JPH11253154A - 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具 - Google Patents

抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具

Info

Publication number
JPH11253154A
JPH11253154A JP10062557A JP6255798A JPH11253154A JP H11253154 A JPH11253154 A JP H11253154A JP 10062557 A JP10062557 A JP 10062557A JP 6255798 A JP6255798 A JP 6255798A JP H11253154 A JPH11253154 A JP H11253154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
antigen
antibody
cell
immobilized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10062557A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Fukuchi
健 福地
Tetsuya Nagaoka
哲也 長岡
Satoko Ookubo
聡子 大久保
Kenji Yamashita
憲司 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10062557A priority Critical patent/JPH11253154A/ja
Publication of JPH11253154A publication Critical patent/JPH11253154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 効率よく単位細胞数あたりの免疫抑制能を高
めた抗原特異的免疫抑制性細胞を誘導増殖し、免疫系の
異常亢進を伴う疾患の効率的、副作用の少ない治療シス
テムを提供すること。 【解決手段】 ヒト細胞を、抗原存在下で培養後に、細
胞表面抗原に対する抗体(抗CD2抗体等)を固定化も
しくは添加した培養器具で培養することによる単位細胞
あたりの抑制能を強化する抗原特異的免疫抑制性細胞の
誘導方法。及び、ヒト細胞を、抗原及び浮遊糸または固
定化された細胞表面抗原に対する抗体の存在下で培養後
に、細胞表面抗原に対する抗体を固定化もしくは添加し
た培養器具で培養することによる単位細胞あたりの抑制
能を強化する抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法。更
に、この誘導方法に用いる培養器具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗原特異的免疫抑制
性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自己免疫疾患および移植時の拒絶反応は
宿主の細胞が自己の細胞や移植された臓器を異物として
認識し、破壊することにより引き起こされる疾患であ
り、免疫抑制性細胞の量的あるいは質的な異常がその原
因であるとする例がいくつか知られている(マッキント
ッシュ(Macintosh)およびドラクマン(Dr
achman)、サイエンス(Science)232
巻、401頁(1986年)参照)。バラショフ(Ba
lashov)らの報告(バラショフら、ジャーナル・
オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Jour
nal of Clinical Investiga
tion)95巻、2711頁(1995年)参照)で
は、MS(多発性硬化症)患者においては自己混合リン
パ球反応による免疫抑制性T細胞の誘導効率に著しい低
下がみられ、それが同疾患発症の原因としている。した
がってそのような患者の免疫抑制性細胞を回復させるこ
とはその治療法としてきわめて有効であると考えられ
る。これまで、免疫抑制性T細胞の誘導例としてはフレ
ズノ(Fresno)ら(フレズノら、ジャーナル・オ
ブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journal
of Experimental Medicin
e)163巻、1246頁(1980年)参照)をはじ
めマウスなどの動物を用いた系でいくつか報告されてい
る。またヒトにおける抗原特異的抑制細胞の誘導例とし
て、ダイムル(Damle)らの報告(ダイムルら、ク
リニカルイムノロジー・アンド・イムノパソロジー(C
linicalImmunology and Imm
unopathology)53巻、17頁(1989
年)参照)でPPD抗原特異的抑制細胞をインビトロで
誘導している例がある。さらに、ハリソン(Harri
son)らの報告(ハリソンら、ジャーナル・オブ・エ
クスペリメンタル メデイシン(Journal of
Experimental Medicine)184
巻、2167頁(1996年))においてマウスに経鼻
投与したインシュリン抗原で糖尿病の発症を抑制する抑
制性CD8ガンマ・デルタT細胞を誘導した例が報告さ
れている。またヒト細胞で可溶化したヒツジLFA−3
を用いて、抗原非特異的抑制性細胞を誘導している例が
報告されている(WO96/33217)。
【0003】更に細胞の増殖促進という観点からは抗C
D3抗体(OKT3)による増殖(ボッセンら、ヨーロ
ピアン・ジャーナル・イムノォジー(Eur.J.Im
munol)25巻、1492頁(1995年)参照)
