JPH11276753A - 刺繍ミシン - Google Patents

刺繍ミシン

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JPH11276753A
JPH11276753A JP8697698A JP8697698A JPH11276753A JP H11276753 A JPH11276753 A JP H11276753A JP 8697698 A JP8697698 A JP 8697698A JP 8697698 A JP8697698 A JP 8697698A JP H11276753 A JPH11276753 A JP H11276753A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸通し動作を円滑に行うこと。 【解決手段】 糸通しキーが操作されると、刺繍枠55
が糸通し領域S1 内に侵入しているかが判別される。こ
の糸通し領域S1 は糸通し装置の動作領域をX−Y座標
上に投影したものであり、刺繍枠55が糸通し領域S1
内に侵入している場合には、刺繍枠55が糸通し領域S
1 外へ自動的に退避する。このため、糸通し装置による
糸通し動作が刺繍枠55に邪魔されることなく、円滑に
行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縫い針の目孔に上
糸を自動的に通す糸通し装置を備えた刺繍ミシンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】図16は上記ミシンの一例を示してい
る。ここで、ミシン機枠内には針棒台1が配設されてお
り、針棒台1には針棒2が上下動可能に装着されてい
る。また、針棒台1には操作体3が上下動可能に装着さ
れており、操作体3の上端部には筒状部3aが設けら
れ、筒状部3aには傾斜状のカム溝3bが設けられてい
る。
【0003】筒状部3a内には糸通し軸4が挿入されて
いる。この糸通し軸4の下端部にはフック5が取付けら
れ、上端部にはカムピン6が取付けられており、カムピ
ン6はカム溝3b内に係合されている。また、糸通し軸
4の外周部には、カムピン6と筒状部3aの上壁との間
に位置して押えばね7が嵌合されており、押えばね7
は、カムピン6を下方へ付勢し、カム溝3b内の下端部
に保持している。
【0004】針棒2の下端部には縫い針8が装着されて
おり、縫い針8の目孔8a内に上糸9(いずれも図18
参照)を通すにあたっては、上糸9を糸調子機構および
天秤等にセットした後、操作体3に左手を掛け、操作体
3を押下げる。すると、カムピン6がカム溝3b内の下
端部に保持されたまま糸通し軸4が下降し、糸通し軸4
が位置決め部材10に当接することに伴い下降停止す
る。この状態では、図18の(a)に示すように、フッ
ク5が縫い針8の後方に位置し、目孔8aと同一高さに
位置決めされている。
【0005】操作体3をさらに押下げると、カムピン6
がカム溝3bの内面により押圧され、糸通し軸4が回動
する。すると、フック5が糸通し軸4と一体的に回動
し、縫い針8の目孔8a内に侵入する。この後、図17
に示すように、上糸9を右手で張りながら、図18の
(b)に示すように、フック5の鉤部5aに引掛け、操
作体3を上昇操作する。すると、糸通し軸4と一体的に
フック5が反対方向へ回動し、図18の(c)に示すよ
うに、上糸9が縫い針8の目孔8a内から引出される。
【0006】上記装置は、上糸9を右手で張りながら操
作体3を左手で操作する両手操作型の糸通し装置であ
る。これに対して図19の糸通し装置は特公平7−71
596号公報に記載された片手操作型の糸通し装置を示
している。この装置は、糸張り機構11がオペレータの
右手に換わって上糸9を張りながらフック5の鉤部5a
に案内するように構成されており、オペレータが左手で
操作体3を押下げるだけで縫い針8の目孔8aに上糸を
通すことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開平3−12648
4号公報には、図19の糸通し装置をモータで自動的に
駆動することが記載されている。この装置の場合、フッ
ク5や糸張り機構11が若干大きくなる上、大きな刺繍
枠を用いて大きな刺繍模様を形成しようとすると、刺繍
枠の移動範囲が大きくなる。このため、刺繍枠が縫い針
8に接近することがあるので、糸通し時にフック5や糸
張り機構11が刺繍枠に干渉し、糸通し動作に支障を来
す虞れがあった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、糸通し動作を刺繍枠に邪魔されずに
自動で円滑に行うことができる刺繍ミシンを提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の刺繍ミシ
ンは、加工布を保持する刺繍枠と、前記刺繍枠を縫い針
に対して相対的に移動させることに基づいて前記加工布
に刺繍模様を形成する制御装置と、縫い針の目孔に上糸
を通す糸通し装置とを備え、前記糸通し装置が糸通し信
号の出力に基づいて糸通し動作を自動的に実行し、前記
制御装置が糸通し信号を検出すると、前記刺繍枠を所定
の退避位置または所定の退避方向へ相対的に移動させる
ところに特徴を有している。上記手段によれば、糸通し
装置が作動する際に刺繍枠が所定の退避位置または所定
の退避方向へ相対的に移動する。このため、糸通し装置
が刺繍枠に干渉することが防止されるので、糸通し動作
が刺繍枠に邪魔されずに自動で円滑に行われる。
【0010】請求項2記載の刺繍ミシンは、加工布を保
持する刺繍枠と、前記刺繍枠を縫い針に対して相対的に
移動させることに基づいて前記加工布に刺繍模様を形成
する制御装置と、縫い針の目孔に上糸を通す糸通し装置
とを備え、前記糸通し装置が糸通し信号の出力に基づい
て糸通し動作を自動的に実行し、前記制御装置が糸通し
信号を検出すると、前記刺繍枠を前記糸通し装置の動作
領域外へ相対的に移動させるところに特徴を有してい
る。上記手段によれば、糸通し装置が作動する際に刺繍
枠が糸通し装置の動作領域外へ相対的に移動する。この
ため、糸通し装置が刺繍枠に干渉することが防止される
ので、糸通し動作が刺繍枠に邪魔されずに自動で円滑に
行われる。
【0011】請求項3記載の刺繍ミシンは、制御装置が
糸通し信号を検出すると、刺繍枠が糸通し装置の動作領
域内にあるかを判別し、刺繍枠が動作領域内にある場合
には刺繍枠を動作領域外へ相対的に移動させるところに
特徴を有している。上記手段によれば、刺繍枠が糸通し
装置の動作領域内にある場合にのみ動作領域外へ相対的
に移動する。このため、刺繍枠の不用意な移動が防止さ
れるので、作業能率が高まる。
【0012】請求項4記載の刺繍ミシンは、縫い針の着
脱や布押えの着脱等のメンテナンス作業を行う際に操作
されるメンテナンスキーを備え、制御装置がメンテナン
スキーの操作を検出すると、刺繍枠をメンテナンス領域
外へ相対的に移動させるところに特徴を有している。上
記手段によれば、刺繍枠がメンテナンス領域外へ移動す
るので、縫い針の交換や布押えの交換等のメンテナンス
作業を刺繍枠に邪魔されずに円滑に行うことができる。
【0013】請求項5記載の刺繍ミシンは、制御装置が
メンテナンスキーの操作を検出すると、刺繍枠がメンテ
ナンス領域内にあるかを判別し、刺繍枠がメンテナンス
