JPH11282034A - 色素会合体薄膜、その製造方法及び光スイッチ - Google Patents

色素会合体薄膜、その製造方法及び光スイッチ

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JPH11282034A
JPH11282034A JP10181581A JP18158198A JPH11282034A JP H11282034 A JPH11282034 A JP H11282034A JP 10181581 A JP10181581 A JP 10181581A JP 18158198 A JP18158198 A JP 18158198A JP H11282034 A JPH11282034 A JP H11282034A
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JP10181581A
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English (en)
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Satoshi Tatsuura
智 辰浦
Takashi Isozaki
隆司 磯崎
Ryujun Fu
龍淳 夫
Makoto Furuki
真 古木
Yasusato Sato
康郊 佐藤
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクエアリリウム色素誘導体を用いて、固体
基板上に色素会合体薄膜を容易に形成する方法と、その
色素会合体薄膜を用いて形成した光スイッチを提供す
る。 【解決手段】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rはアルキル基を示し、XはH、Cl、OH、
CH3またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリウ
ム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板
上に塗布することにより形成することを特徴とする色素
会合体薄膜の製造方法、その方法により得られる色素会
合体薄膜、及びそれを用いて形成した光スイッチ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学材料として使
用することができる色素会合体薄膜、その製造方法、そ
の色素会合体薄膜を用いて形成した光スイッチ及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スクエアリリウム誘導体の中には、会合
体を形成するものがあることが知られている。会合体と
は数十〜数百の分子が規則正しく配列して緩く結合し、
光学的にあたかも一つの超分子として振る舞うようにな
った状態をいう。この時、吸収は分子単体に比べ長波長
にシフトし、先鋭化する(図1(b))。会合体は、吸
収ピーク付近の波長の光に対して極めて大きな相互作用
を持ち、しかも、3次の非線型光学効果である吸収飽和
の回復が非常に早いことが報告されている(M.Furuki,
L.S.Pu, F.Sasaki, S.Kobayashi and T.Tani, 4
th InternationalWorkshop on Femtosecond Techno
logy proceedings (1997)135)。また、水面上の単分
子膜状態で良質な会合体(J−会合体)を形成するスク
エアリリウム誘導体について、吸収飽和の回復時定数は
約300fs(1fs=10-15秒)であることが示さ
れている(図2)。このような特徴により、スクエアリ
リウム誘導体は、テラビット(1012bit/s)オーダ
ーの光情報通信の際に光スイッチとして使用され得るも
のであると認められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際に光スイ
ッチを形成するには、より簡単なプロセスで固体基板上
に会合体薄膜を形成する方法が必要とされる。有機薄膜
を固体基板上に形成するには、スピンコート法、キャス
ト法、ディップコート法などにより溶液状態から薄膜化
するのが最も簡便である。しかし、スクエアリリウム色
素誘導体については、LB法による薄膜化の検討がこれ
まで主として行われてきたが、溶液状態から薄膜化する
製膜方法については十分な検討がなされていなかった。
【0004】さらに、これまでスクエアリリウム誘導体
の高速の光応答特性は、水面上の膜でしか観測されてお
らず、固体基板上の膜が水面上の膜と同等の応答特性を
有するものであるか否かは不明であった。このような状
況に鑑み、本発明の目的は、スクエアリリウム誘導体を
用い、固体基板上に簡単なプロセスで会合体薄膜を形成
する方法を提供し、さらに、その会合体薄膜の光学応答
特性を確認し、それを用いて形成した光スイッチを提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スクエア
リリウム色素誘導体を用い、固体基板上に簡単なプロセ
スで色素会合体薄膜を形成する方法について検討を重ね
た結果、スクエアリリウム色素誘導体を用い、溶液状態
から色素会合体薄膜を製造する方法を見出した。さら
に、形成した会合体薄膜の吸収飽和の回復時定数として
300fsの値を得、それが超高速光スイッチ材料とし
て利用可能であることを確認し、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、下記一般式
(I)
【0007】
【化5】
【0008】(式中、Rはアルキル基を示し、XはH、
Cl、OH、CH3またはOCH3を示す)で示されるス
クエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶
液を固体基板上に塗布することにより形成することを特
徴とする色素会合体薄膜の製造方法である。本発明はま
た、下記一般式(II)
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R1〜R4はそれぞれ、アルキル基
を示し、X1〜X8はそれぞれ、H、Cl、OH、CH3
またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリウム色
素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に
塗布することにより形成することを特徴とする色素会合
体薄膜の製造方法である。
【0011】本発明はまた、上記一般式(I)または
(II)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶媒に
溶解して得られた溶液を固体基板上に塗布することによ
り形成されることを特徴とする色素会合体薄膜である。
本発明はまた、前記色素会合体を用いて形成されたこと
を特徴とする光スイッチ、光分配器、光変調器または光
スイッチ列である。本発明はまた、前記色素会合体薄膜
を色素会合体薄膜を部分的に被覆し、色素会合体薄膜の
各非被覆部分に独立して動作する複数の光スイッチを形
成することを特徴とする光スイッチ列の製造方法であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明の色素会合体薄膜は、上記一般式(I)で
示されるスクエアリリウム誘導体を、有機溶媒に溶解
し、得られた溶液を固体基板上に塗布することにより形
成することができる。
【0013】上記一般式(I)において、Rは、アルキ
ル基を示すが、炭素数3〜7の低級アルキル基であるこ
とが好ましく、特に、n−プロピル基もしくはiso−
プロピル基、またはn−ブチル基、iso−ブチル基も
しくはtert−ブチル基であることが好ましい。ま
た、上記一般式(I)中、Xは、H、Cl、OH、CH
3またはOCH3を示し、特に、H、OHまたはCH3
あることが好ましい。
【0014】また、本発明の色素会合体薄膜は、上記一
般式一般式(II)で示されるスクエアリリウム誘導体
を、有機溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗
布することにより形成することができる。上記一般式
(II)において、R1〜R8はそれぞれ、アルキル基を示
すが、炭素数3〜7の低級アルキル基であることが好ま
しく、特に、n−プロピル基もしくはiso−プロピル
基、またはn−ブチル基、iso−ブチル基もしくはt
ert−ブチル基であることが好ましい。また、上記一
般式(II)中、X1〜X8はそれぞれ、H、Cl、OH、
CH3またはOCH3を示す。特に、X2、X4、X5及び
7からなる群から選ばれる1または2以上がOH基で
ある場合には、色素の耐熱性を100℃以上高めること
ができるので好ましい。また、X1、X3、X6及びX8
らなる群から選ばれる1または2以上がClである場合
には、分子に双極子モーメントを与えることができ、2
次の非線型光学効果を発現させることができるので好ま
しい。
【0015】上記一般式(I)または(II)で示される
スクエアリリウム色素誘導体を溶解する溶媒としては、
特に限定されないが、ジクロロメタン、クロロホルム、
トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール
類、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等のケトン
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、プロピルアミ
ン、エチルアミン等のアミン類を用いることができる。
これらの中でも、ジクロロエタン、エタノールは特に好
ましい。
【0016】なお、上記一般式(I)または(II)で示
されるスクエアリリウム色素誘導体は、高分子化合物と
ともに溶媒中に溶解することにより、会合体の形成を促
進させることができる。この高分子化合物としては、色
素の波長域で光学的に透明なポリマーであればすべて使
用可能であり、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸系ポリマー、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルカルバゾール等のビニ
ル系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレングリコ
ール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルやその誘導体、お
よびそれらの共重合体等を用いることができる。これら
の中でも、ポリビニルアルコールは特に好ましい。
【0017】上記一般式(I)または(II)で示される
スクエアリリウム色素誘導体を高分子化合物とともに溶
媒に溶解する場合、スクエアリリウム色素誘導体の重量
比は、両者の合計重量に基づいて、10〜30重量%と
することが好ましい。混合比をこの範囲とすることによ
り、良質の会合体を形成することができる。
【0018】また、上記一般式(I)または(II)で示
されるスクエアリリウム色素誘導体の溶媒中の濃度は、
1〜5重量%とすることが好ましく、特に1〜3重量%
とすることが好ましい。濃度をこの範囲とすることによ
り、会合体の形成が顕著となる。
【0019】溶液の固体基板上への塗布方法としては、
従来より知られた方法を用いることができ、例えば、ス
ピンコート法、キャストコート法、ディップコート法等
を挙げることができる。
