JPH11276192A - エチルα−グルコシドの製造方法 - Google Patents
エチルα−グルコシドの製造方法Info
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- JPH11276192A JPH11276192A JP10363298A JP10363298A JPH11276192A JP H11276192 A JPH11276192 A JP H11276192A JP 10363298 A JP10363298 A JP 10363298A JP 10363298 A JP10363298 A JP 10363298A JP H11276192 A JPH11276192 A JP H11276192A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 安価で、しかも純度の高いα-EGのを効率よ
く生産する技術を確立する。 【解決手段】 デンプンまたはその分解物の水溶液に、
エタノール生産能を有する酵母とα-グルコシダーゼと
を併用し、エタノールにα-グルコシル基を導入させ
る。高価な原料であるエタノールをあらかじめ全く使用
する必要なく、α-グルコシダーゼの添加量を大幅に軽
減することができ高濃度のα-EGを高効率で生産。
く生産する技術を確立する。 【解決手段】 デンプンまたはその分解物の水溶液に、
エタノール生産能を有する酵母とα-グルコシダーゼと
を併用し、エタノールにα-グルコシル基を導入させ
る。高価な原料であるエタノールをあらかじめ全く使用
する必要なく、α-グルコシダーゼの添加量を大幅に軽
減することができ高濃度のα-EGを高効率で生産。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、エチルα-グル
コシドの効率的な製造方法に関するものである。
コシドの効率的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酒やミリンは、それ自体飲料とするほ
か、調理や食品加工などにおいて呈味改善に使用されて
いる。その主成分はアルコールやグルコースであるが、
微量成分の一つであるエチルα-グルコシド(以下、α-
EGと表記する)が魚介類の生臭さ(魚臭)や蓄肉の匂い
の改善などに効果のあることが知られている(特開平2
−291293号公報)。
か、調理や食品加工などにおいて呈味改善に使用されて
いる。その主成分はアルコールやグルコースであるが、
微量成分の一つであるエチルα-グルコシド(以下、α-
EGと表記する)が魚介類の生臭さ(魚臭)や蓄肉の匂い
の改善などに効果のあることが知られている(特開平2
−291293号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、アルコール溶液
中でカビ、酵母などから得られるα-グルコシダーゼな
どをマルトース、マルトトリオース、水飴などに作用さ
せると加水分解作用に並行して、アルコールにもグルコ
シル基が転移しα-EGを生成することが知られている。
しかし、この条件で生成するα-EGの濃度はせいぜい1
%前後という低水準である。しかも、原料として高価な
エタノールを使用しなければならないという重大な欠点
があった。
中でカビ、酵母などから得られるα-グルコシダーゼな
どをマルトース、マルトトリオース、水飴などに作用さ
せると加水分解作用に並行して、アルコールにもグルコ
シル基が転移しα-EGを生成することが知られている。
しかし、この条件で生成するα-EGの濃度はせいぜい1
%前後という低水準である。しかも、原料として高価な
エタノールを使用しなければならないという重大な欠点
があった。
【0004】例えば、特開平2-291293号公報に
おいて、酵母シソ゛サッカロミセス・ホ゜ンヘ゛(Schizosaccharomyces p
ombe)を使用、糖類とエタノールから発酵法によりα-EG
を生産する方法が開示されている。しかし、この発明で
はα-EGの生成量は1%弱と非常に少なく、投与した糖
類からの収率も8.4%と低く全く満足のいくものでは
なかった。
おいて、酵母シソ゛サッカロミセス・ホ゜ンヘ゛(Schizosaccharomyces p
ombe)を使用、糖類とエタノールから発酵法によりα-EG
を生産する方法が開示されている。しかし、この発明で
はα-EGの生成量は1%弱と非常に少なく、投与した糖
類からの収率も8.4%と低く全く満足のいくものでは
なかった。
【0005】また、特開平4-112798号公報にお
いて、アスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillusniger)由来のα-グ
ルコシダーゼを使用して30〜80%という高濃度のエ
タノール溶液中でマルトースなどの特定の糖類に反応さ
せα-EGを生成することが報告されている。しかし、反
応液のエタノール濃度を高くするため、α-グルコシダ
ーゼの失活が大きく酵素添加量を多くしなければならな
いなどの理由により、エタノールや酵素の原料コストが
かかりすぎるという重大な欠点があった。
