JPH11264729A - 回転振動型角速度センサ及びその製造方法 - Google Patents

回転振動型角速度センサ及びその製造方法

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JPH11264729A
JPH11264729A JP10069014A JP6901498A JPH11264729A JP H11264729 A JPH11264729 A JP H11264729A JP 10069014 A JP10069014 A JP 10069014A JP 6901498 A JP6901498 A JP 6901498A JP H11264729 A JPH11264729 A JP H11264729A
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vibrator
angular velocity
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etching
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Masaki Esashi
正喜 江刺
Zaishiyun Sai
在濬 崔
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体を小型化し得ると共に、角速度を高精度
で検出でき、しかも振動子を容易に真空封止し得るよう
にした、回転振動型角速度センサとその製造方法を提供
する。 【解決手段】 二枚の互いに対向して配設したガラス基
板11,12と、ガラス基板の間に配設したシリコンフ
レーム20とにより三層構造に構成し、シリコンフレー
ム20に、中空部内のベース23に対してT字形支持ビ
ーム22を介して支持した円環状の振動子の重り21を
形成し、各ガラス基板の内面に、櫛歯状の静電駆動用電
極11a1,12a1と容量検出用電極11a2,12
a2とを形成しており、T字形支持ビーム22を、固定
部から互いに反対方向に延び且つその先端から両側に延
びるようにT字形に形成し、さらに振動子に対して上下
に対称性を有するように、回転振動型角速度センサ10
を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物体の角速度を検出
するための角速度センサ、特に回転振動型角速度センサ
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、角速度センサとしては、例えば図
11に示すような構成の角速度センサが知られている。
図11を参照すると、角速度センサ7は、ガラス基板7
a上において、シリコンにより形成された振動子8a,
支持ビーム8b,配線8c,8d及び電極9から構成さ
れている。振動子8aの下面及びこの下面に対応したガ
ラス基板7aの上面に電極が形成され、振動子8a側の
引き出し線が配線8dであり、ガラス基板7aの電極の
引き出し線が配線8cである。この場合、上記振動子8
aは、一側の直線状のコ字状に折り返した支持ビーム8
bにて支持されることにより、支持ビーム8b側を支点
として揺動可能に支持されている。
【0003】このような構成の角速度センサ7によれ
ば、振動子8aが電極9により静電駆動され、これによ
って振動子8aが揺動により往復振動したとき、角速度
Ωが入ってくると振動子8aは縦方向(図11のz方
向)に振動する。これにより振動子8aとガラス基板7
a間の静電容量が変化する。この容量変化が、配線8
c,8dを介して適宜に計測、処理されることによって
外部から角速度が検出され得ることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された角速度センサ7においては、以下のよう
な解決すべき課題がある。すなわち、角速度センサ7に
おいては、振動子8aが揺動による往復振動したとき角
速度による縦振動として角速度が検出されることから、
加速度に対する感度が高く、加速度の影響を受けてしま
