JP2000119545A - 色素会合体薄膜、その製造方法および光スイッチ - Google Patents

色素会合体薄膜、その製造方法および光スイッチ

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JP2000119545A
JP2000119545A JP10306336A JP30633698A JP2000119545A JP 2000119545 A JP2000119545 A JP 2000119545A JP 10306336 A JP10306336 A JP 10306336A JP 30633698 A JP30633698 A JP 30633698A JP 2000119545 A JP2000119545 A JP 2000119545A
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Makoto Furuki
真 古木
Satoshi Tatsuura
智 辰浦
Yasusato Sato
康郊 佐藤
Taminori Den
民権 田
Ryujun Fu
龍淳 夫
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクエアリリウム色素誘導体を用い、LB法
により、固体基板上に気水界面上での会合体の構造を充
分に維持した色素会合体薄膜を形成する。 【解決手段】 下記一般式(I) 【化1】 (R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞ
れアルキル基を示し、Xは、H、Cl、OH、CH3
25またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリ
ウム色素誘導体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下して
単分子膜を形成し、得られた単分子膜をLB法により固
体基板上に塗布することにより色素会合体薄膜を製造す
る。得られた色素会合体薄膜を用いて、超高速光スイッ
チ材料、光分配器、光変調器、光スイッチ列を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素会合体薄膜、
その製造方法、それを用いて形成した光スイッチ、光分
配器、光変調器および光スイッチ列に関する。
【0002】
【従来の技術】スクエアリリウム色素誘導体の中には会
合体を形成するものがあることが知られている。会合体
とは、数十〜数百の分子が規則正しく配列して緩く結合
し、光学的にあたかも一つの超分子として振る舞うよう
になった状態をいう。会合体を形成する際、吸収は分子
単体(図1(a))に比べ長波長(780nm)にシフ
トし、先鋭化する(図1(b))。会合体は、吸収ピー
ク付近の波長の光に対して極めて大きな相互作用を持
ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸収飽和の回
復が非常に早いことが報告されている(M.Furuki, L.S.
Pu, F.Sasaki, S.Kobayashi and T.Tani, Appl.Phys.Le
tt.,72,21(1998)2648)。また、水面上で良質な会合体
(J−会合体)を形成するスクエアリリウム誘導体の単
分子膜状態について、吸収飽和の回復時定数は約300
fs(1fs=10-15秒)であることが示されている
(図2)。これは気水界面というミクロに極めて均質な
二次元空間に束縛されて成長した色素会合体が非常に均
質な二次元構造を有するためである(M. Furuki, L. S.
Pu, F. Sasaki, S. Kobayashi and T. Tani, Mat. Re
s. Symp. Proc. Vol. 488. (1998) 777)。このような
特徴により、スクエアリリウム誘導体は、テラビット
(1012bit/s)オーダーの光情報通信の際に光スイ
ッチとして使用され得るものであると認められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなスクエアリ
リウム色素誘導体を用いて実際に光スイッチを製造する
ためには、固体基板上に色素会合体薄膜を形成する方法
が必要とされる。有機薄膜を固体基板上に形成するため
の方法として、LB法(ラングミュア・プロジェット
法)、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法
等が知られており、これらのいずれの方法によっても、
色素会合体を含む薄膜を形成することが可能である。上
記したように、スクエアリリウム色素誘導体について
は、水面上で最も均質な会合体が形成されるため、水面
上での構造をできるだけ維持したまま固体基板上に移し
取ることが望ましく、これらの方法の中ではLB法によ
る薄膜化が有効であると考えられるが、会合体構造を充
分に維持したLB膜の有効な作製条件がまだ確立してい
なかった。
【0004】このような状況に鑑み、本発明は、スクエ
アリリウム色素誘導体を用い、LB法により、固体基板
上に気水界面上での会合体の構造を充分に維持した色素
会合体薄膜を形成する方法を提供することを目的とす
る。さらに、本発明は、その色素会合体薄膜を用いて形
