JPH11269763A - 炭素繊維の表面処理方法 - Google Patents

炭素繊維の表面処理方法

Info

Publication number
JPH11269763A
JPH11269763A JP9103298A JP9103298A JPH11269763A JP H11269763 A JPH11269763 A JP H11269763A JP 9103298 A JP9103298 A JP 9103298A JP 9103298 A JP9103298 A JP 9103298A JP H11269763 A JPH11269763 A JP H11269763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
metal element
pitch
surface treatment
dispersed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9103298A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio O
祥生 王
Noboru Kawase
昇 川瀬
Takeshi Maeda
武士 前田
Osamu Kajikawa
修 梶川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP9103298A priority Critical patent/JPH11269763A/ja
Publication of JPH11269763A publication Critical patent/JPH11269763A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素繊維の比表面積、細孔容量および細孔径
を増大させることができる表面処理方法を実現する。 【解決手段】 炭素繊維の表面処理方法は、炭素繊維に
対して水添化活性を有する金属元素を分散させる工程
と、当該金属元素が分散された炭素繊維を還元性雰囲気
中で熱処理する工程とを含んでいる。この方法で用いら
れる水添化活性を有する金属元素は、例えば、鉄、ニッ
ケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金か
らなる金属元素群から選ばれた少なくとも1種の金属元
素である。このような金属元素の分散量は、通常、炭素
繊維の0.01〜5.0重量%に設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、表面処理方法、特
に、炭素繊維の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】炭素繊維は、強度および弾性
率が高く、しかも軽量であることから、例えば繊維強化
プラスチック、繊維強化金属、繊維強化セラミックスな
どの複合材を形成する際のフィラー等として幅広く利用
されている。また、炭素繊維のうち、活性炭素繊維は、
可撓性に富み、任意の形状に加工し易いため、キャパシ
タ電極材、フィルター、空気清浄材、吸着材等の分野で
広く利用されている。さらに、活性炭素繊維について
は、その表面に活性金属種を担持させ、その活性金属種
による触媒機能を付与したものも各種提案されている。
【0003】ところで、上述のような炭素繊維は、比表
面積、細孔容量および細孔径などが大きな表面特性を有
するものが好ましい場合がある。例えば、炭素繊維を樹
脂等のマトリックス材と組み合わせて複合材を形成する
場合、炭素繊維とマトリックス材との反応性、接着性、
相互の物性の補完性などを高めるためには、炭素繊維の
表面特性が上述のように設定されているのが好ましい場
合がある。また、吸着材として用いる活性炭素繊維は、
その平均細孔径が通常10〜20オングストロームの範
囲にあり、微細な細孔が大半を占めるため、その細孔の
サイズよりも大きな分子の吸着用途に用いることができ
るようにするためには上述のような表面特性を付与する
必要がある。さらに、活性炭素繊維に対して上述のよう
な活性金属種を担持させる場合、活性金属種の担持量、
分散度および分散性を高めるためには、活性炭素繊維の
表面特性が上述のように設定されている方が好ましい。
さらに、活性炭素繊維をキャパシタ電極材として用いる
場合は、その比表面積、細孔容量および細孔径などを大
きくしなければ電気容量を高めるのが困難である。
【0004】このため、炭素繊維の比表面積、細孔容量
および細孔径などを大きくするための表面処理方法が検
討されつつあるが、現時点では有効な方法が実現される
には至っていない。
【0005】本発明の目的は、炭素繊維の比表面積、細
孔容量および細孔径を増大させることができる表面処理
方法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭素繊維の
