JPH11269569A - ガリウムの精製方法 - Google Patents

ガリウムの精製方法

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JPH11269569A
JPH11269569A JP7607298A JP7607298A JPH11269569A JP H11269569 A JPH11269569 A JP H11269569A JP 7607298 A JP7607298 A JP 7607298A JP 7607298 A JP7607298 A JP 7607298A JP H11269569 A JPH11269569 A JP H11269569A
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oxide
acid
purity
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Kazutomi Yamamoto
一富 山本
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Furukawa Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低純度ガリウムおよび液相エピタキシャルで
発生するガリウムスクラップを簡便かつ迅速に99.9
999%以上の高純度とする。 【解決手段】 ガリウムを真空加熱精製するガリウムの
精製方法において、酸洗浄で黒色のガリウム微粒子を積
極的に生成させる処理を行った後のガリウムを、金属酸
化物の成型体または粉末と接触させながら加熱溶融し、
その後金属酸化物の成型体または粉末を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガリウムを真空加
熱精製するガリウムの精製方法であって、特に、酸洗浄
との組み合わせによって低純度ガリウムやガリウムスク
ラップを半導体原料として使用可能な純度99.999
9%以上のガリウムとするガリウムの精製方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ガリウムは、GaAsやGaPなどの化
合物半導体結晶あるいはGaPやGaAlAsなどの液
相エピタキシャル成長の用途で、99.9999%以上
の純度が要求されている。
【0003】ガリウムは、ボーキサイトからアルミナを
製造する際のバイヤー液か、または閃亜鉛鉱の亜鉛蒸留
のレトルト残渣もしくは亜鉛ばい焼鉱の硫酸浸出残渣か
らの副生成物として酸化ガリウムを回収し、この回収さ
れた酸化ガリウムを苛性ソーダ液に溶解した後電解採取
によって98から99%の低純度ガリウムとして生産さ
れる。この低純度ガリウムは、さらに真空加熱精製、酸
洗浄、再結晶の精製工程を組み合わせて99.9999
%以上に高純度化されている。
【0004】一方、ガリウムスクラップには、GaAs
あるいはGaP単結晶の端面カット部分、破損ウエハ
ー、切断屑、ラッピング屑、気相エピタキシャル成長工
程での排出ガス、液相エピタキシャル成長工程での使用
済ガリウム、さらに回路形成後のウエハーの破損物など
がある。これらのガリウムスクラップは真空加熱精製、
電解精製、酸洗浄、さらには再結晶の精製工程を単独あ
るいは組み合わせて高純度化され、再び化合物半導体結
晶や液相エピタキシャル成長用原料として使用される。
【0005】電解採取もしくは電解精製は、酸化ガリウ
ムもしくは水酸化ガリウムを苛性ソーダ水溶液に溶解し
た液を電解液とし、白金、カーボンまたはステンレスを
電極とする電解により陰極にガリウムを析出させ回収す
る方法である。電解液中のガリウム濃度は30wt%以
下、水酸化ナトリウム濃度は30〜50wt%で、最大
2000A/m2 の電流密度で電解する。
【0006】電解採取は、原料である酸化ガリウムまた
は水酸化ガリウムからガリウムを電析するのが主目的
で、その純度は99%が限界である。電解精製は、より
高い純度の99.99%を得る目的で行われる。電解採
取または電解精製でHg、Al、Zn、Pbなどの低減