成された光スイッチ、光分配器、光変調器および光スイ
ッチ列を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一定のスクエ
アリリウム色素誘導体を用いてLB法により色素会合体
薄膜を製造すること、スクエアリリウム色素誘導体薄膜
を固体基板上に形成した後に膜表面を高分子化合物薄膜
で被覆すること、スクエアリリウム色素誘導体薄膜形成
時に単分子膜の展開相として電解質イオンを含む純水を
使用すること、またはLB法による累積の表面圧を一定
範囲とすることにより、水面上での会合体構造を充分に
維持した色素会合体薄膜を形成することができることを
見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下
記一般式(I)
【化5】
【0006】(R1およびR2は同じでも異なっていても
よく、それぞれアルキル基を示し、Xは、H、Cl、O
H、CH3、C25またはOCH3を示す)で示されるス
クエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、気水界面上
に滴下して単分子膜を形成し、得られた単分子膜をLB
法により固体基板上に塗布することにより形成すること
を特徴とする色素会合体薄膜の製造方法、下記一般式
(II)
【0007】
【化6】
【0008】(R1〜R4は同じでも異なっていてもよ
く、それぞれアルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異
なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、C
3、C25またはOCH3を示す)で示されるスクエア
リリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下
して単分子膜を形成し、得られた単分子膜をLB法によ
り固体基板上に塗布することにより形成することを特徴
とする色素会合体薄膜の製造方法、色素会合体薄膜を固
体基板上に形成した後に、前記薄膜の膜表面を高分子化
合物薄膜により被覆することを特徴とする前記色素会合
体薄膜の製造方法、単分子膜の展開相として、電解質イ
オンを含む純水を使用することを特徴とする前記色素会
合体薄膜の製造方法、LB法による累積が、表面圧20
〜30mN/mの範囲であることを特徴とする前記色素
会合体薄膜の製造方法、前記製造方法により得られる色
素会合体薄膜、前記色素会合体薄膜を用いて形成する光
スイッチ、光分配器、光変調器、光スイッチ列である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0010】上記一般式(I)において、R1およびR2
は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基
を示すが、炭素数2〜7の低級アルキル基が好ましく、
炭素数3〜7の低級アルキル基がより好ましく、n−プ
ロピル基またはn−ブチル基が特に好ましい。また、上
記一般式(I)中、Xは、H、Cl、OH、CH3、C2
5またはOCH3を示し、OH、CH3またはC25
好ましい。
【0011】上記一般式(II)において、R1〜R8は同
じでも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基を示
すが、炭素数2〜7の低級アルキル基が好ましく、炭素
数3〜7の低級アルキル基がより好ましく、n−プロピ
ル基およびn−ブチル基が特に好ましい。なお、アルキ
ル基の炭素数を増やすことにより、溶媒に対する溶解度
を高めることができる。また、上記一般式(II)中、X
1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、
Cl、OH、CH3、C25またはOCH3Hを示す。特
に、X2、X4、X5およびX7からなる群から選ばれる1
または2以上がOH基である場合には、色素の耐熱性を
100℃以上高めることができるので好ましい。また、
1、X3、X6およびX8からなる群から選ばれる1また
は2以上がClである場合には、分子に双極子モーメン
トを与えることができ、二次の非線形光学効果を発現さ
せることができるので好ましい。
【0012】上記一般式(I)または(II)で示される
スクエアリリウム色素誘導体を溶解する溶媒としては、
特に限定されないが、クロロホルム、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、トリクロルエタン、塩化メチレン等の
ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、
モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール
類、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等のケトン
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、プロピルアミ
ン、エチルアミン等のアミン類を用いることができる。
これらの中でも、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロ
ロエタンまたはモノクロロベンゼンは好ましく、クロロ
