JPH11257367A - 磁気式トルクリミッタ装置およびテープ走行装置 - Google Patents

磁気式トルクリミッタ装置およびテープ走行装置

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JPH11257367A
JPH11257367A JP10058403A JP5840398A JPH11257367A JP H11257367 A JPH11257367 A JP H11257367A JP 10058403 A JP10058403 A JP 10058403A JP 5840398 A JP5840398 A JP 5840398A JP H11257367 A JPH11257367 A JP H11257367A
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hysteresis
magnet
torque
plate
gear
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JP10058403A
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English (en)
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Takamitsu Tadera
孝光 田寺
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小サイズ、低騒音、かつトルクリミット値を
切換えるための時間を要しない、多段階のトルクリミッ
ト値を有するトルクリミッタ装置を提供する。 【解決手段】 トルクリミッタ装置1は、主動ギア2
と、マグネット保持板3と、マグネット4と、第1の従
動ギア5と、第1のヒステリシス板6と、第2の従動ギ
ア7と、第2のヒステリシス板8と、アイドラ軸9と、
フェルト14とを含む。アイドラ軸9まわりに回転可能
なように主動ギア2、第1の従動ギア5および第2の従
動ギア7が配設される。主動ギア2はマグネット保持板
3を、第1の従動ギア5は第1のヒステリシス板6を、
第2の従動ギア7は第2のヒステリシス板8を、それぞ
れインサート成形したものである。マグネット保持板3
上にはマグネット4が固設されており、その対向側に、
第1の従動ギア5および第2の従動ギア7が平行かつア
イドラ軸9に回転自在に支持されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気式トルクリミ
ッタ装置およびテープ走行装置に関し、特に、デジタル
ビデオテープレコーダ、デジタルオーディオテープレコ
ーダ、カセットテープレコーダ等の磁気式トルクリミッ
タ装置およびテープ走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テープ走行装置において、テープ
に必要以上のテンションが加わらないようにリール台に
は、トルクリミッタ装置が備えられている。このトルク
リミッタ装置は、テープに必要以上のテンションが加わ
ったとき、リール台駆動部側に対して、リール台をスリ
ップ動作させる機構である。
【0003】図10を参照して、ビデオテープレコーダ
(以下、VTRと称する。)のテープ走行装置は、磁気
式記録再生用のヘッドが取付けられたドラム126と、
キャプスタンモータ127と、キャプスタン128と、
ピンチローラ129と、タイミングプーリ130と、タ
イミングベルト131と、センターギア123と、アイ
ドラギア124と、アイドラギア124を回転可能に保
持し、かつセンターギア123に対し回動自在に取付け
られている首振りアーム122と、アイドラギア124
と噛み合うS(Supply)リール台132およびT
(Take)リール台133と、テープ125の供給リ
ール120と、テープ125の巻き取りリール121と
を含む。
【0004】Sリール台132およびTリール台133
に組込まれた磁気式トルクリミッタ装置は、図11を参
照して、ドライブギア101と、ヒステリシス板102
と、リールテーブル103と、軸受け部材104と、リ
ールハネ105と、ワッシャ106と、ヨーク板107
と、マグネット108と、コイルバネ109とを含む。
【0005】ヒステリシス板102は、マグネット10
8によって作り出される磁界との間に所定の位相差を有
する、磁束密度を持つ。このため、ヒステリシス板10
2内にポテンシャルエネルギーの蓄積が生じ、ヒステリ
シストルクが発生する。
【0006】ヨーク板107は、マグネット108によ
って作り出される磁界の向きを変え、マグネット108
とヨーク板107とが接する面とは逆側(ヒステリシス
板102側)の磁束密度を高くする。ヨーク板は、一般
に軟磁性体により形成される。
【0007】再度図10を参照して、テープ125の巻
き取り時(再生時)には、キャプスタンモータ128が
矢印135方向に回転する。キャプスタン128とピン
チローラ129とで挟持されたテープ125が、キャプ
スタンモータ127の回転により矢印134方向に送り
出される。キャプスタンモータ127の回転は、タイミ
ングプーリ130、タイミングベルト131を介してセ
ンターギア123に伝達される。センターギア123
は、アイドラギア124がTリール台133に噛み合う
ように首振りアーム122を回転させ、キャプスタンモ
ータ127の回転をTリール台133に伝達する。供給
リール120から引き出されたテープ125は、ドラム
126に巻き付けられ、キャプスタンモータ127で送
られ、巻き取りリール121で巻き取られる。
【0008】アイドラギア124の回転は、再度図11
を参照して、Tリール台133に組込まれた磁気式トル
クリミッタ装置のドライブギア101に伝えられる。そ
れに伴い、ヒステリシス板102が軸110まわりに回
転する。ヒステリシス板102は、マグネット108の
磁力によりリールテーブル103側に引付けられてい
る。このため、ヒステリシス板102が回転すると、ヒ
ステリシストルクによりマグネット108を固着してい
るヨーク板107が軸110まわりに回転し、リールテ
ーブル103が軸110まわりに回転する。リールテー
ブル103の回転に伴い、リールハネ105が回転す
