JP2016180104A - 改質発泡樹脂成形体の製造方法および改質発泡樹脂成形体 - Google Patents

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祐二 芝▲崎▼
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好行 大石
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哲也 澤口
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Abstract

【課題】安価かつ簡便に高い機能性の発現を可能とする発泡成形体を得ることが可能であって、しかも、技術としての汎用性が高く、製造過程や使用時での機能性の喪失や劣化が少ない、経時性にも優れた新しい改質発泡樹脂成形体の製造方法を提供すること。【解決手段】シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物によりシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、改質発泡樹脂成形体の製造方法および改質発泡樹脂成形体に関するものである。
発泡樹脂成形体は、軽量でありながらも、断熱性、吸音性、耐水性などに優れた材料であるため、住宅および工場用の建材や盛り土の代わりの土木ブロックとして利用されている。このような用途に用いられる発泡樹脂成形体には、耐火性、耐燃性、防蟻性などの機能性が求められている。
発泡樹脂成形体に、耐火性、耐燃性、防蟻性などの機能性を付与するための方法としては、従来より、様々な改善工夫が試みられている。
これら、従来の技術について、大別すると次のように区分することができる。
1)樹脂原料そのものに機能性発現の手段を付与する。
2)予備発泡粒に機能性剤を付着させるなどの表面処理を施した後に発泡成形する。
3)発泡成形後の成形体の表面に機能性剤を付着させるなどの表面処理を施す。
様々な改善工夫のうちから、代表的ないくつかを例示すると、例えば、改質難燃性の樹脂の組成物を原料とした難燃性樹脂発泡体の製造方法(特許文献1参照)や、予備発泡粒に、水に不溶又は難溶性である脂溶性防蟻・防虫剤を付着・乾燥させてから発泡成形し、防蟻性ポリスチレンフォーム断熱材を得る方法などがある(特許文献2参照)。また、プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体を製造した後、アルカリ土類金属またはアルカリ土類金属化合物を含む物質もしくは酸のうちの1種以上のものとケイ酸塩とを用いて、前記プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体にコーティングした後、熱と圧力を加え融着・結合させて乾燥する方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2014−210839号公報 特開2012−143881号公報 特公2009−521350号公報
しかしながら、従来の技術においては、いずれも問題があった。例えば、前記の樹脂原料そのものに難燃性発現のための手段を付与する特許文献1に記載された発明は、耐熱性が良好であって、寸法安定性も優れているものの、適用可能な樹脂が限定されること、ならびに難燃剤との組合わせがさらに限定され、難燃性樹脂組成物という特定のものであって、汎用性に乏しく、どうしてもコストが高くなる。
また、予備発泡粒に表面処理を施す特許文献2に記載された発明は、単に発泡ビーズの表面に防蟻剤が付着しているに過ぎない。このため、発泡ビーズの搬送時や製造工程において発泡ビーズ同士が接触・衝突して、防蟻剤が剥離して機能性が失われやすいという欠点がある。
さらに、予備発泡粒や発泡成形体に表面処理を施す特許文献3に記載された方法は、アルカリ土類金属またはアルカリ土類金属化合物を含む物質として、セメントや石膏、高炉スラグなどを用いてプラスチックビーズをコーティングする技術である。このため、得られる発泡プラスチック成形体の重量が重くなり、しかも、難燃性が必ずしも十分であるとは言い難い。
本発明は、以上のとおりの従来技術の問題点を解消して、安価かつ簡便に高い機能性の発現を可能とする発泡成形体を得ることが可能であって、しかも、技術としての汎用性が高く、製造過程や使用時での機能性の喪失や劣化が少ない、経時性にも優れた新しい改質発泡樹脂成形体の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法は、シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物によりシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法は、シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物によりシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、反応性官能基を有するエラストマーを含むエラストマー組成物により被覆して、エラストマー被覆発泡樹脂ビーズとする工程と、エラストマー被覆発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法は、シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物によりシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、ウレタンコーティング剤により被覆して、ウレタン被覆発泡樹脂ビーズとする工程と、ウレタン被覆発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程とを含むことを特徴としている。
さらに、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、機能性剤が、難燃剤、不燃剤、消火剤、防蟻剤、消臭剤、脱酸素剤、抗菌剤、紫外線散乱・吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、機能性剤が、界面活性剤によってカプセル化されていることが好ましく考慮される。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、シランカップリング剤が、アルキル基を有するトリアルコキシシランであることが好ましい。
