JPH11266733A - 水産生物感染症の予防治療方法 - Google Patents

水産生物感染症の予防治療方法

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JPH11266733A
JPH11266733A JP10092711A JP9271198A JPH11266733A JP H11266733 A JPH11266733 A JP H11266733A JP 10092711 A JP10092711 A JP 10092711A JP 9271198 A JP9271198 A JP 9271198A JP H11266733 A JPH11266733 A JP H11266733A
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JP
Japan
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water
electrolyzed water
electrolyzed
added
hydrochloric acid
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JP10092711A
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English (en)
Inventor
Mamoru Tomita
守 冨田
Makoto Kato
良 加藤
Kiyoshi Suzuki
潔 鈴木
Toyohiko Doi
豊彦 土井
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 養殖される水産生物の感染症を予防又は治療
する方法であって、容易な手順で実施することができ、
安価で、かつ水産生物を食用に供する際の安全性が高
く、消費者に薬剤が残留するという心理的な抵抗感を与
えることがなく、しかも効果的な予防治療方法を提供す
ること。 【解決手段】 水産生物が養殖されている用水に電解水
を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水産生物感染症の
予防治療方法に関する。更に詳しくは、本発明は、種々
の水産生物を養殖するための用水に電解水を添加するこ
とにより、水産生物の感染症を予防又は治療する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】わが国では、種々の水産生物の養殖が事
業として営まれているが、これらの養殖事業において経
済性を追及するためには、水産生物の生存率を向上させ
ることが重要である。このためには、水産生物の感染症
を可及的に予防し、また感染症に羅病した水産生物を適
切に治療することが必要である。尚、本明細書において
水産生物は、水産動物と水産植物とを包括するものであ
り、養殖又は飼養のための用水(以下、飼養用水と記載
することがある。)中で飼養される生物を意味する。
【0003】水産動物に関しては、その感染症を原因別
に分類すれば、ウイスル性の感染症、細菌性の感染
症、真菌による感染症、原虫による感染症、寄生
虫による感染症等に分類できる(室賀清邦ら編、「魚病
学概論」、恒星社厚生閣、1996年)。
【0004】例えば、サケ・マス類であれば、前記は
伝染性膵臓壊死症、伝染性造血器壊死症等、前記は細
菌性腎臓病、ビブリオ病、冷水病等、前記はミズカビ
病、イクチオホヌス病、前記はイクチオボド症、武田
微胞子虫症等、前記はテトラオンクス症、吸虫性白内
症等が知られている(室賀清邦ら編、「魚病学概論」、
恒星社厚生閣、1996年)。
【0005】また鰻の場合には、前記は鰓うっ血症、
前記はパラコロ病、カラムナリス病等、前記はミズ
カビ病、前記はミキシジウム病、べこ病等、前記は
シュ−ドダクチロギルス症、アンギリコラ症等が知られ
ている(室賀清邦ら編、「魚病学概論」、恒星社厚生
閣、1996年)。
【0006】その他、車エビでは、前記のバキュロウ
イルス性中腸線壊死症、前記のフサリウム症等が知ら
れており、アカウニでは、前記の棘抜け症が知られて
いる(室賀清邦ら編、「魚病学概論」、恒星社厚生閣、
1996年)。
【0007】以上のとおり感染症は、古くから養殖業に
おいては問題となっており、近年の養殖技術の進歩と、
養殖業の規模の急速な拡大により、感染症による損害も
増大しており、最近では看過できない大きな問題となり
つつある。
