JP2002069321A - 色素会合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、光分配器、および光変調器 - Google Patents
色素会合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、光分配器、および光変調器Info
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- JP2002069321A JP2002069321A JP2000259574A JP2000259574A JP2002069321A JP 2002069321 A JP2002069321 A JP 2002069321A JP 2000259574 A JP2000259574 A JP 2000259574A JP 2000259574 A JP2000259574 A JP 2000259574A JP 2002069321 A JP2002069321 A JP 2002069321A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 より長波長側により鋭くかつ増大した吸収ピ
ークを示し、超高速光学応答特性を有する色素会合体薄
膜およびその製造方法を提供すること、また、前記色素
会合体薄膜を用いた光スイッチ、光スイッチ列、光分配
器および光変調器を提供すること。 【解決手段】 高分子配向膜に接する面を有することを
特徴とする色素会合体薄膜、色素を溶媒に溶解させた溶
液を高分子配向膜の表面に塗布することにより、高分子
配向膜に接する面を有する色素会合体薄膜を形成する色
素会合体薄膜の製造方法、前記色素会合体薄膜を用いる
光スイッチ、光スイッチ列、光分配器および光変調器。
ークを示し、超高速光学応答特性を有する色素会合体薄
膜およびその製造方法を提供すること、また、前記色素
会合体薄膜を用いた光スイッチ、光スイッチ列、光分配
器および光変調器を提供すること。 【解決手段】 高分子配向膜に接する面を有することを
特徴とする色素会合体薄膜、色素を溶媒に溶解させた溶
液を高分子配向膜の表面に塗布することにより、高分子
配向膜に接する面を有する色素会合体薄膜を形成する色
素会合体薄膜の製造方法、前記色素会合体薄膜を用いる
光スイッチ、光スイッチ列、光分配器および光変調器。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素会合体薄膜、
その製造方法、それを用いて形成した光スイッチ、光ス
イッチ列、光分配器および光変調器に関する。
その製造方法、それを用いて形成した光スイッチ、光ス
イッチ列、光分配器および光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】色素誘導体、特にシアニンやスクエアリ
リウム色素誘導体の中には会合体を形成するものがある
ことが知られている[(a) The Theory of the Photograp
hicProcess, T. H. James, ed. (Macmillan Co., Inc.,
New York, London, 1968); (b) The Theory of the Ph
otographic Process, T. H. James, ed.(Macmillan Pub
lishing Co., Inc., New York, London, 1977)等の本を
参照]。会合体とは、数十〜数百の分子が規則正しく配
列して緩く結合し、光学的にあたかも一つの超分子とし
て振る舞うものをいい、特に図1に示すように、その吸
収帯(b)が、分子単体の吸収帯(a)に比べ長波長側
にシフトし、先鋭化したものをJ-会合体という。J-会合
体は、ストークスシフトの小さな蛍光を発し、吸収ピー
ク付近の波長の光に対して極めて大きな相互作用を持
ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸収飽和の回
復が非常に速いことが報告されている(M. Furuki, L.
S. Pu, F. Sasaki, S. Kobayashi and T. Tani, 4th In
ternationalWorkshop on Femtosecond Technology Proc
eedings (1997)135; Appl.Phys. Lett., 72, 21(1998)
2648)。
リウム色素誘導体の中には会合体を形成するものがある
ことが知られている[(a) The Theory of the Photograp
hicProcess, T. H. James, ed. (Macmillan Co., Inc.,
New York, London, 1968); (b) The Theory of the Ph
otographic Process, T. H. James, ed.(Macmillan Pub
lishing Co., Inc., New York, London, 1977)等の本を
参照]。会合体とは、数十〜数百の分子が規則正しく配
列して緩く結合し、光学的にあたかも一つの超分子とし
て振る舞うものをいい、特に図1に示すように、その吸
収帯(b)が、分子単体の吸収帯(a)に比べ長波長側
にシフトし、先鋭化したものをJ-会合体という。J-会合
体は、ストークスシフトの小さな蛍光を発し、吸収ピー
ク付近の波長の光に対して極めて大きな相互作用を持
ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸収飽和の回
復が非常に速いことが報告されている(M. Furuki, L.
S. Pu, F. Sasaki, S. Kobayashi and T. Tani, 4th In
ternationalWorkshop on Femtosecond Technology Proc
eedings (1997)135; Appl.Phys. Lett., 72, 21(1998)
2648)。
【0003】また、前記のごとき色素誘導体に、パルス
幅が短く電界強度の強い超短レーザーパルスを照射する
ことにより強く励起すると、基底状態にある分子の数が
減少し、光の吸収が瞬間的に弱くなる。このことは非線
形光学効果の誘導吸収飽和として知られており、また広
く応用が検討されている。特に、色素会合体、中でもJ
−会合体等の会合体を形成すると、光吸収効率が増大す
るだけでなく、吸収飽和に必要な光強度の閾値が低くな
り、さらに回復時間が短縮され、各種光変調素子への適
用が期待されている。
幅が短く電界強度の強い超短レーザーパルスを照射する
ことにより強く励起すると、基底状態にある分子の数が
減少し、光の吸収が瞬間的に弱くなる。このことは非線
形光学効果の誘導吸収飽和として知られており、また広
く応用が検討されている。特に、色素会合体、中でもJ
−会合体等の会合体を形成すると、光吸収効率が増大す
るだけでなく、吸収飽和に必要な光強度の閾値が低くな
り、さらに回復時間が短縮され、各種光変調素子への適
用が期待されている。
【0004】実際に、固体基板上形成したスクエアリリ
ウム色素誘導体薄膜の光に対する応答時間が300fs
(1fs=10-15秒)以下であったことが確認された
(平成10年7月13日付け日刊工業新聞第1面)。さ
らに、最近、100fsを切る超高速応答特性を有し、
80fJ/μm2という低エネルギーで駆動可能なスク
エアリリウム色素誘導体薄膜が実現した(平成11年7
月8日付け日経産業新聞第5面)。このような特徴によ
り、スクエアリリウム誘導体は、テラビット(1012b
it/s)オーダーの光情報通信の際の光スイッチとし
て使用され得るものであると認められる。
ウム色素誘導体薄膜の光に対する応答時間が300fs
(1fs=10-15秒)以下であったことが確認された
(平成10年7月13日付け日刊工業新聞第1面)。さ
らに、最近、100fsを切る超高速応答特性を有し、
80fJ/μm2という低エネルギーで駆動可能なスク
エアリリウム色素誘導体薄膜が実現した(平成11年7
月8日付け日経産業新聞第5面)。このような特徴によ
り、スクエアリリウム誘導体は、テラビット(1012b
it/s)オーダーの光情報通信の際の光スイッチとし
て使用され得るものであると認められる。
【0005】一方、液晶ディスプレイ素子には、液晶分
子が基板表面に対してある一定の配向状態を取るよう
に、基板表面を処理する技術が既に開発されている[液
晶辞典,日本学術振興会情報科学用有機材料第142委員
会・液晶部会編(株式会社培風館,1989)等の本を参
照]。そのような配向手法の中に、液晶分子の平行配向
構造を実現するには、基板上にポリイミド、ポリビニル
