JPH11279322A - 抗菌性発泡性樹脂粒子及びその成形体 - Google Patents

抗菌性発泡性樹脂粒子及びその成形体

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JPH11279322A
JPH11279322A JP10098151A JP9815198A JPH11279322A JP H11279322 A JPH11279322 A JP H11279322A JP 10098151 A JP10098151 A JP 10098151A JP 9815198 A JP9815198 A JP 9815198A JP H11279322 A JPH11279322 A JP H11279322A
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antibacterial
titanium oxide
resin particles
amount
particles
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JP10098151A
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Naoki Nakayama
直樹 中山
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Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化チタニウムの光触媒作用による抗菌効果
を発揮する発泡性樹脂粒子、その製造方法ならびに当該
樹脂粒子により得られる抗菌性合成樹脂成形体の提供。 【解決手段】 揮発性発泡剤を3〜15重量%含有して
なる発泡性樹脂粒子の表面が、酸化チタニウム、少なく
とも1種類の硬化油、及び脂肪酸エステル、フタル酸エ
ステルまたは流動パラフィンからなる群から選択される
1種類以上によって被覆されている抗菌性発泡性樹脂粒
子ならびにその粒子より得られた抗菌性合成樹脂成形体
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性発泡性樹脂
粒子に係り、またこの粒子を予備発泡したのちに発泡成
形した抗菌性合成樹脂成形体に関する。より詳細には、
本発明は、例えば食品用の梱包材、容器等において抗菌
性をもち、しかも食品安全性に問題がない抗菌性合成樹
脂成形体を得るための抗菌性発泡性樹脂粒子、ならびに
該粒子を用いて発泡成形した抗菌性合成樹脂成形体に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、発泡性樹脂粒子は、粒状の合成
樹脂重合体に発泡剤(ブタン、ペンタン等)を含浸させ
た樹脂粒子であるが、その後、予備発泡を含む発泡化処
理を経て種々の発泡成形品に加工されている。この最終
的に生産された発泡成形品は、家電製品用等の各種梱包
材、建築用ボードおよび断熱ブロック、魚箱等の断熱容
器、ならびに食品用トレー、即席食品カップ等の広範な
用途に利用されているものであり、発泡成形品の用途は
多岐にわたるが、使用環境によっては成形品の表面に苔
やカビが発生したり、大腸菌等が繁殖したりして、外観
上および衛生的にも好ましいものではないという問題が
発生する場合があった。
【0003】かかる問題を解決するために、合成樹脂重
合体に抗菌剤を添加したり、成形品の表面に抗菌剤を塗
布したりして成形品自体に抗菌性をもたせるなどの提案
がなされてきている。
【0004】このような抗菌剤としては、大別して無機
系抗菌剤と有機系抗菌剤とがあり、無機系抗菌剤として
は、銀系、ゼオライト+銀系、ハイドロキシアパタイト
+銀系金属等があげられる。また有機系抗菌剤として
は、有機ハロゲン系化合物、カチオン界面活性剤系、ワ
サビ、カラシ等の天然成分系のものなど多種多様なもの