【0008】仮に養殖場全体に感染症が蔓延したとすれ
ば、養殖業者の経済的な打撃は著しいものがあり、結
局、水産生物の感染症を予防治療することは、事業の成
否を分ける重大な鍵といえる。
【0009】このために、従来は、例えば、魚介類にあ
っては、抗生物質、抗菌剤等の化学薬剤を餌料に混入
し、経口投与する予防治療法が実施され(江草周三著、
「改訂版 魚の感染症」、恒星社厚生閣、平成7年)、
化学薬剤の代わりに餌料にプロポリスを添加する技術
(特許第2624939号公報)も知られている。
【0010】これらの経口投与する技術の他には、水産
生物を飼養するための用水に対して、種々の物質を添加
する技術が知られている。例えば、用水に、水産生物の
成長促進効果がある微生物を添加する技術(特開平9−
121845号公報及び特開平9−205922号公報
等)が知られている。
【0011】一方、近年、種々の溶液を電気分解して得
られる電解水が知られており、このような電解水の応用
技術の確立が急がれている(芝紀代子ら著、「強電解水
ハンドブック」、医学情報社、平成7年)。
【0012】従来の電解水は、例えば、特開平1−18
0293号に開示された技術(以下、従来技術1と記載
する。)により製造されるものであった。この技術にお
いては、食塩を添加した水を隔膜付きの電解槽に通水
し、これを電気分解し、陽極側に生成する強酸性水を電
解水として取得するものである。この電解水のpHは
1.5以上3.2以下であり、単なる低pH液に比して
殺菌効果が高いとされている。
【0013】また、特許第2627100号に開示され
た技術(以下従来技術2と記載する。)によって製造さ
れる電解水は、塩化ナトリウムを添加した水と、塩酸を
添加した水とを混合し、これを無隔膜電解槽によって電
気分解して得られるものであり、この塩化ナトリウムを
添加した水は、電解する際の電解効率を上げるために不
可欠の添加物とされている。
【0014】これらの電解水を添加した水は、例えば、
次亜塩素酸ソ−ダを水に添加した場合に比して、低塩素
濃度であっても殺菌等の効果が高く、また、毎回使用す
る度に細かい濃度調整を行なう必要がない点で優れてい
る。
【0015】しかしながら、これらの電解水を、水産生
物に適用する技術は、従来知られていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の、水産生物の感
染症の予防治療方法において、特に魚介類の場合にあっ
ては、次のような問題点があった。
【0017】即ち、魚介類に薬剤を経口投与した場合
は、細菌の薬剤に対する耐性が生じるため、薬効が持続
できないという問題があった。また、化学薬剤は、残留
の可能性から投与量が制限されており、十分な効果を得
ることが困難な場合があった。また、プロポリス等は高
価格であるため、コスト面で不利となる問題があった。
【0018】一方、養殖するための用水に薬効物質を添
加する技術に関しては、全般に、水産生物にとって安全
な低濃度にする必要があるため、効果が制限される傾向
があり、また、前記経口投与する方法に比べれば確実性
に劣るという問題があった。
【0019】一般に水産生物を食用に供する際の安全性
を考慮すれば、水産生物に対して薬剤を使用すること
は、薬剤が残留するという心理的な抵抗感を消費者に与
える可能性があり、製品のイメ−ジを損なう傾向にあっ
た。
【0020】本発明者らは、先に特許出願した中性であ
り、かつ実質的にナトリウムを含まない電解水(特願平
8−309920号。以下、先願の電解水と記載す
る。)の用途について、鋭意研究を行った結果、先願の
電解水が、水産生物の感染症を予防又は治療し得ること
を見い出し、本発明を完成した。
【0021】本発明の目的は、水産生物の感染症を予防
治療する方法であって、容易な手順で実施することが可
能であり、安価であり、かつ水産生物を食用に供する際
の安全性が高く、消費者に薬剤が残留するという心理的
な抵抗感を与えることがなく、しかも効果的な感染症の
予防治療方法を提供すること、である。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明は、養殖される水産生物の感染症を予防又は治
療する方法であって、水産生物が養殖されている用水に
電解水を添加することを特徴とする水産生物感染症の予
防治療方法、である。
【0023】また、前記本発明は、電解水の添加が、用
水から一部の用水を採取し、採取した用水に電解水を添
加し、電解水を添加した用水を養殖場に戻すことにより
