JPH11278815A - 非晶質リン酸カルシウム集合体、これを用いた油性物質精製体および油性物質の精製方法 - Google Patents
非晶質リン酸カルシウム集合体、これを用いた油性物質精製体および油性物質の精製方法Info
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- JPH11278815A JPH11278815A JP7973398A JP7973398A JPH11278815A JP H11278815 A JPH11278815 A JP H11278815A JP 7973398 A JP7973398 A JP 7973398A JP 7973398 A JP7973398 A JP 7973398A JP H11278815 A JPH11278815 A JP H11278815A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 過酸化物や遊離脂肪酸に対する吸着性能に優
れた化合物および油性物質精製体と、効率がよく簡便な
油性物質の精製方法とを提供する。 【解決手段】 本発明の油性物質精製体は非晶質リン酸
カルシウム粒子の集合体を不織布の袋に封入したもので
ある。前記集合体は、一次粒径が0.1μm以下の非晶
質リン酸カルシウム粒子からなり、平均粒径が1〜20
0μmで、かつ比表面積が40m2 /g以上の多孔質構
造を有するものであることを特徴とする。本発明の油性
物質の精製方法は、前記油性物質精製剤を油性物質に加
えることを特徴とする。
れた化合物および油性物質精製体と、効率がよく簡便な
油性物質の精製方法とを提供する。 【解決手段】 本発明の油性物質精製体は非晶質リン酸
カルシウム粒子の集合体を不織布の袋に封入したもので
ある。前記集合体は、一次粒径が0.1μm以下の非晶
質リン酸カルシウム粒子からなり、平均粒径が1〜20
0μmで、かつ比表面積が40m2 /g以上の多孔質構
造を有するものであることを特徴とする。本発明の油性
物質の精製方法は、前記油性物質精製剤を油性物質に加
えることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば食用油等の
油性物質中に含まれる過酸化物、遊離脂肪酸に対する吸
着性能に優れた非晶質リン酸カルシウム集合体とそれを
用いた油性物質精製体、および油性物質の精製方法に関
するものである。
油性物質中に含まれる過酸化物、遊離脂肪酸に対する吸
着性能に優れた非晶質リン酸カルシウム集合体とそれを
用いた油性物質精製体、および油性物質の精製方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】食用油は、天ぷら、フライ等の調理の際
に加熱して使用されるが、その際、熱酸化や加水分解を
受けて変質する。その結果、油が変色し、粘度が高くな
るとともに、熱酸化等で生じた過酸化物や遊離脂肪酸に
よって酸価が高くなるという現象が見られる。酸価は食
用油等の油性物質の品質を評価する指標であって、その
値が高いほど劣化の程度が高いことを示す。
に加熱して使用されるが、その際、熱酸化や加水分解を
受けて変質する。その結果、油が変色し、粘度が高くな
るとともに、熱酸化等で生じた過酸化物や遊離脂肪酸に
よって酸価が高くなるという現象が見られる。酸価は食
用油等の油性物質の品質を評価する指標であって、その
値が高いほど劣化の程度が高いことを示す。
【0003】近年、特に栄養学的な見地から食用油の品
質劣化が問題になっており、酸価の低い食用油を使用す
ることが求められている。天ぷら等に使用された食用油
は、通常、メッシュを通過させて、揚げ滓を除去した上
で再使用される。メッシュが粗いために除去効果が低い
場合には、油こしフィルターやろ紙を通過させた上で再
使用される。
質劣化が問題になっており、酸価の低い食用油を使用す
ることが求められている。天ぷら等に使用された食用油
は、通常、メッシュを通過させて、揚げ滓を除去した上
で再使用される。メッシュが粗いために除去効果が低い
場合には、油こしフィルターやろ紙を通過させた上で再
使用される。
【0004】しかし、揚げ粕等はフィルターやろ紙で除
去することができるものの、熱酸化や加水分解によって
生じた過酸化物や遊離脂肪酸を除去することはできな
い。また、油性物質の着色を取り除いたり、粘性を低く
することもできない。
去することができるものの、熱酸化や加水分解によって
生じた過酸化物や遊離脂肪酸を除去することはできな
い。また、油性物質の着色を取り除いたり、粘性を低く
することもできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで近時、過酸化物
や遊離脂肪酸の除去、ならびに油性物質の脱色を目的と
して、活性炭を吸着剤として使用した種々の油こし製品
が市場に出回っている。しかし、活性炭は劣化油中の過
酸化物や遊離脂肪酸をある程度は低減できるものの、そ
の効果は十分ではない。
や遊離脂肪酸の除去、ならびに油性物質の脱色を目的と
して、活性炭を吸着剤として使用した種々の油こし製品
が市場に出回っている。しかし、活性炭は劣化油中の過
酸化物や遊離脂肪酸をある程度は低減できるものの、そ
の効果は十分ではない。
【0006】一方、特公平6−31395号公報には
式: Ca10(PO4 )6 (OH)2 で表されるヒドロキシアパタイトを使用して、過酸化物
や遊離脂肪酸を除去する方法が開示されている。この公
報に開示の精製方法では、例えばヒドロキシアパタイト
粉末を吸着塔に充填した上で油を流し込んだり、ヒドロ
キシアパタイト粉末を成形、焼成して、多孔質焼結体の
フィルターとした上で油を流し込んだりしている。
式: Ca10(PO4 )6 (OH)2 で表されるヒドロキシアパタイトを使用して、過酸化物
や遊離脂肪酸を除去する方法が開示されている。この公
報に開示の精製方法では、例えばヒドロキシアパタイト
粉末を吸着塔に充填した上で油を流し込んだり、ヒドロ
キシアパタイト粉末を成形、焼成して、多孔質焼結体の
フィルターとした上で油を流し込んだりしている。
【0007】しかし、粉末を充填したり、焼成してフィ
