JPH1127330A - ディジタル信号変調方法及び復調方法 - Google Patents

ディジタル信号変調方法及び復調方法

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JPH1127330A
JPH1127330A JP18151797A JP18151797A JPH1127330A JP H1127330 A JPH1127330 A JP H1127330A JP 18151797 A JP18151797 A JP 18151797A JP 18151797 A JP18151797 A JP 18151797A JP H1127330 A JPH1127330 A JP H1127330A
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和彦 府川
Hiroshi Suzuki
博 鈴木
Junichi Kyoda
純一 京田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最尤系列推定器において、自己相関行列Rm
(i)が常に正則となり伝送路伝達係数Wm(i)が発
散することなく求めることができる。 【解決手段】 送信側でBPSK(QPSK)などのデ
ィジタル変調系列{b(i)}に対し、シンボルごとに
0位相と、π/4位相(0位相とπ/8位相)とを交互
にとる特定コードを乗算し(32)、その乗算出力を送
信し(34)、受信側で、ベースバンド信号からタイミ
ングを再生し(51)、そのタイミングで復調手段36
を動作させ、最尤系列推定手段で、入力ベースバンド信
号x(i)から候補Sm(i)を推定し、その自己相関
行列の逆行列Rm-1(i)を作り、また、x(i)とS
m(i)の相互相関を求め(41)、その結果Vm
(i)とRm-1(i)との積をキャリア位相推定手段4
2で求めて伝送路伝達係数Wm(i)を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は移動通信などの無
線通信における変動する伝送路において信頼性の高い信
号伝送が可能な変調方法、その復調方法を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】通信用伝送路においては伝送特性、例え
ば送信機から受信機までのインパルスレスポンスが時間
的に大きく変動することがある。マイクロ波無線伝送、
移動通信などはその代表的な例である。このような伝送
路では比較的雑音レベルの高い受信状態において、希望
信号は時間的に変動する波形歪を伴って受信され、さら
に変動する同一チャネル干渉が重畳されて伝送特性が大
幅に劣化することがある。そのため、これらの原因によ
る劣化を抑えつつ、信頼性の高い伝送方式を実現する必
要がある。従来の解決法と欠点 このように変動する伝送路において適応アルゴリズムを
用いた最適受信機が利用されてきた。
【0003】変動する歪みが存在する伝送路では、従
来、適応受信機として適応等化器が利用されてきた。こ
の適応等化器はその構造から、線形等化器と非線形等化
器に分類される。まず、線形等化器について述べる。図
9は、線形等化器の構成を示している。以下では、変調
された受信信号を複素表示して動作を説明する。時点i
における等化器への入力信号x(i)の実数成分は受信
信号の同相成分の振幅、虚数成分は受信信号の直交成分
の振幅を表わしている。入力信号x(i)が入力端子1
1からトランスバーサルフィルタ12へ入力され、トラ
ンスバーサルフィルタ12のj番目のタップ係数wj
(i)を制御することにより歪みが除去されて判定回路
13に入力される。判定された信号は出力端子14から
出力される。判定回路13の入力端と出力端の両信号は
差分演算回路15に入力されて誤差信号e(i)が計算
される。誤差信号は制御部16へ送られる。制御部16
では、誤差信号e(i)と入力信号x(i)から、タッ
プ係数wjが更新される。線形等化器の動作は、例え
ば、佐藤洋一,“線形等化理論”,丸善などに詳しく説
明されている。
【0004】トランスバーサルフィルタ12のタップ数
をMとして、トランスバーサルフィルタ12の各タップ
係数w1(i)からwM(i)を並べた伝送路伝達係数
W(i)と、入力信号x(i)からx(i−M+1)を
並べた入力信号ベクトルX(i)を用いると、伝送路伝
達係数W(i−1)は、入力信号ベクトルX(i)と誤
差信号e(i)を用いて、W(i)に更新される。理想
