JPH11279729A - 溶融めっき金属のドロス回収再生装置 - Google Patents

溶融めっき金属のドロス回収再生装置

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JPH11279729A
JPH11279729A JP8177798A JP8177798A JPH11279729A JP H11279729 A JPH11279729 A JP H11279729A JP 8177798 A JP8177798 A JP 8177798A JP 8177798 A JP8177798 A JP 8177798A JP H11279729 A JPH11279729 A JP H11279729A
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JP
Japan
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dross
hot
gas
dip metal
bath
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Withdrawn
Application number
JP8177798A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Takezaki
勝之 竹崎
Hiroyuki Nakamizo
浩行 中溝
Katsuaki Nagata
勝顕 永田
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融めっき金属のドロスを自動的に回収し、
回収したドロスから溶融めっき金属を効率的に再生す
る。 【解決手段】 ガス供給装置33から窒素ガスを供給し
てガスリフトポンプ31を作動させ、ドロス吸引移送管
34内にドロス分離器36に向かう流れを形成する。前
記流れは、所定位置に配設された吸引部材35を介して
トップドロス18とめっき浴24との混合物をドロス吸
引移送管34内に吸引して移送し、ガスリフトポンプ3
1を経てドロス分離器36内に窒素ガスとともに送り込
む。ドロス分離器36内に導入されたトップドロス18
は、投入されたドロス還元用薬剤と反応し、還元されて
めっき金属に再生され、めっき浴24中へ戻される。ト
ップドロス18と薬剤とは撹拌部材70によって撹拌さ
れるので、反応が促進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融めっき金属の
ドロスを回収し、回収したドロスから溶融めっき金属を
再生するドロス回収再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から溶融めっき鋼帯、たとえば溶融
亜鉛めっき鋼帯は連続溶融亜鉛めっき装置において次の
ようにして製造されている。被めっき材料である熱間ま
たは冷間圧延鋼帯は、還元焼鈍炉において還元性雰囲気
ガス中で熱処理され、表面酸化物を還元された後、溶融
亜鉛めっき浴の上部に部分的に浸漬されているスナウト
を介してめっき浴中に導入され、めっき浴中に浸漬され
ているシンクロールに巻掛けられて上方に搬送され、溶
融亜鉛めっき浴から導出されて表面に亜鉛めっきされ
る。前記溶融亜鉛めっき中、大気と接する溶融亜鉛めっ
き浴の浴面上には、めっき浴と大気中の酸素との反応に
よってトップドロスが生成する。トップドロスは、ほと
んど酸化亜鉛ZnOから成る。また還元性雰囲気ガスで
満たされているスナウト内においても、スナウトの内壁
面に付着した亜鉛蒸気がアッシュとなって堆積し、堆積
アッシュの落下によってスナウト内の溶融亜鉛めっき浴
の浴面上にトップドロスが生成する。
【0003】前記トップドロスは、めっき浴中を通過す
る鋼帯表面に付着してめっき性を低下させ、亜鉛めっき
層の表面に付着して亜鉛めっき製品の表面品質を著しく
低下させる。したがって、前記トップドロスを浴面から
回収して排除することが必要である。またトップドロス
は亜鉛を多量に含んでいるので、回収を行うのみでは亜
鉛ロスが大きくなる。したがって、作業中に回収したト
ップドロスから亜鉛を再生して浴中に戻すことが好まし
い。従来から、トップドロスの回収または回収・再生
は、たとえば下記に示すような方法によって行われてい
る。
【0004】(a)作業者がめっき操業中スナウト外の
トップドロスを所定位置に掻集め、掻集めたトップドロ
スを汲上げてめっきポット外に回収する。 (b)作業者が前記掻集めたトップドロスを汲上げてド
ロス分離器内に投入し、回収したトップドロスと薬剤と
を反応させてトップドロスから亜鉛を再生する。 (c)スナウト内のトップドロスをドロスポンプによ
ってスナウト外に排出し、前記(a)または(b)の方
法によってトップドロスを回収または回収・再生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のトップドロ
スの回収または回収・再生方法は、いずれも人力による
汲上げ作業を伴う。したがって、作業者に対する負荷が
大きく、汲上げ時に腰痛を起こすことがある。また、前
記ドロスポンプはスナウトの側面に設置されるので、ス
ナウトの裏側からスナウトの表側に通じる浴面上の移送
経路が塞がれる。したがって、スナウトの裏側からスナ
ウトの表側にトップドロスを人力で移送することが困難
であり、裏側と表側とで個別にトップドロスを排除する
必要がある。一般にスナウトの裏側は、作業スペースの
狭い領域である。したがって、従来の方法ではスナウト
の裏側におけるトップドロスの回収が困難である。
【0006】本発明の目的は、前記問題を解決し、溶融
めっき金属のドロスを存在位置にかかわらず自動的に回
収し、回収したドロスから溶融めっき金属を効率的に再
生することのできる溶融めっき金属のドロス回収再生装
置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融めっき金
属のドロスを回収し、回収したドロスをドロス還元用薬
剤と反応させて還元し、ドロスから溶融めっき金属を再
生する溶融めっき金属のドロス回収再生装置において、
溶融めっき金属の浴中に配設され、上下方向に延び、周
壁にガス吹込孔が形成される内筒と、内筒が挿通される