行われること、電解水が、ナトリウムイオン濃度が20
0ppm以下であること、及び、電解水が、塩化ナトリ
ウムを含有しない水に塩酸を添加し、塩酸添加水を無隔
膜電解槽に通水し、通水した塩酸添加水を電気分解して
得られること、を望ましい態様としている。
【0024】次に本発明について詳記する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の感染症の予防治療方法
は、水産生物の飼養用水に、電解水を添加することを主
な特徴とするものである。本発明において電解水は、
水、又は水に種々の化学物質を溶解した液に電流を印加
して電気分解したものであり、例えば前記従来技術1又
は2によって製造されたものを例示することができる
が、先願の電解水がより望ましい。
【0026】比較的大量に貯留された飼養用水に電解水
を添加する場合は、貯留された飼養用水に電解水を直接
添加することができる。また、小さな水槽の場合等、少
量の飼養用水に電解水を添加する場合は、予め適宜濃度
に調整した電解水をそのまま飼養用水として使用するこ
ともできる。また、新しい水を流入させて排水する連続
流水形式の飼養用水にあっては、流入する水に予め電解
水を添加することも可能である。
【0027】飼養用水は、淡水又は海水のいずれであっ
ても良く、また水産生物を飼養するための用水の他、水
産生物を一時的に退避させる際に水産生物を放遊させる
用水も、本発明の飼養用水の範囲に包含される。要は、
水産生物の飼養又は養殖に使用する全ての水を包含する
のである。
【0028】添加する電解水の濃度又は量、添加する時
期、添加した後の飼養用水の塩素濃度等は、水産生物の
種類、ふ化後日数、疾病の種類等に応じて、適宜設定す
ることができる。
【0029】電解水を添加する望ましい態様としては、
最初に飼養用水から一部を採取し、次いで採取した飼養
用水に、電解水を添加し、添加した飼養用水を、戻すの
が望ましい。これらの操作は、次のとおり連続的に行う
ことが可能である。
【0030】例えば、ポンプを配設した配管を準備し、
この配管の先端及び末端を各々飼養用水の中に開口し、
この状態でポンプを稼働すれば、飼養用水の循環ライン
が形成される。この循環ラインに電解水を注入すること
により、本発明の方法を連続的に実施することができる
のである。
【0031】本発明の方法において使用する電解水は、
ナトリウムイオン濃度が200ppm以下の範囲の電解
水(先願の電解水)であることが望ましい。即ち、前記
従来技術1及び2により得られる電解水とは異なる電解
水を使用することが望ましいのである。
【0032】その理由は、次のとおりである。即ち、第
一に、前記従来技術1は有隔膜電解槽を使用する方法で
あるため処理能力が低く、特に、本発明の方法のように
電解水を大量に消費する場合には能力が不足する傾向が
あるためである。第二に、前記従来技術1及び2により
製造された電解水は、いずれも食塩を含有しているの
で、飼養用水に添加した場合には、飼養用水の成分組成
が変化する可能性があるためである。この点は、特に飼
養用水が淡水である場合には、大きな問題となる。
【0033】これに対して、本発明の望ましい態様であ
る先願の電解水は、前記従来技術1又は2とは異なり、
ナトリウムイオン濃度が、一般的な上水の水質基準であ
る200ppm以下、より好ましくは10ppm以下の
電解水であることによる。従って、本発明の望ましい態
様は、前記従来技術1又は2に比して、飼養用水に添加
しても飼養用水の成分を変化させることがなく、また殺
菌作用が強力であるため、長時間、細菌の増殖を抑制す
ることができるのである。
【0034】また、このような電解水を添加した後の飼
養用水、又は電解水自体を用いる飼養用水は、pHが、
4.5〜6.8の範囲であることが望ましい。
【0035】このような電解水は、望ましくは次の手順
で製造される。即ち、実質的に塩化ナトリウムを含有し
ない水に塩酸を添加し、塩酸添加水を調整する。ここに
「水」とは、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留
水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等で
あって、実質的に塩化ナトリウムを含有しないものを意
味している。「実質的に塩化ナトリウムを含有しない」
の意味は、人為的に塩化ナトリウムを添加することがな
いということである。尚、本発明においては、塩化ナト
リウムのみならず、全般的にアルカリ金属塩化物は添加
