JPH11274567A - 半導体素子の電極の形成方法 - Google Patents

半導体素子の電極の形成方法

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JPH11274567A
JPH11274567A JP7968198A JP7968198A JPH11274567A JP H11274567 A JPH11274567 A JP H11274567A JP 7968198 A JP7968198 A JP 7968198A JP 7968198 A JP7968198 A JP 7968198A JP H11274567 A JPH11274567 A JP H11274567A
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semiconductor
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JP7968198A
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Hisayuki Miki
久幸 三木
Akira Fukizawa
朗 蕗澤
Mineo Okuyama
峰夫 奥山
Masaharu Oshima
正治 尾嶋
Hiroshi Fujioka
洋 藤岡
Kanta Ono
寛太 小野
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体
層の表面に電極を形成する半導体素子の電極の形成方法
において、大気中の酸素や水との反応で生成する半導体
層表面の酸化膜の除去の方法を確立し、半導体層と電極
との直接の接触を実現することによって、電極と半導体
とのオーミック接触あるいはショットキー接触を所望の
ように制御する。 【解決手段】 窒化ガリウム系化合物半導体からなる半
導体層の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群
から選ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層を
形成し、該保護層上に前記電極の材料を積層して電極を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ガリウム系化
合物半導体(Alx Gay In1-x-y N:但し、0≦x
<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)を用いた半導体素
子の電極の形成方法に係わり、特に電極と半導体とのオ
ーミック接触あるいはショットキー接触を所望のように
制御することができる半導体素子の電極の形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、短波長光発光素子用の半導体材料
として窒化ガリウム系化合物半導体材料が注目を集めて
いる。窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体層
は、サファイア単結晶を始めとする種々の酸化物単結晶
やIII −V族化合物単結晶を基板として、その上に有機
金属化学気相成長法(MOCVD法)や水素化物気相エ
ピタキシー法(HVPE法)、分子線エピタキシー法
(MBE法)等によって積層される。
【0003】窒化ガリウム系化合物半導体を用いた半導
体素子を作製する場合、半導体の表面に電極を形成する
必要がある。特に発光素子やレーザー素子などのよう
に、電極を通じて半導体に効率的に電流を注入すること
を必要とする半導体素子を作製する場合は、電極と窒化
ガリウム系化合物半導体との電気的な接触は、オーミッ
ク接触をなしていることが必要であり、さらにそのオー
ミック接触の抵抗値が小さいことが望ましい。また、F
ET等の電子デバイスに用いる半導体素子を作製する場
合には、電極と窒化ガリウム系化合物半導体との電気的
な接触としてショットキー接触を実現することが必要な
場合がある。このように、電極と窒化ガリウム系化合物
半導体との間の電気的な接触を所望のように適正に制御
することは、半導体素子を製造する上で非常に重要な技
術である。
【0004】一般に、電極と半導体との接触を適正に制
御するためには、電極を接触させる半導体層の表面を非
常に清浄にしておく必要がある。通常、半導体層の表面
は空気中のゴミやほこり、あるいはハンドリング時に付
着する微量の有機物などで汚染される。また、このよう
な付着した汚れの他にも、半導体層の表面には、空気中
の酸素や水との反応によって半導体の表面が酸化されて
形成される酸化膜が存在する。一般に、前者の付着した
汚れは、有機溶媒や酸を用いた湿式処理によって除去す
ることができるが、後者の酸化膜は半導体結晶あるいは
半導体基板を空気中でハンドリングする限り、防ぐこと
はできない。そしてこの酸化膜は、半導体表面に薄膜と
して存在して、電極材料と半導体との直接の接触を阻害
する。
【0005】これまで、窒化ガリウム系化合物半導体か
らなる半導体層の表面に電極を形成する場合、電極を形
成する直前に行う湿式の表面処理によって表面の汚れや
酸化膜を除去する方法が一般的であった。例えば、有機
物等の汚れを除去するためには、アセトンやエタノール
などの有機溶剤に半導体を浸して超音波洗浄を行う方法
や、有機溶剤の温度を上げて煮沸洗浄を行う方法などが
用いられていた。また、表面の酸化膜を除去する方法と
しては、塩酸溶液や緩衝フッ酸溶液を用いて含浸処理や
煮沸処理などを行う方法が多く用いられていた。しかし
ながら、上記の方法により半導体層表面に形成された有
機物等の汚れや酸化膜を除去しても、その後半導体層を
大気中に曝すと、大気中に含まれる酸素や水と半導体と
が反応して、半導体層表面には再び酸化膜が形成され
る。酸化膜が存在する半導体層表面に電極を形成する
と、半導体層の表面と電極との間に酸化膜が挟まれて、
半導体と電極が直接接触することができない。
【0006】そこで、電極を形成する半導体層表面を不
活性ガスを用いてスパッタリングすることで、酸化膜を
破壊して除去し、半導体層の表面の清浄化する技術が公
開されている(特開平8−264478)。この方法に
よれば、電極を形成する半導体層表面を電極を形成する
直前にアルゴン(Ar)イオン等でスパッタリング処理
することにより、表面の汚染物質に由来すると思われる
炭素(C)や酸素(O)を効果的に除去することができ
るため、形成された電極はオーミック接触で抵抗値を小
さくすることができると記載されている。しかしなが
ら、Arイオンスパッタリングは高エネルギーの粒子を
半導体結晶の表面に照射する方法であるため、半導体層
の最表面には結晶性の乱れたアモルファスまたは多結晶
に近い結晶からなる、いわゆるダメージ層が形成され
る。一般に、このようなダメージ層を残したままでは、
電極と半導体との良好なオーミック接触を得ることは通
常困難である。
【0007】上記のように、電極と半導体との接触を適
正に制御するためには、電極を接触させる半導体層の表
面を非常に清浄にしておく必要があり、特に大気との反
応によって形成される半導体層表面の酸化膜の効果的な
除去方法が従来求められていた。しかしながら、半導体
層の表面に電極を形成する際に、酸化膜のない清浄な半
導体層表面を実現するための方法はいまだ確立していな
かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、窒化ガリウム系
化合物半導体からなる半導体と電極との直接の接触を実
現することが困難である主な原因は、大気中の酸素や水
との反応で生成する半導体層表面の酸化膜の除去の方法
が確立しておらず、半導体層の表面の清浄性を実現でき
ていないことであった。そこで本発明は、窒化ガリウム
系化合物半導体からなる半導体層の表面に電極を形成す
る半導体素子の電極の形成方法において、大気中の酸素
や水との反応で生成する半導体層表面の酸化膜の除去の
方法を確立し、半導体層と電極との直接の接触を実現す
ることによって、電極と半導体とのオーミック接触ある
いはショットキー接触を所望のように制御することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒化ガリウム
系化合物半導体(Alx Gay In1-x-y N:但し、0
≦x<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)からなる半導
体層の表面に電極を形成する半導体素子の電極の形成方
法において、前記窒化ガリウム系化合物半導体からなる
半導体層の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる
群から選ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層
を形成し、該保護層上に前記電極の材料を積層して電極
を形成することを特徴とする。
【0010】本発明は、前記保護層が、1〜5原子層の
厚さであることが好ましい。また本発明は、前記窒化ガ
リウム系化合物半導体からなる半導体層が、p型の導電
性を有する場合に特に有効に用いることができる。
【0011】また本発明は、前記保護層を、前記窒化ガ
リウム系化合物半導体からなる半導体層の表面に、P、
As、Sb、S、Seよりなる群から選ばれた少なくと
も1種類の元素を蒸着することにより形成することがで
きる。更に本発明は、前記窒化ガリウム系化合物半導体
からなる半導体層が、分子線エピタキシャル成長装置内
で分子線エピタキシー法により積層され、該半導体層の
積層に引き続き、前記分子線エピタキシャル成長装置内
で、前記窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体層
の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群から選