外筒であって、内筒の外周面と外筒の内周面との間に空
間が形成され、内筒の外周面と外筒の上部とが気密に塞
がれており、外筒の周壁にはガス導入口が内筒のガス吹
込孔よりも上方に間隔をあけて形成され、外筒の下端部
が内筒のガス吹込孔よりも下方に延びる外筒と、前記ガ
ス導入口に接続されるガス供給装置と、溶融めっき金属
の浴面近傍に設けられ、溶融めっき金属、ドロスおよび
薬剤を収納し、ドロスを薬剤で還元するドロス分離器
と、内筒の下端部に一端部が接続され、他端部が溶融め
っき金属の浴面付近に開口するドロス吸引移送管とを含
むことを特徴とする溶融めっき金属のドロス回収再生装
置である。
【0008】本発明に従えば、ガス供給装置からのガス
が前記空間を介して内筒のガス吹込孔から内筒の内部に
吹込まれるので、内筒内部に内筒の上端部に向かう流れ
が形成される。これによって、ドロス吸引移送管の浴面
付近に開口した他端部から、浴面上のトップドロスを溶
融めっき金属とともに吸引し、ドロス吸引移送管を経て
内筒の上端部からドロス分離器内に送り出すことができ
る。また、ドロス分離器内に導入されたトップドロスは
浴面上に浮上し、投入されたドロス還元用薬剤と反応し
て溶融めっき金属に還元される。したがって、作業者に
ドロス汲上げ作業などの負荷をかけることなく自動的に
トップドロスを回収し、回収したトップドロスから溶融
めっき金属を再生することができる。また、ドロス吸引
移送管の他端部は所望の位置に配設することができるの
で、トップドロスの存在位置にかかわらずトップドロス
を自動的に回収して溶融めっき金属に再生することがで
きる。
【0009】また本発明は、溶融めっき金属のドロスを
回収し、回収したドロスをドロス還元用薬剤と反応させ
て還元し、ドロスから溶融めっき金属を再生する溶融め
っき金属のドロス回収再生装置において、溶融めっき金
属の浴面近傍に設けられ、溶融めっき金属、ドロスおよ
び薬剤を収納し、ドロスを薬剤で還元するドロス分離器
と、ドロス分離器の下部に一端部が接続され、他端部が
溶融めっき金属の浴面近傍に開口するドロス吸引移送管
と、先端部にガス吹込孔を有し、先端部がドロス吸引移
送管の一端部に挿通されるガス吹込管と、ガス吹込管の
基端部に接続されるガス供給装置とを含むことを特徴と
する溶融めっき金属のドロス回収再生装置である。
【0010】本発明に従えば、ドロス分離器の下部にド
ロス吸引移送管の一端部が接続され、ドロス吸引移送管
の一端部にガス吹込管の先端部が挿通されるように構成
されているので、ガス供給装置からのガスをガス吹込管
の先端部のガス吹込孔からドロス吸引移送管内に吹込む
ことができ、ドロス吸引移送管内にドロス分離器に向か
う流れを形成することができる。したがって、簡単な構
成で確実にドロスをドロス分離器内に導入することがで
きる。
【0011】また本発明の前記ドロス分離器は、溶融め
っき金属の浴面近傍の浴中に設けられ、上部が部分的に
浴面から上方に突出している有底筒状の反応容器と、反
応容器の下部に外方に突出して設けられ、鉛直面内で屈
曲経路を形成するドロス導入口と、反応容器内のドロス
導入口を臨む位置に、ドロス導入口と対向して設けら
れ、ドロス導入口の断面積よりも大きい表面積を有する
遮蔽部材と、反応容器の上部に、かつ溶融めっき金属の
浴面よりも上方に設けられる薬剤投入口と、反応容器内
に設けられ、溶融めっき金属を撹拌する撹拌部材と、反
応容器の下部に、かつドロス導入口よりも下方に形成さ
れる複数の通過孔とを含むことを特徴とする。
【0012】本発明に従えば、ドロス導入口は鉛直面内
で屈曲経路を形成しているので、導入されるガスは方向
転換し、圧損が発生しやすい。また、反応容器内のドロ
ス導入口を臨む位置には、ドロス導入口と対向して遮蔽
部材が設けられ、遮蔽部材の表面積はドロス導入口の断
面積よりも大きいので、導入されるガスは遮蔽部材に衝
突して方向転換し、遮蔽部材に沿って拡散する。したが
って、ガスの圧損が発生しやすい。これによって、供給
されるガスの圧力が過大であるときでも、ガスの圧力を
低下させることができるので、浴面におけるドロスを含
む溶融めっき金属の飛散を防止することができる。ま
た、撹拌部材が反応容器内に設けられているので、トッ
プドロスと薬剤投入口から投入される薬剤との反応を促
進させることができる。
【0013】また本発明の前記ドロス吸引移送管の他端
部には、上方になるにつれて水平断面が広がった形状を
有する吸引部材が設けられ、吸引部材の上端部は上方に
なるにつれて先細状に傾斜した形状を有することを特徴
とする。
【0014】本発明に従えば、吸引部材は上方になるに
つれて水平断面が広がった形状を有するので、広範囲の
領域のトップドロスを吸引することができる。さらにま
た吸引部材の上端部は上方になるにつれて先細状に傾斜
した形状を有するので、溶融めっき金属の浴面が変動し
てもトップドロスを確実に吸引することができる。
【0015】また本発明の前記ガス供給装置には、ガス
加熱器が設けられることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、ガス加熱器によって前記
内筒またはドロス吸引移送管に吹込まれるガスを加熱す
ることができるので、ガスによる溶融めっき金属の過剰
な冷却を防止することができる。したがって、前記内筒
またはドロス吸引移送管の詰まりを防止することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る溶融めっき金属のドロス回収再生装置の構成を簡略化
して示す正面図であり、図2は図1に示すドロス回収再
生装置の平面図であり、図3は図1に示すドロス回収再
生装置の側面図であり、図4は図1に示すドロス回収再
生装置を備える連続溶融亜鉛めっき装置の構成を簡略化
して示す側面図である。
【0018】連続溶融亜鉛めっき装置20は、還元焼鈍
炉21と、スナウト23と、溶融めっき金属である溶融
亜鉛24(以後、めっき浴と呼ぶ)が貯留されているめ
っきポット25と、ドロス回収再生装置30と、めっき
浴24中に配設されているシンクロール26と、めっき
浴24の浴面直上に設けられ、めっき付着量を調整する
吹払ノズル27とを備えて構成される。還元焼鈍炉21
は、連続的に搬送される被めっき材料である冷間圧延鋼
帯28(以後、鋼帯と呼ぶ)を還元性雰囲気中で加熱し