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】インビトロで抗原特異
的な細胞を誘導することは、自己免疫疾患治療および臓
器移植拒絶反応の抑制を行う際、その抑制能、特異性を
確認した上で人体に戻すことができるという点で極めて
安全かつ効果的な方法である。ところがこれまで抗原特
異的抑制性細胞を誘導できても、その効率にはかなりの
差があるのが現状である。実際抗原特異的細胞の誘導に
関しては、The Walter andEliza
Hall Institute of Medical
Research(WEHI)においてビボの系で抗
原を投与し、抑制性細胞を誘導し、NODマウスで治療
効果を確認している(ジャーナル・オブ・エキスペリメ
ンタル・メデイシン(Journal of Expe
rimental Medicine)184巻、21
67頁(1996年))が、より効果の高いものが望ま
れているのが現状である。
【0005】また前記で述べたように、抗CD3抗体を
用いると非特異的に細胞を活性化し、例えば皮膚移植の
系において抗CD3抗体(OKT3)を使用した場合に
TNF−α等のサイトカインが副産物として分泌される
など純粋な抑制細胞が得られないという報告(ボッセン
ら、ヨーロピアン・ジャーナル・イムノォジー(Eu
r. J.Immunol)25巻、1492頁(19
95年)参照)があり、けっして望ましい方法とは言え
ない。また抗原特異的免疫抑制性細胞を抗CD2抗体と
抗CD3抗体の組み合わせで活性化する場合(特願平9
―301966)も副産物としてのサイトカインが産出
されるなど万全ではない。さらにIL−2を用いる活性
化法も非特異的に細胞を増殖させ、コストもかさみ、単
位細胞あたりの抑制能が低下するなど、けっして望まし
い方法ではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明者は鋭意検討の結果PPDをモデル抗原とし、抗
原特異的免疫抑制性細胞を誘導し、さらに単独あるいは
複数の抗CD2抗体のみで上記細胞を効果的にその能力
(単位細胞数あたりの抑制能)を強化して誘導する方法
を見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明の第1は、ヒト細胞を、1種
類以上の抗原存在下で培養後に、細胞表面抗原に対する
抗体を固定化もしくは添加した培養器具で培養すること
による単位細胞あたりの抑制能を強化する抗原特異的免
疫抑制性細胞の誘導方法に関する。本発明の第2は、ヒ
ト細胞を、1種類以上の抗原および浮遊系または固定化
された細胞表面抗原に対する抗体の存在下で培養後に、
細胞表面抗原に対する抗体を固定化もしくは添加した培
養器具で培養することによる単位細胞あたりの抑制能を
強化する抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法に関す
る。
【0008】これら本発明の好適な実施態様としては、
抗体が抗CD2抗体である誘導方法、別の好適な実施態
様としては、固定化または添加する抗CD2抗体がCD
2とLFA−3との結合に関与する部分と結合する抗体
である誘導方法、また別の好適な実施態様としては固定
化または添加する抗CD2抗体がCD2とLFA−3と
の結合に関与する部分以外と結合する抗体である誘導方
法、また別の好適な実施態様としては固定化または添加
する抗CD2抗体が抗CD2抗体35.1である誘導方
法に関する。
【0009】本発明の第3は、上記誘導方法に用いる培
養器具に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる「ヒト細胞」と
は、ヒトの体を構成する細胞およびこれに由来する細胞
である。本発明において用いられるヒト細胞としては、
たとえばヒト末梢血細胞、ヒト腹腔細胞、ヒト胸腺細
胞、ヒト骨髄細胞、ヒト株化T細胞などがあげられる。
細胞移入という方法で実際に患者の治療を行う場合、免
疫の拒絶反応あるいは抑制効果を考えてもその患者自身
の細胞を用いることが最も望ましく、そのなかでもヒト
末梢血細胞が採取の容易さの点で好ましい。末梢血細胞
は、ヒトからの採血により得た静脈血を50mlのポリ
スチレンチューブに入れたフィコール(フィコールパッ
ク(Ficoll−Paque):ファルマシア社製)
の上に重層し、1分間1500回転で20分間遠心する
ことにより、境界面に形成されるリンパ球、単球画分を
分離し、RPMI−1640培地で3回洗浄することに
より得られる(フィコール遠心分離法)。T細胞は、こ
うして得られたヒト末梢血細胞を培養液中に播種して一
晩培養したのち、浮遊細胞を集めることにより得られ
る。
【0011】本発明で用いられる「細胞表面抗原に対す
る抗体」としては、抗CD2抗体(CD2に対する抗
体)、抗CD3抗体、抗CD28抗体等細胞内に何らか
のシグナルを与えることができる抗体、またこれらの抗
体の誘導体等が挙げられる。本発明で用いられる「抗C
D2抗体」としては、CD2の種々のエピトープに対す
るモノクローナル抗体あるいはCD2に対するポリクロ
ーナル抗体などがあげられる。これらのF(ab)2断
片も使用できる。
【0012】なお抗原特異的抑制性細胞を強化する抗体
という点で抗CD2抗体35.1が好ましい。本発明で
用いられる「CD2とLFA−3との結合に関与する部
分と結合する抗体」とは、LFA−3とCD2との結合
において、両接着分子の結合を阻害する能力を有する抗
体であり、羊赤血球と、末梢血ヒトT細胞(ユー シュ
ナイダー(U.Schneider)ら、インターナシ
ョナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(Int.J.