的に動作する場合には、最小2乗法の解となっており、
入力信号ベクトルX(i)から求められる自己相関行列
R(i)と、入力信号ベクトルX(i)と判定信号との
相互相関ベクトルV(i)とを用いて、伝送路伝達係数
はW(i)=R-1(i)V(i)のように表わされる。
これは、正規方程式:R(i)W(i)=V(i)の解
である。しかしながら、自己相関行列の逆行列R
-1(i)はR(i)が正則でなければ存在しないという
制限があった。そのため、自己相関行列のランクがMよ
り小さくなるような受信波、たとえば低雑音条件におい
て同一符号が続く変調波を受信した場合などでは、逆行
列が発散し、その結果として伝送路伝達係数が発散する
という欠点があった。
【0005】前記正規方程式の解を逐次的に求める適応
アルゴリズムも知られている。例えば、カルマンフィル
タ,RLS,LMSなどが代表的な例である。適応アル
ゴリズムについてはHaykin,“Adaptive Filter Theor
y”,Prentice-Hall,1991が詳しい。これらの方法にお
いても自己相関行列が非正則のときには解の発散が起き
る。
【0006】自己相関行列が非正則のときでも発散しな
い解が得られる方法として、一般逆行列を用いる方法が
知られている。一般逆行列については、A.Albert,“Re
gression and the Moor Penrose Pseudoinverse ”,Ac
ademic Press,1972、が詳しい。一般逆行列を用いる
と、自己相関行列が非正則のときにも解の発散が抑制さ
れているが、その解W(i)はタップ伝送路伝達係数の
ノルム‖W(i)‖が最小となる最小ノルム解となり、
時点iが推移すると、各時点ごとに最小ノルム解が異な
るのでかならずしもその解が徐々に本来の解に収束する
ものではなかった。
【0007】自己相関行列が非正則のときにも徐々に本
来の解へ漸近する方法としては、Moor-Penrose一般逆行
列を用いる直交射影法が知られている。この方法は、尾
関,梅田,“アフィン部分空間への直交射影を用いたフ
ィルタ・アルゴリズムとその諸特性”,電子情報通信学
会論文誌,vol.J67-A,No.2,pp.126-132,1984年2月、に
示されている。しかしながら、伝送特性が変動する伝送
路では自己相関行列も変化していくので、Moor-Penrose
一般逆行列を次々と更新する必要があり、この更新には
大量の演算を必要とするため実際にリアルタイム条件で
使用することは困難であった。
【0008】以上説明したように線形等化器の適応性に
関する改良が行われてきたが、非最小位相となる歪み条
件では十分な等化効果が得られないという欠点があっ
た。非最小位相となる歪み条件でも十分な等化効果が得
られるように非線形等化器が用いられてきた。非線形等
化器の構成例を図10に示す。この構成は適応最尤系列
推定器としても知られている。入力信号x(i)が入力
端子11から差分回路21へ入力され、トランスバーサ
ルフィルタ12から出力されるレプリカ信号ym(i)
との差分演算が行われて、誤差信号em(i)が得られ
る。誤差信号em(i)の絶対値の2乗が2乗器22で
とられて最尤系列推定部23に入力され、信号が推定さ
れる。最尤系列推定部23からは、符号系列候補{a
m}が出力される。符号系列候補{am}に対応して、
変調部24からは変調波候補smが出力される。変調波
候補smはトランスバーサルフィルタ12に入力され、
レプリカ信号ym(i)が形成される。最尤系列推定部
23から出力される候補は各状態に対して状態遷移の数
だけあるので、同一の入力信号x(i)に対して、状態
数と状態遷移数に対応した上述の演算を行う。制御部2
5は、誤差信号em(i)と変調波候補smを用いて、
トランスバーサルフィルタ12のタップ係数を更新す
る。非線形等化器の動作は、例えば、府川,鈴木,“移
動無線における逐次最小2乗形適応最尤系列推定(RL
S−MLSE)の特性”,電子情報通信学会論文誌(B
−II),vol.J75-B-II,No.8,pp.535-546,1992年8月、
などに詳しく説明されている。
【0009】トランスバーサルフィルタ12のタップ数
をMとして、トランスバーサルフィルタの各タップ係数
wm,1(i)からwm,M(i)を並べた伝送路伝達
係数Wm(i)と、変調波候補sm(i)からsm(i
−M+1)を並べた変調波候補ベクトルSm(i)を用
いて、伝送路伝達係数Wm(i−1)は、変調波候補ベ