があり、これらのものが用途により適宜選択され使用さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の抗菌剤は、抗菌
作用を有し、成形品自体におけるカビ等の雑菌の繁殖を
防止する。しかしながら、成形品の表面に抗菌剤を塗布
する方法は、耐久性に乏しく、成形品表面から抗菌剤が
欠落してしまうため、一時的な効果しか期待できないも
のであった。
【0006】また、合成樹脂重合体に抗菌剤を添加して
発泡性樹脂粒子を製造する方法は、抗菌剤の添加により
合成樹脂の重合に支障をきたしたり、成形時に発泡性樹
脂粒子の融着を阻害させたりして、成形体の物性低下を
きたす恐れがあり、さらに、これらの抗菌剤は、成形体
の表面に露出状態で存在する場合に効果を発揮するた
め、抗菌剤の添加量を多くしなければならず、成形品の
生産コストの上昇、またさらなる物性低下をもたらす恐
れもあった。
【0007】また、抗菌剤によっては、ポリオレフィン
等衛生協議会(ポリ衛協)におけるポジティブリストへ
の登録が認可されていないものもあり、そのような抗菌
剤を使用した抗菌性合成樹脂成形体を食品梱包等の用途
に使用する場合には、好ましものとはいえないものであ
る。
【0008】ところで最近、ポリオレフィン等衛生協議
会(ポリ衛協)におけるポジティブリストへの登録が認
可されており、光触媒作用により抗菌効果が発揮される
酸化チタニウムが注目され、酸化チタニウムを抗菌剤と
してガラス、コンクリート等の無機系物質へ利用する技
術が種々提案されてきており、さらに、合成樹脂成形品
への展開も考えられている。
【0009】すなわち、酸化チタニウムには、光が照射
されることで発生する活性酸素により、抗菌作用のみな
らず、処理された基体表面に付着したあらゆる有機物を
分解する作用がある。したがって、カビや藻類の発生を
防ぐ効果があり、水耕栽培用の定植パネルなどの使用に
最適であるほか、付着した汚れ等をも分解するセルフク
リーニングの作用を有することから、環境衛生が重視さ
れる分野において酸化チタニウムが使用されつつある。
【0010】たとえば、発泡性樹脂粒子に酸化チタニウ
ムを被覆する提案が、特公昭59−7731号公報に記
載されている。この公報には、酸化アルミニウムや酸化
チタニウムの超微粉末(2mμ〜10mμ)を、発泡性
樹脂粒子表面に被覆させることで、予備発泡の段階にお
いて、ブロッキング(予備発泡粒子同志が互いに融着し
て塊となってしまう)が防止できる一方、この予備発泡
粒子を用いた成形においては、融着が良好になると記載
されている。この一見矛盾する事象は、前記の超微粉末
が粒子表面に被覆されると、予備発泡段階では、該粉体
が粒子同志の融着を阻害する物質となるが、その後は、
該粉体は発泡性樹脂粒子表面から脱落してしまい、成形
時には融着阻害を起こさずに良好に融着性を示すものと
推察される。
【0011】したがって、この特公昭59−7731号
公報に記載されている実施例に準じて得られた発泡成形
品についてその抗菌性を評価したところ、抗菌作用はほ
とんど認められないものであり、また、発泡成形品の表
面を電子顕微鏡にて観察した結果では、被覆した酸化ア
ルミニウムや酸化チタニウムは殆ど粒子表面に観察され
ないものであった。
【0012】発泡性樹脂粒子の表面に酸化チタニウムを
被覆することは比較的容易な技術である。しかしなが
ら、この発泡性樹脂粒子を予備発泡し、通常の発泡工程
により成形品を製造する場合には、発泡成形時での粒子
間の融着が阻害されることなく、かつ、発泡性樹脂粒子
表面に強固に酸化チタニウムを付着させておかねば、得
られた成形品に抗菌性等の作用を付与することができな
い。
【0013】すなわち、ブレンド等により酸化チタニウ
ムを発泡性樹脂粒子へ付着させる方法において重要なこ
とは、 1)ブレンドして得たビーズから酸化チタニウムが離脱
しないこと、 2)ブレンドして得たビーズを予備発泡して発泡粒子と