ルターにしたものは油の通りも悪く、油の回収速度が極
めて遅くなる上、ヒドロキシアパタイトの比表面積も小
さいために精製効率が低いという問題がある。また、劣
化油中に前記ヒドロキシアパタイトの粉末を分散して劣
化物を吸着させ、ろ過を行う方法も開示されているが、
この場合にはヒドロキシアパタイトの粉末で濾紙が目詰
まりするという問題もある。
ルターにしたものは油の通りも悪く、油の回収速度が極
めて遅くなる上、ヒドロキシアパタイトの比表面積も小
さいために精製効率が低いという問題がある。また、劣
化油中に前記ヒドロキシアパタイトの粉末を分散して劣
化物を吸着させ、ろ過を行う方法も開示されているが、
この場合にはヒドロキシアパタイトの粉末で濾紙が目詰
まりするという問題もある。
【0008】また、特開平1−315337号公報に
は、リン酸カルシウム化合物よりなる脂質用吸着剤が開
示されているが、実際に用いられている吸着剤はいずれ
もリン酸カルシウム化合物が結晶構造を形成する温度以
上で焼成されたものであって、比表面積が小さく、精製
効率が低い。そこで本発明の目的は、劣化した油性物質
に含まれる過酸化物や遊離脂肪酸の吸着性能に優れてい
るとともに、迅速かつ効率よく油性物質の精製を行うこ
とのできる化合物を提供することである。
は、リン酸カルシウム化合物よりなる脂質用吸着剤が開
示されているが、実際に用いられている吸着剤はいずれ
もリン酸カルシウム化合物が結晶構造を形成する温度以
上で焼成されたものであって、比表面積が小さく、精製
効率が低い。そこで本発明の目的は、劣化した油性物質
に含まれる過酸化物や遊離脂肪酸の吸着性能に優れてい
るとともに、迅速かつ効率よく油性物質の精製を行うこ
とのできる化合物を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、劣化した油性物質中
に含まれる過酸化物および遊離脂肪酸を迅速に、効率よ
くかつ簡便な方法で吸着除去できる油性物質精製体と、
油性物質の精製方法とを提供することである。
に含まれる過酸化物および遊離脂肪酸を迅速に、効率よ
くかつ簡便な方法で吸着除去できる油性物質精製体と、
油性物質の精製方法とを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、リン酸カルシウム系化合物の結晶構造
や粒子の構造等に着目して鋭意研究を重ねた。その結
果、一次粒径が0.1μm以下の非晶質リン酸カルシウ
ム粒子からなる、多孔質で粒子状の集合体であって、当
該集合体の平均粒径と比表面積とが所定の範囲にあると
きは、劣化した油性物質に含まれる過酸化物や遊離脂肪
酸に対して優れた吸着性能を示すとともに、迅速かつ効
率よく油性物質の精製を行うことのできるという全く新
たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
を解決するため、リン酸カルシウム系化合物の結晶構造
や粒子の構造等に着目して鋭意研究を重ねた。その結
果、一次粒径が0.1μm以下の非晶質リン酸カルシウ
ム粒子からなる、多孔質で粒子状の集合体であって、当
該集合体の平均粒径と比表面積とが所定の範囲にあると
きは、劣化した油性物質に含まれる過酸化物や遊離脂肪
酸に対して優れた吸着性能を示すとともに、迅速かつ効
率よく油性物質の精製を行うことのできるという全く新
たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の非晶質リン酸カルシウ
ム集合体は、一次粒径が0.1μm以下である非晶質リ
ン酸カルシウム粒子の集合体からなり、平均粒径が1〜
200μmで、かつ比表面積が40m2 /g以上の多孔
質構造を有するものであることを特徴とする。上記の非
晶質リン酸カルシウム集合体によれば、過酸化物や遊離
脂肪酸に対する吸着性能に優れており、少ない量で、迅
速にかつ効率よく油性物質を精製することができる。
ム集合体は、一次粒径が0.1μm以下である非晶質リ
ン酸カルシウム粒子の集合体からなり、平均粒径が1〜
200μmで、かつ比表面積が40m2 /g以上の多孔
質構造を有するものであることを特徴とする。上記の非
晶質リン酸カルシウム集合体によれば、過酸化物や遊離
脂肪酸に対する吸着性能に優れており、少ない量で、迅
速にかつ効率よく油性物質を精製することができる。
【0012】本発明の非晶質リン酸カルシウム集合体が
劣化油中に存在する過酸化物や遊離脂肪酸の劣化物に対
して優れた吸着性能を示すのは、集合体を構成するリン
酸カルシウム粒子が非晶質で、かつ一次粒径が0.1μ
m以下と小さなものであり、高い表面活性を有すること
に起因すると推測される。また、集合体の比表面積が大
きく、多孔質構造を形成していることも、優れた吸着性
能を発揮し、精製効率が高くなることに大きく貢献する
ものと推測される。
劣化油中に存在する過酸化物や遊離脂肪酸の劣化物に対
して優れた吸着性能を示すのは、集合体を構成するリン
酸カルシウム粒子が非晶質で、かつ一次粒径が0.1μ
m以下と小さなものであり、高い表面活性を有すること
に起因すると推測される。また、集合体の比表面積が大
きく、多孔質構造を形成していることも、優れた吸着性
能を発揮し、精製効率が高くなることに大きく貢献する
ものと推測される。
【0013】本発明の非晶質リン酸カルシウム集合体
は、その比表面積をより一層大きくして、劣化物の吸着
性能をより一層高めるという観点から、集合体の平均粒
径が前記範囲の中でも特に1μm以上、50μm未満で
あるのが好ましい。本発明の油性物質精製体は、本発明
の非晶質リン酸カルシウム集合体を不織布の袋に封入し
たものであることを特徴とする。
は、その比表面積をより一層大きくして、劣化物の吸着
性能をより一層高めるという観点から、集合体の平均粒
径が前記範囲の中でも特に1μm以上、50μm未満で
あるのが好ましい。本発明の油性物質精製体は、本発明
の非晶質リン酸カルシウム集合体を不織布の袋に封入し
たものであることを特徴とする。
【0014】上記の油性物質精製体によれば、本発明の
非晶質リン酸カルシウム集合体を用いていることから、
過酸化物や遊離脂肪酸の劣化物に対して優れた吸着性能
を示す。また、油性物質に加えて精製処理を施しても非