る。リールハネ105が図10に示す巻き取りリール1
21を回転させることで、テープ125が巻き取りリー
ル121に巻き取られることとなる。
【0009】ヒステリシストルク以上のトルクが外部か
らドライブギア101に加わったとしても、リールテー
ブル103には巻き取りリール121が装着されている
ため、テープ125のテープテンションによりリールテ
ーブル103の回転が妨げられる方向に力が働く。この
ため、マグネット108とヒステリシス板102との間
で滑りが生じ、ヒステリシス板102がマグネット10
8に引付けられることによって生じるトルク以上の力で
はテープ125を巻き取ることができず、テープ125
は一定のトルクで巻き取りリール121に巻き取られ
る。Tリール台133には、キャプスタン128によっ
て送られるテープ125が巻き取れるだけのトルクが発
生すればよいので、Tリール台133のトルクリミット
値は一般的に小さい。
【0010】テープ125の巻き戻し時には、図10に
示す各構成要素の動作方向が逆になり、首振りアーム1
22がSリール台132側に回転し、アイドラギア12
4がSリール台132と噛み合い、Sリール台132に
動力を伝達する。テープ125はSリール台132が発
生するヒステリシストルクにより供給リール120に巻
き取られる。Sリール台132のトルクリミット値は、
ドラム126でヘッドがテープ125に当たり信号を得
るために必要なテンションを発生させつつ、テープ12
5を巻き取るように設定するため、Tリール台133の
それに比べ大きい。
【0011】このように従来のテープ走行装置では、S
リール台132およびTリール台133の双方にそれぞ
れリミット値の異なるトルクリミッタ装置を組込む必要
がある。このため、リール台の構造が複雑になり、トル
クリミッタ装置が2個必要となる。したがって、テープ
走行装置の生産コストが高く、重量が大きくなるという
問題を有している。
【0012】これらの問題を解決する装置として、特願
平7−14253号公報に開示されているトルクリミッ
タ装置がある。このトルクリミッタ装置は、回転方向に
よりトルク値が変化し、2種類のトルクを1個のトルク
リミッタ装置で発生させることができる。アイドラギア
124にトルクリミッタ装置を組込むことにより、従来
2個必要であったトルクリミッタ装置を1個にすること
ができる。したがって、テープ走行装置の生産コストを
低くすることができ、質量を小さくすることができる。
【0013】図12を参照して、そのトルクリミッタ装
置は、ヒステリシスギア201と、ヒステリシス板20
2と、サブヨーク板203と、軸受け部材204と、ワ
ッシャ205と、ドライブ軸206と、ヨーク板207
と、マグネット208と、ドライブギア210と、キャ
ップ211とを含む。
【0014】ヒステリシスギア201の内側にはヒステ
リシス板202が、ヒステリシス板202の内側には軸
受け部材204が、それぞれ嵌着されている。軸受け部
材204はドライブ軸206に対して回転自在に嵌めら
れ、ワッシャ205が軸受け部材204とドライブ軸2
06との間のスラスト受け部に入れてある。ドライブ軸
206にはヨーク板207が、ヨーク板207の上面に
はマグネット208が、それぞれ固設されている。ドラ
イブ軸206の突出部にはキャップ211が固着されて
おり、キャップ211には、ドライブギア210が螺合
されている。ある方向へ回転させる力が外部からドライ
ブギア210に加わると、キャップ211に対する螺合
が進んで、ドライブギア210は、図12の右半分に示
す状態になり、逆方向に回転させる力が加わると、キャ
ップ211に対する螺合が解除されて図12の左半分に
示す状態になる。
【0015】図12の右半分に示す状態では、サブヨー
ク板203はヒステリシス板202から離れた位置にあ
る。このため、マグネット208からの磁束はヒステリ
シス板202のラジアル方向を通り、ドライブ軸206
に働くトルクリミット値が大きくなる。このトルクリミ
ット値より大きな力がドライブギア201に加わると、
ドライブ軸206はスリップ回転する。
【0016】図12の左半分の状態では、サブヨーク板
203はヒステリシス板202に非常に近い位置にあ
る。このため、マグネット208からの磁束はヒステリ
シス板202の厚さ方向を通り、ドライブ軸206に働
くトルクリミット値が、図12の右半分に示す状態に比
べて小さくなる。このトルクリミット値より大きな力が
ドライブギア201にかかると、ドライブ軸206はス
リップ回転する。
【0017】このようなトルクリミッタ装置を用いるこ
とにより、回転方向によりトルクリミット値を変えるこ
とができる。このため、従来のテープ走行装置で2個必
要であったトルクリミッタ装置を1個にすることができ
る。したがって、テープ走行装置の重量を小さくし、生
産コストを低くすることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平7−1
4253号公報に開示されているトルクリミッタ装置
は、回転方向によりサブヨーク板203の高さ方向の位
置を変えることでトルクリミット値を変えている。この
ため、サブヨーク板203を上下させるための機構およ
びサブヨーク板203が上下するための空間が必要であ
り、トルクリミッタ装置およびテープ走行装置のサイズ
が大きいものになってしまう。
【0019】また、所定のトルクリミット値に切換える
ためには、外部から伝達される回転力によってサブヨー
ク板203を上下させるための時間が必要であり、その
間、ヒステリシスギア201から動力が伝達できない。
このため、キャプスタン128とピンチローラ129と
によるテープ125の駆動のタイミングと、トルクリミ
ッタ装置のトルクリミット値切換完了のタイミングとを
合わせておかないと、キャプスタン128とピンチロー
ラ129とによって送られたテープ125が巻き取りリ
ール121に巻き取れないこととなる。
【0020】さらに、外部から動力伝達を行なうための
ギアとドライブギア210とが噛み合っているが、ドラ
イブギア210が上下に移動することによりギア同士の
歯面が擦れる。このため、歯面の摩耗および歯面の擦れ
による騒音の原因になる。
【0021】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的は、サイズが小さく、騒音が少
