JPH11256277A - Fe−C系或いはFe−Si−C系のアモルファス化の可能な合金と該合金利用の合金粉末及び該合金粉末利用の粉末冶金部材 - Google Patents

Fe−C系或いはFe−Si−C系のアモルファス化の可能な合金と該合金利用の合金粉末及び該合金粉末利用の粉末冶金部材

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JPH11256277A
JPH11256277A JP10073420A JP7342098A JPH11256277A JP H11256277 A JPH11256277 A JP H11256277A JP 10073420 A JP10073420 A JP 10073420A JP 7342098 A JP7342098 A JP 7342098A JP H11256277 A JPH11256277 A JP H11256277A
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Kazuya Sato
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の解決課題は、鉄の含有率が
その大半を占めるFe−C系又はFe−C−Si系合金
組成でアモルファス化が可能な鉄系合金の開発にある。 【解決手段】 重量%で、Cが2.0〜7.0重量
%、Bが0.2〜3.0重量%であり、残部がFeと不可
避不純物とで構成されている事を特徴とする事を特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアモルファス化が可能
で、アモルファス状態からアニールする事でナノ結晶構
造或いは微細グラファイトを金属組織中に均一に分散さ
せる事ができる高炭素含有鉄系合金と該合金を利用した
粉末合金及び該粉末合金利用の粉末冶金部材に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、工業素材として最も普遍的に使用
されており、工業素材として最も重要な鉄をベースとし
たFe系アモルファス合金の研究が盛んに行われてい
る。しかしながら現在の処、Feをその組成の一部とす
るものの報告はあるが、成分のほとんどが鉄である、例
えば鋼或いは鋳鉄のような高炭素含有Fe系アモルファ
ス合金に関する報告はない。
【0003】一方、これまでのアモルファスに関する研
究から臨界冷却速度が小さいほどアモルファス化しやす
いという事が知られており、金属組織学上では共晶点、
即ち2種以上の相が同一温度で同時に凝固し混じりあっ
た組織となる点がその1つと考えられている。換言すれ
ば、共晶組織付近では融点がかなり低下しているので、
融点とガラス転移点との温度差が小さくなり、この温度
領域を速やかに通過出来、その結果アモルファス化しや
すいと言うことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決課題は、
鋳鉄の共晶組成に着目し、鉄の含有率がその大半を占め
るFe−C系又はFe−C−Si系合金組成でアモルフ
ァス化が可能な鉄系合金の開発をその第1課題とし、そ
のような合金を使用し、少なくともその表面をアモルフ
ァス化させた合金粉末の開発を第2課題とし、前記合金
粉末を利用して特殊な性質を持つ粉末冶金部材の開発を
第3課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1はアモルファス
化が可能な鉄系合金の第1実施例で、『重量%で、Cが
2.0〜7.0重量%、Bが0.2〜3.0重量%であり、
残部がFeと不可避不純物とで構成されている事を特徴
とする』事を特徴とする。
【0006】請求項2はアモルファス化が可能な鉄系合
金の第2実施例で、『重量%で、Cが2.0〜7.0重量
%、Bが0.2〜3.0重量%、Siが1.0〜2.5重量
%であり、残部がFeと不可避不純物とで構成されてい
る事を特徴とする』事を特徴とする。
【0007】これによれば、いずれも共晶組成を含む高
炭素含有鉄系合金組成であり、アモルファス化の可能な