アルコールなどの高分子膜を塗布し、それをナイロンや
ポリエステルや綿布などの繊維で一方向に擦るラビング
法がある。さらに、このようなラビング法により処理さ
れた低分子量のポリエチレン蒸着膜の上にヒドロキシス
クエアリリウム色素誘導体を真空蒸着し、光記録ディス
ク用の配向膜を形成した報告があった(A. H. Sporer,
Appl. Optics, 23, 16(1984)2738)。その上、最近、配
向処理を施されたガラス又はプラスチック基板上に、二
色性色素を配向させて光吸収異方性薄膜を提供し、レー
ザー光や自然光を含む照射光の減衰、偏光、散乱、遮光
等の各機能を実現する例もある(特開平11−3050
36号公報)。しかし、湿式製膜方法により表面配向の
あった基板の上、特に高分子膜の上に色素分子会合体の
形成を行っている例はない。
子が基板表面に対してある一定の配向状態を取るよう
に、基板表面を処理する技術が既に開発されている[液
晶辞典,日本学術振興会情報科学用有機材料第142委員
会・液晶部会編(株式会社培風館,1989)等の本を参
照]。そのような配向手法の中に、液晶分子の平行配向
構造を実現するには、基板上にポリイミド、ポリビニル
アルコールなどの高分子膜を塗布し、それをナイロンや
ポリエステルや綿布などの繊維で一方向に擦るラビング
法がある。さらに、このようなラビング法により処理さ
れた低分子量のポリエチレン蒸着膜の上にヒドロキシス
クエアリリウム色素誘導体を真空蒸着し、光記録ディス
ク用の配向膜を形成した報告があった(A. H. Sporer,
Appl. Optics, 23, 16(1984)2738)。その上、最近、配
向処理を施されたガラス又はプラスチック基板上に、二
色性色素を配向させて光吸収異方性薄膜を提供し、レー
ザー光や自然光を含む照射光の減衰、偏光、散乱、遮光
等の各機能を実現する例もある(特開平11−3050
36号公報)。しかし、湿式製膜方法により表面配向の
あった基板の上、特に高分子膜の上に色素分子会合体の
形成を行っている例はない。
【0006】ところで、本発明者らは、スクエアリリウ
ム色素誘導体が固体基板上で会合体を形成し、かつfs
オーダーの超高速光学応答特性を示すことを確認し、先
に特許出願を行なった(特開平11−282034
号)。しかし、これらを実際に光スイッチへ応用するた
めには、より長波長側にもっと鋭い吸収ピークを示す会
合体を使用することが望まれる。それは、(1) 極大
吸収波長が長ければ長い程、会合体を形成する色素分子
の数が多くなるため、3次の非線形光学効果を強めると
ともに光応答速度を高めることができる、(2)吸収ピ
ークの絶対値が大きいほうが吸収変化量も大きくなるた
め、効率が同じでもダイナミックレンジを大きく取るこ
とができる、(3)吸収帯の波長広がりと制御光の波長
広がり(10〜20nm)とを同オーダーにすることに
より、光エネルギーを効率よく利用することができる、
等の理由による。因に上記特許出願において用いた会合
体の波長広がりは、半値幅で50nm程度であった。
ム色素誘導体が固体基板上で会合体を形成し、かつfs
オーダーの超高速光学応答特性を示すことを確認し、先
に特許出願を行なった(特開平11−282034
号)。しかし、これらを実際に光スイッチへ応用するた
めには、より長波長側にもっと鋭い吸収ピークを示す会
合体を使用することが望まれる。それは、(1) 極大
吸収波長が長ければ長い程、会合体を形成する色素分子
の数が多くなるため、3次の非線形光学効果を強めると
ともに光応答速度を高めることができる、(2)吸収ピ
ークの絶対値が大きいほうが吸収変化量も大きくなるた
め、効率が同じでもダイナミックレンジを大きく取るこ
とができる、(3)吸収帯の波長広がりと制御光の波長
広がり(10〜20nm)とを同オーダーにすることに
より、光エネルギーを効率よく利用することができる、
等の理由による。因に上記特許出願において用いた会合
体の波長広がりは、半値幅で50nm程度であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、より
長波長側により鋭くかつ増大した吸収ピークを示し、超
高速光学応答特性を有する色素会合体薄膜およびその製
造方法を提供すること、また、前記色素会合体薄膜を用
いた光スイッチ、光スイッチ列、光分配器および光変調
器を提供することにある。
長波長側により鋭くかつ増大した吸収ピークを示し、超
高速光学応答特性を有する色素会合体薄膜およびその製
造方法を提供すること、また、前記色素会合体薄膜を用
いた光スイッチ、光スイッチ列、光分配器および光変調
器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は以下の色素会
合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、
光分配器および光変調器を提供することにより解決され
る。 (1)高分子配向膜に接する面を有することを特徴とす
る色素会合体薄膜。 (2)色素を溶媒に溶解させた溶液を高分子配向膜の表
面に塗布することにより、高分子配向膜に接する面を有
する色素会合体薄膜を形成することを特徴とする、前記
(1)に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 (3)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光スイッチ。 (4)高分子配向膜に接する面を有する色素会合体薄膜
を用いた光スイッチ列であって、前記色素会合体薄膜が
複数に分割されて形成されていることを特徴とする光ス
イッチ列。 (5)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光分配器。 (6)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光変調器。
合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、
光分配器および光変調器を提供することにより解決され
る。 (1)高分子配向膜に接する面を有することを特徴とす
る色素会合体薄膜。 (2)色素を溶媒に溶解させた溶液を高分子配向膜の表
面に塗布することにより、高分子配向膜に接する面を有
する色素会合体薄膜を形成することを特徴とする、前記
(1)に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 (3)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光スイッチ。 (4)高分子配向膜に接する面を有する色素会合体薄膜
を用いた光スイッチ列であって、前記色素会合体薄膜が
複数に分割されて形成されていることを特徴とする光ス
イッチ列。 (5)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光分配器。 (6)前記(1)に記載の色素会合体薄膜を用いること
を特徴とする光変調器。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において用いられる色素会合体は色素分子がJ−
会合体を形成していることが好ましい。J−会合体は、
その吸収帯が色素分子単体の吸収帯に比べ長波長側にシ
フトして先鋭化し、ストークスシフトの小さな蛍光を発
し、吸収ピーク付近の波長の光に対して極めて大きな相
互作用を持ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸
収飽和の回復が非常に速いという性質を有する会合体で
あり、本発明の色素会合体薄膜として好ましく用いられ
る。また、前記色素会合体を形成する色素分子はスクエ
アリリウム色素誘導体やシアニン色素誘導体などが用い
られるが、中でもスクエアリリウム色素誘導体が好まし
い。本発明で用いるスクエアリリウム色素誘導体として
は以下の一般式(I)または一般式(II)で表される化
合物が挙げられる。
本発明において用いられる色素会合体は色素分子がJ−
会合体を形成していることが好ましい。J−会合体は、
その吸収帯が色素分子単体の吸収帯に比べ長波長側にシ
フトして先鋭化し、ストークスシフトの小さな蛍光を発
し、吸収ピーク付近の波長の光に対して極めて大きな相
互作用を持ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸
収飽和の回復が非常に速いという性質を有する会合体で
あり、本発明の色素会合体薄膜として好ましく用いられ
る。また、前記色素会合体を形成する色素分子はスクエ
アリリウム色素誘導体やシアニン色素誘導体などが用い
られるが、中でもスクエアリリウム色素誘導体が好まし
い。本発明で用いるスクエアリリウム色素誘導体として