なく、トルクリミット値を切換えるための時間を要せ
ず、かつ多段階のトルクリミット値を有する、トルクリ
ミッタ装置を提供することである。
【0022】本発明の他の目的は、サイズが小さく、騒
音が少なく、トルクリミット値を切換えるための時間を
要せず、不必要な磁束を遮蔽することができ、かつ多段
階のトルクリミット値を有する、トルクリミッタ装置を
提供することである。
【0023】本発明のさらに他の目的は、サイズが小さ
く、騒音が少なく、トルクリミット値を切換えるための
時間を要せず、不必要な磁束を遮蔽し、磁束むらがな
く、かつ多段階のトルクリミット値を有する、トルクリ
ミッタ装置を提供することである。
【0024】本発明のさらに他の目的は、サイズが小さ
く、騒音が少なく、トルクリミット値を切換えるための
時間を要せず、軽くて、生産コストが低く、リール台の
構造が簡単で、かつ多段階のトルクリミット値を有す
る、トルクリミッタ装置を含むテープ走行装置を提供す
ることである。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係る磁気式トルクリミッタ装置は、軸と、軸まわりに回
転可能に配接されたマグネットと、マグネットの第1の
面に対向し、軸まわりに回転可能に配接された複数のヒ
ステリシス板とを含む。
【0026】請求項1に記載の発明によると、外部の動
力により回転するマグネットに吸引され、複数のヒステ
リシス板の各々が回転する。このため、マグネットに近
いヒステリシス板ほど大きなトルクを有することにな
る。よって、マグネットに近いヒステリシス板ほど大き
なトルクリミット値を有し、かつ多段階のトルクリミッ
ト値の設定が可能なトルクリミッタ装置を提供すること
ができる。また、各ヒステリシス板が所定のトルクリミ
ット値を有するため、特開平7−14253号公報に開
示されているトルクリミッタ装置のようにトルクリミッ
ト値を切換えるための特別の機構が必要ない。このた
め、トルクリミッタ装置の構造が簡単であり、装置のサ
イズを小さくすることができる。さらに、トルクリミッ
ト値を切換えるために要していた時間が必要なく、トル
クリミット値を切換える際に生じていた騒音の問題が起
こらない。
【0027】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の構成に加えて、マグネットの第1の面とは逆の
面に対向するヨーク板をさらに含む。
【0028】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の作用、効果に加えて、複数のヒステリシス板が
対向するマグネットの第1の面とは逆の面から漏洩する
不必要な磁束を遮蔽することができる。
【0029】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明の構成に加えて、複数のヒステリシス板
のうち、マグネットに最も近い第1のヒステリシス板
は、円周方向に等間隔で設けられた穴を有するヒステリ
シス板である。
【0030】請求項3に記載の発明は、請求項1および
2に記載の発明の作用、効果に加えて、第1のヒステリ
シス板を通過して漏洩する磁束のむらをなくすことがで
きる。
【0031】請求項4に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明の構成に加えて、複数のヒステリシス板
のうち、マグネットに最も近い第1のヒステリシス板の
厚さは、マグネットからの磁束が漏洩する厚さである。
【0032】請求項5に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明の構成に加えて、複数のヒステリシス板
のうち、マグネットに最も近い第1のヒステリシス板か
ら所定量の磁束が漏洩するように、マグネットの磁界強
度、第1のヒステリシス板の材質および厚さ、ならびに
マグネットと第1のヒステリシス板との間の距離を定め
た。
【0033】請求項5に記載の発明は、請求項1および
2に記載の発明の作用、効果に加えて、第1のヒステリ
シス板から漏洩する磁束を所定量にすることができる。
これにより、複数のヒステリシス板の各々に作用するト
ルクを調節することができ、トルクリミット値を所定値
に設定することができる。
【0034】請求項6に記載の発明に係る磁気式トルク
リミッタ装置は、軸と、軸まわりに回転可能に配接され
たマグネットと、マグネットの両側に、軸まわりに回転
可能に配接された複数のヒステリシス板とを含む。
【0035】請求項6に記載の発明によると、外部の動
力がマグネットまたは複数のヒステリシス板のいずれか
に伝達され、回転する。各ヒステリシス板は、マグネッ
トにより吸引されているため、残りのマグネットおよび
複数のヒステリシス板が各々回転する。各ヒステリシス
板とマグネットとの間の距離、ならびにヒステリシス板
の材質および厚さなどによりマグネットおよび複数のヒ
ステリシス板の各々のトルクが異なる。よって、多段階
のトルクリミット値の設定が可能なトルクリミッタ装置
を提供することができる。また、マグネットおよび複数
ヒステリシス板の各々が所定のトルクリミット値を有す
るため、特開平7−14253号公報に開示されている
トルクリミッタ装置のようにトルクリミット値を切換え
るための特別の機構が必要ない。このため、トルクリミ
ッタ装置の構造が簡単であり、装置のサイズを小さくす
ることができる。さらに、トルクリミット値を切換える
ために要していた時間が必要なく、トルクリミット値を
切換える際に生じていた騒音の問題が起こらない。
【0036】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明の構成に加えて、複数のヒステリシス板のいずれ
かとマグネットとの間に配接されたヨーク板をさらに含
む。
【0037】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明の作用、効果に加えて、ヨーク板の材質、厚さ等
を調節することにより、ヒステリシス板に漏洩する磁束
の量を調節することができる。このため、ヒステリシス
板に作用するトルクを調節することができ、トルクリミ
ット値を所定値に設定することができる。