さらに、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、シリカコーティング剤が、テトラアルコキシシランであることが好ましい。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、エラストマー成分が、ポリジメチルシロキサンであることが好ましい。
本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、シリカコーティング発泡樹脂ビーズ、エラストマー被覆発泡樹脂ビーズまたはウレタン被覆発泡樹脂ビーズの搬送方法が、吸引または圧送であることが好ましい。
本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、発泡樹脂ビーズが、ポリスチレン樹脂、ポリピプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の改質発泡樹脂成形体は、発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層を備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴としている。
また、本発明の改質発泡樹脂成形体は、発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層と、このシランカップリング層の表面にエラストマー成分によって被覆されたエラストマー被覆層とを備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴としている。
さらに、本発明の改質発泡樹脂成形体は、発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層と、このシリカコーティング層の表面にウレタンコーティング剤によって被覆されたウレタンコーティング層とを備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴としている。
なお、本明細書中において、「発泡樹脂ビーズ」の用語は、原料ビーズおよび予備発泡粒のいずれの態様も含むものとする。
本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法によれば、安価かつ簡便に高い機能性の発現を可能とする発泡成形体を得ることが可能であって、しかも、技術としての汎用性が高く、製造過程や使用時での機能性の喪失や劣化が少ない、経時性にも優れた新しい改質発泡樹脂成形体の製造が可能となる。
以下に、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法と改質発泡樹脂成形体についてその実施の形態を詳細に説明する。
(シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程)
前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程においては、まず、前記シランカップリング剤と溶剤を攪拌機に投入し、混合・攪拌することにより前記シランカップリング剤を含む前記シランカップリングコーティング組成物を調製する。
続いて、前記攪拌機に前記発泡樹脂ビーズを投入して、混合・攪拌することにより前記発泡樹脂ビーズの表面を前記シランカップリングコーティング組成物により被覆して、シランカップリングコーティング層を有する発泡樹脂ビーズ、すなわち、シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを得る。
この場合、発泡樹脂ビーズを構成する発泡樹脂は、一般的に石油由来のものであることから親油性である。一方、難燃剤や防蟻剤などの機能性剤は、親水性のものが多く、発泡樹脂ビーズの表面に吸着させるためには、発泡樹脂ビーズの表面の改質が必要である。そこで、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法では、発泡樹脂ビーズの表面にシランカップリング剤を吸着させる。
シランカップリング剤は、その分子中に疎水性の官能基を有するものとする。これにより、親油性の発泡樹脂ビーズの表面に強く吸着する。また、シランカップリング剤は、その分子中に加水分解性基を有しているものとする。加水分解性基としては、例えば、塩素基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ、アセトキシ基などの官能基が例示される。これらの加水分解性基が加水分解を起こすことで、親水性のシラノール基が生じる。これにより、親油性の発泡樹脂ビーズの表面を親水化することができる。このようにして、発泡樹脂ビーズの表面に吸着したシランカップリング剤のコーティング層に、機能性剤の水溶液や水分散体を接触させることによって、機能性剤がシランカップリング剤の表面のシラノール基に吸着される。このようなシランカップリング剤の使用は、改質発泡樹脂成形体の製造方法において特に注目される。
前記シランカップリング剤としては、通常、塗料や接着剤などのコーティング組成物に用いられるシランカップリング剤であれば特に限定されない。例えば、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなどのアルキル基を有するトリアルコキシシランなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。
前記シランカップリング剤は、溶剤に溶解して使用される。このような溶剤としては、通常、シランカップリング剤を含有する塗料や接着剤などのコーティング組成物に用いられる溶剤である限り特に限定されない。例えば、水、アルコール、エチレングリコール、グリセリンなどを単独または2種類以上併用したものが例示されるが、アルコールを用いることが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。また、これらのアルコールは、水溶液として用いることができる。前記アルコールの水溶液の濃度は、前記シランカップリング剤が分散する濃度であれば、特に限定されない。例えば、1%(v/v)以上99%(v/v)以下の範囲が例示される。