は以下の一般式(I)または一般式(II)で表される化
合物が挙げられる。
【0010】
【化3】
【0011】前記一般式(I)中、R1およびR2は同じ
でも異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、
Xは、H、Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を
示す。前記一般式(I)において、R1およびR2は同じ
でも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基を示す
が、炭素数2〜7の低級アルキル基が好ましく、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso
−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、n−
プロピル基またはn−ブチル基が特に好ましい。また、
上記一般式(I)中、Xは、H、Cl、OH、CH3、
C2H5またはOCH3を示し、H、OHまたはCH3が好
ましく、Hがより好ましい。
でも異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、
Xは、H、Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を
示す。前記一般式(I)において、R1およびR2は同じ
でも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基を示す
が、炭素数2〜7の低級アルキル基が好ましく、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso
−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、n−
プロピル基またはn−ブチル基が特に好ましい。また、
上記一般式(I)中、Xは、H、Cl、OH、CH3、
C2H5またはOCH3を示し、H、OHまたはCH3が好
ましく、Hがより好ましい。
【0012】
【化4】
【0013】前記一般式(II)中、R1〜R4は同じでも
異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、X1
〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、
Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を示す。前記
一般式(II)において、R1〜R4は同じでも異なってい
てもよく、それぞれ、アルキル基を示すが、炭素数2〜
7の低級アルキル基が好ましく、n−プロピル基、is
o−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t
ert−ブチル基がより好ましく、n−プロピル基また
はn−ブチル基が特に好ましい。また、上記一般式(I
I)中、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それ
ぞれ、H、Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を
示す。特に、X2、X4、X5およびX7からなる群から選
ばれる1また2以上がOH基である場合には、色素の耐
熱性を100℃以上高めることができるので好ましい。
また、X1、X3、X6およびX8からなる群から選ばれる
1また2以上がClである場合には、分子に双極子モー
メントを与えることができ、二次の非線形光学効果を発
現させることができるので好ましい。
異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、X1
〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、
Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を示す。前記
一般式(II)において、R1〜R4は同じでも異なってい
てもよく、それぞれ、アルキル基を示すが、炭素数2〜
7の低級アルキル基が好ましく、n−プロピル基、is
o−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t
ert−ブチル基がより好ましく、n−プロピル基また
はn−ブチル基が特に好ましい。また、上記一般式(I
I)中、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それ
ぞれ、H、Cl、OH、CH3、C2H5またはOCH3を
示す。特に、X2、X4、X5およびX7からなる群から選
ばれる1また2以上がOH基である場合には、色素の耐
熱性を100℃以上高めることができるので好ましい。
また、X1、X3、X6およびX8からなる群から選ばれる
1また2以上がClである場合には、分子に双極子モー
メントを与えることができ、二次の非線形光学効果を発
現させることができるので好ましい。
【0014】本発明の高分子配向膜は、種々の高分子化
合物を用いることができるが、溶解度特性が前記色素の
ものと大差があること、また、その極大吸収波長が前記
色素の会合体の極大吸収より短波長側にあること、さら
に前記色素会合体薄膜の極大吸収波長域において光学的
に透明であることが望ましい。高分子配向膜の溶解度特
性が前記色素化合物と大差があることが好ましい理由
は、後述の本発明の色素会合体薄膜の製造方法と関連が
あり、高分子配向膜の上に溶剤に溶解させた色素化合物
を塗布する際、該溶剤により高分子配向膜が溶け出す、
膨潤するなどの高分子配向膜の変質を避けるためであ
り、実質的に高分子配向膜の変質が起こらずその上に本
発明の目的を満たす色素会合体薄膜が形成可能な場合
に、両者の溶解度特性に大差があるとすることができ
る。また、高分子配向膜の極大吸収波長が前記色素の会
合体の極大吸収より短波長側にあること、さらに前記色
素会合体薄膜の極大吸収波長域において光学的に透明で
あることが望ましい理由は、本発明の色素会合体薄膜を
光スイッチ等に用いた場合、色素会合体薄膜の極大吸収
波長域に高分子配向膜の光吸収領域が存在すると、光ス
イッチ等として使用不可能あるいは光スイッチとしての
使用が不適切になるからである。また、前記の高分子配
向膜が、色素会合体薄膜の吸収波長域において光吸収が
ある場合には、高分子配向膜の極大吸収波長は、色素会
合体薄膜の極大吸収波長より小さいことが好ましく、ま
た、高分子配向膜と色素会合体薄膜の極大吸収波長の差
は50nm以上であることが好ましい。また、色素会合
体薄膜の吸収帯と高分子薄膜の吸収帯は重なっていない
ことが好ましい。
合物を用いることができるが、溶解度特性が前記色素の
ものと大差があること、また、その極大吸収波長が前記
色素の会合体の極大吸収より短波長側にあること、さら
に前記色素会合体薄膜の極大吸収波長域において光学的
に透明であることが望ましい。高分子配向膜の溶解度特
性が前記色素化合物と大差があることが好ましい理由
は、後述の本発明の色素会合体薄膜の製造方法と関連が
あり、高分子配向膜の上に溶剤に溶解させた色素化合物
を塗布する際、該溶剤により高分子配向膜が溶け出す、
膨潤するなどの高分子配向膜の変質を避けるためであ
り、実質的に高分子配向膜の変質が起こらずその上に本
発明の目的を満たす色素会合体薄膜が形成可能な場合
に、両者の溶解度特性に大差があるとすることができ
る。また、高分子配向膜の極大吸収波長が前記色素の会
合体の極大吸収より短波長側にあること、さらに前記色
素会合体薄膜の極大吸収波長域において光学的に透明で
あることが望ましい理由は、本発明の色素会合体薄膜を
光スイッチ等に用いた場合、色素会合体薄膜の極大吸収
波長域に高分子配向膜の光吸収領域が存在すると、光ス
イッチ等として使用不可能あるいは光スイッチとしての
使用が不適切になるからである。また、前記の高分子配
向膜が、色素会合体薄膜の吸収波長域において光吸収が
ある場合には、高分子配向膜の極大吸収波長は、色素会
合体薄膜の極大吸収波長より小さいことが好ましく、ま
た、高分子配向膜と色素会合体薄膜の極大吸収波長の差
は50nm以上であることが好ましい。また、色素会合
体薄膜の吸収帯と高分子薄膜の吸収帯は重なっていない
ことが好ましい。
【0015】これらの条件を満たす高分子化合物として
はポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリエステルアミド、ポリ尿素、ポリスルホ
ン、ポリエーテル、ポリチオエーテル、フェノールホル
ムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、チオ尿
素ホルムアルデヒド樹脂などのポリマーを好ましく挙げ
ることができる。この中でもポリイミド、ポリアミドま
たはポリ尿素がより好ましい。本発明に用いられる高分
子化合物は、特にこれら具体例のものに限定されず、ま
た、高分子化合物は単独でも、また複合化して用いても
よい。前記の高分子配向膜は、支持基板を用いずに高分
子配向膜の上にそのまま色素会合体薄膜を形成すること
も、また、任意の固体基板の上に高分子配向膜を形成し
て用いることも可能である。また、前記高分子配向膜と
しては、表面分子配向度が高い高分子配向膜が特に好ま
しい。
はポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリエステルアミド、ポリ尿素、ポリスルホ
ン、ポリエーテル、ポリチオエーテル、フェノールホル
ムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、チオ尿
素ホルムアルデヒド樹脂などのポリマーを好ましく挙げ
ることができる。この中でもポリイミド、ポリアミドま
たはポリ尿素がより好ましい。本発明に用いられる高分
子化合物は、特にこれら具体例のものに限定されず、ま
た、高分子化合物は単独でも、また複合化して用いても
よい。前記の高分子配向膜は、支持基板を用いずに高分
子配向膜の上にそのまま色素会合体薄膜を形成すること
も、また、任意の固体基板の上に高分子配向膜を形成し
て用いることも可能である。また、前記高分子配向膜と
しては、表面分子配向度が高い高分子配向膜が特に好ま
しい。
【0016】高分子配向膜の形成には、従来より知られ
た種々の方法を用いることができる。例えば、前記のご
とき高分子化合物をメタノール、エタノール等のアルコ
ール類有機溶媒に溶解し、得られた溶液を任意の固体基
板上に塗布し、スピンコート法で遠心力により配向膜を
形成することができる。さらに、バーコート法、キャス
トコート法、ディップコート法または蒸着法等のいずれ
の方法で形成した高分子薄膜をナイロンやポリエステル
や綿布などの繊維で一方向に擦ることにより、表面の高
分子が高度に配向している薄膜を形成することができ
る。加えて、LB法(ラングミュア・ブロジェット法)
で高分子の配向膜を形成することもできる。前記の高分
子配向膜は、厚さが5nm以上であることが好ましく、
10nm〜2mmであることがより好ましい。
た種々の方法を用いることができる。例えば、前記のご
とき高分子化合物をメタノール、エタノール等のアルコ
ール類有機溶媒に溶解し、得られた溶液を任意の固体基
板上に塗布し、スピンコート法で遠心力により配向膜を
形成することができる。さらに、バーコート法、キャス
トコート法、ディップコート法または蒸着法等のいずれ
の方法で形成した高分子薄膜をナイロンやポリエステル
や綿布などの繊維で一方向に擦ることにより、表面の高
分子が高度に配向している薄膜を形成することができ
る。加えて、LB法(ラングミュア・ブロジェット法)
で高分子の配向膜を形成することもできる。前記の高分
子配向膜は、厚さが5nm以上であることが好ましく、
10nm〜2mmであることがより好ましい。
【0017】上記の色素会合体薄膜は、高分子配向膜の
表面に色素会合体薄膜を形成する方法を利用することに
より製造可能であるが、たとえば、色素分子を溶媒に溶
解させた溶液を高分子配向膜の表面に塗布することによ
り、高分子配向膜に接して色素会合体薄膜を形成するこ
とができる。前記色素化合物、たとえば上記一般式
(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘
導体を溶解する溶媒としては、特に限定されないが、ジ
クロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリク
ロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水
素、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼ
ン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エ
チル等のエステル類、プロピルアミン、ジエチルアミン
等のアミン類を用いることができる。これらの中でも、
ハロゲン化炭化水素、具体的には、クロロホルム、ジク
ロロエタン、ジクロロプロパン、またはモノクロロベン
ゼンが好ましく、ジクロロエタンまたはジクロロプロパ
ンが特に好ましい。また、前記色素化合物の溶媒中の濃
度は、0.1〜5重量%とすることが好ましく、0.3
〜3重量%とすることが特に好ましい。濃度をこの範囲
とすることにより、良質の会合体を形成することができ
る。得られた溶液を高分子配向膜上に塗布する方法とし
ては、従来より知られた方法を用いることができ、例え
ば、バーコート法、スピンコート法、キャストコート
法、ディップコート法等を挙げることができる。
表面に色素会合体薄膜を形成する方法を利用することに
より製造可能であるが、たとえば、色素分子を溶媒に溶
解させた溶液を高分子配向膜の表面に塗布することによ
り、高分子配向膜に接して色素会合体薄膜を形成するこ
とができる。前記色素化合物、たとえば上記一般式
(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘
導体を溶解する溶媒としては、特に限定されないが、ジ
クロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリク
ロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水
素、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼ
ン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エ
チル等のエステル類、プロピルアミン、ジエチルアミン
等のアミン類を用いることができる。これらの中でも、
ハロゲン化炭化水素、具体的には、クロロホルム、ジク
ロロエタン、ジクロロプロパン、またはモノクロロベン
ゼンが好ましく、ジクロロエタンまたはジクロロプロパ
ンが特に好ましい。また、前記色素化合物の溶媒中の濃
度は、0.1〜5重量%とすることが好ましく、0.3
〜3重量%とすることが特に好ましい。濃度をこの範囲
とすることにより、良質の会合体を形成することができ
る。得られた溶液を高分子配向膜上に塗布する方法とし
ては、従来より知られた方法を用いることができ、例え
ば、バーコート法、スピンコート法、キャストコート
法、ディップコート法等を挙げることができる。
【0018】これらの製造方法により得られた色素会合
体薄膜は、そのままでも用いることができるが、熱処理
をすることにより、長波長側にもっと鋭い吸収ピークを
示す色素会合体薄膜を形成することができる。これは熱
処理により会合体形成がさらに促進されるあるいは安定
化されるからであると考えられる。熱処理における温度
は60〜140℃であることが好ましい。処理時間は高
分子配向膜の表面分子配向度および処理温度によって異
なり、表面分子配向度が高くなると処理時間が短くな
り、処理温度が高くなると処理時間も短くなる。一般的
には5秒から30分が好ましい。具体的には、ポリカー
ボネート配向膜の上に形成した色素会合体薄膜を80℃
で熱処理する場合は、処理時間は30分間程度であるこ
とが好ましく、140℃の場合は処理時間は1分間程度
であることが好ましい。処理温度が60℃未満となる
と、熱処理による効果が得られず、会合体形成に要する
時間がかなり長くなる。例えば、常温では、会合体の形
成は数日がかかり、かつシャープな吸収帯を有する会合
体は形成しにくい。また、140℃を超えると、色素の
分解が顕著になる。
体薄膜は、そのままでも用いることができるが、熱処理
をすることにより、長波長側にもっと鋭い吸収ピークを
示す色素会合体薄膜を形成することができる。これは熱
処理により会合体形成がさらに促進されるあるいは安定
化されるからであると考えられる。熱処理における温度
は60〜140℃であることが好ましい。処理時間は高
分子配向膜の表面分子配向度および処理温度によって異
なり、表面分子配向度が高くなると処理時間が短くな
り、処理温度が高くなると処理時間も短くなる。一般的
には5秒から30分が好ましい。具体的には、ポリカー
ボネート配向膜の上に形成した色素会合体薄膜を80℃
で熱処理する場合は、処理時間は30分間程度であるこ
とが好ましく、140℃の場合は処理時間は1分間程度
であることが好ましい。処理温度が60℃未満となる
と、熱処理による効果が得られず、会合体形成に要する