領域内にある場合には刺繍枠をメンテナンス領域外へ相
対的に移動させるところに特徴を有している。上記手段
によれば、刺繍枠がメンテナンス領域内にある場合にの
みメンテナンス領域外へ相対的に移動する。このため、
刺繍枠の不用意な移動が防止されるので、作業能率が高
まる。
【0014】請求項6記載の刺繍ミシンは、制御装置が
刺繍枠の相対的な移動距離が最短になる移動位置を設定
するところに特徴を有している。上記手段によれば、刺
繍枠が最短距離だけ移動するので、刺繍枠の移動に要す
る時間が短縮され、作業能率が高まる。
【0015】請求項7記載の刺繍ミシンは、制御装置が
糸通し動作の終了を検出すると、刺繍枠を移動前位置に
相対的に復帰させるところに特徴を有している。上記手
段によれば、糸換えや糸切れ等が発生した針落点に自動
的に戻って刺繍動作が再開されるので、刺繍模様の仕上
り状態が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1
ないし図15に基づいて説明する。まず、図11におい
て、ミシン機枠21は、ベッド部21aと、ベッド部2
1aから上方へ延びる脚柱部21bと、脚柱部21bの
上端部から水平方向へ延びるアーム部21cと、アーム
部21cの左端部に位置するヘッド部21dと、ベッド
部21aから左方へ突出するフリーアーム部21eとを
有するものであり、フリーアーム部21eには針板22
が装着され、ヘッド部21dには起動/停止スイッチ2
3が装着されている。
【0017】ヘッド部21d内には、図9に示すよう
に、押え棒24が上下動可能に装着されている。この押
え棒24の下部はヘッド部21dから下方へ突出してお
り、押え棒24の下端部には布押え25が着脱可能に装
着されている。また、ヘッド部21d内には、図8に示
すように、押えばね26が収納されている。この押えば
ね26の上端部はミシン機枠21に取付けられ、下端部
は押え棒24に取付けられており、押えばね26は押え
棒24を下方へ付勢し、図9に示すように、布押え25
を針板22の上面に圧接した下降位置に保持している。
【0018】ヘッド部21dには、押え上げレバー27
が軸27aを中心に回動可能に装着されている。この押
え上げレバー27には「く」字状のカム面27bが形成
され、押え上げレバー27の下部はヘッド部21dから
露出している。また、押え棒24には、ヘッド部21d
内に位置して押え棒抱き28が固定されている。この押
え棒抱き28は「く」字状のカム面28aを有するもの
であり、押え上げレバー27が下降位置から矢印A方向
へ操作されると、押え上げレバー27が押え棒抱き28
を押圧するので、押え棒24が押え棒抱き28と一体的
に押えばね26のばね力に抗して上昇し、布押え25と
針板22との間に隙間が形成される。
【0019】押え上げレバー27の操作位置が上昇位置
に達すると、図9に二点鎖線で示すように、押え上げレ
バー27のカム面27bが押え棒抱き28のカム面28
aに面接触状態で係合する。この状態では、押え上げレ
バー27のカム面27bの左辺部が水平になり、押えば
ね26から押え棒抱き28を通して押え上げレバー27
の回動軸線αに下向きの力が作用するので、押え上げレ
バー27の回動力が消滅する。このため、押え上げレバ
ー27が上昇位置に保持されて押え棒抱き28を下方か
ら支えるので、押え棒24および布押え25が上昇位置
に保持される。
【0020】押え上げレバー27が上昇位置から最上位
置へ操作されると、押え上げレバー27が押え棒抱き2
8を押圧するので、押え棒24が押え棒抱き28と一体
的に押えばね26のばね力に抗して最上位置に上昇し、
布押え25と針板22との隙間が大きくなる。この状態
では、押え上げレバー27が回動軸線αの右側で押え棒
抱き28に接触し、押えばね26から押え棒抱き28を
通して押え上げレバー27に反矢印A方向への回動力が
付与されている。
【0021】従って、押え上げレバー27から手を離す
と、押え上げレバー27が反矢印A方向へ回動して上昇
位置に復帰する。この状態で押え上げレバー27を反矢
印A方向へ操作すると、押え棒抱き28を支える部材が
なくなるので、押え棒抱き28と一体的に押え棒24が
押えばね26のばね力で下降し、布押え25が針板22
の上面に圧接した下降位置に復帰する。
【0022】ヘッド部21d内には、図8に示すよう
に、略L字状の糸緩め板29が軸29aを中心に回動可
能に配設されている。そして、押え上げレバー27には
略三角形状のカム面27cが形成されており、押え上げ
レバー27が矢印A方向の上昇位置に操作されると、糸
緩め板29の押圧面29bが押え上げレバー27のカム
面27cにより押圧され、糸緩め板29が矢印B方向へ
回動する。
【0023】ヘッド部21d内には糸調子機構30が配
設されている。この糸調子機構30は、一対の皿(図示
せず)と、一方の皿を他方の皿に押付ける糸調子ばね
(図示せず)とを有するものであり、一対の皿間には上
糸が挟持されている。この糸調子機構30の一方の皿に
はロッド31の上端部が回動可能に連結され、ロッド3
1の下端部は糸緩め板29に回動可能に連結されてお
り、押え上げレバー27の上昇位置への操作に伴い糸緩
め板29が矢印B方向へ回動すると、ロッド31が下方
へ引下げられる。すると、一方の皿が糸調子ばねのばね
力に抗して他方の皿から離間し、一対の皿間に挟持され
た上糸が解放される。
【0024】この状態で押え上げレバー27が下降位置
に操作されると、糸緩め板29が反矢印B方向へ回動復
帰する。すると、ロッド31が上方へ引上げられ、一方
の皿が糸調子ばねのばね力により他方の皿側へ移動する
ので、一対の皿間で上糸が再度挟持される。
【0025】押え棒抱き28には、安全板32が軸32
aを中心に回動可能に装着されており、押え上げレバー
27が下降位置から矢印A方向へ操作されると、安全板
32の押圧面32bが押え上げレバー27のカム面27
cにより押圧され、安全板32が押え上げレバー27の
操作量に応じた分だけ矢印C方向へ回動する。
【0026】ヘッド部21d内には、レバー33が軸3
3aを中心に回動可能に装着されている。このレバー3
3は、安全板32の左端部に回動可能に連結されたもの
であり(両者を分離状態で図示する)、安全板32が押
え上げレバー27の操作量に応じた分だけ回動すると、
安全板32の回動量がレバー33に伝達され、レバー3
3が安全板32の回動量に応じた分だけ回動する。
【0027】ヘッド部21d内には安全装置34が配設
されている。この安全装置34はポテンショメータ(図
示せず)を有するものであり、レバー33が回動する
と、レバー33の回動量に応じたレベルの電気信号がポ
テンショメータから出力される。また、安全装置34は
リミットスイッチを有しており、押え上げレバー27が
上昇位置に操作されると、レバー33の回動量が所定値
に達し、リミットスイッチがオンされる。
【0028】ベッド部21aには膝レバー(図示せず)
が回動可能に装着され、ヘッド部21dにはリフター
(図示せず)が回動可能に装着されている。このリフタ
ーはリンク機構を介して膝レバーに連結されたものであ
り、膝レバーを右膝で操作すると、リフターが回動して
押え棒抱き28を押上げる。すると、布押え25が押え
棒24と一体的に上昇位置および最上位置へ上昇する。
【0029】ミシン機枠21内には、図14に示すよう
