JPH11273601A - 集束イオンビーム装置およびその光学系の設計方法 - Google Patents

集束イオンビーム装置およびその光学系の設計方法

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JPH11273601A
JPH11273601A JP9676198A JP9676198A JPH11273601A JP H11273601 A JPH11273601 A JP H11273601A JP 9676198 A JP9676198 A JP 9676198A JP 9676198 A JP9676198 A JP 9676198A JP H11273601 A JPH11273601 A JP H11273601A
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lens
distance
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ion beam
main surface
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Kiyoshi Sakaguchi
清志 坂口
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集束イオンビーム装置による試料のSIM観察
から加工までの幅広いイオンビーム電流値領域におい
て、最小のビーム径が得られるようにイオン照射系の鏡
筒の長さを最適化する設計方法および装置を提供するこ
と。 【解決手段】集束イオンビーム装置のイオン照射系の第
1のレンズは発散モードで使用し、小イオンビーム電流
値領域において最高の分解能を得るようにしたとき、前
記第1のレンズの倍率が設定可能な最低倍率となるよう
に、第1と第2のレンズ間の距離を設定することによっ
て、幅広いイオンビーム電流値領域で最小のビーム径が
得られるように成す設計方法およびそのように成したイ
オン照射系を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集束イオンビーム
装置に関し、詳しくはイオン照射系の鏡筒の長さ及びア
パーチャの位置を最適化した集束イオンビーム装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】Ga等の金属イオン源を用いた集束イオン
ビームによる材料の加工や集束イオンビームを材料に二
次元的に走査して得られる走査顕微鏡像の観察(SIM、S
canning Ion Microscope) を目的としたFIB (Focus
ed Ion Beam) 装置が広く用いられている。
【0003】その一例としてFIBのイオン光学系の一例
を図4に示す。図中、1は高真空に保持されたイオン照
射系の鏡筒、2はイオン源となるエミッタ、3はイオン
ビームを引き出すための引き出し電極、4はイオンビー
ムを所望のエネルギに加速する加速電極、5はイオンビ
ームの電流を所望の電流値に調節する集束レンズであっ
て、引き出し電極3と加速電極4とを兼ねた静電型のも
のである。6はイオンビームを制限するアパーチャ、7
はイオンビームを二次元的に偏向・走査する偏向電極、
8はイオンビームをフォーカスして試料に照射する対物
レンズ、9は加工またはSIM観察しようとする試料、1
0は試料を載置し試料の位置と傾きを自在に調節できる
試料ステージ、11は試料室である。なお、図示しない
が、エミッタ2、各電極3等、各レンズ5等、試料ステ
ージ10には、これらを動作させるための電源や制御回
路が接続されている。更に、同じく図示しないが、試料
9で発生した二次イオンを検出する検出器、検出器から
の信号の処理回路、SIM像観察のための表示装置等が接
続されている。
【0004】この様なFIB装置でSIM像を観察するに際し
てできるだけ高い分解能(イオンビームの径と考えてよ
い)を得るためには、加速電極4に印加する加速電圧を
高く設定し、イオンビーム電流を少なくなるよう集束レ