【0020】これらの製造により得られた色素会合体薄
膜は、そのままでも用いることができるが、熱処理をす
ることにより、会合体形成をさらに促進することができ
る。熱処理は、60℃〜140℃の温度において行なう
ことが好ましい。処理時間は処理温度によって異なる
が、例えば80℃の場合は30分間程度行なうことが好
ましく、140℃の場合は1分間程度行なうことが好ま
しい。処理温度が60℃未満となると、熱処理による効
果が得られず、形成に要する時間がかなり長くなる。例
えば、常温では、数日でわずかに吸収が変化する程度で
ある。また、140℃を超えると、色素の分解が顕著に
なる。
【0021】このように、上記一般式(I)または(I
I)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を単体で、
または高分子と共に、溶媒に溶解し、スピンコート法等
の塗布方法により薄膜を形成し、場合によっては熱処理
を行うことで、極めて容易に低コストで色素会合体薄膜
を得ることができる。
【0022】(本発明の色素会合体薄膜の光スイッチへ
の応用)次に、得られたスクエアリリウム色素会合体薄
膜の光スイッチへの応用可能性を検証するため、吸収飽
和の回復時定数を測定した。会合体薄膜は、下記実施例
1において得られた色素会合体薄膜を用い(その吸収ス
ペクトルは図3を参照のこと)、測定はポンプ・プロー
ブ法により行った。図7に測定結果を示す。ポンプ光強
度が44μJ/cm2・pulseのとき、明瞭な吸収
変化が観測され、0.5psで変化分の半分以上が回復
することが確認された。図8に吸収変化の時間変化を示
す。モデル関数によりフィッティングした結果、時定数
として、速い成分は約350fs、遅い成分は約12p
sであることがわかった。
【0023】さらに、ポンプ光強度を10μJ/cm2
・pulseに減少させると、吸収飽和の回復時間が約
220fsに減少することが判明した(図9)。これ
は、本材料を用いることにより、1THz以上で動作可
能な光スイッチを形成できることを示している。
【0024】本発明のスクエアリリウム色素会合体薄膜
は、光スイッチの他、光分配器、光変調器、光スイッチ
列の材料として使用することができる。すなわち、本発
明における光スイッチは、光で光を変調する広い意味で
の光変調器全体を包含する。したがって、必ずしもオン
・オフ型の光スイッチのみを意味しない。光変調器は、
光路変換素子、レンズ、ミラー、方向性結合器他、制御
光により誘起された屈折率変化により信号光を変調する
デバイスすべてを含む。また、屈折率変化の要因は特に
限定しておらず、吸収飽和の回復現象以外にも、色素会
合体薄膜の示す非線形光学効果のすべてを利用できる。
さらに、本発明の光スイッチは、個々の光スイッチを組
み合わせた光分配器などのシステムデバイスも包含して
いる。
【0025】(光スイッチについて)本発明の色素会合
体薄膜により形成された光スイッチの構造を図10に模
式的に示す。図10中、本発明の色素会合体薄膜12
(膜厚200〜300nm)は、ガラス基板14上の誘
電体多層膜反射ミラー13上に設けられており、さら
に、Auの薄膜11(50nm)により被覆されてい
る。下記実施例1において得られた色素会合体薄膜12
の膜厚は、制御光なしの状態で、干渉により信号光の反
射光が0になるよう調整した。パルス幅100fsの信
号光(50nJ/cm2)および制御光(40μJ/c
2)を用いたところ、制御光の照射時のみ信号光の反
射が観測された。このように、制御光の有無で信号光の
オン・オフを行なうことができる。すなわち、これによ
り、光スイッチ動作を行なわせることができるのであ
る。この光スイッチの応答時定数は約300fsであっ
た。
【0026】(光分配器、光変調器、光スイッチ列につ
いて)図11は、本発明の色素会合体薄膜により形成さ
れた光分配器、光変調器および光スイッチ列を模式的に
示す図である。このうち光分配器は、テラビット信号光
1〜4をギガビット信号光に変換する本システム全体を
指している。本発明の色素会合体薄膜12は、光分配器
中にある超高速空間変調素子15の材料として用いられ
る。超高速空間変調素子15は、光変調器として、制御
光により、信号光に強度変調を与えるものである。この
超高速空間変調素子15は、図10に示すような個々の
光スイッチが集合した光スイッチ列により形成される。
光スイッチ列は、固体基板上に形成された色素会合体薄
膜12を部分的に被覆することにより容易に形成でき
る。本発明の光分配器の動作原理を簡単に説明する。十
分に波面の広がった信号光を超高速空間変調素子15に
対して垂直に入射させる。一方、同様に波面を広げた制
御光を、超高速空間変調素子15に対して傾斜した方向
から入射させる。超高速空間変調素子15の傾斜による
制御光の光路差のため、ある瞬間においては、超高速空
間変調素子15を形成する光スイッチ列のうち、唯一つ
の光スイッチのみを動作させることが可能である。この
とき、超高速空間変調素子15上に達している信号光
は、動作した光スイッチの位置に対応した受光素子アレ
イ6に到達する。信号光と制御光の交わる位置が各光ス
イッチに対応するよう信号光と制御光を同期させること
で、シリアルに送られてきた信号光を各受光素子に割り
振ることが可能になる。
【0027】本発明によるスクエアリリウム色素誘導体
を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して
得られる色素会合体薄膜を用いて形成した光スイッチ
は、半導体材料により形成される光スイッチに比べ、絶
対的な応答時間に優れたものであるが、下記の点におい
ても優れている。
【0028】(1)材料、プロセスが安価で簡易なた
め、極めて低コストで形成することができる。 (2)光スイッチの製造、動作とも常温、大気中で行な