表面処理方法は、炭素繊維に対して水添化活性を有する
金属元素を分散させる工程と、当該金属元素が分散され
た炭素繊維を還元性雰囲気中で熱処理する工程とを含ん
でいる。
【0007】ここで、本発明の方法が適用可能な炭素繊
維は、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レー
ヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、リグニン−ポバー
ル系炭素繊維からなる群から選ばれたものである。
【0008】また、この方法で用いられる水添化活性を
有する金属元素は、例えば、鉄、ニッケル、ルテニウ
ム、ロジウム、パラジウムおよび白金からなる金属元素
群から選ばれた少なくとも1種の金属元素である。この
ような金属元素の分散量は、通常、炭素繊維の0.01
〜5.0重量%に設定する。さらに、金属元素が分散さ
れた炭素繊維を熱処理する際において、それを実施する
ための還元性雰囲気は、例えば、水素ガス雰囲気、アン
モニアガス雰囲気、水素ガスと不活性ガスとの混合ガス
雰囲気およびアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガス
雰囲気からなる群から選ばれた還元性雰囲気であり、ま
た、熱処理の温度は、通常、300〜700℃に設定す
る。
【0009】なお、この表面処理方法は、炭素繊維を無
機酸の水溶液中で予め煮沸処理する工程をさらに含んで
いてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の表面処理方法が適用可能
な炭素繊維は、特に限定されるものではなく、公知の各
種の炭素前駆体を紡糸し、これを炭素化または不融化し
たものである。また、この炭素繊維は、紡糸された炭素
前駆体を炭素化または不融化した後に更に賦活すること
により得られる活性炭素繊維であってもよい。なお、本
明細書では、特に断わらない限り、通常の炭素繊維と活
性炭素繊維とを総括して単に炭素繊維という。
【0011】本発明の方法を適用する炭素繊維として好
ましいものは、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レー
ヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、リグニン−ポバー
ル系炭素繊維からなる群から選ばれたものである。この
ような炭素繊維を用いた場合は、比表面積、細孔容量お
よび細孔径をより大きくし易くなり、表面処理後の炭素
繊維を各種の広い用途に利用することができる。
【0012】次に、本発明の表面処理方法を具体的に説
明する。先ず、所望により、処理すべき炭素繊維を酸の
水溶液中で煮沸処理する。このような煮沸処理を施した
場合は、後述する工程において、炭素繊維に対して水添
化活性を有する金属元素を分散させ易くなり、結果的に
本発明の方法による表面処理効果を高めることができ
る。
【0013】この煮沸処理時に用いられる酸の水溶液
は、無機酸の水溶液である。ここで利用可能な無機酸と
しては、例えば硝酸、塩酸、硫酸およびリン酸を挙げる
ことができる。このような無機酸の水溶液は、2種以上
の無機酸を混合して調製されたものであってもよい。ま
た、無機酸の濃度は、通常、3%〜飽和濃度に設定する
のが好ましいが、一般に酸濃度を高く設定した方が後述
する工程で金属元素の分散性を高めることができる。
【0014】上述の酸の水溶液による炭素繊維の煮沸処
理温度は、室温から酸の水溶液の沸騰温度の範囲に設定
することができ、また、煮沸処理時間は、通常、1分以
上に設定される。なお、煮沸処理温度は高い程、また、
煮沸処理時間は長い程、後述する工程で金属元素の分散
性を高めることができる。
【0015】このような煮沸処理においては、炭素繊維
の全体に本処理による効果が付与されるようにするため
に、炭素繊維が酸の水溶液中に完全に浸漬されるように
するのが好ましい。また、煮沸処理後には、処理された
炭素繊維を水洗浄し、炭素繊維に付着している酸および
酸処理による生成物を可能な限り洗い流すのが好まし
い。
【0016】なお、上述のような煮沸処理は、本発明の
方法の実施に当たり、必ずしも必要ではない。
【0017】次に、炭素繊維の表面に対して金属元素を
分散させる。ここで用いられる金属元素は、水添化活性
を有するものであれば特に限定されるものではないが、
通常は鉄、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ムおよび白金からなる金属元素群から選ばれた少なくと
も1種の金属元素が好ましく用いられる。
【0018】このような金属元素の分散量は、通常、炭
素繊維の重量の0.01〜5.0重量%、好ましくは
0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.