ンズ5とアパーチャ6の径を設定し、観察する試料9を
対物レンズ8に近づけて設置した上で、対物レンズ8を
調節してイオンビームをフォーカスさせて試料9に照射
する。また、試料のイオンビームによる加工に際してで
きるだけ高い加工精度(これも分解能と同様にイオンビ
ームの径と考えてよい)を得るためには、その試料の加
工に合わせたイオンビーム電流が得られるように集束レ
ンズ5とアパーチャ6の径を設定し、対物レンズ8を調
節してイオンビームをフォーカスさせて試料9に照射す
る。
【0005】この様に、イオンビーム電流Ipが比較的大
電流の領域(Ip>10pA、例えば1000pA)においては
その加工精度を向上させるため、小電流領域(Ip<10p
A、例えば1pA)ではSIM像分解能向上のため、ビーム径
を小さくするための工夫が要求されている。
【0006】しかしながら、上記のような操作によって
得られる分解能は、FIB装置のイオン光学系の設計の如
何によって決まってしまう。即ち、設計に不都合がある
という第一のケースは、ある測定条件において本来得ら
れるべき最良の分解能が、単純に設計不十分のため所定
の結果が得られない場合もある。第二のケースは、例え
ばSIM像観察のための小電流領域では本来得られるべき
最良の分解能が得られるにもかかわらず、電流条件を変
えて加工のための大電流領域にすると、最良の結果が得
られるための条件が保てなくなって、その測定条件で本
来得られるべき最良の分解能が得られなくなってしまう
場合もある。
【0007】この様に一般には、全ての電流領域でビー
ム径を最小化するFIB鏡筒の光学設計は非常に難しいた
め、専ら小電流領域に照準を合わせた光学設計をしてい
る。そして、大電流領域での光学設計では、小電流領域
で適切な光学設計が行われていれば、大電流領域におい
てもそれなりに良い結果が得られるというだろうという
経験則に依存している。しかしこの様な小電流領域に合
わせた設計においても、明確な評価基準によって設計す
るというよりは、いわば勘と経験に頼った設計をしてい
る現状にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に対処すべくなされたものであって、小電流領域はもち
ろん、大電流領域においても近似誤差の範囲で最良の結
果が得られる明確な評価基準によって設計したFIB鏡筒
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明に基づく、第
1のレンズの主面と第2のレンズの主面間の距離を決定
する設計方法は、エミッタと、引き出し電極と、加速電
極と、第1のレンズと、第2のレンズと試料を載置する
試料ステージとを備えた集束イオンビーム装置の光学系
において、前記加速電極には設定可能な最大加速電圧を
印加し、前記第1のレンズは虚像を結びかつ該第1のレ
ンズの倍率はその値の絶対値が最小になるように設定
し、前記第2のレンズの主面と前記試料ステージに載置
した前記試料面との距離を最小に設定し、前記試料面に
照射するイオンビーム電流値を10pA以下としたとき
に、前記試料面にフォーカスして照射されるイオンビー
ムの径が最小になるような、前記第1のレンズの主面と
前記第2のレンズの主面間の距離を決定することを特徴
とする。
【0010】第2の発明に基づく、第1のレンズの主面
と第2のレンズの主面間の距離を決定する設計方法は、
仮想光源の大きさがdo、ビームのエネルギー広がり幅が
△E、エミッション角電流密度がJoであるエミッタと、
引き出し電圧Vextを印加する引き出し電極と、加速電圧
Vaccを印加する加速電極と、前記エミッタ先端からa1
距離にそのレンズ主面が位置しかつ該レンズ主面からの
距離b1の前記エミッタの後方位置に虚像を結ぶ第1のレ
ンズと、前記第1のレンズ主面から更に距離Lにそのレ
ンズ主面が位置しかつ前記第1のレンズによって結ばれ
た虚像を該レンズ主面の前方の距離b2の位置に置かれた
試料位置に実像として投影する第2のレンズとを備えた
集束イオンビーム装置の光学系において、前記加速電圧
Vaccは設定可能な最大電圧とし、前記第1のレンズの倍
率は設定可能な最小値|m1min|とし、前記第2のレン
