JPH11248329A - 冷凍冷蔵倉庫における空間可変型冷凍冷蔵システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 格納対象物の質的、量的なダイナミックな変
化にフレキシブルに対応することが可能な冷凍冷蔵倉庫
におけるシステムを提供する。 【解決手段】 冷凍冷蔵倉庫内の空間を小分けするとこ
ろの格納物に対して蚊帳状に被覆繞囲する天井側から昇
降自在に吊設のフレキシブルな断熱カーテン１４と、当
該断熱カーテン１４の繞囲空間に対してのみ作用するよ
うに配設された室内ユニット型空調機構１９と、該断熱
カーテン１４の所定側面を開口枠縁取りして配設した出
入用開閉扉２３とでもって、庫内の多品種品物を夫々の
最適温度帯で収容し、かつ、不必要空間の冷却を不要と
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍冷蔵倉庫にお
ける不必要な空間の冷凍を伴なわずに済むフレキシブル
な空間可変型冷凍冷蔵システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】夫々が断熱層、防湿層で断熱覆層された
屋上版及び底版並に同両版間に連設された外壁版で囲繞
されたところの冷凍冷蔵倉庫の冷凍空間は、建設計画時
にあらかじめ格納予定物を想定し、その格納物に最適な
冷凍冷蔵環境を提供できる断熱工事と冷凍冷蔵設備を定
めて設計、建設される。

【０００３】現方式は原則として断熱層で囲繞した大空
間内に一様に冷気を供給する方式のため、大空間内に同
一温度帯の格納物のみを保管せざるを得ない。このた
め、施設固有の性能が建設当初から固定化されている。
また、一旦稼働を開始すると冷蔵室内部の断熱材のリニ
ューアル工事は困難である。さらに格納対象物が質的に
も量的にもダイナミックに変化（より低い冷凍温度に改
める）するような最近の事業環境変化に迅速に対応する
ことは全く不可能である。

【０００４】しかして、多品種少量の保管需要が多い実
情にも関わらず、大空間に少量の格納物となり保管効率
が悪くなる事態を避け得ない。現在、多様な温度帯の格
納物をこの大空間内で小分けして保管するとの提案とし
ては、僅かに特公昭５８−２６４６７号にあるのみであ
る。これを図１３〜１５で紹介すると、図中１は冷蔵倉
庫の内部空間を囲繞する屋上版１ａ及び底版１ｂ並に同
両版１ａ、１ｂ間に連設された外壁版１ｃよりなる外郭
版で、屋上版１ａ及び底版１ｂには夫々屋根梁６及び基
礎梁７が配設され、同両梁６、７間に柱として機能し、
且つ両面に実質的に凹凸のない縦横の区劃壁２が接続さ
れ、柱及び中間層の梁が省略されている。更に前記各区
劃壁２及び外壁版１ｃ間には、各階層毎に両面に実質的
に凹凸のない床板８が接続されていく。かくして前記区
劃壁２、外壁版１ｃ及び屋根梁６、基礎梁７によって構
造上の強度を充足するとともに、前記縦横の区劃壁２に
よって物品保管室３及び通路４を区劃している。

【０００５】なお図中５は開口部である。かくして構成
された冷蔵倉庫には防湿防熱工事が施され、ダクト方式
との組合せにより冷凍負荷を制御するようにし、また必
要に応じて通路４及び同通路４に面した区劃室３に簡易
間仕切を設けて各区劃室３の温度調整を施し、また互い
に異質の保管物を同一庫内に保管しうるようにしたもの
である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】叙上の多様な温度帯の
格納物の大空間内小分け保管とは、ダクトのダンパー制
御と必要に応じて区劃室３に簡易間仕切を付設すること
であり、その内容は各階でのダンパー制御によって各階
の冷凍温度を違えさせ、さらには、特定の区劃室の開口
を簡易間仕切で閉塞することして当該階の他の区劃室の
冷凍温度と異なる冷凍温度（より高いものと解される）
での保管をするとしたものである。これでは、各階並び
に各区劃室の不必要な空間の冷凍の解消や小分けした格
納物を周囲よりもより低い温度で冷凍することは不可能
である。

【０００７】しかし、現今の流通にあっては、質から味
の時代となり、多種多様な冷凍冷蔵食品等が普及してき
ている。このような背景のもとで、冷凍冷蔵倉庫も多品
種の品物を適正温度（より低温も含む）の小空間のもと
で少量づつ保管し出荷することが望まれている。本発明
は、叙上の事情に鑑みなされたもので、庫内空間を格納
物ごとの適正温度帯や保管量に合わせて別個温度制御の
もと小分けし得て、かつ、格納物をフレキシブルに包み
込み得、必要な最小空間だけを効果的に冷凍冷蔵保管で
きるシステムを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の空間可変型冷凍冷蔵システムは、冷凍冷蔵
倉庫内の空間を小分けするところの格納物に対して蚊帳
状に被覆繞囲する天井側から昇降自在に吊設のフレキシ
ブルな断熱カーテンと、当該断熱カーテンの繞囲空間に
対してのみ作用するように配設された室内ユニット型空
調機構と、該断熱カーテンの所定側面を開口枠縁取りし
て配設した出入用開閉扉とから成るとしたものである。

