JP4238319B2 - マイコプラズマの検出方法 - Google Patents

マイコプラズマの検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4238319B2
JP4238319B2 JP2003394770A JP2003394770A JP4238319B2 JP 4238319 B2 JP4238319 B2 JP 4238319B2 JP 2003394770 A JP2003394770 A JP 2003394770A JP 2003394770 A JP2003394770 A JP 2003394770A JP 4238319 B2 JP4238319 B2 JP 4238319B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
mycoplasma
pcr
primer
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003394770A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004305207A (ja
Inventor
陽子 石川
要 斉田
修一 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003394770A priority Critical patent/JP4238319B2/ja
Publication of JP2004305207A publication Critical patent/JP2004305207A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4238319B2 publication Critical patent/JP4238319B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、マイコプラズマの検出方法、該検出方法に使用するDNA、および該微生物の検出試薬キットに関する。
マイコプラズマの検出法としては、分離培養法、DNA 蛍光染色法、およびPCR法等が一般に知られている。分離培養法およびDNA 蛍光染色法は、数日から数週間の培養が必要であり、測定時間が長い、観察に経験を要する等の問題点がある。またPCR法として販売されているキットにおいては、感度をあげるために Nested PCR(2段階PCR)を採用しており、PCRを2度行い、さらにゲルに流して染色を行い判定するという手順を行うためかなりの時間を要する。
このキットには増幅産物の長さによってマイコプラズマ種が同定できるという利点があるが、2度のPCRを終えた時点では増幅鎖長が同じものがあり、確実に種を特定するためには制限酵素での切断が必要となる。これにはさらに時間と手間を要し、種の同定が必要でない場合にはこれらの利点は不要である。その他にも16S rRNA 領域を用いてプライマーを作り、PCR を行う方法が一般に知られているが、増幅する鎖長が長く増幅に時間がかかり、ゲルに流し染色を行うため時間と手間を要する。また16S rRNA 領域は大腸菌等の原核生物のそれとも相同性が高いため、マイコプラズマに対する特異性が低くなる場合がある。
一方、リアルタイムPCR によりマイコプラズマを検出するものとして、蛍光標識プローブを用いる試験キットが市販されているが、該蛍光標識プローブは高価であり、これを使用する試験キットも当然高価となるほか、さらにこのキットは、リアルタイムPCRの系としての最適化がなされておらず、従来の16S rRNA 領域のプライマーを用いていると考えられる。そのため増幅に要する時間が長い、マイコプラズマだけでなく大腸菌のDNA 等も検出してしまう、感度が悪い等の問題点があった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、煩雑な操作を必要とせず、迅速、安価にマイコプラズマを検出するための手段を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、マイコプラズマに特異的なDNA配列部分をプライマーとして用いて、被験試料から得られるDNAを鋳型としてPCR反応を行うとともに、該反応系に2本鎖DNAにインターカレートする蛍光試薬を含有せしめることにより、煩雑な操作を必要とせず安価に、かつリアルタイムでマイコプラズマを検出できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下に示されるものである。
(1)配列表の配列番号2、3および4で表されるDNAと、同配列番号5で表されるDNAとを含み、かつ2本鎖DNAにインターカレートする蛍光試薬を含むことを特徴とする、マイコプラズマの検出試薬キット。
本発明のマイコプラズマの検出法によれば、検出に要する時間は、以下に示す融解曲線を得る時間まで含めてPCR開始から終了までが110分程度であり、極めて迅速にマイコプラズマの検出を行うことができる。さらに特異性の高いプライマー2(下記実施例3参照)を用いれば、融解曲線解析が不必要なため、75分程度で検出を行うことが出来る。この検出までの経過はコンピュータによってリアルタイムに可視化され、ゲルでの電気泳動などの手間を必要としない。
また、本発明ではプローブを用いないため蛍光標識されたプローブに係る費用も要しない。したがって、これらのことから企業や細胞バンクなどで業務として大量の細胞の検査を行う場合などにも本発明は極めて有効な手段である。
本発明は、マイコプラズマの検出法、検出試薬等に係り、本明細書でマイコプラズマとは、一般に呼称されるマイコプラズマを指し、学術名でいえば、マイコプラズマタレス目に属する微生物群を指し、さらに具体的にはマイコプラズマ属、アコレプラズマ属等に属する微生物をいう。
まず、本発明の検出原理について説明する。
本発明においては、マイコプラズマのDNA中、マイコプラズマに特異的な配列を有する領域部分をプライマーとし、被験試料から得られた全DNAを鋳型としてPCRを行う。このとき被験試料がマイコプラズマを含んでいれば、これから得られたDNA中にはマイコプラズマDNAが含まれ、マイコプラズマDNA中の上記プライマー間に対応する領域が増幅され、この領域に対応する2本鎖DNAが多量に形成される。