う。また、振動子8aに製作誤差などによる非対称があ
る場合は加速度の影響が大きくなる。
【0005】さらに、角速度センサ7において全体は、
ガラス基板7a,このガラス基板上に形成された振動子
8a,支持ビーム8b,配線8c,8d及び電極9を構
成するシリコン層とから成る二層構造であり、振動子8
aを真空封止するためにはこれらの上方に真空空間を画
成する必要があるので、コストが高くなってしまうこと
に加えて、全体が大型化してしまうという課題があっ
た。
【0006】またシリコンを用いた角速度センサでは、
その感度を上げるためにはその振動子が大きい重りを必
要とするが、従来のウエットエッチングや反応性イオン
エッチングなどのドライエッチング方式では垂直な側面
を形成できるものの、斜めに(111)面が出てしま
い、対称で精度のよい構造体を形成することが困難であ
った。
【0007】本発明は、以上の点に鑑み、全体が小型に
対称性良く正確に構成され、角速度が高精度で検出され
得る回転振動型角速度センサを提供すると共に、振動子
が容易に真空封止され得るようにした、回転振動型角速
度センサの製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の回転振動型角速度センサのうち請求項1記
載の発明は、中央の固定部から中空に対称に延びる複数
の支持ビームと、支持ビームで支持する円環形重りと、
円環形重りの上面及び下面の所定領域に固定部を中心に
して放射状に形成した複数の溝と、溝の凸部の上面及び
凹部の底面に形成した電極とを備える振動子と、振動子
を内部に配設したフレームと、容量検出用電極と振動子
の溝の凸部及び凹部に形成した電極にずれて対向する櫛
歯状の静電駆動用電極とを下面に有する上部ガラス基板
と、上部ガラス基板の容量検出用電極と櫛歯状の静電駆
動用電極とにそれぞれ対向した容量検出用電極と櫛歯状
の静電駆動用電極とを上面に有する下部ガラス基板とを
備え、フレームを上部ガラス基板と下部ガラス基板との
間に挟み、振動子を上部ガラス基板及び下部ガラス基板
から等位置に封止した三層構造に構成した。また請求項
2記載の発明は、上記構成に加え、支持ビームが上部及
び下部ガラス基板から等位置に対称性を有するように形
成されていることを特徴とする。さらに請求項3記載の
発明は、支持ビームがT字形支持ビームであってT字形
支持ビームの両端部で環状型重りを対称に支持すること
を特徴とする。また請求項4記載の発明は、各ガラス基
板の内面に、振動子姿勢制御用電極が形成されているこ
とを特徴とする。
【0009】このような構成によれば、静電駆動用電極
に駆動電圧を印加することにより、振動子が静電駆動に
よって垂直軸の周りに回転振動を与えられる。この状態
で、水平軸の周りに角速度が与えられると、振動子がコ
リオリ力によって上記水平軸に直角な水平方向の軸の周
りに振動することになる。したがって、容量検出用電極
と、振動子の表面との距離が変動することになり、容量
が変化し回路により、その容量変化が電圧変化として検
出される。
【0010】ここで、角速度を検出するための振動子の
重りが円環状に形成されていることから、小型に構成さ
れると共に、回転振動として角速度を検出することから
加速度に対する感度が抑制され、より正確な角速度が検
出されることになる。また支持ビームが上部及び下部ガ
ラス基板から等位置に対称性を有するように形成されて
いるので、上下方向に関する対称性が得られることにな
り、振動子の斜め駆動が抑制されるので、より高精度の
角速度の検出が可能となる。
【0011】さらに、上記振動子がT字形の支持ビーム
により支持されていることから、振動子が静電駆動され
たとき支持ビームにかかる張力が回避され、より大きな
振幅で振動することになり、より高精度の角速度の検出
が行われる。さらに、全体としてガラス基板、例えばシ
リコンフレーム−ガラス基板という三層構造であること
から、例えばシリコンフレームに形成された振動子が容
易に真空封止されることになり、空気ダンピングの影響
を受けない正確な角速度の検出が行われる。