が可能であるが、電解液の付着や巻き込み、さらに電解
条件の精密制御が困難なため大きな純度向上を期待する
ことはできず、得られるガリウムの純度は99.99%
が上限とされている。
【0007】真空加熱精製は、蒸気圧の差を利用してガ
リウムよりも蒸気圧の高い不純物を蒸発除去する方法で
ある。金属ガリウムを10-5Torr以下の真空度で1
000℃以上の温度に加熱し、蒸気圧の高い不純物であ
るHg、Znなどは1ppm以下まで低減させることが
可能である。しかし、ガリウムと蒸気圧差の小さい不純
物の場合には、1000℃以上に加熱するため容器から
不純物が混入し易く、あるいはガリウムの蒸発による損
失を招来する。さらに不純物が金属間化合物を形成して
いる場合には、数ppmより低い値にすることは難し
い。
【0008】酸洗浄は、溶融状態のガリウムを塩酸、硝
酸、あるいはこれらの混酸に接触させる方法でイオン化
傾向の大きな不純物を酸に溶出させ、純度アップを行う
方法である。0.001〜0.1規定に希釈した酸とガ
リウムを攪拌などで接触させて含有される不純物の溶出
を促進する。攪拌は、強力なほど接触か増加するため短
時間で精製効果が得られる。この方法ではCa、Mg、
Zn、Cdなどの低減が可能である。
【0009】しかし強力な攪拌を続けると、酸は黒色の
懸濁液となる。懸濁液中の黒色物質は、表面に酸化物も
しくは水酸化物皮膜を形成したガリウムの微粒子であ
る。不純物は酸に溶出するだけでなく、ガリウム微粒子
の酸化物もしくは水酸化物皮膜にも濃縮されており、純
度の高いガリウムを得るためにはこのガリウム微粒子を
完全に分離する必要がある。また収率向上のためには分
離したガリウム微粒子の回収を行う必要があり、生産性
を上げるうえで欠点となっている。
【0010】再結晶は、ガリウム融液から結晶を晶出さ
せる際に偏析係数の差を利用して融液中に不純物を濃縮
し、固化部分の純度アップを行う。再結晶の手法には、
一方凝固、ゾーンメルティング、単結晶成長がある。
【0011】一方凝固は、ボート等の容器に入れた溶融
ガリウムを一端からゆっくり冷却、固化してゆき、融液
中に不純物を濃縮する方法である。不純物の偏析には、
冷却速度が影響し、冷却速度が遅いほど精製効率が上昇
する。しかし、冷却速度を遅くすると生産性が低下する
ためコスト上昇を引き起こす。
【0012】ゾーンメルティングは、多数回の一方凝固
を一回の操作で連続的に行う方法であるため一方凝固の
生産性の低さを改善できるが、一方凝固と同様に処理量
が多くなると制御が難しく、生産性の大幅な改善には至
っていない。
【0013】そのため再結晶は、最終の精製工程として
真空加熱精製、電解精製、酸洗浄で除去され難い不純物
の低減に使われる。99.99%程度の低純度ガリウム
や液相エピタキシャル成長からのスクラップに対して
は、一般に真空加熱精製、酸洗浄および再結晶により純
度アップすることで99.9999%のガリウムが得ら
れている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のガリウムの精製
方法では、ガリウムに含有される不純物の種類と量とに
応じ、上記各種の方法を組み合わせることでガリウムの
高純度化を行っていた。このように従来の精製方法では
不純物の物性に最適な精製工程を多数組み合わせるとい
う手法が用いられていたので、精製工程が多くなり、ま
た、酸洗浄と真空加熱で除去が難しい不純物は、再結晶
で除去するため生産性が低くなり、コストが上昇すると
いう問題があった。
【0015】本発明は、酸洗浄時に発生させたガリウム
微粒子を被覆するガリウム酸化物もしくは水酸化物皮膜
が高沸点且つイオン化傾向の小さな不純物を包含するこ
とに着目し、この微粒子をできるだけ分離した後、真空
加熱する際に金属酸化物と接触させることで、さらに残
留した微粒子を被覆していた酸化物もしくは水酸化物を
金属酸化物との複合酸化物の形態で除去してしまおうと
するものであって、再結晶を行う必要がなく、低純度ガ
リウムおよび液相エピタキシャルで発生するガリウムス
クラップを簡便かつ迅速に99.9999%以上の高純
度とすることができ、生産性が高くコストを低減するこ