0重量%に設定する。この分散量が0.01重量%未満
の場合は、炭素繊維の表面特性を目的通りに十分改質で
きないおそれがある。逆に、5.0重量%を超える場合
は、炭素繊維の表面全体が後述する熱処理工程において
反応するおそれがあり、炭素繊維の表面に微細な多孔質
構造が形成されないおそれがある。
【0019】なお、上述の金属元素は、金属元素そのも
のとして(例えば微粒子状の金属として)炭素繊維の表
面に分散されてもよいし、金属元素の化合物として炭素
繊維の表面に分散されてもよい。後者の場合、炭素繊維
に対する金属元素の化合物の分散量は、金属元素換算の
値が上述の分散量になるよう設定するのが好ましい。
【0020】炭素繊維に対して分散させる金属元素の化
合物としては、後述する還元性雰囲気中での熱処理工程
において上述の金属元素を生成可能な化合物が用いられ
る。具体的には、金属元素の水酸化物、ギ酸塩,シュウ
酸塩,酢酸塩などの有機塩、金属アセチルアセトナー
ト,金属カルボニルなどの有機金属錯体を挙げることが
できる。
【0021】金属元素またはその化合物を炭素繊維に対
して分散させるための方法としては、公知の各種の方法
を採用することができる。例えば、炭素繊維に対して金
属元素そのものを直接に分散する場合は、蒸着法を採用
することができる。
【0022】一方、炭素繊維に対して金属元素の水酸化
物を分散させる場合は、沈殿析出担持法を採用すること
ができる。この場合は、金属元素の塩酸塩,硫酸塩,炭
酸塩,硝酸塩,リン酸塩などの無機塩の水溶液を調製
し、この水溶液中に炭素繊維を浸漬する。そして、当該
水溶液のpHを調整し、金属元素の水酸化物を炭素繊維
の表面に析出させる。なお、このような沈殿析出担持法
を採用する場合は、処理後の炭素繊維を十分に水洗し、
上述の無機塩に由来する各種のイオン成分(アニオン成
分および金属イオン成分)を可能な限り除去するのが好
ましい。
【0023】なお、このような沈殿析出担持法により、
炭素繊維に対して2種類以上の金属元素の水酸化物を分
散させる場合は、上述の無機塩を2種類以上含む水溶液
を調製し、この水溶液を用いて上述の操作を実施する
(共沈殿法)。
【0024】因みに、上述の方法により炭素繊維の表面
に分散された金属水酸化物は、後述する熱処理工程にお
いて還元され、上述の金属元素として炭素繊維の表面に
分散された状態になり得る。
【0025】また、炭素繊維に対して金属元素の有機塩
や有機金属錯体を分散させる場合は、上述の有機塩や有
機金属錯体の溶液を調製し、その溶液中に炭素繊維を浸
漬する。これにより、溶液中の有機塩や有機金属錯体が
炭素繊維の表面に付着して分散される。因みに、このよ
うにして炭素繊維の表面に分散された有機塩や有機金属
化合物は、後述する熱処理工程において熱分解および還
元され、上述の金属元素として炭素繊維の表面に分散さ
れた状態になり得る。
【0026】次に、上述の工程において金属元素または
その化合物が分散された炭素繊維を熱処理する。ここで
は、炭素繊維を還元性雰囲気中で熱処理する必要があ
る。ここで云う還元性雰囲気は、特に限定されるもので
はないが、好ましくは水素ガス雰囲気、アンモニアガス
雰囲気、水素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気また
はアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気など
である。このうち特に好ましい還元性雰囲気は、炭素繊
維の表面処理効果をより高めることができることから、
高純度の水素ガス雰囲気またはアンモニアガス雰囲気で
ある。
【0027】この工程での熱処理温度は、通常、300
〜700℃、好ましくは400〜600℃、より好まし
くは450〜550℃の温度範囲に設定される。処理温
度が300℃未満の場合は、炭素繊維に対して十分な表
面処理効果を付与することができない場合がある。逆
に、700℃を超える場合は、炭素繊維に分散させた金
属元素の微粒子が成長して焼結されてしまい、目的とす
る表面処理効果が得られないだけではなく炭素繊維本来
の特性を損なうおそれがある。なお、ここでの熱処理時
間は、通常、5分以上に設定するのが好ましいが、一般
に処理時間を長く設定する方が表面処理効果は高くな
る。
【0028】このような熱処理工程においては、炭素繊
維に分散された金属元素の水添化活性作用により、炭素
繊維の表面の酸素含有官能基や結合力の弱い炭素−炭素
結合が水素等の還元性ガスと反応して一酸化炭素、二酸
化炭素および水に転化され、生成したこれらの一酸化炭
素、二酸化炭素および水が炭素繊維の表面から脱落す
る。これにより、炭素繊維の既存の細孔が拡大され、ま
た、炭素繊維に新しい細孔が形成される。この結果、熱
処理された炭素繊維は、比表面積、細孔容積および平均
細孔径が増大することになる。
【0029】したがって、本発明の方法により表面処理
された炭素繊維は、繊維強化プラスチック、繊維強化金
属および繊維強化セラミックスなどの複合材用フィラ
ー、サイズが大きな分子用の吸着材、高電気容量キャパ
シタ電極材などに用いられると有効である。
【0030】また、熱処理後の炭素繊維の表面は、官能
基分布および官能基濃度などの表面化学状態が処理前に
比べて変化する。例えば、熱処理後の炭素繊維の表面
は、熱処理前に比べて酸素濃度が減少する傾向にある。
この結果、この炭素繊維は、金属や金属化合物との接着
性が高まり、例えば各種の触媒として機能し得る活性金