時間がかなり長くなる。例えば、常温では、会合体の形
成は数日がかかり、かつシャープな吸収帯を有する会合
体は形成しにくい。また、140℃を超えると、色素の
分解が顕著になる。
【0019】本発明においては、前記のごとき色素分子
の会合体からなる薄膜を高分子配向膜に接して設けたた
め、高分子配向膜がない場合に比較し、極大吸収波長が
より長波長側にあり、吸収ピークが増大しかつ吸収帯の
波長広がりが狭い(鋭いピーク)吸収ピークを得ること
ができる。したがって、本発明の色素会合体薄膜を用い
た場合、光応答速度が大きく、ダイナミックレンジを大
きく取ることができ、光エネルギーを効率よく利用でき
るという利点を有する。前記応答速度に関しては、色素
会合体薄膜の吸収飽和の回復時定数を測定し、それが超
高速光スイッチ材料として利用可能であることを確認し
た。本発明の色素会合体薄膜は、フェムト秒(10-15
秒)領域での超高速光スイッチ、テラビット級光情報通
信のための極めて低コストで高性能かつ長寿命な超高速
光スイッチ材料として非常に有望である。また、この色
素会合体薄膜を光分配器、光変調器、光スイッチ列の材
料として使用することができる。
の会合体からなる薄膜を高分子配向膜に接して設けたた
め、高分子配向膜がない場合に比較し、極大吸収波長が
より長波長側にあり、吸収ピークが増大しかつ吸収帯の
波長広がりが狭い(鋭いピーク)吸収ピークを得ること
ができる。したがって、本発明の色素会合体薄膜を用い
た場合、光応答速度が大きく、ダイナミックレンジを大
きく取ることができ、光エネルギーを効率よく利用でき
るという利点を有する。前記応答速度に関しては、色素
会合体薄膜の吸収飽和の回復時定数を測定し、それが超
高速光スイッチ材料として利用可能であることを確認し
た。本発明の色素会合体薄膜は、フェムト秒(10-15
秒)領域での超高速光スイッチ、テラビット級光情報通
信のための極めて低コストで高性能かつ長寿命な超高速
光スイッチ材料として非常に有望である。また、この色
素会合体薄膜を光分配器、光変調器、光スイッチ列の材
料として使用することができる。
【0020】本発明の色素会合体薄膜を用いて形成した
光スイッチは、半導体により形成される光スイッチに比
べて、応答時間が短い他、さらに下記のような利点を有
している。 (1)材料が安価で、製造プロセスが簡易で大掛かりな
設備を不要で、材料形成に要する時間が極めて短いた
め、極めて低コストで製造でき、生産性に優れる。 (2)光スイッチの製造、動作ともに、常温、大気中で
行なうことができる。 (3)大面積化が容易である。具体的には、これまで半
導体材料では作製が不可能であるか極めて困難であっ
た、大面積(直径数cm〜数十cm)の光スイッチを容
易に形成することができる。 (4)多様な分子を利用することにより高機能化が容易
であり、また、製膜に高温を必要としないため、他種材
料とのハイブリット化が容易である。本発明において、
色素会合体薄膜を複数に分割した形態、たとえば一列に
またはマトリックス状に分割した形態に形成すると、極
めて容易に1次元または2次元の光スイッチ列を形成す
ることができる。前記のごとく分割した形態に色素会合
体薄膜を形成するには、高分子配向膜の上に全面に色素
会合体薄膜を形成した後、所定の形状のマスクを形成す
るなどの方法が用いられる。この光スイッチ列は、並列
光情報処理等の用途にも極めて有望である。
光スイッチは、半導体により形成される光スイッチに比
べて、応答時間が短い他、さらに下記のような利点を有
している。 (1)材料が安価で、製造プロセスが簡易で大掛かりな
設備を不要で、材料形成に要する時間が極めて短いた
め、極めて低コストで製造でき、生産性に優れる。 (2)光スイッチの製造、動作ともに、常温、大気中で
行なうことができる。 (3)大面積化が容易である。具体的には、これまで半
導体材料では作製が不可能であるか極めて困難であっ
た、大面積(直径数cm〜数十cm)の光スイッチを容
易に形成することができる。 (4)多様な分子を利用することにより高機能化が容易
であり、また、製膜に高温を必要としないため、他種材
料とのハイブリット化が容易である。本発明において、
色素会合体薄膜を複数に分割した形態、たとえば一列に
またはマトリックス状に分割した形態に形成すると、極
めて容易に1次元または2次元の光スイッチ列を形成す
ることができる。前記のごとく分割した形態に色素会合
体薄膜を形成するには、高分子配向膜の上に全面に色素
会合体薄膜を形成した後、所定の形状のマスクを形成す
るなどの方法が用いられる。この光スイッチ列は、並列
光情報処理等の用途にも極めて有望である。
【0021】次に、本発明の色素会合体薄膜を利用する
光スイッチについて説明する。光スイッチは、いわゆる
誘導吸収飽和の現象を利用するものである。色素会合体
薄膜の極大吸収波長付近の波長の信号光を色素会合体薄
膜に入射すると、信号光は色素会合体薄膜により吸収さ
れて透過あるいは反射することはなく信号オフとなる。
一方、色素会合体薄膜の極大吸収波長付近の波長の光
で、強度が信号光より大きな制御光を照射すると、色素
分子が励起されて極大吸収波長付近の波長の光を吸収し
なくなり、その結果信号光が透過あるいは反射され信号
オンとなる。また、誘導吸収飽和が回復する時間は極め
て短く、応答時間がフェムト秒のスイッチングが可能に
なる。
光スイッチについて説明する。光スイッチは、いわゆる
誘導吸収飽和の現象を利用するものである。色素会合体
薄膜の極大吸収波長付近の波長の信号光を色素会合体薄
膜に入射すると、信号光は色素会合体薄膜により吸収さ
れて透過あるいは反射することはなく信号オフとなる。
一方、色素会合体薄膜の極大吸収波長付近の波長の光
で、強度が信号光より大きな制御光を照射すると、色素
分子が励起されて極大吸収波長付近の波長の光を吸収し
なくなり、その結果信号光が透過あるいは反射され信号
オンとなる。また、誘導吸収飽和が回復する時間は極め
て短く、応答時間がフェムト秒のスイッチングが可能に
なる。
【0022】また、本発明において光スイッチとは、光
で光を変調する広い意味での光変調器全体を包含する概
念であり、必ずしもオン・オフ型の光スイッチのみを意
味しない。光変調器は、光路変換素子、レンズ、ミラ
ー、方向性結合器の他、制御光により誘起された屈折率
変化により信号光を変調するデバイスすべてを含む。ま
た、屈折率変化の要因は特に限定しておらず、吸収飽和
の回復現象以外にも、色素会合体薄膜の示す非線形光学
効果のすべてを利用することができる。また、本発明に
おいて、光分配器は本発明の光スイッチを組み合わせる
ことにより製造することができる。
で光を変調する広い意味での光変調器全体を包含する概
念であり、必ずしもオン・オフ型の光スイッチのみを意
味しない。光変調器は、光路変換素子、レンズ、ミラ
ー、方向性結合器の他、制御光により誘起された屈折率
変化により信号光を変調するデバイスすべてを含む。ま
た、屈折率変化の要因は特に限定しておらず、吸収飽和
の回復現象以外にも、色素会合体薄膜の示す非線形光学
効果のすべてを利用することができる。また、本発明に
おいて、光分配器は本発明の光スイッチを組み合わせる
ことにより製造することができる。
【0023】図2は本発明の色素会合体薄膜を用いて形
成された光スイッチ10の断面構造を示す模式図であ
る。図2に示されるように、光スイッチ10はガラス基
板15と、誘電体多層膜反射ミラー14(SiO2、T
iO2またはAl2O3)と、高分子配向膜13と、本発
明の色素会合体薄膜12(膜厚200〜300nm)
と、Auの薄膜11(50nm)をこの順に備えてい
る。この光スイッチは、色素分子会合体の極大吸収波長
付近の波長(790nm)の制御光と、同じく会合体の
極大吸収波長付近の波長(790nm)の信号光の両者
を照射することにより、オンとオフを切り替えることが
できる。パルス幅100fsの信号光(500nJ/c
m2)および制御光(40μJ/cm2)を用いたとこ
ろ、制御光の照射時のみ信号光の反射が観測され、光ス
イッチ動作が確認された。この光スイッチの応答時定数
は約250fsであった。なお、光スイッチは、本発明
の色素会合体薄膜を1mm2以上、特に1cm2以上の面
積に渡って制膜して利用したものであることが好まし
い。
成された光スイッチ10の断面構造を示す模式図であ
る。図2に示されるように、光スイッチ10はガラス基
板15と、誘電体多層膜反射ミラー14(SiO2、T
iO2またはAl2O3)と、高分子配向膜13と、本発
明の色素会合体薄膜12(膜厚200〜300nm)
と、Auの薄膜11(50nm)をこの順に備えてい
る。この光スイッチは、色素分子会合体の極大吸収波長
付近の波長(790nm)の制御光と、同じく会合体の
極大吸収波長付近の波長(790nm)の信号光の両者
を照射することにより、オンとオフを切り替えることが
