JPH11260464A - 電気コネクタ用キャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 キャップ、及び基板実装型コネクタの成形時
の歪み又はそりを補償し、コネクタにがたを生じること
なく係合しつつコンタクトの基板実装部に十分な共面性
を提供できる電気コネクタ用キャップを提供すること。 【解決手段】 キャップ１０は一対の細長い基板実装型
コネクタを受容できる凹部２３を含むカバー部２０を有
する。凹部２３の長さ方向に沿って２箇所に対をなす係
合爪２５が設けられ、係合爪２５に対応する凹部２３の
底面２７から突出する突部８０が設けられる。コネクタ
は突部８０に制止されつつ、係止爪２５によって抜け方
向と逆方向に付勢されて係合保持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、基板実装型コネク
タ用の頂側に装着される電気コネクタ用キャップに関
し、特に一対の細長コネクタを位置決めするために使用
され得る電気コネクタ用キャップに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明の解決すべき課題】嵌合面の保護
又は基板上の所定の位置への吸着装置による自動載置の
ために、基板実装型コネクタの頂側にキャップを装着す
ることが従来より知られているが、特に近年、これらの
機能に加えて、高密度の基板対基板接続を実現すべく一
対のコネクタを回路基板の所定位置に位置合わせさせる
ためにキャップが使用される。そのようなキャップの例
が、特開平８−１７５４１号公報、及び登録実用新案公
報第３０２５３２４号に開示される。

【０００３】前者に開示されるキャップは吸着装置に吸
着保持されるための吸着面を具えつつ、一対の細長の基
板実装型コネクタを略平行に位置合わせするためにそれ
らと係合できるよう構成される。キャップは、４つの腕
部とそれらを連結する連結部とから成り略Ｈ字形状を成
し、腕部には細長いコネクタの端部に嵌合するための嵌
合部が設けられる。このキャップは成形された直後に歪
み又はそりを生じやすく、またそれが装着されるコネク
タにも歪み又はそりが存在し得るので、そのような場合
にはコネクタと嵌合したときに一対のコネクタに保持さ
れるコンタクトの表面実装部の共面性が悪くなり、表面
実装部の半田接続に不良を生じやすい。

【０００４】後者に開示されるキャップは、略矩形の枠
形状を成し、その角隅近傍に細長のハウジングの内面に
摩擦係合するポストを有する。このキャップは前者に開
示されるキャップよりも歪み又はそりを生じにくいが、
やはり若干寸法の歪み又はそりを含む。よって、コネク
タに装着されるときには、コネクタ自身の歪み又はそり
との相乗的な作用により、ポストとハウジングとの係合
がうまく行かずに一対のコネクタの表面実装部の共面性
が十分に提供されなかったり、また係合時にがたを生じ
てしまう虞もある。

【０００５】従って本発明は、一対の基板実装型コネク
タを保持したときに、それらのコンタクトの表面実装部
に十分な共面性を提供し、基板実装型コネクタの回路基
板への電気接続の信頼性を高めることのできる電気コネ
クタ用キャップを提供することを目的とする。

【０００６】更に本発明は、樹脂成形によってキャップ
及びコネクタに、歪み又はそりが生じた場合にも、基板
実装型コネクタへの取り付け装着時にそれらの歪み又は
そりを補償し、コネクタに対してがたを生じることなく
係合され得る電気コネクタ用キャップを提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、細長のハウジ
ングを有する基板実装型のコネクタの頂側に装着され、
該コネクタに対して長さ方向の少なくとも２箇所で保持
手段によって遊動的に係合保持される電気コネクタ用キ
ャップにおいて、前記コネクタに係合されるときに前記
ハウジングの長さ方向の２箇所に当接するよう前記コネ
クタに向けて突出する１対の突部を有し、前記保持手段
は前記コネクタを係合保持するときに抜け方向と逆方向
に付勢することを特徴とするものである。

【０００８】好ましくは、前記保持手段は前記ハウジン
グの外側面から突出する突起に係合される係合爪とされ
る。

【０００９】好ましくは、前記突起は断面が略矩形とさ
れる。

【００１０】好ましくは、前記係合爪は前記突起の底側
端縁に係合する係合用傾斜部を含む。

【００１１】好ましくは、前記係合爪は前記ハウジング
に対応する長さ方向の両端に近い２箇所に対向して設け
られる。

【００１２】好ましくは、前記突起は前記ハウジングに
対応する長さ方向に沿って、前記係合爪と略同位置に設
けられる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して本発明
の好適実施形態となる電気コネクタ用キャップを詳細に
説明する。

【００１４】図１は、本発明の好適実施形態となる電気
コネクタ用キャップ（以下単にキャップとも言う。）を
示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、
（ｃ）は底面図、及び（ｄ）は側面図である。