一方、DNA分子は相補的な塩基対をもつ2重らせん構造をとるため塩基対のスタッキング間に平面構造を有する分子が挿入される。これをインターカレートするといい、本発明においてはインターカレートする蛍光試薬を使用する。この蛍光試薬は、2本鎖DNAにインターカレートして蛍光を発する。したがって、PCR反応系にこの蛍光色素を含有させておくことにより、上記PCR反応によりマイコプラズマDNA中の上記プライマー間に対応する領域が増幅されていくにつれ、蛍光強度が増大する。
このインターカレートはDNAの塩基配列に対して非特異的である。
しかし、上記PCR反応において使用するプライマーは、マイコプラズマに特異的な配列であるため、マイコプラズマ以外のDNAとは塩基対を形成せず、マイコプラズマ以外のDNAがPCR反応系に含まれていても、増幅されない。
したがって、PCR反応のサイクルが進むにつれ、蛍光強度が増大していけば、マイコプラズマ由来のDNAが含まれていたことになり、この蛍光強度の増大をグラフ化することにより、被験試料中のマイコプラズマを検出できる。すなわち、本発明はリアルタイムPCR法により被験試料中のマイコプラズマを検出するものである。
上記プライマーは、例えばマイコプラズマの特定の種のみ検出したいときには、その種に特異的なDNA配列領域を選び合成する。また、マイコプラズマの複数種を検出しようとする場合には、これらマイコプラズマDNAに共通する配列を選び合成してもよく、また、これら各種ごとに特異的な配列を合成し、得られたプライマーを混合してPCR反応を行ってもよい。また、この場合、マイコプラズマに共通するDNA配列領域をセンスあるいはアンチセンスプライマーとし、特定種に特異的なDNA配列領域をアンチセンスあるいはセンスプライマーとして混合使用してもよい。これにより一方のプライマー合成の手間を省くことが可能になる。すなわち、マイコプラズマDNA一般に共通する配列を合成しておけば、一対のプライマーのうち検出したいマイコプラズマDNAに特異的配列のみを合成すればよく、簡便である。当然この場合にも一方のプライマーとして、複数種のマイコプラズマに特異的なDNA配列領域を合成しこれらを混合使用すれば、これら複数種のマイコプラズマを検出することができる。
さらに本発明を具体的に説明する。
本発明において、PCRのプライマーとして用いるDNAとしては、例えば配列番号1〜5の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
これらプライマーは、培養細胞に感染することが確認されている代表的なマイコプラズマ7種およびアコレプラズマ1種を迅速に、特異的に検出することを目的として設計したものである。すなわち、上記混合プライマーを用い、被験試料から得られるDNAを鋳型とし、2本鎖DNAにインターカレートする蛍光試料を用いてリアルタイムPCR を行う。本発明においてはプローブを用いない。
上記プライマーは、センスプライマー4種、アンチセンスプライマー1種によって構成されている。本発明実施の際は、センスプライマー4種のうち3種(配列番号1又は2、および3、4)とアンチセンスプライマー1種(配列番号5)を混合して用いる。これらのプライマーは、培養細胞に汚染することが確認されているマイコプラズマ7種 およびアコレプラズマ1種に特異的であり、かつリアルタイム PCR に適することを条件とし作製したものである。
16s rRNA 領域は核酸配列がデータベースに一般公開されているため、プライマーの作製が容易であるが、同じく培養細胞に汚染する可能性の高い大腸菌等の原核生物との共通配列が多いので、マイコプラズマに特異性の高い核酸領域を23S rRNA 領域から見いだしたものである。
上記プライマーに用いる核酸配列の決定には各マイコプラズマの
“16S-23S rRNA intergenic spacer complete sequence and 23S rRNA gene, partial sequence” (The Entrez Nucleotides database) を用いた。ただしM.salivariumとM.pirum については同領域の核酸配列は不明である。配列番号1又は2で示される核酸配列は,6種のマイコプラズマ ( M.arginini, M.fermentans, M.hominis, M.hyorhinis, M.orale,
M.salivarium ) に共通の配列である。図 1の(1)に示される、5種のマイコプラズマ( M.arginini, M.fermentans, M.hominis, M.hyorhinis, M.orale, )に共通であることを確認したセンスプライマー(配列表の配列番号1又は2)とアンチセンスプライマー(配列表の配列番号5)でマイコプラズマ7種及びアコレプラズマ1種のDNAについてPCRを行ったところ、M.salivarium は検出されたため、同様の配列を有すると考えられた。M.pirum, A.laidlawiiについては検出されなかった。
そこで、A.laidlawii については、同領域の核酸配列からA.laidlawiiに特異的な配列(同配列番号3)を個別に用いた(図1の(2))。 また、M.pirum については23S rRNA領域の配列が不明のため独自に配列解析を行った。 “M. pirum DNA, 16S - 23S rRNA intergenic spacer region”(The Entrez Nucleotides database) よりM.pirum用のセンスプライマーを作製し、図1のアンチセンスプライマー(プライマー5)と共にPCR を行った。増幅された領域の配列解析を行った結果より、M. pirum 23S rRNA 領域にM.pirum 特異的な配列を見いだし、プライマー4(同配列番号4)とした(図1の(3))。
これらの結果を総合して、5種のプライマー1〜5を決定した(同配列番号1〜5)。
以下に、上記5種のプライマーの塩基配列を示す