晶質リン酸カルシウム集合体が油性物質中で拡散せず、
精製処理後に油性物質から迅速かつ容易に除去すること
ができる。
非晶質リン酸カルシウム集合体を用いていることから、
過酸化物や遊離脂肪酸の劣化物に対して優れた吸着性能
を示す。また、油性物質に加えて精製処理を施しても非
晶質リン酸カルシウム集合体が油性物質中で拡散せず、
精製処理後に油性物質から迅速かつ容易に除去すること
ができる。
【0015】本発明の油性物質の精製方法は、上記本発
明の油性物質精製体を油性物質に加えて、油性物質に含
まれる過酸化物および遊離脂肪酸を吸着除去することを
特徴とする。上記の油性物質の精製方法によれば、油性
物質中の過酸化物や遊離脂肪酸を効率よく、かつ簡便な
方法で除去することができる。
明の油性物質精製体を油性物質に加えて、油性物質に含
まれる過酸化物および遊離脂肪酸を吸着除去することを
特徴とする。上記の油性物質の精製方法によれば、油性
物質中の過酸化物や遊離脂肪酸を効率よく、かつ簡便な
方法で除去することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明の非晶質リン酸カル
シウム集合体について詳細に説明する。本発明における
非晶質リン酸カルシウム(Amorphous Calcium Phosphat
e )とは、一般式: Ca3 (PO4 )2 ・nH2 O で表される、結晶水を含んだリン酸三カルシウムであっ
て、粉末X線解析法による回折パターンがブロードであ
ることから、非晶質であることが確認された。また、結
晶水を含むことから、静電気的に活性な物質であると推
測できる。
シウム集合体について詳細に説明する。本発明における
非晶質リン酸カルシウム(Amorphous Calcium Phosphat
e )とは、一般式: Ca3 (PO4 )2 ・nH2 O で表される、結晶水を含んだリン酸三カルシウムであっ
て、粉末X線解析法による回折パターンがブロードであ
ることから、非晶質であることが確認された。また、結
晶水を含むことから、静電気的に活性な物質であると推
測できる。
【0017】本発明においては、上記非晶質リン酸カル
シウムのCaの一部に、例えばバリウム、ストロンチウ
ム、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、
アルミニウム、チタン等の元素が固溶していたり、ある
いはCaの一部が前記元素でイオン交換または置換され
ていてもよい。また、PO4 の一部が、例えばVO4、
SiO4 、CO3 等の原子団の1種以上で置換されてい
てもよい。さらに、非晶質リン酸カルシウムが1種また
は2種以上の金属酸化物と複合していてもよい。前記金
属酸化物としては特に限定されないが、例えば酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物が挙げられ
る。
シウムのCaの一部に、例えばバリウム、ストロンチウ
ム、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、
アルミニウム、チタン等の元素が固溶していたり、ある
いはCaの一部が前記元素でイオン交換または置換され
ていてもよい。また、PO4 の一部が、例えばVO4、
SiO4 、CO3 等の原子団の1種以上で置換されてい
てもよい。さらに、非晶質リン酸カルシウムが1種また
は2種以上の金属酸化物と複合していてもよい。前記金
属酸化物としては特に限定されないが、例えば酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物が挙げられ
る。
【0018】本発明の非晶質リン酸カルシウム集合体
は、例えば次のようにして製造される。まず、水酸化カ
ルシウムの懸濁液(スラリー)を攪拌しながら、中性ま
たは弱アルカリ性の水溶性高分子分散剤を添加して混合
溶液を得る。次いで、混合溶液を攪拌しながらリン酸水
溶液を滴下してpHを5〜11に調整し、非晶質のリン
酸カルシウム粒子を生成させる。さらに、この非晶質リ
ン酸カルシウム粒子を含有する混合溶液(スラリー)を
造粒することによって、多孔質の非晶質リン酸カルシウ
ムの集合体が得られる。
は、例えば次のようにして製造される。まず、水酸化カ
ルシウムの懸濁液(スラリー)を攪拌しながら、中性ま
たは弱アルカリ性の水溶性高分子分散剤を添加して混合
溶液を得る。次いで、混合溶液を攪拌しながらリン酸水
溶液を滴下してpHを5〜11に調整し、非晶質のリン
酸カルシウム粒子を生成させる。さらに、この非晶質リ
ン酸カルシウム粒子を含有する混合溶液(スラリー)を
造粒することによって、多孔質の非晶質リン酸カルシウ
ムの集合体が得られる。
【0019】非晶質リン酸カルシウム粒子を含有する混
合溶液(スラリー)を用いて造粒する際、非晶質リン酸
カルシウムの一次粒径が0.1μmを超えていると、非
晶質リン酸カルシウム集合体の比表面積を40m2 /g
以上に設定するのが困難になるおそれがある。そこで、
前記の製造方法では、生成した非晶質リン酸カルシウム
粒子の凝集を抑制することを目的として、水酸化カルシ
ウムの懸濁液に水溶性高分子分散剤を添加している。
合溶液(スラリー)を用いて造粒する際、非晶質リン酸
カルシウムの一次粒径が0.1μmを超えていると、非
晶質リン酸カルシウム集合体の比表面積を40m2 /g
以上に設定するのが困難になるおそれがある。そこで、
前記の製造方法では、生成した非晶質リン酸カルシウム
粒子の凝集を抑制することを目的として、水酸化カルシ
ウムの懸濁液に水溶性高分子分散剤を添加している。
【0020】なお、本発明において、比表面積は流動式
比表面積自動測定装置を用いてBET一点法により測定
した。また、平均粒径はSYMPATEC社のHELOS & RODOS レ
ーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定した。水
酸化カルシウムの懸濁液に添加される水溶性高分子分散
剤としては、例えば弱アルカリ性のトリアクリル酸アン
モニウム塩、ポリアクリル酸塩、ニトロフミン酸塩、リ
グニンスルホン酸塩、スチレン−無水マレイン酸共重合
体等が挙げられる。水溶性高分子分散剤の添加量は水酸