ばれた少なくとも1種類の元素を蒸着することにより、
前記保護層を形成するのが特に好ましい。
【0012】また本発明は、前記保護層を、P、As、
Sb、S、Seよりなる群から選ばれた少なくとも1種
類の元素を含む化合物を熱分解し、該元素を前記窒化ガ
リウム系化合物半導体からなる半導体層の表面に堆積さ
せることにより形成することができる。更に本発明は、
前記窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体層が、
有機金属化学気相成長装置内で有機金属化学気相成長法
により積層され、該半導体層の積層に引き続き、前記有
機金属化学気相成長装置内で、P、As、Sb、S、S
eよりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含
む化合物を熱分解し、該元素を前記窒化ガリウム系化合
物半導体からなる半導体層の表面に堆積させることによ
り、前記保護層を形成するのが特に好ましい。
【0013】本発明は、前記電極の最も半導体側に形成
される層が金属からなる場合に特に好適に用いることが
できる。特に本発明は、前記金属が、パラジウム(P
d)、白金(Pt)、金(Au)からなる群から選ばれ
た少なくとも1種類の金属からなる場合、電極と半導体
との接触を良好なオーミック接触とすることができる。
また本発明は、前記金属が、ニッケル(Ni)、Al
(アルミニウム)、インジウム(In)、チタン(T
i)からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属か
らなる場合、電極と半導体との接触を良好なショットキ
ー接触とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前記の目的を達成
するために、大気中の酸素や水との反応で生成する半導
体層表面の酸化膜の除去の方法について鋭意検討を行っ
た結果、窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体層
の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群から選
ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層を形成
し、該保護層上に電極の材料を積層して電極を形成する
ことにより、半導体層表面の酸化膜を効果的に除去する
ことができることを見出した。
【0015】すなわち、窒化ガリウム系化合物半導体か
らなる半導体層が積層され、該半導体層の積層の工程に
引き続き、該半導体層の積層工程をおこなった成長装置
内で、すなわち半導体層を大気中に曝さずに、該半導体
層の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群から
選ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層を形成
した場合は、保護層が窒化ガリウム系化合物半導体層の
表面を覆っているため、半導体層表面はその後大気中に
曝された場合も空気と直接には接触せず、半導体層表面
に酸化膜が形成されるのを効果的に抑制することができ
た。
【0016】さらに、窒化ガリウム系化合物半導体から
なる半導体層を積層し、一旦該半導体層を大気中に曝し
た場合であっても、その後該半導体層の表面に、P、A
s、Sb、S、Seよりなる群から選ばれた少なくとも
1種類の元素からなる保護層を形成することにより、半
導体層表面の酸化膜を効果的に除去することが可能であ
った。これは、大気中に曝すことにより窒化ガリウム系
化合物半導体層の表面に形成される酸化膜をなすAl、
GaあるいはIn(以下Ga等という)の酸化物が、該
酸化膜上にP、As、Sb、S、Seよりなる群から選
ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層を形成す
ることにより、P、As、Sb、SあるいはSeと反応
し、Ga等と結合した酸素がP、As、Sb、Sあるい
はSeと置換することにより、半導体層表面の酸化膜が
破壊されるためであると考えられる。
【0017】本発明に係わるV族元素であるP、As、
SbあるいはVI族元素であるS、Seからなる保護層
は、1〜5原子層の厚さで、半導体層表面の酸化膜を効
果的に除去することができる。この場合、保護層をなす
P、As、Sb、SあるいはSeは、窒化ガリウム系化
合物半導体層との接触界面において、窒化ガリウム系化
合物半導体層の窒素(N)の位置を占めるように配置
し、Ga等と結合を形成すると考えられる。つまり、窒
化ガリウム系化合物半導体層の表面がGa等で終端され
ている面である場合は、保護層をなすP、As、Sb、
SあるいはSeはGa等に結合して表面を覆う。また、
窒化ガリウム系化合物半導体層の表面がNで終端されて
いる面である場合には、保護層をなすP、As、Sb、
SあるいはSeはNと置き換わってGa等との結合を形
成し表面を覆う。
【0018】保護層をなすP、As、Sb、Sあるいは
Seは、その上に電極材料、特に金属からなる電極材料
を蒸着することによって、半導体層表面から容易に除去
することができる。すなわち、保護層上に金属からなる
電極材料を蒸着した場合、保護層をなすP、As、S
b、SあるいはSeは、蒸着した金属の層に取り込まれ
て、金属層の表面に浮き出す。この結果、蒸着された金
属は窒化ガリウム系化合物半導体層に直接接触すること
になる。特に保護層を1〜5原子層の厚さとした場合に
は、保護層が非常に薄いため、電極材料、特に金属から
なる電極材料を蒸着した場合に、上記のようにして半導
体層表面から保護層を除去し、蒸着された金属と窒化ガ
リウム系化合物半導体層とを直接接触させることは極め
て容易である。
【0019】本発明の保護層は、例えば、MOCVD法
による窒化ガリウム系化合物半導体層の成長の工程が終
了した後に、引き続き同じ有機金属化学気相成長装置
(MOCVD装置)内に、PH3 、AsH3 、SbH
3 、H2 S、H2 Seなどの化合物を流通し、該化合物
を熱分解することにより、窒化ガリウム系化合物半導体
層表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群から選
ばれた少なくとも1種類の元素を堆積させることによ
り、形成することができる。あるいは、MBE法による
窒化ガリウム系化合物半導体層の成長の工程の終了した
後に、引き続き同じ分子線エピタキシャル成長装置(M
BE装置)内で、窒化ガリウム系化合物半導体層の表面
に、P、As、Sb、S、Seよりなる群から選ばれた
少なくとも1種類の元素を蒸着することにより、保護層
を形成することができる。
【0020】また、窒化ガリウム系化合物半導体層を形
成した後、一旦該半導体層を大気に曝した場合でも、そ
の後例えばMBE装置やMOCVD装置を用いて上記と
同様な方法で、該半導体層上に本発明の保護層を形成す
ることができる。この場合、保護層の形成に先立って、
半導体層は湿式の表面処理を行うことが望ましい。
【0021】保護層上に金属層を蒸着する前の表面処理
として、あるいは、上記のように半導体層上に保護層を
形成する前の表面処理として、湿式の表面処理を行うこ
とができる。湿式の表面処理は、有機溶剤処理、酸処理
を含むことができる。有機溶剤処理に用いる有機溶剤と
しては、アセトン、メタノール、エタノール、トリクレ
ン、などを用いることができる。また酸処理用の酸とし
ては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、フッ酸、過酸化水
素、などを用いることができる。また、各処理に使う薬
液は以上に述べた2種類以上の薬品の混合物であっても
良い。更に、各処理は2回以上行っても良い。ここでい
う処理としては、揺動しながらの含浸の他に超音波を照
射しながらの含浸や煮沸をも含んで用いてもよい。この
ようなアセトンやエタノールなどの有機洗浄を行った
後、硫酸と過酸化水素の混合溶液で処理し、その後塩酸
で処理する方法を用いることが特に好ましい。
【0022】本発明に係わる保護層を形成する場合、形
成する温度は300度から700度の間の温度を用いる
ことが好ましい。保護層の形成温度が300度よりも低
いと、保護層をなすP、As、Sb、SあるいはSe
は、Nの位置に置き換わって、Ga等との結合を形成す
ることができない。また、保護層の形成温度が700度
よりも高温では、P、As、Sb、SあるいはSeから
なる保護層の形成速度よりも窒化ガリウム系化合物半導
体のエッチング速度が優位となり、半導体表面を荒ら
す。
【0023】図1に、サファイア基板上に、MOCVD
法で成長したGaNからなる層について、湿式の表面処
理を行っただけで測定した表面の真空紫外光光電子分光
法(UPS)スペクトル1と、GaNからなる層上にA
sからなる保護層を形成した後に測定した表面のUPS
スペクトル2を示す。測定に用いた試料は、本明細書の
実施例1で作製したものである。いずれのスペクトルで
も、5eV近くにGaNの価電子帯からの電子の放出に
由来するブロードなピーク3、4が検出される。これに
加えて、湿式の表面処理を行っただけの試料のスペクト
ル1では、8eV近辺に酸素の2p軌道からの電子の放
出に由来するピーク5が検出され、表面に酸化膜が存在
していることを示している。一方、Asからなる保護層
を形成した試料のスペクトル2では、酸素のピーク6は
弱くなっており酸化膜が除去されていることを示してい
る。
【0024】また図2に、Asからなる保護層を形成し
たGaN試料の表面のX線光電子分光法(XPS)スペ
クトル7を示す。試料は実施例1で作製したものである
が、測定はAsからなる保護層を形成した反応炉から試
料を取り出し、大気に1日曝した後に行った。図2に示
したXPSスペクトル7には、Asの3d軌道からの電
子の放出に由来するピーク8が、結合エネルギー41.