ズの物点を-∞に置いたときの色収差係数をCc2inf
し、前記第2のレンズのレンズ主面の前方の試料位置ま
での距離b2を設定可能な最短距離とし、イオンビーム電
流Ipを10pA以下としたときに、第1のレンズの主面と
第2のレンズの主面間の距離Lを下記の如く決定するこ
とを特徴とする。 0.8・L*≦L≦1.2・L* ここで、L*=|m1min|・(b2/t-a1/g) t=dpmin/(√2・do)、g=(Vext/Vacc)1/2、 dpmin=(2・do・Cc2inf・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc3・Jo))1/4 第3の発明に基づく集束イオンビーム装置は、仮想光源
の大きさがdo、ビームのエネルギー広がり幅が△E、エ
ミッション角電流密度がJoであるエミッタと、引き出し
電圧Vextを印加する引き出し電極と、加速電圧Vaccを印
加する加速電極と、前記エミッタ先端からa1の距離にそ
のレンズ主面が位置しかつ該レンズ主面からの距離b1
前記エミッタの後方位置に虚像を結ぶ第1のレンズと、
前記第1のレンズ主面から更に距離Lにそのレンズ主面
が位置しかつ前記第1のレンズによって結ばれた虚像を
該レンズ主面の前方の距離b2の位置に置かれた試料位置
に実像として投影する第2のレンズとを備えた集束イオ
ンビーム装置において、前記加速電圧Vaccは設定可能な
最大電圧とし、前記第1のレンズの倍率は設定可能な最
小値|m1min|とし、前記第2のレンズの物点を-∞に置
いたときの色収差係数をCc2infとし、前記第2のレンズ
のレンズ主面の前方の試料位置までの距離b2を設定可能
な最短距離とし、イオンビーム電流Ipを10pA以下とし
たときに、第1のレンズの主面と第2のレンズの主面間
の距離Lが下記の如く成したことを特徴とする。 0.8・L*≦L≦1.2・L* ここで、L*=|m1min|・(b2/t-a1/g) t=dpmin/(√2・do)、g=(Vext/Vacc)1/2、 dpmin=(2・do・Cc2inf・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc3・Jo))1/4 第4の発明に基づく集束イオンビーム装置は、前記第1
のレンズと前記第2のレンズとの間にアパーチャ径Dap
のアパーチャを前記第1のレンズの主面からLapの位置
に挿入し、該アパーチャ挿入位置Lapを下記の如く成し
たことを特徴とする。 0.8・Lap*≦Lap≦1.2・Lap* ここで、Lap*=-a1・m1min/g+(1/2)Dap/tan((Ip/(π・Jo・m
1min 2))1/2・g)
【0011】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、まず始めに
設計の根拠を示し、次いで本発明の実施の形態を詳細に
説明する。FIB装置の多くは2つのレンズを用いた2レ
ンズ光学系を採用している。2レンズ光学系では図1に
示すように4つのオペレーション・モードが可能であ
る。しかし最近の研究(Y.L.Wang et.al., Adv. Ele
ctron and Electron Phys.81 (1991) 177)によれ
ば、図1(b)の発散モード(diverging mode)を使
用することが、どの電流領域においても最小ビーム径を
得るには有利であることが判っており、このモードを出
発点とする。図2は、設計のためのパラメータの説明図
である。a1はエミッタ先端と第1のレンズ主面間の距
離、b1は第1のレンズによって結ばれる虚像の位置と第
1のレンズ主面間の距離、Lは第1のレンズ主面と第2
のレンズ主面間の距離、a2は第1のレンズによって結ば
れる虚像の位置と第2のレンズ主面間の距離であって、
a2=b1+Lである。b2は第2のレンズ主面と試料間の距
離、Lapは第1のレンズ主面からアパーチャの位置まで
の距離である。なお、ここでの第1のレンズは図4の集
束レンズ5、同じく第2のレンズは対物レンズ8に相当