クトルSm(i)と誤差信号em(i)を用いて、Wm
(i)に更新される。理想的に動作する場合には、最小
2乗法の解となっており、変調波候補ベクトルSm
(i)が作る自己相関行列Rm(i)と、変調波候補ベ
クトルSm(i)と入力信号x(i)との相互相関ベク
トルVm(i)とを用いて、伝送路伝達係数はWm
(i)=Rm-1(i)Vm(i)のように表わされる。
しかしながら、自己相関行列の逆行列Rm-1(i)はR
m(i)が正則でなければならないという制限があっ
た。そのため、自己相関行列のランクがMより小さくな
るような変調波候補ベクトル、たとえば同一符号が続く
変調波候補などでは、伝送路伝達係数が発散するという
欠点があった。
【0010】このような同一符号が続く変調波候補にお
いて伝送路伝達係数が発散する問題への対処策として、
以下の方法が知られている。 (1)府川,鈴木,“Blind interference cancelling
equalizer for mobile radio communications ”,電子
情報通信学会論文誌(B−II),vol.E77-B-II,No.5,p
p.580-588,1994年5月では、あらかじめすべての符号
系列に対する自己相関行列のアンサンブル平均をとり、
その平均値に固定する方法がとられている。 (2)古谷,後川,伊佐,佐藤,“ブラインドビタビ等
化方式の一提案”,1991年春季電子情報通信学会全国大
会では、自己相関行列が正則でないときには、アップデ
ートしない方法がとられている。 (3)Graham C.Goodwin,Kawai Sang Sin “Adaptive F
iltering,Prediction,and Control ”,PRENTICE-HALL,
1984年では、自己相関行列を求める前の入力ベクトルに
雑音成分を混入する方法が示されている。 (4)鈴木,府川“一般逆行列によるキャリヤ推定を用
いたブラインド形最尤推定法”,電子情報通信学会技
法,RCS95−58,1995年7月では、一般逆行列を用い
てアップデートする方法が示されている(特願平7−1
5160)。
【0011】以上の方法はいずれも復調側で対処する方
法であるが、同一符号がかなり長く続く場合などには動
作が不安定なるという欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、適応等化
器などで最尤系列推定を行う信号処理において、すべて
のディジタル変調波系列候補に対して、伝送路伝達係数
が正確に抽出できる変調方法とその復調方法を提供する
ことを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】この変調方法と復調方法
の構成は次のようなものである。変調方法では(1)デ
ィジタル変調波の複素振幅を特定のコードによってシン
ボル毎に変化させる変調を行なう。復調方法では(2)
該ディジタル変調波の受信信号から該特定コードのタイ
ミングを抽出するタイミング再生過程、(3)該受信信
号に含まれる受信ディジタル変調波成分に該特定コード
を複素乗積して得られる受信複素振幅成分を用いて適応
的に伝送路伝達係数を推定するキャリア成分推定過程、
(4)該受信複素振幅成分を用いて受信ディジタル変調
波のレプリカを生成して該ディジタル変調波のシンボル
系列を推定する最尤系列推定過程、(5)最尤系列推定
過程とキャリア成分推定過程が一体となり、再帰的にデ
ィジタル変調波シンボル系列の推定と伝送路伝達係数の
推定を行う復調過程を有する。 作用 この発明における基本的な作用は次のようなものであ
る。(1)変調方法ではディジタル変調波の複素振幅を
特定のコードによってシンボル毎に変化させる。復調方
法においては(2)タイミング再生過程ではディジタル
変調波の受信信号から該特定コードのタイミングを抽出
する。(3)キャリア成分推定過程では該受信信号に含
まれる受信ディジタル変調波成分に該特定コードを複素
乗積して得られる受信複素振幅成分を用いて適応的に伝
送路伝達係数を推定する。(4)最尤系列推定過程で
は、該受信複素振幅成分を用いて受信ディジタル変調波
のレプリカを生成して該ディジタル変調波のシンボル系
列を推定する。(5)復調過程では、最尤系列推定過程
で推定されたディジタル変調波シンボル系列を用いて、
キャリア成分推定過程によって伝送路伝達係数の更新を
行い、その更新された伝送路伝達係数を用いて再帰的に
最尤系列推定によってディジタル変調波シンボル系列の
推定を行う。