化カルシウムの懸濁液に対して0.1〜10重量%であ
るのが好ましく、0.1〜3重量%であるのがより好ま
しい。
比表面積自動測定装置を用いてBET一点法により測定
した。また、平均粒径はSYMPATEC社のHELOS & RODOS レ
ーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定した。水
酸化カルシウムの懸濁液に添加される水溶性高分子分散
剤としては、例えば弱アルカリ性のトリアクリル酸アン
モニウム塩、ポリアクリル酸塩、ニトロフミン酸塩、リ
グニンスルホン酸塩、スチレン−無水マレイン酸共重合
体等が挙げられる。水溶性高分子分散剤の添加量は水酸
化カルシウムの懸濁液に対して0.1〜10重量%であ
るのが好ましく、0.1〜3重量%であるのがより好ま
しい。
【0021】非晶質リン酸カルシウム粒子を含有するス
ラリーを造粒して非晶質リン酸カルシウム集合体製造す
る際、スラリー中の非晶質リン酸カルシウム粒子の含有
量は1〜90重量%の範囲で調整される。非晶質リン酸
カルシウム粒子の含有量が90重量%を超えると、スラ
リーの粘度が高くなりすぎて、造粒の操作に供するのに
は不適当となる。
ラリーを造粒して非晶質リン酸カルシウム集合体製造す
る際、スラリー中の非晶質リン酸カルシウム粒子の含有
量は1〜90重量%の範囲で調整される。非晶質リン酸
カルシウム粒子の含有量が90重量%を超えると、スラ
リーの粘度が高くなりすぎて、造粒の操作に供するのに
は不適当となる。
【0022】非晶質リン酸カルシウム集合体の平均粒径
は1〜200μmの範囲となるように設定される。集合
体の平均粒径が上記範囲を超えると、その比表面積を大
きくするのが困難になり、特に比表面積を40m2 /g
以上に設定できなくなる。逆に、平均粒径が上記範囲を
下回ると吸着能が低下する。また、精製する劣化油に集
合体が分散するとろ過により除去するのが困難になる。
は1〜200μmの範囲となるように設定される。集合
体の平均粒径が上記範囲を超えると、その比表面積を大
きくするのが困難になり、特に比表面積を40m2 /g
以上に設定できなくなる。逆に、平均粒径が上記範囲を
下回ると吸着能が低下する。また、精製する劣化油に集
合体が分散するとろ過により除去するのが困難になる。
【0023】集合体の平均粒径を上記範囲に設定するに
は、スラリー中の非晶質リン酸カルシウム粒子の含有量
を1〜90重量%の範囲で設定するのが好ましく、5〜
50重量%の範囲で設定するのがより好ましい。集合体
の平均粒径は、上記範囲の中でも特に1μm以上、50
μm未満であるのが、集合体の比表面積をより一層大き
くするという観点から好ましい。
は、スラリー中の非晶質リン酸カルシウム粒子の含有量
を1〜90重量%の範囲で設定するのが好ましく、5〜
50重量%の範囲で設定するのがより好ましい。集合体
の平均粒径は、上記範囲の中でも特に1μm以上、50
μm未満であるのが、集合体の比表面積をより一層大き
くするという観点から好ましい。
【0024】非晶質リン酸カルシウム集合体の比表面積
は40m2 /g以上となるように設定される。比表面積
が上記範囲を下回ると、充分な吸着性能や迅速かつ効率
のよい精製を行うことができなくなる。集合体の比表面
積は、後述する造粒方法やその条件を調整することによ
って設定される。集合体の比表面積は、上記範囲の中で
も特に50m2 /g以上であるのが好ましい。
は40m2 /g以上となるように設定される。比表面積
が上記範囲を下回ると、充分な吸着性能や迅速かつ効率
のよい精製を行うことができなくなる。集合体の比表面
積は、後述する造粒方法やその条件を調整することによ
って設定される。集合体の比表面積は、上記範囲の中で
も特に50m2 /g以上であるのが好ましい。
【0025】非晶質リン酸カルシウム集合体を製造する
際の造粒の方法としては、例えば噴霧乾燥造粒法、フリ
ーズドライ後に粉砕する造粒法、高速撹拌型造粒法等を
使用できる。なお、本発明で使用できる非晶質リン酸カ
ルシウムは焼成していないものである。焼成しないこと
によって非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面
積を大きく保つことができるからである。
際の造粒の方法としては、例えば噴霧乾燥造粒法、フリ
ーズドライ後に粉砕する造粒法、高速撹拌型造粒法等を
使用できる。なお、本発明で使用できる非晶質リン酸カ
ルシウムは焼成していないものである。焼成しないこと
によって非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面
積を大きく保つことができるからである。
【0026】次に、本発明の油性物質精製体について詳
細に説明する。本発明の油性物質精製体は、精製後の取
り扱いを容易にするという観点から、不織布に封入して
袋状とした上で使用するのが好ましい。本発明に用いら
れる不織布には、従来公知の種々のものが使用できる。
不織布をウェブ(繊維シート)の製造方式で分類する
と、(1) 極短繊維(化学繊維)を使用して、抄紙工程を
経て不織布を作製する湿式不織布、(2) パルプを使用し
て、繊維のウェブ化を空中で行う乾式バルブ不織布、
(3) 短繊維を使用して、混打綿機やカード機を使用して
空気中でウェブ化を行う乾式不織布、および(4) 化学繊
維の製造過程で、紡糸時にウェブ化する直接紡糸不織布
に分類されるが、本発明には前記のいずれの製造方式に
よるものであっても使用可能である。なお、前記(4) の
直接紡糸不織布の製造方式は、さらにスパンボンド方
式、メルトブロー方式、フラッシュ紡糸方式およびトウ
開繊方式によるものに細分化されるが、本発明にはその
いずれの方式によるであっても使用可能である。
細に説明する。本発明の油性物質精製体は、精製後の取
り扱いを容易にするという観点から、不織布に封入して
袋状とした上で使用するのが好ましい。本発明に用いら
れる不織布には、従来公知の種々のものが使用できる。
不織布をウェブ(繊維シート)の製造方式で分類する
と、(1) 極短繊維(化学繊維)を使用して、抄紙工程を
経て不織布を作製する湿式不織布、(2) パルプを使用し
て、繊維のウェブ化を空中で行う乾式バルブ不織布、