に、マイクロコンピュータを主体に構成された制御装置
35が配設されている。この制御装置35はCPU35
a,ROM35b,RAM35c,入力インターフェー
ス35d,出力インターフェース35e等をバスライン
35fを介して相互接続してなるものであり、ROM3
5bには、各種の制御プログラムに加えて表示データ等
が格納され、RAM35cには、CPU35aで演算し
た演算結果を一時的に格納するポインタ,カウンタ,バ
ッファ等が設けられている。尚、制御装置35は、ポテ
ンショメータからの出力信号を制御プログラムに基づい
て処理することに伴い、布押え25の高さ位置を検出す
る。
【0030】アーム部21cの前面には、図11に示す
ように、液晶ディスプレイ(LCD)36が装着されて
おり、制御装置35は、ROM35bの制御プログラム
に基づいてLCD36に複数の実用縫いパターン,複数
の刺繍パターン,各種のメッセージ等を表示する。
【0031】LCD36の前面には操作パネル37が装
着されている。この操作パネル37は透明な電極板(タ
ッチパネル)からなるものであり、実用縫いパターンの
表示状態で操作パネル37がタッチされると、制御装置
35は、いずれのパターンがタッチされたかを操作パネ
ル37からの出力信号に基づいて検出し、検出パターン
に応じた実用縫いデータを設定する。
【0032】ヘッド部21d内には、図3に示すよう
に、支軸38が配設されており、支軸38には針棒台3
9が回動可能に装着されている。この針棒台39の上下
部には支持部39aおよび39bが設けられており、支
持部39aおよび39bには針棒40が上下動可能に支
持されている。この針棒40の下端部は、図4の(a)
に示すように、ヘッド部21d外へ突出しており、針棒
40の下端部には縫い針41が着脱可能に装着され、針
棒40の上下方向中間部には針棒抱き42が固定されて
いる。尚、符号41bは、縫い針41を着脱するための
操作ねじを示している。
【0033】ミシン機枠21内には、図3に示すよう
に、ロッド43が収納されており、ロッド43の先端部
には針棒クランク44が固定されている。この針棒クラ
ンク44には針棒クランクロッド45が軸45aを中心
に回転可能に連結されており、針棒クランクロッド45
は針棒抱き42に回転可能に連結されている。
【0034】ミシン機枠21には図14のミシンモータ
46が配設されている。このミシンモータ46の回転軸
には主軸としてのロッド43が連結されており、制御装
置35は、起動/停止スイッチ23の操作を検出する
と、ミシンモータ46を作動させる。すると、ロッド4
3が回転し、針棒クランク44の回転力が針棒クランク
ロッド45から針棒抱き42に伝達され、針棒40と一
体的に縫い針41が一定ストロークで上下動する。尚、
制御装置35は、安全装置34のリミットスイッチのオ
ンを検出すると、布押え25が上昇位置にあると判断
し、起動/停止スイッチ23のオンを検出してもミシン
モータ46の駆動を禁止する。
【0035】フリーアーム部21eには送り歯(図示せ
ず)が前後動可能に設けられており、ミシンモータ46
が作動すると、縫い針41の上下動に同期して送り歯が
所定の布送り運動を行い、布押え25により押えられた
加工布(縫製対象物に相当する)が前方および後方のい
ずれかに送られる。図14の送り歯駆動用ステッピング
モータ47は、送り歯の移動ストロークを変えるための
ものであり、制御装置35は、送り歯駆動用ステッピン
グモータ47を駆動制御することに基づいて加工布の送
り量を調節する。
【0036】フリーアーム部21e内には、針板22の
下方に位置してボビンおよび水平釜(いずれも図示せ
ず)が配設されており、前者のボビンには下糸が巻装さ
れている。後者の水平釜は、ミシンモータ46に連動し
て水平方向へ回転するものであり、水平釜が回転する
と、水平釜の剣先が上糸輪(加工布を貫通して針板22
の下方へ突出する上糸)内に侵入する。この後、上糸輪
がボビンの下糸に交差すると、水平釜から外れる。この
状態で、天秤(図示せず)が上昇すると、上糸輪が引締
められ、加工布に縫い目が形成される。
【0037】尚、針棒台39には、図3に示すように、
糸案内110が取付けられており、ミシン機枠21の上
糸駒(図示せず)から引出された上糸48(図6参照)
は、糸調子機構30,糸取りばね(図示せず),天秤
(図示せず),糸案内110を経由して、縫い針41の
目孔41a(図7参照)内に挿入されている。
【0038】ミシン機枠21内には針棒揺動機構(図示
せず)が配設されている。この針棒揺動機構は図14の
針棒揺動用ステッピングモータ49を駆動源とするもの
であり、制御装置35は、「じぐざぐ縫い」等が選択さ
れている場合、針棒揺動用ステッピングモータ49を駆
動制御し、針棒台39を縫い針41の上下動に同期して
左右方向へ揺動させ、縫い針41を左右方向へ振りなが
ら「じぐざぐ」に折曲がった縫い目を形成する。
【0039】脚柱部21b内には、図11に示すよう
に、カード用コネクタ50が配設されており、ROMカ
ード51を脚柱部21bのカード用スロット(図示せ
ず)内に挿入すると、ROMカード51がカード用コネ
クタ50に接続される。このROMカード51には、複
数の刺繍データが格納されており、制御装置35は、L
CD36に複数の刺繍パターンを表示した状態で操作パ
ネル37がタッチされると、いずれの刺繍パターンがタ
ッチされたかを操作パネル37からの出力信号に基づい
て検出し、タッチパターンに応じた刺繍データをROM
カード51から読出す。
【0040】フリーアーム部21eには刺繍装置52が
着脱可能に装着されている。以下、刺繍装置52につい
て説明する。フリーアーム部21eには本体フレーム5
3が着脱可能に装着されており、本体フレーム53には
刺繍ヘッド54が矢印X方向(加工布の送り方向に対し
て直交する方向)へ移動可能に装着され、刺繍ヘッド5
4には、図1に示すように、合成樹脂製の刺繍枠55が
矢印Y方向(加工布の送り方向に対して平行な方向)へ
移動可能に装着されている。この刺繍枠55は加工布を
保持するためのものであり、刺繍ヘッド54に対して着
脱可能にされている。
【0041】本体フレーム53内には、図14のX方向
ステッピングモータ56およびY方向ステッピングモー
タ57が配設されており、刺繍ヘッド54はX方向ステ
ッピングモータ56に連動して図1の矢印X方向へ移動
し、刺繍枠55はY方向ステッピングモータ57に連動
して図1の矢印Y方向へ移動する。
【0042】本体フレーム53には、図15に示すよう
に、コネクタ58が取付けられている。このコネクタ5
8は、図12に示すように、本体フレーム53をフリー
アーム部21eに装着することに伴いミシン機枠21側
のコネクタ59(図14参照)に嵌合されるものであ
り、制御装置35は、ミシン機枠21側のコネクタ59
から刺繍装置52側のコネクタ58を通してX方向ステ
ッピングモータ56およびY方向ステッピングモータ5
7にパルス信号を与えることに伴い、刺繍枠55を矢印
X方向および矢印Y方向へ移動制御し、加工布に刺繍模
様を形成する。
【0043】尚、ROMカード51の刺繍データは刺繍
模様を画定する座標データからなるものであり、制御装
置35は、ROMカード51からの刺繍データに基づい
て針落点座標(X,Y)を演算する。そして、刺繍枠5
5の1針毎の移動量を針落点座標(X,Y)に基づいて