Cancer)、19巻、621項(1977年)参
照)などのヒトT細胞株との結合(ロゼット形成反応;
カレント プロトコール・イン・イムノロジー)、1
巻、7.2.1章(1991年)参照)を阻害するかど
うかを測定して判断する。具体的には、抗CD2抗体T
S2/18等が挙げられる。
【0013】また本発明で用いられる「CD2のLFA
−3との結合に関与する部分以外と結合する抗体」と
は、前記のロゼット形成阻害能を有していない抗体であ
る。具体的には、抗CD2抗体35.1等が挙げられ
る。本発明で用いられる「抗原特異的免疫抑制性細胞」と
は、抗原特異的に免疫反応を抑制する能力を有する細胞
をいう。
【0014】本発明における抗原特異的免疫抑制性細胞
の誘導方法を以下に説明する。1−10%オートローガ
ス血清を含む動物細胞用培地で調製したヒト細胞を培養
プレートに分注する。各ウェルに抗原を0.001−1
0ug/mlで加え、3−7日間培養する。同細胞を血
清を含まない動物細胞用培地で洗浄した後、1−10%
オートローガス血清を含む動物細胞用培地に懸濁し、抗
原特異的免疫抑制性細胞を誘導する。
【0015】上記方法で誘導した細胞を更に細胞表面抗
原に対する抗体を固定化もしくは添加した培養器具にて
抗原特異的免疫抑制能を増加あるいは維持させたまま3
−7日間の培養で増殖させる。ここで用いる動物細胞用
培地とは、IMDM培地、D−MEM培地、RPMI1
640培地などが挙げられるが、好ましくはRPMI1
640培地である。また好ましくは自己血清を用いる。
自己血清とは、培養に用いるヒト細胞と同じ個体よりえ
られた血清をいう。自己血清を用いると細胞増殖性がよ
く、非特異的免役反応も起こりにくく、最ものぞまし
い。血清の添加量はとくに限定されないが、0.5〜1
0v/v%が一般的である。
【0016】ここで用いる抗原とは、自己免疫疾患の原
因抗原、例えばインシュリン、プロインシュリン、GA
D等、また免疫抑制性細胞の誘導のためのモデル抗原、
例えば結核菌抗原PPD、破傷風抗原TT等が挙げられ
る。これら抗原は、用いる抗原によって異なり、とくに
限定されないが、0.001〜10μg/mlが好まし
い。少なすぎる場合には、免役抑制活性の誘導が行われ
ないおそれがあり、多すぎる場合には、細胞に傷害を与
える可能性がある。
【0017】なお、抗原は1種または2種以上の組合せ
で用いても良い。本発明にいう「細胞表面抗原に対する
抗体を固定化もしくは添加した培養器具」とは細胞毒性
のない滅菌可能で蛋白質に親和性を持つ部材であればよ
く、一般的にはプラスチック系あるいはガラス系の部材
が好ましい。プラスチック系部材とは熱効果性樹脂と熱
可塑性樹脂を意味し、成型性が優れているという理由で
ポリマーがより好ましく、蛋白に対する親和性が高く、
無色透明であるという理由でポリスチレンがとくに好ま
しい。ガラス系部材とはケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩
などが結晶することなく固化したもの(ガラス化とい
う)を意味し、ガラス化傾向が強いという理由でケイ酸
塩ガラスがより好ましく、成型性に富み、対衝撃性が高
いという理由でケイ酸塩ガラスを熱処理することにより
つくる結晶化ガラスが特に好ましい。また、培養器具に
細胞表面抗原に対する抗体に対する親和性を付与するた
め、部材に細胞表面抗原に対する抗体の吸着性を高める
処理を行ってもよい。
【0018】細胞表面抗原に対する抗体を培養器具に固
定化するための方法としては、抗体溶液を培養器具に蒔
いて、1晩放置することで吸着させる。またこの器具は
使用前に洗浄して増殖反応に供することができる。通常
細胞培養に用いられる培養機材はコラーゲンなどの蛋白
質でコーティングされているので、蛋白質の吸着性を低
下させており本発明に用いる部材としては好ましくな
い。細胞が直接接着する部材面の形状的としては、細胞
表面抗原に対する抗体の固定化を均一に行い、さらに細
胞の接着を均一に効率的に行う必要があるので、平板状
あるいは球状形が好ましい。さらに好ましくは培養器具
は平板プレート状閉鎖系容器または球状微粒子を充填し
た閉鎖系容器である。平板状のものでは通常の培養フラ
スコ、培養ディッシュ、培養プレートの形状をしたもの
または図1−(a)〜(c)に示したような多段式のプ
レートが使用可能である。図1に示された多段式プレー
トは本発明の培養器具の実施の一形態である。図1
(a)に示すように、矢印の方向からヒト細胞1を含む
細胞懸濁液2が添加される。図1(b)に示すように培
養時は図1(a)の器具を90゜回転させる。培養時に
は通気性フィルターをへて5%CO2が送られ、誘導さ
れた免疫抑制性細胞はやや強く振とうすることによって
はがされ細胞回収口から得られる。図1(c)は図1
(b)を上から見た図である。部材が球状形のものでは
小型球形ビーズを図2に示したような容器に入れ使用す
ることが可能である。図2に示された容器は本発明の実
施の別の形態である。図2中、5%CO2は通気性フィ
ルター23をへて、ヒト細胞を含有する細胞懸濁液22
に送られる。球状微粒子25は細胞懸濁液22中に存在
しヒト細胞が接着している。誘導された免疫抑制性細胞
は球状微粒子に接着したままコック26をあけて回収さ
れる。27は側壁を示す。その後、生理食塩水などで洗
浄することにより、誘導された細胞が得られる。本発明
では主にELISA反応に用いる平板状のプラスチック