【００１５】図１によれば、キャップ１０は多数の表面
実装型コンタクトを含む一対の細長の基板実装型コネク
タ（図示せず）に重なり、保護のためにその嵌合面を略
覆う一対のカバー部２０、カバー部２０を端位置で連結
する側端連結部３０、及びカバー部２０を中央で連結し
て頂側に平坦な吸着面５１を構成する中央板部５０を有
する。図１（ｂ）、（ｄ）を共に参照して理解されるよ
うに、カバー部２０、側端連結部３０、及び中央板部５
０は、吸着面５１を含む平坦な頂面５５を含み、コネク
タ実装時に吸着搬送装置に吸着されるための吸着面５１
は中央板部５０上のみならずカバー部２０の頂面に連続
して延びる。また、側端連結部３０には、キャップ１０
の向きを決定するための、方向付け用のキー手段３１、
３２が設けられる。

【００１６】図１の各図から理解されるように、カバー
部２０は、側壁２１ａ、２１ｂ、及び一対の端壁２２に
よって画定され、長さ方向に延びる凹部２３を有する。
凹部２３は、後述するようにコネクタのプラグ形状部を
受容できる。図示されるように、端壁２２は側壁２１
ａ、２１ｂよりも更に底方に向けて突出する。また側壁
２１ａ、２１ｂは、受容されるコネクタハウジングの長
さ方向に対応するカバー部２０の両端に近い２箇所に対
向して設けられる係合爪２５を含む。係合爪２５は側壁
２１ａ、２１ｂの底端から更に底方に突出するが、端壁
２２の底端２６よりも手前で終端する。図１（ａ）に示
すように、係合爪２５の成形のために、カバー部２０は
頂側に貫通する貫通孔２４を含む。

【００１７】次に他の図面を参照して、キャップ１０が
基板実装型コネクタを係合保持する機構について更に説
明する。図２は、図１のキャップを部分的に示す図であ
り、（ａ）は図１（ｂ）中の線Ａ−Ａに沿う部分断面
図、（ｂ）は図１（ｃ）中の線Ｂ−Ｂに沿う部分断面
図、及び（ｃ）は係合爪の端部を拡大して示す部分断面
図である。特に図中にはキャップに受容される基板実装
型コネクタのハウジングのプラグ形状部の概略形状を仮
想線で示す。

【００１８】図２によれば、係合爪２５は凹部２３の内
側に向けて突出する係合突起７０を含む。その形状は図
２（ｃ）に詳細に示されるように、コネクタハウジング
の受容を案内する案内用の第１の傾斜部７１、それと逆
に頂側に位置する第２の傾斜部７２、及びそれらの間に
位置する中間部７３を有する。第１の傾斜部７１の傾斜
角度よりも第２の傾斜部７２の傾斜角度は急峻とされ
る。中間部７３は比較的短く略垂直方向に延びる。

【００１９】更に図２（ａ）、（ｂ）によれば、カバー
部２０の長さ方向に沿って係合爪２５と同位置に、凹部
２３の底面２７から突出する突部８０が設けられる。突
部８０は凹部２３に比較的小寸法だけ突出して、その端
は平坦面８１を構成する。図１（ｃ）によれば、突部８
０は略円柱形状であることが理解される。

【００２０】基板実装型コネクタのハウジング９０は、
図２（ａ）、（ｂ）に仮想線で部分的に示される位置に
受容される。図２（ａ）によれば、ハウジング９０の側
面には略断面矩形状の突起９１が設けられ、この突起９
１にキャップ１０の係合爪２５の係合突起７０が係合し
てハウジング９０を凹部２３内に抜け止めすることがで
きる。

【００２１】ハウジング９０の受容及び係合を順を追っ
て説明すると、以下の通りである。先ずコネクタのハウ
ジング９０とキャップ１０のカバー部２０が正確に位置
合わせされる。ハウジング９０とキャップ１０が近づけ
られると、先ずハウジング９０の長さ方向の動きがカバ
ー部２０の端壁２２によって規制されるが、端壁２２は
凹凸によるキー手段２８（図１（ｃ）参照）を含むの
で、ハウジング９０の幅方向の動きも規制される。よっ
てハウジング９０の受容は端壁２２の案内によりスムー
ズに進められる。キャップ１０の係合爪２５は上述のハ
ウジング９０の突起９１に対応して形成される。よって
ハウジング９０の受容が進むと（図２（ｃ）中に部分的
に受容される前のハウジング９０を示し、受容方向を矢
印Ｐで示す。）、突起９１と係合爪２５とが干渉する。
ハウジング９０を更に凹部２３内へと押し進めると突起
９１の頂側端縁９２が係合爪２５の第１の傾斜部７１に
干渉して係合爪２５を若干寸法だけ外側に変位させる。
更に受容が進められると、突起９１は係合爪２５の中間
部７３を超える。このとき突起９１の底側端縁９３が係
合爪２５の第２の傾斜部７２に係合される。よって係合
爪２５はハウジング９０を頂側に向けて付勢するよう作
用する。ハウジング９０の受容は頂側面９４が突部８０
の平坦面８１と当接することにより制止される。特に本
発明において重要な点は、係合爪２５と突起９１との係
合によってハウジング９０が頂側に付勢された状態で突
部８０による制止が成される点である。これによりコネ
クタのハウジング９０は長さ方向の２箇所の位置でがた
を生じることなく支持され得る。特にそれぞれの位置で
ハウジング９０を３点で支持している点に注目すべきで
ある。