とのできるガリウムの精製方法を提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガリウムを真
空加熱精製するガリウムの精製方法であって、酸洗浄で
黒色のガリウム微粒子を積極的に生成させる処理を行っ
た後のガリウムを、金属酸化物の成型体または粉末と接
触させながら加熱溶融し、その後金属酸化物の成型体ま
たは粉末を分離することを特徴とするものである。
【0017】ガリウムは、30℃以上の温度を保って溶
融状態としたまま、塩酸、硝酸あるいはこれらの混酸中
で処理することで、塩酸または硝酸に溶解し易い不純物
を溶出させる。硫酸は、強い酸化性酸である硝酸で代用
できるうえに分解開始温度が290℃と高いため使用し
難い。酸の種類および濃度は、ガリウムの溶出損失量お
よび不純物の種類と濃度を考慮して変える必要がある
が、酸濃度については一般に0.001〜0.1規定が
適当である。ガリウムは、酸濃度が0.001規定より
薄い場合にはGaO3 3- あるいはGaO2 - となって溶
出し、一方0.1規定より濃い場合にはGa3+となって
溶出が進行するため生産性の低下を招来する。したがっ
てガリウムの溶出損失量が小さく、不純物の溶出量が大
きな条件で処理を行わなければならない。
【0018】塩酸を使用した場合、攪拌が激しいかまた
はその時間が長いときには、酸は黒色懸濁液となってく
る。これはガリウムの一部が酸化物(Ga2 3 ) ある
いは水酸化物(正式にはGa2 3 ・xH2 O)皮膜で
覆われた微粒子となるためである。硝酸、および塩酸と
硝酸の混酸の場合には、攪拌によって速やかに黒色の懸
濁液となる。
【0019】黒色の懸濁液が生成する条件下では酸中の
酸素濃度が増加するために、ガリウムよりイオン化傾向
の大きな不純物は、酸に溶出する他に酸化物もしくは水
酸化物としてガリウム酸化物もしくは水酸化物皮膜にも
含有される。またガリウムよりイオン化傾向の小さな不
純物は、ガリウムの酸化を促進し、局部電池が形成され
る部分でガリウム酸化物もしくは水酸化物皮膜に包含さ
れると考えられる。したがってガリウム酸化物あるいは
水酸化物皮膜は高い不純物濃度を示すと予想される。
【0020】酸洗浄を終えたガリウムは、酸に溶出した
不純物による再汚染を防ぐためにも上澄み液をデカンテ
ーション等の方法で可能な限り分離し、真空加熱用の容
器に入れる。このとき、ガリウム微粒子もできるだけ分
離し、50℃程度に加温した容器中に静置しておくと微
粒子は再び溶融状態のガリウムにもどるので、上澄み液
を分離し、真空加熱を行えばある程度精製されたガリウ
ムを回収することができる。
【0021】次に真空加熱用の容器に入れたガリウム
は、金属酸化物の成型体または粉末と接触させながら真
空中で加熱する。金属酸化物の成型体または粉末の材質
としては、99.9999%以上の酸化アルミニウム、
酸化珪素またはこれらの複合酸化物が最適である。ただ
し金属酸化物に含有される不純物が、上記の酸及び溶融
ガリウムに溶出しないならば、この純度に限定するもの
ではない。さらに1000℃でガリウムと反応せず、不
純物の酸化物と複合酸化物を形成しやすいものならばこ
れ以外の材質でも使用可能である。
【0022】成型体としては、球、立方体等の形状を有
する焼結体の他に、攪拌羽根や攪拌子などが挙げられ
る。攪拌羽根や攪拌子はモーターを利用して回転させ、
強制的にガリウムと接触させることが可能であり、そこ
に球、立方体等の形状を有する焼結体あるいは粉末を入
れれば、ガリウム液面に浮遊した不純物との接触を促進
することができる。ただし粉末を使用する場合、その粒
径はガリウムとの比重差、接触面積ならびに分離工程で
の簡便性を考慮して選定しなければならない。
【0023】真空加熱用の容器は、高強度かつ1000
℃で溶融状態のガリウムと反応しない材質であるタング
ステン、タンタル、カーボン、もしくは酸化アルミニウ
ム、酸化珪素、またはこれらの複合酸化物が好ましい。
特に酸化アルミニウム、酸化珪素、またはこれらの複合
酸化物であれば、不純物またはガリウムの酸化物と複合
酸化物を形成しやすいため最適であると考えられる。