プレートを器具として用いるのがとくに好ましい。
【0019】また細胞表面抗原に対する抗体を培養器具
に添加するための方法としては、細胞を入れた培養器具
に直接抗体を添加する等の方法が挙げられる。これらの
方法に用いる抗体の使用量としては0.01〜10μg
/mlが好ましい。少なすぎる場合には、免役抑制活性
の誘導が行われないおそれがあり、多すぎる場合には、
細胞に傷害を与える可能性がある。
【0020】また別の誘導方法としては、1−10%オ
ートローガス血清を含む動物細胞用培地で調製したヒト
細胞を培養プレートに分注する。各ウェルに抗原を0.
001−10ug/mlで加え、更に浮遊系または固定
化された細胞表面抗原に対する抗体を0.01−10μ
g/ml加え、3−7日間培養する。同細胞を血清を含
まない動物細胞用培地で洗浄した後、1−10%オート
ローガス血清を含む動物細胞用培地に懸濁し、抗原特異
的免疫抑制性細胞を誘導する。
【0021】上記方法で誘導した細胞を細胞表面抗原に
対する抗体を固定化もしくは添加した培養器具にて抗原
特異的免疫抑制能を増加あるいは維持させたまま3−7
日間の培養で増殖させる。ここでいう「浮遊系または固
定化された細胞表面抗原に対する抗体」とは、ヒト細胞
及び抗原とともに培養する抗体であり、抗体は動物細胞
用培地等の培地中に抗体を添加し浮遊させる(浮遊系)
または抗体溶液を抗体に対する親和性のあるプレートに
対して抗体の失活しない温度で静置して固定化させる
(固定化)ことができる。
【0022】本発明で用いられる免疫応答抑制活性の測
定は、たとえば異なる2つあるいはそれ以上の数の個体
から調製した末梢血細胞を混合する反応系(MLR)、
あるいはある抗原に対する反応性を持つT細胞(メモリ
ーT細胞)を持つ個体の末梢血細胞とその抗原を混合す
る反応系などを用いて行うことができる。以下の試験例
1に説明するように、インビトロにおいて同一人から新
たに得たヒト末梢血細胞(以下、PBLと呼ぶ)に、免
疫抑制性を有すると思われる細胞を加え、さらにPPD
(ピュアリファイド・プロテイン・デリバチブ(Pur
ified Protein Derivative)
日本ビーシージー社製)を加えて37℃、5%CO2
条件下で数日間培養したのち、[3H]チミジンを添加し、
さらに5〜16時間培養をした後、細胞中の放射活性を
シンチレーションカウンターで測定することにより行う
ことができる本発明で誘導された免役抑制性細胞の投与
経路は限定されないが、カテーテルなどの医療器材を用
い、全身または局所に投与されるのが望ましい。投与さ
れる細胞量としては、投与の目的、すなわち疾病の種類
および投与する患者の症状の程度によっても異なるが、
成人一日あたり細胞数として106〜5×108個、好ま
しくは106〜108個、特に好ましくは106個であ
る。
【0023】本発明の免疫抑制性細胞の誘導方法は、簡
便にかつ効率的に免疫抑制性細胞を誘導する方法を提供
するもので、種々の自己免疫疾患や臓器移植の拒絶反応
の抑制を目的とした治療において、副作用が少なくかつ
効率的な方法を提供するものである。以下に実施例をあ
げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる
実施例のみに限定されるものではない。
【0024】
【実施例】実施例1 抗CD2抗体による抗原特異的免
疫抑制性細胞の誘導 10%オートローガス血清を含むRPMI−1640
(シグマ社製)培地で調製した健常人ヒト末梢血細胞を
1.0×106/mlの濃度に調製し、平板プレートに
分注した。各ウェルに結核菌抗原PPD(Purified Pr
otein Derivative;日本ビーシージー社製)と単独の
抗CD2抗体(抗CD2抗体35.1)をそれぞれ0.
01−1μg/ml、10μg/mlになるように同時
に加え、7日間培養した。(インキュベーター中、5%
CO2、37℃)。同細胞を血清を含まないRPMI
−1640培地で3回以上徹底的に洗浄した後、10%
オートローガス血清を含むRPMI−1640培地に3
×106/mlになるように懸濁し、抗原特異的免疫抑
制性細胞を誘導した。 実施例2 実施例1で誘導した抗原特異的免疫抑制性細胞の抗原
(PPD)特異的T細胞活性化反応の抑制能の評価を行
った。10%のオートローガス血清を含むRPMI−1
640(シグマ社製)で1×106/mlの濃度に調製
した正常ヒト末梢血細胞を96穴丸底プレートに100
μlずつ分注した。各ウェルにPPD(日本ビーシージ
ー製造(株)製)を終濃度1μg/mlになるように加
え、同時に、実施例1で調製した細胞を1穴あたり10
5個を含む細胞濁液各30μlを同ウェルに添加し、5
日間培養した(インキュベーター中、5%CO2、37
℃)。そののち、1μCiの[3H]チミジンを各ウェルに
添加し、15時間培養した後に細胞をセルハーベスター
(ラボマッシュ(LABO MASH)、ラボサイエン
ス(LABO SCIENCE)社製)を用いて集め、
その細胞中に取り込まれた3Hの放射活性をシンチレー
ションカウンターLSC−700(アロカ(alok
a)社製)を用いて測定した。実施例1の抗CD2抗体
35.1を用いた場合の抗原特異的抑制性細胞の能力の
強化を図3に示す。
【0025】その結果、図3に示すように、PPD処理
と抗CD2抗体35.1処理との同時処理による細胞を
用いた場合には、PPD処理のみの細胞を用いた場合と
