JPH11269640A - スパッタリングターゲット用チタンの製造方法およびその製造に用いるチタンスラブ - Google Patents

スパッタリングターゲット用チタンの製造方法およびその製造に用いるチタンスラブ

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JPH11269640A
JPH11269640A JP7791798A JP7791798A JPH11269640A JP H11269640 A JPH11269640 A JP H11269640A JP 7791798 A JP7791798 A JP 7791798A JP 7791798 A JP7791798 A JP 7791798A JP H11269640 A JPH11269640 A JP H11269640A
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Masao Chiba
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高純度チタンターゲット材に用い
る高純度チタン展伸材の製造工程の中で、原素材の製造
工程、例えば、インゴットの鍛造・分塊圧延工程に着目
して鍛造・分塊圧延工程における再結晶分率を全板厚に
亘って制御した原素材と、これを用いて以降の熱延工程
を経てチタンターゲット材素材として使用される厚板に
至るまでに引き継いできたマクロ模様を均一化する方法
を提供する。 【解決手段】 板厚方向における再結晶組織分率が78
%超であることを特徴とするスパッタリングターゲット
材に使用する均一なマクロ模様を有する高純度厚板熱延
用のスラブ、および該スラブを厚板熱延の総圧下比(圧
延前厚さ/圧延後厚さ)2.7超で熱延し、焼鈍を行う
ことを特徴とするマクロ模様が均一な高純度チタン展伸
材(熱延厚板)の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度チタンター
ゲット材に用いる高純度チタン展伸材の原素材(スラ
ブ)、並びに原素材および展伸材の製造方法に関するも
のである。特に半導体デバイス製造用および液晶等の表
示素子製造用の高純度チタンスパッタリングターゲット
材に用いる均一なマクロ模様を有する高純度チタン展伸
材(熱延厚板)の製造方法並びに該展伸材用のスラブに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】VLSIや液晶等の表示素子の急激な高
集積化に伴い、ゲート電極材、拡散バリア材料、配線材
等として高融点・低抵抗の金属である高純度チタンの実
用化が進められている。これら電子材料としてのチタン
は主としてスパッタリング用ターゲット材として供給さ
れる。このために、ターゲット用の高純度チタン材の需
要が急増している。
【0003】従って、これらの材料に使用する材料中の
純度は非常に重要である。例えば、Fe,Ni,Cu等
の不純物金属元素は半導体素子のリーク電流増大を惹起
し、U,Th等の放射性元素はソフトエラーの原因とな
ることから、厳しく制限されており、上記の用途に使用
する材料は高純度のものが要求されている。
【0004】また、これら高純度チタン材は、通常次の
ような工程で製造される。先ず、原料となる高純度の素
材は、Mg還元法(クロール法)による高純度スポン
ジ、沃化物法あるいは溶融塩電解精製法で得られた高純
度析出物を、真空アーク溶解炉(VAR)あるいは電子
ビーム溶解炉(EBR)で溶解して蒸気圧の高いアルカ
リ金属類を蒸散除去したのちインゴットとする。このイ
ンゴットを使用形状に合わせて熱間加工を施し、ビレッ