うことができる。 (3)材料形成に要する時間が極めて短く、大掛かりな
設備を必要としないため生産性に優れる。 (4)大面積化が容易である。
【0029】この大面積化が容易であるという特徴によ
って、本発明の光スイッチが形成可能である。すなわ
ち、これまで半導体材料では作製が不可能であるか、ま
たは極めて困難であった、大面積(数cm〜数十cm
φ)の光スイッチを容易に形成することができる。ま
た、ある程度の面積の膜を作製し、その後、マスク形成
によって膜を複数に分割することで、極めて容易に1次
元または2次元の光スイッチ列を形成できる。これらの
特徴から、本発明による光スイッチは、並列光情報処理
などの用途にも極めて有望である。その他、多様な分子
を利用することにより高機能化が容易であることや、製
膜に高温を必要としないため、他種材料とのハイブリッ
ド化が容易であること等の利点も有している。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。 (実施例1)スクエアリリウム色素誘導体(上記一般式
(I)中、R=ブチル、X=H)をジクロロエタン中に
溶解し、ジクロロエタン中1重量%スクエアリリウム色
素誘導体溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコート
法により固体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。
得られた薄膜の吸収スペクトルを図3に示す。図3中、
770nmに現れている吸収が会合体由来のピークであ
る。650nm付近の単分子由来の吸収より100nm
以上も長波長化していることが解る。
【0031】(実施例2)スクエアリリウム色素誘導体
(上記一般式(I)中、R=ブチル、X=H)をエタノ
ール中に溶解し、エタノール中1重量%スクエアリリウ
ム色素誘導体溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコ
ート法により固体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を得
た。
【0032】(実施例3)スクエアリリウム色素誘導体
(上記一般式(I)中、R=プロピル、X=H)をジク
ロロエタン中に溶解し、ジクロロエタン中1重量%スク
エアリリウム色素誘導体溶液を得た。次いで、この溶液
をスピンコート法により固体基板上に塗布し、色素会合
体薄膜を得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図4に
示す。図4から明らかなように、710nmに会合体吸
収が示された。
【0033】(実施例4)実施例3において得られた色
素会合体薄膜を80℃において30分間熱処理した。得
られた薄膜の吸収スペクトルを図5に示す。図5に示さ
れるように、会合体吸収が760nmにシフトしてお
り、熱処理により会合体形成が促進されることが判明し
た。
【0034】(実施例5)スクエアリリウム色素誘導体
(上記一般式(I)中、R=プロピル、X=H)10m
gとポリイニルアルコール40mgを、エタノール2c
c中に溶解して溶液を得た。次いで、この溶液をスピン
コート法により固体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を
得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図6に示す。図
6から明らかなように、750nmに会合体吸収が示さ
れた。
【0035】(実施例6)スクエアリリウム色素誘導体
(上記一般式(II)中、R1〜R4=プロピル、X1、X3
〜X6及びX8=H、X2及びX7=OH)をジクロロエタ
ン中に溶解し、1重量%スクエアリリウム色素誘導体溶
液を得た。次いで、この溶液をスピンコート法により固
体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。
【0036】(実施例7)スクエアリリウム色素誘導体
(上記一般式(II)中、R1〜R4=プロピル、X1及び
3=Cl、X2及びX4〜X8=H)をジクロロエタン中
に溶解し、1重量%スクエアリリウム色素誘導体溶液を
得た。次いで、この溶液をスピンコート法により固体基
板上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、任意の固体基板上にス
クエアリリウム色素会合体薄膜を容易に形成することが
できる。この色素会合体薄膜は、フェムト秒領域での光
スイッチ材料として使用することができる。本発明によ
れば、この色素会合体薄膜を材料として用いた光スイッ
チ、光分配器、光変調器、光スイッチ列が提供される。
本発明による簡便な薄膜形成方法は、テラビット光通信
のための高性能な超高速光スイッチ材料を極めて低コス
トに形成する方法として非常に有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】会合体と光の相互作用を示す図である。(a)
は、分子がランダムに分散した状態を示し、(b)は分
子が会合体を形成して規則的に配列した状態を示す。
【図2】スクエアリリウム色素誘導体の吸収回復の時間
変化を示すグラフである。
【図3】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=ブチル、X=H)のスピンコート膜の吸収スペ
クトルである。
【図4】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=プロピル、X=H)のスピンコート膜の吸収ス
ペクトルである。
【図5】第4図の膜を80℃、30分間熱処理して得ら
れた膜の吸収スペクトルである。