いて、アスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillusniger)由来のα-グ
ルコシダーゼを使用して30〜80%という高濃度のエ
タノール溶液中でマルトースなどの特定の糖類に反応さ
せα-EGを生成することが報告されている。しかし、反
応液のエタノール濃度を高くするため、α-グルコシダ
ーゼの失活が大きく酵素添加量を多くしなければならな
いなどの理由により、エタノールや酵素の原料コストが
かかりすぎるという重大な欠点があった。
【0006】なお、特開平4-112798号公報の反
応において、例えば、マルトースを基質に、アスヘ゜ルキ゛ルス・
ニカ゛ー(Aspergillus niger)由来のα-1,6-グルコシル転移
酵素をα-グルコシダーゼとした場合、以下の反応が並
行して起こっているものと考えられる。 マルトース→グルコース(α-グルコシダーゼによる
加水分解作用) マルトース→イソマルトースあるいはパノース+グル
コース(α-グルコシダーゼによる糖転移作用) マルトース+エタノール→α-EG+グルコース(α-グ
ルコシダーゼによる糖転移作用) そして、エタノール濃度を高くする(30%から80%)
ことによりの加水分解反応およびのイソマルトー
ス、パノースの生成反応を低く抑え、のエタノールへ
の転移反応を優先させる方法である。
応において、例えば、マルトースを基質に、アスヘ゜ルキ゛ルス・
ニカ゛ー(Aspergillus niger)由来のα-1,6-グルコシル転移
酵素をα-グルコシダーゼとした場合、以下の反応が並
行して起こっているものと考えられる。 マルトース→グルコース(α-グルコシダーゼによる
加水分解作用) マルトース→イソマルトースあるいはパノース+グル
コース(α-グルコシダーゼによる糖転移作用) マルトース+エタノール→α-EG+グルコース(α-グ
ルコシダーゼによる糖転移作用) そして、エタノール濃度を高くする(30%から80%)
ことによりの加水分解反応およびのイソマルトー
ス、パノースの生成反応を低く抑え、のエタノールへ
の転移反応を優先させる方法である。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、か
かる欠点を解決し、α-EGの効率的な製造方法について
検討したところ、エタノール生産能を有する酵母とα-
グルコシダーゼとを併用するか、又は、まずエタノール
生産能を有する酵母を添加してエタノールを生産し、次
にα-グルコシダーゼを添加するα-EGの効率的な製造方
法を見いだした。本発明方法は、あらかじめエタノール
を全く添加しなくとも、α-グルコシダーゼの反応副生
成物であるグルコースのほとんどを酵母のエタノール生
産能を利用してエタノールに変換させることにより、こ
のエタノールを受容体としてグルコシル基の転移反応が
起こることを発見した。
かる欠点を解決し、α-EGの効率的な製造方法について
検討したところ、エタノール生産能を有する酵母とα-
グルコシダーゼとを併用するか、又は、まずエタノール
生産能を有する酵母を添加してエタノールを生産し、次
にα-グルコシダーゼを添加するα-EGの効率的な製造方
法を見いだした。本発明方法は、あらかじめエタノール
を全く添加しなくとも、α-グルコシダーゼの反応副生
成物であるグルコースのほとんどを酵母のエタノール生
産能を利用してエタノールに変換させることにより、こ
のエタノールを受容体としてグルコシル基の転移反応が
起こることを発見した。
【0008】本発明の反応においては、エタノール生成
濃度は、最高でも10%程度であり、エタノールへの転
移反応が優先するものではない。そして、前記の加水
分解反応については、基質のマルトース濃度を高くする
ことによって低く抑えることができる。さらに、前記
の反応については、反応時間を長くすることにより、基
質のマルトースのほとんどが消費されると、次にいった
ん生成したイソマルトース、パノースなどのオリゴ糖が
マルトースの代わりに基質となり、そのほとんどが消費
され反応がスムーズに進む。つまり、反応後期には下記
のの反応も並行して起こっている。 イソマルトースあるいはパノース+エタノール→α-E
G+グルコースあるいはマルトース(α-グルコシダーゼ
による糖転移作用) よって、本発明はα-EGの生産において極めて優れてい
る。上記のとおり本発明方法によれば、反応液に高価な
エタノールを全く添加する必要がなく、したがって高濃
度のエタノールによる酵素の失活がないためα-グルコ
シダーゼの添加量を低く抑えることができるため安価
で、しかも副生成物のグルコースのほとんどを消費する
ため純度の高いα-EGのを効率よく生産する技術を確立
できたものである。
濃度は、最高でも10%程度であり、エタノールへの転
移反応が優先するものではない。そして、前記の加水
分解反応については、基質のマルトース濃度を高くする
ことによって低く抑えることができる。さらに、前記
の反応については、反応時間を長くすることにより、基
質のマルトースのほとんどが消費されると、次にいった
ん生成したイソマルトース、パノースなどのオリゴ糖が
マルトースの代わりに基質となり、そのほとんどが消費
され反応がスムーズに進む。つまり、反応後期には下記
のの反応も並行して起こっている。 イソマルトースあるいはパノース+エタノール→α-E