ト、棒材、板材、線材等に加工する方法(特開昭63−
212061号公報)、およびインゴットを鍛造加工お
よび圧延加工して形状を整える方法(特開平8−232
061号公報,特開平5−255843号公報)が知ら
れている。さらに、加工中のコンタミネーションを防止
するため、室温近傍の温度における冷間加工によって所
定の形状に加工する方法(特開平3−130339号公
報)、また、上述の高純度析出物を圧縮容器に封入した
後、HIP(熱間静水圧加工装置)で加熱・加工して直
接所望の形状を得る方法もある(特開平8−27742
7号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法は主とし
て、高純度の原料をその純度を損ねずにターゲット材料
として望ましい形状に近いまで成形することにその技術
的主眼が置かれてきた。一方、技術革新の激しいVLS
I分野では、ターゲット材料に対する要求品質水準が高
くなる一方であり、それらに十分に応えられない事態も
発生している。このような事態の発生には、例えば、圧
延加工組織の残存、粗大結晶粒の混在、不均一な結晶粒
径分布、好ましくない集合組織の存在、集合組織のバラ
ツキ等が影響していると考えられるが、十分な検討は行
われておらず、必ずしも需要家の要求に応えられないの
が現状である。
【0006】高純度チタン材料を製造するための原素材
(すなわち、溶解して製造したインゴットや粗加工を施
したスラブやビレットなど)を、さらに鍛造、圧延、熱
処理等を行って展伸材にする場合、原素材からの加工工
程を経て引き継いできた模様が存在するのが普通であ
る。この模様(以下、「マクロ模様」と呼ぶ)の存在
は、光学顕微鏡下での高倍率の観察では看過されること
も多く、従来は十分には把握されていなかった。
【0007】ここで、マクロ組織とマクロ模様の差異に
ついて述べる。通常、金属組織学でいうマクロ組織は鋳
造組織や加工組織の現出に使用されるもので、適当な金
属組織現出用酸液(例えば、硝弗酸)を用いてエッチン
グすることで得られる。鋳造組織や加工組織の場合、酸
液の腐食作用を受けて、加工歪が集中するメタルフロー
部、格子欠陥密度の高い結晶粒界、結晶粒の内部におけ
るコロニーと呼ばれる結晶方位がほぼ揃った領域の間の
境界などが優先的に侵食されて、模様として肉眼で認識
される。
【0008】一方、マクロ模様とは原素材、すなわちイ
ンゴット若しくはそれを途中まで加工した材料中に存在
する比較的粗大な結晶粒およびそれに含まれていたコロ
ニーが、展伸加工途中の塑性変形と熱履歴を受けて、形
状、大きさ、それらの分布を変化させた名残として、展
伸材(本発明の場合は熱延厚板製品)をマクロエッチン
グすると痕跡程度の模様として存在するものを指す。マ
クロ模様の内部には通常の光学顕微鏡で観察されるミク
ロ組織を含んでいるものの、マクロ模様の境界が、上述
のマクロ組織におけるような明瞭な金属組織的特徴との
対応が困難な場合が多い。
【0009】ミクロ組織の大部分は、その先祖であるマ
クロ組織の結晶学的な配向性を継承しているので、限ら
れた狭い領域で観察した場合、一見ミクロ組織が均一に
見えても、実際は個々のマクロ模様の内部においてミク
ロ組織が均一になっているだけという恐れが存在する。
【0010】発明者らは、このマクロ模様が不均一であ
るとスパッタリング法により生成した膜厚の不均一性や
配向性の不均一性を惹起させるとの認識から検討を行
い、熱延厚板製品のマクロ模様の程度(均一性)と原素
材のインゴット若しくはそれを途中まで加工した材料中
に存在するマクロ組織との関連を詳細に検討することに
より、本発明を成すに至ったものである。