ホルムまたはジクロロエタンは特に好ましい。
【0013】上記一般式(I)または(II)で示される
スクエアリリウム色素誘導体の溶媒中の濃度は、0.0
01〜1重量%とすることが好ましく、0.01〜0.1
重量%とすることが特に好ましい。濃度をこの範囲とす
ることにより、会合体の形成が顕著となる。
【0014】以下に、本発明の色素会合体薄膜の製造方
法を具体例を挙げて説明する。上記一般式(I)(式
中、R1およびR2は、n−プロピル基を示し、Xは、C
H3を示す)のスクエアリリウム色素誘導体(SQ33
mMe)を、ジクロロエタン中に0.1重量%となるよ
うに溶解し、その溶液を純水面上に滴下して、気水界面
上の単分子膜を得る。得られた気水界面上の単分子膜の
吸収スペクトルを図3に示し、表面圧−面積曲線を図4
に示す。図3中、(a)は、図4において単分子膜が
0.7nm2の場合の吸収スペクトルを示し、(b)は、
図4において単分子膜が0.3nm2の場合の吸収スペク
トルを示す。図4における0.7nm2の単分子膜状態で
は、図3(a)に示すように、780nmに会合体由来
の単一の吸収ピーク見られる。これは分子分散状態(例
えば溶液)における640nmの吸収から140nmも
長波長にシフトしたものである。一方、単分子膜崩壊を
越えて、図4における0.3nm2まで圧縮すると、図3
(b)に示すように、色素分子の面内密度上昇に伴って
吸収が大きくなるが、780nmより秩序性の低い77
0nmの吸収ピークも見られる。これは、単分子膜構造
が過剰な圧縮により崩れて多層化したためで、会合体構
造が乱れたものも含まれていることを示している。
【0015】この気水界面上単分子膜を一般的なLB膜
作製手法に従い、単分子膜崩壊圧より低い20mN/m
の一定表面圧下で、ガラス基板上に1層累積すると、図
5(a)の吸収スペクトルに示すように、会合体の構造
を全く維持しない累積膜となる。一方、これを単分子膜
崩壊圧を越えて過剰に圧縮し、累積すると、図5(b)
に示すように、770nmの乱れた会合体構造をある程
度維持したLB膜を得ることができる。LB法による累
積は、表面圧20〜30mN/mの範囲であることが好
ましい。20mN/m未満となると、会合体を含まない
膜が得られる。また、LB法による累積は、固体基板へ
の累積面積の1.2〜3倍過剰に圧縮することが好まし
い。1.2倍未満となると、会合体を形成する比率が低
下する。
【0016】さらに累積条件として、単分子膜の展開相
である純水中に0.01〜1重量%の電解質イオンを添
加すると、長波長成分をより多く残した図5(c)に示
す吸収スペクトルを持つ膜を得ることができる。電解質
イオンを与える物質としては、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を挙
げることができるが、これらに限定されない。図5
(c)に示す吸収スペクトルを持つ膜は、単分子膜崩壊
後の水面上での吸収スペクトルをほぼ再現したものとな
っている。
【0017】一方、LB法による累積直後に、膜表面を
高分子化合物により被覆して、保護膜を形成することに
より、膜内での分子の再配列が起こり、理想的な単分子
状態が得られる。この高分子化合物として、パーフルオ
ロ溶媒に可溶なフッ素樹脂を用い、スピンコート法によ
り、色素会合体薄膜の膜表面を被覆すると、限りなく理
想的な単分子膜状態に近い吸収スペクトル(図5
(d))を有する薄膜が得られた。このことは、上記一
般式(I)および(II)で示される他の化合物において
も確認された。
【0018】さらに、このフッ素樹脂による保護膜の形
成は、色素会合体LB膜の構造安定性にも大きく寄与し
た。保護膜が設けられていないLB膜では、数日以内に吸
収強度がほぼ半減するのに対し、保護膜を設けたもので
は一週間経過した後でも吸収スペクトルには全く変化が
認められなかった。このことは、フッ素樹脂膜がLB膜を
酸素や水の吸着から保護し、構造安定性を著しく向上さ
せる効果を有していることを示している。このような効
果は、他のフッ素樹脂以外の高分子化合物、例えば、ポ
リビニルアルコール、ポリビニル硫酸、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタアクリ
レート等を用いて保護膜を形成した場合にも認められ
た。
【0019】次に、得られたスクエアリリウム色素会合
体薄膜の光スイッチへの適用可能性を検証するため、吸
収飽和の回復時定数を測定した。会合体薄膜は図5
(d)に示すLB法により得られた色素会合体薄膜を用い
た。測定はポンプ・プローブ法により行った。図6に測
定結果を示す。ポンプ光強度3μJ/cm2のとき、明
瞭な吸収変化が観測され、400fsで変化分の半分以
上が回復することが確認された。図7に吸収飽和の時間
変化を示す。モデル関数によりフィッティングした結
果、時定数として、速い成分は約200fs、遅い成分
は約14psであることがわかった。これは、本発明の
色素会合体薄膜を用いることにより、1THz以上で動
作可能な光スイッチを形成することができることを示し
ている。
【0020】本発明のスクエアリリウム色素会合体薄膜
は、光スイッチの他、光分配器、光変調器、光スイッチ
列の材料として使用することができる。すなわち、本発
明における光スイッチは、光で光を変調する広い意味で