【図6】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=プロピル、X=H)をポリビニルアルコールと
ともに溶媒に溶解して得られた溶液を用いて製造した薄
膜の吸収スペクトルである。
【図7】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=ブチル、X=H)のスピンコート膜のポンプ・
プローブ測定結果を示すグラフである。
【図8】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=ブチル、X=H)のスピンコート膜の吸収回復
の時間変化を示すグラフである。
【図9】スクエアリリウム色素誘導体(一般式(I)
中、R=ブチル、X=H)のスピンコート膜の吸収回復
の時間変化を示すグラフである。
【図10】光スイッチの構造を示す模式図である。
【図11】光分配器、光変調器光スイッチ列の構造を示
す模式図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 テラビット信号光 11 Au薄膜 12 色素会合体薄膜 13 誘電体多層膜反射ミラー 14 ガラス基板 15 超高速空間変調素子 16 受光素子アレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古木 真 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 康郊 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Rはアルキル基を示し、XはH、Cl、OH、
    CH3またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリウ
    ム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板
    上に塗布することにより形成することを特徴とする色素
    会合体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 Rが炭素数3〜7の低級アルキル基を示
    すことを特徴とする請求項1記載の色素会合体薄膜の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 Rがn−プロピル基またはiso−プロ
    ピル基を示すことを特徴とする請求項1記載の色素会合
    体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 Rがn−ブチル基、iso−ブチル基ま
    たはtert−ブチル基を示すことを特徴とする請求項
    1記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(II) 【化2】 (式中、R1〜R4はそれぞれ、アルキル基を示し、X1
    〜X8はそれぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH
    3を示す)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶
    媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布すること
    により形成することを特徴とする色素会合体薄膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 R1〜R4が、それぞれ炭素数3〜7の低
    級アルキル基を示すことを特徴とする請求項5記載の色
    素会合体薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 R1〜R4が、それぞれn−プロピル基ま
    たはiso−プロピル基を示すことを特徴とする請求項
    5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 R1〜R4が、それぞれn−ブチル基、i
    so−ブチル基またはtert−ブチル基を示すことを
    特徴とする請求項5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 X2、X4、X5及びX7からなる群から選
    ばれる1または2以上が、OH基を示すことを特徴とす
    る請求項5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 X1、X3、X6及びX8からなる群から
    選ばれる1または2以上が、Clを示すことを特徴とす
    る請求項5記載の色素会合体膜膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 溶媒が、ジクロロエタンまたはエタノ
    ールであることを特徴とする請求項1または5記載の色
    素会合体薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 スクエアリリウム色素誘導体を高分子
    化合物とともに溶媒中に溶解させることを特徴とする請
    求項1または5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 高分子化合物が、ポリビニルアルコー
    ル(PVA)であることを特徴とする請求項12記載の
    色素会合体薄膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 スクエアリリウム色素誘導体の重量比
    が、スクエアリリウム色素と高分子化合物との合計重量
    に基づいて、10〜30重量%であることを特徴とする