できる。パルス幅100fsの信号光(500nJ/c
m2)および制御光(40μJ/cm2)を用いたとこ
ろ、制御光の照射時のみ信号光の反射が観測され、光ス
イッチ動作が確認された。この光スイッチの応答時定数
は約250fsであった。なお、光スイッチは、本発明
の色素会合体薄膜を1mm2以上、特に1cm2以上の面
積に渡って制膜して利用したものであることが好まし
い。
【0024】次に、本発明の色素会合体薄膜の応用とし
ての光分配器、光変調器、光スイッチ列について説明す
る。図3は、本発明の色素会合体薄膜を用いて形成され
た光分配器、光変調器(DEMUX)および光スイッチ
列である超高速空間光変調素子16を示す。超高速空間
光変調素子16は、図3に示すような個々の光スイッチ
10aが集合した光スイッチ列により形成される。光ス
イッチ列は、高分子配向膜上に色素会合体薄膜を全面に
形成した後、その上にマスクを形成して、色素会合体薄
膜がたとえば一列にまたはマトリックス状に分割された
状態に露出させることにより、容易に作製することがで
きる。この超高速空間光変調素子16の動作原理を説明
する。十分に波面の広がった信号光(パルス光)1、
2、3、4を超高速空間変調素子16の全面に対して垂
直に入射させる。一方、同様に波面を広げた制御光を超
高速空間変調素子16に対して傾斜した方向から入射さ
せる。各々の光スイッチ10aに到達する制御光の光路
長が違うため、超高速空間光変調素子16中の唯一の光
スイッチのみを動作させることが可能である。制御光と
信号光の双方が照射された光スイッチは信号光を透過さ
せ、透過した信号光は、動作した光スイッチの位置に対
応した受光素子アレイ17に到達する。このとき、信号
光の強度は制御光により変調される。即ち、テラビット
信号光1〜4はギガビット信号光に変換される。従っ
て、超高速空間光変調素子16は光変調器として機能す
る。また、信号光と制御光の交わる位置が各光スイッチ
に対応するよう信号光と制御光を同期させることによ
り、シリアルに送られてきた信号光を各受光素子に割り
振ることが可能になる。つまり、超高速空間光変調素子
16は光分配器としても機能する。
ての光分配器、光変調器、光スイッチ列について説明す
る。図3は、本発明の色素会合体薄膜を用いて形成され
た光分配器、光変調器(DEMUX)および光スイッチ
列である超高速空間光変調素子16を示す。超高速空間
光変調素子16は、図3に示すような個々の光スイッチ
10aが集合した光スイッチ列により形成される。光ス
イッチ列は、高分子配向膜上に色素会合体薄膜を全面に
形成した後、その上にマスクを形成して、色素会合体薄
膜がたとえば一列にまたはマトリックス状に分割された
状態に露出させることにより、容易に作製することがで
きる。この超高速空間光変調素子16の動作原理を説明
する。十分に波面の広がった信号光(パルス光)1、
2、3、4を超高速空間変調素子16の全面に対して垂
直に入射させる。一方、同様に波面を広げた制御光を超
高速空間変調素子16に対して傾斜した方向から入射さ
せる。各々の光スイッチ10aに到達する制御光の光路
長が違うため、超高速空間光変調素子16中の唯一の光
スイッチのみを動作させることが可能である。制御光と
信号光の双方が照射された光スイッチは信号光を透過さ
せ、透過した信号光は、動作した光スイッチの位置に対
応した受光素子アレイ17に到達する。このとき、信号
光の強度は制御光により変調される。即ち、テラビット
信号光1〜4はギガビット信号光に変換される。従っ
て、超高速空間光変調素子16は光変調器として機能す
る。また、信号光と制御光の交わる位置が各光スイッチ
に対応するよう信号光と制御光を同期させることによ
り、シリアルに送られてきた信号光を各受光素子に割り
振ることが可能になる。つまり、超高速空間光変調素子
16は光分配器としても機能する。
【0025】
【実施例】以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。 (実施例1)7.8gのポリアミド(置換度30%のN-メ
トキシメチル化ナイロン6)を、45gのメタノール、
30gのn−ブタノールおよび7.5gの水の混合溶媒
に溶解し、得られた溶液をスピンコート法により、ガラ
ス基板上に塗布し、ポリアミド配向膜を得た。この配向
膜を200℃で1時間加熱処理した。スクエアリリウム
色素誘導体(前記一般式(I)中、R1およびR2がn−
ブチル基で、XがHのもの)をジクロロエタンに溶解
し、ジクロロエタン中1重量%のスクエアリリウム色素
を含有する溶液を得た。次いで、この色素溶液をスピン
コート法により、前記ポリアミド配向膜の上に塗布し、
色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の吸収スペクトル
を図4に示す。図4中、790nm付近にシャープな吸
収ピークがあることから、会合体が形成されていること
がわかる。この会合体の蛍光スペクトルのピークと吸収
スペクトルのピークとの波長の差が8nmであることを
確認した。このことから形成した会合体はJ−会合体で
あることがわかった。この誘導体の溶液状態の吸収ピー
クは640nmである。さらに、本実施例の会合体由来
の吸収帯(吸収ピーク790nm)が、以下の比較例1
の会合体由来の吸収帯(吸収ピーク770nm)より2
0nm以上も長波長化し、先鋭化し、かつ吸収ピークが
増大していることもわかる。このことから、高分子配向
膜が色素の会合体形成を促進することがわかった。
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。 (実施例1)7.8gのポリアミド(置換度30%のN-メ
トキシメチル化ナイロン6)を、45gのメタノール、
30gのn−ブタノールおよび7.5gの水の混合溶媒
に溶解し、得られた溶液をスピンコート法により、ガラ
ス基板上に塗布し、ポリアミド配向膜を得た。この配向
膜を200℃で1時間加熱処理した。スクエアリリウム
色素誘導体(前記一般式(I)中、R1およびR2がn−
ブチル基で、XがHのもの)をジクロロエタンに溶解
し、ジクロロエタン中1重量%のスクエアリリウム色素
を含有する溶液を得た。次いで、この色素溶液をスピン
コート法により、前記ポリアミド配向膜の上に塗布し、
色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の吸収スペクトル
を図4に示す。図4中、790nm付近にシャープな吸
収ピークがあることから、会合体が形成されていること
がわかる。この会合体の蛍光スペクトルのピークと吸収
スペクトルのピークとの波長の差が8nmであることを
確認した。このことから形成した会合体はJ−会合体で
あることがわかった。この誘導体の溶液状態の吸収ピー
クは640nmである。さらに、本実施例の会合体由来
の吸収帯(吸収ピーク790nm)が、以下の比較例1
の会合体由来の吸収帯(吸収ピーク770nm)より2
0nm以上も長波長化し、先鋭化し、かつ吸収ピークが
増大していることもわかる。このことから、高分子配向
膜が色素の会合体形成を促進することがわかった。
【0026】(実施例2)実施例1と同様にして得た色
素会合体薄膜を空気中において、80℃で3分間熱処理
してさらに100℃で3分間熱処理した。会合体の極大
吸収波長が792nm付近にシフトし、吸収帯の先鋭
化、及び吸収ピークの増大が見られ、熱処理により会合
体形成が促進されることが判明した(図5)。
素会合体薄膜を空気中において、80℃で3分間熱処理
してさらに100℃で3分間熱処理した。会合体の極大
吸収波長が792nm付近にシフトし、吸収帯の先鋭
化、及び吸収ピークの増大が見られ、熱処理により会合
体形成が促進されることが判明した(図5)。
【0027】(比較例1)(特開平11−282034
号公報の実施例1の色素会合体薄膜)スクエアリリウム
色素誘導体(前記一般式(I)中、R1およびR2がn−
ブチル基で、XがHのもの)をジクロロエタン中に溶解
し、ジクロロエタン中に1重量%のスクエアリリウム色
素を含有する溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコ
ート法により、ガラス基板上に塗布し、色素会合体薄膜
を得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図6に示す。
図6中770nm付近に現われている吸収ピークが会合
体に由来している。650nm付近の単分子由来の吸収
帯より100nm以上も長波長化していることが分か
る。
号公報の実施例1の色素会合体薄膜)スクエアリリウム
色素誘導体(前記一般式(I)中、R1およびR2がn−
ブチル基で、XがHのもの)をジクロロエタン中に溶解
し、ジクロロエタン中に1重量%のスクエアリリウム色