て焼きなましするとともに表面酸化物を還元するための
熱処理炉である。スナウト23は、鋼帯28を還元性雰
囲気で保護したままめっき浴24中に導くための角筒状
導入通路であり、スナウト23の上端部は還元焼鈍炉2
1に接続され、スナウト23の下端部はめっき浴24の
上部に部分的に浸漬されている。めっき浴24の浴面上
には、ZnOから成るトップドロス18がスナウト23
の内外に浮遊している。
【0019】鋼帯28は、還元焼鈍炉21、ホットブラ
イドルロール29およびスナウト23を経てめっき浴2
4中に導入されて溶融亜鉛めっきされ、シンクロール2
6に巻掛けられて上方に搬送され、めっき浴24から大
気中に導出されて吹払ノズル27によってめっき付着量
を所定量に調整される。
【0020】ドロス回収再生装置30は、前記トップド
ロス18を回収し、回収したトップドロス18から亜鉛
を再生するための装置であり、図1〜図3に示すように
ガスリフトポンプ31と、ガス供給装置33と、ドロス
分離器36と、ドロス吸引移送管34と、吸引部材35
と、排気装置37とを含んで構成される。ドロス回収再
生装置30は、めっき浴24中にめっきポット25の一
方の短辺側側壁に沿って配設されている。ドロス回収再
生装置30の各構成要素は、いずれもたとえばステンレ
ス鋼SUS316Lから成る。
【0021】ガスリフトポンプ31は、トップドロス1
8を吸引して移送するポンプであり、めっき浴24中に
軸線を鉛直方向に向けて配設される。ガス供給装置33
は、ガスリフトポンプ31に接続され、ガスリフトポン
プ31にガスを供給する。供給されるガスは、たとえば
窒素ガスである。ドロス分離器36は、めっき浴24の
浴面24a付近の浴中に設けられ、上部が部分的に浴面
24aから上方に突出している。ドロス分離器36は、
ガスリフトポンプ31と接続されており、回収されたト
ップドロス18をドロス還元用薬剤、たとえば塩化アン
モニウムと反応させ、トップドロス18を還元してトッ
プドロス18から亜鉛を再生する。
【0022】ドロス吸引移送管34は、めっき浴24中
に配設される管路であり、一端部がガスリフトポンプ3
1の下端部に接続され、他端部がめっき浴24の浴面2
4a付近に開口している。本実施の形態では、ドロス吸
引移送管34の他端部は、図2に示すようにスナウト2
3の表側(図2の上側)に開口しており、ドロス吸引移
送管34はめっきポット25の一方の短辺側側壁に沿っ
て延びている。吸引部材35は、ドロス吸引移送管34
の他端部に取付けられ、トップドロス18を吸引する。
排気装置37は、ドロス分離器36からの還元反応ガス
を吸引して排気する。以下、ドロス回収再生装置30の
各構成要素の構成を詳細に説明する。
【0023】図5は図1に示すガスリフトポンプ31の
構成を簡略化して示す正面図であり、図6は図5の切断
面線V−Vから見た断面図であり、図7はガスリフトポ
ンプの作動時の状況を示す模式図である。ガスリフトポ
ンプ31は、内筒40と、外筒43と、ガス導入口44
とを含んで構成される。内筒40は、上下方向に延びる
円筒体であり、その周壁には複数のガス吹込孔39が形
成されている。内筒40のガス吹込孔39は、軸線に垂
直な一仮想面内において、周方向に等間隔をあけて形成
されている。ガス吹込孔39の個数は、たとえば3個で
ある。内筒40の上端部および下端部には、第1および
第2フランジ47,48が設けられている。
【0024】外筒43は、上下方向に延びる円筒体であ
り、内筒40の半径方向外方に間隔をあけて同軸に設け
られている。外筒43の下端部は、内筒40のガス吹込
孔39よりも下方に延びており、外筒43の周壁にはガ
ス導入口44が設けられている。ガス導入口44は、内
筒40のガス吹込孔39よりも上方に間隔L1をあけて
形成されており、その間隔L1は、たとえば500mm
である。外筒43の上端部には、天板45が設けられて
おり、天板45は内筒40の外周面と外筒43の上部と
を気密に塞いでいる。ガス導入口44は、内筒40の外
周面と外筒43の内周面との間に形成される空間46に
窒素ガスを導く。
【0025】前記空間46に導入された窒素ガスは、図
7に示すように前記空間46内のめっき浴24の浴面2
4bを押下げ、内筒40のガス吹込孔39を通過して内
筒40の内部に吹込まれ、内筒の内部を満たしているめ
っき浴24中を気泡となって上昇する。これによって、
窒素ガスを吹込まれた領域のめっき浴24の比重はそれ
以外の領域のめっき浴24の比重よりも小さくなるの
で、内筒40のガス吹込孔39よりも上方の領域のめっ
き浴の比重がそれよりも下方の領域のめっき浴の比重よ
りも相対的に小さくなる。したがって、内筒40の内部
にはめっき浴24の上昇流が形成され、トップドロスを
含むめっき浴24が下方から上方へ移送される。
【0026】このように、本実施の形態のガスリフトポ
ンプ31では、内筒40の内部に上昇流が形成されるの
で、めっき浴24とトップドロス18と窒素ガスとの混
合流体を下方から上方に移送することができる。また外
筒43のガス導入口44が内筒40のガス吹込孔39よ
りも上方に間隔をあけて設けられているので、前記空間
46に導入された窒素ガスの圧力が変動しても、めっき
浴24のガス導入口44への侵入を防止することができ
る。したがって、ガス導入口44の配管詰まりを回避す
ることができる。また内筒40の外周面と外筒43の上
部とが気密に塞がれ、外筒43の下端部が内筒40のガ
ス吹込孔39よりも下方に延びているので、前記空間4
6に導入された窒素ガスの漏れがなくなり、窒素ガスを
内筒40のガス吹込孔39から内筒40の内部に確実に
吹込むことができる。したがって、吹込まれた窒素ガス
が効果的にめっき浴24を上昇させ、ガスリフトポンプ
31の移送効率を向上することができる。また内筒40
は、外筒43に同軸に挿通されるので、ガスリフトポン
プ31をコンパクトに構成することができる。また、構
成が簡単で、回転部分を含まないので、故障が少なく耐
久性が優れている。
【0027】再び図3を参照して、前記ガス供給装置3
3はガスタンク12と、減圧弁13と、流量調整弁14
と、ガス供給管路15とを含んで構成される。ガス供給
管路15は、窒素ガスをガスリフトポンプ31に導く管
路であり、その一端部がガスタンク12に接続され、下