【0014】この発明は、従来の変調方法、復調方法と
以下の点が異なる。従来は同一符号が連続しているディ
ジタル変調波候補系列において伝送路伝達係数が発散す
る問題に対し、復調側で対処を行っているが、この発明
では変調側から同一のディジタル変調波が連続して送ら
れないようにディジタル変調波の複素振幅を特定コード
によってシンボル毎に変化させることにより、伝送路伝
達係数の発散を回避している。
【0015】
【発明の実施の形態】実施例1 この発明の基本構成を図1に示す。図1Aにおいて入力
端子31にディジタル変調波b(i)が変調手段32に
入力されると、b(i)の複素振幅を変化させるために
特定コードC(i)=A(i)exp(jd(i))が
複素乗積される。このようにディジタル変調波の複素振
幅を変化させて、復調側での伝送路伝達係数の推定に用
いられる自己相関行列Rm(i)を、すべてのディジタ
ル変調波候補系列において正則となるようにする。この
ようにして得られた送信複素振幅s(i)で矩形パルス
を矩形パルス発生器33で生成し、つまり所定のシンボ
ル長の矩形波として搬送波に乗せて送信機34で送信す
る。
【0016】受信機35からは受信した信号をベースバ
ンド周波数に落とした信号x(i)が出力され、復調手
段36に入力される。図1Bに復調手段36の原理図を
示す。最尤系列推定手段37では時刻iにおいて各状態
に設定されている伝送路伝達係数Wm(i−1)と入力
信号x(i)から、受信複素振幅系列Sm(i)を推定
する。この受信複素振幅系列Sm(i)の自己相関行列
を演算部38で求め、更にその逆行列を演算部39で求
める。更に入力信号x(i)と受信複素振幅系列Sm
(i)との相互相関行列Vm(i)を相互相関部41で
求める。キャリア位相推定手段42では、Sm(i)を
用いて作られる自己相関行列の逆行列Rm -1(i)を用
いて、伝送路伝達係数を以下のように更新する。
【0017】Wm(i)=Rm-1(i)Vm(i) 受信複素振幅系列Sm(i)から作られるRm(i)
は、すべてのSm(i)において正則となるように変調
手段32によってディジタル変調波の複素振幅を特定の
コードによって変化させているため発散する事はなく、
したがって伝送路伝達係数が発散することはない。
【0018】各状態ごとの状態遷移に対応する符号系列
は通常固定されているので、受信複素振幅系列Sm
(i)も状態遷移ごとに固定されている。すなわちSm
(i)から作られる自己相関行列Rm(i)はRmとみ
なすことができる。したがって、キャリア位相推定手段
42ではRmからあらかじめ逆行列Rm-1を計算してお
き、メモリに蓄積しておくことが可能である。この性質
は先に説明した線形等化器における直交射影法とは大き
く異なる点である。実施例2 上記の特定コードC(i)として、A(i)=1とし、
さらにφ(i)を2値、例えば、φ1 ,φ2 としても、
自己相関行列を正則にすることができる。このような簡
単な特定コードを用いることにより変調手段32を簡略
化できるメリットがある。実施例3 BPSKについて、2値特定コードを利用する場合につ
いて詳しく述べる。図2Aに示すように伝送されるシン
ボル系列b(i)に対して、偶数奇数のタイムスロット
に分類しφ(2k)=φ1 =0,φ(2k+1)=φ2
=θとし、偶数番目のシンボルでは図2Bに示すように
0、奇数番目のシンボルでは図2Cに示すようにθ=4
5°の2値の特定コードによってディジタル変調波の複
素振幅を変化させる。このようにして得られる受信複素
振幅系列Sm(i)から自己相関行列の逆行列Rm
-1(i)を作り、その行列式を計算すると図3に示すよ
うになる。図3のパラメータは送信符号列の状態であ
る。伝送路伝達係数の推定誤差はRm-1(i)の大きさ
に比例することが知られているので、Rm-1(i)の大
きさにほぼ比例する行列式det(Rm-1(i))の値
を示している。ゆえにすべての受信複素振幅系列Sm
(i)において、それから作られるRm-1(i)の大き
さが小さくなるようにθを設定する。BPSKの場合は
図3からθ=π/4あるいは3π/4とすればよいこと
が分かる。
【0019】このように、BPSKでは、2値位相シン
ボル系列として0とπ/4の位相を持った複素シンボル
を交互に並べた系列を用いることにより、逆行列の大き
さを小さくすることができる。したがって、適応制御に
おける係数の推定値の精度を上げることができる。この
ときのビット誤り率(BER)特性を図4に示す。同図