43eVに現れている。このことより、MBE装置内で
Asビームを照射することにより、GaN半導体層の表
面にAsからなる層が形成されたことが判る。
【0025】上記の試料を蒸着機に導入して、Asから
なる保護層上にパラジウム(Pd)を蒸着した。Pdは
窒化ガリウム系化合物半導体を用いた半導体素子におい
て、電極材料として用いることができる金属である。P
dを蒸着した試料の表面で測定したXPSスペクトル9
を図2に示した。スペクトル9において、Asの3d軌
道のピーク10は41.63eVに検出され、ピーク8
よりも高エネルギーの化学シフト値を示した。このこと
より、Pdを蒸着した結果、Asからなる保護層を形成
した状態で顕著であったイオン性のAs−Ga結合が破
壊され、共有性のAs−As結合性が強くなっているこ
とが推測される。また、形成したPd層の膜厚は、測定
に用いた励起X線の浸透深さよりも厚い。AsがPd層
の下にあるならば、ピーク10は検出されないはずであ
る。ピーク10が検出されることより、AsはPd上に
存在することが示唆される。これらの考察より、GaN
層の表面に形成したAsの保護層は、Pdの蒸着に伴っ
てGaN表面から除去され、Pd層上に浮上したと考え
られる。尚、ここに示したXPSスペクトルの強度は、
見やすいようにノーマライズしたものであり、ピークの
強度値には意味はない。上記の結果から、半導体層上に
形成した保護層は、該保護層上に電極材料である金属を
蒸着した際に金属層の表面に浮き出し、金属層が酸化膜
のない半導体表面に接触すると考えられる。この場合、
保護層の原子は窒化ガリウム系化合物半導体のNの位置
に置き換わっているので、金属層は半導体層のGa層と
接触する。
【0026】上記のようにして形成した電極において、
半導体層と金属からなる電極との界面に酸素が存在しな
いことは、界面の露出した試料についてXPSを測定す
ることによって確認できる。上記の方法で作製した電極
のGaNとPdの界面で、XPSスペクトルを測定し
た。測定を行った530eV近辺のエネルギー領域に
は、もし酸素が存在すれば酸素の1s軌道から放出され
る電子に由来するピークが検出される。しかしこの試料
では、XPSスペクトルにピークは検出されず、この界
面およびPdの層の中に存在する酸素の量はXPS測定
の検出下限以下であることが判った。
【0027】このようにして形成されたPdからなる金
属の層とGaNからなる半導体の層とが直接接触した電
極は、電気的にも非常に良好なオーミック特性を示し
た。図3に、従来の湿式の表面処理を行ったp型GaN
層上に、図4に記載したような形状の異なる2つのPd
電極を形成して測定した電流−電圧特性11と、本発明
に係わるp型GaN層上にAsからなる保護層を形成
し、その上に図4に示したような、形状の異なる2つの
Pd電極を形成して測定した電流−電圧特性12を示し
た。従来の方法によって形成した電極で測定された電流
−電圧特性11はショットキー性の接触を示すが、本発
明によって形成した電極で測定された電流−電圧特性1
2はオーミック性の接触を示す。これは、従来の方法で
はGaN層の表面に形成されている酸化膜が、本発明の
Asからなる保護層の効果により除去され、電極である
金属と半導体結晶表面との間に直接の接触が実現されて
いることによると考えられる。
【0028】一般に、p型半導体と金属との直接の接触
が実現された場合、接触がショットキー性を示すか、オ
ーミック性を示すかは金属の仕事関数とp型半導体のバ
ンドの構造から一意に決まる。つまり、金属の仕事関数
が半導体の価電子帯よりも著しく小さいエネルギーであ
れば、金属から半導体に電子が流れ込み、半導体の正孔
を中和してしまうので、界面の半導体側にはショットキ
バリアが形成され、接触はショットキー性となる。ま
た、金属の仕事関数が半導体の価電子帯の近くにある場
合、逆に半導体側から金属の側に電子が流れ込み、ショ
ットキーバリアは形成されない。(深海登世司著、「半
導体工学」(1987)、東京電機大学出版局、80〜
93頁)従って、本発明により上記のように金属と半導
体との直接の接触が実現された場合、仕事関数に従って
金属を選択することだけで、半導体と金属の接触特性を
制御することができる。
【0029】これまで、窒化ガリウム系化合物半導体、
特にp型の導電性を有する窒化ガリウム系化合物半導体
からなる半導体層に対しては、安定して接触特性を制御
することはできなかった。しかし本発明によれば、適当
な金属を電極材料として選ぶことにより、電極と半導体
とのオーミック接触あるいはショットキー接触を所望の
ように制御することができる。参考のため、表1にいく
つかの金属材料の仕事関数をまとめた。(須藤一著、
「電極および電極関連材料」(平成元年)、アイピーシ
ー出版部、107頁)
【0030】
【表1】
【0031】本発明では、電極材料である金属が、パラ
ジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)からなる群
から選ばれた少なくとも1種類の金属からなる場合、電
極と半導体との接触を良好なオーミック接触とすること
ができる。Pd、Pt、Auなどの大きな仕事関数を持
つ金属はワイドバンドギャップ半導体のp型層に対する
オーミック性電極用金属として有効である。これら大き
な仕事関数を持つ金属が窒化ガリウム系化合物半導体と
直接に接触すると、窒化ガリウム系化合物半導体の価電
子帯よりも深いエネルギーに金属の仕事関数が位置する
ので金属と半導体の界面にバリアが形成されない。
【0032】また本発明では、電極材料である金属が、
ニッケル(Ni)、Al(アルミニウム)、インジウム
(In)、チタン(Ti)からなる群から選ばれた少な
くとも1種類の金属からなる場合、電極と半導体との接
触を良好なショットキー接触とすることができる。N
i、Al、In、Tiなどの小さな仕事関数を持つ金属
はワイドバンドギャップ半導体のp型層に対するショッ
トキー性電極用金属として有効である。これら小さな仕
事関数を持つ金属が酸化膜を挟まずに窒化ガリウム系化
合物半導体と直接に接触すると、窒化ガリウム系化合物
半導体の価電子帯よりも浅いエネルギーに金属の仕事関
数が位置するので金属と半導体の界面にバリアが形成さ
れ、効果的にショットキー接触を形成することができ
る。
【0033】なお本発明では、特にオーミック性電極を
形成する場合、半導体層表面に電極を形成後、電極と半
導体との密着性を向上する目的で、熱処理を行うことが
できる。熱処理を行うことによって半導体表面と金属と
の間の反応が進行し、より強固な結合を形成するため、
電極の密着性が向上する。熱処理は、金属を酸化させな
いように、窒素やアルゴンガスなどを用いて、不活性雰
囲気中で行うことが望ましい。また、熱処理の温度は、
200度以上、700度以下とすることが望ましい。2
00度以下の温度では、密着性の向上をもたらす反応が
充分には進行せず、700度以上の温度では、金属のボ
ールアップが生じることが多い。
【0034】
【作用】窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体層
の表面に電極を形成する半導体素子の電極の形成方法に