した場合にあっても、酸化チタニウムが離脱しないこ
と、 3)発泡粒子を発泡成形して成形品とした場合にあって
も、成形品の表面から酸化チタニウムが離脱しないこ
と、 等の条件を満たさなくてはならない。その一方、発泡粒
子の表面に付着した酸化チタニウムは無機物であるた
め、発泡成形時に粒子間の熱融着を著しく阻害させる作
用があり、これを防止しなければ満足な成形品とはなら
ないものである。
【0014】かかる観点より、本発明者は先に、発泡性
樹脂粒子の表面に酸化チタニウムをブレンドにより付着
させる方法として、酸化チタニウム及び少なくとも1種
類の硬化油を用いて被覆する方法を提供している(特願
平9−349970)。当該方法により、酸化チタニウ
ムは発泡性樹脂粒子表面にある程度強固に付着されるも
のであるが、使用する酸化チタニウム及び硬化油は、い
ずれも微粉末であるため、粒子表面からこれらの微粉末
が離脱する場合もあり、その結果、1)実際に添加した
量より粒子に付着する量が少ないこと、2)ブレンド機
の中にこれら離脱した微粉末が残り、掃除等のメンテナ
ンスが必要となること、3)予備発泡機の内部にもこれ
ら微粉末が離脱するために掃除等のメンテナンスが必要
となる、等の問題があることが判明した。
【0015】本発明者は、これらの問題点を解決すると
ともに、さらに得られた発泡性樹脂粒子により成形品と
する場合に、優れた内部融着を得るべく検討を行ったと
ころ、発泡性樹脂粒子に酸化チタニウム及び少なくとも
1種類の硬化油に加え、さらに脂肪酸エステル、フタル
酸エステルまたは流動パラフィンからなる群から選択さ
れる1種類以上を用いて、ブレンドすることにより、良
好な結果が得られることを見出した。
【0016】本発明は、かかる背景に基づいてなされた
ものであって、抗菌性発泡性樹脂粒子を得るために、ポ
リオレフィン等衛生協議会(ポリ衛協)におけるポジテ
ィブリストへの登録が認可されている酸化チタニウムを
使用して、成形後にも酸化チタニウムの欠落がなく、成
形品における粒子間の融着不良が発生せずに、しかも優
れた抗菌性等の光触媒固有の作用が付加された抗菌性発
泡性樹脂粒子を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明は、その一つの態様として、揮発性発泡剤
を3〜15重量%含有してなる発泡性樹脂粒子の表面
が、酸化チタニウム、少なくとも1種類の硬化油、及び
脂肪酸エステル、フタル酸エステルまたは流動パラフィ
ンからなる群から選択される1種類以上によって被覆さ
れている抗菌性発泡性樹脂粒子を提供する。
【0018】なかでも本発明は、その具体的態様におい
て、被覆している酸化チタニウムの量が、0.1〜5.
0重量部である抗菌性発泡性樹脂粒子を提供する。
【0019】また本発明は、被覆している硬化油の量
が、0.01から2.0重量部である抗菌性発泡性樹脂
粒子を提供する。
【0020】本発明はまた、被覆している脂肪酸エステ
ル、フタル酸エステル、流動パラフィンからなる群から
選択される1種類以上の量が0.01〜1.0重量部で
ある抗菌性発泡性樹脂粒子を提供する。
【0021】さらに本発明は、被覆している酸化チタニ
ウムの表面がシラン系カップリング剤で表面処理されて
いる抗菌性発泡性樹脂粒子を提供する。
【0022】また、本発明はその別の一態様として、上
記の抗菌性発泡性樹脂粒子を予備発泡し、その後発泡成
型した合成樹脂発泡体である抗菌性合成樹脂成形体を提
供する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明が提供する抗菌性発泡性樹
脂粒子は、揮発性発泡剤を含有する発泡性樹脂粒子であ
って、その主要な特徴は、樹脂粒子表面に酸化チタニウ
ムが付着していることにある。
【0024】本発明にいう発泡性樹脂粒子とは、スチレ
ン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィ
ン系樹脂よりなる基材樹脂が懸濁重合等により粒子化さ
れた重合体粒子に、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン等の揮発性発泡剤が、重合体粒子100重量部に対
して、3〜15重量部含浸されたものである。3重量部
未満では所望の発泡倍率を得ることができず、また、1
5重量部を越えても高発泡倍率のものを得ることができ
ない。
【0025】本発明でいうスチレン系樹脂、オレフィン
系樹脂には、それぞれの樹脂の単量体の単独重合体に限
らず、他の単量体との共重合体が含まれる。例えば、ス
チレン系単量体としては、単独のスチレンのほかに、α
−メチルスチレン、エチルスチレン、p−クロロスチレ
ン等の置換スチレンが含まれる。また、共重合体の相手
方の単量体には、メチルメタクリレート、メチルアクリ
レート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート等
の(メタ)アクリレート、さらに、アクリロニトリル、
ビニルトルエン、ビニルカルバゾール等のビニル系単量
体等が挙げられる。
【0026】これらは単独で用いてもよく、2種以上の
ものを併用してもよい。またさらに、スチレン系樹脂と
しては、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブ
タジエン共重合体及びその水素添加物及びそれらの樹
脂、ポリフェニレンエーテル等と上記のスチレン単量体
との重合体、ブレンド樹脂が含まれる。オレフィン系樹
脂であるポリプロピレンやポリエチレン等の場合も同様
に、他の樹脂との共重合体やブレンド樹脂も含まれる。
【0027】また、これらのポリスチレン系樹脂やポリ
オレフィン系樹脂を他の樹脂等と共に押出機等に投入し
て、発泡剤を押出機の中で混合含浸した後ペレット状に
したり、ペレット状にした後に発泡剤を含浸させたペレ
ット状発泡性樹脂粒子も本発明の発泡性樹脂粒子に含ま
れる。
【0028】また、本発明で使用される酸化チタニウム
は、通常顔料等に使用されるルチル型酸化チタニウムよ
りも、アナターゼ型酸化チタニウムが好ましい。ルチル
型は光触媒作用に乏しく、添加量を多くしても所望の抗
菌作用を得ることが難しいためである。
【0029】また、酸化チタニウムの粒径としては、平
均5〜30nm程度が好ましい。粒径が5nm未満のも
のであると、特殊な用途用であり、取扱いが難しく、単
価も高くなるので経済的でない。また、30nmを越え
ると、添加量に対する酸化チタニウムの粒子の表面積が
減少してしまい、添加量に対する抗菌効果の減少になっ
てしまい好ましくない。
【0030】さらに、酸化チタニウムの添加量として
は、発泡性樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜
5.0重量部である。0.1重量部未満であると、所望
の抗菌効果があまり得られず、5.0重量部を越えると
抗菌効果の増加はそれ以上向上せず、コストの上昇のみ
みになってしまうばかりか、成形品の融着不良を起こす
恐れがある。
【0031】本発明において使用される硬化油とは、不
飽和結合を有する天然油に水素添加したもので、硬化し
た椰子油、パーム核油、ニシン油、タラ肝油、鯨油、パ
ーム油、綿実油、オリーブ油、落花生油、大豆油、アマ
ニ油等の硬化植物油、硬化動物油等である。特に融点が
60℃〜90℃の範囲にあるものが好ましく、粉体状に
したときに粒度が細かく、酸化チタニウムとブレンドし
たときに混ざりやすくなるものがよく、例えば100メ
ッシュ以下の微細粒径のものが好ましい。
【0032】硬化油の添加量としては、発泡樹脂粒子1
00重量部に対して、0.01〜2.0重量部が好まし
く、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。0.