しないことが望ましい。前記の塩酸添加水を無隔膜電解
槽に通水し、電気分解する。無隔膜電解槽であるため、
電気分解した後に陰極水及び陽極水が分離されることが
なく、一括して電解水として取得することができる。従
って、無隔膜電解槽であれば大量製造が可能であり、低
い製造費により製造が可能である。
【0036】また、この電解水には、当然のことながら
塩化ナトリウムは全く添加されておらず、換言すれば、
ナトリウムイオン濃度が、前記「水」に含有されていた
ナトリウムイオン濃度を越えることがない。即ち、ナト
リウムイオン濃度200ppm以下となるのである。
【0037】以上の操作としては、例えば、市販の電解
水製造装置であるピュアスタ−(商標。森永エンジニア
リング社製。以下同じ。)に、21%濃度(重量。以
下、特に断りのない限り同じ。)又は3%濃度の塩酸を
貯留したタンクを設置し、前者の場合は21%濃度の塩
酸と水道水とを混合して無隔膜電解槽に通水し、後者の
場合には3%濃度の塩酸のみを無隔膜電解槽に通水し、
連続的に電気分解することにより電解水を製造すること
が可能である。
【0038】このようにして得られた電解水は、塩化ナ
トリウムが実質的に添加されておらず、前記従来技術1
又は2による電解水に比して、より自然水に近い物性を
有しているのである。
【0039】また、このような電解水は、水又は飼養用
水により希釈した後に飼養用水に添加することも可能で
ある。この場合は、希釈後のpHを中性付近に調整する
ことが望ましい。
【0040】尚、このような電解水は、有効塩素濃度が
1ppm〜2ppmの濃度範囲まで希釈されたとしても
殺菌効果が消失することがない。即ち、水産生物に安全
な濃度範囲でありながら殺菌効果を発揮することができ
るのである。
【0041】以上説明した本発明の方法を適用できる水
産生物を例示すれば、食用海水魚類である、ハマチ(ブ
リ)、フグ、タイ、ヒラメ等、食用淡水魚類である鰻、
鯉、鮎、テラピア、ニジマス、ドジョウ、ナマズ、サケ
・マス類等、観賞用魚類である熱帯魚、錦鯉、金魚等、
貝類であるホタテ、アワビ、カキ、アコヤ貝、タニシ、
アサリ、ハマグリ等を例示することできる。また、その
他にもクルマエビ、スッポン、食用ガエル、タコ等にも
適用することができる。一方、水産植物としては、海
苔、ワカメ、コンブ等に適用することができる。
【0042】次に、試験例を示して、本発明を詳細に説
明する。試験例1この試験は、本発明に関し、水産生物
の感染症を治療する効果があることを確認するために行
った。
【0043】1)試料の調製 後記実施例1に例示したピュアスタ−PS−01によ
り、電解水を製造した。得られた電解水を水で希釈し、
有効塩素濃度2ppm、pH6に調整し、試験試料とし
た。尚、この試験試料のナトリウムイオン濃度は121
ppmであった。
【0044】2)試験方法 試験試料を30lの水槽に貯留し、赤斑病(細菌感染
症)に羅病した錦鯉(体長22cm)1尾を入れ、30
分間薬浴させた。尚、この錦鯉は、腹部及び尾びれに、
赤斑病特有の症状である赤い出血斑が見られた。以上の
薬浴を1日に2回、1週間継続し、錦鯉の体表の変化を
観察した。
【0045】3)試験結果 1週間後には、試験前に認めれた体表の赤い出血斑は完
全に消失し、赤斑病が完全に治癒していることが確認さ
れた。この試験の結果、本発明で使用する電解水は、水
産生物の細菌感染症に対して著効を有することが確認さ
れ、本発明の方法が感染症の治療方法として極めて有効
であることが確認された。
【0046】尚、電解水の有効塩素濃度、pH等を種々
変更して同様の試験を行い、また他の感染症について、
また他の淡水魚種についても同様の試験を行ったが、ほ
ぼ同様の結果が得られた。
【0047】試験例2 この試験は、本発明の方法が、水産生物の感染症を予防
する効果があることを確認するために行った。
【0048】1)試料の調製 予め加熱殺菌した天然の海水(木更津市江川海岸より採
取)198mlに対し、ビブリオ病に羅病したハマチよ
り採取して培養した病原菌Vibrio anguillarumの菌液2
mlを添加して混合し、通常より病原菌濃度が著しく高
い海水200mlを調製し、試験試料とした。
【0049】尚、Vibrio anguillarum は、一般に、病
魚から放出され、海水中を拡散して他の魚に伝染すると
いわれている(江草周三著「改訂版 魚の感染症」、第
123ペ−ジ、株式会社恒星社厚生閣)。
【0050】2)試験方法 ピュアスタ−PS−01により電解水を製造した。製造
