JPH11276905A - 光触媒性粒子及びその製造方法 - Google Patents

光触媒性粒子及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11276905A
JPH11276905A JP10098538A JP9853898A JPH11276905A JP H11276905 A JPH11276905 A JP H11276905A JP 10098538 A JP10098538 A JP 10098538A JP 9853898 A JP9853898 A JP 9853898A JP H11276905 A JPH11276905 A JP H11276905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
alloy
oxide
metal
photocatalytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10098538A
Other languages
English (en)
Inventor
Shingo Yonezawa
信吾 米澤
Hiroshige Nakamura
浩茂 中村
Junji Saida
淳治 才田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP10098538A priority Critical patent/JPH11276905A/ja
Publication of JPH11276905A publication Critical patent/JPH11276905A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒特性に優れ、特に可視光領域での光触
媒特性に優れた光触媒性粒子を提供する。 【解決手段】 酸化チタン粒子2と、酸化チタン粒子2
の表面2aの一部が露出するように酸化チタン粒子2の
表面を被覆する、銀、銅、および亜鉛から選択される少
なくとも1種の金属または合金の酸化物3を備え、酸化
チタン粒子2の粒径が1μm以下である光触媒性粒子。
紫外光域で励起する酸化チタン粒子に、前記のような金
属または合金の酸化物を被覆するので、これらの酸化物
が半導体特性を有し、可視光域またはそれよりも短い波
長の光の照射によって、容易に励起されて電子と正孔を
生じる。前記金属または合金の酸化物自身も触媒活性を
有するため、油等の有機物を酸化する作用を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒作用を有す
る光触媒性粒子に関し、特に、厨房機器等に付着した油
分の分解、外装材等の汚れの分解、脱臭、二酸化炭素の
固定等に使用して好適な光触媒性粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油の分解等には、γ-酸化マンガ
ンを触媒として用い、油をこれと一緒に加熱し油の完全
燃焼を促進する方法(熱触媒)や、酸化チタンを鋼板や
フィルター等の担持体に塗布し、これに紫外線を照射す
ることによって油分を分解する光触媒による方法が用い
られてきた。特に、光触媒は熱触媒のように分解に際し
て対象物を高温に保持する必要がないため、近年急速に
需要が高まっている。また、酸化チタンにCr等の遷移
金属をイオン注入したものが可視光域で光触媒作用を有
することも知られていた。さらに、比較的可視光域に近
い波長で励起する有機高分子半導体でも、光励起効果は
確認されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような酸化チタンに代表される無機系光触媒は、紫外線
でなければ触媒作用が起きないために、使用にあたって
は、紫外線ランプが必要になり、また紫外線を用いるの
で人体への光遮断も考慮しなければならなかった。ま
た、イオン注入を利用した光触媒は製造コストが高く、
実用上広範囲に使用することは困難であった。一方、有
機高分子半導体の光励起効果は、油や汚れを分解できる
ほど強いものではないという問題があった。
【0004】そこで本発明は、光触媒特性に優れ、特に
可視光領域での光触媒特性に優れた光触媒性粒子を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明による光触媒性粒子1は、図1
に示すように、酸化チタン粒子2と;酸化チタン粒子2
の表面2aの一部が露出するように酸化チタン粒子2の
表面を被覆する、銀、銅、および亜鉛から選択される少
なくとも1種の金属または合金の酸化物3を備え;酸化
チタン粒子2の粒径が1μm以下であることを特徴とす