演算し、演算結果に応じてパルス信号を設定する。
【0044】フリーアーム部21e内には、メスを主体
に構成された糸切り機構(図示せず)が配設されてい
る。そして、操作パネル37には、図13に示すよう
に、糸切りキー37aが印刷されており、制御装置35
は、操作パネル37からの出力信号に基づいて糸切りキ
ー37aが操作されたことを検出すると、図14の電磁
ソレノイド60に糸切り信号(作動信号)を出力し、電
磁ソレノイド60を励磁させる。この電磁ソレノイド6
0は糸切り機構の駆動源に相当するものであり、電磁ソ
レノイド60が励磁されると、糸切り機構が作動し、加
工布の直下で上糸および下糸が同時に切断され、加工布
から分離される。
【0045】ROMカード51の刺繍データには、上糸
の交換を指令する糸換えデータ,刺繍動作の終了を指令
する終了データ,糸切りデータ等が組込まれている。こ
の糸切りデータは、糸換えデータおよび終了データの次
段に位置するものであり、制御装置35は、糸切りデー
タを検出すると、糸切り信号を出力し、糸切り機構を自
動的に作動させる。
【0046】ミシン機枠21内には図14の糸切れセン
サ61が配設されている。この糸切れセンサ61は、上
糸駒から縫い針41に対する上糸48の供給状態を検出
するものであり、制御装置35は、糸切れセンサ61か
らの出力信号に基づいて上糸切れを検出すると、運転時
にはミシンモータ46をオフする。また、運転停止時に
は、起動/停止スイッチ23が操作されてもミシンモー
タ46の駆動を禁止する。
【0047】ミシン機枠21内には図14の下糸量セン
サ62が配設されている。この下糸量センサ62は、ボ
ビンに巻装された下糸量に応じた電気信号を出力するも
のであり、制御装置35は、下糸量センサ62からの出
力信号に基づいて下糸切れを検出すると、運転時にはミ
シンモータ46をオフする。
【0048】ミシン機枠21内には図14のタイミング
センサ63が配設されている。このタイミングセンサ6
3は、針棒40が針上位置(縫い針41に糸通し可能な
針棒40の上昇位置)に達する主軸の回転角度,針下位
置(縫い針41が加工布に刺さった状態の針棒40の下
降位置)に達する主軸の回転角度で電気信号を出力する
ものであり、制御装置35は、刺繍データの中の終了デ
ータおよび起動/停止スイッチ23の操作等に基づいて
縫製動作を停止させる場合、タイミングセンサ63から
の出力信号に基づいてミシンモータ46をオフし、針棒
40を針上位置に位置決めする。
【0049】ミシン機枠21内には図14の押え上げセ
ンサ64が配設されている。この押え上げセンサ64
は、押え上げレバー27の回動位置に応じて状態が切換
わるマイクロスイッチからなるものであり、制御装置3
5は、押え上げセンサ64からの出力信号に基づいて押
え上げレバー27が上昇位置に操作されたこと,押え上
げレバー27が下降位置に操作されたことを検出する。
【0050】ヘッド部21dの左側面には、図10の
(a)に示すように、切断器65が取付けられており、
切断器65とヘッド部21dとの間にはガイド溝65a
が形成されている。この切断器65は、図10の(b)
に示すように、カッター65bを有するものであり、上
糸48を針棒台39の糸案内110からガイド溝65a
内に挿入し、切断器65に巻付けるようにして手前側へ
引張ると、上糸48がカッター65bに押付けられ、切
断される。
【0051】ヘッド部21d内には、図4の(a)に示
すように、糸通し装置66が配設されている。以下、糸
通し装置66について詳述する。ヘッド部21d内には
支持軸67が垂直に配設されており、支持軸67には移
動台68が移動可能に装着されている。この移動台68
とヘッド部21dとの間には引ばね69が装着されてお
り、引ばね69は移動台68を上方へ付勢している。
【0052】ヘッド部21d内には糸通しモータ70が
配設されている。この糸通しモータ70はステッピング
モータからなるものであり、糸通しモータ70の回転軸
にはピニオンギア70aが固定されている。また、移動
台68には垂直なラック部68cが設けられている。こ
のラック部68cはピニオンギア70aに噛合されてお
り、糸通しモータ70の作動に伴いピニオンギア70a
が回転すると、移動台68が支持軸67に沿って移動す
る。
【0053】移動台68には突状の回り止め部68aが
設けられ、ヘッド部21dにはガイド溝21fが設けら
れている。このガイド溝21f内には回り止め部68a
が挿入されており、移動台68は支持軸67に沿って回
り止め状態で移動する。
【0054】移動台68の上端部には連結部68bが設
けられており、連結部68bには操作体71の連結部7
1aが連結されている。また、操作体71には筒状部7
1bが設けられている。この筒状部71bは内面が四角
形状に形成されたものであり、筒状部71b内には断面
矩形状の案内部材72が挿入されている。この案内部材
72はプレス加工または引抜き加工されたものであり、
案内部材72の上下端部は針棒台39にねじ止めされて
いる。従って、糸通しモータ70が作動すると、筒状部
71bの内面が案内部材72により係止され、操作体7
1が移動台68と一体的に回り止め状態で下降する。
【0055】尚、移動台68の連結部68bと操作体7
1の連結部71aとの間には隙間が形成されており、こ
の隙間は、針棒台40と一体的に操作体71が左右方向
へ揺動したときに、操作体71の揺動運動が移動台68
に伝達されないように両者を遮断している。
【0056】操作体71にはばね掛け部71cが設けら
れており、ばね掛け部71cには引ばね73の下端部が
引掛けられている。また、針棒台40にはばね掛け部材
74が取付けられている。このばね掛け部材74には引
ばね73の上端部が引掛けられており、引ばね73は操
作体71を上方へ付勢している。
【0057】操作体71には筒状部71dが設けられて
いる。この筒状部71dは内面が円形状をなすものであ
り、筒状部71d内には、円柱状をなす糸通し軸75の
上端部が上下動可能および回動可能に挿入されている。
また、針棒台39の下部には、図4の(b)に示すよう
に、半円環状の軸挿入部39dが設けられており、糸通
し軸75の下端部は軸挿入部39d内に上下動可能およ
び回動可能に挿入されている。
【0058】糸通し軸75の下端部には、図6の(b)
に示すように、保持部材76が固定されている。この保
持部材76には皿支持片77が固定されており、皿支持
片77には、水平方向へ突出する糸ガイド部77aおよ
び斜め上方へ突出する糸ガイド部77bが形成されてい
る。また、皿支持片77には、図6の(c)に示すよう
に、ピン78が垂直に固定されており、ピン78の外周
部には押え皿79が上下動可能に挿入されている。この
押え皿79には、図6の(b)に示すように、平坦部7
9aが設けられており、押え皿79は、平坦部79aが
保持部材76に係止されることに伴い回り止めされる。
【0059】ピン78の下端部には、図6の(c)に示
すように、ワッシャ80が固定されており、ピン78の
外周部には、ワッシャ80と押え皿79との間に位置し
て押えばね81が嵌合されている。この押えばね81
は、押え皿79を上方へ付勢して皿支持片77に圧接さ
せるものであり、上糸48を切断器65に巻付けて切断
すると、上糸48が皿支持片77の糸ガイド部77aお
よび77bにより案内され、皿支持片77と押え皿79