【0038】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の発明の構成に加えて、ヨーク板の厚さは、マグネット
からの磁束が漏洩する厚さである。
【0039】請求項9に記載の発明は、請求項7に記載
の発明の構成に加えて、ヨーク板から所定量の磁束が漏
洩するように、マグネットの磁界強度、ヨーク板の材質
および厚さ、ならびにマグネットとヨーク板との間の距
離を定めた。
【0040】請求項9に記載の発明は、請求項7に記載
の発明の作用、効果に加えて、ヨーク板から漏洩する磁
束を所定量に調整することができる。このため、ヒステ
リシス板に作用するトルクを調整することができ、トル
クリミット値を所定値に設定することができる。
【0041】請求項10に記載の発明に係るテープ走行
装置は、モータと、複数のリール台と、モータと複数の
リール台の各々との間を連繋し、モータの動力を複数の
リール台の各々に伝達するための請求項1〜9のいずれ
かに記載の磁気式トルクリミッタ装置とを含む。
【0042】請求項10に記載の発明によると、モータ
の動力により回転するマグネットに吸引され、複数のヒ
ステリシス板の各々が回転する。このため、マグネット
に近いヒステリシス板ほど大きなトルクを有することに
なる。複数のヒステリシス板は、複数のリール台をそれ
ぞれ駆動する。その際、マグネットに必要以上のトルク
がかかる場合には、マグネットと複数のヒステリシス板
の各々との間に速度差が生じ、各ヒステリシス板のトル
クは一定に保たれる。このため、各リール台に巻き付け
られたテープを一定のトルクで巻き取ることができる。
この発明では、特開平7−14253号公報に開示され
ているトルクリミッタ装置のようにトルクリミット値を
切換えるための特別の機構が必要ない。また、リール台
の機構を簡単にすることができ、テープ走行装置のサイ
ズおよび重量を小さくすることができる。よって、生産
コストが低下する。
【0043】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]以下、図面を参
照しつつ、本発明における実施の形態の1つであるVT
Rのテープ走行装置について説明する。なお、以下の説
明では、同一の部品には同一の参照符号を付す。それら
の名称および機能も同一であるので、説明の繰返しは適
宜省略する。
【0044】図1を参照して、VTRのテープ走行装置
は、磁気式記録再生用のヘッドが取付けられたドラム3
0と、キャプスタンモータ25と、キャプスタン26
と、ピンチローラ27と、タイミングプーリ28と、タ
イミングベルト29と、センターギア12と、トルクリ
ミッタ装置1と、トルクリミッタ装置1を回転可能に保
持し、かつセンターギア12に対し回動自在に取付けら
れている首振りアーム10と、トルクリミッタ装置1と
噛み合うSリール台20およびTリール台22と、テー
プ31の供給リール33と、テープ31の巻き取りリー
ル32とを含む。
【0045】図2を参照して、テープ走行装置のシャー
シ13にSリール軸21およびTリール軸23が固設さ
れ、それぞれの軸にSリール台20およびTリール台2
2が回転自在に配設される。Sリール台20のギア部2
0aおよびTリール台22のギア部22aは、後述する
第1の従動ギア5および第2の従動ギア7とそれぞれ噛
み合う高さに設けられている。
【0046】図3を参照して、トルクリミッタ装置1
は、主動ギア2と、マグネット保持板3と、マグネット
4と、第1の従動ギア5と、第1のヒステリシス板6
と、第2の従動ギア7と、第2のヒステリシス板8とを
含む。
【0047】シャーシ13に固定されているセンターギ
ア軸11には、回動可能なようにセンターギア12と首
振りアーム10とが配設されている。首振りアーム10
上に設けられたアイドラ軸9には、軸まわりに自由に回
転可能なように主動ギア2、第1の従動ギア5および第
2の従動ギア7が配設される。主動ギア2はマグネット
保持板3を、第1の従動ギア5は第1のヒステリシス板
6を、第2の従動ギア7は第2のヒステリシス板8を、
それぞれインサート成形したものである。マグネット保
持板3上にはマグネット4が固設されている。マグネッ
ト4の対向側に、第1の従動ギア5および第2の従動ギ
ア7が平行かつアイドラ軸9に回転自在に支持されてい
る。首振りアーム10と主動ギア2との間には、フェル
ト14が挟まれており、フェルト14が首振りトルクを
発生させる。
【0048】マグネット4に対向させ、ヒステリシス板
6および8を平行に設ける。第1のヒステリシス板6は
マグネット4により吸引されており、マグネット4が固
着されている主動ギア2が回転すると、第1のヒステリ
シス板6にヒステリシストルクが働き、回転する。第2
のヒステリシス板8は第1のヒステリシス板6から漏れ
てきた磁束により吸引され、第2のヒステリシス板8に
もヒステリシストルクが発生し、回転する。第2のヒス
テリシス板8に働くヒステリシストルクは、漏れ磁束に
よるもので、第1の従動ギア5側のトルクリミット値の
方が第2の従動ギア7側のそれより大きい。
【0049】マグネット4から出た磁束は、第1のヒス
テリシス板6を飽和させ、第2のヒステリシス板8側に
漏れる。第2のヒステリシス板8側に漏れる磁束の量
は、第1のヒステリシス板6の磁気特性に応じて、その
板厚を設定することによって決めることができる。
【0050】したがって、トルクリミッタ装置1のトル
クリミット値は、マグネット4の磁界強度、第1のヒス
テリシス板6の材質および板厚、第2のヒステリシス板
8の材質、ならびに各部品間のギャップ等により、第1
の従動ギア5と第2の従動ギア7とにそれぞれ働くヒス
テリシストルクを調整することにより設定できる。
【0051】また、マグネット保持板3を軟磁性体で形
成したヨーク板とすることにより、ヒステリシス板8と
は反対側に漏洩する不要な磁束を遮蔽することができ、
かつヒステリシス板側の磁束密度を上げることができ
る。
【0052】図4を参照して、第1のヒステリシス板6
は、円周方向に等間隔に同形状で設けられた穴6aを有
する。等間隔に穴6aを有することにより、円周方向に
働く磁束のむらをなくしている。また、穴6aの大きさ
により第1のヒステリシス板6を通過して第2のヒステ
リシス板8に漏れる磁束の量を調整することで、第1の