(3) 短繊維を使用して、混打綿機やカード機を使用して
空気中でウェブ化を行う乾式不織布、および(4) 化学繊
維の製造過程で、紡糸時にウェブ化する直接紡糸不織布
に分類されるが、本発明には前記のいずれの製造方式に
よるものであっても使用可能である。なお、前記(4) の
直接紡糸不織布の製造方式は、さらにスパンボンド方
式、メルトブロー方式、フラッシュ紡糸方式およびトウ
開繊方式によるものに細分化されるが、本発明にはその
いずれの方式によるであっても使用可能である。
【0027】不織布の接着方式には、(i) エマルジョン
タイプの接着剤を使用して繊維間を接着するものであっ
て、乾燥や熱固定工程が必要となる、いわゆるケミカル
ボンド方式(さらに、浸漬方式、泡加工方式、スプレー
加工式およびプリント加工方式に細分される)、(ii)接
着剤を使用せず、繊維だけで繊維間を接着する方式であ
って、ウェブに接着繊維を混ぜたり、接着繊維のみでウ
ェブを作り、加熱工程を通過して繊維間を接着する、い
わゆるサーマルボンド方式(さらに、熱圧着方式および
熱風方式に細分される)、(iii) 金属の針をウェブに貫
通させて、繊維間を絡ませるニードルパンチ方式、(iv)
高圧水流を用いて、ウェブの繊維を絡ませるスパンレー
ス方式、(v) 紡績糸やフィラメントをウェブに縦編み加
工するステッチ加工方式等が挙げられるが、本発明には
いずれの接着方式を使用してもよく、前記例示以外の他
の接着方式を使用してもよい。
タイプの接着剤を使用して繊維間を接着するものであっ
て、乾燥や熱固定工程が必要となる、いわゆるケミカル
ボンド方式(さらに、浸漬方式、泡加工方式、スプレー
加工式およびプリント加工方式に細分される)、(ii)接
着剤を使用せず、繊維だけで繊維間を接着する方式であ
って、ウェブに接着繊維を混ぜたり、接着繊維のみでウ
ェブを作り、加熱工程を通過して繊維間を接着する、い
わゆるサーマルボンド方式(さらに、熱圧着方式および
熱風方式に細分される)、(iii) 金属の針をウェブに貫
通させて、繊維間を絡ませるニードルパンチ方式、(iv)
高圧水流を用いて、ウェブの繊維を絡ませるスパンレー
ス方式、(v) 紡績糸やフィラメントをウェブに縦編み加
工するステッチ加工方式等が挙げられるが、本発明には
いずれの接着方式を使用してもよく、前記例示以外の他
の接着方式を使用してもよい。
【0028】不織布の組成としては、例えばポリエステ
ル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンとポリエチレンとの複合体、レーヨンとポリエ
チレンとの複合体等が挙げられる。本発明に使用される
不織布は、不織布自体の幅×長さ1mの試料で測定した
ときの目付が100〜300g/m2 であるのが好まし
く、150〜300g/m 2 であるのがより好ましい。
厚みは、マイクロメーターで測定した値が0.34mm
〜1.32mmの範囲にあるものが好ましい。
ル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンとポリエチレンとの複合体、レーヨンとポリエ
チレンとの複合体等が挙げられる。本発明に使用される
不織布は、不織布自体の幅×長さ1mの試料で測定した
ときの目付が100〜300g/m2 であるのが好まし
く、150〜300g/m 2 であるのがより好ましい。
厚みは、マイクロメーターで測定した値が0.34mm
〜1.32mmの範囲にあるものが好ましい。
【0029】また、本発明に使用される不織布は、劣化
油等の精製に供する油性物質が浸透し得る程度に粗で
(すなわち通油性を有し)、かつ本発明の油性物質精製
体(または非晶質リン酸カルシウムの集合体)が通過し
ない程度に密であればよい。本発明の油性物質の精製方
法において、上記油性物質生成剤を劣化した油性物質中
に浸漬する際の条件は、油性物質の劣化度等に応じて設
定されるものであって、特に限定されるものではない。
油等の精製に供する油性物質が浸透し得る程度に粗で
(すなわち通油性を有し)、かつ本発明の油性物質精製
体(または非晶質リン酸カルシウムの集合体)が通過し
ない程度に密であればよい。本発明の油性物質の精製方
法において、上記油性物質生成剤を劣化した油性物質中
に浸漬する際の条件は、油性物質の劣化度等に応じて設
定されるものであって、特に限定されるものではない。
【0030】しかし、通常10〜60分、好ましくは2
0〜30分程度浸漬して静置すれば充分に精製すること
ができる。油性物質の精製時には攪拌してもよく、この
場合には精製剤の浸漬時間を前記よりも短くできる。
0〜30分程度浸漬して静置すれば充分に精製すること
ができる。油性物質の精製時には攪拌してもよく、この
場合には精製剤の浸漬時間を前記よりも短くできる。
【0031】
製造例1 (スラリーの製造)水酸化カルシウム10%懸濁液を撹
拌しつつ、水溶性高分子分散剤としての弱アルカリ性の
トリアクリル酸アンモニウム塩を前記懸濁液に対して
0.5重量%添加して、混合溶液を得た。
拌しつつ、水溶性高分子分散剤としての弱アルカリ性の
トリアクリル酸アンモニウム塩を前記懸濁液に対して
0.5重量%添加して、混合溶液を得た。
【0032】得られた混合溶液を攪拌しながらリン酸水
溶液を滴下し、pHを10に調整することにより、粒径
が約0.1μm以下の非晶質リン酸カルシウム粒子を含
むスラリーを得た。 (噴霧乾燥による非晶質リン酸カルシウム集合体の製
造)噴霧乾燥に用いた装置を図1に概略的に示す。かか
る装置において、エアフィルター9を通り電気ヒータ1
0によって加温された熱空気は、熱ガス室11からスプ
レードライヤー5内に入る。この熱空気は、スプレード
ライヤー5のアトマイザー6により噴霧されるスラリー
3を乾燥造粒しつつ、排出孔12からサイクロン8に向
けて流出する。
溶液を滴下し、pHを10に調整することにより、粒径
が約0.1μm以下の非晶質リン酸カルシウム粒子を含
むスラリーを得た。 (噴霧乾燥による非晶質リン酸カルシウム集合体の製
造)噴霧乾燥に用いた装置を図1に概略的に示す。かか
る装置において、エアフィルター9を通り電気ヒータ1
0によって加温された熱空気は、熱ガス室11からスプ