プライマー1: TCTGAAT(C/T)TGCCGGGACC
プライマー2: TCTGAAT(C/T)TGCCGGGACCACC
プライマー3: GGAATCCCGTTTGAAGATAGGA
プライマー4: GGAAAATGTTATTTTGACGGAACCT
プライマー5: CTTTCC(A/C)TCAC(G/T)GTACT(A/G)GTTCACT
プライマーの設計はソフトウェア「Primer Express version 1.5」( Applied Biosystems)を用いて行った。リアルタイムPCR用プライマーの設計ガイドラインに従ってプライマーを作成した。
このプライマーによってリアルタイムPCRを行ったが、培養細胞に汚染する可能性の高い大腸菌、また人の疾患に関与すると言われるM.pneumoniae, M.genitalium, M.gallisepticum のDNA は検出されなかった。
上記5種のプライマーのうち4種(プライマー1、3、4、5、又はプライマー2、3、4、5)を同時に用いることで、培養細胞に汚染することが確認されているマイコプラズマ7種及びアコレプラズマ1種の検出を特異的に、迅速に行うことが可能となる。プライマー2はプライマー1に3塩基付加することで、マイコプラズマに対する特異性をより向上させたもので、通常混合プライマーとしては1又は2、および3、4、5を混合して用いる。またM.pirum, A.laidlawii におけるプライマー3(同配列番号3)、およびプライマー4(同配列番号4)は、これら各マイコプラズマに特異的DNA配列を用いているため、これら各プライマーをプライマー5とともに個別に用いることで種の同定も可能である。
このように、本発明においては、検出しようとするマイコプラズマの範囲に合わせて、プライマーの塩基配列を設計することにより、種々の被験試料に対して適用することが可能である。したがって、被験試料としては、動物細胞培養上清、培養細胞、もしくは凍結チューブの細胞または生体試料等が挙げられるがこれらに特に限定されない。
これらの試料から、DNAの調製のための通常の方法によりDNAを得ることができる。具体的には、細胞を遠心により回収し、Proteinase Kによって融解し、その希釈液をそのままPCR用試料として用いたり、DNAを精製したものを蒸留水(またはT/E)に溶かしたりする方法がある。
本検出方法におけるリアルタイムPCR は、試料から得られるDNA を鋳型とし、特定のプライマー対を使用する以外は、通常のプローブを用いない、2本鎖DNAにインターカレートする蛍光試料を用いるリアルタイムPCRの方法に従って行うことができる。
本発明において使用するインターカレート蛍光試薬としては、例えば
エチジウムブロマイド( EtBr )、YO-PRO-I、及びSYBR Green I等が挙げられる。
被験試料から得られたDNA中に検出すべきマイコプラズマ由来のDNAが存在すれば、PCRによって2本鎖のDNAが増幅され、量依存的に蛍光強度を増し、その蛍光試料の波長を検出するフィルターを設置したリアルタイムPCR装置を用いて目的の増幅産物を検出することができる。
一方、プローブを用いるリアルタイムPCRと比較しての問題点として、非特異的増幅による2本鎖DNAも検出してしまうことがあげられるが、目的とする増幅産物とこれらの非特異的増幅産物における2本鎖DNAとは、通常、融解温度(Tm値)が異なる場合が多いので、融解曲線を描かせることで区別が容易につく。この原理を説明する。
PCR 終了後、PCR 産物はすべて2本鎖なので、高い蛍光値を示すが、温度を徐々に上昇させると、2本鎖DNAは解離していくため、蛍光値は下がっていく。
各PCR 産物のTm 値に達した時、2本鎖DNAは1本鎖となり、急激に蛍光値が下がる。Tm 値は各PCR 産物の GC 含有量や鎖長等によって決定される。
目的の増幅産物と非特異的増幅産物は、増幅される領域、長さ共に異なると考えられるので、Tm 値も異なると考えられる。したがって、温度に対する蛍光強度変化を示すことで各 PCR 産物の Tm 値を求めることができ、それにより両者を区別することができる。本検出方法においても、目的の増幅産物と非特異的増幅産物における2本鎖DNAの融解温度(Tm値)が異なることを確認している。
以下に、実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例1、実施例3、比較例1、比較例2においては、市販品のマイコプラズマDNAを用いて行ったものであり、実施例2および実施例4においては、実際にマイコプラズマに汚染された動物培養細胞を用いたものである。
また、すべての例においてはリアルタイムPCR 解析機能の付属したPCR 機器 I Cycler iQ (Bio-Rad社)を用いたため、測定時間に関与する加熱速度、冷却速度は一定である。