ヒステリシス板6および第2のヒステリシス板8のそれ
ぞれに働くヒステリシストルクを調整できる。このた
め、第1の従動ギア5のトルクリミット値および第2の
従動ギア7のトルクリミット値を所望の値に設定するこ
とができる。なお、穴6aはなくともよい。
【0053】再度図1〜図2を参照して、キャプスタン
モータ25の外周にタイミングプーリ28が噛み合って
いる。タイミングプーリ28とセンターギア12との間
に動力伝達のためタイミングベルト29がかけてある。
テープ31の巻き取り時には、センターギア12からト
ルクリミッタ装置1を介してTリール台22に動力が伝
達され、巻き取りリール32が駆動される。各構成要素
は図中矢印の方向に回転する。
【0054】テープ31は、キャプスタン26とピンチ
ローラ27とにより図中矢印の方向に駆動され、供給リ
ール33から出て、ドラム30に巻き付けられ、巻き取
りリール32へと走行する。このとき、キャプスタンモ
ータ25は図中矢印の方向に回転する。キャプスタンモ
ータ25の回転による動力が、キャプスタンモータ25
の外周からタイミングプーリ28に伝達される。タイミ
ングプーリ28に伝達された動力は、タイミングベルト
29を介してセンターギア12に伝達され、フェルト1
4により首振りトルクが発生する。センターギア12は
トルクリミッタ装置1がTリール台22と噛み合うよう
に首振りアーム10を図中Aの方向に回転させ、トルク
リミッタ装置1を介してTリール台22に動力を伝え
る。巻き取りリール32と接続しているTリール台22
が回転することで、巻き取りリール32は図中の矢印の
方向に回転し、テープ31を巻き取っていく。
【0055】このときトルクリミッタ装置1の各部は以
下のように動作する。キャプスタンモータ25の動力は
センターギア12の動力入力部12aに伝えられ、セン
ターギア12の動力出力部12bから主動ギア2に伝え
られる。主動ギア2が回転することによりマグネット4
と第1、第2のヒステリシス板6、8との間にヒステリ
シストルクが発生する。ヒステリシストルクにより第1
の従動ギア5および第2の従動ギア7がそれぞれ回転す
る。第2の従動ギア7とTリール台22のギア部22a
とが噛み合い、動力がTリール台22へ伝達される。
【0056】巻き取りリール32にはテープテンション
がかかり、第2の従動ギア7には回転方向と逆方向に力
がかかる。これに対し、キャプスタンモータ25の回転
速度は一定であり、主動ギア2は一定速度で回転する。
このため、主動ギア2と第2の従動ギア7との間に速度
差が生じ、主動ギア2に対し、第2の従動ギア7がスリ
ップする。しかし、主動ギア2と第2の従動ギア7との
間には、所定のヒステリシストルクが働いている。この
ため、そのトルクで巻き取りリール32にテープ31を
巻き取ることができる。
【0057】この場合、テープ31は、キャプスタン2
6とピンチローラ27とにより挟持され走行しているの
で、テープ31の巻き取りのためのトルクは小さいもの
でよい。そこで、主動ギア2と第2の従動ギア7との間
のトルクリミット値は小さく設定される。たとえば、8
mmVTRの場合、Tリール台22のトルクリミット値
は10gf・cm程度である。
【0058】図5を参照して、テープ31の巻き戻し時
には、テープ走行装置の各構成要素は、テープ31の巻
き取り時(図1)とは逆方向に回転する。キャプスタン
モータ25からの動力は、タイミングプーリ28、タイ
ミングベルト29、センターギア12の順で伝達され
る。フェルト14により首振りトルクが発生し、センタ
ーギア12は、トルクリミッタ装置1がSリール台20
と噛み合うように首振りアーム10を図中Bの方向に回
転させ、トルクリミッタ装置1を介してSリール台20
に動力を伝える。供給リール33と接続しているSリー
ル台20が回転することで、供給リール33は図中の矢
印方向に回転し、テープ31を巻き取っていく。
【0059】再度図2を参照して、このときトルクリミ
ッタ装置1の各部は以下のように動作する。キャプスタ
ンモータ25の動力はセンターギア12の動力入力部1
2aに伝えられ、センターギア12の動力出力部12b
から主動ギア2に伝えられる。主動ギア2が回転するこ
とによりマグネット4と第1、第2のヒステリシス板
6、8の間にヒステリシストルクが発生する。ヒステリ
シストルクにより第1の従動ギア5および第2の従動ギ
ア7がそれぞれ回転する。このとき、第1の従動ギア5
とSリール台20のギア部20aとが噛み合い、動力が
Sリール台20へ伝達される。
【0060】供給リール33がテープ31を巻き取る際
には、供給リール33に高いテープテンションが回転方
向と逆方向にかかる。このため、主動ギア2と第1の従
動ギア5との間には、高いヒステリシストルクが働くよ
うに設定してある。そのトルクにより、供給リール33
にテープ31が巻き取られる。
【0061】このように、テープ31を供給リール33
で巻き取るために発生させなければならないテープテン
ションが大きいので、Sリール台20のトルクリミット
値は大きな値になる。たとえば8mmVTRの場合、S
リール台20のトルクリミット値は25gf・cm程度
である。
【0062】図6を参照して、トルクリミッタ装置1を
センターギア軸11に設けることも可能である。
【0063】シャーシ13に固設されているセンターギ
ア軸11に、トルクリミッタ装置1と首振りアーム10
とが軸まわりに回動可能なように配設されている。
【0064】首振りアーム10上に設けられたアイドラ
軸9には、第1のアイドラギア15および第2のアイド
ラギア16が平行に回転自在に支持されている。第1の
アイドラギア15および第2のアイドラギア16は、そ
れぞれ第1の従動ギア5および第2の従動ギア7と常に
噛み合うようになっている。
【0065】シャーシ13に固設されているSリール軸
21まわりに回転するSリール台20のギア部20aお
よびTリール軸23まわりに回転するTリール台22の
ギア部22aは、それぞれ第1のアイドラギア15およ
び第2のアイドラギア16と噛み合う高さに設けられて
いる。
【0066】トルクリミッタ装置1の各部は以下のよう
に動作する。キャプスタンモータ25からの動力が主動
ギア2に伝えられる。ヒステリシストルクにより第1の
従動ギア5および第2の従動ギア7がそれぞれ回転す
る。このため、第1の従動ギア5および第2の従動ギア