る。
【0006】このように構成すると、紫外光域で励起す
る酸化チタン粒子に、銀、銅、および亜鉛のいずれか1
種から選択される1種の金属の酸化物又は2種以上の金
属を含む合金の酸化物を被覆するので、これらの酸化物
が半導体特性を有し、可視光域またはそれよりも短い波
長の光の照射によって、容易に励起されて電子と正孔を
生じる。また、酸化チタンの表面2aの一部が露出する
ように酸化物3を被覆するので、被覆された部分では酸
化物3と酸化チタン2との間で電子や正孔の移動が可能
な状態になっている。さらに、基材である酸化チタンが
1μm以下の微粒子であるので、量子サイズ効果を生み
出すことができる。また、前記金属または合金の酸化物
自身も触媒活性を有するため、油等の有機物を酸化する
作用を発現する。
【0007】ここで、請求項2に記載されているよう
に、請求項1に記載の光触媒性粒子では、金属または合
金の酸化物3は、酸化チタン粒子2の表面に島状に被覆
されているのが好ましい。
【0008】さらに、請求項3に記載のように、請求項
1または請求項2に記載の光触媒性粒子では、金属また
は合金の酸化物3の粒径が0.1μm以下であるのが好
ましい。
【0009】このように構成すると、酸化物3の粒径が
0.1μm以下であるので、油分解特性が良好となる。
【0010】また、請求項4に記載のように、請求項1
乃至請求項3のいずれかに記載の光触媒性粒子では、好
ましくは被覆された金属または合金の酸化物3の、光触
媒性粒子1に対する重量比が、1〜10%となるように
する。
【0011】このときは、金属または合金の酸化物の、
光触媒性粒子1に対する重量比が、1〜10%であるの
で、酸化物皮膜が島状に微細に被覆でき、酸化チタンに
十分な電子や正孔が供給されるため、油や汚れの分解特
性に優れる。
【0012】さらに、請求項5に係る発明による、光触
媒性光触媒性粒子を製造する方法は、粒径が1μm以下
の酸化チタン粒子2の表面2aに、銀、銅および亜鉛か
ら選択される少なくとも1種の金属または合金を島状に
被覆し;前記金属または合金を島状に被覆された酸化チ
タン粒子2を、酸素を含有する気体中で200℃以上の
温度でかつその金属または合金の融点よりも50℃以上
低い温度で熱処理して、前記金属または合金を酸化する
ことを特徴とする。ここで酸素を含有する気体とは、例
えば大気である。
【0013】酸化チタン粒子には、前記金属酸化物を直
接被覆してもよいが、所定の金属乃至合金を先ず被覆し
た後に熱処理によって酸化させてもよい。熱処理で酸化
させる場合、200℃以上の温度で処理するので、十分
な酸化物皮膜を生成することができ、先の金属または合
金の融点より50℃以上低い温度で処理するので、表層
の金属または合金が溶解したり凝集したりするのを防止
できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明による光
触媒性粒子を1個だけ取り出して示した拡大模式図であ
る。実際はこのような光触媒性粒子からなる微粉末を触
媒として用いる。図1に示されるように、本発明の実施
の形態による光触媒性粒子は、ほぼ球形をした基材であ
る酸化チタン2の表面2aに、その一部が露出するよう
に金属の酸化物または合金の酸化物(以下適宜「金属又
は合金の酸化物」という)3を被覆している。
【0015】本発明の一実施の形態では、紫外光域で励
起し、油分解特性等を発現する酸化チタン粒子に、銀、
銅、亜鉛の少なくとも1種以上を主たる成分とする金属
または合金の酸化物を島状に被覆するか、または金属お
よび合金を島状に被覆した後に、これを酸素を含有する
気体例えば大気中で熱処理して酸化物にする。いずれに
しても、本発明の実施の形態による光触媒性粒子は、最
終的には、酸化チタン粒子の表面に金属または合金の酸
化物が被覆された状態にある。
【0016】これらの金属または合金の酸化物は半導体
特性を有し、例えば酸化銀(Ag2O)の場合の室温で
のバンドギャップは1.2eVで、酸化チタンのそれの
3.2eVに比べると非常に狭く、可視光域またはそれ
よりも短い波長の光の照射によって、容易に励起されて
電子と正孔を生じる。
【0017】特に、基材である酸化チタンの粒径が1μ
m以下で、その表面に島状に酸化物が被覆されているよ
うな場合、量子サイズ効果によって、これらの電子や正
孔は格子との熱緩和を受けずに反応性の高いものとなる
(以下適宜上記の金属の酸化物または合金の酸化物を
「酸化物半導体」という)。
【0018】ここで放出された電子および正孔の一部
は、基材である酸化チタンに供給され、酸化チタンの表
面で、可視光中にわずかに含まれる紫外線により励起さ
れて生成する電子および正孔と相乗し、酸化チタンの光