G+グルコースあるいはマルトース(α-グルコシダーゼ
による糖転移作用) よって、本発明はα-EGの生産において極めて優れてい
る。上記のとおり本発明方法によれば、反応液に高価な
エタノールを全く添加する必要がなく、したがって高濃
度のエタノールによる酵素の失活がないためα-グルコ
シダーゼの添加量を低く抑えることができるため安価
で、しかも副生成物のグルコースのほとんどを消費する
ため純度の高いα-EGのを効率よく生産する技術を確立
できたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。
する。
【0010】本発明における基質であるデンプン又はそ
の分解物としては、マルトースのほか、オリゴ糖、オリ
ゴ糖の混合糖液、デキストリン、またはそれらを含む物
質、例えば、マルトース、マルトトリオースの混合物
や、水飴、デンプン、デンプン加水分解物などを使用す
ることができる。基質の濃度については、例えばマルト
ースの場合、濃度が高いほどα-EGの生成量が増加す
る。通常マルトースで1〜50%(w/v)が用いられる。
の分解物としては、マルトースのほか、オリゴ糖、オリ
ゴ糖の混合糖液、デキストリン、またはそれらを含む物
質、例えば、マルトース、マルトトリオースの混合物
や、水飴、デンプン、デンプン加水分解物などを使用す
ることができる。基質の濃度については、例えばマルト
ースの場合、濃度が高いほどα-EGの生成量が増加す
る。通常マルトースで1〜50%(w/v)が用いられる。
【0011】本発明に使用できる酵素はα-グルコシダ
ーゼであるが、中でもα-1,6-グルコシル転移酵素とい
われるカビ類の一種アスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillus nige
r)の生産するα-グルコシダーゼが好適である。酵素は
液体培養、固体培養したものの両者とも使用できる。精
製された酵素はもちろん良いが粗酵素でも使用できる。
ただし酵素剤中にグルコアミラーゼが多量に存在すると
別の反応が起こりα-EGの収率が低下するから好ましく
ない。また、市販のアスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillusniger)
由来のα-グルコシダーゼを用いることもできる。
ーゼであるが、中でもα-1,6-グルコシル転移酵素とい
われるカビ類の一種アスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillus nige
r)の生産するα-グルコシダーゼが好適である。酵素は
液体培養、固体培養したものの両者とも使用できる。精
製された酵素はもちろん良いが粗酵素でも使用できる。
ただし酵素剤中にグルコアミラーゼが多量に存在すると
別の反応が起こりα-EGの収率が低下するから好ましく
ない。また、市販のアスヘ゜ルキ゛ルス・ニカ゛ー(Aspergillusniger)
由来のα-グルコシダーゼを用いることもできる。
【0012】本発明に使用する上記のα-グルコシダー
ゼの添加量は、反応条件によって異なるが、好ましくは
基質のマルトース1gあたり0.001〜10U(国際単
位)を添加することができる。
ゼの添加量は、反応条件によって異なるが、好ましくは
基質のマルトース1gあたり0.001〜10U(国際単
位)を添加することができる。
【0013】本発明に使用できる酵母は、反応の副生成
物であるグルコースを利用してアルコール生産能を有す
るものであれば良い。中でもグルコースを効率よくエタ
ノールに変換し、α-グルコシダーゼ活性を持たないた
め基質のマルトースを資化しない酵母の一種クリヘ゛ロマイセス・
フラシ゛リス(Kluyveromyces fragilis)が好適である。アルコ
ール発酵に一般的に利用される酵母の一種サッカロミセス・セレヒ゛
シエ(Saccharomyces cerevisiae)は、α-グルコシダーゼ
活性を持ち、基質のマルトースや生成物のα-EGも資化
するため、α-EGの収率が低下する点で、前記酵母より
劣るが使用可能である。液体培養した培養液のまま菌体
を用い、これに基質と酵素の溶液を加えて反応させた
り、あるいは培養液を遠心分離などして回収した菌体を
用い、これを基質と酵素の溶液に加えて反応させること
ができる。
物であるグルコースを利用してアルコール生産能を有す
るものであれば良い。中でもグルコースを効率よくエタ
ノールに変換し、α-グルコシダーゼ活性を持たないた
め基質のマルトースを資化しない酵母の一種クリヘ゛ロマイセス・
フラシ゛リス(Kluyveromyces fragilis)が好適である。アルコ
ール発酵に一般的に利用される酵母の一種サッカロミセス・セレヒ゛
シエ(Saccharomyces cerevisiae)は、α-グルコシダーゼ
活性を持ち、基質のマルトースや生成物のα-EGも資化
するため、α-EGの収率が低下する点で、前記酵母より
劣るが使用可能である。液体培養した培養液のまま菌体
を用い、これに基質と酵素の溶液を加えて反応させた
り、あるいは培養液を遠心分離などして回収した菌体を
用い、これを基質と酵素の溶液に加えて反応させること
ができる。