7にそれぞれ噛み合っている第1のアイドラギア15お
よび第2のアイドラギア16が回転する。キャプスタン
モータ25の回転方向に応じて、首振りアーム10がS
リール台20側かTリール台22側に回転する。テープ
31の巻き取り時には第2のアイドラギア16とTリー
ル台22とが噛み合い、テープ31の巻き戻し時には第
1のアイドラギア15とSリール台20とが噛み合い、
それぞれ動力の伝達が行なわれる。
【0067】ここで、主動ギア2と第1の従動ギア5お
よび第2の従動ギア7との間のそれぞれの動力伝達はヒ
ステリシストルクにより行なわれている。主動ギア2と
第1の従動ギア5との間のトルクリミット値は、2つの
ギア間に働くヒステリシストルクで定まる。同様に、主
動ギア2と第2の従動ギア7との間のトルクリミット値
も、2つのギア間に働くヒステリシストルクで定まる。
第1の従動ギア5の方が、第2の従動ギア7に比べ、主
動ギア2に近接している。このため、主動ギア2と第1
の従動ギア5との間に働くヒステリシストルクの方が、
主動ギア2と第2の従動ギア7との間に働くヒステリシ
ストルクよりも大きい。したがって、Sリール台20を
駆動するためのトルクリミット値のほうがTリール台2
2を駆動するためのトルクリミット値よりも大きい。
【0068】上述のトルクリミッタ装置1では、2つの
トルクリミット値を1つの装置で実現できる。このトル
クリミッタ装置1を用いることにより、従来のようにS
リール台20(132)およびTリール台22(13
3)それぞれにトルクリミッタ装置1を組込む必要がな
くなる。このため、リール台の構造が簡単になり、テー
プ走行装置のサイズが小さくなる。また、軽くて安価な
テープ走行装置を提供することができる。さらに、トル
クリミッタ装置1には、トルクリミット値を切換えるた
めの特別の機構が必要ない。
【0069】[実施の形態2]実施の形態2に係るVT
Rのテープ走行装置の構成は、図1を参照して説明を行
なった実施の形態1に係るVTRのテープ走行装置の構
成において、トルクリミッタ装置以外は同様であるた
め、その説明は繰返さない。
【0070】図7を参照して、実施の形態2に係るトル
クリミッタ装置41は、主動ギア42と、マグネット保
持板43と、マグネット44と、第1の従動ギア45
と、第1のヒステリシス板46と、第2の従動ギア47
と、第2のヒステリシス板48とを含む。
【0071】シャーシ13に固設されているセンターギ
ア軸11には、回動可能なようにセンターギア50と首
振りアーム10とが配設されている。首振りアーム10
上に設けられたアイドラ軸9には、軸まわりに自由に回
転可能なように主動ギア42、第1の従動ギア45、お
よび第2の従動ギア47が配設される。主動ギア42は
第1のヒステリシス板46を、第1の従動ギア45はマ
グネット保持板43を、第2の従動ギア47は第2のヒ
ステリシス板48を、それぞれインサート成形したもの
である。マグネット保持板43上にはマグネット44が
固設されている。第1の従動ギア45と、マグネット4
4に対向した主動ギア42と、マグネット保持板43に
対向した第2の従動ギア47とが平行かつアイドラ軸9
に回転自在に支持されている。
【0072】マグネット44に平行に第1のヒステリシ
ス板46および第2のヒステリシス板48を設けること
で、主動ギア42と第1の従動ギア45との間および主
動ギア42と第2の従動ギア47との間にそれぞれヒス
テリシストルクが発生する。第1のヒステリシス板46
および第2のヒステリシス板48のそれぞれからマグネ
ット44までの距離、マグネット保持板43の板厚等に
より、第1の従動ギア45と第2の従動ギア47とでは
異なるヒステリシストルクを設定できる。たとえば、マ
グネット保持板43を軟磁性体で形成したヨーク板と
し、このヨーク板の板厚を設定することにより、第2の
ヒステリシス板48に漏洩する磁束を制御して、第1の
ヒステリシス板46に働くトルクと異なるヒステリシス
トルクを設定することができる。マグネット保持板43
は、第2のヒステリシス板48とマグネット44との間
に設けられており、第1のヒステリシス板46とマグネ
ット44との間には設けられていない。このため、第1
のヒステリシス板46とマグネット44との間に働くヒ
ステリシストルクの方が、第2のヒステリシス板48と
マグネット44との間に働くそれより大きい。よって、
第1の従動ギア45のヒステリシストルクは、第2の従
動ギア47のそれより大きい。
【0073】キャプスタンモータ25からの動力は主動
ギア42に伝えられる。ヒステリシストルクにより第1
の従動ギア45および第2の従動ギア47がそれぞれ回
転する。キャプスタンモータ25の回転方向に応じて、
首振りアーム10がSリール台20側かTリール台22
側に回転する。テープの巻き取り時は第2の従動ギア4
7とTリール台22とが、テープの巻き戻し時は第1の
従動ギア45とSリール台20とがそれぞれ噛み合い、
動力の伝達が行なわれる。
【0074】ここで、主動ギア42と第1の従動ギア4
5および第2の従動ギア47との間のそれぞれの動力伝
達はヒステリシストルクにより行なわれている。主動ギ
ア42と第1の従動ギア45との間のトルクリミット値
および主動ギア42と第2の従動ギア47との間のトル
クリミット値はそれぞれの間に働くヒステリシストルク
で定まる。第1の従動ギア45の方が第2の従動ギア4
7に比べて主動ギア42に近接している。このため、第
1の従動ギア45のヒステリシストルクは、第2の従動
ギア47のそれより大きい。よって、Sリール台20を
駆動するためのトルクリミット値の方がTリール台22
を駆動するためのトルクリミット値よりも大きい。
【0075】上述のトルクリミッタ装置41では、2つ
のトルクリミット値を1つの装置で実現できる。このト
ルクリミッタ装置41を用いることにより、従来のよう
にSリール台20(132)およびTリール台22(1
33)それぞれにトルクリミッタ装置41を組込む必要
がなくなる。このため、リール台の構造が簡単になり、
テープ走行装置のサイズが小さくなり、軽くて安価でテ
ープ走行装置を作成することができる。また、トルクリ
ミッタ装置41には、トルクリミット値を切換えるため
の特別の機構が必要ない。
【0076】[実施の形態3]実施の形態3に係るVT