【0012】また、請求項5に記載の本発明による回転
振動型角速度センサの製造方法は、シリコン基板の両面
をエッチングして静電駆動用及び容量検出用のギャップ
を形成する工程と、マスクを形成後、ギャップ内に選択
的にシリコン窒化膜を形成する工程と、レジストマスク
を形成後、異方性イオンエッチングにより静電駆動用の
電極パターン溝を形成する工程と、振動子の中空部に対
応する部分を貫通エッチングする工程と、選択的に形成
したシリコン窒化膜をマスクとして選択的に酸化膜を形
成する工程と、シリコン窒化膜を除去後、酸化膜をマス
クとしてエッチングすることによりT字形支持ビームと
振動子を支持する犠牲梁とを形成する工程と、酸化膜の
除去後、シリコン基板と下部ガラス基板を陽極接合する
工程と、犠牲梁をレーザアシストエッチングにより除去
する工程と、シリコン基板と上部ガラス基板を陽極接合
する工程と、を備える構成とした。
【0013】さらに本発明の製法は、上記工程に加え、
上部ガラス基板と下部ガラス基板とシリコン基板の周縁
とにより画成する内部空間を真空封止する工程を備えた
ことを特徴とする。また、T字形支持ビームを形成する
ためのエッチングが、XeF2 ガスエッチングであるこ
とを特徴とする。さらに振動子を形成するための貫通エ
ッチングが、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング
であることを特徴とする。
【0014】このような構成の回転振動型角速度センサ
の製造方法では、振動子の構造体を正確にかつ対称的に
製造できるので、支持ビームが振動子の重りの厚さ方向
の真ん中にある構造でも対称性良く正確にできる。した
がって、角速度を高精度で検出し、振動子を容易に真空
封止する回転振動型角速度センサを製造することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基
づいて、本発明を詳細に説明する。図1は本発明による
回転振動型角速度センサの一実施形態を示している。図
1において、角速度センサ10は、z方向に関して互い
に対向してxy平面上に配設された一対のガラス基板1
1,12と、これらガラス基板11,12の間に形成さ
れた振動子の重り21,ベース23及びT字形支持ビー
ム22とを有する振動子24とが加工されたシリコンフ
レーム20とから構成されており、三層構造になってい
る。なお、図1において、13はガラス基板11に空け
られたコンタクトホールを示し、14はコンタクトホー
ル13にて振動子を封止する柱を示す。コンタクトホー
ル13には例えばアルミニウムなどの金属がスパッタリ
ングされ、このコンタクトホール13にワイヤーボンデ
ィングされて、ガラス基板11に形成されている電極と
電気的に接続されている。
【0016】上記ガラス基板11,12は、電極接合時
の反りを低減するために、例えば1mm厚のパイレック
スガラスから構成されており、これらの互いに対向する
内面には、電極11a,12aが形成されている。上部
ガラス基板11の電極11aは、図示の場合、中心に対
して放射方向に櫛歯状の静電駆動用電極11a1と、一
対の容量検出用電極11a2と、さらに、この容量検出
用電極の両側に配設された振動姿勢制御用電極11a3
と、を備えている。この場合、電極11a1,11a3
は、例えばPt/Ti膜から形成され、また電極11a
2は、例えばITO膜から形成されている。
【0017】また、下部ガラス基板12の電極12a
は、図示の場合、上記電極11a1に対向する櫛歯状の
静電駆動用電極12a1と、上記電極11a2,11a
3に対向する一対の容量検出用電極12a2と、を備え
ている。この場合、電極12a1は、例えばPt/Ti
膜から形成され、また電極12a2は、例えばITO膜
から形成されている。
【0018】図1に示すように振動子の重り21は円環
状に形成されており、その厚さは、例えば190μmで
ある。この振動子の重り21の上下面は、上部ガラス基
板11及び下部ガラス基板12に形成されたそれぞれの
櫛歯状の静電駆動用電極11a,12aに対応した領域
にて中心に対して放射状に溝15が形成されており、こ