触媒活性を促進する。さらに、これらの金属または合金
の酸化物は、それ自体にも有機物を酸化する触媒効果が
あることから、これら2つの効果によって優れた油分解
等の作用を発現する。
【0019】すなわち本発明の実施の形態では、酸化チ
タンの表面の一部が露出し、かつそれ以外の部分では、
銀、銅、亜鉛の少なくとも1種以上を主たる成分とする
金属または合金の活性な酸化物が微細に被覆されてお
り、しかもこの酸化物が酸化チタンと電子や正孔の移動
が可能な状態で被覆されている。
【0020】また、基材である酸化チタンが1μm以下
の微粒子であるので、量子サイズ効果を生み出す。酸化
チタン粒子をこのような大きさにすることによって、粒
子の表面に被覆する酸化物半導体が励起した際の電子や
正孔の反応性が高まる。酸化チタン粒子の大きさは、望
ましくは0.5μm以下とする。基材の酸化チタン粒子
の大きさが1μmを超えると、表面被覆された酸化物半
導体が励起して生成する電子や正孔が、格子振動によっ
て消失し、光触媒活性を発現しにくくなる。
【0021】酸化物半導体は基材である酸化チタンの表
面に島状に被覆されるのが望ましい。酸化チタンが酸化
物半導体により、完全に被覆されていると、酸化チタン
の光触媒活性が発現しないからである。
【0022】ここで島状被覆とは、酸化チタン粒子に対
し、酸化物半導体が1つ以上の不連続な膜で被覆されて
いる状態を意味し、その被覆率(酸化チタン粒子に酸化
物半導体が被覆されている部分の面積/酸化チタンの表
面積)は、望ましくは20〜50%の範囲とする。
【0023】また上記の不連続膜の観点から、酸化チタ
ン粒子の表面の一部が露出するように酸化チタン粒子の
表面を被覆する場合の、酸化物半導体の被覆形状は、島
状の他、線状、筋状、点状などの種々の形態であっても
よい。さらに、不連続膜の数は1つ以上であれば効果を
有するが、実用的には光の照射方向が等方的でないこと
も考慮すると、図1に示すように、酸化チタン粒子の周
囲が2つ以上の複数の不連続膜で覆われていることが望
ましい(図1には、ほぼ球形をした酸化チタン粒子の大
円に沿って5個の島が形成された場合を示してある)。
【0024】また、上記の電子や正孔の供給を受けるた
めには、酸化チタンと酸化物半導体とは電気的に接合さ
せる。いわゆる両者の混合体であって、電気的な接合が
望めない場合には本発明のような効果は発現し難い。
【0025】このような島状被覆において、酸化物半導
体の酸化チタン粒子上の被覆量を、形成された光触媒性
粒子の1〜10重量%(重量比)の範囲にする。この範
囲では、酸化チタンに十分な電子、正孔の供給が行われ
る。
【0026】また、被覆の際の不純物の混入はできるだ
け少なくする。このようにすると、電気的な接合が強固
になる。また合金被覆の点から、被覆方法としては真空
中または減圧中で処理する真空蒸着やスパッタリングと
いった物理蒸着を行う。
【0027】このような酸化物は、酸化チタン粒子に直
接被覆しても良いし、金属または合金を被覆した後、大
気中での熱処理によって酸化させても良い。金属または
合金を熱処理して酸化させる場合、大気中で200℃以
上の温度でかつ、その金属および合金の融点よりも50
℃以上低い温度で行う。
【0028】200℃より低い温度であると合金系によ
っては十分な酸化物皮膜が生成しない。一方金属および
合金の融点より50℃低い温度を超えて熱処理すると、
表層の金属および合金が溶解または凝集するおそれがあ
る。なお、熱処理時間については、特に制限がなく、粒
子の内部に一部未酸化の部分が残存していても触媒反応
の点からは大きな問題はない。
【0029】また、酸化チタン粒子に対する酸化物状態
での被覆量は、島状に微細に被覆するという観点から、
1〜10重量%の範囲とする。1重量%よりも少ないと
酸化物被覆の効果が現れないおそれがあり、また10重
量%を超えると酸化チタン粒子またはその凝集体を完全
に表面被覆酸化物が覆い光触媒活性を失うおそれがあ
る。また被覆時のコスト上昇も問題となる。
【0030】さらに、表面を島状に被覆する酸化物はそ
の粒径が、0.1μm以下が望ましい。これは、微細粒
子化によって表面積を増大させて有機物を酸化させる触
媒活性を増大させるとともに、量子サイズ効果によっ
て、電子や正孔を移動させやすくするためである。
【0031】一方、被覆される酸化チタンは、光触媒活
性の点からアナターゼ型のものが好ましく、その形状は
特に限定されるものではない。また著しく凝集している
場合には解砕してから用いる。
【0032】以上のように、島状に銀、銅、亜鉛の少な
くとも1種以上の金属または合金の酸化物を被覆した酸
化チタン粒子は、従来の紫外線波長域での油等の有機物
分解の効果が向上するだけでなく、可視光域の長波長光