おいて、前記窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導
体層の表面に、P、As、Sb、S、Seよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種類の元素からなる保護層を形
成し、該保護層上に前記電極の材料を積層して電極を形
成することにより、半導体層表面の酸化膜を効果的に除
去することができる。さらに保護層を構成する原子は、
その上に電極、特に金属からなる電極を蒸着した時に金
属層の上に浮き出し、窒化ガリウム系化合物半導体層と
金属からなる電極とは直接に接触する。
【0035】上記のように半導体層表面の酸化膜を効果
的に除去し、電極と半導体との界面に酸素が存在しない
接触を実現することにより、電極として接触させる金属
を仕事関数に従って選択することにより、半導体層と電
極の電気的な接触を制御することができる。すなわち、
Ni、Ti、Al、In、などの仕事関数の小さい金属
を電極材料として用いることにより、ショットキー性接
触を実現し、Pd、Pt、Auなどの仕事関数の大きい
金属を電極材料として用いることによりオーミック性接
触を実現することが可能である。
【0036】
【実施例】(実施例1)MOCVD法で成長したp型G
aN基板上に、成長を行ったのとは異なるMBE装置内
でAsからなる保護層を形成して、該保護層の上にPd
電極を形成した例について記述する。p型GaN基板の
成長には、III 族原料であるトリメチルガリウム(TM
G)、およびドーパント源であるビスシクロペンタジエ
ニルマグネシウム(Cp2 Mg)のバブラと、各バブラ
の温度を制御するための恒温槽、バブリングによって発
生した各化合物の蒸気を反応炉に導入するための配管
系、流量を制御するためのマスフローコントローラー、
および、V族原料であるアンモニア(NH3 )、キャリ
アガスであるアルゴン(Ar)、水素(H2 )のボン
ベ、各ガスを反応炉に導入するための配管系、流量を制
御するためのマスフローコントローラーを装備したMO
CVD装置を用いた。
【0037】MOCVD法によるp型GaN基板の成長
は以下のように行った。まず、サファイア基板を、加熱
用のrfコイルの中に設置された石英製の反応炉の中に
導入した。サファイア基板は、加熱用のカーボン製サセ
プター上に載置した。試料を導入後、反応炉内を真空引
きして空気を排出した後、Arガスを流通して反応炉内
をパージした。Arガスを30分間に渡って流通した
後、rf加熱装置を作動させ、1時間をかけて基板温度
を1100度に昇温した。基板温度を1100度に保っ
たまま、H2 ガスとArガスを流通させながら30分間
放置して、基板のサーマルクリーニングを行った。サー
マルクリーニングを行っている間に、反応炉に接続され
たTMG、Cp2Mgのバブラの温度を調整するための
恒温槽に通電して、各バブラの温度を調整すると同時
に、バブラの配管にH2 キャリアガスを流通して、バブ
リングを開始した。バブリングによって発生した化合物
の蒸気は、成長工程が始まるまでは、キャリアガスと一
緒に除害装置への配管へ流通させ、除害装置を通して大
気中へ放出した。サーマルクリーニングの終了後、rf
加熱装置を調節して基板の温度を500度に降温し、A
rとH2 の混合ガスからなるキャリアガスのバルブを切
り替え、反応炉内への供給を開始した。その10分間後
に、TMGの配管系およびNH3の配管系のバルブを切
り替え、これらの化合物の反応炉内への流通を開始し
た。約5分間に渡ってバッファ層の成長を行ったあと、
TMGの配管系のバルブを切り替えて、TMGの供給を
停止し、バッファ層の成長を終了した。
【0038】バッファ層形成後、基板温度を1150度
に昇温させた。昇温中、バッファ層が昇華しないよう
に、キャリアガスであるArとH2 に加えてNH3 の流
通を続けた。温度が安定したのを確認した後、TMG、
Cp2 Mgの配管系のバルブを切り替え、これら化合物
の蒸気を含む気体を反応炉内へ流通させて、Mgドープ
GaNの成長を開始した。約1時間に渡って成長を行っ
たあと、TMG、Cp2 Mgの配管系のバルブを切り替
え、反応炉への流通を終了して成長を停止した。成長を
終了後、rf加熱装置を制御して、基板の温度を室温ま
で降温した。降温中は、NH3 の供給を行っていたが、
450度以下に温度が下がったのを確認後、供給を停止
した。その後、Arガスを流通しながら試料温度を室温
まで降温し、試料を大気中に取り出した。
【0039】以上の工程により、電極を形成する試料で
ある、サファイア基板上に膜厚50nmのGaNバッフ
ァ層を形成後、7×1019cm-3のMgをドープして形
成した3μmの膜厚のGaN層を有するGaN基板を得
た。上記の成長後、MOCVD反応炉から大気中に試料
を取り出し、熱処理用の炉に導入して、窒素雰囲気中で
800度において30分間の熱処理を行い、p型キャリ
アを活性化させた。上記のサファイア基板上に形成した
p型GaN層の一部を用いて、Hall効果測定を行っ
たところ活性化処理後の正孔濃度は1×1018cm-3
あった。
【0040】続いて、上記のp型GaN基板上にAsか
らなる保護層の成長を行った。保護層の成長は、導入用
のチャンバー、XPSの励起X線源と検出器を装備した
分析室、および基板加熱用の赤外線加熱装置とAsのセ
ルを搭載した反応用チャンバーを装備したMBE装置を
用いて行った。
【0041】サファイア基板上に形成したp型GaN層
の試料を、表面に付着した有機物を除去するために、硫
酸と過酸化水素の1:1の混合溶液に10分間含浸し
た。その後、イオン交換水の流水で5分間洗浄した。続
いて、表面に形成された酸化物を除去する目的で、同試
料を濃塩酸に10分間含浸して、同様にイオン交換水の
流水で5分間洗浄した。洗浄終了後、乾燥させた窒素ガ
スで表面をブローして水滴を除去し、赤外線ランプで加
熱して30分間乾燥させた。湿式の表面処理の終了した
試料を、導入用のチャンバーからMBE装置内に導入し
た。導入用のチャンバーから反応用のチャンバーに移送
した後、MBEの真空チャンバの圧力が1×10-11
orrとなるまで真空引きした。真空度を確認した後、
赤外線加熱装置に通電して、1時間をかけて基板温度が
550度となるまで昇温した。
【0042】試料の温度を昇温する間、Asのセルの温
度を700度となるように昇温して、Asセル中にAs
の蒸気を充満させておいた。試料の温度が安定するのを
10分間待ってから、セルの射出口を遮っていたシャッ
タを開けて、Asのビームの照射を開始した。基板温度
を保ったまま、10分間にわたってシャッタを解放して
基板表面へのAs照射を行ったのち、シャッタを閉じて
Asの照射を停止した。
【0043】Asの照射を停止した後、試料の温度を室
温になるまで、1時間をかけて徐々に降温した。試料温
度が室温まで降温したのを確認後、試料を分析室に移送
してXPSスペクトルを測定した。Asの3d軌道に由
来するピークが検出され、GaN表面にはAs層が形成
されていることが確認された。また、同時に測定したG
aの3d軌道に由来するピークの強度を、GaN層を形
成しただけの試料と上記のようにその上にAsビームを
照射した試料とで比較し、励起X線の浸透深さを用いて
計算すると、上記の試料でAsの存在する膜厚は約0.