の溝の凸部及び凹部に電極が形成されている。これらの
溝15の凸部の電極及び凹部の電極はそれぞれ上部ガラ
ス基板及び下部ガラス基板の静電駆動用電極に対して斜
め方向に位置するように形成されている。
【0019】上記T字形支持ビーム22は、図2(A)
に示すように、振動子の重り21の中空部内にて固定配
設されたベース23からx方向に中空に延びるビーム2
2aと、このビーム22aの両端から両側に空中に延び
るビーム22bとからT字形支持ビーム22が構成さ
れ、各ビーム22bの両端がそれぞれ上記振動子の重り
21に対して連結され、この振動子の重り21を中空に
支持している。したがって、ガラス基板の上下の電極1
1a,12aと振動子の重りの電極との間に交流電圧を
印可すると、近接した電極間でより大きい静電力がガラ
ス基板上下の電極に対して斜め方向に振動子の重り21
に作用し、振動子の重り21は力の合成方向、つまり中
心に対して水平面内で回転方向に振動する。
【0020】上記T字形支持ビーム22はその厚さが例
えば63μmに形成されており、そのビーム22bの両
端が振動子の重り21の厚さ方向の中心付近に連結さ
れ、上下方向に対称性を有するようになっている。これ
により、振動子24は、静電駆動されない状態において
は、図2(A)に示すように、T字形支持ビーム22は
真っ直に延びているが、後述するように静電駆動された
ときには、図2(B)に示すようにT字形支持ビーム2
2は、そのビーム22a及びビーム22bがそれぞれ水
平方向に変形することにより、T字形支持ビーム22に
加わる張力が回避される。
【0021】ここで、上記角速度センサ10は、例えば
図3に示すようにして製造される。図3は振動子の重
り、振動子の重り上に形成された溝、振動子のベース及
びシリコンフレームの断面を合成した模式図であり、本
発明の回転振動型角速度センサの製造工程図である。先
ず図3(A)において、所定の厚さ例えば200μmの
厚さのp+型のシリコン基板30に対して、静電駆動用
及び容量検出用のギャップ31が、例えばTMAHエッ
チングによって形成される。この場合、ギャップ31の
深さは、例えば5μmである。
【0022】続いて、図3(B)に示すように、シリコ
ン基板30のギャップ31内にて、例えばLPCVD
(減圧CVD)によりシリコン窒化膜が形成され、例え
ば熱リン酸によるパターンニングにより、上記T字形支
持ビーム22に対応するシリコン窒化膜部分32が残さ
れる。
【0023】次に、図3(C)に示すように、シリコン
基板30のギャップ31内にて、例えば異方性イオンエ
ッチングの一種であるICPRIE(誘導結合プラズマ
反応性イオンエッチング)により、静電駆動用の放射状
の電極に対応する例えば深さ25μmのパターン33が
形成される。その後、図3(D)に示すように、図3
(C)と同じ条件で、ICPRIEによって振動子の中
空部に対応する部分の貫通エッチング34(厚さ190
μm)が行われる。
【0024】続いて、図3(E)に示すように、シリコ
ン窒化膜部分32をマスクとして、選択酸化、即ち厚さ
300nmで熱酸化が行われる。これにより、振動子の
全表面及び支持ビームの側面が酸化膜35により覆われ
ることになる。そして、その後、上記シリコン窒化膜部
分32が熱リン酸等により除去され、この酸化膜35を
マスクとして、XeF2 ガスエッチングによって、支持
ビームに対応する部分36のエッチングが行われる。こ
こで、このエッチングは、上下から63μmづつ行われ
ることにより、最終的に厚さ63μmのT字形支持ビー
ム22が振動子の厚さ中心に残されることになる。この
とき、振動子を支持する犠牲梁37も63μmの厚さに
エッチングされることになる。
【0025】その後、図3(F)に示すように、上記酸
化膜35が除去される。次に、図3(G)に示すよう
に、シリコン基板30と下部ガラス基板12との陽極接
合が行われると共に、上記犠牲梁37がフッ化窒素NF
3 ガスを使用するYAGレーザアシストエッチングによ
って除去される。
【0026】最後に、図3(H)に示すように、シリコ