【0014】本発明に使用する上記の微生物の添加量
は、微生物の種類や反応条件によって異なるが、例えば
クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyveromyces fragilis)の培養液か
ら回収した菌体の場合、基質のマルトース1gあたり
0.05〜1g(湿菌体)を添加することができる。
は、微生物の種類や反応条件によって異なるが、例えば
クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyveromyces fragilis)の培養液か
ら回収した菌体の場合、基質のマルトース1gあたり
0.05〜1g(湿菌体)を添加することができる。
【0015】本発明で用いられる反応温度およびpHは、
α-グルコシダーゼが失活せず、かつ微生物の持つアル
コール発酵に関与する酵素群が失活しない温度、pHが用
いられる。好ましくは反応温度10〜45℃、pH 4〜
7の範囲が望ましい。反応時間は、反応条件により異な
るが1〜14日程度である。
α-グルコシダーゼが失活せず、かつ微生物の持つアル
コール発酵に関与する酵素群が失活しない温度、pHが用
いられる。好ましくは反応温度10〜45℃、pH 4〜
7の範囲が望ましい。反応時間は、反応条件により異な
るが1〜14日程度である。
【0016】反応終了後、遠心分離あるいはろ過して微
生物を除去した溶液中には、α-EGのほかエタノール、
少量のグルコースとオリゴ糖が存在する。食品呈味剤と
しては、そのままあるいは濃縮してエタノールを除去し
たものが直接利用できる。α-EG以外の物質を除去する
には、活性炭カラムやシリカゲルクロマトグラフィーが
有効である。
生物を除去した溶液中には、α-EGのほかエタノール、
少量のグルコースとオリゴ糖が存在する。食品呈味剤と
しては、そのままあるいは濃縮してエタノールを除去し
たものが直接利用できる。α-EG以外の物質を除去する
には、活性炭カラムやシリカゲルクロマトグラフィーが
有効である。
【0017】
【実施例】実施例1 クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyvermyces
fragilis)の回収菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例 (1)エタノール生産能があり、かつα-グルコシダー
ゼ活性を持たない酵母の調製クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyver
myces fragilis) IFO 1735をYM培地に接種し、30℃
で、48時間静置培養した後、遠心分離(8,000rp
m、10分)して上清を除き菌体を回収した。
fragilis)の回収菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例 (1)エタノール生産能があり、かつα-グルコシダー
ゼ活性を持たない酵母の調製クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyver
myces fragilis) IFO 1735をYM培地に接種し、30℃
で、48時間静置培養した後、遠心分離(8,000rp
m、10分)して上清を除き菌体を回収した。
【0018】(2)α-EGの生産 マルトースを0.1M酢酸緩衝液(pH 5.8)に溶解し
30%(w/v)濃度とした。これにクリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyv
ermyces fragilis)の湿菌体0.68g/g-マルトースを
懸濁し、市販α-グルコシダーゼ製剤(トランスグルコ
シダーゼL「アマノ」、天野製薬)0.29U/g-マルト
ースを加え30℃で96時間反応した。反応液をHPLCに
より分析した。図1に示すように、反応初期にはマルト
ースが消費され、転移オリゴ糖類の増加が見られた。し
かし、その後転移オリゴ糖類も消費されることから、マ
ルトースに代わりα-EG生成におけるα-グルコシル基の
供与体となっていると思われた。また、酵素反応により
生成したグルコースは、反応48時間まで酵母によりほ
とんど消費され、エタノールに変換されていると考えら
れた。α-EGは反応48時間で最大の3.5%(w/v)が生
産された。投与したマルトースからのα-EGの収率は、
14.3%。
30%(w/v)濃度とした。これにクリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyv
ermyces fragilis)の湿菌体0.68g/g-マルトースを
懸濁し、市販α-グルコシダーゼ製剤(トランスグルコ
シダーゼL「アマノ」、天野製薬)0.29U/g-マルト
ースを加え30℃で96時間反応した。反応液をHPLCに
より分析した。図1に示すように、反応初期にはマルト
ースが消費され、転移オリゴ糖類の増加が見られた。し
かし、その後転移オリゴ糖類も消費されることから、マ
ルトースに代わりα-EG生成におけるα-グルコシル基の
供与体となっていると思われた。また、酵素反応により