【0011】このようなマクロ模様が不均一に存在して
いる熱延製品から製造したターゲット材を用いてスパッ
タリングすると、スパッタ粒子の放出方位分布、放出速
度分布、放出エネルギー分布がマクロ模様の持つ結晶学
的配向性に左右され、基盤に付着するスピードに差が出
てきて、付着膜厚の不均一性や配向性の不均一性の原因
となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、高純度チタン
展伸材のマクロ模様の不均一性の原因を、原素材、すな
わち分塊鍛造・分塊圧延スラブに含まれているいわゆる
マクロ組織に起因するものとして捉え、高純度チタンタ
ーゲット材を展伸加工して製造する際の原素材中に存在
するマクロ組織を均一化する試験を行った結果得られた
ものである。すなわち、分塊鍛造・分塊圧延スラブのマ
クロ組織不均一性、熱延条件および高純度ターゲット素
材としての厚板製品のマクロ模様不均一性の関係を詳細
に調査した。
【0013】このような調査の結果成し得た本発明は、
高純度チタン展伸材の製造工程の中で、特に、原素材の
製造工程、例えば、インゴットの鍛造・分塊圧延工程に
着目して鍛造・分塊圧延工程における再結晶分率を全板
厚に亘って制御した原素材を製造し、それ以降の加工工
程を経てターゲット素材として使用される厚板に至るま
でに引き継いできたマクロ模様が均一であることを可能
とする高純度ターゲット材の原素材を提供するものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、基本的には以下の製造
工程を前提として構築されたものである。通常、高純度
チタン展伸材の製造工程は、真空アーク溶解炉(VA
R)や電子ビーム再溶解炉(EBR)において高純度原
料を溶解後、金属状態の円柱状インゴットまたは矩形断
面インゴットに鋳造される。以下、これらを「VARイ
ンゴット」および「EBRインゴット」と呼ぶ。
【0015】VARインゴットは、その形状のため直接
厚板圧延の素材とされることは稀で、鍛造機、大型プレ
ス機あるいは分塊圧延機と呼ばれる専用施設で円柱の形
状を扁平な矩形断面状のスラブに成形することが多い。
また、EBRインゴットは、円柱状や矩形断面のインゴ
ットであり、やはり鍛造機や分塊圧延機などで後工程の
厚板熱延機で操業しやすい矩形断面スラブに成形され
る。このようにインゴットを分塊鍛造または分塊圧延し
て製造したスラブ状の中間素材を本発明では「分塊鍛造
・分塊圧延スラブ」、あるいは単に「スラブ」と呼ぶ。
【0016】本発明では、鋳造ままインゴットを半径方
向に加工を加えて扁平化して矩形スラブを作る方法や、
場合によってはインゴットの長手方向に加工を加えて扁
平化して矩形スラブを作る方法、インゴットの長手方向
に加工を加えて長手方向に扁平化してインゴットの直径
を増やしてから再度半径方向に加工を加えて扁平化する
方法等を併用して鍛造・分塊圧延を実施した。
【0017】ここでは分塊鍛造・分塊圧延スラブのマク
ロ組織不均一性を、スラブ表面、板厚1/4部、板厚1
/2部におけるスラブ板面(厚板製品の板面になる面)
に平行な断面およびそれに直角な断面にて切出したブロ
ック状のサンプルをマクロエッチした後、直接拡大鏡に
かけて(倍率×1〜×5)で判定した。
【0018】判定は、(1)分塊鍛造・圧延段階ででき
た延伸したメタルフローが明瞭で、粒界がゆがんでいる
ことを特徴とする加工変形組織の残存量、(2)スラブ
表面部で特に観察される事が多い微細再結晶組織の量、
(3)スラブの板厚の大部分を占め、延伸した痕跡が無
く、比較的粗粒・等軸で粒界が直線状であることを特徴
とするような完全再結晶組織の量を測定した。