端部がガスリフトポンプ31のガス導入口44に接続さ
れている。ガスタンク12から供給される窒素ガスは、
減圧弁13で所定の設定圧力に調整され、さらに流量調
整弁14で流量を調整されてガスリフトポンプ31に導
入される。
【0028】前記窒素ガスの供給圧力は、前記ガスリフ
トポンプ31の空間46内のめっき浴24を内筒40の
ガス吹込孔39の位置まで押下げることのできる圧力に
設定される。したがって、前記供給圧力の設定値は、前
記ガス吹込孔39とめっき浴24の浴面24aとの距離
によって決定され、前記距離が大きくなるにつれて前記
供給圧力が高くなるように設定される。本実施の形態で
は、前記距離はたとえば浴面下1mであり、前記供給圧
力は、たとえば+0.6kg/cm2である。前記窒素
ガスの供給流量は、たとえば20リットル/分である。
【0029】本実施の形態では、ガス供給装置33にガ
ス加熱器が設けられていないけれども、ガス供給管路1
5の途中位置にガス加熱器を設けて窒素ガスを加熱する
ように構成してもよい。ガス加熱装置は、たとえば電熱
ヒータによって実現される。この場合には、窒素ガスが
加熱された状態でガスリフトポンプ31の前記空間46
に導入されるので、前記空間内に存在するめっき浴24
の窒素ガスによる過剰な冷却が防止され、前記空間46
の閉塞を防止することができる。したがって、内筒40
のガス吹込孔39を介して内筒内部に窒素ガスを安定し
て吹込むことができ、ガスリフトポンプ31の作動不良
の発生を未然に防止することができる。また、窒素ガス
に代わって高温の排ガスを用いてもよい。この場合に
は、ガス供給管路15にガス加熱器を設けなくてもよ
い。
【0030】図8は図1に示すドロス分離器の構成を簡
略化して示す正面図であり、図9は図8に示すドロス分
離器の平面図であり、図10は図8に示すドロス分離器
の側面図である。ドロス分離器36は、反応容器67
と、ドロス導入口68と、遮蔽部材69と、撹拌部材7
0とを含んで構成される。反応容器67は、上部開放形
の有底容器であり、その水平断面形状は矩形である。反
応容器67は、めっき浴24の浴面近傍の浴中に設けら
れ、上部が部分的に浴面から上方に突出している。した
がって、反応容器67の上部は浴面を外囲し、浴面上に
前記薬剤の投入空間を形成する。
【0031】反応容器67の側壁は、一対の長辺側側壁
と、一対の短辺側側壁とから成る。一対の長辺側側壁の
うちめっきポット25側の一方の側壁73(以後、第1
側壁と呼ぶ)と、他方の側壁74(以後、第2側壁と呼
ぶ)との間隔は、上下方向位置において異なり、上部か
ら下部に向かうにつれて図10に示すように変化する。
すなわち、前記間隔は、上部から下部に向かう途中位置
まで一定の間隔L2であり、それよりもさらに下方では
下方に向かうにつれて小さくなるように変化し、さらに
下方の底部付近では再び前記間隔L2よりも小さい一定
の間隔L3になる。
【0032】第1側壁73は、第1胴板75と、傾斜板
76と、第2胴板77とから成り、これらは上部からこ
の順に配設されている。傾斜板76は、斜め下方に延
び、前記間隔を下方に向かうにつれて小さくなるように
調整する。一対の短辺側側壁は、第1および第2側壁7
3,74の幅方向(図8の左右方向)両端部にそれぞれ
溶接接合される。以後、説明の便宜上一方の短辺側側壁
(図8の左側)を第3側壁78と呼び、他方の短辺側側
壁(図8の右側)を第4側壁79と呼ぶ。したがって、
反応容器67の水平断面積は、上部から下部に向かう途
中位置まで一定の最大断面積を示し、途中位置より下方
では次第に小さくなるように絞られ、底部付近から再び
一定の最小断面積を示す。前記反応容器67の水平断面
積が最小となる部分は、再生亜鉛の回収領域であるの
で、以後、めっき浴回収室80と呼ぶ。めっき浴回収室
80の下端部には、底板81が設けられている。
【0033】前記第1側壁73の第1胴板75の上端部
には、薬剤投入口83が形成されている。薬剤投入口8
3は、めっき浴24の浴面24aよりも上方に形成され
ており、その形状は矩形である。これによって、排気装
置37が反応容器67の上方に設置されていても、作業
者は薬剤を反応容器67内に投入することができる。前
記めっき浴回収室80の第2側壁74には、めっき浴を
通過させるための通過孔84が複数、たとえば3個形成
されており、前記めっき浴回収室80の第3側壁78に
は、通過孔84が、たとえば1個形成されている。した
がって、めっき浴24中に新たに反応容器67を配設す
るときには、通過孔84を介してめっき浴24が反応容
器67内に流入する。めっき浴回収室80の天井部に
は、第4側壁79から幅方向に延びるバッフル板86が
設けられている。バッフル板86の長さL4は、図9に
示すように第4側壁79と第3側壁78との間隔L5よ
りも短い。したがって、めっき浴回収室80の天井部は
バッフル板86によって部分的に覆われる。
【0034】前記バッフル板86の上方には、バッフル
87が複数個、たとえば5個設けられている。バッフル
87は、たとえば等辺山形鋼から成り、水平方向に延び
る横辺88と、鉛直方向に延びる縦辺89とから成る。
バッフル87は、第1側壁73の第1胴板75と第2側
壁74との間に掛渡され、第1および第2側壁73,7
4の幅方向に間隔をあけて設けられる。前記複数のバッ
フル87のうち、最も第4側壁79寄りのバッフル87
の縦辺89は、第4側壁79と間隔L6をあけて対向し
て設けられる。前記間隔L6は、たとえば45mmであ
る。前記最も第4側壁79寄りのバッフル87の上方に
は、一対のガイド板90が前記第1および第2側壁7
3,74に対向してそれぞれ設けられる。前記ガイド板
90の板面は、前記第4側壁79の板面に対して平行で
あり、ガイド板90と第4側壁79との間隔は、前記間
隔L6に等しい。
【0035】前記第1側壁73の上端部には、一対の連
結部材93と、第1吊り部材94とが設けられており、
前記第2側壁74の上端部には第2吊り部材95が設け
られている。また、めっきポット25の外方の床面上に
は固定台96が設けられており、固定台96には一対の
固定アーム97が設けられている。一対の連結部材93
は、一対の固定アーム97に着脱自在に連結される。こ
れによって反応容器67は、めっきポット25内の予め
定める位置に固定される。なお、本実施の形態の反応容