においても油や汚れを分解することができ、鋼板や樹脂
に被覆することにより工業的用途は極めて大きい。
【0033】また本発明の別の実施の形態である光触媒
性粒子を製造する方法では、粒径が1μm以下の酸化チ
タン粒子の表面に、銀、銅および亜鉛から選択される少
なくとも1種の金属または合金を島状に被覆し、そのよ
うな金属または合金を島状に被覆された酸化チタン粒子
を、酸素を含有する気体である大気中において、200
℃以上の温度でかつその金属または合金の融点よりも5
0℃以上低い温度で熱処理して、金属または合金を酸化
する。
【0034】このように、触媒効果の強い酸化チタン粉
末に、銀、銅および亜鉛の少なくとも1種以上を主たる
成分とする金属または合金の酸化物を被覆するか、また
は金属および合金を島状に被覆し、これを大気中で熱処
理して酸化物状態にすることよって、従来の紫外線波長
領域での光触媒活性を高めるとともに、その領域よりも
長波長側でも光触媒活性を現出させることができる。
【0035】ここで、熱処理は酸素を含有する気体内で
行えばよく、大気の代わりに、窒素やヘリウム、アルゴ
ン等の不活性なガスに、適量(例えば大気と同様に約2
0%)の酸素を含有させた、気体の混合物を用いてもよ
い。但しほぼ純粋な酸素であっても減圧下で用いる等に
より適正な酸化を行わせることができる。酸素を含有す
る気体とは、このような場合も含む。
【0036】前記のような金属または合金を島状に酸化
チタン粒子に被覆するには、無電解めっき法や物理蒸着
法等がある。特に、本出願人の先の出願(特開平2−1
53068)で開示したスパッタリング法を用いるのが
望ましい。この方法によれば、不純物の混入も少なくま
た廃液等の発生がなく、酸化チタン粉末に金属または合
金を島状に効率良く被覆することができる。
【0037】ここで用いるスパッタリング法では、例え
ば、先ず酸化チタンの微粉末を、不活性雰囲気中で流体
ジェット・ミル処理して一次粒子に分散する。このよう
に分散処理して得た微粉末を不活性雰囲気中で減圧加熱
処理する。減圧加熱処理した微粉末を、スパッタリング
源(銀、銅または亜鉛あるいはそれらの合金)を納めた
回転容器に仕込み、その容器を回転させて微粉末の流動
層を形成し、容器を回転した状態で流動微粉末にスパッ
タリングする。このようにして、酸化チタン粒子の表面
にスパッタリング源の金属または合金を被覆する。
【0038】また、酸化チタン粒子に直接酸化物を被覆
するには、ゾルゲル法や物理蒸着法等を用いると良い。
【0039】
【実施例】実施例1 平均粒径0.5μmの酸化チタン粉末に種々の金属また
は合金の酸化物を島状に被覆するかあるいは、金属およ
び合金を島状に被覆した後、熱処理によって酸化状態と
した。
【0040】このようにして得た光触媒性粒子からなる
粉末1gに対し、サラダ油を0.1g加えて混合し、こ
れを照射対象物として直径7cmのガラス製シャーレに
入れ、密閉ボックスに静置した。そして400Wの高圧
水銀灯をシャーレから250mm離れた位置におき、水
銀灯の光を7時間にわたって照射対象物に照射した。な
おこの照射時の照射対象物の温度上昇は約120℃であ
った。
【0041】この条件下で照射後の重量減少によって油
分解に関わる光触媒特性を評価した。その結果を図2と
図3の表に示す。なお、図2は、酸化チタンに直接酸化
物を被覆した場合で、図3は金属または合金を被覆した
後、大気中で熱処理し、酸化状態とさせたものである。
【0042】また、評価は、比較材として同じ粒径の酸
化チタンのみを同様の方法で油分解させ、本実施例での
重量減少が、この重量減少よりも1.2倍を超えるもの
を油分解特性が特に優れるとして◎を、また1.2倍以
下で1.0倍を超える場合を油分解特性が優れるとして
○を、1.0倍以下から0.8倍を超えるものを油分解
特性に改善がないとして△を、0.8倍以下を特性劣化
するとして×とした。
【0043】これらの結果から本発明の実施例の材料
は、紫外線照射下では酸化チタンのみに比べて油分解特
性に優れていることがわかる。
【0044】また本実施例から酸化チタンに直接酸化物
を被覆するよりも、あらかじめ金属または合金を被覆し
てから、大気中で酸化させた方が、特性に優れているこ
ともわかる。さらに被覆方法も物理蒸着法が特に優れて
いることがわかる。
【0045】実施例2 実施例1と同じ粉末に、赤外線から可視光の範囲にある
波長をもつ光を照射することのできる200Wの白熱電
球を用いて、実施例1と同じ評価を行なった。その結果
を図4と図5に示す。この内、図4は酸化チタンに直接
酸化物を被覆した場合で、図5は酸化チタンに金属また
は合金を被覆し、これを種々の温度で、大気中で熱処理
したものの結果である。