速度で急冷した場合、Bの添加により、共晶組成よりC
含有量が少ない亜共晶組成の場合には初晶オーステナイ
トの析出が阻害され、或いは共晶組成よりC含有量が多
い過共晶の場合には黒鉛の析出が阻害され、共晶組成の
場合はそのまま凝固してその全体或いは少なくともその
表面層全体或いは表面層の一部がアモルファス化して、
そのアモルファス化した部分が非常に高い硬度を示すよ
うになる。
【0008】ここでBの添加量は、0.2重量%以下の
場合少なすぎて全くアモルファス化の効果を発揮せず、
3.0重量%以上の場合はアニールしても微細グラファ
イトが析出せず、Fe−B化合物とセメンタイトとが析
出して非常に脆く且つ硬い金属組織となってしまい工業
的用途がない。従って、本発明ではBの添加は0.2〜
3.0重量%が採用された。
【0009】そして、前記組成の本発明合金をアニーリ
ングすると、まず、組織緩和が起こり、次にナノ結晶化
が徐々に始まる。更にアニーリングを進めると、結晶成
長と共に平均直径が1〜2μm程度(勿論、これより大
きいもの或いは小さいものもある)の微細なグラファイ
トが金属組織全体に均一に析出し、残部がフェライト組
織になり、組織的に柔らかくなり加工が可能となる。
【0010】これを更に加熱すると前記微細なグラファ
イトが成長して大きな球状グラファイトを形成するよう
になる。特に、前記組成が共晶組成とその近傍の場合、
前述の理由でアモルファス化し易い。Fe−C系平行状
態図で見れば、C;4.3重量%の所が共晶点となる
が、Fe−C−Si系平行状態図(Si;2重量%の場
合)で見れば、C;3.5重量%の所が共晶点となる。
尚、Siの含有量が増えると、共晶点は低炭素側に移動
し、Si;3.8重量%の場合には共晶点はC;3.0重
量%の所が共晶点となる。
【0011】請求項3は、請求項1〜2の合金のアモル
ファス組織に関し『請求項1又は2に記載の合金を、溶
けた状態から急冷凝固させて少なくともその表面層をア
モルファス化させた』事を特徴とする。
【0012】これによれば、表面層全体或いはその一部
がアモルファス化されているために表面硬度が著しく改
善され、耐摩耗性が向上するのみならず、表面層全体が
アモルファス化されている場合には結晶粒界が存在しな
いために耐食性も著しく改善される。
【0013】請求項4は、請求項1〜2の合金のアニー
リング組織に関し『請求項1又は2に記載の成分の合金
を、溶けた状態から急冷凝固させてアモルファス化さ
せ、これをアニールして金属組織内にナノ結晶を形成さ
せた』事を特徴とする。前述のように金属組織内にナノ
結晶を形成させると硬度を保った状態で引っ張り強さが
向上する。
【0014】請求項5は、請求項1〜2の合金のアニー
リングを更に進めた場合の金属組織に関し『請求項1又
は2に記載の合金を、溶けた状態から急冷凝固させてア
モルファス化させ、これをアニールして金属組織内に微
細グラファイトを形成させた』事を特徴とする。
【0015】これによれば、柔らかいフェライト組織の
中に微細なグラファイトが均一に分散しているので、例
えばこの微細なグラファイトに潤滑油を含浸させること
で、軸受け表面に加わる荷重はフェライト層で担持し、
潤滑油を吸収保持しているグラファイト層から潤滑油を
徐々に軸受け表面に放出して軸受け表面の摩耗を防ぎ、
良好な無給油軸受けとする事ができる。
【0016】請求項6は、本発明に係る合金を利用した
合金粉末に関し『請求項1又は2のいずれか記載のアモ
ルファス化が可能な合金にて形成され、少なくともその
表面層がアモルファス化している』事を特徴とする。
【0017】このアモルファス化された合金粉末を、例
えば軟鉄のようなバンイダ粉末と共に混練し、或いはア
モルファス合金粉末だけで所定の形状に加圧圧縮成形し
てから焼結すると焼結工程でアモルファス化粉末中に微
細グラファイトが析出する。この微細グラファイトに潤
滑油を含浸した場合は請求項5と同様の良好な無給油軸
受とする事ができるし、そのままで使用した場合には微
細グラファイトが振動吸収能を発揮するので、振動吸収
部材としての働きをなす。
【0018】請求項7は前記アモルファス化合金粉末を