【0019】これらの組織毎の総量を板厚方向の厚みで
表し、全スラブ厚に対する(3)の完全再結晶組織の量
の比率を再結晶分率(%)として表した。なお、ここで
用いた完全再結晶組織はβ域において得られたもので、
(2)に分類されるα域で得られた再結晶組織とは異な
るものである。前者は、β域で再結晶した材料がβ域か
らα域への冷却途中で変態を起こしたもので、高倍率で
光学顕微鏡観察すると、結晶粒界が笹の葉状にギザギザ
を呈していることで後者と容易に区別できる。後者は、
基本的には微細で粒界が滑らかであることが特徴であ
る。
【0020】分塊鍛造・分塊圧延スラブから製造した厚
板製品のマクロ模様不均一性を、板面に平行に厚板表面
の黒皮部を含めて深さ0.5mm〜4mm研削し、さらに#
320研磨を行って通常の硝沸酸系のマクロ腐食液でエ
ッチングして判定した。なお、マクロ模様不均一性の判
定を容易にするため、その程度の軽度のものについては
#600〜#1000の研磨を行った。マクロ組織不均
一性は、種々の程度のマクロ組織不均一性を有する標準
サンプルを用いて、評点×(均一性不良)、△(均一性
やや不良)、○(均一性やや良好)、◎(均一性良好)
の4段階評価で○以上を合格と判定した。
【0021】すなわち、 4N5 (99.995%)レベ
ルの種々の円柱型VARインゴット(80〜500φ)
および円形断面または矩形断面のEBRインゴットを、
厚さ17〜443mmの分塊鍛造・分塊圧延スラブとした
後の再結晶分率、これらの原素材をさらに厚板熱延して
製造する場合の、熱延時の加工量の指標として総圧下比
(圧延前厚さ/圧延後厚さ)および厚板(板厚=8mm)
とマクロ模様不均一性の関係を整理した。
【0022】厚板はいずれも通常の焼鈍(大気中焼鈍,
VCF焼鈍)を経て製造されたものである。ここで、
「VCF焼鈍」とは、熱間で形状矯正と焼鈍を同時に行
わせる炉内で焼鈍することを指し、厚板・中板などレベ
ラー矯正が困難な材料を、単独あるいは積層して炉内を
雲母粉などで充填した後、加熱しながら真空引きする
と、大気圧が板材に作用して微小なクリープ変形が生じ
て、形状が矯正されて平坦な板材を製造できる。
【0023】上記判定の結果、マクロ模様均一性に優れ
る厚板は次の2条件を共に満足する場合に得られること
が判明した。すなわち、(1)厚板熱延時の総圧下比
(圧延前厚さ/圧延後厚さ)が2.7超であること、
(2)分塊鍛造・分塊圧延スラブに含まれる不均一マク
ロ組織の量が22%未満であることである。
【0024】表1は、熱延が総圧下比(圧延前厚さ/圧
延後厚さ)が2.7超である場合について、分塊鍛造・
分塊圧延スラブの再結晶分率とマクロ組織不均一性の関
係を示したもので、再結晶分率が低い場合はマクロ模様
の不均一性の程度が悪く、再結晶分率の増加に従ってマ
クロ模様の均一性が顕著に改善される様子を示してい
る。さらに、マクロ模様の均一性評点が◎点となるとき
は、再結晶分率が100%の場合に限定されることが判
明した。これらのデータには、円柱状VARインゴット
および円断面EBRインゴットを大型プレス機や鍛造機
で鍛造スラブとしたものおよび分塊圧延機でスラブとし
たものが含まれている。なお、上記データは分塊鍛造・
分塊圧延スラブを直接熱延したもので、粗熱延と仕上熱
延を連続一貫して行い、仕上熱延前の再加熱は行わなか
った。
【0025】また、分塊鍛造若しくは分塊圧延は、イン
ゴットを700℃〜1300℃で最大12時間加熱して
行い、厚さ16mm〜440mmの矩形断面スラブを得た。
熱延は上記スラブをα域の820℃〜880℃に2〜6
時間加熱したのち行い、厚さ8mmの厚板とし、製品寸法
(厚さと幅、長さ)に合わせてクロス圧延比率を(0.