【0046】これらの結果から本発明の実施例の材料
は、赤外線から可視光領域の光においても酸化チタンの
みの材料よりも油分解特性に優れていることがわかる。
【0047】また本実施例から酸化チタンに直接酸化物
を被覆するよりも、あらかじめ金属または合金を被覆し
てから、大気中で酸化させた方が、特性に優れているこ
ともわかる。さらに被覆方法も物理蒸着法が特に優れて
いることがわかる。
【0048】実施例3 種々の平均粒径を有する酸化チタン粒子にスパッタリン
グ法によってAg50Zn50(元素名の添字は重量%を表
す)の合金を被覆し、これを600℃−30分間大気中
で熱処理し、最終的な被覆量を約3重量%とした。この
時、実施例1と同じ評価方法で油分解特性を調べた。そ
の結果を図6に示す。図6によれば、酸化チタンの粒径
が約1.2μmでは評価は×であり、約1.1μmでは
評価は△であるが、約1μmと約0.7μmでは○、約
0.5μm、約0.25μm及び約0.1μmでは◎で
あることがわかる。
【0049】これらの結果から本発明の実施例である粒
径1μm以下の酸化チタン(図6にAで示す範囲)で油
分解特性が優れていることがわかる。また0.5μm以
下の粒径で、特性が特に優れていることもわかる。
【0050】実施例4 平均粒径0.3μmの酸化チタン粒子にスパッタリング
法で、種々の重量%のAg50Cu50(添字は重量%)の
合金を被覆し、これを約400℃で約1時間、大気中で
熱処理した。この時、最終的な酸化物状態での被覆量の
違いによる油分解特性を実施例1と同じ方法で評価し
た。その結果を図7に示す。図7では横軸を短縮して示
すために途中を数カ所で省略してある。図7によれば、
酸化物半導体の被覆量が10%を越えた範囲では、評価
は△(約11重量%)ないしは×(約15重量%)であ
るのに対して、被覆量が約10%と約7.5%では○、
約7%、約5%及び約3%では、◎であり、約1%で○
となり、約0.5%では△となることがわかる。
【0051】これらの結果から本実施例における被覆量
が1〜10重量%の(図7にBで示す)範囲で、油分解
特性に優れていることがわかる。また被覆量が3〜7重
量%で特性が特に良いこともわかる。
【0052】実施例5 平均粒径0.1μmの酸化チタン粒子に蒸着法で、Cu
60Zn40(添字は重量%)の合金を被覆し、これを種々
の温度で20分間、大気中で熱処理した。この時、最終
的な酸化物状態での被覆量は3〜5重量%の範囲であっ
た。
【0053】これらの粉末の熱処理温度の違いによる油
分解特性を実施例1と同じ方法で評価した。その結果を
図8に示す。図8によれば、熱処理温度約1000℃で
は評価は×、約900℃で評価は△であるのに対して、
約840℃と約800℃で○、約600℃と約400℃
で◎、約200℃で○、約100℃で×であることがわ
かる。
【0054】これらの結果から本実施例における熱処理
温度が200℃以上で、油分解特性に優れていることが
わかる。さらに400〜600℃で特性が特に優れてい
ることがわかる。また、本実施例における被覆合金の融
点は約900℃であり、熱処理温度が約850℃を超え
ると特性が劣化することもわかる。したがって、本実施
例では、図8に示す温度範囲C(約200〜約800
℃)で熱処理をすれば、油分解特性に優れた光触媒性粒
子が得られることになる。
【0055】実施例6 平均粒径1μmの酸化チタン粒子にスパッタリング法
で、Ag50Cu30Zn20(添字は重量%)の合金を被覆
し、これを600℃の温度で種々の時間、大気中で熱処
理した。なお本合金の融点は約800℃である。この
時、最終的な酸化物状態での被覆量は7〜10重量%の
範囲であった。この場合の表面被覆酸化物の大きさを観
察し、その粒径と油分解特性の関係を実施例1と同じ方
法で評価した。
【0056】その結果を図9に示す。図9の横軸は対数
目盛になっている。図9によれば、被覆酸化物の粒径が
約0.2μmで△、約0.1μm〜約0.015μmで
は○であることがわかる。
【0057】これらの結果から表面酸化物粒子の粒径が
約0.1μm以下である場合に特に良好な油分解特性を
有することがわかる。
【0058】以上のように、本発明の実施の形態によれ
ば酸化チタン光触媒の特性向上をもたらすことができ、
特に可視光領域での油分解特性を著しく向上させること
ができる。これら光触媒性粒子はセルフクリーニング性
を有した調理器具、厨房器具をはじめ、外装および内装
建材等への応用が可能であり、工業化への寄与は極めて
大きい。また、本発明による光触媒材は単に油分解のみ
ならず、窒素酸化物や硫黄酸化物の分解、有機物汚れの
分解、抗菌、二酸化炭素固定といった種々の分野に使用
することができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、紫外光域
で励起する酸化チタン粒子に、銀、銅、および亜鉛のい
ずれか1種以上からなる成分の金属または合金の酸化物
を被覆するので、光触媒特性に優れ、特に可視光領域で
の光触媒特性に優れた光触媒性粒子を提供することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒性粒子の一例である粒子の拡大
模式図である。
【図2】実施例1のうち酸化チタンに直接酸化物を被覆
した場合の評価結果をまとめた表を示す図である。
【図3】実施例1のうち酸化チタンに金属または合金を
被覆し、熱処理した場合の評価結果をまとめた表を示す
図である。
【図4】実施例2のうち酸化チタンに直接酸化物を被覆
した場合の評価結果をまとめた表を示す図である。。
【図5】実施例2のうち酸化チタンに金属または合金を
被覆し、熱処理した場合の評価結果をまとめた表を示す
図である。
【図6】実施例3の評価結果をまとめた図である。
【図7】実施例4の評価結果をまとめた図である。
【図8】実施例5の評価結果をまとめた図である。
【図9】実施例6の評価結果をまとめた図である。
【符号の説明】
1 光触媒性粒子 2 酸化チタン粒子 2a 酸化チタン粒子の表面 3 銀、銅、亜鉛の金属または合金の酸化物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 23/72 B01J 23/72 M 23/80 23/80 M 23/89 23/89 M 37/02 301 37/02 301P C09K 3/00 C09K 3/00 L

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタン粒子と;前記酸化チタン粒子
    の表面の一部が露出するように前記酸化チタン粒子の表
    面を被覆する、銀、銅、および亜鉛から選択される少な
    くとも1種の金属または合金の酸化物を備え;前記酸化
    チタン粒子の粒径が1μm以下であることを特徴とす
    る;光触媒性粒子。
  2. 【請求項2】 前記金属または合金の酸化物は、前記酸
    化チタン粒子の表面に島状に被覆されていることを特徴
    とする、請求項1に記載の光触媒性粒子。
  3. 【請求項3】 前記金属または合金の酸化物の粒径が
    0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1また
    は請求項2に記載の光触媒性粒子。
  4. 【請求項4】 前記被覆された金属または合金の酸化物
    の、前記光触媒性粒子に対する重量比が、1〜10%で
    あることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載の光触媒性粒子。
  5. 【請求項5】 粒径が1μm以下の酸化チタン粒子の表
    面に、銀、銅および亜鉛から選択される少なくとも1種
    の金属または合金を島状に被覆し;前記金属または合金
    を島状に被覆された酸化チタン粒子を、酸素を含有する
    気体中で200℃以上の温度でかつその金属または合金
    の融点よりも50℃以上低い温度で熱処理して、前記金
    属または合金を酸化することを特徴とする;請求項1乃
    至請求項4のいずれかに記載の光触媒性粒子を製造する
    方法。
JP10098538A 1998-03-26 1998-03-26 光触媒性粒子及びその製造方法 Withdrawn JPH11276905A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10098538A JPH11276905A (ja) 1998-03-26 1998-03-26 光触媒性粒子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10098538A JPH11276905A (ja) 1998-03-26 1998-03-26 光触媒性粒子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11276905A true JPH11276905A (ja) 1999-10-12

Family

ID=14222476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10098538A Withdrawn JPH11276905A (ja) 1998-03-26 1998-03-26 光触媒性粒子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11276905A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010057595A (ko) * 1999-12-22 2001-07-05 김무강 은이 도포된 광촉매 제조방법