1から0.2nm程度と計算できた。この膜厚はGaN
結晶の1乃至2原子層に相当する。
【0044】以上の工程によってAsからなる保護層を
形成した試料に、以下の手順に従って、電極と半導体と
の接触の電流−電圧特性を測定するのに一般的に用いら
れる、プラナー電極13とドット電極14の対からなる
電極のパターンを形成した。電極の形状を図4に示す。
プラナー電極13とドット電極14の材質は共にPdと
し、ドット電極14は直径100μmであり、プラナー
電極13との間隔は3μmである。プラナー電極13の
面積はドット電極14の面積の10倍以上とした。始め
に以下に述べる工程に従って、Asからなる保護層を形
成したp型GaN層上にPdよりなる層を形成した。試
料を、真空蒸着機の電子線加熱方式の加熱装置がついた
真空チャンバーに導入し、3×10-6Torrまで真空
引きした。真空度を確認後に電子線の発生を開始し、マ
グネシア(MgO2 )製のカップに入れた、蒸着源であ
るPd片に照射して、これを融解した。チャンバに付け
られた窓部から目視でPdの融解を確認した後、蒸着材
料と試料の間を遮っていたシャッターを開けてPdの蒸
着を開始した。水晶振動子式の膜厚計で蒸着膜の厚みを
モニターしながら蒸着を続け、500nmになったとこ
ろで、シャッターを閉じて蒸着を終了した。
【0045】真空チャンバから取り出した試料に、一般
にフォトリソグラフィーと呼ばれる手法によって、レジ
スト製のマスクによって測定用の電極パターンを形成し
た。マスクはプラナー電極部分13とドット電極部分1
4を保護し、その他の部分を露出した。基板を塩酸に1
0分間含浸した後、イオン交換水の流水で5分間洗浄し
た。洗浄後の基板では、マスクが存在しない部分、つま
り2つの電極の間に開いた間隔の部分のPdは除去され
ていた。その後、レジスト除去処理し、Pdによる電極
が形成されたp型GaN層の試料を得た。
【0046】このようにして電極を形成した試料におい
て、プラナー電極13とドット電極14の間の電流−電
圧特性を測定した。プラナー電極13は大きな面積で形
成されているので、ドット電極14の接触抵抗に比較す
ると無視することができる。よって、これらの電極の間
で測定した電流−電圧特性はドット電極14の接触の特
性と見なすことが可能である。結果は図3に示すよう
に、電流−電圧特性12はオーミック性を示し、その接
触抵抗は約1×10-4Ω・cm2 であることが判った。
【0047】電極の形成された試料を加工して電極と半
導体の界面が露出した断面試料を作製した。断面透過型
電子顕微鏡(TEM)の観察を行ったところ、同試料で
は電極層と半導体層の界面周辺には、酸化物によると思
われる層は存在していなかった。また、上で作製した断
面の露出した試料についてXPS測定を行った。Pdか
らなる電極層と半導体との界面からも、Pdの層自体か
らも、酸素は検出されなかった。
【0048】(比較例1)比較のため、従来方法の電極
を以下の様にして作製した。p型GaN基板としては、
実施例1と同じ試料を用いた。熱処理によって活性化し
たp型GaN基板は、p型GaN層上へのAsからなる
保護層の形成は行なわず、硫酸と過酸化水素の混合溶液
で湿式処理を行って水洗し、その後塩酸に含浸して水洗
した。この試料を蒸着装置に導入し、電子線加熱方式に
よって実施例1と同様の手順でPdを蒸着した。全面に
Pdを蒸着された試料に、実施例1と同じ手法に従って
パターニング処理し、図4に示す形状の電極を形成し
た。電極を形成したp型GaN基板は、不活性ガス中で
550℃において、30分間の熱処理を行った。この電
極で電流−電圧特性を測定したところ、図3に示すよう
に測定された電流−電圧特性11は、ショットキー性の
接触を示した。
【0049】比較例1で作製した試料について、実施例
1と同様に加工を行い電極と半導体の界面が露出した断
面試料を作製した。同試料で断面TEMの観察を行った
ところ、電極層と半導体層の界面には、膜厚1nm程度
の薄い層が存在する事が判った。またXPSにより、こ
の界面近くからは微量の酸素が検出された。XPSでは
広い領域からの信号を検出しているのでGaN層とPd
層の界面にある1nmの層の組成を厳密に分析すること
はできない。しかし得られたデータから、この薄い層が
酸化物の層であると考えるのが妥当である。すなわち上
記の結果より、本比較例ではGaN層とPd層の界面に
酸化膜が存在し、熱処理を行った後も、微量に残ってい
るものと思われる。
【0050】(実施例2)MOCVD法でサファイア基
板上に成長したp型AlGaN基板の上に、成長の工程
を行ったのと同じ反応炉内で、連続して形成した燐
(P)からなる保護層を用いて、実施例1と同様のPd
電極を形成した。p型AlGaN半導体層の成長には、
III 族原料であるトリメチルガリウム(TMG)および
トリメチルアルミニウム(TMA)、ドーパント源であ
るビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2
g)のバブラと、各バブラの温度を制御するための恒温
槽、バブリングによって発生した各化合物の蒸気を反応
炉に導入するための配管系、流量を制御するためのマス
フローコントローラー、および、V族原料であるアンモ
ニア(NH3 )、保護層の材料であるホスフィン(PH
3 )、キャリアガスであるアルゴン(Ar)、水素(H
2 )のボンベ、各ガスを反応炉に導入するための配管
系、流量を制御するためのマスフローコントローラーを
装備したMOCVD装置を用いた。
【0051】始めに、サファイア基板上に、膜厚20n
mのAlNバッファ層を形成後、1×1020cm-3のM
gをドープしたAl0.15Ga0.85N膜を以下のようにし
て作製した。まず、サファイア基板を、加熱用のrfコ
イルの中に設置された石英製の反応炉の中に導入した。
サファイア基板は、加熱用のカーボン製サセプター上に
載置した。試料を導入後、反応炉内を真空引きして空気
を排出した後、Arガスを流通して反応炉内をパージし
た。Arガスを30分間に渡って流通した後、rf加熱
装置を作動させ1時間をかけて、基板温度を1100度
に昇温した。基板温度を1100度に保ったまま、H2
ガスとArガスを流通させながら30分間放置して、基
板のサーマルクリーニングを行った。サーマルクリーニ
ング中に、反応炉に接続されたTMG、TMA、Cp2
Mgのバブラの温度を調整するための恒温槽に通電し
て、各バブラの温度を調整すると同時に、バブラの配管
にH2 キャリアガスを流通して、バブリングを開始し
た。バブリングによって発生した化合物の蒸気は、成長
工程が始まるまでは、キャリアガスと一緒に除害装置へ
繋がる配管へ流通させ、除害装置を通して大気中に放出
した。サーマルクリーニング後、rf加熱装置を調節し
て基板の温度を550度に降温し、ArとH2 の混合ガ
スからなるキャリアガスのバルブを切り替え、反応炉内
への供給を開始した。その10分間後に、TMAの配管
系およびNH3 の配管系のバルブを切り替え、これらの
化合物の反応炉内への流通を開始した。約2分間に渡っ
てバッファ層の成長を行ったあと、TMAの配管系のバ
ルブを切り替えて、TMAの供給を停止し、バッファ層
の成長を停止した。
【0052】バッファ層形成後、基板温度を1150度
に昇温させた。昇温中、バッファ層が昇華しないよう