利用した粉末冶金部材に関し『請求項6の合金粉末にて
形成された粉末冶金部材であって、これをアニールして
金属組織内に微細グラファイトを形成させた』事を特徴
とする。これによれば、前述のように微細グラファイト
に潤滑油を含浸した場合は無給油軸受とする事ができる
し、そのままで使用した場合には微細グラファイトが振
動吸収能を発揮するので、振動吸収部材としての働きを
なす。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
にかかる合金は、前述のように、Bを添加することによ
ってアモルファス化が可能となったFe−C系或いはFe
−Si−C系合金である。Fe−C系合金の場合、重量%
で、Cが2.0〜7.0重量%、Bが0.2〜3.0重量%
であり、残部がFeと不可避不純物とで構成されてい
る。Fe−Si−C系合金の場合、重量%で、Cが2.0
〜7.0重量%、Bが0.2〜3.0重量%、Siが1.0
〜2.5重量%であり、残部がFeと不可避不純物とで構
成されている。
【0020】前記組成中には鋳鉄組成(鋳鉄の化学組成
は厳密に規定されておらず、その主たる組成はC、S
i、Mn、P、Sで、前述の合金鋳鉄などではその目的
とする用途に供するために例えば必要に応じてNi、C
r、Mo、V、Cu、Tiなどが添加される。従って、
鋳鉄もその用途によってその成分構成は若干異なる)も
含まれ、本発明では前記鋳鉄全てに適用可能である。鋳
鉄組成の代表的ものとしてねずみ鋳鉄(引っ張り強さを
基準にしてFC10、FC15、FC20、FC25、
FC30、FC35で表される)がある。
【0021】また、これに珪素鉄や珪酸カルシウム粉末
を接種して黒鉛化を促進させ、黒鉛の形状を球状化(球
状化黒鉛鋳鉄=FCD37、FCD40、FCD45、
FCD50、FCD60、FCD70、FCD80など
の記号で表される)や芋虫状或いは擬片状としたもの
(例えば、ミーハーナイト鋳鉄=その材質種類はGE、
GD、GC、GB、GA、GM、GS、GSH、GSF
で表され、組織はGGS、GSH、GSFは球状黒鉛で
あり、その他は遊離セメンタイトとフェライトを含まな
い均一緻密なパーライト組織に芋虫状の黒鉛が一様に分
布している)、各種合金元素(Ni、Cr、Mo、T
i、V、Cu等)を添加して普通鋳鉄では得られない機
械的性質や耐食性その他各種性質を具備する合金鋳鉄
《高力合金鋳鉄(例えばアシキュラー鋳鉄)、耐摩耗性
鋳鉄、耐酸性鋳鉄)などがある。
【0022】一般的には、鋳鉄は亜共晶から共晶領域で
使用されるためC;2.8〜3.4重量%であるが、過共
晶領域で使用される場合にはC;最大7.0重量%が採
用される。Cの含有量が7.0重量%以上になると凝固
組織がセメンタイト化して工業用途に耐えない。本発明
合金は当然前記鋳鉄成分のものを含む。他の成分は、S
i;1.4〜2.5重量%、Mn;0.4〜1.0重量%、
P;0.3〜0.8重量%、S;0.1重量%以下で、前
記合金鋳鉄などの用途には、例えば必要に応じてNi;
1.0〜1.0重量%、Cr;0.2〜0.6重量%、M
o;0.1〜1.6重量%、V;0.1〜1.0重量%、C
u;0.1〜1.0重量%、Ti;0.01〜0.05重量
%が添加される。
【0023】本発明の第1実施例は、Fe−C系合金
で、重量%で、Cが2.0〜7.0重量%、Bが0.2〜
3.0重量%であり、残部がFeと不可避不純物とで構成
されており、第2実施例は、Fe−Si−C系合金で、重
量%で、Cが2.0〜7.0重量%、Bが0.2〜3.0重
量%であり、残部がFeと不可避不純物とで構成され、
前記両者には鋳鉄成分のものが含まれている。
【0024】第1実施例の内の鋳鉄組成のものは、Cが
2.8〜4.4(最大7.0)重量%、Bが0.2〜3.0
重量%であり、第2実施例の内の鋳鉄組成のものは、C
が2.8〜4.4(最大7.0)重量%、Siが1.0〜
2.5重量%、Bが0.2〜3.0重量%であり、その
内、共晶組成であるる事が前述の理由から好ましい。前
記組成において、Bの添加は、0.2重量%以下の場合
少なすぎて全くアモルファス化の効果を発揮せず、3.