Rのテープ走行装置の構成は、図1を参照して説明を行
なった実施の形態1に係るVTRのテープ走行装置の構
成において、トルクリミッタ装置以外は同様であるた
め、その説明は繰返さない。
【0077】図8を参照して、トルクリミッタ装置60
をVTRのテープ走行装置に組み込んだ例を説明する。
実施の形態3にかかるトルクリミッタ装置60は、主動
ギア51と、マグネット保持板52と、第1の従動ギア
53と、第1のヒステリシス板54と、第2の従動ギア
55と、第2のヒステリシス板56と、マグネット57
とを含む。シャーシ13に固定されているセンターギア
軸11には、回動可能なように主動ギア51、第1の従
動ギア53および第2の従動ギア55が配設される。主
動ギア51はマグネット保持板52を、第1の従動ギア
53は第1のヒステリシス板54を、第2の従動ギア5
5は第2のヒステリシス板56を、それぞれインサート
成形したものである。マグネット保持板52上にはマグ
ネット57が固設されており、マグネット57の対向側
に第1の従動ギア53、第2の従動ギア55が平行かつ
センターギア軸11に回転自在に支持されている。マグ
ネット57およびマグネット保持板52と周対向となる
ように、第1のヒステリシス板54および第2のヒステ
リシス板56がマグネット57およびマグネット保持板
52に対して平行に設けられる。このため、主動ギア5
1と第1の従動ギア53との間および主動ギア51と第
2の従動ギア55との間にそれぞれヒステリシストルク
が発生する。第2のヒステリシス板56には、第1のヒ
ステリシス板54から漏れてきた磁束によりヒステリシ
ストルクが働く。よって、第1の従動ギア54に働くヒ
ステリシストルクの方が、第2の従動ギア56に働くヒ
ステリシストルクのよりも大きい。
【0078】また、マグネット保持板52を軟磁性体で
形成したヨーク板とすることにより、ヒステリシス板と
は反対側に漏洩する不要な磁束を遮蔽することができ
る。
【0079】首振りアーム10上に設けられたアイドラ
軸9には、第1のアイドラギア15および第2のアイド
ラギア16が平行に回転自在に支持されている。第1の
アイドラギア15および第2のアイドラギア16は、そ
れぞれ第1の従動ギア53および第2の従動ギア55と
常に噛み合うようになっている。
【0080】トルクリミッタ装置60の各部は以下のよ
うに動作する。キャプスタンモータ25からの動力が主
動ギア51に伝えられる。ヒステリシストルクにより第
1の従動ギア53および第2の従動ギア55がそれぞれ
回転する。このため、第1の従動ギア53および第2の
従動ギア55にそれぞれかみ合っている第1のアイドラ
ギア15および第2のアイドラギア16が回転する。キ
ャプスタンモータ25の回転方向に応じて、首振りアー
ム10がSリール台20側かTリール台22側に回転す
る。テープ31の巻き取り時には第2のアイドラギア1
6とTリール台22とが噛み合い、テープ31の巻き戻
し時には第1のアイドラギア15とSリール台20とが
噛み合い、動力の伝達が行なわれる。
【0081】ここで、主動ギア51と第1の従動ギア5
3および第2の従動ギア55との間のそれぞれの動力伝
達はヒステリシストルクにより行なわれている。主動ギ
ア51と第1の従動ギア53との間のトルクリミット値
は、2つのギア間に働くヒステリシストルクで定まる。
同様に、主動ギア51と第2の従動ギア55との間のト
ルクリミット値も、2つのギア間に働くヒステリシスト
ルクで定まる。第1の従動ギア53の方が、第2の従動
ギア55に比べ、主動ギア51に近接している。このた
め、主動ギア51と第1の従動ギア53との間に働くヒ
ステリシストルクの方が、主動ギア51と第2の従動ギ
ア55との間に働くヒステリシストルクよりも大きい。
したがって、Sリール台20を駆動するためのトルクリ
ミット値の方がTリール台22を駆動するためのトルク
リミット値よりも大きい。
【0082】図9を参照して、図2を参照して説明した
テープ走行装置と同様にトルクリミッタ装置60をアイ
ドラ軸9に設けることも可能である。このときトルクリ
ミッタ装置60の各部は以下のように動作する。キャプ
スタンモータ25の動力がセンターギア12を介して主
動ギア51に伝えられる。主動ギア51が回転すること
によりヒステリシストルクが発生する。ヒステリシスト
ルクにより第1の従動ギア53および第2の従動ギア5
5がそれぞれ回転する。キャプスタンモータ25の回転
方向に応じて、首振りアーム10がSリール台20側か
Tリール台22側に回転する。テープ31の巻き取り時
には第2の従動ギア55とTリール台22のギア部22
aとが噛み合い、テープ31の巻き戻し時には第1の従
動ギア53とSリール台20のギア部20aとが噛み合
い、それぞれ動力の伝達が行なわれる。
【0083】トルクリミッタ装置60では、マグネット
57の片側に第1のヒステリシス板54および第2のヒ
ステリシス板56が設置されているが、図7を参照して
説明を行なったトルクリミッタ装置41のようにマグネ
ット57の一方の側に第1のヒステリシス板54を設置
し、他方の側に第2のヒステリシス板56を設置するよ
うにしても良い。
【0084】上述のトルクリミッタ装置60では、2つ
のトルクリミット値を1つの装置で実現できる。このト
ルクリミッタ装置60を用いることにより、従来のよう
にSリール台20(132)およびTリール台22(1
33)それぞれにトルクリミッタ装置60を組込む必要
がなくなる。このため、リール台の構造が簡単になり、
テープ走行装置のサイズが小さくなり、軽くて安価でテ
ープ走行装置を作成することができる。また、トルクリ
ミッタ装置60には、トルクリミット値を切換えるため
の特別の機構が必要ない。
【0085】実施の形態1〜3では、トルクリミッタ装
置をテープ走行装置のアイドラギア部、センターギア部
に設けて説明を行なったが、このトルクリミッタ装置の
設置位置はこの限りではない。
【0086】また、いずれのトルクリミッタ装置もヒス
テリシス板が2枚の場合について述べたが、ヒステリシ
ス板が3枚以上の場合であっても、順次磁束が漏洩する
ように各ヒステリシス板の板厚、間隔等を適宜設定する
ことにより、同様に複数の異なるヒステリシストルクを
設定できることは明らかである。
【0087】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば1個のトルクリミッタ装