なお、前記シランカップリング剤と前記溶剤の配合比率は特に限定されないが、前記溶剤の全量に対して、例えば、0.001%(v/v)以上の範囲が例示される。前記シランカップリング剤と前記溶剤の配合比率が、0.001%(v/v)以上であれば、後述するシリカコーティング剤との接合性が良好となる。なお、シランカップリング剤の添加により、発泡樹脂ビーズの発泡が妨げられることはなく、良好な発泡特性を維持したまま種々の機能性を発泡樹脂ビーズに付与することができる。また、このような発泡樹脂ビーズを加熱発泡することにより、種々の機能性を備えた改質発泡樹脂成形体を得ることができる。
前記シランカップリング剤と前記溶剤は、例えば、公知の攪拌機を用いて、攪拌・混合して前記シランカップリングコーティング組成物を調製することができる。前記攪拌機としては、例えば、公知のタンブラーミキサーやブレンダーなどが例示される。
このようにして調製したシランカップリングコーティング組成物によって前記発泡樹脂ビーズの表面を被覆して、前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造する。
前記発泡樹脂ビーズの種類としては、通常、発泡樹脂成形体の原料として用いられる発泡樹脂ビーズであれば、特に限定されない。例えば、ポリスチレン樹脂ビーズ、ポリプロピレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。前記発泡樹脂ビーズの粒子径は、特に限定されないが、例えば、1mm以上10mm以下の範囲が例示される。
なお、前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程における前記シランカップリングコーティング組成物と前記発泡樹脂ビーズの配合比率は特に限定されないが、前記シランカップリングコーティング組成物の全量に対して、1質量%以上50質量%以下の範囲が例示される。
前記シランカップリングコーティング組成物と前記発泡樹脂ビーズは、例えば、公知の攪拌機を用いて、攪拌・混合して前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造することができる。前記攪拌機としては、例えば、公知のタンブラーミキサーやブレンダーなどが例示される。前記シランカップリングコーティング組成物と前記発泡樹脂ビーズの攪拌・混合は、前記シランカップリングコーティング組成物の調製に用いた前記攪拌機を使用することにより、連続的に行うことが可能であり、作業工程全体としての簡略化につながる。
前記シランカップリングコーティング組成物と前記発泡樹脂ビーズの混合物の攪拌時間としては、例えば、1分以上1時間以下の範囲が例示される。
前記シランカップリングコーティング層は、上記のシランカップリングコーティング組成物におけるシランカップリング剤の濃度や、溶剤の種類、攪拌混合の諸条件の選択によってその厚みを適宜に調整することができる。また、上記の被覆工程を複数回繰り返すことにより、多層構造とすることができる。多層構造の場合、前記シランカップリングコーティング層としては、例えば、1層以上5層以下の範囲が例示される。前記シランカップリングコーティング層が上記範囲内の多層構造であれば、前記発泡樹脂ビーズの表面に所用の前記機能性剤をより確実に効率的に吸着させることができる。
前記シランカップリングコーティング組成物と前記発泡樹脂ビーズの混合物は、この発泡樹脂ビーズの表面が所用の前記シランカップリングコーティング組成物によって被覆された後、濾紙やフィルターや網を用いて、濾別、分離することができる。濾別した前記発泡樹脂ビーズを自然乾燥させることにより、前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズが得られる。
濾過した濾液であるシランカップリングコーティング組成物については、前記シランカップリング剤と前記溶剤を注ぎ足すことにより、前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程に再利用することができる。このため、製造工程全体として使用する薬剤の量を抑制することができる。
(シリカコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程)
続いて、前記シランカップリングコーティング層に前記機能性剤を吸着させ、その後、前記シリカコーティング組成物を被覆して、シランカップリングコーティング層の表面にシリカコーティング層を有するシリカコーティング発泡樹脂ビーズを製造する。
シリカコーティング剤は、前記シランカップリングコーティング層のシラノール基間でのカップリング反応を誘導し、前記シランカップリングコーティング層と前記シリカコーティング層の間に機能性剤を閉じ込めることができるものとする。また、前記シリカコーティング層は硬質なコーティング層を形成するため、シリカコーティング発泡樹脂ビーズの搬送時などにおけるビーズ同士の接触によって機能性剤が剥離、離脱することを抑制することができる。
このようなシリカコーティング剤としては、通常、塗料や接着剤組成物の改質に用いられるシリカコーティング剤であれば特に限定されない。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピルオキシシランなどのテトラアルコキシシランなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。特に、テトラメトキシシランは、シラノール基のカップリング反応の速さから、実用上好ましい。
前記機能性剤は、前記シランカップリングコーティング層に吸着され、難燃性、不燃性、防蟻性、消臭性、脱酸素性、抗菌性、紫外線散乱・吸収などの様々な機能性を発揮し、発泡樹脂成形体を改質することができる。
難燃剤および不燃剤としては、例えば、赤リン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボン、酸化チタン、ほう酸塩、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、リン酸塩、アンモニウム塩などを単独または2種類以上併用したものが例示される。特に、家庭用の消火器に封入された消火剤として使用されている、粒子径が1μm以上100μm以下のリン酸塩およびアンモニウム塩の混合物は、コスト面の観点から実用上好ましい。