の光変調器全体を包含する。したがって、必ずしもオン
・オフ型の光スイッチのみを意味しない。光変調器は、
光路変換素子、レンズ、ミラー、方向性結合器の他、制
御光により誘起された屈折率変化により信号光を変調す
るデバイスすべてを含む。また、屈折率変化の要因は特
に限定しておらず、吸収飽和の回復現象以外にも、色素
会合体薄膜の示す2次または3次の非線形光学効果のす
べてを利用することができる。さらに、本発明の光スイ
ッチは、個々の光スイッチを組み合わせた光分配器等の
システムデバイスも包含している。
【0021】(光スイッチについて)本発明の色素会合
体薄膜を用いて形成された光スイッチの構造を図8に模
式的に示す。図8中、本発明の色素会合体薄膜11(膜
厚200〜300nm)は、ガラス基板の上の誘起体多
層膜反射ミラー13上に、スペーサ12を介して設けら
れている。制御光なしの状態で、信号光の色素会合体薄
膜の膜表面での反射光と誘起体多層膜反射ミラー13か
らの反射光が干渉により0になるように調整した。パル
ス幅100fsの信号光(5nJ/cm2)および制御
光(1μJ/cm2)を用いたところ、制御光の照射時
のみ信号光の反射が観測され、光スイッチ動作が確認さ
れた。この光スイッチの応答時定数は約300fsであ
った。なお、光スイッチは、本発明の色素会合体薄膜を
1mm2以上、特に1cm2以上の面積に渡って製膜して
利用したものであることが好ましい。
【0022】(光分配器、光変調器、光スイッチ列につ
いて)図9は、本発明の色素会合体薄膜を用いて形成さ
れた光分配器(DEMUX)、光変調器および光スイッ
チ列を模式的に示す図である。このうち、光分配器(D
EMUX)は、テラビット信号光1〜5をギガビット信
号光に変換する本システム全体を指している。本発明の
色素会合体薄膜11は、光分配器中にある超高速空間変
調素子14の材料として用いられる。超高速空間変調素
子14は、光変調器として、制御光により、信号光に強
度変調を与えるものである。この超高速空間変調素子1
4は、図9に示すような個々の光スイッチが集合した光
スイッチ列により形成される。光スイッチ列は、固体基
板上に形成された色素会合体薄膜11を部分的に被覆す
ることにより容易に形成することができる。
【0023】本発明の光分配器の動作原理を簡単に説明
する。十分に波面の広がった信号光を超高速空間変調素
子14に対して垂直に入射させる。一方、同様に波面を
広げた制御光を、超高速空間変調素子14に対して傾斜
した方向から入射させる。超高速空間変調素子14の傾
斜による制御光の光路差のため、ある主観においては、
超高速空間変調素子14を形成する光スイッチ列のう
ち、唯一つの光スイッチのみを作動させることが可能で
ある。このとき、超高速空間変調素子14上に達してい
る信号光は、動作した光スイッチの位置に対応した受光
素子アレイ15の一素子に入射する信号光と制御光の交
差する位置が各光スイッチに対応するように信号光と制
御光を同期させることにより、シリアルに送られてきた
信号光を各受光素子に割り振ることが可能になる。
【0024】本発明の色素会合体薄膜を用いて形成した
光スイッチは、半導体により形成される光スイッチに比
べて、絶対的な応答時間に優れたものであるが、さらに
下記のような利点を有している。
【0025】(1)材料、プロセスが安価で、簡易であ
るため、極めて低コストで形成することができる。 (2)光スイッチの製造、動作ともに常温、大気中で行
なうことができる。 (3)材料作製に要する時間が極めて短く、大掛かりな
設備を必要としないため生産性に優れる。 (4)大面積化が容易である。
【0026】この大面積化が容易であるという特徴によ
って、本発明の光スイッチが形成可能となる。すなわ
ち、これまで半導体材料では作製が不可能であるか極め
て困難であった、大面積(数cm〜数十cmφ)の光ス
イッチを容易に形成することができる。また、ある程度
の面積の膜を作製し、その後、マスク形成によって膜を
複数に分割することにより、極めて容易に1次元または
2次元の光スイッチ列を形成することができる。これら
の特徴から、本発明の光スイッチは、並列光情報処理等
の用途にも極めて有望である。その他、本発明の光スイ
ッチは、多様な分子を利用することにより高機能化が容
易であること、製膜に高温を必要としないため他種材料
とのハイブリッド化が容易であること等の利点も有して
いる。
【0027】本発明によれば、スクエアリリウム色素誘
導体単分子膜を、水面上の単分子膜状態からその構造を
維持したまま固体基板上に移し取ることができ、その構
造安定性を著しく向上させることができる。本発明によ
る色素会合体膜は、他の方法により得られる固体薄膜に
比べてはるかに均質性が高く、単一のシャープな吸収ピ
ークを780nmに有する。また、本発明の色素会合体
薄膜の吸収飽和の回復時定数は、<300fsであり、
その制御光のエネルギーも数μJ/cm2という極めて
低いレベルでの励起による動作が確認されている。さら
に、本発明の色素会合体薄膜は、フェムト秒領域での超
高速光スイッチ材料、光分配器、光変調器、光スイッチ
列として使用可能である。本発明の色素会合体薄膜は、
テラビット光情報通信のための極めて低コストで高性能
な超高速光スイッチ材料として、非常に有望である。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、任意の固体基板上に、