する。ビーム径dpは次式で表される。 dp 2=(m1・m2・do)2+(Cc・αi・△E/Vacc )2+(Cs・αi 3/2)2・・・(1) ここでm1は第1のレンズの倍率、m2は第2のレンズの倍
率、doはエミッタの仮想光源(virtual source diame
ter)の大きさ、CcおよびCsはそれぞれこの系の色収差
係数および球面収差係数、αiはビームの試料入射半角
(beam half angle at image plane)、△Eはビー
ムのエネルギー広がり幅、Vaccは加速電圧である。一般
にビーム電流の小さい領域においては、球面収差による
ビーム広がり(spherical disc size)dsは、色収差
によるビーム広がり (chromatic disc size) dc
やガウス像の大きさに比べて無視できる程小さい。ま
た、上記電流範囲における倍率の設定範囲においては、
色収差係数の倍率依存性は非常に弱いと言える。従っ
て、式(1)は下式のように書き換えられる。 dp 2=(m1・m2・do)2+(Cc・αi・△E/Vacc )2 =(m1・m2・do)2+(Cc/(m1・m2))2・△E2・Vext・Ip/(Vacc 3・π・Jo)・・・(2) ここでVextは引き出し電圧、Ipはビーム電流、Joはエミ
ッション角電流密度である。これを倍率m(=m1・m2)で微
分し、上述の色収差係数の倍率依存性は非常に弱いと言
う関係を適用して近似すれば、ビーム径を最小にする最
適倍率m*と、そのときの最小プローブ径dpminが下式の
ように求まる。 m*=dpmin/(√2・do)・・・(3) dpmin=(2・do・Cc・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc 3・Jo))1/4・・・(4) この結果は、ビーム電流Ip<2乃至3pAの領域では誤差数%
以内であり、よい近似を示す。
【0012】一方、倍率mはビームが試料位置でフォー
カスする条件を満たさなければならない。今、図2で示
す光学系で考えると倍率と物点(光源)、像点との関係
は次式で与えられる。 |m1|=(Vext/Vacc )1/2・(b1/a1)、 |m2|=b2/a2=b2/(L+b1)・・・(5) かつ、 |m1・m2|=dpmin/(√2・do)・・・(6) を満たすとき、最適倍率条件と結像条件を同時に満たす
ことになる。
【0013】ここで、g=(Vext/Vacc )1/2、t=|m1・m2
=dpmin/(√2・do)と置いて、レンズ間距離L(以下これを
コラム長さと呼ぶことがある)を求めると、下式にな
る。 L=|m1|・(b2/t-a1/g)=(b2-a1・t/g)/|m2|・・・(7) ここで、a1はエミッタ先端と第1のレンズ主面間の距離
であり、b2は第2のレンズ(対物レンズ)主面と試料間
の距離である。なお、b2/a1>t/gを満たすようにa1とb2
を選べばL>0となり、有意のレンズ間距離Lが得られる
ことが判る。
【0014】次に式 (7) を満たすコラム長さを最適
コラム長さL*とおき、LがL*からずれた場合の分解能劣
化をシミュレートしてみると、図3のようになる。図の
横軸は最適コラム長さに対するコラム長さの比を表し、
縦軸は最小プローブ径に対する得られるプローブ径、即
ち、分解能の劣化を表している。この図を見れば、コラ
ム長さを最適コラム長さより長くした場合(即ちL>L*の
場合)には、分解能の劣化すなわちビーム径劣化はさほ
どではないが、コラム長さを最適コラム長さより短くし
た場合(即ちL<L*の場合)には、分解能すなわちビーム
径は急速に劣化することが分かる。この傾向は、経験的
な感覚とも一致する。
【0015】上記の結果は、装置のコンパクト化を図る
あまり、不用意にコラム長さを最適コラム長さより短く
したり、逆に必要以上に冗長なコラム長さとする愚を回
避する意味で実用的に極めて重要である。
【0016】また、最適コラム長さL*は、加速電圧に依
存する。そのため加速電圧可変の実際のFIB装置におい
ては、例えば最大の加速電圧において最適コラム長さL*
を決定し、低い加速電圧で使用する際には、最適コラム
長さL* が小さくなり、L>L*となるものの、図3に見る