防蟻剤としては、通常、一般家庭の蟻駆除や防蟻処理に使用されている防蟻剤である限り特に限定されない。例えば、ほう酸塩、ほう素化合物、ピレスロイド系薬剤、有機リン系薬剤、カーバメイト系薬剤などを単独または2種類以上併用したものが例示される。
消臭剤としては、例えば、二酸化チタンなどが例示される。
脱酸素剤としては、例えば、鉄化合物を主成分とするもの、糖やレダクトンなどの有機化合物を主成分とするものなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。
抗菌剤としては、例えば、二酸化チタン、ポリフェノール等が例示される。
紫外線散乱・吸収剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線散乱剤や、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルや、カオリナイトやモンモリロナイトに代表される鉱物・粘土系などの紫外線吸収剤などを単独または2種類以上併用したものが例示される。
また、前記機能性剤は、界面活性剤で機能性剤の粒子を包んでカプセル化機能性剤とすることが好ましく考慮される。機能性剤のカプセル化の方法としては、例えば、機能性剤粒子を水で湿らせた後、有機溶媒と界面活性剤を添加して撹拌することで、溶媒中に機能性剤と水の混合物を分散させて、さらに、水よりも沸点の高い有機溶媒を少量加えて撹拌した後にロータリーエバポレーター等で溶媒並びに水を除去する方法等が例示される。
有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ジエチルエーテル等が例示される。これらの有機溶媒は、単独または2種以上を併用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、リン酸モノドデシルナトリウム、3-(N,N-ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホナート、1−ドデシルピリジニウムクロリド、Span 85、Tween 85等が例示される。
また、水より沸点の高い有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、キシレン等を単独または2種以上併用することが例示される。
前記シリカコーティング剤および前記機能性剤は、前記溶剤に溶解して使用される。このような溶剤としては、通常、シリカコーティング剤を含有する塗料や接着剤などのコーティング組成物に用いられる溶剤であって、かつ、前記機能性剤を溶解または適度に分散可能である限り特に限定されない。例えば、水、アルコール、エチレングリコール、グリセリンなどを単独または2種類以上併用したものが例示されるが、アルコールを用いることが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。また、これらのアルコールは、水溶液として用いることができる。前記アルコールの水溶液の濃度は、前記シランカップリング剤が溶解する濃度であれば、特に限定されない。例えば、1%(v/v)以上99%(v/v)以下の範囲が例示される。特に、50%(v/v)程度のアルコール水溶液は、水溶性の機能性剤と水に不溶性の機能性剤の両方を適度に溶解または分散させることができ、かつ、水を含んでいるため、前記シランカップリングコーティング層を構成するシランカップリング剤の一部を加水分解して親水化を促すことができる。また、前記アルコール水溶液は、前記シランカップリングコーティング層の親水化を促進するために、前記シランカップリング剤の種類に応じて、pHの値を適宜調整することも可能である。例えば、pH2以上pH12以下の範囲が例示される。前記アルコール水溶液のpHが上記範囲内であれば、シランカップリングコーティング層の親水化を促進することができる。
このように親水化が進んだシランカップリングコーティング層においては、前記機能性剤の強固な吸着が可能となる。
なお、前記シリカコーティング剤、前記機能性剤および前記溶剤の配合比率は特に限定されないが、前記溶剤の全量に対して、前記シリカコーティング剤が、例えば、0.1%(v/v)以上5%(v/v)以下であって、かつ、前記機能性剤が、5質量%以上50質量%以下の範囲が例示される。前記シリカコーティング剤、前記機能性剤および前記溶剤の配合比率が、上記範囲内であれば、機能性剤が適度に溶解または分散したシリカコーティング組成物を得ることができる。
また、前記シリカコーティング剤は、その濃度が上記範囲内である限りにおいて、後述のシリカコーティング組成物とシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとの攪拌中に、複数回に分けて追加投入することが可能である。このように、前記シリカコーティング剤を複数回に分けて追加投入することにより、前記シリカコーティング層の厚みを増大させることができる。
前記シリカコーティング剤、前記機能性剤および前記溶剤は、例えば、公知の攪拌機を用いて、攪拌・混合して前記シリカコーティング組成物を調製することができる。前記攪拌機としては、例えば、公知のタンブラーミキサーやブレンダーなどが例示される。
前記シリカコーティング剤、前記機能性剤および前記溶剤の混合物の攪拌時間としては、例えば、1分以上1時間以下の範囲が例示される。
このように調製したシリカコーティング組成物により、前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズの前記シランカップリングコーティング層の表面を被覆して、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを製造する。前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズにおいては、前記シランカップリングコーティング層に機能性剤が吸着されており、さらに、その表面をガラス質の前記シリカコーティング層が被覆しているため、機能性剤の保持が良好であって、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの搬送時に、該ビーズ同士が衝突したり、擦れ合っても、機能性剤の保持力低下や剥離を抑制することができる。なお、シランカップリングコーティング層に吸着された機能性剤のシリカコーティング組成物による被覆は、硬化したシリカコーティング層によって前記機能性剤の結晶や微粒子が完全に被覆されて封入されている状態のみならず、硬化したシリカコーティング層の表面から前記機能性剤の結晶や微粒子の一部分が突出している状態であってもよい。