LB法により、気水界面上での単分子構造を充分に維持
したスクエアリリウム色素会合体薄膜を形成することが
でき、同色素会合体薄膜は、フェムト秒領域での光スイ
ッチ材料として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】会合体と光の相互作用を示す図である。(a)
は、分子がランダムに分散した状態を示し、(b)は、
分子が会合体を形成して規則的に配列した状態を示す。
【図2】水面上スクエアリリウム色素会合体の単分子膜
の吸収飽和率の時間変化を示すグラフである。
【図3】水面上スクエアリリウム色素会合体の単分子膜
の吸収スペクトルである。(a)は、1分子当たりの占
有面積が0.7nm2の場合を示し、(b)は、1分子当
たりの占有面積が0.3nm2の場合を示す。
【図4】水面上スクエアリリウム色素会合体の単分子膜
の面積−圧力曲線を示すグラフである。
【図5】LB法の累積により得られた色素会合体薄膜の
吸収スペクトルである。(a)は、20mN/mの表面
圧で1層累積した場合、(b)は、単分子膜崩壊面積を
超えて過剰に圧縮した場合、(c)は、展開相に電解質
イオンを添加した場合、(d)は、高分子化合物で被覆
した場合を示す。
【図6】色素会合体薄膜のポンプ・プローブ測定結果を
示すグラフである。
【図7】色素会合体薄膜の吸収回復の時間変化を示すグ
ラフである。
【図8】光スイッチの構造を示す図である。
【図9】光分配器、光変調器、光スイッチ列の構造を示
す摸式図である。
【符号の説明】
1、2、3、4、5 テラビット信号光 11 色素会合体薄膜 12 スペーサ 13 誘電体多層膜ミラー 14 超高速空間変調素子 15 受光素子アレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101:04 (72)発明者 佐藤 康郊 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 田 民権 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 夫 龍淳 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AA02 AB04 AB05 AB10 BA01 CA06 FA09 HA13 4D075 AB24 AB55 DC21 DC24 EB16 4F071 AA06 AE09 BB10 4J038 CD091 CE021 CG141 CG171 CH031 CR071 DH001 DJ021 MA07 MA09 NA05 PB09 PC05

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞ
    れアルキル基を示し、Xは、H、Cl、OH、CH3
    25またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリ
    ウム色素誘導体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下して
    単分子膜を形成し、得られた単分子膜をLB法により固
    体基板上に塗布することにより形成することを特徴とす
    る色素会合体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 R1およびR2が、それぞれ炭素数2〜7
    の低級アルキル基であることを特徴とする請求項1記載
    の色素会合体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 R1およびR2が、それぞれn−プロピル
    基またはn−ブチル基であることを特徴とする請求項1
    記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 Xが、OH、CH3またはC25である
    ことを特徴とする請求項1記載の色素会合体薄膜の製造
    法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(II) 【化2】 (R1〜R4は同じでも異なっていてもよく、それぞれア
    ルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異なっていてもよ
    く、それぞれ、H、Cl、OH、CH3、C25または
    OCH3を示す)で示されるスクエアリリウム色素誘導
    体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下して単分子膜を形
    成し、得られた単分子膜をLB法により固体基板上に塗
    布することにより形成することを特徴とする色素会合体
    薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 溶媒が、クロロホルム、塩化メチレン、
    ジクロロエタンまたはモノクロロベンゼンであることを
    特徴とする請求項1または5記載の色素会合体薄膜の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 色素会合体薄膜を固体基板上に形成した