如くこの場合は、逆のL<L*の場合に比べれば問題は小さ
いと言える。更に、図2において、最小ビーム電流で最
小ビーム径を得るという観点から、光学系に挿入すべき
アパーチャ(beam defining aperture)の位置Lap
その径Dapについて調べる。図2およびその他の関係か
らアパーチャの位置Lapは下式のように表される。 Lap=-a1・m1/g+(1/2)Dap/tan((Ip/(π・Jo・m1 2))1/2・g)・・・(8) 上式において、最小ビーム電流値Ipとアパーチャの径D
apを決めれば、アパーチャの位置Lapが決定される。こ
のとき、アパーチャの位置Lapは最適コラム長さL*より
短くなるよう(即ちL*>Lap)アパーチャの径Dapを決定
することが必要である。
【0017】次に、上記の考えを基に設計の基準を作
る。まず、実質的な最高の加速電圧をVacc、引き出し電
圧をVext、エミッタの仮想光源の大きさをdo、ビームの
エネルギー広がり幅を△E、エミッション角電流密度をJ
oとする。ここで言う実質的な最高の加速電圧とは、最
も高い分解能を狙うときの加速電圧であって、他の目的
のためのそれ以上の高い加速電圧は埒外として考慮に入
れないこととする。
【0018】さて、第1のレンズの設定可能な倍率の範
囲は、引き出し電圧によって決まってしまう。先述で
は、第1のレンズは所望の倍率が設定できるとして議論
してきた。従って、そこでは最適コラム長さL*には、幅
広い設定可能な範囲があった。しかし、実際には最適コ
ラム長さL*は、第1のレンズの設定可能な倍率の範囲に
よって制限を受けることになるので、そのことを考慮に
入れる必要がある。そこで、第1のレンズの設定可能な
最低倍率|m1|を|m1min|とする。このとき、エミッ
タ先端から第1のレンズの主面までの距離をa1とする。
なお、ここでは第1のレンズは発散モードで使用してい
るから、その倍率m1は負の値をとる。従って、最低倍率
|m1min|とは第1のレンズの倍率の値の絶対値が最小
となる設定可能な値をいう。
【0019】系全体の色収差係数は第2のレンズの色収
差係数で近似できることは既に述べたが、更に、これを
第2のレンズの物点を−∞に置いたときの色収差係数C
c2infで近似する。これは色収差係数が、倍率にはあま
り依存しないことによる。そして、試料ステージの上下
動機構を駆動して試料を第2のレンズに最も近づけたと
きの、第2のレンズ主面と試料間の距離をb2とする。な
お、この第2のレンズに試料を最も近づけたときの状態
は、一般に最も高い分解能を狙うときの経験による操作
に一致する。
【0020】最も高い分解能を狙うときの(小電流領域
の、具体的には10pAないしそれ以下の)電流値をIpとし
たときの最適コラム長さL*は、次のようになる。 L*=|m1min|・(b2/t*-a1/g)・・・(9) ここで、t*=dpmin/(√2・do)、g=(Vext/Vacc)1/2、 dpmin=(2・do・Cc2inf・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc3・Jo))1/4 また、このときの図2におけるアパーチャの(最適の)
挿入位置Lap*は、アパーチャの径をDapとすると、次の
ようになる。 Lap*=-a1・m1min/g+(1/2)Dap/tan((Ip/(π・Jo・m1min 2))1/2・g)・・・(10) 以上の最適コラム長さL*およびアパーチャの最適の挿入
位置Lap*を基準して、実際のコラム長さLおよびアパー
チャの挿入位置Lapを決定すれば良い。具体的には、図
3のグラフから分解能の劣化率を2〜3%以内に押さえ
るべく、次のようにする。 0.8・L*≦L≦1.2・L*・・・(11) 0.8・Lap*≦Lap≦1.2・Lap*・・・(12) 次に、これに対して、測定条件を変えたときどうなるか
を調べて置く。測定条件は、ビーム電流Ipが数桁、加速
電圧Vaccおよび第2のレンズと試料間の距離b1が数倍変
化する。引き出し電圧Vextも徐々に変化するが、これは
無視する。式(9)において、ビーム電流Ipが最も高い