属種を担持させ易くなる。したがって、本発明の方法に
より処理された炭素繊維は、このような活性金属種の担
体としても有効である。
【0031】なお、本発明の表面処理方法により達成で
きる炭素繊維の表面特性の改質の程度は、炭素繊維に分
散させる金属元素の種類、その分散量、熱処理時の温度
や時間および還元性雰囲気の種類などを適宜設定または
選択することにより任意に調節することができる。
【0032】
【実施例】実施例1 平均繊維径が13.6μm、平均細孔径が14.26オ
ングストロームおよび飽和吸水率が5.0g/gのピッ
チ系活性炭素繊維(大阪瓦斯株式会社の商品名“A−1
0”)100重量部を、その飽和吸水量と同量の水に酢
酸ニッケル((CH3COO)2Ni・4H2O)を3重
量部溶解させて調製した水溶液500重量部中に浸漬し
て攪拌し、当該水溶液の全量をピッチ系活性炭素繊維に
吸収させた。その後、ピッチ系活性炭素繊維を120℃
の乾燥器中で8時間乾燥し、酢酸ニッケルが分散された
ピッチ系活性炭素繊維を得た。さらに、このピッチ系活
性炭素繊維をセラミック製の管状電気炉内に充填し、5
00℃に設定された100%の水素雰囲気中で2時間熱
処理した。
【0033】このようにして表面処理されたピッチ系活
性炭素繊維について、BET比表面積、BJH細孔容
積、平均細孔径および表面の酸素原子/(酸素原子+炭
素原子)比(O/(O+C)比)を測定した結果を表1
に示す。また、表面処理されたピッチ系活性炭素繊維の
表面の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0034】なお、BET比表面積、BJH細孔容積お
よび平均細孔径は、窒素ガスの吸着による公知の窒素吸
着法に従って測定した。また、O/(O+C)比は、E
SCA(光電子分光分析装置:株式会社島津製作所の商
品名“ESCA3200”)を用いて分析した。
【0035】実施例2 実施例1で用いたものと同様のピッチ系活性炭素繊維1
00重量部を、ルテニウムカルボニル水溶液500重量
部に浸漬して攪拌し、当該水溶液の全量をピッチ系活性
炭素繊維に吸収させた。なお、ここで用いたルテニウム
カルボニル水溶液は、ピッチ系活性炭素繊維100重量
部の飽和吸水量と同量の水に対し、ルテニウム元素換算
で100重量部のピッチ系活性炭素繊維の0.5重量%
に相当するルテニウムカルボニル(Ru(CO)6)を
溶解して調製した。ルテニウムカルボニル水溶液を吸収
させたピッチ系活性炭素繊維を120℃に設定された乾
燥器中で8時間乾燥し、ルテニウムカルボニルが分散さ
れたピッチ系活性炭素繊維を得た。さらに、このピッチ
系活性炭素繊維をセラミック製の管状電気炉内に充填
し、500℃に設定された100%の水素雰囲気中で2
時間熱処理した。
【0036】このようにして表面処理されたピッチ系活
性炭素繊維について、BET比表面積等を実施例1の場
合と同様の方法により測定した結果を表1に示す。ま
た、このピッチ系活性炭素繊維の表面の走査型電子顕微
鏡写真を図2に示す。
【0037】実施例3 実施例1で用いたものと同様のピッチ系活性炭素繊維1
00重量部と30%硝酸水溶液1,000重量部とを冷
却管付のフラスコ内に仕込み、硝酸水溶液の沸騰温度で
ピッチ系活性炭素繊維を2時間煮沸処理した。その後、
ピッチ系活性炭素繊維を十分に水洗し、120℃で8時
間乾燥した。
【0038】次に、硝酸水溶液により煮沸処理されたピ
ッチ系活性炭素繊維と、ニッケル元素換算で当該活性炭
素繊維の0.5重量%に相当する硝酸ニッケルを溶解し
た1,500重量部の硝酸ニッケル水溶液とをデジタル
pH計を取付けたビーカー内に入れ、これを攪拌しなが
ら5重量%の炭酸ナトリウム水溶液を緩やかに滴下して
溶液のpHを8.0に設定した。その後、ピッチ系活性
炭素繊維を溶液から取り出して十分に水洗し、120℃
で8時間乾燥した。これにより、ニッケルの水酸化物が
分散されたピッチ系活性炭素繊維を得た。さらに、この
ピッチ系活性炭素繊維をセラミック製の管状電気炉内に
充填し、500℃に設定された100%の水素雰囲気中
で6時間熱処理した。
【0039】このようにして表面処理されたピッチ系活
性炭素繊維について、BET比表面積等を実施例1の場
合と同様の方法により測定した結果を表1に示す。ま
た、このピッチ系活性炭素繊維の表面の走査型電子顕微
鏡写真を図3に示す。
【0040】実施例4 平均繊維径が14.3μmで飽和吸水率が4.5g/g
のピッチ系炭素繊維(大阪瓦斯株式会社の商品名“S−
210”)を用いた点および水素雰囲気中での熱処理時
間を2時間に設定した点を除いて実施例3の場合と同様
の操作を実施し、当該ピッチ系炭素繊維を表面処理し
た。このようにして表面処理されたピッチ系炭素繊維に
ついて、BET比表面積等を実施例1の場合と同様の方
法により測定した結果を表1に示す。また、このピッチ
系炭素繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真を図4に示
す。
【0041】比較例1 実施例1で用いたピッチ系活性炭素繊維について、表面
処理を施す前の状態でBET比表面積等を実施例1の場
合と同様の方法により測定した。結果を表1に示す。ま
た、このピッチ系活性炭素繊維の表面の走査型電子顕微
鏡写真を図5に示す。
【0042】比較例2 実施例4で用いたピッチ系炭素繊維について、表面処理
を施す前の状態でBET比表面積等を実施例1の場合と
同様の方法により測定した。結果を表1に示す。また、