〔実施例1〕
(1)M.arginini (23838D), M.fermentans (19989D), M.hyorhinis (17981D), M.orale (23714D), M.pirum (25960D)については American Type Culture Collection (以下ATCCと略する) より、M.salivarium (010113), A.laidlawii (010116) についてはMinerva Biolabs Gmbh より Total DNAをそれぞれ入手し、M.hominis については NBRC(生物遺伝資源センター)より入手した菌株(NBRC 14850)を培養し、通常の方法によりDNAを精製し、Total DNAを得た。大腸菌 (E.coli)についてはTaKaRaよりTotal DNAを入手した。上記マイコプラズマ、アコレプラズマのDNA溶液を 0.2 ng/μlに調製して被験試料溶液とした。またコントロールとして大腸菌DNA溶液0.2 ng/μlおよびDNAを含まない溶液(蒸留水)も用意した。
一方、インターカレートする蛍光試薬としてSYBR Green Iを用い、また、配列表の配列番号1,3,4,5の塩基配列からなるプライマー1,3,4,5(図1参照)の混合プライマーを用いて、マスターミクスチャー ( iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad社) 25μl, Primers mix ( 2.5 μM each ) 6μl, water 14μl )を調製した。このマスターミクスチャー45μl に、上記DNA を含有する各被験試料溶液、コントロール溶液 5μl を加えて、それぞれ、95℃ 3分を1サイクル、95℃ 15秒+60℃ 30秒を40サイクルの条件でリアルタイム PCRを行った。PCR は96穴プレートを用いて行い、10個の穴にマスターミクスチャーを45μlずつ分注し、それぞれの穴に各被験試料溶液(マイコプラズマ及びアコレプラズマDNA 8種)およびコントロール溶液 (大腸菌DNA溶液及びDNA の含まれない蒸留水 )各5μl を加えて同時に検出を行った。図2−1(1)に、各PCR反応過程の蛍光強度グラフを示す。これによれば、実験に用いたDNA量は各1 ngであるが、マイコプラズマ7種及びアコレプラズマ1種共にPCR 反応のみで十分に検出されている。
また、この際要する時間は反応開始から終了まで約75分であった。
(2)次いで、上記(1)のPCR操作の後、各試料について、それぞれ95℃ 1分、55℃ 1分でそれぞれ1サイクルPCRを行い、その後55℃から95℃まで10秒ごとに0.5℃ずつ上昇させながら、リアルタイムで蛍光強度を測定し、各試験試料の融解曲線を得た。図2−2(2)にその結果を示す。
これによれば、目的増幅物のTm 値は80.5〜81.5、非特異的増幅物のTm値は76.5〜77.5である。また図4に示されるように、大腸菌DNAは検出されず、その他のマイコプラズマのDNA(例えば、M.pneumoniae, M.genitalium, M.gallisepticum等)も検出されないことを確認した。