器67は薬剤を手動で投入するように構成されているけ
れども、ホッパを設けて薬剤を自動投入するように構成
してもよい。
【0036】ドロス導入口68は、反応容器67の下部
に外方に突出して設けられる管路であり、一端部が反応
容器67の第4側壁79の下部に設けられ、他端部が前
記ガスリフトポンプ31の内筒40の上端部に接続され
る。ドロス導入口68は、前記ガスリフトポンプ31か
ら移送されるトップドロス18と、めっき浴24と、窒
素ガスとの混合流体を反応容器67内に導く。ドロス導
入口68の上下方向設置位置は、前記めっき浴回収室8
0の直上である。
【0037】ドロス導入口68は、第4側壁79から水
平方向外方に延びる横筒99と、横筒99の先端部から
鉛直方向下方に延びる縦筒100とから成る。横筒99
は、第4側壁79に対して垂直に取付けられており、横
筒99の内部空間は第4側壁79に形成されている連通
孔を介して反応容器67の内部空間と連通している。横
筒99および縦筒100は、同一鉛直面内に存在する。
横筒99の軸直角断面形状はほぼ正方形であり、縦筒1
00の軸直角断面形状は円形である。横筒99の内部に
は仕切板101が設けられており、仕切板101は水平
方向に延びる横板102と、鉛直方向に延びる縦板10
3とから成る。これによって、ドロス導入口68には屈
曲経路が形成される。縦筒100の下端部には、第3フ
ランジ104が設けられており、第3フランジ104は
前記第1フランジ47に連結される。なお、ドロス導入
口68の設置位置は前記位置に限定されるものではな
く、前記底板81に設けるように構成してもよい。
【0038】遮蔽部材69は、図8に示すように反応容
器内のドロス導入口68を臨む位置に立設される板状部
材であり、図11(1),(2)に示すように平坦部1
06と、上下方向に延びる曲げ部107とから成る。曲
げ部107は、遮蔽部材67の幅方向両端部に一対形成
される。一対の曲げ部107の曲げ方向は、いずれも平
坦部106に対して同一方向であり、曲げ角度はほぼ直
角である。曲げ部107の曲げ長さ、換言すれば平坦部
106の一方表面からの突出高さL7は、前記ガイド板
90と、第4側壁79との間隔L6よりも若干短い。前
記突出高さL7は、たとえば30mmである。遮蔽部材
69の下部における一方のコーナには、切欠部108が
形成されている。切欠部108は、遮蔽部材69の幅が
下方になるにつれて小さくなるように斜め下方に傾斜し
て形成されている。切欠部108の水平面に対する傾斜
角は、前記傾斜板76の水平面に対する傾斜角と同一で
ある。遮蔽部材69の上部の幅L8は、前記第1側壁7
3の第1胴板75と第2側壁74との間隔L2よりも若
干短く形成される。遮蔽部材69の平坦部106の表面
積は、前記ドロス導入口68の横筒99の断面積よりも
大きくなるように形成される。
【0039】遮蔽部材69は、第4側壁79と前記ガイ
ド板90およびバッフル87の縦辺89との間に、曲げ
部107を第4側壁79側に向けて上方から挿入され
る。遮蔽部材69の下端面は、前記傾斜板76およびバ
ッフル板86上に乗載される。遮蔽部材69は固定され
ない。これによって、遮蔽部材69は第4側壁79の板
面とほぼ平行に、第4側壁79の全幅にわたって着脱自
在に装着され、遮蔽部材69と第4側壁79との間には
上下方向に延びる経路が形成される。前述のように、ド
ロス導入口68の横筒99は第4側壁79に対して垂直
に取付けられているので、ドロス導入口68から反応容
器67内に導入される前記混合流体は遮蔽部材69に垂
直に衝突し、横筒99の断面積より大きい遮蔽部材69
の表面に沿って拡がりながら上方に移動する。
【0040】撹拌部材70は、図8および図10に示す
ように撹拌板110と、撹拌板110に固定される支持
棒111とを含んで構成される。撹拌部材70は、反応
容器内に配設され、撹拌板110は前記バッフル87の
上方のめっき浴24中に浸漬される。撹拌板110は、
支持棒111を介して図示しない駆動装置によって昇降
変位駆動される。これによって、めっき浴24が撹拌さ
れるので、薬剤投入口83から投入された薬剤と、ドロ
ス導入口68から反応容器内に導入されたトップドロス
18との反応が促進される。また、撹拌時におけるトッ
プドロス18の下方への拡散は、前記バッフル87およ
びバッフル板86によって抑制される。したがって、通
過孔84からのトップドロス18のめっき浴24中への
放散を防止することができる。
【0041】前記混合流体は、ドロス導入口68を介し
て反応容器内に導入され、遮蔽部材69に衝突して方向
転換し、遮蔽部材69に沿って拡がりながら上昇し、浴
面上に浮上する。めっき浴24は、前記混合流体中の窒
素ガスおよび撹拌部材70によって撹拌されるので、浮
上したトップドロス18は、薬剤投入口83から投入さ
れた薬剤と反応して還元され、亜鉛に再生される。再生
された亜鉛は、めっき浴回収室80内に回収され、通過
孔84を介してめっき浴24中に戻される。
【0042】前述のように、ドロス導入口68には屈曲
経路が形成されているので、前記混合流体の流れ方向は
屈曲し、圧損が発生しやすい。またドロス導入口68に
は仕切板101が設けられているので、前記混合流体の
流れが分岐され、圧損が発生しやすい。また遮蔽部材6
9は、混合流体の流入方向に対してほぼ垂直に設けられ
ているので、遮蔽部材69に衝突した混合流体の流れ方
向は90度方向転換し、圧損が発生しやすい。また遮蔽
部材69の表面積がドロス導入口68の断面積よりも大
きいので、遮蔽部材69に衝突した混合流体は拡がりな
がら上昇し、圧損が発生しやすい。これによって、窒素
ガスが過大な圧力で供給されるときでも、ガスの圧力を
低下させることができるので、浴面24aからの混合流
体の上方への飛散を防止することができる。したがっ
て、安全性を向上することができ、めっき浴24の飛散
ロスの発生を防止することができる。
【0043】また、遮蔽部材69が着脱自在に設けられ
ているので、窒素ガスが過小な圧力で供給されるときで
も、遮蔽部材69を取外すことによって窒素ガスの撹拌
力の低下を回避することができる。したがって、薬剤と
トップドロス18との反応を促進することができる。さ
らに前述のように、撹拌部材70が設けられているの
で、撹拌によって薬剤とトップドロス18との反応をさ