01重量部未満であると、発泡性樹脂粒子表面に酸化チ
タニウムを保持させるためのバインダー剤としての効果
が不十分であり、2.0重量部を越えても、効果の向上
は図れず、コストの上昇につながるだけである。硬化油
は単独で使用してもよいが、複数の硬化油を混合して使
用しても差し支えない。
【0033】本発明で使用される脂肪酸エステルとして
は、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチ
ル等が挙げられる。またフタル酸エステルとしては、フ
タル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−オクチル、フ
タル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシ
ル、フタル酸ブチルベンジル等が挙げられる。さらに流
動パラフィンとしては、食品添加物公定書に従うものが
使用できる。これらのものはいずれも室温にて液体であ
るとともに、ポリ衛協におけるポジティブリストへの登
録が認可されているものが用いられる。
【0034】これらの脂肪酸エステル、フタル酸エステ
ル、流動パラフィン等の添加量は、発泡樹脂粒子100
重量部に対して、0.01〜1.0重量部が好ましく、
特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。0.0
1重量部未満であると、酸化チタニウム等の微粉末を粒
子表面につなぎ止めておく作用が弱く、離脱が生じ易い
とともに成形品とした場合の融着性は向上しない。ま
た、1.0重量部を越えると、樹脂粒子全体にべとつき
が生じて粒子の流動性が著しく低下することより、粒子
を予備発泡機に送粒することが困難となり、工程上問題
となってくる。さらに、1.0重量部を越えて添加した
としても、融着の向上は変わらず、逆にコストの上昇に
つながるものである。
【0035】本発明による発泡性樹脂粒子への酸化チタ
ニウムの被覆方法としては、発泡性樹脂粒子と、酸化チ
タニウム及び硬化油とともに、脂肪酸エステル、フタル
酸エステルまたは流動パラフィンのいずれか1種以上を
ブレンドすることにより行うことができる。この場合、
硬化油及び酸化チタニウムは、通常常温では粉体である
ので、これらの粉体物のブレンドに先立ち、液状の脂肪
酸エステル、フタル酸エステル、流動パラフィンのいず
れか1種以上を発泡性樹脂粒子にブレンドしておき、そ
の後、酸化チタニウム及び硬化油を添加するのが好まし
い。なお、これらのブレンドに際しては、ヘンシェルミ
キサー等の混合機を用いて均一にブレンドすることがで
きる。
【0036】また、易揮発性溶媒に硬化油及び酸化チタ
ニウムを分散させ、さらにこれに脂肪酸エステル、フタ
ル酸エステル等を溶解させたあと、発泡樹脂粒子を該溶
媒中に投入して、被覆させ、その後乾燥させることによ
り製造することもできる。さらに、このような被覆に際
しては、通常使用されている帯電防止剤、ブロッキング
防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等を同時にブレンド
しておいてもよいし、被覆の前後にブレンドしてもよ
い。
【0037】このようにして得られた酸化チタニウム、
硬化油、及び脂肪酸エステル、フタル酸エステルまたは
流動パラフィンのいずれか1種以上により被覆された発
泡性樹脂粒子は、100℃前後の水蒸気等により、所定
の発泡倍率まで予備発泡されるが、硬化油の融点が通常
50〜90℃の範囲であるために、予備発泡時に硬化油
は融解し、脂肪酸エステル等とともに、酸化チタニウム
が発泡性樹脂粒子表面より離脱するのを防ぐ働きをす
る。さらに、予備発泡された発泡性樹脂粒子が冷却さ
れ、室温付近にまで達すると硬化油は、脂肪酸エステル
等とともに発泡性樹脂粒子表面を覆う皮膜を形成し、酸
化チタニウムはこの皮膜中に包まれて、発泡性樹脂粒子
表面に保持される。
【0038】また、酸化チタニウムも硬化油もブロッキ
ング防止剤として使用されるものであり、ブロッキング
防止効果はもちろん保持されており、成形時の粒子間の
融着性も向上する。
【0039】なお、本発明で使用する酸化チタニウム
は、予めアルコキシシランカップリング剤で被覆したも
のを使用してもよい。このようなアルコキシシランカッ
プリング剤としては、モノアルコキシシラン、ジアルコ
キシシラン、トリアルコキシシラン等のカップリング剤
を使用することができる。かかる処理をされた酸化チタ
ニウムを用いることによって、発泡性樹脂粒子への吸着
力を増加させることができ、したがって、予備発泡及び
成形工程での表面からの欠落を防止する効果を向上させ
ることが可能となる。
【0040】
【実施例】以下に本発明を実施例ならびに比較例により
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定さ
れるものではない。 実施例 発泡性樹脂粒子として、粒径が1.0〜1.2mmの発
泡ポリスチレン粒子コープランKS(アキレス(株)製)
を用い、表1に示されるような添加量の酸化チタニウ
ム、約150メッシュの微粉状の硬化油をヘンシェルミ
キサーによってブレンドした。
【0041】
【表1】
【0042】注1)P−25:日本アエロジル(株)
製、平均粒径21nm 注2)T−805:日本アエロジル(株)製、P−25
をオクチルシランで化学的に処理した疎水性グレード。
【0043】それぞれにブレンド被覆された発泡ポリス
チレン粒子(ビーズ)について、ビーズからの粉落ちの
程度を観察するとともに、このビーズを用いて101℃
の水蒸気により、嵩倍率60倍にまで予備発泡を行い、
このときのブロッキング発生量を観察した。
【0044】また、得られた予備発泡粒子(発泡粒子)
は、室温にて24時間熟成させた後発泡粒子からの粉落
ちの程度を観察し、その後、自動成形機の成形型内に投
入して、圧力(ゲージ圧)0.7kg/cm2 にて10
秒間加熱成形後、金型を水冷及び放冷して成形品を取り
出し、破断面の融着性を測定した。 これらの結果を合わ
せて表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】なお、各評価の基準は以下のとおりであ
る。 1)ビーズからの粉落ち:一定量のビーズを目開き0.