に、キャリアガスであるArとH2 に加えてNH3 の流
通を続けた。温度が安定したのを確認した後、TMG、
TMA、Cp2 Mgの配管系のバルブを切り替え、これ
ら化合物の蒸気を含む気体を反応炉内へ流通させて、M
gドープAlGaNの成長を開始した。約1時間に渡っ
て成長を行ったあと、TMG、TMA、Cp2 Mgの配
管系のバルブを切り替え、反応炉への流通を終了して成
長を停止した。成長の工程を終了後、rf加熱装置を制
御して試料の温度を800度まで降温した。降温中は、
NH3 の供給を行っていたが、800度の温度が安定し
たのを確認後、供給を停止した。その後、30分間に渡
ってArガスを流通しながら、試料温度を800度に保
って、p型キャリアの活性化をおこなった。
【0053】次に、上記の工程によって作成したp型A
lGaN上に、同じ反応炉内で、燐(P)からなる保護
層を作製する工程を行った。活性化処理が終了した後、
rf加熱装置を制御して、基板温度を500℃まで降温
した。降温中、NH3 ガスとAr、H2 ガスを流通して
おいた。温度の安定を確認後、PH3 の供給バルブを開
け、同時にNH3 の供給バルブを閉じた。その後、試料
をその温度に保持しながら10分間に渡ってPH3 を流
通した。このPH3 の流通により、試料のp型AlGa
N層の表面にはPからなる保護層が形成された。10分
間に渡ってPH3 を流通した後、rf加熱装置を切っ
て、基板温度を室温まで降温した。試料温度が室温まで
降温したのを確認したあと、反応室内を真空引きし、A
rガスでパージして、試料を大気中に取り出した。
【0054】この試料上に実施例1と同様にしてPdを
蒸着し、実施例1と同様にしてパターニングを行った。
2種類の形状のPd電極にプローブ針をあてて電流−電
圧特性を測定したところ、オーミック性の特性を示し
た。接触抵抗値は、1.5×10-4Ω・cm2 であっ
た。
【0055】(実施例3)実施例2と同じ、サファイア
基板上に形成されたp型のAlGaN層上に、実施例2
に用いたのと同型のMOCVD装置において、PH3
スの流通系に換えて、アンチモン化水素(SbH3 )の
ガスボンベ、これを反応炉に流通させるための配管系、
流量を制御するためのマスフローコントローラーを装備
したMOCVD装置を用いて、アンチモン(Sb)から
なる保護層を形成した。形成する手順は、ほぼ実施例2
にならい、保護層を形成する工程における試料温度を4
50度として、この工程において流通するガスをPH3
に換えてSbH3 とした。Sbからなる保護層を形成
後、大気中に試料を取り出し、蒸着機に導入して、Pd
からなる電極層を形成した。
【0056】この試料上に、実施例2と同様にして電極
のパターニングを行った。2種類の形状のPd電極にプ
ローブ針をあてて電流−電圧特性を測定したところ、オ
ーミック性の特性を示した。接触抵抗値は、1.7×1
-4Ω・cm2 であった。
【0057】(実施例4)MBE法で形成したp型Ga
N基板上に、成長を行ったのと同じMBE装置内で、硫
黄(S)からなる保護層を形成し、実施例1と同様にP
dの電極を形成した。成長に用いたMBE装置は、III
族原料であるGaのセル、ドーパントであるMgのセ
ル、保護層の材料であるSのセル、および、V族原料で
あるNH3 ガスのボンベと、これを反応用のチャンバー
に導入するための配管系とその導入口、および、NH3
をNラジカル化するためのrfクラッカーを装備したM
BE装置を用いた。
【0058】まず、サファイア基板上に、膜厚50nm
のGaN低温バッファを形成した後、1μmの膜厚のG
aNを成長させ、その上に膜厚が500nmでMgが7
×1019cm-3程度ドープされたGaN膜を、以下の手
順に従って形成した。始めに、サファイア基板を導入用
のチャンバーからMBEの真空装置内に導入した。試料
を導入用のチャンバーから反応用のチャンバーに移送し
た後、反応用のチャンバーの圧力を1×10-11 Tor
rとなるまで真空引きした。真空度を確認後、赤外線加
熱装置を作動させて基板温度を1100度に昇温した。
基板温度を1100度に保ったまま、30分間放置し
て、基板のサーマルクリーニングを終えた。サーマルク
リーニング後、基板の温度を500度に降温して、Ga
セルの射出口を遮っていたシャッターを解放し、同時
に、NH3 の流通を開始しrfクラッカーの出力を上げ
て発生するNラジカルのビームを同基板に向けて照射
し、20分間に渡ってサファイア基板上に膜厚50nm
のバッファ層の形成を行った。バッファ層形成後、基板
温度を950度に昇温させてGaビームとNラジカルの
ビームを照射して、膜厚1μmのGaN層を成長した。
その後、温度を850度に降温して、Gaビーム、およ
びNラジカルのビームを照射し、同時にドーパントであ
るMgのビームも照射して、膜厚が500nmのGaN
を成長した。
【0059】以上の工程によって、サファイア基板上に
p型GaN層の成長が終了した試料上に、Sからなる保
護層を形成した。成長の工程が終了後、赤外線加熱装置
を制御して、試料の温度を600度となるようにした。
MgをドープしたGaN成長が終了してから、MBE装
置の反応用のチャンバーに装備されたSのセルの加熱装
置に通電して900度とし、Sの蒸気を発生させて、セ
ル中にSの蒸気を充満させておいた。試料温度が安定し
たのを確認してから、Sのセルの射出口を遮っていたシ
ャッターを開放して、試料に向かってSビームを照射し
た。10分間に渡ってSのビームを照射した後、シャッ
ターを閉じてビームの照射を終了した。その後、加熱装
置を制御して、試料温度を室温まで下げた。室温まで降
温したのを確認後、反応用のチャンバーから導入用のチ
ャンバーに試料を移送し、試料を大気中に取り出した。
【0060】この試料上に実施例1と同様にしてPdを
蒸着し、実施例1と同様にしてパターニングを行った。
2種類の形状のPd電極にプローブ針をあてて電流−電
圧特性を測定したところ、オーミック性の特性を示し
た。接触抵抗値は、2.4×10-4Ω・cm2 であっ
た。
【0061】(実施例5)実施例4と同じ、サファイア
基板上にp型GaN層を形成した試料上に、実施例4に
用いたのと同型のMBE装置において、Sのセルに換え
てセレン(Se)のセルを装備したMBE装置を用い
て、Seからなる保護層を形成した。保護層を形成する
手順は、ほぼ実施例4にならい、保護層形成工程におけ
る試料温度を350度として、この工程において照射す
るビームをSに換えてSeとした。保護層を形成後、大
気中に試料を取り出し、蒸着機に導入して、Auからな
る電極層を形成した。
【0062】この試料上に、実施例3と同様にして電極
のパターニングを行った。2種類の形状のAu電極にプ
ローブ針をあてて電流−電圧特性を測定したところ、オ
ーミック性の特性を示した。接触抵抗値は、2.1×1
-4Ω・cm2 であった。
【0063】(実施例6)実施例1と同じサファイア基
板上に形成したp型GaN層上に、同じ方法に従ってA
sからなる保護層を形成し、Ptからなる電極を形成し
た。Pt電極を形成する手順は、ほぼ実施例1になら
い、電極形成工程における蒸着源をPtとした。2種類
の形状のPt電極にプローブ針をあてて電流−電圧特性
を測定したところ、良好なオーミック性の接触を示し
