋳
    型となるプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ、d
    NTPおよび緩衝液を含むことを特徴とするDNA増幅
    用試薬。
  6. 【請求項6】 細菌の染色体上に複数のコピーが存在す
    る挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA断片から1つ
    またはそれ以上の該DNA断片を増幅する方法であっ
    て、少なくとも2種のプライマーとして、配列番号2お
    よび3に示される核酸配列または該配列に相補的な核酸
    配列のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる核酸
    配列を含有するオリゴヌクレオチドを使用し、一方のプ
    ライマーの伸長生成物が、その相補体から分離された場
    合に、他方のプライマーの鋳型となることを特徴とする
    DNA増幅方法。
  7. 【請求項7】 細菌の染色体上に複数のコピーが存在す
    る挿入配列に挟まれた複数の領域のDNA断片から1つ
    またはそれ以上の該DNA断片を増幅する方法であっ
    て、プライマーとして、配列番号2および3に示される
    核酸配列または該配列に相補的な核酸配列のうち、少な
    くとも連続した15塩基よりなる核酸配列を含有するオ
    リゴヌクレオチドを使用し、該プライマーの伸長生成物
    が、その相補体から分離された場合に、同じプライマー
    の鋳型となることを特徴とするDNA増幅方法。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載のDNA増幅方法
    で得られた1つまたはそれ以上の増幅DNA断片の鎖長
    を比較することを特徴とする細菌の型別方法。
  9. 【請求項9】 請求項6または7記載のDNA増幅方法
    で得られたDNA断片を制限酵素で消化し、該DNA断
    片の鎖長を比較することを特徴とする細菌の型別方法。
  10. 【請求項10】 配列番号1に記載される核酸配列また
    は該配列に相補的な核酸配列をベロ毒素遺伝子に挿入す
    ることにより、ベロ毒素産生性大腸菌のベロ毒素産生能
    を消失させることを特徴とするベロ毒素産生性大腸菌の
    ベロ毒素産生能を消失させる方法。
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