3〜3)の間で変動させて行った。厚板の焼鈍は、板厚
と加熱炉装入量に合わせて大気炉では220℃〜800
℃で10〜60分、VCF炉では200℃〜700℃で
0.5時間〜4時間の均熱時間を確保して行った。ここ
で、「クロス圧延比率」とは、あるサイズのスラブから
所定の製品寸法の熱延製品を製造するために、熱延中に
適宜圧延方向を90度変更して行う圧延方法(クロス圧
延)において、熱延開始時の圧延方向(L)およびそれ
に対して直角な方向(C)の二つの方向へ圧延した時の
各圧下量の総和の比(Σ圧下量(L)/Σ圧下量
(C))で表す。
【0026】
【表1】
【0027】なお、前述のように本発明はVARインゴ
ットおよびEBRインゴットを分塊鍛造・分塊圧延して
厚板熱延機で操業しやすい形状にした後、厚板熱延機で
厚板製品を製造する工程を前提にしているが、分塊工程
を経由しないでも、鋳造ままで本発明にいう高位のマク
ロ組織の均一性を有し、熱延用素材として形状的に合致
したインゴットが使用でき、熱延時の総圧下比(圧延前
厚さ/圧延後厚さ)が2.7超にできる場合は、分塊鍛
造・分塊圧延工程を省略できることはいうまでもない。
【0028】本発明において、分塊鍛造・分塊圧延スラ
ブの仕上温度はスラブ表面を放射温度計で測定したもの
を指し、いわゆる材料そのものの温度ではない。過去の
実測試験結果から経験的には、スラブ中央部の平均的温
度は表面温度より185℃程高くなっている事が分かっ
ている。この仕上温度は、純技術的には加工素材内部の
温度を使用すべきであるが、実際の製造現場において品
質管理上、実用的な管理指標であり、本発明では一貫し
てこの指標を使用することとした。
【0029】本発明で扱う高純度チタンとは、純度が 4
N5 (99.995%)以上のものを指す。なお、この
ときガス成分のO,N,Hについては純度表示にカウン
トしないものとする。
【0030】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいてさらに説
明する。 [実施例1(大型インゴット)]純度 4N5 (99.9
95%)のVAR円柱型インゴット(310φ,500
φ)を分塊圧延機で分塊圧延し、さらに再加熱して熱延
を行い、板厚8mmの厚板とした。分塊圧延条件、熱延条
件および厚板に製造してから行うVCF焼鈍条件は、表
2に示す通りである。熱延の総圧下比はいずれの場合も
2.7超である。各分塊圧延スラブの端部から切出した
マクロサンプルを用いてマクロ組織不均一性と、それら
に対応する各厚板のマクロ模様不均一性を判定した。そ
の結果、表2に示すように、分塊圧延スラブのマクロ組
織の不均一なもの(再結晶分率が低いもの)は、それを
用いて製造した厚板のマクロ模様の均一性評点が低い結
果となった。
【0031】
【表2】
【0032】[実施例2(小形インゴット)]純度 4N
5 (99.995%)〜 5N5 (99.9995%)の
EBRインゴット(80φ,135φ)およびVAR円
柱型インゴット(100φ)を鍛造機で分塊した後、再
加熱して熱延を行い、板厚8mmの厚板とした。分塊鍛造
条件、熱延条件および厚板に製造してから行う大気焼鈍
条件は、表3に示す通りである。熱延の総圧下比はいず
れの場合も2.7超である。実施例1と同様の評価を行
った結果、分塊鍛造スラブのマクロ組織の不均一なもの
(再結晶分率が低いもの)は、それを用いて製造した厚
板のマクロ模様の均一性評点が低い結果となった。
【0033】
【表3】
【0034】[実施例3(スラブβ域再加熱)]実施例
1および2で再結晶分率の低かった鍛造・分塊スラブの
一部を、加工変形組織および微細再結晶組織の解消を狙
って加熱炉に装入して、α域およびβ域で再加熱(加熱
温度での保定時間は30〜60分間)した。850℃で
加熱した場合は、加工変形組織および微細再結晶組織は
ほぼ解消されて均一なα域焼鈍組織となった。
【0035】一方、β域の950〜1190℃に加熱し
た場合は、これらの不均一組織が解消された上に、β域
での完全再結晶組織が得られた。加熱後スラブを放冷
し、表4の熱延条件で熱延し、さらにVCF焼鈍を行っ
て厚板製品とした。厚板製品のマクロ模様均一性を評価
したところ、熱延素材であるスラブのマクロ組織が完全
再結晶組織となっている発明例の場合は、得られた厚板
のマクロ模様の均一性は全ての場合において◎の評価と
なった。
【0036】また、比較例のように加工変形組織が解消
されてもβ域での完全再結晶組織が得られない場合は、
マクロ模様の均一性は劣悪なものとなった。
【0037】
【表4】
【0038】[実施例4(圧延率の影響)]5N(9