レードライヤー5内に入る。この熱空気は、スプレード
ライヤー5のアトマイザー6により噴霧されるスラリー
3を乾燥造粒しつつ、排出孔12からサイクロン8に向
けて流出する。
【0033】上記「スラリーの製造」によって得られ
た、非晶質リン酸カルシウム粒子1を含むスラリー3
を、図1に示す定量ポンプ4によりスプレードライヤー
(大川原化工機械社製の「ODB−25G」)5のアト
マイザー6に供給した。そのアトマイザー6を高速回転
させて、スプレードライヤー5内の乾燥用の熱空気流中
に上記混合物スラリー3を噴霧し、噴霧造粒乾燥法によ
り造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、非晶質リン酸
カルシウム集合体7が得られた。
た、非晶質リン酸カルシウム粒子1を含むスラリー3
を、図1に示す定量ポンプ4によりスプレードライヤー
(大川原化工機械社製の「ODB−25G」)5のアト
マイザー6に供給した。そのアトマイザー6を高速回転
させて、スプレードライヤー5内の乾燥用の熱空気流中
に上記混合物スラリー3を噴霧し、噴霧造粒乾燥法によ
り造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、非晶質リン酸
カルシウム集合体7が得られた。
【0034】上記噴霧乾燥によって得られた非晶質リン
酸カルシウム集合体7はサイクロン8によって採取し
た。また、サイクロン8により採取できない超微粉体は
バグフィルター(図示せず)により別に採取した。な
お、造粒乾燥時の操作条件として、定量ポンプ4による
混合物スラリー3の供給量は1〜3kg/時間とした。
エアフィルター9を介して電気ヒーター10によって加
温された熱空気の温度は、熱ガス室11の入口温度が1
50〜350℃となるように、サイクロン8に繁がる排
出孔12における出口温度が常に80℃を超えるよう
に、それぞれ制御した。アトマイザー6の回転数は10
000〜40000rpmの範囲内に設定した。
酸カルシウム集合体7はサイクロン8によって採取し
た。また、サイクロン8により採取できない超微粉体は
バグフィルター(図示せず)により別に採取した。な
お、造粒乾燥時の操作条件として、定量ポンプ4による
混合物スラリー3の供給量は1〜3kg/時間とした。
エアフィルター9を介して電気ヒーター10によって加
温された熱空気の温度は、熱ガス室11の入口温度が1
50〜350℃となるように、サイクロン8に繁がる排
出孔12における出口温度が常に80℃を超えるよう
に、それぞれ制御した。アトマイザー6の回転数は10
000〜40000rpmの範囲内に設定した。
【0035】こうして得られた非晶質リン酸カルシウム
集合体7は多孔質の球状体であって、その平均粒径は2
0μmであった。さらに、上記非晶質リン酸カルシウム
集合体を350℃で1時間予備加熱した後、デシケータ
ーで1時間放冷し、およそ0.35gの粉末を秤量し
て、さらに300℃で30分脱気した。次いで、比表面
積を測定したところ、85.1m2/gであった。
集合体7は多孔質の球状体であって、その平均粒径は2
0μmであった。さらに、上記非晶質リン酸カルシウム
集合体を350℃で1時間予備加熱した後、デシケータ
ーで1時間放冷し、およそ0.35gの粉末を秤量し
て、さらに300℃で30分脱気した。次いで、比表面
積を測定したところ、85.1m2/gであった。
【0036】なお、比表面積は、流動式比表面積自動測
定装置〔(株)島津製作所製の「フローソーブ2300
形」〕を用いてBET一点法により測定した。 製造例2 スプレードライヤーの回転数を10000〜25000
rpmにしたほかは製造例1と同様にして、平均粒径が
80μmで、比表面積が60.5m2 /gである非晶質
リン酸カルシウム集合体を得た。
定装置〔(株)島津製作所製の「フローソーブ2300
形」〕を用いてBET一点法により測定した。 製造例2 スプレードライヤーの回転数を10000〜25000
rpmにしたほかは製造例1と同様にして、平均粒径が
80μmで、比表面積が60.5m2 /gである非晶質
リン酸カルシウム集合体を得た。
【0037】比較製造例1 スプレードライヤーの回転数を約8000rpmにした
ほかは製造例1と同様にして、平均粒径が80μmで、
比表面積が40m2 /g以下である非晶質リン酸カルシ
ウム集合体を得た。 比較製造例2 スプレードライヤーの回転数を約5000rpmにした
ほかは製造例1と同様にして、非晶質リン酸カルシウム
集合体を得た。
ほかは製造例1と同様にして、平均粒径が80μmで、
比表面積が40m2 /g以下である非晶質リン酸カルシ
ウム集合体を得た。 比較製造例2 スプレードライヤーの回転数を約5000rpmにした
ほかは製造例1と同様にして、非晶質リン酸カルシウム
集合体を得た。
【0038】次いで、得られた非晶質リン酸カルシウム
集合体を振動型フルイ機を用いて分球したところ、球形
にはなっておらず顆粒状であった。分級後の粒子の平均
粒径は200μmで、比表面積は36.2m2 /gであ
った。 〔精製試験〕上記製造例1、2および比較製造例1、2
で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体を用いて劣化
油の精製試験を行い、油性物質の酸価と脱酸率を求めて
過酸化物および遊離脂肪酸の吸着性能を評価した。
集合体を振動型フルイ機を用いて分球したところ、球形
にはなっておらず顆粒状であった。分級後の粒子の平均
粒径は200μmで、比表面積は36.2m2 /gであ
った。 〔精製試験〕上記製造例1、2および比較製造例1、2
で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体を用いて劣化
油の精製試験を行い、油性物質の酸価と脱酸率を求めて
過酸化物および遊離脂肪酸の吸着性能を評価した。
【0039】試験例1 日清製油(株)製のコーンサラダ油を不連続で10時間
加熱して、酸価が4.5で着色した加熱劣化油を得た。
なお、酸価の測定は、JIS K3504(油脂の酸価
試験方法)に従い、試料採取量を10gとし、KOHに
は濃度が1/10Nのものを使用した。
加熱して、酸価が4.5で着色した加熱劣化油を得た。
