JP2007012757A - 半導体デバイス、及びその電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極とp型半導体の間にGaSb半導体中間層を積層する。4.4×1017cm-3のキャリア密度を持つMgドープのp型GaNをバルク基板として用いた。まず、超音波洗浄したその基板上にフォトリソグラフィーによってパターンを作成した。この基板と電極との間に設けるGaSb中間層は、粉末状のGaSbを真空蒸着して積層し、その上にGaSbに対するコンタクト材としてTiを蒸着した。その電気特性は蒸着後はショットキーであったが、熱処理を施すことによりオーミック特性を示した。これは、GaSb中間層の挿入によりショットキーバリアが2箇所に分散され、且つ、N,Sbの熱拡散によって中間層とp型GaNとの界面のSBH(ショットキーバリアハイト)が低減したためであり、これにより、中間層の上下両界面でそれぞれ界面抵抗が低くなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば半導体レーザーやLEDやFETなどの各種の半導体デバイスの高信頼化や高性能化などに大いに有用なものであり、特に大電流を要する半導体発光素子などの分野では、高い利用価値を期待することができるものである。
また、この特許文献1では、熱処理雰囲気中に燐(P)やSbなどのV族元素を含有させておいて、p型のGaN結晶中にそれらの元素を熱拡散させることによって、上記の中間層(GaNP混晶やGaNSb混晶など)を得る方法なども同時に提案されている。
また、熱処理雰囲気中に燐やSbなどのV族元素を含有させておいてp型のGaN結晶中にそれらを熱拡散させる上記の従来技術では、V族元素の熱拡散作用を十分には得難く、またこの様な従来の中間層の製造方法は、制御の容易性などの観点から見ても余り現実的な方法とは言えない。
また、本発明の更なる目的は、電極とp型半導体層との間に積層する中間層の生産性を向上させることである。
即ち、本発明の第1の手段は、基板上に III族窒化物系化合物半導体からなる半導体層を積層して形成される半導体デバイスにおいて、 III族窒化物系化合物半導体からなるp型半導体層と金属層からなる電極との間にp型のガリウムアンチモン(GaSb)からなる中間層を設けることである。
ただし、この中間層中には、V族のその他の半金属である燐(P)、砒素(As)またはビスマス(Bi)が若干含まれていても特段差し支えない。
ただし、この濃度分布は、実質的に単調かつ連続的であれば十分なのであって、よって厳密には、必ずしも完全に単調である必要はなく、また必ずしも完全に連続である必要もない。
ただし、この半導体結晶では、窒素(N)の一部がその他のV族元素である燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、またはビスマス(Bi)と部分的に置換されていても良い。また、この半導体結晶をp型化するための不純物としては、例えばマグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)などのII族の適当な元素を添加することができる。
また、この熱処理方法としては、例えば希ガスなどの適当な気圧の不活性ガスを用いた加熱雰囲気を用いる方法などが有用である。勿論その他の周知の適当な任意の方法を用いても良い。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
即ち、本発明の第1の手段によれば、中間層が窒素(N)を含まないガリウムアンチモン(GaSb)から形成されるため、電極を構成し得る種々の金属層とこの中間層との界面におけるショットキーバリアハイト(SBH)を従来よりも更に効果的に低減することができ、これによって、従来よりも低抵抗の界面コンタクトを実現することができる。即ち、本発明の第1の手段によれば、電極と中間層との間のオーミックコンタクトを従来よりも更に良好に確保することができる。
また、GaSbは真空蒸着やスパッタリングなどによって簡単に積層することができる。このため、上記の中間層は容易に得ることができ、よって本発明の第1の手段に従えば生産性の点でも非常に有利となる。
また、GaSbは、正孔の体積密度を容易に3×1019cm-3以上にすることができる材料であるため、上記の中間層はp型化することが非常に容易となる。このため、本発明の第1の手段は、中間層などのキャリア密度の向上にも寄与することができる。
また、上記の熱処理時間は、例えば熱処理温度が500℃の場合、約1時間〜3時間程度で上記の作用・効果を得ることができる。
また、この厚さが厚過ぎると積層時間や材料コストが余計に掛かるので望ましくない。また、目的の半導体デバイスの電気抵抗がその分大きくなるので望ましくない。