らに促進することができる。またバッフル87およびバ
ッフル板86が設けられているので、撹拌時におけるト
ップドロス18の下方への拡散を抑制し、トップドロス
18のめっき浴中への放散を防止することができる。ま
た、めっき浴回収室80と通過孔84とが反応容器67
の最下部に設けられているので、再生亜鉛中へのトップ
ドロス18の混入を防止することができ、高純度の再生
亜鉛をめっき浴24中に戻すことができる。
【0044】このようにドロス分離器36は、混合流体
の飛散を防止することができ、かつトップドロス18と
薬剤との反応を促進することができ、かつトップドロス
18のめっき浴中への放散を防止することができるの
で、トップドロス18から亜鉛を安全確実に、かつ効率
的に再生することができる。
【0045】再び図1および図2を参照して、前記ドロ
ス吸引移送管34は、めっき浴24中に配設される管路
であり、第1直管50と、第1エルボ51と、第2直管
53と、第2エルボ54と、第3直管55とから成る。
前記第1直管50および第3直管55は、軸線を鉛直方
向に向けて配設されており、前記第2直管53は軸線を
水平方向に向けて配設されている。これらの直管および
エルボは、ガスリフトポンプ31側からこの順序で接続
されている。前記第1直管50の一端部、すなわちドロ
ス吸引移送管34の一端部には、第4フランジ56が設
けられており、第4フランジ56はガスリフトポンプ3
1の内筒40の下端部に設けられている第2フランジ4
8と連結されている。前記第3直管55の上端部、すな
わちドロス吸引移送管34の他端部は、前記スナウト2
3の表側(図2の上側)のめっき浴24の浴面24a付
近に開口している。
【0046】図12は図1に示す吸引部材の概略構成を
示す正面図であり、図13は図12に示す吸引部材の平
面図であり、図14は図12に示す吸引部材の側面図で
ある。図12〜図14には、吸引部材35の上下方向位
置を調整するレベル調整装置57の構成も併せて示して
いる。吸引部材35は、鉛直軸線を有するホッパ状の部
材であり、複数の側板58と底板59とから成る。側板
58は、相互に溶接接合され、上下端部が開口した形状
になるように形成される。側板58の下部の形状は、上
方になるにつれて水平断面が拡がるように形成され、側
板58の上部の形状は角筒状に形成される。また側板5
8の上端部、すなわち吸引部材35の上端部は、浴面2
4aに対して傾斜しており、上方になるにつれて先細状
に傾斜されている。前記傾斜した上端部は、ドロス吸引
口35aを形成する。なお側板58間には、補強片58
aが掛け渡されている。前記底板59は、側板58の下
端部に溶接接合され、さらに前記第3直管55の上端
部、すなわちドロス吸引移送管34の他端部に溶接接合
される。また前記底板59には、側板58で外囲される
空間と、ドロス吸引移送管34の内部とを連通する連通
孔が形成されている。
【0047】このように、めっき浴24の浴面付近に配
設されているドロス吸引移送管34の他端部には、吸引
部材35が設けられており、吸引部材35は上方になる
につれて水平断面が拡がったホッパ状の形状を有するの
で、めっき浴24の浴面上に浮遊するトップドロス18
を広範囲にわたって吸引することができる。また吸引部
材35の上端部は、浴面24aに対して傾斜しており、
上方になるにつれて先細状に形成されているので、めっ
き浴24の浴面24aが亜鉛の投入などによって変動し
てもトップドロス18を確実に吸引することができる。
【0048】前記レベル調整装置57は、連結アーム6
0と、調整ボルト61と、支持台64とを含んで構成さ
れる。連結アーム60は、前記吸引部材35と、調整ボ
ルト61とを連結するアームであり、一端部は吸引部材
35の側板58の上端部に溶接接合されており、他端部
にはボルト挿通孔が形成されている。支持台64は、床
面上に設けられている固定台であり、その上部にはねじ
穴が形成されている。調整ボルト61は、連結アーム6
0のボルト挿通孔に挿通され、ナット62で連結アーム
60を挟んだ状態で支持台64のねじ穴に螺合される。
吸引部材35のレベル調整は、調整ボルト61を回転す
ることによって行われる。レベル調整後、調整ボルト6
1はロックナット63によって支持台64に固定され
る。
【0049】前記レベル調整にあたっては、前記吸引部
材35のドロス吸引口35aの最下部をめっき浴24の
浴面24aの下方約5mmの位置に調整することが好ま
しい。これは、前記位置よりも上方に調整すれば吸引さ
れるトップドロス18とめっき浴24との混合物中のト
ップドロス18の比率が高くなり、混合物の流動性が低
下して前記ドロス吸引移送管34内の移送速度が低下す
るからであり、前記位置よりも下方に調整すれば前記混
合物中のトップドロス18の比率が小さくなり、ドロス
排出効率が低下するからである。
【0050】以上述べたように、前記ドロス回収再生装
置30は、ガス供給装置33から窒素ガスをガスリフト
ポンプ31に供給して、ガスリフトポンプ31を作動さ
せ、ドロス吸引移送管34内にガスリフトポンプ31を
経てドロス分離器36に向かう流れを形成する。前記流
れは、吸引部材35を介してトップドロス18とめっき
浴24との混合物をドロス吸引移送管34内に吸引して
移送し、ガスリフトポンプ31を経てドロス分離器36
に窒素ガスとともに送り込む。ドロス分離器36内に導
入されたトップドロス18は、薬剤投入口83から投入
された薬剤と反応し、還元されて亜鉛に再生され、めっ
き浴24中に戻される。
【0051】このように、前記ドロス回収再生装置30
はトップドロス18を自動的に回収し、回収したトップ
ドロス18から効率的に亜鉛を再生することができる。
したがって、手作業によるトップドロス汲上げ作業を省
業することができ、作業者の負荷が大幅に低減される。
また、トップドロスの浮遊量を低減した状態で鋼帯28
に溶融亜鉛めっきすることができるので、トップドロス
18に起因する表面品質低下要因が排除され、表面品質
の優れた溶融亜鉛めっき製品を安定して製造することが
できる。また、本実施の形態の吸引部材35はスナウト
23の表側に配設されているけれども、配設位置はその
位置に限定されるものではなく、所望の位置、たとえば
スナウト23の裏側または内側であってもよい。これに
よって、ドロス回収再生装置30はトップドロス18の