前記シリカコーティング組成物と前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズは、例えば、公知の攪拌機を用いて、攪拌・混合して前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを製造することができる。前記攪拌機としては、例えば、公知のタンブラーミキサーやブレンダーなどが例示される。前記シリカコーティング組成物と前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズの攪拌・混合は、前記シリカコーティング組成物の調製に用いた前記攪拌機を使用することにより、連続的に行うことが可能であり、作業工程全体としての簡略化につながる。
前記シリカコーティング組成物と前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズの混合物の攪拌時間としては、例えば、2時間以上48時間以下の範囲が例示される。
また、前記シランカップリングコーティング組成物と前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズの混合物は、このシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズの表面が所用の前記シリカコーティング組成物によって被覆された後、濾紙やフィルターや網を用いて、濾別、分離可能である。濾別した前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを自然乾燥させることにより、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズが得られる。
一方、濾過した濾液であるシリカコーティング組成物については、前記シリカコーティング剤と前記機能性剤と前記溶剤を注ぎ足すことにより、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを製造する工程に再利用することができる。このため、製造工程全体として使用する薬剤の量を抑制することができる。
このようにして得られたシリカコーティング発泡樹脂ビーズにおいて、シリカコーティング層の厚みとしては、例えば、1μm以上100μm以下の範囲が例示される。前記シリカコーティング層の厚みが上記範囲内であれば、前記機能性剤の吸着、固定が十分なものとなり、しかも、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズ同士の融着が十分であって、前記シリカコーティング層の強度も十分なものとなる。
(エラストマー被覆発泡樹脂ビーズを製造する工程)
本発明の実施態様の一つとして、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するエラストマーを含むエラストマー組成物により被覆して、前記シリカコーティング層の表面にエラストマー層を有するエラストマー被覆発泡樹脂ビーズを製造することができる。
前記エラストマー組成物は、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの表面になじませるように添加しながら撹拌を行うことで、前記機能性剤の完全な固定化を達成することができ、しかも、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの搬送時などに硬質なシリカコーティングが割れた場合であっても、柔らかいエラストマー成分が前記シリカコーティング層を被覆していることから、機能性剤を確実に保持可能とする。
このようなエラストマーとしては、通常、塗料や接着剤組成物の改質に用いられるエラストマーであれば特に限定されない。例えば、アミノ基導入ポリジメチルシロキサン、エポキシ基導入ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル基導入ポリジメチルシロキサン、カルボキシル基導入ポリジメチルシロキサンなどを単独または2種類以上併用したものが例示される。
前記エラストマー組成物は、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズに滴下しながら混合、攪拌した後、自然乾燥させ、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの前記シリカコーティング層の表面に前記エラストマー層を形成することができる。
前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズへの前記エラストマー組成物の滴下や、前記エラストマー組成物と前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの混合、攪拌は、手作業で行ってもよいし、機械によって行ってもよい。例えば、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズへの前記エラストマー組成物の滴下は、スプレーコーターなどの公知の塗付用装置などを用いることができる。
(ウレタン被覆発泡樹脂ビーズを製造する工程)
本発明の実施態様の一つとして、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、ウレタンコーティング剤により被覆して、前記シリカコーティング層の表面にウレタンコーティング層を有するウレタン被覆発泡樹脂ビーズを製造することができる。