との間に挿入・挟持される。また、押え皿79の上面に
は、図6の(c)に示すように、突部79bが設けられ
ており、突部79bは押え皿79を皿支持片77に対し
て傾斜させ、押え皿79と皿支持片77との間にくさび
状の糸抜き溝82を形成している。
【0060】糸通し軸75の上端部には、図4の(a)
に示すように、カムピン83が固定されており、カムピ
ン83の両端部は、図5に示すように、糸通し軸75の
外周面から突出している。また、操作体71の右側の筒
状部71dには、図4の(a)に示すように、傾斜状の
カム溝71eが形成されており、カムピン83の前端部
はカム溝71e内に挿入されている。
【0061】糸通し軸75の外周部には、上端部に位置
して押えばね84が嵌合されており、押えばね84の上
端部は右側の筒状部71dの上壁にあてがわれている。
また、押えばね84の下端部はカムピン83にあてがわ
れており、押えばね84はカムピン83をカム溝71e
内の最下位置に保持している。従って、操作体71が下
降すると、操作体71の下降力が押えばね84からカム
ピン83に伝達され、カムピン83がカム溝71e内の
下端部に保持されたまま、糸通し軸75が下降する。
【0062】糸通し軸75の下端部には、図4の(a)
の下部に示すように、略コ字状のリンクレバー85が回
動可能に装着されており、リンクレバー85には略コ字
状の糸係止部材86が固定されている。この糸係止部材
86はアーム部86aを有するものであり、糸通し軸7
5と一体的に糸係止部材86が下降すると、アーム部8
6aが上糸48に接触し、上糸48が糸係止部材86内
に侵入する。尚、図4の(a)の下部は、糸通し装置6
6の下降状態を示している。
【0063】針棒40には、針棒抱き42の上方に位置
して位置決め部材87がねじ止めされている。また、糸
通し軸75の上端部には別の位置決め部材88がねじ止
めされている。針棒40の位置決め部材87にはストッ
パ部87aが設けられており、糸通し軸75の下降時に
位置決め部材88がストッパ部87aに当接すると、糸
通し軸75が下降停止する。この後、糸通し軸75のカ
ムピン83が操作体71のカム溝71eの内面に押圧さ
れ、糸通し軸75が図6の矢印D方向へ回動する。尚、
糸通し軸75の回動範囲は、図5に示すように、65°
に設定されている。
【0064】針棒台39の下部には、図4の(a)に二
点鎖線で示すように、切欠部39cが形成されており、
針棒40が針上位置にない状態で糸通し軸75が下降開
始した際にはカムピン83が切欠部39c内に侵入し、
切欠部39cの内面に係止されることに伴い、糸通し軸
75の回動が拘束される。従って、針棒40が針上位置
にある状態でのみ糸通し動作が許容される。
【0065】リンクレバー85には、図6の(a)に示
すように、第1のピン89が垂直に固定されている。こ
のピン89には第1のリンク板90の一端部が回動可能
に連結されており、リンク板90の他端部にはリンクピ
ン91が装着され、リンクピン91には第2のリンク板
92の一端部が回動可能に連結されている。また、保持
部材76には、図6の(b)に示すように、円筒状のボ
ス部76aが設けられている。このボス部76a内には
回転軸93が挿入されており、第2のリンク板92の他
端部は回転軸93に回動可能に連結されている。
【0066】糸通し軸75の下端部には、図4の(b)
に示すように、略コ字状をなすリンクガイド94の下辺
部94cが回動可能に挿入されており、糸通し軸75に
は、リンクガイド94の下辺部94cの上下面に位置し
て止め輪95が装着されている。これら両止め輪95
は、リンクガイド94を軸方向に対して位置決めするも
のであり、糸通し軸75の下降時には、リンクガイド9
4が糸通し軸75と一体的に下降する。
【0067】案内部材72の中間部はリンクガイド94
の上辺部94bに挿入されており、糸通し軸75の回動
時には、リンクガイド94が案内部材72により回り止
めされ、糸通し軸75が単独で矢印D方向へ回動する。
尚、上側の止め輪95は、針棒台39の軸挿入部39d
に係止されることに伴い、糸通し軸75を上方の初期位
置に保持するものである。
【0068】リンクガイド94の下辺部94cの下面に
は、図6の(a)に示すように、直線状のカム溝94a
が形成されている。このカム溝94a内にはリンクピン
91が挿入されており、糸通し軸75と一体的に皿支持
片77が矢印D方向へ回動すると、リンクピン91がカ
ム溝94aに沿って矢印E方向へスライドする。する
と、第1のピン89が矢印F方向へ移動し、糸係止部材
86が矢印G方向へ回動する。
【0069】糸係止部材86には、図6の(a)に示す
ように、糸掛け溝86bが形成されており、糸係止部材
86が矢印G方向へ回動すると、図6の(b)に示すよ
うに、糸係止部材86内に侵入している上糸48が糸掛
け溝86b内に係合し、糸係止部材86の回動に伴い縫
い針41に接近する。この状態では、保持部材76のボ
ス部76aが糸係止部材86と押え皿79との間で上糸
48に接触し、上糸48を緊張状態に保持する。
【0070】保持部材76には、皿支持片77の反対側
に位置してフック機構95が固定されている。このフッ
ク機構95は、図7に示すように、フック板96と、フ
ック板96の両側に位置する2枚のガード板97と、フ
ック板96および2枚のガード板97を水平方向に貫通
するワイヤ98とを有するものであり、糸通し軸75の
下降時には、図6の(a)に示すように、上方から見て
フック機構95が針棒40の左後方に位置し、糸通し軸
75と一体的に下降する。また、糸通し軸75の下降停
止時には、フック板96が縫い針41の目孔41aと同
一高さに位置決めされる。
【0071】フック板96の先端部には、図7の(a)
に示すように、鉤部96aが形成されており、糸通し軸
75が回動すると、鉤部96aが縫い針41の目孔41
a内に侵入し、両ガード板97が縫い針41の前方へ突
出する。尚、位置決め部材87および88は、製造時に
ねじを緩めて高さ調節されおり、フック板96は、位置
決め部材87および88の高さ調節に伴い縫い針41の
目孔41aと同一高さに位置決めされる。
【0072】操作体71には、図4の(a)に示すよう
に、ばね掛け部71cの下方に位置して糸通しスイッチ
100が固定されている。この糸通しスイッチ100は
マイクロスイッチからなるものであり、操作体71が下
死点まで下降してフック板96が縫い針41の目孔41
a内に侵入すると、糸通しスイッチ100のプランジャ
が操作体71の突状のばね掛け部71cにより押圧さ
れ、糸通しスイッチ100の状態が切換わる。
【0073】針棒台39にはコードリール101が装着
されており、糸通しスイッチ100の配線コード100
aはコードリール101に巻取られ、一定の張りを保っ
ている。このため、操作体71の移動に伴い配線コード
100aがだぶつき、周囲の作動部材に作動不良が生じ
ることが防止される。糸通し装置66は以上のように構
成されている。
【0074】操作パネル37には、図13に示すよう
に、メンテナンスキー37bおよび糸通しキー37cが
印刷されており、制御装置35は、操作パネル37から
の出力信号に基づいて糸通しキー37cが操作されたこ
とを検出すると、糸通しモータ70にパルス信号を与
え、糸通し装置66を作動させる。
【0075】制御装置35のROM35bには、図1の