した電解水は、有効塩素濃度が20ppm、ナトリウム
イオン濃度が120ppm、pH値が6.0であった。
【0051】この電解水を、試験試料100mlに対し
25mlの割合で添加し、添加5分後に1%チオ硫酸ソ
−ダ0.2mlを添加して失活させた。
【0052】電解水を添加する前の試験試料及び添加し
た後の試験試料を適量採取して、各々普通寒天培地及び
TCBS培地にて20〜25℃で3日間培養して両培地
の菌数の平均値を算出した。
【0053】3)試験結果 この試験の結果、電解水を添加する前の菌数は3700
CFU/mlであったのに対し、電解水を添加した後
は0 CFU/mlであった。即ち、電解水の添加によ
って病原菌は完全に死滅していた。この試験の結果か
ら、本発明の方法を適用することにより感染症を予防し
得ることが確認された。
【0054】尚、添加するべき電解水の有効塩素濃度、
pH、添加量等を種々変更して同様の試験を行い、また
他の細菌、ウイルスについても同様の試験を行ったが、
ほぼ同様の結果が得られた。
【0055】試験例3 1)試料の調製 ビブリオ病に羅病したアユの脾臓より採取したVibrio a
nguillarum を常法により培養した。健康なアユの成魚
(体長15cm)20尾に対し、前記Vibrioanguillaru
m の菌液を、綿棒により魚体に直接塗布して攻撃し、
二つの200lパンライト水槽に10尾づつ放した。
【0056】一方の水槽には、試験例2と同一のピュア
スタ−PS−01を設置し、1日1回、1lづつ電解水
を添加し、試験試料とした。尚、添加した電解水は有効
塩素濃度が30ppm、ナトリウムイオン濃度が98p
pm、pH値が6.1であった。他の水槽は、何の処置
もせず、対照試料とした。
【0057】2)試験方法 試験試料及び対照試料について、各々水温20℃の通気
下で攻撃後のアユを10日間飼養した。飼養中には、死
亡魚及び瀕死魚は随時除去し、除去したアユがビブリオ
病に羅病したか否かを肉眼により確認した。また、脾臓
を摘出希釈した後、普通寒天培地及びTCBS培地にて
20〜25℃で3日間培養して感染の有無を確認した。
【0058】3)試験結果 対照試料においては、2〜5日後には、10尾全てに著
しい出血班が発生して順次死亡し始め、試験終了までに
は全てが死亡した。細菌検査の結果、これらはビブリオ
病に感染したことが明らかであった。これに対し、試験
試料では、試験終了時にも全てのアユが生残していた。
【0059】この試験の結果、本発明の方法によれば、
水産生物の感染症が効果的に予防できることが確認され
た。
【0060】尚、電解水の有効塩素濃度、pH等を種々
変更して同様の試験を行い、また他の感染症について、
また他の魚種についても同様の試験を行ったが、ほぼ同
様の結果が得られた。
【0061】次に、実施例を示して本発明を詳記する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
【実施例】実施例1 最初に、本発明の方法において使用する電解水の製造装
置の一例を説明する。電解水生成システムであるピュア
スタ−PS−01は、無隔膜電解槽と、塩酸供給管路及
び電解水管路を備えている。塩酸供給管路の先端は、3
%濃度の塩酸が貯留された塩酸容器に開口しており、末
端は無隔膜電解槽に連結されている。また、塩酸供給管
路の中間部分には定量ポンプが設けられている。電解水
管路は、無隔膜電解槽の排出側に設けられており、電解
水を排出する機能を有する。この電解水管路の末端には
電解水吐出口が形成されている。
【0063】以上の構造を備えたピュアスタ−PS−0
1を、次のように、錦鯉の飼養池に設置した。
【0064】15尾の錦鯉の稚魚を飼養している飼養池
(広さ25m2 、深さ50cm、水深35cm)には、
飼養用水を濾過するために、次のような循環式の濾過シ
ステムが設けられている。
【0065】即ち、前記飼養池の濾過システムは、飼養
用水を汲み上げ、かつ再度戻す揚水ポンプを備えてお
り、この揚水ポンプが汲み上げ、また戻す飼養用水が、
第一の濾過槽、第二の濾過槽、及び沈殿槽を通過して濾
過されるのである。
【0066】この濾過システムの管路の末端に、前記ピ
ュアスタ−の電解水吐出口を連結し、循環される飼養用
水に電解水を添加する構造とした。
【0067】この濾過システムを通常どおり稼働させた
上で、ピュアスタ−を次のように稼動させた。
【0068】ピュアスタ−PS−01においては、3%
濃度塩酸を貯留した塩酸タンクから塩酸供給管路を介し
て流量110ml/hで無隔膜電解槽に塩酸を流し、こ