0重量%以上の場合はアニールしても微細グラファイト
が析出せず、セメンタイトとFe−B化合物が析出さ
れ、非常に硬く且つ脆い性質を示すので、工業用途には
使用できない。
【0025】これによれば、いずれも共晶組成を含む幅
広い共晶組成であり、アモルファス化可能な速度で急冷
した場合、Bの添加により初晶オーステナイト或いは黒
鉛の析出が阻害されてそのまま凝固しその全体或いは少
なくともその表面部分全体或いはその一部がアモルファ
ス化し、非常に高い硬度を呈するようになる。(アモル
ファス化していない部分は、鋳鉄組成の場合は、状態図
或いはマウラー(Maurer)の組織図に従って所定の組成と
なる。)
【0026】そして、このアモルファス化したものをア
ニーリング《例えば、A1点以上(一般的にはA1点+
50℃程度)の温度でアニール(即ち、徐冷)》すると
原子が移動し易くなって組織緩和が起こり、更に加熱す
るとナノ結晶が生じる。更に加熱を続けるとグラファイ
トが析出し結晶する。この段階のグラファイトは微細で
1〜2μm程度の平均直径の微細なもので、且つフェラ
イト組織全体に均一に分散して現れる。アニーリング組
織は十分柔らかく機械加工も簡単に行える。そして、こ
れを更に加熱すると結晶成長が起こり、且つグラファイ
トの凝集が起こり、大きな球状グラファイトが発生す
る。(図1参照)
【0027】アニーリングしてグラファイト化した合金
を再溶融してから急冷すれば再度アモルファス化する。
再溶融は、試料全体を溶融する事は勿論であるが、例え
ばレーザーや高周波加熱のように表面層のみを加熱溶融
してもよい。冷却方法は、アモルファス化に十分な冷却
速度が得られれば足り、油冷、水冷、空冷などいずれの
方法でもよい。
【0028】本発明にかかる合金素材は、ブロックで使
用する事も可能であるし、単ロール方式により成形され
る0.01〜0.5mm厚程度のリボン、噴霧衝撃微粉製
造装置による平均粒度が5〜20μm程度の各粒度の粉
体、双ロール方式或いは水中紡糸方式による直径0.0
1〜2mm程度の線材或いは棒材の形で使用される。
【0029】直径が2mm以上のブロックの場合は、一
般的に内部の冷却速度が不十分であるため、内部はフェ
ライト中に黒鉛が析出した組織となるが、表面層は冷却
速度が十分であるためアモルファス化する。冷却は、空
冷、水冷、或いは油冷のいずれでもよく、冷却速度が十
分であればよい。前記リボン及び線材或いは棒材は、中
心部でも冷却速度は十分であるため、中心までアモルフ
ァス化する。アモルファス表面の硬度はFe3Cより硬
く優れた耐摩耗性を示す。また、表面全体がアモルファ
ス化されている場合は、結晶金属のような結晶粒界がな
いので、アモルファス特有の耐食性を示す。
【0030】(実施例)Fe;92.6重量%、C;3.
5重量%、Si;2.7重量%、P;0.1重量%、M
n;0.07重量%の鋳鉄にB;0重量%、0.2重
量%、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量
%、3.0重量%、4.0重量%、を添加して、鋳鉄
リボン(厚さ0.1mm)を単ロール方式で調製し試料
(a)とし、アモルファス化を調べ、更にこれを1150
Kでアニールしてグラファイトの析出状態を調べた。B
添加量が0重量%の試料は、アモルファス化せず、最
初から大きいグラファイトが析出した。B添加量が0.
2重量%〜4.0重量%の試料〜迄は急冷によって
アモルファス化した。
【0031】これを1150Kでアニールすると、B添
加量の少ないものほどグラファイトの析出量が大きく、
Bの添加量が増すほどグラファイトの析出量は減少し、
4.0重量%の試料ではセメンタイトとFe−B化合物
となり、殆どグラファイトの析出は見られなかった。析
出したグラファイトは平均粒度1〜2μm程度の微細な
もので、フェライト組織中に均一に分散し、アニールの
進行と共に凝集して粗大化した。前記傾向はCを変えた
場合でも同様で、Fe−C系合金の場合には2.0〜7.