ン基板30と上部ガラス基板11との陽極接合が行わ
れ、リード線38が取り付けられる。この際、上部ガラ
ス基板11とシリコン基板30の接合時に真空パッケー
ジすることにより内部空間が真空排気される。かくし
て、角速度センサ10が完成することになる。このよう
な製造方法により支持ビームが重りの厚さ方向の真ん中
にある振動子の構造体を正確に対称性よく形成できる。
【0027】本発明による角速度センサ10は、以上の
ように構成されており、角速度センサ10全体が角速度
を測定するための物体等に取り付けられ、静電駆動用電
極11a1,12a1と振動子の重りの電極との間に駆
動電圧が印加される。これにより、各電極11a1,1
2a1には、それぞれ電極が重なる方向に静電力が作用
し、振動子24がz軸の周りに回転振動することにな
る。
【0028】ここで、x軸周りの角速度が与えられる
と、振動子24は、コリオリ力が作用することにより、
y軸の周りに振動することになる。この振動により、ガ
ラス基板11,12上の容量検出用電極11a2,12
a2と振動子の重り21の表面との距離が変動すること
になり、これらの間の容量が変動するので、この容量の
変動を検出することにより角速度が検出され得る。
【0029】ここで、上記角速度センサ10の振動特性
は、図4に示すようにして測定される。即ち、図4にお
いて、角速度センサ10の静電駆動用電極11a1,1
2a1に対して、ネットワークアナライザ40から交流
電圧(例えば20mV)に直流バイアス(1V)を重畳
させた駆動信号を印加する。この直流バイアスは、振動
子24の二倍の周波数で励振されるのを防止するためで
ある。このようにして静電駆動により回転振動される振
動子24の回転振動が、容量検出用電極11a2,12
a2にて容量変化を引き起こし、この容量変化が、例え
ばJFET等の検出素子41により電圧変化として検出
され、上記ネットワークアナライザ40に戻され、ネッ
トワークアナライザ40によって振動が検出される。
【0030】尚、測定の際、空気抵抗によるダンピング
の影響を回避するために、上記角速度センサ10が、例
えば1×10-4Torrの真空度の真空チャンバ内に封
入されている。このような測定装置を使用した角速度セ
ンサ10の振動特性、即ち周波数に対する振動の大きさ
(dB)及び位相(度)は、図5のグラフに示す通りで
ある。この振動特性によれば、1kHz付近及び1.5
kHz付近にて、それぞれ共振ピークが観測された。
尚、この共振ピークは、それぞれ検出振動及び駆動振動
である。
【0031】ここで、二つの共振ピーク、即ち検出振動
及び駆動振動における共振周波数及びQ値は、真空度の
変化に伴って、図6及び図7のグラフにそれぞれ示すよ
うに変化する。これにより、検出振動のQ値は、駆動振
動のQ値と比較して圧力が上昇するにつれて急激に減少
することが分かる。これは、ガラス基板11,12の電
極11a,12aに向かって振動する検出振動が、ガラ
ス電極11,12の表面に対して平行に振動する駆動振
動よりも、空気ダンピングの影響を受け易いからであ
る。また、検出振動及び駆動振動における真空度変化に
対する共振周波数の変化に関して、圧力が上昇するにつ
れて共振周波数が高くなることが分かる。これは、所謂
スクイズドフィルム効果によるものである。
【0032】また、二つの共振ピーク、即ち検出振動及
び駆動振動における共振周波数は、直流バイアスの変化
に伴って、図8のグラフにそれぞれ示すように変化す
る。これにより、1kHz付近の共振周波数を有する検
出振動のみが直流バイアスによって影響を受けることが
分かる。これは、検出振動が面外振動であって、駆動振
動が面内振動であることを意味する。
【0033】このような振動特性を有する角速度センサ
10は、実際には図9に示すようにして角速度の検出を
行うようになっている。図1及び図9を参照して、角速
度センサ10の静電駆動用電極11a1,12a1に対
して、駆動電源43から、1449Hzで8Vp−pの
交流電圧に5Vの直流バイアスを重畳させた駆動信号を
印加する。このときの振動子24の駆動振幅は、約3.