糸通し領域S1 の輪郭線が座標データ(X,Y)として
記憶されている。この糸通し領域S1 は、押え皿79,
糸係止部材86,フック機構95等の回動領域をX−Y
座標上に投影した動作領域に相当するものであり、刺繍
枠55および刺繍ヘッド54に邪魔されることなく、糸
通し装置66が縫い針41の目孔41aに上糸48を通
すのに必要なスペースを示している。
【0076】制御装置35のROM35bには、図1の
メンテナンス領域S2 の輪郭線が座標データ(X,Y)
として記憶されている。このメンテナンス領域S2 は、
刺繍枠55および刺繍ヘッド54に邪魔されることな
く、両手で縫い針41を交換したり、両手で糸からみを
直したり、両手で布押え25を交換できる領域をX−Y
座標上に投影したものであり、糸通し領域S1 を包含す
る大きさに設定されている。
【0077】次に縫い針41の目孔41aに上糸48を
通す糸通し動作について詳述する。押え上げレバー27
を上昇位置へ操作し、糸調子機構30を解放状態に切換
える。そして、上糸48を上糸駒から引出し、糸調子機
構30,糸取りばね,天秤を経由して糸案内110に引
掛けられた後、切断器65に巻付けて切断する。する
と、上糸48が皿支持片77と押え皿79との間で挟持
され、糸係止部材86の下方に張渡される。
【0078】糸駒から糸調子機構30に至る経路上には
ばね部材(図示せず)が設けられている。このばね部材
は、上糸48の捻りが糸調子機構30に侵入して縫製不
良を起こさないように、上糸48に数グラムのより戻し
プリテンションを付与するものであり、上糸48は、押
え上げ状態であっても、押え皿79による保持圧とばね
部材によるプリテンション圧とによって、切断後も緊張
状態に保持される。
【0079】上糸48をセットしたら、操作パネル37
の糸通しキー37cを操作する。すると、制御装置35
は、糸通しキー37cからの糸通し信号を検出し、タイ
ミングセンサ63からの出力信号に基づいて針棒40の
状態を検出する。ここで、針棒40が針上位置にあると
判断すると、刺繍枠55が糸通し領域S1 外に退避して
いるかを検出する。また、針棒40が針上位置にないと
判断すると、ミシンモータ46を駆動して針棒40を針
上位置に移動させた後、刺繍枠55が糸通し領域S1 外
に退避しているかを検出する。
【0080】例えば図1に実線で示すように、刺繍枠5
5の内周面が糸通し領域S1 外に退避している場合、制
御装置35は、糸通しモータ70にパルス信号を与え、
糸通しモータ70の回転軸を正転させる。また、図1に
二点鎖線で示すように、刺繍枠55の内周面が一部でも
糸通し領域S1 内に侵入している場合、LCD36に警
告メッセージを表示する。そして、X方向ステッピング
モータ56およびY方向ステッピングモータ57を駆動
し、刺繍枠55を退避位置(X,Y)に移動させ、刺繍
枠55の内周面を糸通し領域S1 外へ退避させると同時
に、糸通しモータ70の回転軸を正転させる。この退避
位置(X,Y)は制御装置35が演算するものであり、
制御装置35は、刺繍枠55および刺繍ヘッド54が縫
い針41から遠ざかり、しかも、刺繍枠55の移動量が
最短となる退避位置(X,Y)を演算する。
【0081】糸通しモータ70の回転軸が正転すると、
移動体68,操作体71,糸通し軸75が一体的に下降
し、糸通し軸75の糸係止部材86が下降時に上糸48
を捕捉する。この後、糸通し軸75側の位置決め部材8
8が針棒40側の位置決め部材87のストッパ部87a
に当接すると、糸通し軸75が下降停止して図6の矢印
D方向へ回動する。
【0082】糸通し軸75が矢印D方向へ回動すると、
図7の(a)に示すように、フック板96の鉤部96a
が縫い針41の目孔41a内に侵入する。これと共に、
図6の(b)に示すように、糸係止部材86が矢印G方
向へ回動し、鉤部96aに上糸48を受け渡す。尚、2
枚のガード板97間には、図7の(c)に示すように、
糸導入溝99が形成されている。この糸導入溝99は、
矢印H方向から見てV字状をなすものであり、上糸48
は糸導入溝99を通して鉤部96aに受け渡される。
【0083】制御装置35は、糸通しスイッチ100か
らの出力信号が切換わったことを検出すると、糸通しモ
ータ70の回転軸を逆転させる。すると、操作体71の
上昇に伴いカムピン83がカム溝71eの内面により押
圧され、糸通し軸75が図6の反矢印D方向へ反転した
後、糸通し軸75,操作体71,移動台68が初期位置
に上昇する。このとき、フック板96が反転し、図7の
(b)に示すように、フック板96の鉤部96aが縫い
針41の目孔41aから退避するので、上糸48が縫い
針41の目孔41a内に通され、ワイヤ98と鉤部96
aとの間で保持される。
【0084】尚、上糸48には、糸係止部材86の上流
部に位置して糸より防止用のプリテンションが付与さ
れ、下流部に位置して押え皿79による保持圧が付与さ
れている。このため、上糸48が弛むことなく目孔41
a内に侵入し、鉤部96aにより安定的に保持される。
【0085】糸通し軸75が反転すると、リンクピン9
1がリンクガイド94のカム溝94aに沿って図6の
(b)の反矢印E方向へスライドし、糸係止部材86が
縫い針41から遠ざかるように回動する。このとき、上
糸48の切断側が押え皿79の外形方向へ引抜かれるこ
となく糸抜き溝82を通して糸道方向へ引抜かれ、糸通
し操作が終了する。
【0086】制御装置35は、糸通し動作を終えると、
X方向ステッピングモータ56およびY方向ステッピン
グモータ57を駆動する。そして、刺繍枠55を退避前
位置に復帰させた後、LCD36にメッセージを表示
し、押え上げレバー27の下降位置への操作を促す。
尚、刺繍動作の実行中に糸通しキー37cが操作された
場合、制御装置35は、ミシンモータ46をオフして刺
繍動作を中断し、LCD36に警告メッセージを表示す
る。
【0087】オペレータがメンテナスキー37bを操作
すると、制御装置35は、押え上げセンサ64の状態を
検出する。ここで、押え上げセンサ64からの出力信号
に基づいて押え上げレバー27が上昇位置にあることを
検出すると、刺繍枠55がメンテナンス領域S2 外に退
避しているかを判別する。また、押え上げレバー27が
上昇位置にないことを検出すると、LCD36にメッセ
ージを表示し、押え上げレバー27の上昇位置への操作
を促す。この後、押え上げレバー27が上昇位置に操作
されたことを検出すると、刺繍枠55がメンテナンス領
域S2 外に退避しているかを判別する。
【0088】制御装置35は、図1に実線で示すよう
に、刺繍枠55の内周面がメンテナンス領域S2 外に退
避していることを検出すると、LCD36にメッセージ
を表示し、縫い針41の交換や布押え25の交換等のメ
ンテナンス作業を促す。また、刺繍枠55の内周面が一
部でもメンテナンス領域S2 内に侵入していることを検
出すると、LCD36に警告メッセージを表示する。そ
して、X方向ステッピングモータ56およびY方向ステ
ッピングモータ57を駆動し、刺繍枠55を退避位置
(X,Y)に移動させ、刺繍枠55の内周面をメンテナ
ンス領域S2 外へ退避させる。
【0089】この退避位置(X,Y)は、刺繍枠55お
よび刺繍ヘッド54が縫い針41から遠ざかり且つ刺繍
枠55の移動量が最短となるように制御装置35が演算
するものであり、制御装置35は、刺繍枠55を退避位
置(X,Y)へ移動させると、LCD36にメッセージ