JP2005254102A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Dainippon Printing Co Ltd 光触媒含有組成物および光触媒含有層
KR100830669B1 (ko) 2007-05-29 2008-05-19 연세대학교 산학협력단 금속 코팅된 광촉매 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010057595A (ko) * 1999-12-22 2001-07-05 김무강 은이 도포된 광촉매 제조방법
JP2005254102A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Dainippon Printing Co Ltd 光触媒含有組成物および光触媒含有層
KR100830669B1 (ko) 2007-05-29 2008-05-19 연세대학교 산학협력단 금속 코팅된 광촉매 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zaleska Doped-TiO2: a review
Nishimoto et al. Correlation of the crystal structure of titanium dioxide prepared from titanium tetra-2-propoxide with the photocatalytic activity for redox reactions in aqueous propan-2-ol and silver salt solutions
JP5306181B2 (ja) 光触媒用三酸化タングステン粉末の製造方法、光触媒用三酸化タングステン粉末および光触媒製品
JP5234305B2 (ja) 光触媒構造体
Zhang et al. Formation Mechanism of Laser‐Synthesized Iron–Manganese Alloy Nanoparticles, Manganese Oxide Nanosheets and Nanofibers
JP2011195412A (ja) 金属を内包する窒化炭素とその製造方法
JP2005199204A (ja) 金属超微粒子含有光触媒及びその製造方法
Bickley et al. Characterisation of iron/titanium oxide photocatalysts. Part 2.—Surface studies
JPWO2004026471A1 (ja) 光触媒材料とその製造方法
JP2015199065A (ja) 光触媒およびその製造方法
TWI246939B (en) Nanostructured zinc oxide powder photocatalyst for visible light and manufacturing method of the same
JP2000096212A (ja) 光触媒膜被覆部材およびその製造方法
JPH08283022A (ja) TiO2 系複合超微粒子及びその製造方法
WO2012023612A1 (ja) 光触媒皮膜の製造方法及び光触媒皮膜
JPH11276905A (ja) 光触媒性粒子及びその製造方法
JPH11300215A (ja) 光触媒性粒子
JP2001276615A (ja) 光触媒用酸化チタン粉末
KR101656134B1 (ko) 열처리 및 아연 도핑된 TiO₂ 광촉매의 제조방법
Wu et al. Preparation of silver nanocrystals in microemulsion by the γ-radiation method
JP3566786B2 (ja) 二酸化チタンを基体とする光触媒及びその製造方法
JP2000237598A (ja) 可視光応答型光触媒の製造方法
JP2000015110A (ja) 光触媒性粒子
JP4089989B2 (ja) 酸化チタン光触媒による水中の有害物の処理方法
JP7454142B2 (ja) 光触媒の製造方法及び光触媒
JP2001038217A (ja) 光触媒膜

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050607