存在位置にかかわらずトップドロス18を自動的に回収
して亜鉛に再生することができる。
【0052】図15は、本発明の実施の他の形態である
ドロス回収再生装置の構成を簡略化して示す平面図であ
る。本実施の形態のドロス回収再生装置113は、図1
〜図3に示すドロス回収再生装置30と類似しているの
で、対応する部分には同一の参照符号を付し、重複する
説明は省略する。本実施の形態で注目すべきは、ドロス
吸引移送管114が分岐しており、その各先端部がスナ
ウト23の表側、裏側および内側の3箇所においてめっ
き浴24の浴面付近にそれぞれ開口している点である。
【0053】ドロス吸引移送管114は、めっき浴24
中にめっきポット25の側壁に沿って配設される管路で
あり、前記第1直管50と、前記第2直管53と、前記
第3直管55と、第1曲管119と、第4直管120
と、第2曲管121と、第5直管122とを含んで構成
される。第4直管120は軸線を水平方向に向けて配設
されており、第5直管122は軸線を鉛直方向に向けて
配設されている。第1直管50の一端部は、前述のよう
にガスリフトポンプ31に連結されており、他端部は前
記第1エルボ51を介して第2直管53の一端部と接合
されている。第2直管53の他端部は、第1曲管119
の一端部と接合されており、第1曲管119の他端部は
第4直管120の一端部と接合されている。第4直管1
20の他端部は、図示しないエルボを介して第5直管1
22の一端部と接合されており、第5直管122の他端
部すなわち先端部はスナウト23の裏側の浴面付近に設
けられている吸引部材35に接合されている。
【0054】第3直管55は分岐管であり、一端部が第
2直管53の途中位置に接合されており、先端部である
他端部がスナウト23の表側の浴面付近に設けられてい
る吸引部材35に接合されている。第2曲管121は分
岐管であり、一端部が第4直管120の途中位置に接合
されており、先端部である他端部がスナウト23の内側
の浴面付近に開口している。これによって、本実施の形
態のドロス回収再生装置113は、スナウト23の表
側、裏側および内側におけるトップドロス18を同時に
吸引して回収し、回収したトップドロス18から亜鉛を
再生することができる。この結果、トップドロス18が
回収の困難な位置であるスナウト23の裏側に存在して
も、トップドロス18を自動的に回収して亜鉛に再生す
ることができる。また、ドロスポンプ17の設置を省略
することができる。
【0055】このように、本実施の形態では、スナウト
23内外のトップドロス18を大幅に低減した状態で、
鋼帯28に溶融亜鉛めっきすることができるので、トッ
プドロス18に起因する表面品質低下要因が排除され、
表面品質のさらに優れた溶融亜鉛めっき製品を安定して
製造することができる。なお本実施の形態は、ドロス吸
引移送管114の先端部をスナウト23の裏側、表側お
よび内側の3箇所に配設するように構成されているけれ
ども、前記先端部を前記3箇所の中から選ばれた2箇所
に配設するように構成してもよい。
【0056】図16は、本発明の実施のさらに他の形態
であるドロス回収再生装置の構成を簡略化して示す正面
図である。本実施の形態のドロス回収再生装置116
は、図1〜図3に示すドロス回収再生装置30と類似し
ているので、対応する部分には同一の参照符号を付し、
重複する説明は省略する。注目すべきは、本実施の形態
ではドロス分離器36のドロス導入口68とドロス吸引
移送管34の第1直管50とが直接連結されており、図
1に示すガスリフトポンプ31に代わってガス吹込管1
17の先端部がドロス吸引移送管34の第1直管50
に、めっき浴24の浴面上方から挿通されている点であ
る。
【0057】ガス吹込管117は、上下方向に延びるス
テンレス鋼管であり、先端部には複数のガス吹込孔11
8が形成されており、基端部にはガス供給装置33のガ
ス供給管路15が接続されている。ガス吹込管117か
ら吹込まれる窒素ガスは、図1に示すガスリフトポンプ
31の内筒40に吹込まれる窒素ガスと同様にドロス吸
引移送管34の内部にドロス分離器36に向かう流れを
形成するので、トップドロス18をドロス分離器36に
送り込むことができる。したがってガス吹込管117
は、図1に示すガスリフトポンプ31と同一の働きを示
す。この結果、本実施の形態のドロス回収再生装置11
6は、簡単な構成で前記図1に示すドロス回収再生装置
30と同様の効果を示す。また、構成を簡素化すること
ができるので、故障の発生を低減することができる。
【0058】本実施の形態はスナウト23の表側に存在
するトップドロス18を吸引するように構成されている
けれども、スナウト23の内側、裏側および表側のトッ
プドロス18を各箇所ごとに、または複数箇所同時に吸
引するように構成してもよい。
【0059】以上述べたように、本発明のドロス回収再
生装置は溶融亜鉛浴に対して好適に適用できるけれど
も、そればかりではなく他の溶融めっき金属浴、たとえ
ば亜鉛合金浴、アルミニウム浴、アルミニウム合金浴な
どに対しても適用できる。また、被めっき材料としては
鋼帯に適用できるばかりではなく、他の金属帯に対して
も適用できる。
【0060】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によ
れば、浴面上のトップドロスを吹込ガスによって自動的
にドロス分離器内に移送し、トップドロスとドロス還元
用薬剤とを反応させることができるので、ドロスの存在
位置にかかわらず、作業者にドロス汲上げ作業などの負
荷をかけることなく自動的にトップドロスを回収し、回
収したトップドロスから溶融めっき金属を再生すること
ができる。したがって、トップドロスに起因するめっき
表面異常の発生を防止することができる。
【0061】また請求項2記載の本発明によれば、ガス
供給装置からのガスをガス吹込管を介して直接ドロス吸
引移送管内に吹込むことができるので、簡単な構成で確
実にドロスをドロス分離器内に導入することができる。
また、構成を簡素化することができるので、故障の発生
を低減することができる。
【0062】また請求項3記載の本発明によれば、ドロ
ス分離器に導入されるガスは、圧損の大きい経路を通過
するように構成されているので、供給されるガスの圧力
が過大であるときでも、ガスの圧力を低下させることが