生成したグルコースは、反応48時間まで酵母によりほ
とんど消費され、エタノールに変換されていると考えら
れた。α-EGは反応48時間で最大の3.5%(w/v)が生
産された。投与したマルトースからのα-EGの収率は、
14.3%。
【0019】実施例2 クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyvermyce
s fragilis)の培養液とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス (Kluyvermyces fragilis) IFO 1735
をYM培地に接種し、30℃で、48時間静置培養した
後、40%(w/v)マルトース溶液および市販グルコシダー
ゼ製剤(トランスグルコシダーゼL「アマノ」、天野製
薬)0.29U/g-マルトースを0.45μmのメンブレ
ンフィルターで無菌的にろ過して培養液に同量加え(マ
ルトース終濃度20%(w/v))、37℃でさらに8日間静
置培養した。培養液をHPLCにより分析した。実施例
1と同様の反応経過を示し、α-EGは反応8日目におい
て最大の1.4%(w/v)が生産された。
s fragilis)の培養液とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス (Kluyvermyces fragilis) IFO 1735
をYM培地に接種し、30℃で、48時間静置培養した
後、40%(w/v)マルトース溶液および市販グルコシダー
ゼ製剤(トランスグルコシダーゼL「アマノ」、天野製
薬)0.29U/g-マルトースを0.45μmのメンブレ
ンフィルターで無菌的にろ過して培養液に同量加え(マ
ルトース終濃度20%(w/v))、37℃でさらに8日間静
置培養した。培養液をHPLCにより分析した。実施例
1と同様の反応経過を示し、α-EGは反応8日目におい
て最大の1.4%(w/v)が生産された。
【0020】実施例3 サッカロミセス・セレヒ゛シエ(Saccharomyces
cerevisiae)の菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例 マルトースを0.1M酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解
し、30%(w/v)濃度とした。これにサッカロミセス・セレヒ゛シエ(Sac
charomyces cerevisiae)として市販パン酵母0.08g/
g-マルトースを懸濁し、市販α-グルコシダーゼ製剤
(トランスグルコシダーゼL「アマノ」、天野製薬)
0.29U/g-マルトースを加え実施例1と同様に反応し
た。反応液をHPLCにより分析した。α-EGは反応1
6時間で最大1.2%(w/v)が生産された。
cerevisiae)の菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加
してα-EGを生産させた例 マルトースを0.1M酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解
し、30%(w/v)濃度とした。これにサッカロミセス・セレヒ゛シエ(Sac
charomyces cerevisiae)として市販パン酵母0.08g/
g-マルトースを懸濁し、市販α-グルコシダーゼ製剤
(トランスグルコシダーゼL「アマノ」、天野製薬)
0.29U/g-マルトースを加え実施例1と同様に反応し
た。反応液をHPLCにより分析した。α-EGは反応1
6時間で最大1.2%(w/v)が生産された。
【0021】実施例4 最初に酵母を添加し、後にα-
グルコシダーゼを添加してα-EGを生産させた例 グルコースを0.1M酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解
し、30%(w/v)濃度とした。これに実施例1と同様に液
体培養し回収したクリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyvermyces frag
ilis) IFO 1735の湿菌体0.23g/g-グルコースを懸濁
し、30℃で、3日間エタノール生成反応した。これに
同容量の30%(w/v)マルトース-酢酸緩衝液および市販
α-グルコシダーゼ製剤(トランスグルコシダーゼL
「アマノ」、天野製薬)0.29U/g-マルトースを加
え、さらに30℃で3日間α-EGを生産した。3日間の
エタノール生成反応で2.9%(w/v)のエタノールが生成
した。その後3日間のエタノール生成反応において、最
大0.5%(w/v)のα-EGを生産した。
グルコシダーゼを添加してα-EGを生産させた例 グルコースを0.1M酢酸緩衝液(pH5.8)に溶解
し、30%(w/v)濃度とした。これに実施例1と同様に液
体培養し回収したクリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyvermyces frag
ilis) IFO 1735の湿菌体0.23g/g-グルコースを懸濁
し、30℃で、3日間エタノール生成反応した。これに
同容量の30%(w/v)マルトース-酢酸緩衝液および市販