また、この厚さが厚過ぎると積層時間や材料コストが余計に掛かるので望ましくない。また、該電極の電気抵抗がその分大きくなるので望ましくない。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
測定装置qは、可変電圧の直流電源と電圧計と電流計から成る。この測定装置qは、半導体チップ100の2つの電極103の間に印加された電圧と、その時にp型バルク基板101を通る電流との関係を調べるためのものである。
図2−A〜Fは、上記の半導体チップ100の製造手順を示す半導体の断面図である。p型バルク基板101では、そのキャリア密度を4.4×1017cm-3とし、その結晶c面を主面に選んだ。そして、このp型バルク基板101を、アセトン中で5分間、IPA中で3分間、更に超純水中で3分間、それぞれ超音波洗浄した(図2−A)。
その後、加熱器のタングステン(W)ボードの上に粉末状のGaSbを配置し、抵抗加熱法に基づく真空蒸着によって、上記のパターンfr1を有するp型バルク基板101の主面に対して、前述のp型中間層102を約100nm積層した(図2−C)。
上記のp型中間層102を導入すること(図4−A,−B)によって、ショットキーバリアが2箇所に分散されると同時に、更に、500℃程度の適当な熱処理に基づくN,Sbの熱拡散作用によって、図4−Bに示す様に、p型中間層102とp型バルク基板101との界面のSBHが非常に効果的に低減するものと考えられる。
これらの作用により、電極103の接触抵抗は大幅に低下するので、この様な電極を半導体デバイスに用いることにより、中間層の上下両界面でそれぞれ界面抵抗が低くなり、よって、その半導体デバイスの高信頼化や高性能化を図ることができる。
一方、上記の正電極92は、チタン(Ti)をp型中間層8上に真空蒸着することによって成膜された約50nmの金属層で構成されている。
上記発光ダイオード10は、有機金属気相成長法(以下「MOVPE」と略す)による気相成長により製造された。用いられたガスは、アンモニア(NH3) 、キャリアガス( H2 , N2 ) 、トリメチルガリウム( Ga(CH3)3) (以下「TMG」と記す)、トリメチルアルミニウム( Al(CH3)3) (以下「TMA」と記す)、トリメチルインジウム( In(CH3)3) (以下「TMI」と記す)、シラン( SiH4) とシクロペンタジエニルマグネシウム( Mg(C5H5)2)(以下「CP2 Mg」と記す)である。
次に、サファイア基板1の温度を1150℃に保持し、H2 を20リットル/分、NH3 を10リットル/分、TMGを1.7 ×10-4モル/分、H2 ガスにより0.86ppm に希釈されたシランを2×10-7モル/分で供給し、膜厚約4.0μm、電子濃度2×1018/cm3 、Si濃度4 ×1018/cm3 のGaNから成るn型コンタクト層3を形成した。
即ち、まず最初に、サファイア基板1の温度を730℃まで低下させ、それと同時にH2 からN2 にキャリアガスを変更し、このキャリアガスとNH3 の供給量を維持しながら、TMGを3.1×10-6モル/分、TMIを0.7×10-6モル/分で供給することにより、膜厚約35ÅのIn0.30Ga0.70Nから成る井戸層51をn型クラッド層4の上に形成した。
以下、これを繰り返して、井戸層51とバリア層52とを交互に積層し、合計5層(井戸層51、バリア層52、井戸層51、バリア層52、最後の井戸層51)から成る前記の活性層5を形成した。
その後、サファイア基板1の温度を890℃に昇温し、N2 を10リットル/分、TMGを1.6×10-5モル/分、TMAを6×10-6モル/分、CP2 Mgを4×10-7モル/分で供給して、膜厚約200Å、濃度5×1019/cm3 のマグネシウム(Mg)をドープしたp型Al0.15Ga0.85Nから成るp型クラッド層6を形成した。
最後に、サファイア基板1の温度を1000℃に昇温し、同時にキャリアガスを再びH2 に変更し、H2 を20リットル/分、NH3 を10リットル/分、TMGを1.2×10-4モル/分、CP2 Mgを2×10-5モル/分で供給して、膜厚約85nm、濃度5×1019/cm3 のMgをドープしたp型GaNから成るp型コンタクト層7を形成した。
以上に示した工程が、 III族窒化物系化合物半導体から成る各半導体層の結晶成長工程である。
以上の結晶成長工程の後、上記のp型コンタクト層7の上に、真空蒸着法に基づき、真空蒸着装置を用いて、GaSbを蒸着することにより、膜厚100nmのp型中間層8を得た。
その後、このp型中間層8の上にエッチングマスクを形成し、所定領域のエッチングマスクを除去して、エッチングマスクで覆われていない部分のp型中間層8、p型コンタクト層7、p型クラッド層6、活性層5、n型クラッド層4、及びn型コンタクト層3の一部を塩素を含むガスによる反応性イオンエッチングによって浸食して、n型コンタクト層3を露出させた。