分解能を狙うときの小電流領域の電流値よりも大きくな
ると、最小プローブ径dpminひいてはt*が大きくなり、
式(9)における値 (b2/t*-a1/g) が小さくなり、こ
のままだと、コラム長さLは小さくならなければならな
い。しかし、|m1min|は、第1のレンズの設定可能な
最低倍率であるから、第1のレンズの倍率|m1|を適宜
(倍率の値の絶対値が大きくなる方向に、但し系の結像
条件は満たしながら)調節することによって、大幅なビ
ーム電流Ipの増加に対して最適なコラム長さを常に一定
に保持することができることになる。
【0021】これによって、SIM観察のための小電流領
域から加工のための大電流領域までの広い電流領域にお
いて、常に最適のコラム条件が得られるようにできた。
【0022】一方、加速電圧Vaccを最も高い分解能を狙
うときの加速電圧(通常最大)よりも小さくした場合、
あるいは第2のレンズと試料間の距離b1を最も高い分解
能を狙うときの距離(通常最小)よりも大きくした場合
は、コラム長さLは、最適コラム長さL*よりも大きくな
ってしまう。これを回避する旨い方法はないが、幸いな
ことに、これらはビーム電流Ipの変化に比べ絶対的に必
須な測定条件ではないこと、図3に見られる如くL/L*が
増加する方向では、プローブ径dpの増加(劣化)はほど
ではないので、やむを得ないとすることができる。な
お、一見すると式(9)において、|m1min|に余裕を
持たせて最適コラム長さL*を設定すれば良いようにも思
えるかも知れないが、これはその分コラム長さが大きく
なることを意味し、コンパクトな実用的な装置ではなく
なってしまうので採らない。
【0023】また、アパーチャの挿入位置Lapについて
は、多数の異なるアパーチャの径のものを用意すること
によって、最適なアパーチャの挿入位置Lap*と近似的に
一致させることができる。
【0024】上記は、2レンズ系の光学系で説明した
が、第1のレンズと第2のレンズとの間に第3のレンズ
を挿入した3レンズ系の光学系においても、上記の考え
方を同様に適用することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、最も高い分解能を狙うときの(小電流領域の)電流
値Ipと加速電圧Vaccと第2のレンズと試料間の距離b1
おいて、最適コラム長さL*と最適なアパーチャの挿入位
置Lap*を設定することによって、最も高い分解能を得る
ことができ、更に第1のレンズにおいて設定可能な最低
倍率|m1min|を基準とする考え方を導入することによ
って、大電流領域でのイオンビーム加工においても、そ
の条件において最も高い分解能を得ることができる最適
の条件が設定可能となり、かつコンパクトなFIB装置の
鏡筒を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】2レンズの光学系におけるオペレーションモー
ドを説明する図である。
【図2】2レンズの光学系における設計パラメータを説
明する図である。
【図3】本発明にかかるコラム長さと分解能の関係を示
す図である。
【図4】FIB装置を説明する図である。
【符号の説明】
1…イオン照射系の鏡筒、2…エミッタ、3…引き出し
電極、4…加速電極、5…集束レンズ、6…アパーチ
ャ、7…偏向電極、8…対物レンズ、9…試料、10…
試料ステージ、11…試料室

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エミッタと、引き出し電極と、加速電極
    と、第1のレンズと、第2のレンズと、試料を載置する
    試料ステージとを備えた集束イオンビーム装置の光学系
    において、前記加速電極には設定可能な最大加速電圧を
    印加し、前記第1のレンズは虚像を結びかつ該第1のレ
    ンズの倍率はその値の絶対値が最小になるように設定
    し、前記第2のレンズの主面と前記試料ステージに載置
    した前記試料面との距離を最小に設定し、前記試料面に
    照射するイオンビーム電流値を10pA以下としたとき
    に、前記試料面にフォーカスして照射されるイオンビー