を表示し、メンテナンス作業を促す。
【0090】オペレータは、メンテナンス作業を終える
と、押え上げレバー27を下降位置に操作する。する
と、制御装置35は、押え上げセンサ64からの出力信
号に基づいて押え上げレバー27の操作を検出し、刺繍
枠55を退避前位置に復帰させる。尚、刺繍動作の実行
中にメンテナンスキー37bが操作された場合、制御装
置35は、ミシンモータ46をオフして刺繍動作を中断
した後、上記一連の動作を実行する。
【0091】上記実施例によれば、糸通し装置66の作
動時に刺繍枠55を糸通し装置66の動作領域S1 外へ
自動的に退避させた。このため、糸通し装置66が刺繍
枠55に干渉することが防止されるので、糸通し動作が
刺繍枠55に邪魔されずに自動で円滑に行われる。しか
も、刺繍枠55が動作領域S1 内にあるかを判別し、動
作領域S1 内にある場合にのみ動作領域S1 外へ移動さ
せた。このため、刺繍枠55の不用意な移動が防止され
るので、作業能率が高まる。
【0092】また、縫い針41の交換,糸がらみの始
末,布押え25の交換等のメンテナンス作業を針棒40
付近で両手で行うには、刺繍枠55が邪魔になるので、
刺繍枠55を着脱したり、移動させる必要がある。これ
らメンテナンス作業は、オペレータにとって負担であ
り、刺繍模様の仕上り状態に影響を及ぼす。これに対し
て上記実施例によれば、メンテナンスキー37bの操作
時に刺繍枠55をメンテナンス領域S2 外へ自動的に移
動させた。このため、メンテナンス作業を刺繍枠55に
邪魔されることなく両手で行うことができるので、メン
テナンス作業性が向上する。しかも、刺繍枠55がメン
テナンス領域S2 内にあるかを判別し、メンテナンス領
域S2 内にある場合にのみメンテナンス領域S2 外へ移
動させた。このため、刺繍枠55の不用意な移動が防止
されるので、作業能率が高まる。
【0093】また、図2に示すように、カムピン83,
カム溝71e,押えばね84等からなるカム機構の上方
に位置決め部材88を配置し、「Hb」寸法を小さくし
たので、「Ha」寸法が大きくなる。しかも、位置決め
部材87のストッパー部87aを針棒抱き42の上端よ
り下方に配置したので、Ha寸法が一層大きくなる。こ
のため、糸通し装置66を上昇状態でヘッド部21d内
に収納できるので、針もとのスペースが広がり、縫い針
41の交換や布押え25の交換等のメンテナンス作業を
行うにあたって刺繍枠55の移動量を小さくできる。
【0094】また、刺繍枠55を退避させる場合には、
刺繍枠55を針棒40から極力遠い位置に移動させ、作
業を行い易くすることが好ましい。しかしながら、刺繍
枠55の退避距離を長くすると、退避に時間がかかるの
で、作業時間のロスになる。これに対して上記実施例に
よれば、退避位置を刺繍枠55の移動距離が最短になる
ように設定した。このため、刺繍枠55の退避に要する
時間が短縮されるので、作業能率が高まる。
【0095】また、上糸切れによるメンテナンスを想定
すると、加工布に下糸が繋がっているため、加工布と共
に下糸がボビンから引出される。これに対して上記実施
例によれば、退避位置を刺繍枠55の移動距離が最短に
なるように設定したので、下糸の引出し量が最少で済
む。このため、刺繍動作の再開時に下糸が余って縫い上
り状態が損われることがなくなるので、糸切りキー37
aを操作して下糸を切断する面倒な操作を行う必要がな
くなる。
【0096】また、オペレータがマニュアル操作で刺繍
枠55を退避前位置へ戻す場合には、刺繍動作の再開始
位置が再現され難く、退避前の針落位置と再開始位置と
の間に隙間ができ易くなる。これに対して上記実施例に
よれば、刺繍枠55の退避後に縫製動作を行うに際し
て、刺繍枠55を退避前位置に自動的に復帰させた。こ
のため、糸換えや糸切れが発生した針落位置に戻って刺
繍動作が再開始されるので、刺繍模様の仕上り状態が向
上する。
【0097】尚、上記第1実施例においては、制御装置
35のROM35bに複数種の糸通し領域S1 およびメ
ンテナンス領域S2 を記憶させておき、複数種の糸通し
領域S1 およびメンテナンス領域S2 を刺繍枠55の形
状,大きさ,太さ等に応じて選択しても良い。この場
合、ヘッド部21dに選択キーを装着したり、操作パネ
ル37に選択キーを印刷しておき、刺繍枠55の種類を
選択キーの操作に基づいて入力すると、制御装置35が
選択キーの操作内容に応じて糸通し領域S1 およびメン
テナンス領域S2 を自動的に選択する構成にすると良
い。また、上記第1実施例においては、刺繍枠55を糸
通し領域S1 外およびメンテナンス領域S2 外へ退避さ
せる際に糸切り機構を作動させ、上糸および下糸を自動
的に切断しても良い。
【0098】また、上記第1実施例においては、刺繍動
作の実行中に糸通しキー37cが操作された場合にミシ
ンモータ46をオフして刺繍動作を中断した後、LCD
36に警告メッセージを表示する構成としたが、これに
限定されるものではなく、例えば刺繍動作の停止時に糸
通しキー37cが操作された場合と同様、刺繍枠55が
糸通し領域S1 内にあるか否かを判別し、糸通し領域S
1 内にある場合に糸通し領域S1 外へ退避させても良
い。
【0099】次に本発明の第2実施例について説明す
る。尚、上記第1実施例と同一部分については説明を省
略し、以下、異なる部分についてのみ説明を行う。制御
装置35のROM35bには刺繍枠55の複数の退避位
置が座標データ(X,Y)として記憶されており、制御
装置35は、糸通しキー37cからの糸通し信号を検出
すると、タイミングセンサ63からの出力信号に基づい
て針棒40の状態を検出する。
【0100】制御装置35は、針棒40が針上位置にあ
ると判断すると、刺繍枠55を所定の退避位置へ選択的
に移動させ、刺繍枠55を縫い針41から遠ざける。こ
れと同時に糸通し装置66を作動させ、縫い針41の目
孔41aに上糸を通した後、刺繍枠55を退避前位置に
復帰させる。
【0101】上記実施例によれば、糸通し装置66の作
動時に刺繍枠55を所定の退避位置へ自動的に退避させ
た。このため、糸通し装置66が刺繍枠55に干渉する
ことが防止されるので、糸通し動作が刺繍枠55に邪魔
されずに自動で円滑に行われる。
【0102】尚、上記第2実施例においては、刺繍枠5
5を所定の退避位置へ選択的に移動させたが、これに限
定されるものではなく、例えば縫い針41から遠ざかる
所定の退避方向へ選択的に移動させ、縫い針41付近の
スペースを拡大しても良い。また、上記第2実施例にお
いては、刺繍枠55が糸通し領域S1 内にあるか否かを
判別し、刺繍枠55が糸通し領域S1 内にある場合にの
み刺繍枠55を退避させる構成としても良い。この場
合、糸通し領域S1 は押え皿79等の回動領域と等しい
必要はなく、例えば押え皿79等の回動領域より若干大
きく設定しても良い。
【0103】また、上記第2実施例においては、刺繍枠
55を糸通し領域S1 外へ退避させる際に糸切り機構を
作動させ、上糸および下糸を自動的に切断しても良い。
また、上記第1および第2実施例においては、糸通し装
置66の動作終了をトリガとして刺繍枠55を退避前位
置に戻したが、これに限定されるものではなく、例えば
押え上げレバー27の下降位置への操作をトリガとした
り、起動/停止スイッチ23の操作をトリガとして刺繍
枠55を退避前位置へ戻しても良い。あるいは、刺繍枠