た。接触抵抗値は、2.2×10-4Ω・cm2 であっ
た。
【0064】(実施例7)実施例1と同じサファイア基
板上に形成したp型GaN層上に、同じ方法に従ってA
sからなる保護層を形成し、以下の手順に従って、Pd
製のプラナー電極13とNi製のドット電極14からな
る電気特性の測定パターンを形成した。パターンの平面
図は図4に示したものと同じである。まず始めに、試料
にタングステン(W)製のメタルマスクを被せて、実施
例1と同様の手順に従ってPdを蒸着した。メタルマス
クは直径103μmの円形を覆う形状であり、蒸着作業
が終了すると試料上には直径103μmの円形を除い
て、ほぼ全面にPd製のプラナー電極13が形成され
た。続いて、一般のフォトリソグラフィーの手法を用い
て試料上にレジスト製のパターンを形成した。レジスト
は、上記の手順によって形成されたプラナー電極13
の、電極が形成されていない円形の部分15の中央に、
直径100μmの円形の形状を残してほぼ全面を覆うパ
ターンとした。これを再び蒸着器に入れ、Niを蒸着し
た。蒸着の手順はPdを蒸着したときと同様とし、蒸着
源をNiとした。Niを蒸着した後、一般にリフトオフ
と呼ばれる手順に従ってレジストと共に不要な部分のN
iを剥離した。
【0065】Ni製のドット電極14にプラス側の、P
d製のプラナー電極13にマイナス側のプローブをあて
て、接触界面の電流−電圧特性を測定した。Pd製のプ
ラナー電極は大きな面積で形成されている上にオーミッ
ク性の接触をすることが判っているPdで形成されてい
るので、ドット電極の接触抵抗に比較すると無視するこ
とができる。よって、これらの電極の間で測定した電流
−電圧特性はドット電極の接触の特性と見なすことが可
能である。測定の結果、電流−電圧特性はドット電極か
らプラナー電極に電流を流す方向で、1μAの電流を流
すための電圧が20V以上であるような、良好なショッ
トキー性の接触を示した。
【0066】(実施例8)実施例1と同じサファイア基
板上に形成したp型GaN層上に、同じ方法に従ってA
sからなる保護層を形成し、実施例7と同様のPd製の
プラナー電極13とAl製のドット電極14からなる、
特性測定用のパターンを形成した。パターンを形成する
手順は、ほぼ実施例7にならい、ドット電極形成工程に
おける蒸着源をAlとした。Al製のドット電極14に
プラス側の、Pd製のプラナー電極13にマイナス側の
プローブをあてて、接触界面の電流−電圧特性を測定し
た。測定の結果、電流−電圧特性はドット電極からプラ
ナー電極に電流を流す方向で、1μAの電流を流すため
の電圧が20V以上であるような、良好なショットキー
性の接触を示した。
【0067】(実施例9)実施例1と同じサファイア基
板上に形成したp型GaN層上に、同じ方法に従ってA
sからなる保護層を形成し、実施例7と同様のPd製の
プラナー電極13とTi製のドット電極14からなる、
特性測定用のパターンを形成した。パターンを形成する
手順は、ほぼ実施例7にならい、ドット電極形成工程に
おける蒸着源をTiとした。Ti製のドット電極14に
プラス側の、Pd製のプラナー電極13にマイナス側の
プローブをあてて、接触界面の電流−電圧特性を測定し
た。測定の結果、電流−電圧特性はドット電極からプラ
ナー電極に電流を流す方向で、1μAの電流を流すため
の電圧が20V以上であるような、良好なショットキー
性の接触を示した。
【0068】(実施例10)実施例1と同じサファイア
基板上に形成したp型GaN上に、同じ方法に従ってA
sからなる保護層を形成し、実施例7と同様のPd製の
プラナー電極13とIn製のドット電極14からなる、
特性測定用のパターンを形成した。パターンを形成する
手順は、ほぼ実施例7にならい、ドット電極形成工程に
おける蒸着源をInとした。In製のドット電極14に
プラス側の、Pd製のプラナー電極13にマイナス側の
プローブをあてて、接触界面の電流−電圧特性を測定し
た。測定の結果、電流−電圧特性はドット電極からプラ
ナー電極に電流を流す方向で、1μAの電流を流すため
の電圧が20V以上であるような、良好なショットキー
性の接触を示した。
【0069】(実施例11)本発明に係わる電極を用い
て、発光素子を作製した。作製に用いたエピタキシャル
基板は、MOCVD法を用いて成長を行った、サファイ
ア基板上に、膜厚20nmのAlNをバッファ層とし
て、膜厚1μmでキャリア濃度1×1018cm-3のn型
GaN層、膜厚5nmのIn0.3 Ga0.7 N単一量子井
戸層、Mgをドープした膜厚200nmのp型Al0.15
Ga0.85N層、膜厚500nmでキャリア濃度5×10
17cm-3のMgドープp型GaN層を、順に積層した基
板である。
【0070】上記のエピタキシャル基板にp型の電極を
形成する作業の前に、以下の手順に従って、Asからな
る保護層を形成した。このエピタキシャル基板を硫酸と
過酸化水素の1:1の混合溶液に10分間含浸したの
ち、イオン交換水の流水で5分間洗浄した。続いて同試
料を濃塩酸に10分間含浸し、同様にイオン交換水の流
水で5分間洗浄した。洗浄終了後、乾燥させた窒素ガス
で表面をブローして水滴を除去した。
【0071】この試料を、加熱用の赤外線加熱装置とA
sのセルを搭載した反応用チャンバーを装備したMBE
装置の、導入用チャンバーに導入した。試料を導入用の
チャンバーから反応用のチャンバーに移送した後、MB
Eの真空チャンバの圧力を1×10-11 Torrとなる
まで真空引きした。真空度を確認した後、赤外線加熱装
置に通電して、1時間をかけて試料温度が530度とな
るまで昇温した。
【0072】試料の温度を昇温する間、Asのセルの温
度を700度となるように昇温して、Asセル中にAs
の蒸気を充満させておいた。試料の温度が安定したのを
確認した後、セルの射出口を遮っていたシャッタを開け
てAsのビームの照射を開始した。10分間にわたって
シャッタを解放し、試料表面にAsを照射したのち、シ
ャッタを閉じてAsの照射を停止した。Asの照射を停
止した後、加熱装置を制御して基板温度を室温になるま
で降温した。降温したのを確認した後、試料を反応用チ
ャンバーから導入用のチャンバーに移送し、大気中に取
り出した。
【0073】Asによる保護層の形成を行った基板に、
図5に電極側から見た平面図を示すような発光素子用の
電極を形成し、図6にフレームに載置した状態の断面図
を示すような発光素子とした。発光素子の作製は以下の
ように行った。上記のエピタキシャル基板を、真空蒸着
機の電子線加熱方式の加熱装置がついた真空チャンバー
に導入し、3×10-6Torrまで真空引きした。真空
度を確認後に電子線の発生を開始し、蒸着源であるPd
片に照射してこれを融解した。チャンバに付けられた窓
部から目視でPdの融解を確認した後、蒸着源と試料の
間を遮っていたシャッターを開けてPdの蒸着を開始し
た。水晶振動子式の膜厚計で蒸着膜の厚みをモニターし
ながら蒸着を続け、500nmになったところで、シャ
ッターを閉じて蒸着を終了した。
【0074】真空チャンバから取り出した基板に、一般
にフォトリソグラフィーと呼ばれる手法によって、レジ
ストでできたマスクによるパターンを形成した。マスク
は電極を形成したい部分を保護し、その他の部分を露出
した。この基板を塩酸と硝酸の混合溶液に10分間含浸