置で多段階の異なるトルクリミット値を設定することが
できる。一般にテープ走行装置においては、テープ供給
側、テープ巻き取り側のリール台を駆動するときに、そ
れぞれのリール台に異なるトルクリミット値を持つトル
クリミッタ装置を組込む必要がある。しかし、このトル
クリミッタ装置では、多段階のトルクリミット値を設定
することができるので、テープ供給側、テープ巻き取り
側のリール台それぞれにトルクリミッタ装置を組込む必
要がなくなる。このため、リール台の構造を簡単にで
き、従来2個必要であったトルクリミッタ装置を1個に
することができる。よって、テープ走行装置の重量を小
さくでき、製造コストを下げることができる。
【0089】また、このトルクリミッタ装置は回転以外
の動作はしないため、特開平7−14253号公報に開
示されているトルクリミッタ装置のようにサイズが大き
くならない。
【0090】さらに、所定のトルクリミット値に切換え
るための特別の機構および時間は必要ない。このため、
キャプスタンとピンチローラとによるテープの駆動時の
タイミング問題は発生しない。また、回転以外の動作は
しないため、ギア歯面が厚さ方向に擦れ、騒音が発生す
るような問題も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るテープ走行装置の構成図で
ある。
【図2】実施の形態1に係るテープ走行装置の主要部の
構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1に係るトルクリミッタ装置の構成
を示す断面図である。
【図4】実施の形態1に係るトルクリミッタ装置のヒス
テリシス板の正面図である。
【図5】実施の形態1に係るテープ走行装置の構成図で
ある。
【図6】実施の形態1に係るテープ走行装置の主要部の
構成を示す断面図である。
【図7】実施の形態2に係るトルクリミッタ装置の構成
を示す断面図である。
【図8】実施の形態3に係るテープ走行装置の主要部の
構成を示す図である。
【図9】実施の形態3に係るテープ走行装置の主要部の
構成を示す図である。
【図10】従来のテープ走行装置の構成図である。
【図11】従来のトルクリミッタ装置の構造を示す断面
図である。
【図12】従来のトルクリミッタ装置の構造を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 トルクリミッタ装置 2 主動ギア 3 マグネット保持板 4 マグネット 5 第1の従動ギア 6 第1のヒステリシス板 7 第2の従動ギア 8 第2のヒステリシス板 9 アイドラ軸 10 首振りアーム 11 センターギア軸 12 センターギア 13 シャーシ 14 フェルト

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸と、 前記軸まわりに回転可能に配接されたマグネットと、 前記マグネットの第1の面に対向し、前記軸まわりに回
    転可能に配接された複数のヒステリシス板とを含む、磁
    気式トルクリミッタ装置。
  2. 【請求項2】 前記マグネットの前記第1の面とは逆の
    面に対向するヨーク板をさらに含む、請求項1に記載の
    磁気式トルクリミッタ装置。
  3. 【請求項3】 前記複数のヒステリシス板のうち、前記
    マグネットに最も近い第1のヒステリシス板は、円周方
    向に等間隔で設けられた穴を有するヒステリシス板であ
    る、請求項1または2に記載の磁気式トルクリミッタ装
    置。
  4. 【請求項4】 前記複数のヒステリシス板のうち、前記
    マグネットに最も近い第1のヒステリシス板の厚さは、
    前記マグネットからの磁束が漏洩する厚さである、請求
    項1または2に記載の磁気式トルクリミッタ装置。
  5. 【請求項5】 前記複数のヒステリシス板のうち、前記
    マグネットに最も近い第1のヒステリシス板から所定量
    の磁束が漏洩するように、前記マグネットの磁界強度、
    前記第1のヒステリシス板の材質および厚さ、ならびに
    前記マグネットと前記第1のヒステリシス板との間の距
    離を定めた、請求項1または2に記載の磁気式トルクリ
    ミッタ装置。
  6. 【請求項6】 軸と、 前記軸まわりに回転可能に配接されたマグネットと、 前記マグネットの両側に、前記軸まわりに回転可能に配
    接された複数のヒステリシス板とを含む、磁気式トルク
    リミッタ装置。
  7. 【請求項7】 前記複数のヒステリシス板のいずれかと
    前記マグネットとの間に配接されたヨーク板をさらに含
    む、請求項6に記載の磁気式トルクリミッタ装置。
  8. 【請求項8】 前記ヨーク板の厚さは、前記マグネット
    からの磁束が漏洩する厚さである、請求項7に記載の磁
    気式トルクリミッタ装置。
  9. 【請求項9】 前記ヨーク板から所定量の磁束が漏洩す
    るように、前記マグネットの磁界強度、前記ヨーク板の
    材質および厚さ、ならびに前記マグネットと前記ヨーク
    板との間の距離を定めた、請求項7に記載の磁気式トル
    クリミッタ装置。
  10. 【請求項10】 モータと、 複数のリール台と、 前記モータと前記複数のリール台の各々との間を連繋
    し、前記モータの動力を前記複数のリール台の各々に伝
    達するための請求項1〜9のいずれかに記載の磁気式ト
    ルクリミッタ装置とを含む、テープ走行装置。
JP10058403A 1998-03-10 1998-03-10 磁気式トルクリミッタ装置およびテープ走行装置 Withdrawn JPH11257367A (ja)

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JP2006291998A (ja) * 2005-04-06 2006-10-26 Tok Bearing Co Ltd トルクリミッター
JP2007056907A (ja) * 2005-08-22 2007-03-08 Tok Bearing Co Ltd トルクリミッター

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