前記ウレタンコーティング剤は、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの表面になじませるように添加しながら撹拌を行い、さらに、前記ウレタンコーティング剤とウレタン結合を形成するウレタン結合形成剤を添加、攪拌、混合することにより前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの表面に、ウレタン結合が形成され、密度の高いコーティング層を形成可能となる。また、前記機能性剤の完全な固定化を達成することができ、しかも、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの搬送時などに硬質なシリカコーティングが割れた場合であっても、柔らかいウレタンコーティング層が前記シリカコーティング層を被覆していることから、機能性剤を確実に保持可能とする。
このようなウレタンコーティング剤としては、通常、ウレタン樹脂成形体を製造するのに用いられるポリオール等が例示される。
前記ウレタンコーティング剤は、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズに滴下しながら混合、攪拌した後、ウレタン結合形成剤を滴下して攪拌、混合した後、自然乾燥させ、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの前記シリカコーティング層の表面に前記ウレタンコーティング層を形成することができる。また、ウレタン結合形成剤は、あらかじめ前記ウレタンコーティング剤に配合されていてもよい。
前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズへの前記ウレタンコーティング剤の滴下や、前記ウレタンコーティング剤と前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズの混合、攪拌は、手作業で行ってもよいし、機械によって行ってもよい。例えば、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズへの前記ウレタンコーティング剤の滴下は、スプレーコーターなどの公知の塗付用装置などを用いることができる。
(発泡樹脂ビーズの加熱発泡工程)
最後に、以上の工程で得られたシリカコーティング発泡樹脂ビーズまたはエラストマー被覆発泡樹脂ビーズを加熱発泡させて、改質発泡樹脂成形体を製造する。
前記のとおり、シリカコーティング発泡樹脂ビーズまたはエラストマー被覆発泡樹脂ビーズが、予備発泡していない原料ビーズの表面を被覆して改質したものである場合、発泡樹脂ビーズを予備発泡させて、予備発泡粒を作成し、熟成させた後、成形機の金型内部に供給することができる。
また、シリカコーティング発泡樹脂ビーズまたはエラストマー被覆発泡樹脂ビーズが、予備発泡粒の表面を被覆して改質したものである場合は、加熱発泡の工程において予備発泡および熟成の必要が無く、乾燥させて、直接成形機の金型内部に供給することができる。
シリカコーティング発泡樹脂ビーズまたはエラストマー被覆発泡樹脂ビーズは、吸引または圧送などの方法によって、成形機の金型内部に供給される。この時、前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズ同士が接触し、擦れ合うが、前記シリカコーティング層によって機能性剤の保持力低下や剥離を抑制することができる。また、エラストマー被覆発泡樹脂ビーズ同士が接触し、擦れ合うが、前記エラストマー層を備えているため、硬質なシリカコーティング層が割れた場合であっても、機能性剤を確実に保持することができる。
加熱発泡の条件は、従来の発泡樹脂成形体の製造時と同様であって構わない。例えば、100℃〜180℃の加熱水蒸気を成形機の金型内に導入し、その後金型を解圧して金型内から改質発泡樹脂成形体を取り出すことが例示される。
このような工程を経て製造した改質発泡樹脂成形体は、スリット蒸気も目詰まりすることなく、通常の発泡樹脂成形体を製造する際の設備、条件にて加熱成形することが可能である。
本発明によれば、発泡樹脂ビーズに種々の機能性剤をコーティングすることが出来る。このため難燃性、防蟻性、消臭性、脱酸素性、抗菌性、紫外線散乱・吸収等の様々な機能を持たせることが容易となった。この方法で製造された樹脂発泡ビーズは、コーティング中に機能性剤が封じ込められているため、配管内輸送時の剥離が少ない。また、発泡樹脂ビーズの表面を機能性剤で被覆する際の作業環境の負荷も低減され、付与した物質を無駄なく効率的にビーズ表面にコーティングできる。
またこれら機能性剤にて改質した樹脂発泡ビーズは柔らかいエラストマー層で保護されていることから、種々の形に成形可能であり、難燃・不燃性建材ボード、自動車・設備部材、防蟻断熱材、消臭・脱酸素、抗菌機能を有する農水産物輸送箱等幅広い分野に応用展開が可能である。
以下に実施例を示すが、本発明の改質発泡樹脂成形体の製造方法および改質発泡樹脂成形体は、実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
溶媒として50%(v/v)メタノールを3L、シランカップリング剤としてヘキシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)を0.5ml密閉容器に分注し、1分間予備撹拌を行い、シランカップリング剤溶液を調製した。このシランカップリング剤溶液に発泡樹脂ビーズとして、予備発泡した発泡スチロール樹脂ビーズ150gを投入して、5分間撹拌して、発泡スチロール樹脂ビーズの表面をシランカップリングコーティングした。撹拌停止後、網を用いてシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズとシランカップリング剤溶液を濾別・分離し、自然乾燥させてシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを作製した。