α-グルコシダーゼ製剤(トランスグルコシダーゼL
「アマノ」、天野製薬)0.29U/g-マルトースを加
え、さらに30℃で3日間α-EGを生産した。3日間の
エタノール生成反応で2.9%(w/v)のエタノールが生成
した。その後3日間のエタノール生成反応において、最
大0.5%(w/v)のα-EGを生産した。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明方法によれば、高
価な原料であるエタノールをあらかじめ全く使用する必
要なく、したがって高濃度エタノールによるα-グルコ
シダーゼの失活がないため、α-グルコシダーゼの添加
量を大幅に軽減することができる。又、本発明方法によ
れば、副生成物のグルコースのほとんどを消費するため
高濃度のα-EGを高効率で生産することができる。
価な原料であるエタノールをあらかじめ全く使用する必
要なく、したがって高濃度エタノールによるα-グルコ
シダーゼの失活がないため、α-グルコシダーゼの添加
量を大幅に軽減することができる。又、本発明方法によ
れば、副生成物のグルコースのほとんどを消費するため
高濃度のα-EGを高効率で生産することができる。
【図1】 クリヘ゛ロマイセス・フラシ゛リス(Kluyvermyces fragilis)
の回収菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加したとき
のα-EGの生産反応の経過図。
の回収菌体とα-グルコシダーゼを同時に添加したとき
のα-EGの生産反応の経過図。
Claims (5)
- 【請求項1】 デンプンまたはその分解物の水溶液に、
エタノール生産能を有する酵母とα-グルコシダーゼと
を併用し、エタノールにα-グルコシル基を導入させる
ことを特徴とするエチルα-グルコシドの製造方法。 - 【請求項2】 デンプンまたはその分解物の水溶液に、
エタノール生産能を有する酵母を添加してエタノールを
生産し、次いでα-グルコシダーゼを添加して、エタノ
ールにα-グルコシル基を導入させることを特徴とする
エチルα-グルコシドの製造方法。 - 【請求項3】 前記デンプンまたはその分解物として、
グルコース、マルトース、その他のオリゴ糖、デキスト
リンまたはそれらを含む物質を使用することを特徴とす
る請求項1又は2に記載のエチルα-グルコシドの製造
方法。 - 【請求項4】 前記α-グルコシダーゼが、アスヘ゜ルキ゛ルス・ニ
カ゛ー(Aspergillus niger)由来であることを特徴とする請
求項1又は2記載のエチルα-グルコシドの製造方法。 - 【請求項5】 前記酵母が、クリヘ゛ロマイセス(Kluyvermyces)
属の酵母であることを特徴とする請求項1又は2記載の
エチルα-グルコシドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10363298A JPH11276192A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | エチルα−グルコシドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10363298A JPH11276192A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | エチルα−グルコシドの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11276192A true JPH11276192A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=14359156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10363298A Withdrawn JPH11276192A (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | エチルα−グルコシドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11276192A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002051765A (ja) * | 2000-08-11 | 2002-02-19 | Takara Shuzo Co Ltd | 新規酵母及びその取得方法 |
-
1998
- 1998-03-31 JP JP10363298A patent/JPH11276192A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002051765A (ja) * | 2000-08-11 | 2002-02-19 | Takara Shuzo Co Ltd | 新規酵母及びその取得方法 |
JP4565137B2 (ja) * | 2000-08-11 | 2010-10-20 | 宝ホールディングス株式会社 | 新規酵母及びその取得方法 |
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