比較して単位細胞あたりの抑制能が約2倍強化されてい
た。また無処理の細胞のみを用いた場合(陽性対照)と
と比較して単位細胞あたりの抑制能が約3.5倍強化さ
れていた。
【0026】即ち、この結果から抗CD2抗体35.1
が抗原特異的抑制性細胞誘導の際にその能力を強化しう
ることが明らかとなり、免疫系の異常亢進を伴う疾患の
治療に最も適したものであることがわかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、細胞表面抗原に対する
抗体を固定化培養することにより効率よく免疫抑制精細
胞を誘導し、免疫系の異常亢進を伴う疾患の効率的で副
作用の少ない治療システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養器具の一実施例の説明図であっ
て、(a)はヒト細胞添加時の断面説明図、(b)は培
養時(a)を90゜回転させた断面説明図、および
(c)は(b)の上面説明図である。
【図2】本発明の培養器具の他の実施例の断面説明図で
ある。
【図3】本発明の実施例1により得られた抗原特異的免
疫抑制性細胞によるT細胞活性化反応の抑制効果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 ヒト細胞 2,22 細胞懸濁液 3,23 通気性フィルター 4 細胞回収口 25 球形微粒子 26 コック 27 側壁
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 39/395 A61K 39/395 D C12M 3/00 C12M 3/00 Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト細胞を、1種類以上の抗原存在下で
    培養後に、細胞表面抗原に対する抗体を固定化もしくは
    添加した培養器具で培養することによる単位細胞あたり
    の抑制能を強化する抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方
    法。
  2. 【請求項2】 ヒト細胞を、1種類以上の抗原および浮
    遊系または固定化された細胞表面抗原に対する抗体の存
    在下で培養後に、細胞表面抗原に対する抗体を固定化も
    しくは添加した培養器具で培養することによる単位細胞
    あたりの抑制能を強化する抗原特異的免疫抑制性細胞の
    誘導方法。
  3. 【請求項3】 抗体が抗CD2抗体である請求項1〜3
    記載の誘導方法。
  4. 【請求項4】 固定化または添加する抗CD2抗体が、
    CD2とLFA−3との結合に関与する部分と結合する
    抗体である請求項1〜3記載の誘導方法。
  5. 【請求項5】 固定化または添加する抗CD2抗体が、
    CD2とLFA−3との結合に関与する部分以外と結合
    する抗体である請求項1または2記載の誘導方法。
  6. 【請求項6】 固定化または添加する抗CD2抗体が、
    抗CD2抗体35.1である請求項1〜5記載の誘導方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の誘導方法に用いる培
    養器具。
JP10062557A 1998-03-13 1998-03-13 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具 Pending JPH11253154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10062557A JPH11253154A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10062557A JPH11253154A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11253154A true JPH11253154A (ja) 1999-09-21

Family

ID=13203704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10062557A Pending JPH11253154A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11253154A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021006278A1 (ja) * 2019-07-08 2021-01-14 ニプロ株式会社 多層培養容器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021006278A1 (ja) * 2019-07-08 2021-01-14 ニプロ株式会社 多層培養容器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zheng Regulatory T cells versus Th17: Differentiation of Th17 versus treg, are they mutually exclusive?