このピッチ系炭素繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真を
図6に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1から、表面処理されたピッチ系活性炭
素繊維は、表面処理される前に比べてBET比表面積、
BJH細孔容積および平均細孔径のいずれもが増大し、
また、酸素含有量が減少して還元された状態にあること
が分かる。一方、表面処理されたピッチ系炭素繊維は、
表面に細孔が形成され、また、酸素含有量が減少して還
元された状態にあることが分かる。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る炭素繊維の表面処理方法
は、炭素繊維に対して水添化活性を有する金属元素を分
散させ、その後当該炭素繊維を還元性雰囲気中で熱処理
しているので、炭素繊維の比表面積、細孔容量および細
孔径を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた表面処理後のピッチ系活性
炭素繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真。
【図2】実施例2で得られた表面処理後のピッチ系活性
炭素繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真。
【図3】実施例3で得られた表面処理後のピッチ系活性
炭素繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真。
【図4】実施例4で得られた表面処理後のピッチ系炭素
繊維の表面の走査型電子顕微鏡写真。
【図5】比較例1で用いたピッチ系活性炭素繊維の表面
の走査型電子顕微鏡写真。
【図6】比較例2で用いたピッチ系炭素繊維の表面の走
査型電子顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶川 修 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維に対して水添化活性を有する金属
    元素を分散させる工程と、 前記金属元素が分散された前記炭素繊維を還元性雰囲気
    中で熱処理する工程と、を含む炭素繊維の表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】前記炭素繊維がポリアクリロニトリル系炭
    素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、リグ
    ニン−ポバール系炭素繊維からなる群から選ばれたもの
    である、請求項1に記載の炭素繊維の表面処理方法。
  3. 【請求項3】前記水添化活性を有する金属元素が鉄、ニ
    ッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金
    からなる金属元素群から選ばれた少なくとも1種の金属
    元素である、請求項1または2に記載の炭素繊維の表面
    処理方法。
  4. 【請求項4】前記水添化活性を有する金属元素を前記炭
    素繊維の0.01〜5.0重量%分散させる、請求項
    1、2または3に記載の炭素繊維の表面処理方法。
  5. 【請求項5】前記還元性雰囲気が水素ガス雰囲気、アン
    モニアガス雰囲気、水素ガスと不活性ガスとの混合ガス
    雰囲気およびアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガス
    雰囲気からなる群から選ばれた還元性雰囲気であり、か
    つ前記熱処理の温度を300〜700℃に設定する、請
    求項1、2、3または4に記載の炭素繊維の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】前記炭素繊維を無機酸の水溶液中で予め煮
    沸処理する工程をさらに含む、請求項1、2、3、4ま
    たは5に記載の炭素繊維の表面処理方法。
JP9103298A 1998-03-18 1998-03-18 炭素繊維の表面処理方法 Pending JPH11269763A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9103298A JPH11269763A (ja) 1998-03-18 1998-03-18 炭素繊維の表面処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9103298A JPH11269763A (ja) 1998-03-18 1998-03-18 炭素繊維の表面処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11269763A true JPH11269763A (ja) 1999-10-05

Family

ID=14015183

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9103298A Pending JPH11269763A (ja) 1998-03-18 1998-03-18 炭素繊維の表面処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11269763A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006307373A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱硫触媒用活性炭素繊維の調製方法および脱硫触媒用活性炭素繊維