9.999%)のEBRインゴット(80mmφ,135
mmφ)および4N5 (99.995%)のVARインゴ
ット(100mmφ,310mmφ,500mmφ)を鍛造機
または分塊圧延機で分塊し、スラブとした。分塊圧延条
件、熱延条件および厚板に製造してから行うVCF焼鈍
条件は、表5に示す通りである。発明例(15)以降、
比較例(12)以降では、それぞれ200mm厚さの鍛造
・分塊スラブを先ず製造し、これらからさらに種々の厚
さの熱延用素材を切出し、熱延に供した。
【0039】いずれのスラブもマクロ組織の均一性の点
からはほぼ均一と見なせるものである。しかしながら、
このようなスラブを用いる場合であっても熱延時の総圧
下比が2.7を越えない場合は、例え、それらの分塊圧
延スラブの再結晶分率が非常に高い場合でもβ結晶粒の
痕跡が残り、マクロ組織不均一性判定結果は良くなかっ
た。
【0040】なお、本実施例では、主として鋳造ままイ
ンゴットを半径方向に加工を加えて扁平化し、矩形スラ
ブを作る方法を用いたが、発明例(11,13,14)
では、インゴットの長手方向に加工を加えて長手方向に
扁平化してインゴットの直径を増やしてから、再度半径
方向に加工を加えて扁平化する方法で鍛造・分塊圧延を
実施した。
【0041】
【表5】
【0042】[実施例5(研削)]実施例1および2で
完全再結晶分率の低かった鍛造・分塊スラブの一部を採
取し、表面に存在していた加工変形組織および微細再結
晶組織等の不均一マクロ組織を機械研削により切削し、
熱延に供した。熱延時のスラブ加熱温度は700℃と
し、総圧下比はいずれの場合も2.7超とした。厚板に
製造してから行うVCF焼鈍条件は、全て500℃×4
時間保定で行った。スラブの切削を行っても不均一組織
を十分に除去しない場合は、やはりマクロ模様の均一性
の評価は悪くなる。
【0043】
【表6】
【0044】[実施例6(直接圧延)]鋳造ままの 4N
5 (99.995%)のEBR矩形断面スラブ(300
mm幅)をそのまま厚板熱延機で熱延した。熱延条件およ
び厚板に製造してから行う大気焼鈍条件は、表7に示す
通りである。鋳造ままのスラブであるので、このスラブ
の完全再結晶分率は100%で、加工組織等の不均一な
マクロ組織を含んでいなかった。
【0045】
【表7】
【0046】
【発明の効果】本発明は、スパッタリングターゲット用
高純度チタン展伸材の製造方法並びその製造方法に用い
るスラブであり、特に半導体デバイス製造用高純度チタ
ンターゲット材に用いる均一なマクロ模様を有する高純
度チタン展伸材(熱延厚板)を提供するものである。
【0047】さらに、高純度チタン展伸材を製造する際
の中間素材である分塊鍛造・分塊圧延スラブにおけるマ
クロ組織不均一性に着目し、これらと熱延条件、展伸材
のマクロ模様均一性との関係を明らかにし、マクロ模様
が均一な高純度チタン厚板を製造するための分塊鍛造・
分塊圧延スラブを提供するものである。
【0048】以上のことから本発明は、高純度チタン展
伸材、高純度ターゲット材、ターゲット材の品質、生産
効率および歩留りを向上させる経済的な効果が大きいば
かりでなく、急激な技術革新が進む半導体や表示素子の
高集積化に寄与することができ、その工業的価値は極め
て大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 601 C22F 1/00 601 613 613 683 683 684 684Z 694 694A (72)発明者 千葉 正夫 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板厚方向における再結晶組織分率が78
    %超であることを特徴とするスパッタリングターゲット
    材に使用する均一なマクロ模様を有する高純度厚板熱延
    用のチタンスラブ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した厚板熱延用のスラブ
    を厚板熱延の総圧下比(圧延前厚さ/圧延後厚さ)2.
    7超で熱延し、焼鈍を行うことを特徴とするマクロ模様
    が均一な高純度チタン展伸材(熱延厚板)の製造方法。
JP07791798A 1998-03-25 1998-03-25 スパッタリングターゲット用チタンの製造方法およびその製造に用いるチタンスラブ Expired - Fee Related JP3711196B2 (ja)

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