【0024】真空加熱時には、酸の成分である水、硝
酸、塩酸、さらに酸に溶出しなかった低沸点不純物が蒸
発し、酸に溶出した不純物は塩化物または酸化物とな
る。一方、ガリウム微粒子を被覆していた酸化物あるい
は水酸化物皮膜は、不純物を含有するガリウム酸化物と
なる。
【0025】一般に不純物は塩化物となると沸点が低下
し、ほとんどが真空度10-1Torr下において100
0℃以下で蒸発する。一方、不純物酸化物および不純物
を含有するガリウム酸化物は、金属酸化物の成型体また
は粉末と接触させながら真空加熱することで、酸化アル
ミニウム、酸化珪素、またはこれらの複合酸化物と反応
し、Al−Ga−不純物元素−O系、Si−Ga−不純
物元素−O系、あるいはAl−Si−Ga−不純物元素
−O系化合物となるためガリウムから除去される。
【0026】さらに真空加熱用の容器の材質として、酸
化アルミニウム、酸化珪素、またはこれらの複合酸化物
を使用することによって、不純物の除去が容器との接触
によっても行われ精製速度がより一層向上する。
【0027】真空度は高いほど不純物の沸点が下がるた
め、不純物は除去され易く、10-5Torr以上が好ま
しいが、ガリウムの蒸発損失を招来することにもなるの
で、高真空の場合は加熱時間を短くすることが肝心であ
る。ただし、真空度は10-1Torr程度でも不純物の
低減は可能である。
【0028】加熱温度は、600〜1000℃の範囲で
行う。600℃よりも低い場合には、不純物の蒸発速度
が遅く生産性が悪い。一方、1000℃より高い場合に
は、真空加熱用の容器と溶融ガリウムとの反応が顕著と
なり、ガリウム中への容器材質のコンタミネーションが
大きくなる。したがって加熱温度は、600〜1000
℃の範囲でガリウムの仕込み量、到達真空度、加熱時間
を考慮に入れて任意に決定する。
【0029】真空加熱を行ったガリウムから酸化アルミ
ニウム、酸化珪素またはこれらの複合酸化物の成型体ま
たは粉末を分離するには、比重の大きなガリウムを容器
底部より抜き取る方法が簡便な操作でできるため良いと
考えられるが、ガリウムと成型体または粉末とが分離で
きるならばこの方法に限定されるものではない。
【0030】低純度ガリウムや液相エピタキシャル成長
に使用したガリウムスクラップ中の不純物は、一例とし
て、S、Cl、K、Ni、Zn、As、Cd、Pb、F
e、Hg、Sn、Cuなどが挙げられるが、ガリウムの
製造方法と取扱い方によって、これら以外にもさまざま
な素性を有する不純物が含有される可能性がある。した
がって従来の精製方法は不純物の物性に最適な精製工程
を多数組み合わせる手法が用いられており、精製コスト
が高くなっていた。
【0031】一般に酸洗浄と真空加熱で除去が難しい不
純物は、ガリウムより高沸点かつイオン化傾向の小さな
不純物であるIn、Pb、Snなどが挙げられ、従来そ
のような不純物は生産性の低い再結晶で除去することが
試みられてきた。ところが水分の存在下でこれらの不純
物は、ガリウムと局部電池を形成することによってガリ
ウムの酸化を促進し、ガリウム酸化物もしくは水酸化物
に包含される性質を有し、酸洗浄で0.001〜0.1
規定の酸の中に発生するガリウム微粒子を被覆する酸化
物もしくは水酸化物皮膜にも同様の機構で不純物は包含
されると考えられる。
【0032】本発明の精製方法は、酸洗浄時に発生させ
たガリウム微粒子を被覆するガリウム酸化物もしくは水
酸化物皮膜が高沸点且つイオン化傾向の小さな不純物を
包含することに着目し、この微粒子をできるだけ分離し
た後、真空加熱する際に金属酸化物と接触させること
で、さらに残留した微粒子を被覆していた酸化物もしく
は水酸化物を金属酸化物との複合酸化物の形態で除去し
てしまおうとするもので、再結晶を行う必要がなく生産
性が高い。
【0033】すなわち、酸洗浄によってガリウムよりイ
オン化傾向の大きな不純物は可能な限り溶出させて分離
し、イオン化傾向に係わらず不純物が濃縮したガリウム
微粒子を分離し、真空加熱によってガリウムに付着した
酸中の不純物は加熱脱水によって塩化物もしくは酸化物
とする。不純物は塩化物となることで沸点が低下するた