別の密閉容器に溶媒として50%(v/v)メタノールを2L、機能性剤として難燃剤(主にリン酸2水素アンモニウムと硫酸カルシウム等からなる混合物)を450g、シリカコーティング剤としてテトラメトキシシラン(キシダ化学株式会社製)5mLを分注し、1分間撹拌して、シリカコーティング組成物を調製した。このシリカコーティング組成物に、濾別・分離したシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを全量投入し、撹拌した。なお、シランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズのシリカコーティング層の厚みを増加させるため、シリカコーティング組成物に、テトラメトキシシランを2時間毎に5mLずつ2回追加投入し、50%(v/v)メタノール2L中にテトラメトキシシランを合計15mL含むシリカコーティング組成物中でそのまま一晩撹拌し続けた。
攪拌終了後、シリカコーティング組成物が付着したシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを濾別・分離し、自然乾燥させてシリカコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを作製した。なお、発泡スチロール樹脂ビーズの全体量に対して、シリカコーティングと機能化剤である難燃剤が200質量%〜210質量%固定化されていた。
乾燥後、エラストマー成分として、アミノ基(アミノ基当量4400)で機能化されたポリジメチルシロキサン1mLと、両末端エポキシ基で機能化されたポリジメチルシロキ・BR>Tン1mLとの混合溶液を、シリカコーティング発泡スチロール樹脂ビーズに滴下しながらヘラ等で混ぜ合わせ、自然乾燥させて機能化された発泡スチロール樹脂ビーズを作製した。
このようにして機能化された発泡スチロール樹脂ビーズを圧送により成形機金型に供給して110℃〜120℃の加熱水蒸気を成形機の金型内に導入し、改質発泡樹脂成形体を得た。
(実施例2)
エラストマーコーティングを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして機能化された発泡スチロール樹脂ビーズを作製し、このビーズを加熱発泡して改質発泡樹脂成形体を得た。
(実施例3)
シリカコーティング組成物の調製工程において、50%(v/v)メタノールの量を1Lに変更し、機能性剤として難燃剤の添加量を500gに変更し、撹拌時間を二晩に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で機能化された発泡スチロール樹脂ビーズを作製し、この機能化された発泡スチロール樹脂ビーズを加熱発泡して改質発泡樹脂成形体を得た。
なお、機能化された発泡スチロール樹脂ビーズの全体量に対して、シリカコーティングと機能化剤である難燃剤が210質量%〜220質量%固定化されていた。
(実施例4)
予備発泡した発泡スチロール樹脂ビーズの量を100gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを作製した。
また、難燃剤100gを水で湿らせた後、有機溶媒として酢酸エチル300mLを加えた。そこに、市販の界面活性剤(リン酸モノドデシルナトリウム)5gを添加して撹拌することで溶媒中に難燃剤と水の混合物を分散させた。さらに、水よりも沸点の高い有機溶媒としてキシレンを少量加えて撹拌した後にロータリーエバポレーター等で溶媒並びに水を除去することにより界面活性剤で粒子を包んだ難燃剤(カプセル化難燃剤)を得て、これを機能性剤とした。
このシランカップリングコーティング発泡スチロール樹脂ビーズを、別の密閉容器に全量移し、上記のカプセル化難燃剤200g、シリカコーティング剤としてテトラメトキシシラン20mL、ウレタンコーティング剤としてポリオール40gの混合物を添加して一晩攪拌した。撹拌後に、シリカコーティング層の厚みを増加させるために、テトラメトキシシラン5mLとポリオールとのウレタン結合形成剤としてイソシアネート5gとの混合物を添加して、さらに一晩撹拌して表面改質樹脂ビーズを得た。この表面改質樹脂ビーズを加熱発泡して改質発泡樹脂成形体を得た。
(比較例1)
難燃剤を添加せず、実施例1のシリカコーティングの工程まで行い、発泡スチロール樹脂ビーズを加熱発泡して発泡樹脂成形体を得た。
(比較例2)
難燃剤を添加せず、実施例1のエラストマーコーティングの工程まで行い、発泡スチロール樹脂ビーズを加熱発泡して発泡樹脂成形体を得た。
(比較例3)
通常のポリスチレンビーズと水に懸濁させた難燃剤を混合し、乾燥させたものを加熱発泡して発泡樹脂成形体を得た。
実施例および比較例で得られた改質発泡樹脂成形体について、成形性、難燃剤保持性および難燃性を評価した。評価の基準は下記のとおりである。
<成形性>
実施例および比較例で得られた改質発泡樹脂成形体の表面および断面の形態を肉眼で観察し、下記の基準で判定した。
◎: 従来品の発泡樹脂成形体とほぼ同等の成形性を備えており、成形性が良好。
○: 従来品の発泡樹脂成形体とほぼ同等の成形性を備えている。
×: 従来品の発泡樹脂成形体と比較して、発泡樹脂同士の融着が不十分であって、発泡樹脂成形体の表面および断面に不規則な孔が認められる。(該当なし)
<難燃性>
実施例および比較例で得られた改質発泡樹脂成形体に多目的ライター(着火棒)の火炎を5秒間当てて、改質発泡樹脂成形体の難燃性について下記の基準で判定した。
◎: 発泡樹脂成形体の火炎接触部は若干収縮するが、火炎を遠ざけると火が消える自己消火性を備えている。
○: 発泡樹脂成形体の火炎接触部が収縮し、火炎を遠ざけても燃焼し続けるが、発泡樹脂成形体の全体には火が燃え広がらない。
×: 発泡樹脂成形体の全体に火が燃え広がる。
<難燃剤保持性>
実施例および比較例で得られた改質発泡樹脂成形体の表面モルフォロジーを電子顕微鏡を用いて観察し、下記の基準で判定した。
◎: 難燃剤の結晶がシリカコーティング層の内部に封入されており、難燃剤の保持性が極めて良好である。
○: 難燃剤の結晶の一部がシリカコーティング層の表面に露出しているが、難燃剤の保持性が良好である。
×:難燃剤の保持性が著しく悪い。
評価結果を表1に示す。
Figure 2016180104
表1に示したように、難燃剤が封入されたシランカップリングコーティング層およびエラストマー被覆層を備える発泡スチロール樹脂ビーズから成形された発泡樹脂成形体である実施例1については、成形性、難燃性および難燃剤の保持性がいずれも極めて良好であることが確認された。また、難燃剤が封入されたシランカップリングコーティング層を備える発泡スチロール樹脂ビーズから成形された発泡樹脂成形体である実施例2については、成形性、難燃性および難燃剤の保持性がいずれも良好であることが確認された。