9mmの篩の上に乗せ、一定の時間振動させた後に、下
に落ちた粉体の量を目視で評価した。 2)発泡粒子からの粉落ち: 一定量の発泡粒子を、内
側を黒くしたダンボール箱に入れ、一定の時間手で攪拌
した後に、箱の内側に付着した粉体の量を目視で評価し
た。 3)ブロッキング発生量(%):予備発泡した粒子の総
量に対して、粒子が3個以上のブロッキングの発生した
量の比率(径4.0mmの篩により分離した。) 4)融着率(%):成形品を破断したとき、発泡粒子間
の境界面で離れたものでなく、発泡粒子の内部で引き裂
かれた粒子の全発泡粒子の数に対する割合で示した。
【0047】表中に示した結果からも判明するように、
本発明の抗菌性発泡性粒子のうち、ロットNo.6〜1
0のものは、ビーズからの粉落ちは全く観察されず、発
生するブロッキングの量も少ないものであった。さらに
このものは、発泡粒子からの粉落ちも認められず、極め
て良好な融着率を示した。なお、ロットNo.11〜1
3のものは、ブレンド時に配合する酸化チタニウム、硬
化油および流動パラフィンの配合量を変化させたもので
ある。この場合にあっても、ある程度良好な結果を与え
ていることが理解される。
【0048】一方、酸化チタニウムと硬化油のみにより
ブレンドされたロットNo.1〜5の発泡性粒子では、
ビーズならびに発泡粒子からの粉落ちが多く、また融着
率も低いものであった。続いて各ロットのビーズから成
形された成形品についての抗菌性評価を行ったが、ロッ
トNo.1および2は融着が悪いため、抗菌試験には供
しななかった。
【0049】成型品表面での抗菌試験 ここで得られた成形品の抗菌性について、その評価を実
施した。各ロットの成形品を50mm×50mm×5m
mの大きさにした検体を2個づつ作成し、以下の方法に
よる抗菌試験に供した。なお、酸化チタニウムの成形品
表面への付着の強度を観察するため、成形品について布
拭きを実施し、その布拭きの前及び布拭き後の両検体に
ついて抗菌評価を行った。
【0050】(抗菌試験方法) 1.試験菌 E.coli IFO 3972(大腸菌)を用いた。 2.試験用培地 試験用培地として、以下の培地を用いた。 NA培地:普通寒天培地(栄研化学(株)) NB培地:肉エキスを 0.2%添加した普通ブイヨン培地
(栄研化学(株))1/500NB培地:NB培地を精
製水で500倍に希釈し、pH7.0±0.2に調整し
たもの。 SCDLP培地:SCDLP培地(日本製薬(株)) SA培地:標準寒天培地(栄研化学(株))
【0051】3.菌体の調整 試験菌をNA培地で37±1℃、16〜24時間培養
後、NA培地に再度接種し、37±1℃、16〜20時
間培養した。培養後の菌体を1/500NB培地に均一
に分散させ、1ml当たりの菌数が約105 となるよう
に調整した。
【0052】4.試験操作 検体をそのまま試料とした。試料をプラスチックシャー
レに入れ、試料の試験面に菌液0.5mlを滴下した。
このシャーレをポリエチレンフィルムで覆ってふたを
し、ブラックライトを約4cm離れた位置から照射し
(試料表面での光強度:約800μW/cm2 )、25
℃で保存した。また、プラスチックシャーレにそのまま
菌液を滴下し、同様に試験し、対照とした。
【0053】5.菌数の測定 保存4時間後に、SCDLP培地に10mlを用いた試
料から生残菌を洗い出し、この洗い出し菌の生菌数を、
SA培地を用いた寒天平板培養法(35℃、2日間培
養)により測定し、試料1個当たりに換算した。また、
接種直後の測定は、対照試料で行った。
【0054】(結果)上記の抗菌試験結果を、表3に示
した。
【0055】
【表3】
【0056】注1)<10:生菌の検出がない。 注2)菌液調整溶液:1/500NB培地。 注3)布拭き:乾いた綿布で成形品表面を軽く10回程
度こする。
【0057】表3の結果をまとめると、下記のとおりで
あった。 1.本発明の成形品であるNo.6〜No.10は、布
拭きの前後も変わらずに良好な抗菌作用を示しており、
酸化チタニウムが成形品表面に強固に付着していること
が理解される。 2.本発明の成形品であるNo.11〜No.13のも