0重量%で同様の作用が見られ、Fe−Si−C系合金で
は、Cが2.0〜7.0重量%、Siが1.0〜2.5重量
%で同様の作用が見られた。C量が多い場合にはB量が
多い方が好ましい。なお、前記の場合において、残部は
Feと不可避不純物である。
【0032】又、Fe;92.6重量%、C;3.5重量
%、Si;2.7重量%、P;0.1重量%、Mn;0.
07重量%の鋳鉄にB;1.3重量%を加えたものの硬
度を調べた処、アーク溶解した母合金(非アモルファス
状態)の硬度は、Hv423であったものが、アモルフ
ァス化させ、アモルファス部分の硬度を調べた処、Hv
1132であり、非常に高い硬度を示している。これを
1000℃でアニールしてグラファイトを析出させる
と、Hv312と軟化し、ほぼ母合金と同じ硬度を示す
ようになった。前記傾向はCを変えた場合でも同様であ
った。
【0033】実施例のアモルファス化している鋳鉄リボ
ンをアニールしたのが図1で、結晶化挙動分析法によ
る。横軸にアニール温度、縦軸にDSC mJ/Sを取
った。このグラフにおいて、558.6Kにおいて組織
緩和のピークを迎え、続いて782.4Kでナノ結晶化
のピークを迎え、その後900K当たりからグラファイ
トの析出が始まり、金属組織のフェライト化が進行す
る。1050K近辺でグラファイトの析出が完了し、以
後はグラファイトの凝集と結晶粒の成長が起こる。
【0034】次に、本発明合金による製品例を説明す
る。図2は例えば軸受のようなものに使用される円筒状
部材(1)で、図2(a)は本発明合金の粉末を加圧圧縮成形
したものである。粉末は十分微細であり、全体がアモル
ファス化している。これをアニールすると前述のように
組織緩和を経て微細グラファイト(2)の析出が見られ、
これに潤滑油を含浸させることで、例えば優れた軸受と
する事ができる。また、アニール部材をそのままで使用
した場合には微細グラファイト(2)(12)が振動吸収能を
発揮するので、例えば楽器や音響機器の振動吸収部材と
しての働きをなす。
【0035】尚、この場合では、微細グラファイト(2)
が全体に分散した状態で析出しているので、このグラフ
ァイト(2)が図3(c)に示す従来の成長型含油軸受(1')内
全体に縦横に析出している大きな片状黒鉛(2')が亀裂の
ような欠陥として働かず、潤滑性を高める事ができるに
も拘わらず、強度の低下を招かない。従って、重荷重が
加わるような箇所にも十分使用する事ができる。これに
対して図2(c)の場合は前記成長片状黒鉛(2')が前述の
ように欠陥となり強度低下の原因となるため、重荷重が
加わるような部分には不向きである。
【0036】図3は、板状部材(10)の場合で、アモルフ
ァス化した板状部材(10a)をそのまま使用する場合は、
耐摩耗性用途或いは耐食性用途に使用される。(図3(a
1))(図3(b))は、これをアニールしてナノ結晶(11)を晶
出させた場合で、この板状部材を(10b)で示す。更にア
ニールして微細グラファイト(12)をフェライト結晶中(1
3)に均一分散状態で析出させると、前記同様摺動板のよ
うな部材(10c)として使用される。(図3(c))
【0037】又、そのような部材(10c)或いはこれを更
にアニールしてグラファイトを凝集させたもの(12a)の
板状材(10d)(図3(d))の表面の全部或いは必要箇所に
レーザー光線を照射して照射部分のみを溶融させ、急冷
した場合は該急冷層(14)がアモルファス化する。これに
より、照射部分だけがアモルファス状態の部材(10e)を
得ることができる。(図3(e))表面層だけの溶融は、
レーザー照射の他に高周波誘導加熱などによっても可能
である。板材(10)の場合は、鋳造や粉末冶金或いは単ロ
ール法或いは双ロール法などの方法により製造され、筒
状部材(1)の場合は粉末冶金によって製造される。
【0038】前記粉末冶金に使用される合金粉末は、本
発明合金を溶融し、アトマイズ法や傘状の回転ロールに
溶湯液滴を噴射することにより、微粉化すると同時に臨
界冷却速度以上の速度で冷却して微細アモルファス合金
粉末を得る。
【0039】
【発明の効果】本発明合金によれば、Bを0.2〜3.0
重量%添加する事により、急冷するとアモルファス状態
にする事が出来、これをアニールすることで、ナノ結
晶化させたり、フェライト組織中に微細グラファイト
を析出させる事が出来、例えば良好な無給油軸受けや摺