    後に、その膜表面を高分子化合物薄膜により被覆するこ
    とを特徴とする請求項1または5記載の色素会合体薄膜
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 高分子化合物が、パーフルオロ溶媒に可
    溶なフッ素樹脂であることを特徴とする請求項7記載の
    色素会合体薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 単分子膜の展開相として、電解質イオン
    を含む純水を使用することを特徴とする請求項1または
    5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリ
    ウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムであ
    り、その濃度が、0.01〜1重量%の範囲であること
    を特徴とする請求項9記載の色素会合体薄膜の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 LB法による累積が、表面圧20〜3
    0mN/mの範囲であることを特徴とする請求項1また
    は5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 LB法による累積が、単分子膜の崩壊
    圧を越えて過剰に圧縮することを特徴とする請求項1ま
    たは5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 LB法による累積が、固体基板への累
    積面積の1.2〜3倍過剰に圧縮することを特徴とする
    請求項1または5記載の色素会合体薄膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 下記一般式(I) 【化3】 (R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞ
    れアルキル基を示し、Xは、H、Cl、OH、CH3
    25またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリ
    ウム色素誘導体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下して
    単分子膜を形成し、得られた単分子膜をLB法により固
    体基板上に塗布して形成することにより得られることを
    特徴とする色素会合体薄膜。
  15. 【請求項15】 下記一般式(II) 【化4】 (R1〜R4は同じでも異なっていてもよく、それぞれア
    ルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異なっていてもよ
    く、それぞれ、H、Cl、OH、CH3、C25または
    OCH3を示す)で示されるスクエアリリウム色素誘導
    体を溶媒に溶解し、気水界面上に滴下して単分子膜を形
    成し、得られた単分子膜をLB法により固体基板上に塗
    布して形成することにより得られることを特徴とする色
    素会合体薄膜。
  16. 【請求項16】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴
    とする光スイッチ。
  17. 【請求項17】 色素会合体薄膜の2次または3次の非
    線形光学効果を利用することを特徴とする請求項16記
    載の光スイッチ。
  18. 【請求項18】 色素会合体薄膜の吸収飽和の回復現象
    を利用することを特徴とする請求項16記載の光スイッ
    チ。
  19. 【請求項19】 色素会合体薄膜を1mm2以上の面積
    に渡って製膜して利用することを特徴とする請求項16
    記載の光スイッチ。
  20. 【請求項20】 色素会合体薄膜を1cm2以上の面積
    に渡って製膜して利用することを特徴とする請求項16
    記載の光スイッチ。
  21. 【請求項21】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成することを特徴とする光スイッチの
    製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴
    とする光分配器(DEMUX)。
  23. 【請求項23】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴
    とする光変調器。
  24. 【請求項24】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を部分的に覆い、色素会合体薄膜の各部分に独立
    して動作する複数の光スイッチを形成することにより得
    られることを特徴とする光スイッチ列。
  25. 【請求項25】 請求項14または15記載の色素会合
    体薄膜を部分的に覆って、色素会合体薄膜の各部分に独
    立して動作する複数の光スイッチを形成することを特徴
    とする光スイッチ列の製造方法。
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