は差動符号化と同期検波の両方の特性を示している。ど
ちらもθが45°と135°においてBERが最小にな
っている。この場合の特定コードは2値位相シンボル系
列であって、一般的には位相をモジュロπ/2で表わし
たとき、その2値位相差がπ/4である複素シンボル系
列である。実施例4 QPSKについて、2値特定コードを利用する場合につ
いて詳しく述べる。例えば図5A,Bに示すようにφ
(2k)=φ1 =0,φ(2k+1)=φ2 =θ=2
2.5°とし、偶数番目のシンボルでは0、奇数番目の
シンボルではθの2値の特定コードによってディジタル
変調波の複素振幅を変化させる。このようにして得られ
る受信複素振幅系列Sm(i)から自己相関行列の逆行
列Rm-1(i)を作り、その行列式を計算すると図6の
ようになる。伝送路伝達係数の推定誤差はRm-1(i)
の大きさに比例することが知られているので、すべての
受信複素振幅系列Sm(i)において、それから作られ
るRm-1(i)の大きさが小さくなるようにθを設定す
る。QPSKの場合は図6からθ=π/8とすればよい
ことが分かる。
【0020】このように、QPSKでは、2値位相シン
ボル系列として0とπ/8の位相を持った複素シンボル
を交互に並べた系列を用いることにより、逆行列の大き
さを小さくすることができる。したがって、適応制御に
おける係数の推定値の精度を上げることができる。この
ときの誤り率特性を図7に示す。この場合の特定コード
も2値位相シンボル系列であって一般的には位相をモジ
ュロπ/4で表わすと、その2値位相の差がπ/8の複
素シンボル系列である。実施例5 上述したようにこの発明では、例えば偶数奇数のタイム
スロットのように正しいタイミングが再生されないと、
正しい結果が得られない場合がある。そこでタイミング
再生手段としては図8に示すようなものを用いる。
【0021】まず送信側では図8Aに示すようにタイミ
ング再生用信号ST (i)と特定コードとの複素乗算を
行いタイミング再生用送信信号系列を送出する。S
T (i)は通常のデータ系列の中に一定間隔で挿入され
る。一方、受信側ではタイミング再生用信号ST (i)
が既知であり、既知の特定コードとの乗算を乗積45で
行ってタイミング再生用受信信号系列を生成する。次に
この信号系列をトランスバーサルフィルタ12のタップ
係数として設定する。これにより、受信信号系列にタイ
ミング再生用送信信号系列と同じ系列があるとトランス
バーサルフィルタ12の出力にピークが発生する。この
ピークをピーク検出器46で検出して再生タイミング信
号を得ることができる。実際にはこのピーク位置を位相
同期ループ(PLL)で平滑化し、誤検出が起きないよ
うにする。このタイミング再生手段が図1A中のタイミ
ング再生手段51として用いられ、この再生タイミング
で復調手段36が動作される。また復調手段36では特
定コードについて、レプリカを生成し、この特定コード
レプリカを最尤系列推定で得られた符号系列候補に乗積
して、レプリカ信号ym(i)とすればよい。
【0022】上述した非線形等化器だけでなくブライン
ド形非線形等化器、あるいは非線形干渉キャンセラ、ま
た単純な同期検波器あるいはダイバーシチ構成の同様な
受信機などでもこの発明が適用できる。CDMAにおけ
る逆拡散後の信号をRAKE合成する受信機においても
有効である。また上述では特定コードとして、シンボル
ごとに2値位相の一方を交互にとる系列としたが、シン
ボルごとに2値振幅の一方を交互にとるようにしてもよ
い。つまり、そのような2値振幅シンボル系列をもち、
その2値振幅の差が各種の値のものについてこれを横軸
とした図3、図6に示す特性を調べ、1/det〔Rm
(i)〕が常に小さい値をとる2値振幅を選定すればよ
い。特定コードとして、位相と振幅を共にシンボルごと
に2値の一方をとる系列としてもよい。
【0023】
【発明の効果】この発明によればディジタル変調波の複
素振幅を特定のコードによってシンボル毎に変化させる
ことにより、伝送路伝達係数の推定に用いる自己相関行
列をすべてのディジタル変調波候補系列に対して正則に
することができるため、係数の推定を安定に行うことが
できるとともに、伝送路変動に対する追従性が良い動作
が期待される。状態遷移候補ごとに用意する逆行列は、
各状態遷移候補で決まっているので計算してメモリに蓄
積しておけばよく、計算処理量は逆行列を計算する一般
の適応信号処理と比べると少なくなる。また、最尤系列
推定を用いるので信号検波性能が優れている。