した後、イオン交換水の流水で5分間洗浄した。洗浄後
の基板では、マスクが存在しない部分のPdは除去され
ていた。この基板をレジスト除去処理し、Pdによるp
側電極16が形成された基板を得た。
【0075】更にその後、ドライエッチングによってn
側電極を形成する部分のn層を露出させ、n層が露出し
た部分18に、Alよりなるn側電極17を形成した。
このようにして素子電極パターンを形成したウエハを裏
面を研削、研磨してミラー状の面とした。その後、35
0μm角のチップに切断し、電極面が下になるように、
リードフレーム19上に載置して発光素子とした。サフ
ァイア基板の裏面側から発光を観察したところ、電流2
0mAにおける発光出力が120μW、順方向電圧は
2.0Vを示した。順方向電圧が2.0Vと小さく、良
好な直接接触が実現していることを示している。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、窒化ガリウム系化合物
半導体(Alx Gay In1-x-y N:但し、0≦x<
1、0≦y≦1、0<x+y≦1)からなる半導体層の
表面に電極を形成する半導体素子の電極の形成方法にお
いて、電極と半導体とのオーミック接触あるいはショッ
トキー接触を所望のように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaN層表面の真空紫外光光電子分光法(UP
S)スペクトルを示す図。
【図2】As保護層を形成したGaN層表面のX線光電
子分光法(XPS)スペクトルを示す図。
【図3】GaN層上に形成された電極の電流−電圧特性
を示す図。
【図4】電流−電圧特性の測定に用いた電極の形状を示
す図。
【図5】実施例11に係わる発光素子の電極側から見た
平面図。
【図6】実施例11に係わる発光素子のフレームに載置
した状態の断面図。
【符号の説明】
1 湿式の表面処理を行っただけのGaN層表面のUP
Sスペクトル 2 As保護層を形成したGaN層表面のUPSスペク
トル 3 GaNの価電子帯に由来するピーク 4 GaNの価電子帯に由来するピーク 5 酸素の2p軌道に由来するピーク 6 酸素の2p軌道に由来するピーク 7 As保護層を形成したGaN層表面のXPSスペク
トル 8 Asの3d軌道に由来するピーク 9 As保護層上にPdを蒸着したGaN層表面のXP
Sスペクトル 10 Asの3d軌道に由来するピーク 11 従来法で形成したPd電極の電流−電圧特性 12 本発明の方法で形成したPd電極の電流−電圧特
性 13 プラナー電極 14 ドット電極 15 電極が形成されていない間隔の部分 16 p側電極 17 n側電極 18 n層の露出した部分 19 リードフレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾嶋 正治 東京都文京区本郷7丁目3番1号 東京大 学大学院工学系研究科内 (72)発明者 藤岡 洋 東京都文京区本郷7丁目3番1号 東京大 学大学院工学系研究科内 (72)発明者 小野 寛太 東京都文京区本郷7丁目3番1号 東京大 学大学院工学系研究科内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ガリウム系化合物半導体(Alx
    y In1-x-y N:但し、0≦x<1、0≦y≦1、0
    <x+y≦1)からなる半導体層の表面に電極を形成す
    る半導体素子の電極の形成方法において、前記窒化ガリ
    ウム系化合物半導体からなる半導体層の表面に、P、A
    s、Sb、S、Seよりなる群から選ばれた少なくとも
    1種類の元素からなる保護層を形成し、該保護層上に前
    記電極の材料を積層して電極を形成することを特徴とす
    る半導体素子の電極の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記保護層が、1〜5原子層の厚さであ
    ることを特徴とする請求項1記載の半導体素子の電極の
    形成方法。
  3. 【請求項3】 前記窒化ガリウム系化合物半導体からな
    る半導体層が、p型の導電性を有することを特徴とする
    請求項1または2記載の半導体素子の電極の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記保護層が、前記窒化ガリウム系化合
    物半導体からなる半導体層の表面に、P、As、Sb、
    S、Seよりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元
    素を蒸着することにより形成されることを特徴とする請
    求項1乃至3記載の半導体素子の電極の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記窒化ガリウム系化合物半導体からな
    る半導体層が、分子線エピタキシャル成長装置内で分子
    線エピタキシー法(MBE法)により積層され、該半導
    体層の積層に引き続き、前記分子線エピタキシャル成長
    装置内で、前記保護層が形成されることを特徴とする請
    求項4記載の半導体素子の電極の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記保護層が、P、As、Sb、S、S
    eよりなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を含
    む化合物を熱分解し、該元素を前記窒化ガリウム系化合
    物半導体からなる半導体層の表面に堆積させることによ
    り形成されることを特徴とする請求項1乃至3記載の半
    導体素子の電極の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記窒化ガリウム系化合物半導体からな
    る半導体層が、有機金属化学気相成長装置内で有機金属
    化学気相成長法(MOCVD法)により積層され、該半
    導体層の積層に引き続き、前記有機金属化学気相成長装
    置内で、前記保護層が形成されることを特徴とする請求
    項6記載の半導体素子の電極の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記電極の最も半導体側に形成される層
    が、金属からなることを特徴とする請求項1乃至7記載
    の半導体素子の電極の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記金属が、パラジウム(Pd)、白金
    (Pt)、金(Au)からなる群から選ばれた少なくと
    も1種類の金属からなることを特徴とする請求項8記載
    の半導体素子の電極の形成方法。
  10. 【請求項10】 前記金属が、ニッケル(Ni)、Al
    (アルミニウム)、インジウム(In)、チタン(T
    i)からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属か
    らなることを特徴とする請求項8記載の半導体素子の電
    極の形成方法。
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