JP2009526923A (ja) * 2006-02-15 2009-07-23 バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 炭素繊維の触媒エッチング
CN105862177A (zh) * 2016-04-19 2016-08-17 郑州四维特种材料有限责任公司 一种循环利用尾气对碳纤维进行表面处理的方法及系统
DE102015220145A1 (de) * 2015-10-16 2017-04-20 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Kohlenstofffasermaterial, Verfahren zu dessen Herstellung, Faserverbundbauteil enthaltend das Kohlenstofffasermaterial

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006307373A (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱硫触媒用活性炭素繊維の調製方法および脱硫触媒用活性炭素繊維
JP2009526923A (ja) * 2006-02-15 2009-07-23 バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 炭素繊維の触媒エッチング
DE102015220145A1 (de) * 2015-10-16 2017-04-20 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft Kohlenstofffasermaterial, Verfahren zu dessen Herstellung, Faserverbundbauteil enthaltend das Kohlenstofffasermaterial
CN105862177A (zh) * 2016-04-19 2016-08-17 郑州四维特种材料有限责任公司 一种循环利用尾气对碳纤维进行表面处理的方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014129597A1 (ja) 触媒担体用炭素材料
US20150224479A1 (en) Method for preparing metal catalyst for preparing carbon nanotubes and method for preparing carbon nanotubes using the same
KR101408045B1 (ko) 메조포러스 탄소, 그 제조방법 및 이를 이용한 연료전지
JP2009040673A (ja) 結晶性が優れた気孔性グラファイト炭素の製造方法およびグラファイト炭素を担体として適用する燃料電池用触媒
JP5037843B2 (ja) 光触媒担持ガス吸着ろ材の製造方法
CN110743566B (zh) 单原子催化剂的制备方法
JPS6111130A (ja) 貴金属でない金属の新規な微小集合体およびその製造方法
CN109622000B (zh) 一种非贵金属乙炔选择性加氢催化剂及其制备方法和应用
DE102006007208B3 (de) Katalytisches Ätzen von Kohlenstofffasern
CN107824212B (zh) 氮掺杂碳-氧化铈复合材料及其制备与应用
CN111244484B (zh) 一种亚纳米铂基有序合金的制备方法
CN109759117A (zh) 一种利用碳纤维制备氮掺杂碳包覆金属纳米颗粒复合材料的方法
EP2682206A1 (en) Metal particles, catalyst for exhaust gas purification containing same, and production method therefor
JP5182987B2 (ja) 触媒前駆体、触媒材料および触媒製造方法
JPS6353294B2 (ja)
WO2014008756A1 (zh) 用于制备手性选择性和导电性选择性单壁碳纳米管的催化剂及其制备方法和应用
JP2012519233A (ja) 金属−炭素含有体を調製する方法
JP6315831B2 (ja) セルロースの加水分解方法
JP5453732B2 (ja) 触媒前駆体、触媒材料およびそれらの製造方法
CN113828317A (zh) 一种制备金属单原子-石墨烯复合材料的方法
JP2010089031A (ja) 金属粒子担持触媒およびその製造方法
JP2011136993A (ja) 白金錯体、その製造方法と応用
JPH11269763A (ja) 炭素繊維の表面処理方法
WO2007004544A1 (ja) メタン水蒸気改質用触媒とその製造方法並びにこれを用いた水素の製造方法
EP2128312A1 (en) Silica-based composite oxide fiber, catalyst fiber comprising the same, and process for producing the same