でき、浴面における溶融めっき金属の飛散を防止するこ
とができる。したがって、安全性を向上することがで
き、飛散ロスの発生を防止することができる。また撹拌
部材が反応容器内に設けられているので、トップドロス
と薬剤との反応を促進させることができ、トップドロス
から溶融めっき金属を効率的に再生することができる。
【0063】また請求項4記載の本発明によれば、広範
囲の領域のトップドロスを吸引することができる。また
溶融めっき金属の浴面が変動してもトップドロスを確実
に吸引することができる。
【0064】また請求項5記載の本発明によれば、吹込
まれるガスを加熱することができるので、ガスによる溶
融めっき金属の過剰な冷却を防止することができる。し
たがって、内筒またはドロス吸引移送管の詰まりを防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である溶融めっき金属の
ドロス回収再生装置の構成を簡略化して示す正面図であ
る。
【図2】図1に示すドロス回収再生装置の平面図であ
る。
【図3】図1に示すドロス回収再生装置の側面図であ
る。
【図4】図1に示すドロス回収再生装置を備える連続溶
融亜鉛めっき装置の構成を簡略化して示す正面図であ
る。
【図5】図1に示すガスリフトポンプの構成を簡略化し
て示す正面図である。
【図6】図5の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図7】ガスリフトポンプの作動時の状況を示す模式図
である。
【図8】図1に示すドロス分離器の構成を簡略化して示
す正面図である。
【図9】図8に示すドロス分離器の平面図である。
【図10】図8に示すドロス分離器の側面図である。
【図11】図8に示す遮蔽部材の構成を簡略化して示す
図であり、図11(1)は図8に示す遮蔽部材の平面図
であり、図11(2)は図8に示す遮蔽部材の正面図で
ある。
【図12】図1に示す吸引部材の概略構成を示す正面図
である。
【図13】図12に示す吸引部材の平面図である。
【図14】図12に示す吸引部材の側面図である。
【図15】本発明の実施の他の形態であるドロス回収再
生装置の構成を簡略化して示す平面図である。
【図16】本発明の実施のさらに他の形態であるドロス
回収再生装置の構成を簡略化して示す正面図である。
【符号の説明】
30,113,116 ドロス回収再生装置 31 ガスリフトポンプ 33 ガス供給装置 34,114 ドロス吸引移送管 35 吸引部材 36 ドロス分離器 37 排気装置 67 反応容器 68 ドロス導入口 69 遮蔽部材 70 撹拌部材 83 薬剤投入口 86 バッフル板 87 バッフル 90 ガイド板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融めっき金属のドロスを回収し、回収
    したドロスをドロス還元用薬剤と反応させて還元し、ド
    ロスから溶融めっき金属を再生する溶融めっき金属のド
    ロス回収再生装置において、 溶融めっき金属の浴中に配設され、上下方向に延び、周
    壁にガス吹込孔が形成される内筒と、 内筒が挿通される外筒であって、内筒の外周面と外筒の
    内周面との間に空間が形成され、内筒の外周面と外筒の
    上部とが気密に塞がれており、外筒の周壁にはガス導入
    口が内筒のガス吹込孔よりも上方に間隔をあけて形成さ
    れ、外筒の下端部が内筒のガス吹込孔よりも下方に延び
    る外筒と、 前記ガス導入口に接続されるガス供給装置と、 溶融めっき金属の浴面近傍に設けられ、溶融めっき金
    属、ドロスおよび薬剤を収納し、ドロスを薬剤で還元す
    るドロス分離器と、 内筒の下端部に一端部が接続され、他端部が溶融めっき
    金属の浴面付近に開口するドロス吸引移送管とを含むこ
    とを特徴とする溶融めっき金属のドロス回収再生装置。
  2. 【請求項2】 溶融めっき金属のドロスを回収し、回収
    したドロスをドロス還元用薬剤と反応させて還元し、ド
    ロスから溶融めっき金属を再生する溶融めっき金属のド
    ロス回収再生装置において、 溶融めっき金属の浴面近傍に設けられ、溶融めっき金
    属、ドロスおよび薬剤を収納し、ドロスを薬剤で還元す
    るドロス分離器と、 ドロス分離器の下部に一端部が接続され、他端部が溶融
    めっき金属の浴面近傍に開口するドロス吸引移送管と、 先端部にガス吹込孔を有し、先端部がドロス吸引移送管
    の一端部に挿通されるガス吹込管と、 ガス吹込管の基端部に接続されるガス供給装置とを含む
    ことを特徴とする溶融めっき金属のドロス回収再生装
    置。
  3. 【請求項3】 前記ドロス分離器は、 溶融めっき金属の浴面近傍の浴中に設けられ、上部が部
    分的に浴面から上方に突出している有底筒状の反応容器
    と、 反応容器の下部に外方に突出して設けられ、鉛直面内で
    屈曲経路を形成するドロス導入口と、 反応容器内のドロス導入口を臨む位置に、ドロス導入口
    と対向して設けられ、ドロス導入口の断面積よりも大き
    い表面積を有する遮蔽部材と、 反応容器の上部に、かつ溶融めっき金属の浴面よりも上
    方に設けられる薬剤投入口と、 反応容器内に設けられ、溶融めっき金属を撹拌する撹拌
    部材と、 反応容器の下部に、かつドロス導入口よりも下方に形成
    される複数の通過孔とを含むことを特徴とする請求項1
    または2記載の溶融めっき金属のドロス回収再生装置。
  4. 【請求項4】 前記ドロス吸引移送管の他端部には、上
    方になるにつれて水平断面が広がった形状を有する吸引
    部材が設けられ、吸引部材の上端部は上方になるにつれ
    て先細状に傾斜した形状を有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の溶融めっき金属のドロス回
    収再生装置。
  5. 【請求項5】 前記ガス供給装置には、ガス加熱器が設
    けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の溶融めっき金属のドロス回収再生装置。
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