〔実施例2〕
M.hyorhinis に汚染したマウス細胞凍結チューブ、M.fermentansに汚染したマウス細胞凍結チューブ、汚染していないマウス細胞凍結チューブをそれぞれ融解し、各5 X 105個の細胞から以下の方法によりDNAを抽出した。各5 X 105個の細胞を1 mlチューブに移し、13000 g, 10分の遠心を行った。上清を取り除き、細胞塊をLysis Buffer ( 150 mM NaCl, 10 mM Tris-HCl, 10 mM EDTA ) 100μlに懸濁した。10% SDS溶液を1μl加え、250μg/ml の濃度でProteinase K を加えた。55℃で1時間インキュベートした後、酵素の働きを止めるため95℃で10分インキュベートした。その後、500μl の滅菌蒸留水を加えた。この各溶液を試験溶液として以下に用いた。
実施例1と同様に、マスターミクスチャー ( iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad社) 25μl, Primers mix (2.5μM each) 6 μl, water 14 μl ) 45μl に上記各試料溶液5μl を加えて、95℃ 3分を1サイクル、95℃ 15秒+60℃ 30秒を40サイクルの条件でリアルタイムPCR を行った。さらに95℃ 1分、55℃ 1分をそれぞれ1サイクル、55℃から95℃まで10秒ごとに0.5℃ずつ上昇させるという条件で融解曲線を得た。結果を図3に示す。図3(1)および(2)によれば、マウス細胞を汚染しているM.hyorhinis及びM.fermentansは明瞭に検出されており、汚染のない細胞ではマイコプラズマ様の増幅産物は全く確認されない。その他にも、ヒト、ラット、ハムスター、サル由来の汚染のない細胞で擬陽性が検出されないことも確認した。

〔実施例3〕
実施例1で用いたプライマー1の替わりに配列表の配列番号2の塩基配列からなるプライマー2を用いて、プライマー2,3,4,5の混合プライマーとし、マスターミクスチャー( iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad社) 25μl, Primers mix (2.5μM each) 6μl, water 14μl )を調整した。プライマー2はプライマー1に3塩基付加することで、マイコプラズマに対する特異性をより高めたものである。これにより非特異的増幅は起こりにくくなり、融解曲線による目的増幅物の判別という手順が省略され、実施例1と比較し、検出時間が短縮される。
このマスターミクスチャー45μl に、実施例1で用いたDNA を含有する各被験試料溶液、コントロール溶液 5μl を加えて、それぞれ、95℃ 3分を1サイクル、95℃ 15秒+65℃ 30秒を40サイクルの条件でリアルタイム PCRを行った。PCR は96穴プレートを用いて行い、10個の穴にマスターミクスチャーを45μlずつ分注し、それぞれの穴に各被験試料溶液(マイコプラズマ及びアコレプラズマDNA 8種)及びコントロール溶液 (大腸菌DNA溶液及びDNA の含まれない蒸留水 )各5μl を加えて同時に検出を行った。図3に、各PCR反応過程の蛍光強度グラフを示す。実験に用いたDNA量は各1 ngである。この際要する時間は反応開始から終了まで約75分であった。図4に示されるように、コントロール溶液において非特異的増幅が見られないため、融解曲線解析は行わなかった。

〔実施例4〕
M.hyorhinis に汚染したマウス細胞凍結チューブ、M.fermentansに汚染したマウス細胞凍結チューブ、汚染していないマウス細胞凍結チューブをそれぞれ融解し、各5 X 105個の細胞から以下の方法によりDNAを抽出した。各5 X 105個の細胞を1 mlチューブに移し、13000 g, 10分の遠心を行った。上清を取り除き、細胞塊をLysis Buffer ( 150 mM NaCl, 10 mM Tris-HCl, 10 mM EDTA ) 100μlに懸濁した。10% SDS溶液を1μl加え、250μg/ml の濃度でProteinase K を加えた。55℃で1時間インキュベートした後、酵素の働きを止めるため95℃で10分インキュベートした。その後、500μl の滅菌蒸留水を加えた。この各溶液を試験溶液として以下に用いた。
実施例3と同様に、マスターミクスチャー ( iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad社) 25μl, Primers mix (2.5μM each) 6 μl, water 14μl ) 45μl に上記各試料溶液5μl を加えて、95℃ 3分を1サイクル、95℃ 15秒+65℃ 30秒を40サイクルの条件でリアルタイムPCR を行った。融解曲線解析は行わなかった。結果を図5に示す。マウス細胞を汚染しているM.hyorhinis及びM.fermentansは明瞭に検出されており、汚染のない細胞ではマイコプラズマ様の増幅産物は全く確認されなかった。その他にも、ヒト、ラット、ハムスター、サル由来の汚染のない細胞で擬陽性が検出されないことも確認した。