【0024】フェージング変動が速い移動通信、移動衛
星通信、また、大容量伝送のために高精度の復調回路を
必要とするマイクロ波などの固定無線伝送の分野に適し
ている。これらの分野における適応等化器、適応干渉キ
ャンセラ、ダイバーシチなどの適応受信機を容易に製作
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の変調方法、復調方法を適用
したシステムの基本機能構成を示す図、(b)は図
(a)中の復調手段36の変調波候補mにおける復調原
理の機能的構成を示す図である。
【図2】Aは複素振幅S(i)のBPSKパターンの例
を示す図、Bはその偶数タイムスロットの複素振幅、C
は奇数タイムスロットの複素振幅である。
【図3】BPSKの場合の1/det〔Rm(i)〕と
位相θとの関係例を示す図。
【図4】BPSKにおけるビット誤り率と位相θとの関
係を示す図。
【図5】QPSKの複素振幅値を示す図。
【図6】QPSKにおける1/det〔Rm(i)〕と
θとの関係を示す図。
【図7】QPSKにおけるビット誤り率とθとの関係を
示す図。
【図8】Aは既知タイミング再生用信号に特定コードを
乗積する送信側の構成図、Bは既知タイミング再生信号
によるタイミング信号再生手段の構成を示す図である。
【図9】従来の線形等化器の機能構成を示す図。
【図10】従来の非線形等化器の機能構成を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 博 神奈川県川崎市宮前区馬絹1964シャンペリ ー宮崎台201号室 (72)発明者 京田 純一 茨城県取手市西2丁目28番6号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンボル系列によりディジタル変調を行
    い、そのディジタル変調波を搬送波に乗せて送信する変
    調方法において、 前記ディジタル変調波の搬送波の複素振幅を、特定コー
    ドによりシンボル毎に変化させることを特徴とするディ
    ジタル信号変調方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の変調方法において、 前記特定コードは2値位相シンボル系列であることを特
    徴とする変調方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の変調方法において、 前記ディジタル変調波は2値PSK波であり、かつ前記
    2値位相シンボル系列は位相をモジュロπ/2で表した
    ときその差がπ/4となる2つの位相を持った複素シン
    ボルを交互に並べた系列であることを特徴とする変調方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項2の変調方法において、 前記ディジタル変調波は4値PSK波であり、かつ前記
    2値位相シンボル系列は位相をモジュロπ/4で表した
    ときその差がπ/8となる2つの位相を持った複素シン
    ボルを交互に並べた系列であることを特徴とする変復調
    方式。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかの変調方法にお
    いて、 送信シンボル系列に既知のタイミング再生用信号を挿入
    することを特徴とする変調方法。
  6. 【請求項6】 受信されたディジタル変調波から特定コ
    ードのタイミングを抽出し、 上記ディジタル変調波に上記特定コードを複素乗積して
    受信複素振幅成分を得、 その受信複素振幅成分を用いて適応的に伝送路伝達係数
    を推定し、 上記受信複素振幅成分を用いて受信ディジタル変調波の
    レプリカを生成し、 上記ディジタル変調波の送信シンボル系列を最尤系列推
    定により推定し、 その推定されたディジタル変調波シンボル系列を用いて
    上記伝送路伝達係数の更新を行い、その更新された伝送
    路伝達係数を用いて再帰的に最尤系列推定によってディ
    ジタル変調波シンボル系列の推定を行うディジタル信号
    復調方法。
  7. 【請求項7】 請求項6の復調方法において、 上記タイミングの抽出を、既知の該タイミング再生用信
    号と既知の特定コードを用いて相関をとることにより行
    うことを特徴とするディジタル信号復調方法。
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