なお、酸価の測定は、JIS K3504(油脂の酸価
試験方法)に従い、試料採取量を10gとし、KOHに
は濃度が1/10Nのものを使用した。
【0040】上記加熱劣化油45gを入れた50mlフ
ラスコに、上記製造例1で得られた非晶質リン酸カルシ
ウム集合体5g(10重量%)を添加し、室温において
マグネティックスターラーで60分攪拌して、劣化油の
精製を行った。攪拌後、遠心分離(3000rpmで1
5分間遠心分離する操作を2回実施した)により粉末部
と油層部とを分離した。
ラスコに、上記製造例1で得られた非晶質リン酸カルシ
ウム集合体5g(10重量%)を添加し、室温において
マグネティックスターラーで60分攪拌して、劣化油の
精製を行った。攪拌後、遠心分離(3000rpmで1
5分間遠心分離する操作を2回実施した)により粉末部
と油層部とを分離した。
【0041】油層部の酸価を上記方法で測定したところ
1.48と充分に低くなっており、脱酸率は67%と極
めて高い値であった。なお、脱酸率(%)は精製処理前
の劣化油の酸価と、精製処理後の劣化油の酸価とを用い
て求めたものであって、式:
1.48と充分に低くなっており、脱酸率は67%と極
めて高い値であった。なお、脱酸率(%)は精製処理前
の劣化油の酸価と、精製処理後の劣化油の酸価とを用い
て求めたものであって、式:
【0042】
【数1】
【0043】で求められる。この脱酸率は45%以上、
好ましくは50%以上であることが望ましい。 試験例2 非晶質リン酸カルシウム集合体として上記製造例2で得
られたものを使用したほかは、実施例1と同様にして、
劣化油の精製と油層部の分離とを行った。
好ましくは50%以上であることが望ましい。 試験例2 非晶質リン酸カルシウム集合体として上記製造例2で得
られたものを使用したほかは、実施例1と同様にして、
劣化油の精製と油層部の分離とを行った。
【0044】その結果、油層部の酸価は2.25にまで
低下しており、脱酸率も50%と充分に高い値であっ
た。 比較試験例1 非晶質リン酸カルシウム集合体として上記比較製造例1
で得られたものを使用したほかは、実施例1と同様にし
て、劣化油の精製と油層部の分離とを行った。その結
果、油層部の酸価は2.70であった。脱酸率は40%
であって、実用上不十分であった。
低下しており、脱酸率も50%と充分に高い値であっ
た。 比較試験例1 非晶質リン酸カルシウム集合体として上記比較製造例1
で得られたものを使用したほかは、実施例1と同様にし
て、劣化油の精製と油層部の分離とを行った。その結
果、油層部の酸価は2.70であった。脱酸率は40%
であって、実用上不十分であった。
【0045】比較試験例2 非晶質リン酸カルシウム集合体として上記比較製造例2
で得られたものを使用したほかは、実施例1と同様にし
て劣化油の精製と油層部の分離とを行った。その結果、
油層部の酸価は3.15と高く、脱酸率は30%と不十
分であった。次に、本発明の油性物質精製体および油性
物質の精製方法についての実施例および比較例を挙げ
て、本発明を説明する。
で得られたものを使用したほかは、実施例1と同様にし
て劣化油の精製と油層部の分離とを行った。その結果、
油層部の酸価は3.15と高く、脱酸率は30%と不十
分であった。次に、本発明の油性物質精製体および油性
物質の精製方法についての実施例および比較例を挙げ
て、本発明を説明する。
【0046】実施例1 東洋紡績(株)製の不織布〔品番ZR55KC、組成レ
ーヨン/ポリエチレンテレフタレート、目付200g/
m2 、厚さ0.88mm、引張強度縦25.9kgf/
5cm、横85.9kgf/5cm〕を10cm×15
cmの大きさに裁断し、10cm×7.5cmになるよ
うに縦方向に二つ折りにした。さらに、2方向を合成ゴ
ム系、天然ゴム系、アクリル系、ウレタン系、酢ビ・E
VA系、塩ビ・ビニリデン系、PVA系、熱硬化性樹脂
系の接着剤あるいは、ヒートシールによって接着して袋
状にした。
ーヨン/ポリエチレンテレフタレート、目付200g/
m2 、厚さ0.88mm、引張強度縦25.9kgf/
5cm、横85.9kgf/5cm〕を10cm×15
cmの大きさに裁断し、10cm×7.5cmになるよ
うに縦方向に二つ折りにした。さらに、2方向を合成ゴ
ム系、天然ゴム系、アクリル系、ウレタン系、酢ビ・E
VA系、塩ビ・ビニリデン系、PVA系、熱硬化性樹脂
系の接着剤あるいは、ヒートシールによって接着して袋
状にした。
【0047】こうして得られた不織布の袋の中に、上記
製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体を1
2g入れ、開口部をヒートシールで接着して、油性物質
精製体を得た。300mlビーカーに酸価が4の加熱劣
化油100gを入れ、この加熱劣化油の中に上記油性物
質精製体を浸漬し(吸着剤濃度;10.7重量%)、室
温で静置あるいは時々攪拌し、30分後吸着剤を取り出
した。なお、ろ過操作は不要であった。
製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体を1
2g入れ、開口部をヒートシールで接着して、油性物質
精製体を得た。300mlビーカーに酸価が4の加熱劣
化油100gを入れ、この加熱劣化油の中に上記油性物
質精製体を浸漬し(吸着剤濃度;10.7重量%)、室
温で静置あるいは時々攪拌し、30分後吸着剤を取り出
した。なお、ろ過操作は不要であった。
【0048】精製処理後の油の酸価を測定したところ
1.60であった。すなわち、袋に詰めた粉末での脱酸
率は60%であった。 比較例1 製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体に代
えて、太平化学工業((株))製のヒドロキシアパタイ
ト「HAP−100」(粒径2μm)を用いたほかは、
実施例1と同様にして油性物質精製体の作製と油性物質
の精製とを行った。
1.60であった。すなわち、袋に詰めた粉末での脱酸
率は60%であった。 比較例1 製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体に代
えて、太平化学工業((株))製のヒドロキシアパタイ