続いて、該チップの表面上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフによりp型中間層8上の電極形成領域のフィトレジストを除去して、電極成膜用の窓を形成することによって、p型中間層8の上面を露出させる。次に、該チップを真空蒸着装置の中に配置し、その室内を10-4Paオーダ以下の高真空に排気した後、露出させたこのp型中間層8の表面上にTiを約50nm成膜した。次に、該チップを蒸着装置から取り出し、リフトオフ法によりフォトレジスト等を除去することによって、図5の正電極92を得た。
その後、熱処理装置内に配置された該チップの雰囲気を真空ポンプで排気し、O2 ガスを供給して圧力3Paとし、その状態で雰囲気温度を約520℃にして、凡そ100分程度加熱し、p型コンタクト層7、p型クラッド層6をp型低抵抗化させた。この時同時に、p型中間層8とp型コンタクト層7との間では、p型中間層8の構成元素であるSbとp型コンタクト層7の構成元素である窒素(N)との置換が、この熱処理の熱拡散作用に基づいて順調に進んだ。その結果、p型中間層8とp型コンタクト層7との間には、前述の実施例1と同様に、混晶部Mが良好に生成された。
例えばこの様に、本発明の熱処理は、p型半導体層の低抵抗化のためや、電極とコンタクト層の合金化のためなどに実施される従来のその他の熱処理と、兼ね合わせて同時に実行することも可能である。言い換えれば、本発明の熱処理は、該当する電極の積層前に実施しても良いし、その電極の積層後に実施しても良い。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
また、上記の正電極には、単層構造の金属層を用いても多層構造の金属層を用いても良い。正電極を多層構造にする場合、例えば、その一部を構成するチタン(Ti)から成る金属層の上に、後からその他の任意の適当な単層または複層の金属層を蒸着する様にすると良い。
なお、上記の中間層中には、V族のその他の半金属である燐(P)、砒素(As)またはビスマス(Bi)が若干含まれていても特段差し支えない。
101 : p型バルク基板(p−GaN)
102 : p型中間層(p−GaSb)
103 : 電極(Ti金属層)
M : 混晶部(p−GaNSb)
10 : 発光ダイオード
1 : サファイア基板
2 : バッファ層
3 : n型コンタクト層(n型の高キャリア濃度層)
4 : n型クラッド層(ノンドープ低キャリア濃度層)
5 : 活性層
51: 井戸層
52: バリア層
6 : p型クラッド層
7 : p型コンタクト層
8 : p型中間層(p−GaSb)
91: 負電極
92: 正電極
Claims (6)
- 基板上に III族窒化物系化合物半導体からなる半導体層を積層して形成される半導体デバイスにおいて、
III族窒化物系化合物半導体からなるp型半導体層と、金属層からなる電極との間に、p型のガリウムアンチモン(GaSb)からなる中間層を有する
ことを特徴とする半導体デバイス。 - 前記中間層と前記p型半導体層との界面近傍の該界面に垂直な方向における窒素(N)及びアンチモン(Sb)の濃度分布は、それぞれ単調かつ連続的に変化している
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体デバイス。 - 前記p型半導体層は、
p型のInx Aly Ga1-x-y N(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)から成る半導体結晶から形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体デバイス。 - 前記金属層は、
チタン(Ti)から成るか、または、
少なくとも前記p型半導体層との界面近傍にチタン(Ti)を含んでいる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の半導体デバイス。 - 基板上に III族窒化物系化合物半導体からなる半導体層を積層して形成される半導体デバイスの電極の製造方法であって、
III族窒化物系化合物半導体からなるp型半導体層と、金属層からなる電極との間に、p型のガリウムアンチモン(GaSb)からなる中間層を積層する中間層積層工程を有し、
前記中間層積層工程において、
ガリウムアンチモン(GaSb)の真空蒸着またはスパッタリングによって前記中間層を積層する
ことを特徴とする半導体デバイスの電極の製造方法。 - 少なくとも前記中間層と前記p型半導体層とが積層された前記基板を400℃よりも高く1200℃よりも低い温度で熱処理する
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体デバイスの電極の製造方法。
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