め、他の低沸点不純物とともに蒸発させてしまい、最後
に酸化物として残留した不純物およびガリウム酸化物に
包含された不純物は金属酸化物と接触させながら真空加
熱する過程で複合酸化物として吸収除去する。
【0034】以上の操作により一回の連続した処理操作
でガリウムを99.9999%以上の純度まで向上する
ことが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】ガリウムは、電気ヒーターもしく
は赤外線ランプなどを使用し、30℃以上の温度に加熱
し溶融する。ガリウムは大気中で取り扱うと大気との接
触面に容易に酸化物あるいは水酸化物皮膜を形成するた
め、乾燥した不活性ガス雰囲気中もしくは乾燥空気中で
取り扱うことが好ましい。ガリウムはポリテトラフルオ
ロエチレン製あるいはポリプロピレン製の容器に入れ、
そこに0.001〜0.1規定の塩酸、硝酸、あるいは
塩酸と硝酸の混酸をガリウムの容積に対して1〜4倍量
入れる。
【0036】温度は、高いほど良いが100℃以上では
水の蒸発が激しく進むので、40〜70℃が適当であ
る。加温の方法は、一般にマントルヒーター等の電気加
熱ヒーターを使用するが、これに限るものではない。電
動攪拌モーターに取り付けたポリテトラフルオロエチレ
ン製インペラーを容器中のガリウムに十分浸漬するまで
入れ、60〜120rpmで回転させる。攪拌時間は3
0分が適当であるが、不純物濃度が高い場合には長時間
攪拌したほうが良く、原料中の不純物量に合わせて任意
に変える必要がある。
【0037】攪拌終了後、容器中のガリウムは容器底部
に取り付けられた取り出し口から可能な限りガリウムの
みを流し出し酸化アルミニウム製容器に入れる。容器は
形状にはこだわらないがガリウム露出面積が大きい方が
良く、またガリウムに接触する部分のみ酸化アルミニウ
ムでコーティングされた容器でもかまわない。容器にガ
リウムを流し入れ、そこに粒径2〜3mmの酸化アルミ
ニウム成型体をガリウム重量に対し1/1000〜1/
10の比率で投入し真空溶融炉の所定の場所に設置す
る。
【0038】真空溶融炉はロータリーポンプを使用して
1×10-1Torrまで真空にした後、拡散ポンプを使
用して1×10-5Torrまで真空度を上げる。ガリウ
ムの中に酸化アルミニウムで作製したガス導入用管を差
し込み、加熱を開始する。加熱温度は700〜1000
℃に設定する。その後ガス導入用管からガリウム中へ乾
燥したArまたはN2 を少量導入することでガリウム融
液を攪拌しながら、6〜84hr加熱する。
【0039】ArまたはN2 の導入量は、真空度を十分
保てる量に制限しなければならないが、5〜500ml
/min位が良い。ただし、ガス導入量は、ガリウム仕
込み量、目的の到達真空度、加熱温度によって任意に変
えなければならない。
【0040】その後ガリウムはガラスフィルターもしく
は直径1mmの孔を多数開けた濾布上に流し込み、吸引
濾過し、酸化アルミニウム成型体を分離する。回収した
ガリウムは、乾燥した大気中で重量を秤量する。この方
法で得られるガリウムは、99.9999%以上であ
る。
【0041】
【実施例】〔実施例1〕ガリウムには、99.99%輸
入ガリウム(A)を使用した。まず電気ヒーターを使用
し、ガリウムを50℃に加熱し溶融した。次にガリウム
1kg(容積165ml)を1000mlのポリプロピ
レン製ビーカーに入れ、0.1規定の塩酸500mlを
添加しマントルヒーターで加熱し液温を50℃とする。
電動攪拌モーターに取り付けたポリテトラフルオロエチ
レン製インペラーを容器中のガリウムに十分浸漬するま
で入れ、60rpmで回転させ30分間攪拌した。攪拌
終了後、ガリウムは酸化アルミニウム製真空溶融用容器
に流し入れた。そこに直径2mmの酸化アルミニウム球
10gを投入し、次に真空溶融炉の所定の場所に挿入し
た。
【0042】真空溶融炉はロータリーポンプを使用して
1×10-1Torrまで真空にした後、ガリウムの中に
酸化アルミニウム製のガス導入用管を差し込み、800
℃まで昇温し、ガス導入用管からガリウム中へ乾燥した
Arを10ml/minで導入しながら、64hr加熱
した。その後ガリウムを直径1mmの孔を多数開けた濾