5μmである。
【0034】このようにして静電駆動によりz軸回りに
回転振動している振動子24はx軸回りの角速度が印可
されると図1のy軸方向回りに検出振動する。これによ
り、容量検出用電極11a2,12a2にて容量変化を
引き起こし、この容量変化が、例えばJFET等の検出
素子44により電圧変化として検出され、この検出信号
が、例えばゲイン500のアンプ45により増幅され、
駆動電源43からの駆動信号に基づいて検波回路46に
より同期検波され、角速度に対応する出力電圧になり、
出力される。この出力電圧は図10に示すグラフのよう
になり、この出力電圧に基づいて角速度が検出され得る
ことになる。
【0035】尚、図10におけるデータのバラツキは角
速度センサの上下ガラスとシリコンとの陽極接合のアラ
イメント誤差により駆動力のアンバランスが生じたた
め、振動子が斜めに(面外方向)駆動されてしまったか
らである。したがって、図1に示すようにガラス基板1
1の振動子姿勢制御電極11a3とガラス基板12の電
極12a2間に、適宜の姿勢制御用電圧を印加すること
によって、振動子24の斜め駆動を抑止するのが望まし
い。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、角
速度を検出するための振動子が円環状に形成されている
ことから、質量の大きい振動子が得られ、小型に構成さ
れ得ると共に、回転振動として角速度を検出することか
ら加速度に対する感度が抑制され、より正確な角速度が
検出され得ることになる。また支持ビームが上部及び下
部ガラス基板から等位置に対称性を有するように形成さ
れているので、上下方向に関する対称性が得られること
になり、振動子の斜め駆動が抑制されるので、より高精
度の角速度の検出が可能となる。さらに、上記振動子が
T字形の支持ビームにより支持されていることから、振
動子が静電駆動されたとき支持ビームにかかる張力が回
避され、より大きな振幅で振動することになり、より高
精度の角速度の検出が行われる。また、全体としてガラ
ス基板−シリコン基板−ガラス基板という三層構造であ
ることから、シリコン基板に形成された振動子が容易に
真空封止され得ることになり、空気ダンピングの影響を
受けない正確な角速度の検出が行われる。
【0037】また本発明の回転振動型角速度センサの製
造方法では、振動子の構造体を正確にかつ対称的に製造
できるので、支持ビームが振動子の重りの厚さ方向の真
ん中にある構造でも対称性良く正確に製造できるという
効果を有する。かくして、本発明によれば、全体が小型
に構成されると共に、角速度が高精度で検出され、さら
に、振動子が容易に真空封止され得るようにした、極め
て優れた回転振動型角速度センサ及びその製造方法が提
供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転振動型角速度センサの一実施
形態の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1の回転振動型角速度センサの振動子及び支
持ビームの概略平面図であり、(A)は静止状態を、
(B)と回転振動時を示す。
【図3】図1の回転振動型角速度センサにおけるシリコ
ン基板の加工を順次に示す工程図である。
【図4】図1の回転振動型角速度センサの振動特性を測
定するための測定回路を示す概略図である。
【図5】図4の測定回路により測定された振動特性を示
すグラフである。
【図6】図1の回転振動型角速度センサにおける真空度
に対する検出振動の共振周波数とQ値を示すグラフであ
る。
【図7】図1の回転振動型角速度センサにおける真空度
に対する駆動振動の共振周波数とQ値を示すグラフであ
る。
【図8】図1の回転振動型角速度センサにおける直流バ
イアスに対する検出振動及び駆動振動の共振周波数とQ
値を示すグラフである。
【図9】図1の回転振動型角速度センサを使用した角速
度測定回路の構成を示す概略図である。
【図10】図9の角速度測定回路による角速度と出力電
圧との関係を示すグラフである。
【図11】従来の角速度センサを示す概略平面図であ
る。
【符号の説明】
10 回転振動型角速度センサ 11,12 ガラス基板 11a,12a 電極 11a1,12a1 静電駆動用電極 11a2,12a2 容量検出用電極 11a3 振動子姿勢制御用電極 13 コンタクトホール 14 柱 20 シリコンフレーム 21 振動子の重り 22 T字形支持ビーム 23 ベース 24 振動子 30 シリコン基板 31 ギャップ 32 シリコン窒化膜部分 33 パターン 34 貫通エッチング 35 酸化膜 36 支持ビームに対応する部分 37 犠牲梁 38 リード線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央の固定部から中空に対称に延びる複