の状態で、無隔膜電解槽に4.5Aの条件で通電して塩
酸を電気分解した。電気分解した後の電解水は、定量ポ
ンプにて電解水管路を介して排出され、ガス分離器によ
り不要な水素ガスを除去したのち、前記飼養池の濾過シ
ステムの管路に添加した。尚、添加前の電解水のナトリ
ウムイオン濃度は112ppmであり、電解水を添加後
の飼養用水の有効塩素濃度が1.0ppmになったとき
に電解水の添加を中止した。
【0069】以上の操作を4日間おきに反復実施しなが
ら、15尾の稚魚を体長6cmになるまで2か月間、常
法で飼養したが、15尾全てが何の問題もなく成長し
た。 実施例2 飼育池(水深1m、面積32m2 )、沈殿池(水深1
m、面積5m2 )、配水槽(水深1m、面積3m2 )、
及び濾過池(水深1m、面積5m2 )を備えた鯉用養殖
池において、養殖されている鯉の中に、イカリムシ症の
症状を有する鯉が発見された。この結果、養殖池全体に
イカリムシが蔓延する危険が生じた。
【0070】発症した鯉を直ちに除去し、電解水生成シ
ステムであるピュアスタ−PS−25を前記養殖池に設
置した。
【0071】ピュアスタ−PS−25の構造を説明すれ
ば、PS−25は、前記PS−01よりも大型の無隔膜
電解槽を備えている。また、水源より水を導入する水管
路と、塩酸容器及び塩酸ポンプが設けられた塩酸供給管
路とを備えており、両管路は合流し、無隔膜電解槽に至
る。無隔膜電解槽の排出側には電解水管路が設けられ、
この電解水管路には、前記水管路より分岐した希釈用水
管路が合流する。希釈水用管路が合流した後の電解水管
路は、水素ガスを分離除去するガス分離器を備え、末端
には電解水の吐出口が形成されている。この電解水の吐
出口を前記養殖池の飼養用水の中に開口させたのであ
る。
【0072】以上の構造を備えたピュアスタ−PS−2
5を、次のように稼働させた。前記水管路を介して濾過
池より流量170l/mで水を採取した。予め21%濃
度塩酸を貯留した塩酸タンクから、塩酸ポンプによって
流量10ml/mで塩酸を流し、前記採取した水と塩酸
とを連続的に混合し、塩酸添加水を調製した。この際の
塩酸添加水のpHは0.4であった。
【0073】無隔膜電解槽に100Aの条件で通電し、
塩酸添加水を電気分解した。無隔膜電解槽より排出され
た電解水は電解水管路に流し、ここで希釈用水管路から
の水道水を合流させ、電解水を希釈した。希釈した電解
水は、ガス分離器を介して不要な水素ガスを分離し、電
解水の吐出口より、飼養用水に添加した。養殖池におけ
る飼養用水の有効塩素濃度が1.5ppmになった時点
でピュアスタ−を停止した。以上の操作を、1日に1
回、合計7日間実施した。
【0074】この結果、その後、イカリムシ症が発症し
た鯉は全く発見されなかった。即ち、電解水の添加によ
り、イカリムシ症の伝染を防止することができた。
【0075】
【発明の効果】本発明の水産生物の感染症を予防治療方
法は、容易な手順で実施することが可能であり、安価で
あり、かつ水産生物を食用に供する際の安全性が高く、
消費者に薬剤が残留するという心理的な抵抗感を与える
ことがなく、しかも効果的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 豊彦 東京都東大和市立野4−515 森永乳業株 式会社装置開発研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 養殖される水産生物の感染症を予防又は
    治療する方法であって、水産生物が養殖されている用水
    に電解水を添加することを特徴とする水産生物感染症の
    予防治療方法。
  2. 【請求項2】 電解水の添加が、用水から一部の用水を
    採取し、採取した用水に電解水を添加し、電解水を添加
    した用水を養殖場に戻すことにより行われる請求項1に
    記載の水産生物感染症の予防治療方法。
  3. 【請求項3】 電解水が、ナトリウムイオン濃度が20
    0ppm以下である請求項1又は請求項2のいずれかに
    記載の水産生物感染症の予防治療方法。
  4. 【請求項4】 電解水が、塩化ナトリウムを含有しない
    水に塩酸を添加し、塩酸添加水を無隔膜電解槽に通水
    し、通水した塩酸添加水を電気分解して得られる請求項
    1乃至請求項3のいずれかに記載の水産生物感染症の予
    防治療方法。
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