動板或いは振動吸収部材とする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金をアニールした場合の状態変化を示
すグラフ
【図2】本発明合金を円筒状にした場合の斜視図で、
(a)は表面がアモルファス層となっている場合であり、
(b)はアモルファス表面層が結晶化すると同時に微細グ
ラファイトを析出した状態であり、(c)は従来の片状黒
鉛来朝型含油軸受である。
【図3】本発明合金を板状部材とした場合の斜視図で、
(a1)は全体かアモルファス状態の板状部材、(a2)は本発
明合金粉末を固めて板状部材とした場合、(b)は(a1)の
板状部材をアニールしてナノ結晶を晶出させた状態、
(c)は更にアニールしてフェライト結晶中に微細グラフ
ァイトを均一分散晶出させた状態、(d)はこれを更にア
ニールしてグラファイトとフェライト結晶を成長させた
場合、(e)は(d)の部材の表面にレーザーを照射して溶融
し、この溶融層を急冷してアモルファス層とした場合、
(f)は更にこれをアニールしてアモルファス層を分解し
て微細グラファイトをフェライト層に分散晶出させた場
合である。
【符号の説明】
(1)…円筒状部材 (2)(12)…微細グラファイト (10)…板状部材 (10a)…アモルファス化した板状部材 (10b)…ナノ結晶を晶出させた板状部材 (10c)…アニールして微細グラファイトをフェライト結
晶中に均一分散状態で析出させた板状部材 (10d)…更にアニールしてグラファイトが凝集して粗大
化した場合の板状部材 (10e)…照射部分だけがアモルファス状態の板状部材 (10f)…必要箇所がアモルファス化した板状部材 (10a1)…粉末冶金部材
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 昇 宮城県仙台市青葉区下愛子字森1−2 日 本素材株式会社内 (72)発明者 王 新敏 宮城県仙台市青葉区下愛子字森1−2 日 本素材株式会社内 (72)発明者 尾形 雄二 宮城県仙台市青葉区下愛子字森1−2 日 本素材株式会社内 (72)発明者 佐藤 和也 宮城県仙台市青葉区下愛子字森1−2 日 本素材株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Cが2.0〜7.0重量
    %、Bが0.2〜3.0重量%であり、残部がFeと不可
    避不純物とで構成されている事を特徴とするFe−C系
    アモルファス化の可能な合金。
  2. 【請求項2】 重量%で、Cが2.0〜7.0重量
    %、Bが0.2〜3.0重量%、Siが1.0〜2.5重量
    %であり、残部がFeと不可避不純物とで構成されてい
    る事を特徴とするFe−Si−C系アモルファス化の可能
    な合金。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の成分の合
    金を、溶けた状態から急冷凝固させて少なくともその表
    面層をアモルファス化させた事を特徴とする合金。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の成分の合
    金を、溶けた状態から急冷凝固させてアモルファス化さ
    せ、これをアニールして金属組織内にナノ結晶を形成さ
    せた事を特徴とする合金。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の成分の合
    金を、溶けた状態から急冷凝固させてアモルファス化さ
    せ、これをアニールして金属組織内に微細グラファイト
    を形成させた事を特徴とする合金。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2のいずれか記載の
    アモルファス化が可能な合金にて形成され、少なくとも
    その表面層がアモルファス化している事を特徴とする粉
    末冶金用の合金粉末。
  7. 【請求項7】 請求項6の合金粉末にて形成され
    た粉末冶金部材であって、これをアニールして金属組織
    内に微細グラファイトを形成させた事を特徴とする粉末
    冶金部材。
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