素を含有する溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコ
ート法により、ガラス基板上に塗布し、色素会合体薄膜
を得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図6に示す。
図6中770nm付近に現われている吸収ピークが会合
体に由来している。650nm付近の単分子由来の吸収
帯より100nm以上も長波長化していることが分か
る。
【0028】(実施例3)本発明の色素会合体薄膜の超
高速光スイッチへの応用可能性を検証するために、吸収
飽和の回復時定数を測定した。色素会合体薄膜は、比較
例1および実施例1において得られた色素会合体薄膜
(その吸収スペクトルは図6および図4を参照のこと)
を用いた。測定はポンプ/プローブ法により行なった。
プローブ光が白色光であり、ポンプ光の波長が790n
m、その強度が36μJ/cm2.pulseのときの吸光
度変化量の経時変化をモデル関数によりフィッティング
した結果を図7に示す。比較例1の色素会合体薄膜の光
応答は、吸収飽和の回復時定数が約200〜300fs
である速い成分を50〜60%、吸収飽和の回復時定数
が約1psである遅い成分を40〜50%含有している
ことが分かった。一方、実施例1の色素会合体薄膜の光
応答は、吸収飽和の回復時定数が約200〜300fs
である速い成分を約80%、吸収飽和の回復時定数が約
1psである遅い成分を約20%含有していることも明
瞭に示された。このことから、高分子配向膜が色素会合
体薄膜の光学応答特性を向上させることがわかった。ま
た、このことは本発明の色素会合体薄膜を用いることに
より、1THz以上で動作可能な超高速光スイッチが形
成できることを示している。
高速光スイッチへの応用可能性を検証するために、吸収
飽和の回復時定数を測定した。色素会合体薄膜は、比較
例1および実施例1において得られた色素会合体薄膜
(その吸収スペクトルは図6および図4を参照のこと)
を用いた。測定はポンプ/プローブ法により行なった。
プローブ光が白色光であり、ポンプ光の波長が790n
m、その強度が36μJ/cm2.pulseのときの吸光
度変化量の経時変化をモデル関数によりフィッティング
した結果を図7に示す。比較例1の色素会合体薄膜の光
応答は、吸収飽和の回復時定数が約200〜300fs
である速い成分を50〜60%、吸収飽和の回復時定数
が約1psである遅い成分を40〜50%含有している
ことが分かった。一方、実施例1の色素会合体薄膜の光
応答は、吸収飽和の回復時定数が約200〜300fs
である速い成分を約80%、吸収飽和の回復時定数が約
1psである遅い成分を約20%含有していることも明
瞭に示された。このことから、高分子配向膜が色素会合
体薄膜の光学応答特性を向上させることがわかった。ま
た、このことは本発明の色素会合体薄膜を用いることに
より、1THz以上で動作可能な超高速光スイッチが形
成できることを示している。
【0029】(実施例4)7.8gのポリアミド(置換
度30%のN-メトキシメチル化ナイロン6)を、45gの
メタノール、30gのn−ブタノールおよび7.5gの
水の混合溶媒に溶解し、得られた溶液をスピンコート法
により、ガラス基板上に塗布し、ポリアミド配向膜を得
た。この配向膜を200℃で1時間加熱処理した。スク
エアリリウム色素誘導体(前記一般式(I)中、R1お
よびR2がn−プロピル基で、XがHのもの)をジクロ
ロエタンに溶解し、ジクロロエタン中1重量%のスクエ
アリリウム色素を含有する溶液を得た。次いで、この色
素溶液をスピンコート法により、前記ポリアミド配向膜
の上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の
吸収スペクトルを図8に示す。図8中、762nm付近
に現われている吸収ピークが会合体に由来している。本
実施例の会合体由来の吸収帯が下記比較例2の会合体由
来の吸収帯より50nm以上も長波長化していることが
分かる。このことから、高分子配向膜が色素の会合体形
成を促進することがわかった。
度30%のN-メトキシメチル化ナイロン6)を、45gの
メタノール、30gのn−ブタノールおよび7.5gの
水の混合溶媒に溶解し、得られた溶液をスピンコート法
により、ガラス基板上に塗布し、ポリアミド配向膜を得
た。この配向膜を200℃で1時間加熱処理した。スク
エアリリウム色素誘導体(前記一般式(I)中、R1お
よびR2がn−プロピル基で、XがHのもの)をジクロ
ロエタンに溶解し、ジクロロエタン中1重量%のスクエ
アリリウム色素を含有する溶液を得た。次いで、この色
素溶液をスピンコート法により、前記ポリアミド配向膜
の上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の
吸収スペクトルを図8に示す。図8中、762nm付近
に現われている吸収ピークが会合体に由来している。本
実施例の会合体由来の吸収帯が下記比較例2の会合体由
来の吸収帯より50nm以上も長波長化していることが
分かる。このことから、高分子配向膜が色素の会合体形
成を促進することがわかった。
【0030】(比較例2)実施例4のスクエアリリウム
色素誘導体溶液と同じ組成の溶液を、同じくスピンコー
ト法により、ガラス基板上に塗布し、色素会合体薄膜を
得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図9に示す。図
9中710nm付近に現われている吸収ピークが会合体
に由来している。この誘導体の溶液状態の吸収ピークは
640nmである。
色素誘導体溶液と同じ組成の溶液を、同じくスピンコー
ト法により、ガラス基板上に塗布し、色素会合体薄膜を
得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図9に示す。図
9中710nm付近に現われている吸収ピークが会合体
に由来している。この誘導体の溶液状態の吸収ピークは
640nmである。
【0031】
【発明の効果】本発明は、高分子配向膜の上にスクエア
リリウム色素会合体薄膜を形成することにより、高分子
配向膜がない場合に比較し、極大吸収波長がより長波長
側にあり、吸収ピークが増大しかつ吸収帯の波長広がり
が狭い(鋭いピーク)吸収ピークを得ることができる。
したがって、本発明の色素会合体薄膜を用いた場合、光
応答速度が大きく(超高速光学応答特性)、ダイナミッ
クレンジを大きく取ることができ、光エネルギーを効率
よく利用できるという利点を有する。そのため本発明の
色素会合体薄膜は、フェムト秒(10-15秒)領域での
超高速光スイッチ、光分配器、光変調器および光スイッ
チ列として利用可能である。
リリウム色素会合体薄膜を形成することにより、高分子
配向膜がない場合に比較し、極大吸収波長がより長波長
側にあり、吸収ピークが増大しかつ吸収帯の波長広がり
が狭い(鋭いピーク)吸収ピークを得ることができる。
したがって、本発明の色素会合体薄膜を用いた場合、光
応答速度が大きく(超高速光学応答特性)、ダイナミッ
クレンジを大きく取ることができ、光エネルギーを効率
よく利用できるという利点を有する。そのため本発明の
色素会合体薄膜は、フェムト秒(10-15秒)領域での
超高速光スイッチ、光分配器、光変調器および光スイッ
チ列として利用可能である。
【図1】 色素分子の吸収スペクトルを示すグラフで、
(a)は、色素分子がランダムに分散しているときの、
(b)は色素分子が会合体を形成しているときの吸収ス
ペクトルを示す。
(a)は、色素分子がランダムに分散しているときの、
(b)は色素分子が会合体を形成しているときの吸収ス
ペクトルを示す。
【図2】 光スイッチの一例の断面構造を示す模式図で
ある。
ある。
【図3】 光分配器、光変調器および光スイッチ列の構
造を示す模式図である。
造を示す模式図である。
【図4】 実施例1で作製された色素会合体薄膜の吸収
スペクトルを示すグラフである。
スペクトルを示すグラフである。
【図5】 実施例2で作製された色素会合体薄膜の吸収
スペクトルを示すグラフである。
スペクトルを示すグラフである。
【図6】 比較例1で作製された色素会合体薄膜の吸収
スペクトルを示すグラフである。
スペクトルを示すグラフである。
【図7】 制御光を照射したときの実施例1および比較
例1の色素会合体薄膜の吸収回復の時間変化を示すグラ
フである。
例1の色素会合体薄膜の吸収回復の時間変化を示すグラ
フである。
【図8】 実施例4で作製された色素会合体薄膜の吸収
スペクトルを示すグラフである。
スペクトルを示すグラフである。
【図9】 比較例2で作製された色素会合体薄膜の吸収
スペクトルを示すグラフである。
スペクトルを示すグラフである。