また、難燃剤を封入する際の難燃剤濃度を高くすることで難燃剤の封入量を増やした実施例3と、機能剤として界面活性剤で処理した難燃剤を使用し、さらにウレタンによるコーティングを併用することでより機能剤の保持性を高めた実施例4においては、難燃性および難燃剤の保持性が極めて良好であることが確認された。
しかしながら、難燃剤を含まないシランカップリングコーティング層を備える発泡スチロール樹脂ビーズから成形された発泡樹脂成形体である比較例1、2については、エラストマー被覆層の有無にかかわらず、成形性は良好であるが、実施例1と比較して難燃性が劣ることが確認された。また、シランカップリングコーティング層およびエラストマー被覆層のいずれも備えておらず、難燃剤を表面に塗布した発泡スチロール樹脂ビーズから成形された発泡樹脂成形体である比較例3については、成形性は良好であるが、実施例1と比較して難燃性および難燃剤の保持性のいずれにおいても劣ることが確認された。
これらの結果から、安価かつ簡便に高い機能性の発現を可能とする発泡成形体を得ることが可能であって、しかも、技術としての汎用性が高く、製造過程や使用時での機能性の喪失や劣化が少ない、経時性にも優れた新しい改質発泡樹脂成形体の製造方法を提供可能であることが確認された。

Claims (13)

  1. シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物により前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程と
    を含むことを特徴とする改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  2. シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物により前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、反応性エラストマーを含むエラストマー組成物により被覆して、エラストマー被覆発泡樹脂ビーズとする工程と、
    前記エラストマー被覆発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程と
    を含むことを特徴とする改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  3. シランカップリング剤を含むシランカップリングコーティング組成物により発泡樹脂ビーズを被覆してシランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    シリカコーティング剤と機能性剤を含むシリカコーティング組成物により前記シランカップリングコーティング発泡樹脂ビーズを被覆して、シリカコーティング発泡樹脂ビーズとする工程と、
    前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズを、ウレタンコーティング剤により被覆して、ウレタン被覆発泡樹脂ビーズとする工程と、
    前記ウレタン被覆発泡樹脂ビーズを加熱発泡させる工程と
    を含むことを特徴とする改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記機能性剤が、難燃剤、不燃剤、消火剤、防蟻剤、消臭剤、脱酸素剤、抗菌剤、紫外線散乱・吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記機能性剤が、界面活性剤によってカプセル化されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記シランカップリング剤が、アルキル基を有するトリアルコキシシランであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記シリカコーティング剤が、テトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記エラストマー成分が、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項2に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  9. 前記シリカコーティング発泡樹脂ビーズ、前記エラストマー被覆発泡樹脂ビーズまたは前記ウレタン被覆発泡樹脂ビーズの搬送方法が、吸引または圧送であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記発泡樹脂ビーズが、ポリスチレン樹脂、ポリピプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の改質発泡樹脂成形体の製造方法。
  11. 発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、前記シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層を備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴とする改質発泡樹脂成形体。
  12. 発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、前記シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層と、このシリカコーティング層の表面にエラストマー成分によって被覆されたエラストマー被覆層とを備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴とする改質発泡樹脂成形体。
  13. 発泡樹脂ビーズの表面に、シランカップリング剤と機能性剤が吸着しており、前記シランカップリング剤と機能性剤がシリカコーティング剤によって被覆されたシリカコーティング層と、このシリカコーティング層の表面にウレタンコーティング剤によって被覆されたウレタンコーティング層とを備える改質発泡樹脂ビーズからなることを特徴とする改質発泡樹脂成形体。
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