    請求項12記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 溶媒中のスクエアリリウム色素誘導体
    の濃度が、1〜5重量%であることを特徴とする請求項
    1または5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 得られた薄膜を熱処理することを特徴
    とする請求項1または5記載の色素会合体薄膜の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 熱処理を、60〜140℃において3
    0分以内行うことを特徴とする請求項16記載の色素会
    合体薄膜の製造方法。
  18. 【請求項18】 塗布方法が、スピンコート法、キャス
    トコート法またはディップコート法であることを特徴と
    する請求項1または5記載の色素会合体薄膜の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 下記一般式(I) 【化3】 (式中、Rはアルキル基を示し、XはH、Cl、OH、
    CH3またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリウ
    ム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板
    上に塗布することにより形成することを特徴とする色素
    会合体薄膜。
  20. 【請求項20】 Rが炭素数3〜7の低級アルキル基を
    示すことを特徴とする請求項19記載の色素会合体薄
    膜。
  21. 【請求項21】 Rがn−プロピル基またはiso−プ
    ロピル基を示すことを特徴とする請求項19記載の色素
    会合体薄膜。
  22. 【請求項22】 Rがn−ブチル基、iso−ブチル基
    またはtert−ブチル基を示すことを特徴とする請求
    項19記載の色素会合体薄膜。
  23. 【請求項23】 下記一般式(II) 【化4】 (式中、R1〜R4はそれぞれ、アルキル基を示し、X1
    〜X8はそれぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH
    3を示す)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶
    媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布すること
    により形成することを特徴とする色素会合体薄膜。
  24. 【請求項24】 R1〜R4が、それぞれ炭素数3〜7の
    低級アルキル基を示すことを特徴とする請求項23記載
    の色素会合体薄膜。
  25. 【請求項25】 R1〜R4が、それぞれn−プロピル基
    またはiso−プロピル基を示すことを特徴とする請求
    項23記載の色素会合体薄膜。
  26. 【請求項26】 R1〜R4が、それぞれn−ブチル基、
    iso−ブチル基またはtert−ブチル基を示すこと
    を特徴とする請求項23記載の色素会合体薄膜。
  27. 【請求項27】 X2、X4、X5及びX7からなる群から
    選ばれる1または2以上が、OH基を示すことを特徴と
    する請求項23記載の色素会合体薄膜。
  28. 【請求項28】 X1、X3、X6及びX8からなる群から
    選ばれる1または2以上が、Clを示すことを特徴とす
    る請求項23記載の色素会合体膜膜。
  29. 【請求項29】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成されることを特徴とする光スイッ
    チ。
  30. 【請求項30】 色素会合体薄膜の2次または3次の非
    線形光学効果を利用することを特徴とする請求項29記
    載の光スイッチ。
  31. 【請求項31】 色素会合体薄膜の吸収飽和の回復現象
    を利用することを特徴とする請求項29記載の光スイッ
    チ。
  32. 【請求項32】 請求項29記載の色素会合体薄膜を1
    mm2以上の面積に製膜したものを使用したことを特徴
    とする光スイッチ。
  33. 【請求項33】 請求項29記載の色素会合体薄膜を1
    cm2以上の面積に製膜したものを使用したことを特徴
    とする光スイッチ。
  34. 【請求項34】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成されたことを特徴とする光分配器。
  35. 【請求項35】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成されたことを特徴とする光変調器。
  36. 【請求項36】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成することを特徴とする光スイッチの
    製造方法。
  37. 【請求項37】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を部分的に被覆し、色素会合体薄膜の各非被覆部
    分に独立して動作する複数の光スイッチを形成してなる
    ことを特徴とする光スイッチ列。
  38. 【請求項38】 請求項19または23記載の色素会合
    体薄膜を部分的に被覆し、色素会合体薄膜の各非被覆部
    分に独立して動作する複数の光スイッチを形成すること
    を特徴とする光スイッチ列の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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