55を退避前位置へ戻す専用キーを操作パネル37に印
刷したり、ヘッド部21dに装着しても良い。
【0104】また、上記第1および第2実施例において
は、操作パネル37に糸通しキー37cを印刷したが、
これに限定されるものではなく、例えばヘッド部21d
に糸通しキーを装着しても良い。また、上記第1および
第2実施例においては、刺繍枠55および刺繍ヘッド5
4を矢印Xおよび矢印Y方向へ移動させる構成とした
が、これに限定されるものではなく、例えば縫い針41
を矢印X方向および矢印Y方向へ移動させる構成として
も良い。
【0105】また、上記第1および第2実施例において
は、刺繍枠55の種類に関わらず刺繍枠55を退避させ
る構成としたが、これに限定されるものではなく、例え
ば、面積が大きな特定の刺繍枠55が装着された場合に
のみ刺繍枠55を退避させる構成としても良い。この場
合、操作パネル37に専用キーを印刷したり、ヘッド部
21dに専用キーを装着し、特定の刺繍枠55の使用を
専用キーの操作に基づいて制御装置35に知らせると良
い。
【0106】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の刺繍ミシンは次の効果を奏する。請求項1記載の手段
によれば、糸通し装置の作動時に刺繍枠を所定の退避位
置あるいは所定の退避方向へ自動的に退避させたので、
糸通し装置による糸通し動作が刺繍枠に邪魔されずに自
動で円滑に行われる。請求項2記載の手段によれば、糸
通し装置の作動時に刺繍枠を糸通し装置の動作領域外へ
自動的に退避させたので、糸通し装置による糸通し動作
が刺繍枠に邪魔されずに自動で円滑に行われる。請求項
3記載の手段によれば、刺繍枠が糸通し装置の動作領域
内にあるか否かを判別し、動作領域内にある場合にのみ
動作領域外へ移動させたので、刺繍枠の不用意な移動が
防止され、作業能率が高まる。
【0107】請求項4記載の手段によれば、刺繍枠をメ
ンテナンス領域外へ自動的に移動させたので、メンテナ
ンス作業性が向上する。請求項5記載の手段によれば、
刺繍枠がメンテナンス領域内にあるか否かを判別し、メ
ンテナンス領域内にある場合にのみメンテナンス領域外
へ移動させたので、刺繍枠の不用意な移動が防止され、
作業能率が高まる。
【0108】請求項6記載の手段によれば、刺繍枠を最
短距離で移動させた。このため、刺繍枠の退避に要する
時間が短縮されるので、作業能率が高まる。これと共
に、下糸の引出し量が最少で済むので、糸切りキー等を
操作して下糸を切断する余分な操作を行う必要がなくな
る。請求項7記載の手段によれば、刺繍枠を移動前位置
に自動的に復帰させた。このため、糸換えや糸切れ等が
発生した針落点に自動的に戻って刺繍動作が再開される
ので、刺繍模様の仕上り状態が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(刺繍枠が糸通し
領域外へ退避する様子を示す斜視図)
【図2】(a)は糸通し装置,針棒駆動装置等を示す正
面図、(b)は側面図
【図3】糸通し装置,針棒駆動装置等を示す斜視図
【図4】(a)は糸通し装置,針棒駆動装置等を示す正
面図、(b)リンクガイド,案内部材,糸通し軸を示す
【図5】図4のX1 −X1 線に沿って位置決め部材,カ
ムピン等を示す図
【図6】(a)は糸通し装置の要部を糸通し軸の非回動
状態で示す上面図、(b)は糸通し装置の要部を糸通し
軸の回動状態で示す上面図、(c)はX1 −X1 線に沿
う断面図,(d)はX2 視図
【図7】(a)はフック板が縫い針の目孔内に侵入した
状態を示す斜視図、(b)はフック板が縫い針の目孔内
から退避した状態を示す斜視図、(c)はフック板が縫
い針の目孔内から退避して上昇した状態を示す図
【図8】ヘッド部の内部構成を示す正面図
【図9】布押え装置を示す正面図
【図10】(a)は切断器を示す斜視図、(b)は上糸
が切断される様子を示す斜視図
【図11】全体構成を示す正面図
【図12】刺繍装置を示す上面図
【図13】操作パネルを示す正面図
【図14】電気的構成の概略を示すブロック図
【図15】刺繍装置を示す側面図
【図16】従来例を示す図
【図17】フックに上糸が掛けられる様子を示す斜視図
【図18】(a)はフックが縫い針の目孔内に侵入する
直前の状態を示す斜視図、(b)はフックが縫い針の目
孔内に侵入した状態を示す斜視図、(c)はフックが縫
い針の目孔内から退避した状態を示す斜視図
【図19】(a)は別の従来例を示す側面図、(b)は
正面図
【符号の説明】
S1 は糸通し領域(動作領域)、S2 はメンテナンス領
域、25は布押え、35は制御装置、37bはメンテナ
ンスキー、41は縫い針、41aは目孔、48は上糸、
55は刺繍枠、66は糸通し装置を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工布を保持する刺繍枠と、 前記刺繍枠を縫い針に対して相対的に移動させることに
    基づいて前記加工布に刺繍模様を形成する制御装置と、 縫い針の目孔に上糸を通す糸通し装置とを備え、 前記糸通し装置は、糸通し信号が出力されることに基づ
    いて糸通し動作を自動的に実行し、 前記制御装置は、糸通し信号を検出すると、前記刺繍枠
    を所定の退避位置または所定の退避方向へ相対的に移動
    させることを特徴とする刺繍ミシン。
  2. 【請求項2】 加工布を保持する刺繍枠と、 前記刺繍枠を縫い針に対して相対的に移動させることに
    基づいて前記加工布に刺繍模様を形成する制御装置と、 縫い針の目孔に上糸を通す糸通し装置とを備え、 前記糸通し装置は、糸通し信号が出力されることに基づ
    いて糸通し動作を自動的に実行し、 前記制御装置は、糸通し信号を検出すると、前記刺繍枠
    を前記糸通し装置の動作領域外へ相対的に移動させるこ
    とを特徴とする刺繍ミシン。
  3. 【請求項3】 制御装置は、糸通し信号を検出すると、
    刺繍枠が糸通し装置の動作領域内にあるかを判別し、刺
    繍枠が動作領域内にある場合には刺繍枠を動作領域外へ
    相対的に移動させることを特徴とする請求項1あるいは
    2記載の刺繍ミシン。
  4. 【請求項4】 縫い針の着脱や布押えの着脱等のメンテ
    ナンス作業を行う際に操作されるメンテナンスキーを備
    え、 制御装置は、メンテナンスキーの操作を検出すると、刺
    繍枠をメンテナンス領域外へ相対的に移動させることを
    特徴とする請求項1あるいは2記載の刺繍ミシン。
  5. 【請求項5】 制御装置は、メンテナンスキーの操作を
    検出すると、刺繍枠がメンテナンス領域内にあるかを判
    別し、刺繍枠がメンテナンス領域内にある場合には刺繍
    枠をメンテナンス領域外へ相対的に移動させることを特
    徴とする請求項4記載の刺繍ミシン。
  6. 【請求項6】 制御装置は、刺繍枠の相対的な移動距離
    が最短になる移動位置を設定することを特徴とする請求
    項2または4記載の刺繍ミシン。
  7. 【請求項7】 制御装置は、糸通し動作の終了を検出す
    ると、刺繍枠を移動前位置に相対的に復帰させることを
    特徴とする請求項1,2,4のいずれかに記載の刺繍ミ
    シン。
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