    数の支持ビームと、この支持ビームで支持する円環型重
    りと、この円環形重りの上面及び下面の所定領域に固定
    部を中心にして放射状に形成した複数の溝と、この溝の
    凸部の上面及び凹部の底面に形成した電極とを備える振
    動子と、 この振動子を内部に配設したフレームと、 容量検出用電極と上記振動子の溝の凸部及び凹部に形成
    した電極にずれて対向する櫛歯状の静電駆動用電極とを
    下面に有する上部ガラス基板と、 この上部ガラス基板の容量検出用電極と櫛歯状の静電駆
    動用電極とにそれぞれ対向した容量検出用電極と櫛歯状
    の静電駆動用電極とを上面に有する下部ガラス基板とを
    備え、 上記フレームを上記上部ガラス基板と上記下部ガラス基
    板との間に挟み、上記振動子を上記上部ガラス基板及び
    下部ガラス基板から等位置に封止した三層構造をして成
    る、回転振動型角速度センサ。
  2. 【請求項2】 前記支持ビームが、前記上部及び下部ガ
    ラス基板から等位置に対称性を有するように形成されて
    いることを特徴とする、請求項1に記載の回転振動型角
    速度センサ。
  3. 【請求項3】 前記支持ビームがT字形支持ビームであ
    って、このT字形支持ビームの両端部で前記環状型重り
    を対称に支持することを特徴とする、請求項1又は2に
    記載の回転振動型角速度センサ。
  4. 【請求項4】 前記各ガラス基板の内面に、振動子姿勢
    制御用電極が形成されていることを特徴とする、請求項
    1乃至3の何れかに記載の回転振動型角速度センサ。
  5. 【請求項5】 シリコン基板の両面をエッチングして静
    電駆動用及び容量検出用のギャップを形成する工程と、 マスクを形成した後、上記ギャップ内に選択的にシリコ
    ン窒化膜を形成する工程と、 レジストマスクを形成後、異方性イオンエッチングによ
    り静電駆動用の電極パターン溝を形成する工程と、 振動子の中空部に対応する部分を貫通エッチングする工
    程と、 上記選択的に形成したシリコン窒化膜をマスクとして選
    択的に酸化膜を形成する工程と、 上記シリコン窒化膜を除去後、上記酸化膜をマスクとし
    てエッチングすることによりT字形支持ビームと振動子
    を支持する犠牲梁とを形成する工程と、 上記酸化膜の除去後、上記シリコン基板と下部ガラス基
    板を陽極接合する工程と、 上記犠牲梁をレーザアシストエッチングにより除去する
    工程と、 上記シリコン基板と上部ガラス基板を陽極接合する工程
    と、を備える回転振動型角速度センサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記工程に加え、前記上部ガラス基板と
    下部ガラス基板とシリコン基板の周縁とにより画成する
    内部空間を真空封止する工程を備えたことを特徴とす
    る、請求項5に記載の回転振動型角速度センサの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記T字形支持ビームを形成するための
    エッチングが、XeF2 ガスエッチングであることを特
    徴とする、請求項5に記載の回転振動型角速度センサの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記振動子を形成するための貫通エッチ
    ングが、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングであ
    ることを特徴とする、請求項5に記載の回転振動型角速
    度センサの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004271526A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Samsung Electronics Co Ltd 回転型ジャイロスコープ
US7637156B2 (en) 2004-07-12 2009-12-29 Sumitomo Precision Products Angular velocity sensor with vibrator having ring portion and electrodes positioned inside and outside the ring portion
JP2014029331A (ja) * 2012-07-13 2014-02-13 Northrop Grumman Guidance & Electronics Co Inc 中央固定ポストを有するクラスiiコリオリ振動ロッキングモードジャイロスコープ

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