のは、酸化チタニウム、流動パラフィン等の添加量を変
化させたものであるが、この添加量を少なくしたもので
あっても、全く添加しないもの(No.3〜No.5)
に比較し、布拭き後の抗菌作用もある程度良好なもので
あることが理解される。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、酸化チ
タニウムの光触媒作用による抗菌効果を有する発泡性樹
脂粒子による成形品を得ることができ、さらにブロッキ
ング防止及び融着性の向上を図ることが可能となる。特
に、酸化チタニウムの樹脂粒子表面へのブレンドによる
付着に際して、硬化油とともに脂肪酸エステル、フタル
酸エステルまたは流動パラフィンを使用することによ
り、樹脂粒子表面に強固に酸化チタニウムを付着させる
ことができ、成形品の抗菌効果は良好なものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/01 C08K 5/01 5/10 5/10 9/06 9/06 C08L 101/00 C08L 101/00 // C08L 23:00 25:04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揮発性発泡剤を3〜15重量%含有して
    なる発泡性樹脂粒子の表面が、酸化チタニウム、少なく
    とも1種類の硬化油、及び脂肪酸エステル、フタル酸エ
    ステルまたは流動パラフィンからなる群から選択される
    1種類以上によって被覆されていることを特徴とする抗
    菌性発泡性樹脂粒子。
  2. 【請求項2】 被覆している酸化チタニウムの量が、
    0.1〜5.0重量部である請求項1に記載の抗菌性発
    泡性樹脂粒子。
  3. 【請求項3】 被覆している硬化油の量が、0.01か
    ら2.0重量部であること請求項1または2に記載の抗
    菌性発泡性樹脂粒子。
  4. 【請求項4】 被覆している脂肪酸エステル、フタル酸
    エステル、流動パラフィンからなる群から選択される1
    種類以上の量が0.01〜1.0重量部である請求項
    1、2または3に記載の抗菌性発泡性樹脂粒子。
  5. 【請求項5】 被覆している酸化チタニウムの表面がシ
    ラン系カップリング剤で表面処理されている請求項1、
    2、3または4に記載の抗菌性発泡性樹脂粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性
    発泡性樹脂粒子を予備発泡し、その後発泡成型した合成
    樹脂発泡体であることを特徴とする抗菌性合成樹脂成形
    体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7931949B2 (en) 2004-07-09 2011-04-26 Youl Chon Chemical Co., Ltd. Biodegradable starch bowl and method for preparing the same
US7931950B2 (en) 2004-05-28 2011-04-26 Youl Chon Chemical Co., Ltd. Composition for biodegradable starch bowl and biodegradable starch bowl using the same
JP2016180104A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 国立大学法人岩手大学 改質発泡樹脂成形体の製造方法および改質発泡樹脂成形体

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JP2016180104A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 国立大学法人岩手大学 改質発泡樹脂成形体の製造方法および改質発泡樹脂成形体

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