布上に流し込み、吸引濾過し、酸化アルミニウム球を分
離除去した。
【0043】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】〔実施例2〕ガリウムには、99.99%
輸入ガリウム(B)を使用した。その他は実施例1と同
様である。
【0046】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】〔実施例3〕ガリウムには、GaP液相エ
ピタキシャル成長で発生したガリウムスクラップを使用
した。その他は実施例1と同様である。
【0049】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】〔実施例4〕酸処理において、0.1規定
硝酸を使用した。その他は実施例2と同様である。
【0052】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】〔実施例5〕酸処理において、0.1規定
塩酸と0.1規定硝酸を1:1の割合で混合した混酸を
使用した。その他は実施例4と同様である。
【0055】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表4に示す。 〔実施例6〕金属酸化物の成型体として直径2mmの酸
化珪素球を投入した。その他は実施例2と同様である。
【0056】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】〔実施例7〕真空溶融炉における加熱温度
を900℃とした。その他は実施例1と同様である。
【0059】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表6に示す。
【0060】
【表6】
【0061】〔比較例1〕金属酸化物の成型体は投入し
ない。その他は実施例2と同様である。この方法で得ら
れたガリウム中の不純物濃度を精製前と比較し表5に示
す。
【0062】〔比較例2〕真空溶融炉における加熱温度
を1050℃とした。その他は実施例1と同様である。
【0063】この方法で得られたガリウム中の不純物濃
度を精製前と比較し表6に示す。
【0064】
【発明の効果】本発明のガリウムの精製方法よれば、低
純度ガリウムおよび液相エピタキシャルで発生するガリ
ウムスクラップを簡便かつ迅速に99.9999%以上
の高純度とすることができるため、生産性が高くなりコ
ストを低く抑えることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガリウムを真空加熱精製するガリウムの
    精製方法であって、酸洗浄で黒色のガリウム微粒子を積
    極的に生成させる処理を行った後のガリウムを、金属酸
    化物の成型体または粉末と接触させながら加熱溶融し、
    その後金属酸化物の成型体または粉末を分離することを
    特徴とするガリウムの精製方法。
  2. 【請求項2】 金属酸化物の成型体または粉末の材質
    が、酸化アルミニウム、酸化珪素、またはこれらの複合
    酸化物であることを特徴とする請求項1記載のガリウム
    の精製方法。
JP7607298A 1998-03-24 1998-03-24 ガリウムの精製方法 Pending JPH11269569A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008179898A (ja) * 2008-02-14 2008-08-07 Dowa Holdings Co Ltd 化合物半導体作成用のガリウム原料
CN103031450A (zh) * 2012-12-28 2013-04-10 北京吉亚半导体材料有限公司 一种金属镓的提纯方法
JP2014019590A (ja) * 2012-07-13 2014-02-03 Dowa Electronics Materials Co Ltd 硝酸ガリウム水溶液の製造方法

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