1、2、3、4 テラビット信号光 10、10a 光スイッチ 11 Au薄膜 12 色素会合体薄膜 13 高分子配向膜 14 誘電体多層膜反射ミラー 15 ガラス基板 16 超高速空間光変調素子 17 受光素子アレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 古木 真 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 佐藤 康郊 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 岩佐 泉 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 夫 龍淳 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AB09 BA02 CA06 GA10 HA30 4F006 AA33 AA35 AA36 AA38 AA39 AA40 AB64 AB65 BA00 CA05 DA04 EA05 4H056 EA09 FA05
Claims (22)
- 【請求項1】 高分子配向膜に接する面を有することを
特徴とする色素会合体薄膜。 - 【請求項2】 色素会合体がJ−会合体であることを特
徴とする請求項1に記載の色素会合体薄膜。 - 【請求項3】 色素がスクエアリリウム色素誘導体であ
ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色
素会合体薄膜。 - 【請求項4】スクエアリリウム色素誘導体が下記一般式
(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項
1ないし請求項3のいずれか1項に記載の色素会合体薄
膜。 【化1】 前記一般式(I)中、R1およびR2は同じでも異なって
いてもよく、それぞれアルキル基を示し、Xは、H、C
l、OH、CH3、C2H5またはOCH3を示す。 - 【請求項5】スクエアリリウム色素誘導体が下記一般式
(II)で示される化合物であることを特徴とする請求項
1ないし請求項3のいずれか1項に記載の色素会合体薄
膜。 【化2】 前記一般式(II)中、R1〜R4は同じでも異なっていて
もよく、それぞれアルキル基を示し、X1〜X8は同じで
も異なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、C
H3、C2H5またはOCH3を示す。 - 【請求項6】 高分子がポリアミド、ポリイミド、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポ
リ尿素、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリチオエーテ
ル、フェノールホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂、チオ尿素ホルムアルデヒド樹脂よりなる群
より選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項5
のいずれか1項に記載の色素会合体薄膜。 - 【請求項7】 高分子配向膜が固体基板の上に形成され
ていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいず
れか1項に記載の色素会合体薄膜。 - 【請求項8】 高分子配向膜の極大吸収波長が色素会合
体の極大吸収より短波長側にあることを特徴とする請求
項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の色素会合体
薄膜。 - 【請求項9】 高分子配向膜の溶解度特性が、色素の溶
解度特性と大差があることを特徴とする請求項1ないし
請求項8のいずれか1項に記載の色素会合体薄膜。 - 【請求項10】 色素会合体薄膜が高分子配向膜の上に
塗布により形成されることを特徴とする請求項1ないし
請求項9のいずれか1項に記載の色素会合体薄膜。 - 【請求項11】 色素を溶媒に溶解させた溶液を高分子
配向膜の表面に塗布することにより、高分子配向膜に接
する面を有する色素会合体薄膜を形成することを特徴と
する、請求項1に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 - 【請求項12】 溶媒がハロゲン系有機溶媒であること
を特徴とする請求項11に記載の色素会合体薄膜の製造
方法。 - 【請求項13】 溶液中の色素の濃度が、0.1〜5重
量%であることを特徴とする請求項11または請求項1
2に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 - 【請求項14】 塗布が、バーコート法、スピンコート
法、キャストコート法またはディップコート法により行
われることを特徴とする請求項11ないし請求項13の
いずれか1項に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 - 【請求項15】 塗布により形成された薄膜を熱処理す
ることを特徴とする請求項11ないし請求項14のいず
れか1項に記載の色素会合体薄膜の製造方法。 - 【請求項16】 熱処理は温度60〜140℃において
5秒から30分まで行うことを特徴とする請求項11な
いし請求項15のいずれか1項に記載の色素会合体薄膜
の製造方法。 - 【請求項17】 請求項1ないし請求項10のいずれか
1項に記載の色素会合体薄膜を用いることを特徴とする
光スイッチ。 - 【請求項18】 色素会合体薄膜の面積が1mm2以上
であることを特徴とする請求項17に記載の光スイッ
チ。 - 【請求項19】 色素会合体薄膜の面積が1cm2以上
であることを特徴とする請求項17に記載の光スイッ
チ。 - 【請求項20】 高分子配向膜に接する面を有する色素
会合体薄膜を用いた光スイッチ列であって、前記色素会
合体薄膜が複数に分割されて形成されていることを特徴
とする光スイッチ列。 - 【請求項21】 請求項1ないし請求項10のいずれか
1項に記載の色素会合体薄膜を用いることを特徴とする
光分配器。 - 【請求項22】 請求項1ないし請求項10のいずれか
1項に記載の色素会合体薄膜を用いることを特徴とする
光変調器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000259574A JP2002069321A (ja) | 2000-08-29 | 2000-08-29 | 色素会合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、光分配器、および光変調器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000259574A JP2002069321A (ja) | 2000-08-29 | 2000-08-29 | 色素会合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、光分配器、および光変調器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002069321A true JP2002069321A (ja) | 2002-03-08 |
Family
ID=18747735
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000259574A Pending JP2002069321A (ja) | 2000-08-29 | 2000-08-29 | 色素会合体薄膜、その製造方法、光スイッチ、光スイッチ列、光分配器、および光変調器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002069321A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018041047A (ja) * | 2016-09-09 | 2018-03-15 | 株式会社日本触媒 | オキソカーボン系化合物、樹脂組成物、および光選択透過フィルター |
-
2000
- 2000-08-29 JP JP2000259574A patent/JP2002069321A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018041047A (ja) * | 2016-09-09 | 2018-03-15 | 株式会社日本触媒 | オキソカーボン系化合物、樹脂組成物、および光選択透過フィルター |
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