    ムの径が最小になるような、前記第1のレンズの主面と
    前記第2のレンズの主面間の距離を決定することを特徴
    とする光学系の設計方法。
  2. 【請求項2】仮想光源の大きさがdo、ビームのエネルギ
    ー広がり幅が△E、エミッション角電流密度がJoである
    エミッタと、引き出し電圧Vextを印加する引き出し電極
    と、加速電圧Vaccを印加する加速電極と、前記エミッタ
    先端からa1の距離にそのレンズ主面が位置しかつ該レン
    ズ主面からの距離b1の前記エミッタの後方位置に虚像を
    結ぶ第1のレンズと、前記第1のレンズ主面から更に距
    離Lにそのレンズ主面が位置しかつ前記第1のレンズに
    よって結ばれた虚像を該レンズ主面の前方の距離b2の位
    置に置かれた試料位置に実像として投影する第2のレン
    ズとを備えた集束イオンビーム装置の光学系において、
    前記加速電圧Vaccは設定可能な最大電圧とし、前記第1
    のレンズの倍率は設定可能な最小値|m1min|とし、前
    記第2のレンズの物点を-∞に置いたときの色収差係数
    をCc2infとし、前記第2のレンズのレンズ主面の前方の
    試料位置までの距離b2を設定可能な最短距離とし、イオ
    ンビーム電流Ipを10pA以下としたときに、第1のレン
    ズの主面と第2のレンズの主面間の距離Lを下記の如く
    決定することを特徴とする光学系の設計方法。 0.8・L*≦L≦1.2・L* ここで、L*=|m1min|・(b2/t-a1/g) t=dpmin/(√2・do)、g=(Vext/Vacc)1/2、 dpmin=(2・do・Cc2inf・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc3・Jo))1/4
  3. 【請求項3】仮想光源の大きさがdo、ビームのエネルギ
    ー広がり幅が△E、エミッション角電流密度がJoである
    エミッタと、引き出し電圧Vextを印加する引き出し電極
    と、加速電圧Vaccを印加する加速電極と、前記エミッタ
    先端からa1の距離にそのレンズ主面が位置しかつ該レン
    ズ主面からの距離b1の前記エミッタの後方位置に虚像を
    結ぶ第1のレンズと、前記第1のレンズ主面から更に距
    離Lにそのレンズ主面が位置しかつ前記第1のレンズに
    よって結ばれた虚像を該レンズ主面の前方の距離b2の位
    置に置かれた試料位置に実像として投影する第2のレン
    ズとを備えた集束イオンビーム装置において、前記加速
    電圧Vaccは設定可能な最大電圧とし、前記第1のレンズ
    の倍率は設定可能な最小値|m1min|とし、前記第2の
    レンズの物点を-∞に置いたときの色収差係数をCc2inf
    とし、前記第2のレンズのレンズ主面の前方の試料位置
    までの距離b2を設定可能な最短距離とし、イオンビーム
    電流Ipを10pA以下としたときに、第1のレンズの主面
    と第2のレンズの主面間の距離Lが下記の如く成したこ
    とを特徴とする集束イオンビーム装置。 0.8・L*≦L≦1.2・L* ここで、L*=|m1min|・(b2/t-a1/g) t=dpmin/(√2・do)、g=(Vext/Vacc)1/2、 dpmin=(2・do・Cc2inf・△E)1/2・(Vext・Ip/(π・Vacc3・Jo))1/4
  4. 【請求項4】前記第1のレンズと前記第2のレンズとの
    間にアパーチャ径Dapのアパーチャを前記第1のレンズ
    の主面からLapの位置に挿入し、該アパーチャ挿入位置L
    apを下記の如く成したことを特徴とする請求項3の集束
    イオンビーム装置。 0.8・Lap*≦Lap≦1.2・Lap* ここで、Lap*=-a1・m1min/g+(1/2)Dap/tan((Ip/(π・Jo・m
    1min 2))1/2・g)
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