ト「HAP−100」(粒径2μm)を用いたほかは、
実施例1と同様にして油性物質精製体の作製と油性物質
の精製とを行った。
【0049】その結果は、精製処理後の油の酸価が2.
72であって、脱酸率が32%であった。従って、精製
の程度が不十分であることがわかった。 比較例2 製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体に代
えて、非晶質ヒドロキシアパタイトの凝集体(一次粒子
の粒径0.1μm、凝集体の粒径50μm)を600℃
(結晶化が進行しない温度)で熱処理し、一次粒子同士
の融着を進行させたもの(すなわち、一次粒子の状態で
粒径を50μmにまで成長させたもの)を用いたほか
は、実施例1と同様にして油性物質精製体の作製と油性
物質の精製とを行った。
72であって、脱酸率が32%であった。従って、精製
の程度が不十分であることがわかった。 比較例2 製造例1で得られた非晶質リン酸カルシウム集合体に代
えて、非晶質ヒドロキシアパタイトの凝集体(一次粒子
の粒径0.1μm、凝集体の粒径50μm)を600℃
(結晶化が進行しない温度)で熱処理し、一次粒子同士
の融着を進行させたもの(すなわち、一次粒子の状態で
粒径を50μmにまで成長させたもの)を用いたほか
は、実施例1と同様にして油性物質精製体の作製と油性
物質の精製とを行った。
【0050】その結果は、精製処理後の油の酸価が2.
48であって、脱酸率が38%であった。従って、精製
の程度が不十分であることがわかった。
48であって、脱酸率が38%であった。従って、精製
の程度が不十分であることがわかった。
【0051】
【本発明の効果】以上詳述したように、本発明の非晶質
リン酸カルシウム集合体およびこれを用いた油性物質精
製体は、食用油等の油性物質の精製、特に劣化油中に生
成する遊離脂肪酸や過酸化物を吸着除去するための吸着
剤として好適に用いることができる。
リン酸カルシウム集合体およびこれを用いた油性物質精
製体は、食用油等の油性物質の精製、特に劣化油中に生
成する遊離脂肪酸や過酸化物を吸着除去するための吸着
剤として好適に用いることができる。
【0052】また、本発明の油性物質の精製方法は、遊
離脂肪酸や過酸化物を吸着除去する性能に優れていると
ともに、精製操作が簡単である。
離脂肪酸や過酸化物を吸着除去する性能に優れていると
ともに、精製操作が簡単である。
【図1】非晶質リン酸カルシウム集合体の製造におい
て、噴霧乾燥に用いた装置を示す概略図である。
て、噴霧乾燥に用いた装置を示す概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】一次粒径が0.1μm以下である非晶質リ
ン酸カルシウム粒子の集合体からなり、平均粒径が1〜
200μmで、かつ比表面積が40m 2/g以上の多孔
質構造を有することを特徴とする非晶質リン酸カルシウ
ム集合体。 - 【請求項2】平均粒径が1μm以上、50μm未満であ
る請求項1記載の非晶質リン酸カルシウム集合体。 - 【請求項3】請求項1または2記載の非晶質リン酸カル
シウム集合体を不織布の袋に封入したことを特徴とする
油性物質精製体。 - 【請求項4】請求項3記載の油性物質精製体を油性物質
に加えて、当該油性物質に含まれる過酸化物および遊離
脂肪酸を吸着除去することを特徴とする油性物質の精製
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7973398A JPH11278815A (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 非晶質リン酸カルシウム集合体、これを用いた油性物質精製体および油性物質の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7973398A JPH11278815A (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 非晶質リン酸カルシウム集合体、これを用いた油性物質精製体および油性物質の精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11278815A true JPH11278815A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13698420
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7973398A Pending JPH11278815A (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 非晶質リン酸カルシウム集合体、これを用いた油性物質精製体および油性物質の精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11278815A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014121297A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Yuko Moriyama | 食用油 |
CN105008434A (zh) * | 2012-08-21 | 2015-10-28 | 香奈儿香水美妆品公司 | 复合颗粒和包含其的化妆品组合物 |
-
1998
- 1998-03-26 JP JP7973398A patent/JPH11278815A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105008434A (zh) * | 2012-08-21 | 2015-10-28 | 香奈儿香水美妆品公司 | 复合颗粒和包含其的化妆品组合物 |
JP2014121297A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Yuko Moriyama | 食用油 |
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