〔比較例1〕
以下の比較例は、Nested PCR(2段階PCR)を採用した市販キットを用い、その使用マニュアルにしたがい、実施例1の被験試料についてマイコプラズマの検出を行ったものである。
実施例1と同様にして各DNAを含有する被験試料溶液およびコントロール溶液をそれぞれ調製した。
マスターミクスチャー ( 1st stage Primers 1 μl, Taq Polymerase Buffer 45 μl, Taq Polymerase 1unit ) のうち45μl に上記各試料溶液及びコントロール溶液をそれぞれ5μl 加えて、94℃ 2分を1サイクル、94 ℃ 30秒+ 55 ℃ 30秒+72℃ 1分を30サイクルの条件で1回目の増幅反応を行った。この際要する時間は反応の開始から終了まで約100分であった。さらに1回目の増幅産物を用いて2回目の増幅反応を行った。1st stage primers の代わりに2nd stage primers を加えたマスターミクスチャー 45μl に1回目PCR 反応液を5 μl加えて1回目と同条件で増幅反応を行った。この際も要する時間は約100分であった。2回目の増幅反応終了後、アガロースゲルを用いて増幅物の電気泳動を行った。この泳動に要する時間は約30分から40分であった。さらに、ゲルの染色を(約15分)行い、UV 照射装置でバンドの有無、サイズを確認した。これらを含めて検出過程に要する時間における時間は、最短でも4時間以上であった。
また、初回PCRの増幅産物を2回目のPCRに使用すること、電気泳動を行うこと等作業手順が多く煩雑で、サンプル数が増えることによりさらに時間を要した。図6に上記電気泳動写真を示す。このキットは増幅産物サイズの違いでマイコプラズマ種を同定できる特色があるが、ほぼ同サイズの増幅産物を呈するマイコプラズマも存在し、確実な判定には増幅産物を濃縮して、制限酵素で切断して電気泳動を行うという手順を要する。

〔比較例2〕
この比較例は、リアルタイムPCR用のキットとして、蛍光プローブを使用する試験キットを用いて、該キットの使用マニュアルにしたがって、実施例1の被験試料についてマイコプラズマの検出を行ったものである。
実施例1と同様にして各DNAを含有する被験試料溶液およびコントロール溶液をそれぞれ調製した。
次いで、マスターミクスチャー( water 12.1μl, 10 X reaction buffer 2.5μl, primer/mucleotide mix 2.5 μl, internal control probe 2.5 μl, internal control 2.5 μl, Taq Polymerase 1unit, UNG 0.2 unit ) 22.5 μlに、上記各DNA含有試料溶液 2.5 μlを加えて、95℃ 10分を1サイクル、95 ℃ 30秒+55 ℃ 30秒+60 ℃ 30秒を45サイクルの条件(本キット説明書記載条件)でリアルタイムPCR を行った。この際要した時間は反応開始から終了まで約130分であった。
図7に反応過程の蛍光強度グラフを示す。これによれば、M.arginini, M.fermentans, M.hyorhinisに関しては蛍光強度がThreshold lineを越えておらず、検出されていないことが明らかである。その他のマイコプラズマに関してもすべてThreshold cycleが38 以上と高い値を示す。これは感度が低いことを示す。反応開始から終了までに要する時間もリアルタイムPCR
の系としては長いと思われる。このキットに関しては論文が示されておらず、説明書にも詳細は記載されていないが、リアルタイムPCR としての条件の最適化が不十分であると考えられる。また、図7に示すように、大腸菌DNAが検出されており、マイコプラズマ特異的検出法としては不十分な結果が生じた。

本発明において使用した各プライマーについて、各マイコプラズマの23SrRNA領域中の対応位置を示した図である。 実施例1の(1)の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。 実施例1の(2)の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。 実施例2の(1)および(2)の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。 実施例3の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。 実施例4の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。 比較例1における2回目のPCR産物を用いて電気泳動を行った結果を示す写真である。 比較例2の試験におけるリアルタイムPCRにおいて測定された蛍光強度のグラフである。