Albert et al. Tumor-specific killer cells in paraneoplastic cerebellar degeneration
Ulvestad et al. Human microglial cells have phenotypic and functional characteristics in common with both macrophages and dendritic antigen-presenting cells
ES2292619T3 (es) Composiciones y metodos para inducir respuestas citologicas especificas de la celula t.
US5192537A (en) Method of treating renal cell carcinoma using activated mononuclear cells, renal tumor antigen and cimetidine
D'Souza et al. Cytokine induction of heat shock protein expression in human oligodendrocytes: an interleukin-1-mediated mechanism
EP0957160B1 (en) Method for inducing immunosuppressive cells and culturing device to be used therefor
Vanderlocht et al. Leukemia inhibitory factor is produced by myelin‐reactive T cells from multiple sclerosis patients and protects against tumor necrosis factor‐α‐induced oligodendrocyte apoptosis
JP2011519271A (ja) エクスビボで制御性t細胞の作成を加速するための方法および組成物
Kim et al. Expression of Ia antigens on the surface of human oligodendrocytes and astrocytes in culture
Mayernik et al. Differentiation-associated alteration in human monocyte-macrophage accessory cell function.
JP2008174564A (ja) 病的免疫応答を抑制するサイトカインおよびマイトジェンの使用
Schlöder et al. Boosting regulatory T cell function for the treatment of autoimmune diseases–That’s only half the battle!
MX2014005688A (es) Mediador soluble.
JP4309047B2 (ja) 病的免疫応答を抑制するサイトカインおよびマイトジェンの使用
JP5464641B2 (ja) 制御性t細胞製造方法及び制御性t細胞増幅装置
Thistlethwaite et al. Adoptive transfer of T reg depleted autologous T cells in advanced renal cell carcinoma
Orlikowsky et al. Expression and regulation of B7 family molecules on macrophages (MΦ) in preterm and term neonatal cord blood and peripheral blood of adults
JPH11127851A (ja) 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導増殖方法およびこれに用いる培養器具
JPS61277628A (ja) 癌治療用白血球刺激材
JPH11253154A (ja) 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導方法およびこれに用いる培養器具
US20070128670A1 (en) Methods for the identification and preparation of regulator/suppressor t lymphocytes, compositions and use thereof
US8323969B2 (en) Preparation of regulatory T cells using ICAM-1 co-stimulation
Illes et al. Copolymer effects on microglia and T cells in the central nervous system of humanized mice
JPS60252423A (ja) 悪性腫瘍治療のための処理済み白血球の製造方法およびその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051101

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060425