【００２２】キャップ１０による上述の如きハウジング
９０の支持作用は、単にがたを生じないためだけのもの
でなく、一対の基板実装型コネクタ（図示せず）の多数
のコンタクトの表面実装部の共面性を保証するためのも
のでもある。その作用は、コネクタ受容時に係合爪２５
がコネクタを頂側に付勢した状態にあること、及びコネ
クタの頂側面９４が長さ方向の２点で突部８０によって
支持されることによって実現される。この点について以
下に説明する。

【００２３】キャップ１０は、一対のカバー部２０が側
端連結部３０、及び中央板部５０によって連結された構
成とされるので、樹脂成形されたときに歪み又はそりを
生じにくい形状となっているが、僅かな歪み又はそりを
生じる可能性もある。またそれに受容される上述のコネ
クタ９０も長さ方向に歪み又はそりを生じる可能性もあ
る。しかしながら、コネクタのハウジング９０が凹部２
３内に受容されたときには、頂側面９４は突部８０によ
って２点で当接するのみであり、他の部分では底面２７
から離間され、間に空間９８（図２ｂ参照）を構成す
る。よってこの空間９８によりハウジング９０及びキャ
ップ１０の若干の歪み又はそりを補償できる。

【００２４】更に、コネクタのハウジング９０をキャッ
プ１０に係合保持させた後で基板上に載置する際に、キ
ャップ１０を僅かな力で回路基板に押し付ける。このと
き、係合爪２５がコネクタを頂側に付勢した状態で遊動
的に且つがたを持たないように係合保持されているため
に、コネクタが凹部２３内で略回動またはねじれ方向に
スムーズに動かされ、一対のコネクタのコンタクトの表
面実装部が最適の共面性を持つように向けられる。これ
によって、樹脂成形されたときの歪み又はそりが補償さ
れ、信頼性の高い表面実装接続が提供され得る。

【００２５】以上のように本発明の好適実施形態となる
電気コネクタ用キャップを説明したが、これはあくまで
も例示的なものであり、本発明を制限するものではな
く、当業者によって様々な変形変更が可能である。

【００２６】

【発明の効果】本発明の電気コネクタ用キャップによれ
ば、コネクタに係合されるときにハウジングの長さ方向
の２箇所に当接するようコネクタに向けて突出する１対
の突部を有し、保持手段はコネクタを係合保持するとき
に抜け方向と逆方向に付勢することを特徴とするので、
樹脂成形によってキャップ、及びコネクタに歪み又はそ
りが生じた場合にも、基板実装型コネクタへの装着時に
それらの歪み又はそりを補償することができ、これによ
り、コネクタをがたなく保持できるとともに、それに含
まれる多数のコンタクトの表面実装部に十分な共面性を
提供し、基板実装型コネクタの回路基板への電気接続の
信頼性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好適実施形態となる電気コネクタ用キ
ャップを示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面
図、（ｃ）は底面図、及び（ｄ）は側面図。

【図２】図１のキャップをそれに受容される基板実装型
コネクタのハウジングのプラグ形状部の概略形状ととも
に部分的に示す図であり、（ａ）は図１（ｂ）中の線Ａ
−Ａに沿う部分断面図、（ｂ）は図１（ｃ）中の線Ｂ−
Ｂに沿う部分断面図、及び（ｃ）は係合爪の端部を拡大
して示す部分断面図。

【符号の説明】

１０ 電気コネクタ用キャップ ２５ 係合爪（保持手段） ８０ 突部 ９０ ハウジング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】細長のハウジングを有する基板実装型のコ
   ネクタの頂側に装着され、該コネクタに対して長さ方向
   の少なくとも２箇所で保持手段によって遊動的に係合保
   持される電気コネクタ用キャップにおいて、 前記コネクタに係合されるときに前記ハウジングの長さ
   方向の２箇所に当接するよう前記コネクタに向けて突出
   する１対の突部を有し、 前記保持手段は前記コネクタを係合保持するときに抜け
   方向と逆方向に付勢することを特徴とする電気コネクタ
   用キャップ。