Claims (1)

  1. 配列表の配列番号2、3および4で表されるDNAと、同配列番号5で表されるDNAとを含み、かつ2本鎖DNAにインターカレートする蛍光試薬を含むことを特徴とする、マイコプラズマの検出試薬キット。
JP2003394770A 2003-03-25 2003-11-25 マイコプラズマの検出方法 Expired - Lifetime JP4238319B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003394770A JP4238319B2 (ja) 2003-03-25 2003-11-25 マイコプラズマの検出方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003083191 2003-03-25
JP2003394770A JP4238319B2 (ja) 2003-03-25 2003-11-25 マイコプラズマの検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004305207A JP2004305207A (ja) 2004-11-04
JP4238319B2 true JP4238319B2 (ja) 2009-03-18

Family

ID=33478215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003394770A Expired - Lifetime JP4238319B2 (ja) 2003-03-25 2003-11-25 マイコプラズマの検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4238319B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6704565B2 (ja) 2014-09-10 2020-06-03 国立大学法人 東京医科歯科大学 マイコプラズマを検出する方法
JP6733215B2 (ja) * 2016-02-26 2020-07-29 東ソー株式会社 プライマー及びマイコプラズマ・ニューモニエの検出方法
CN111235289B (zh) * 2020-03-15 2022-04-22 中国农业科学院兰州兽医研究所 用于检测山羊支原体山羊肺炎亚种的特异性pcr引物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004305207A (ja) 2004-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4176146B2 (ja) 微生物検査室における日常的診断用の臨床検体からの通常の細菌病原体および抗生物質耐性遺伝子を迅速に検出および同定するための特異的および普遍的プローブおよび増幅プライマー
Farber An introduction to the hows and whys of molecular typing
JP6081916B2 (ja) ガードネレラバジナリス(Gardnerellavaginails)のアッセイ
US20140329247A1 (en) Methods for multiplexing amplification reactions
KR101589483B1 (ko) 핵산과 신호 프로브의 비대칭 등온증폭을 이용한 핵산의 검출방법
EP1254254B1 (de) Nukleinsäuremoleküle zum nachweis von bakterien und phylogenetischen einheiten von bakterien
WO1999050448A2 (en) Nucleic acid detection method
US5747257A (en) Genetic markers and methods for the detection of escherichia coli serotype-0157:H7
JP2013520186A (ja) 緑膿菌の血清型決定のためのアッセイ法およびキット、ならびにそのような方法およびキットにおいて有用なオリゴヌクレオチド配列
Sławiak et al. Multiplex detection and identification of bacterial pathogens causing potato blackleg and soft rot in Europe, using padlock probes
JP3051451B2 (ja) PCRを用いたサルモネラ(Salmonella)の検出のための、特異的マーカーの使用
WO2005083114A1 (en) Method, kit and system for enhanced nested pcr
Zammit et al. Evaluation of quantitative real-time polymerase chain reaction for enumeration of biomining microorganisms in culture
JP2005511014A (ja) カンピロバクターの迅速かつ特異的な検出
EP1426447A1 (en) Method for the detection of pathogenic gram positive bacteria selected from the genera Staphylococcus, Enterococcus and Streptococcus
JP4238319B2 (ja) マイコプラズマの検出方法
EP1802771A1 (en) Detection, identification and differentiation of serratia species using the spacer region
Castanha et al. Strain discrimination among B. anthracis and related organisms by characterization of bclA polymorphisms using PCR coupled with agarose gel or microchannel fluidics electrophoresis
EP1598431A1 (en) Method of detecting chlamydia trachomatis and kit therefor
WO2017178587A1 (en) Method for universal detection and quantification of mycoplasma (mollicutes) 16s rdna by quantitative polymerase chain reaction amplifying a 1.5 kilobase fragment
JP2002000275A (ja) 新規な定量的多型解析方法
RU2644236C1 (ru) Способ генетического типирования штаммов yersinia pestis и yersinia pseudotuberculosis на основе анализа 13 vntr локусов в мультиплексной пцр реакции
Bae et al. Molecular genetic analysis of wetland soils
EP3438280B1 (en) Haemoplasma detection method
JP4766878B2 (ja) ハイブリダイゼーションアッセイを使用する真正細菌群の検出、同定および識別

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080604

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081125

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4238319

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term