【０００９】

【作用】天井側から昇降自在な蚊帳状の断熱カーテンは
その下端を床に接することで、冷凍冷蔵倉庫内空間の小
分けを達成するのみでなく、格納物の天端近くにまでの
降下操作で上記の小分け空間を冷凍上合理的な最小の容
積に形成してしまう。叙上の空間を１ユニットとして多
数構成すれば、多品種の品物の少量づつの分割保管は達
成できる。

【００１０】当該小分け空間には専用の室内ユニット型
空調機構が装備されるので、各小分け空間は個別最適温
度調整のもとで冷凍作用が施こされ得る。さらに、該小
分け空間における格納物の出し入れは、該断熱カーテン
側面のたわみ変形でも開口を維持する出入用開閉扉を介
して冷気の逸散を最小限に押さえたもとで遂行できる。

【００１１】しかして、冷凍冷蔵倉庫内に多品種の品物
を、各品物ごとの最適温度帯収容の実現と不必要空間の
非冷却の実現とをもって保管し得ることとなり、現今の
流通の要請に対応することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１〜２に
基づいて説明する。図１中９は本発明における冷凍冷蔵
倉庫内の小分け空間を示す。図示例にあっては当該小分
け空間９は、２列の柱１０，…と側壁１１とに股がり、
通路１２をはさんで品物１３、１３が配置されている。

【００１３】図２ａ、ｂは、当該小分け空間９の拡大平
面、立面図で、図示例にあっては、断熱カーテンン１４
は、建物天井ではなくして持ち込まれた自立型の鉄骨架
構フレーム１５の梁部１５ａからワイヤー１６，…を介
して吊設されている。図示例にあっては、当該ワイヤー
１６を巻き取るウィンチ１７がターンテーブル１８を介
して梁部１５ａに取り付けされている。

【００１４】ターンテーブル１８を介在させたのは、フ
レキシブルな断熱カーテン１４の昇降変形に順応させる
ためである。該鉄骨架構フレーム１５の床版部１５ｂ
は、品物１３搭載並びに通路１２としての強度を備えね
ばならぬうえに室内ユニット型空調機構１９を内蔵し
得、かつ、出入気用のダクトＤを形成し得るものであら
ねばならない。その冷気吹出口２０並びにリターン口２
１は品物１３の脇部に設けられるを良しとする。通路１
２両側には床上照明２２が設けられるを良しとする。

【００１５】鉄骨架構フレーム１５の該床版部１５ｂよ
り立ち上がりの所定の柱１５ｃ、１５ｃは、該断熱カー
テン１４の所定側面に設けねばならない出入用開閉扉２
３のための開口枠縁取りに供されている（自立型の鉄骨
架構フレーム１５の持ち込みでない場合には既述の柱１
０、側壁１１が取付基盤供されることとなる）。すなわ
ち、図示例にあっては柱１５ｃ、１５ｃの中途より下端
にかけてエアカーテンユニット２４を上枠部に備えた水
平スライドの扉用枠２５が断熱カーテン１４の側面を開
口する形態で形成されている。上述のエアカーテンは入
出庫の多い場合の冷気逸散防止に有効となる。

【００１６】

【実施例】上記以外の本発明の実施例を図３〜１１に基
づいて説明する。すなわち、図３ａ、ｂは自立型の鉄骨
架構フレーム１５を採用した場合における出入用開閉扉
２３の設置要領を示し、ａ図は背部に側壁１１があって
通行不要のため一方にのみ設置した場合、ｂ図は背部が
側壁１１ではなく通行のために対設した場合を夫々示
す。図示省略するも建物の柱１０、側壁１１を取付基盤
とする場合も同様である。

【００１７】図４ａは、断熱カーテン１４の吊設基盤を
建物天井２６にとり、出入用開閉扉２３を建物の柱１０
や側壁１１を取付基盤とし、さらに、室内ユニット型空
調機構１９を後述の図７ｂで紹介する建物床２７の下に
組み込みする方式のユニット単位２８を示し、ｂ図はこ
の単位２８を連続させて相隣接のユニット２８，…が相
異なる温度帯に管理される態様を示す。図示省略するも
自立型の鉄骨架構フレーム１５を持ち込んだ場合には、
これ等が連続することとなる。

【００１８】図５、６は自立型の鉄骨架構フレーム１５
のユニットにおける断熱カーテン１４の張架状況を説明
するもので、図５、図６ａの入出庫の多い昼間、在庫時
にあっては、通路１２を確保すべく上昇張架している
が、図６ｂの入出庫のない夜間若しくはリニューアル時
には床面にまで降下させられる。図７ａ、ｂは本発明に
おける床下への室内ユニット型空調機構１９組み込み方
式を示す。ａ図は既述した自立型の鉄骨架構フレーム１
５の床版部１５ａで図２ｂに紹介済みのもの、ｂ図は鉄
骨架構フレーム１５持ち込みでない建物床２７を通路と
して活用する場合の方式で、床２７下に防熱型の天井２
９を貼って設置空間を確保し、室内ユニット型空調機構
１９、ダクトＤを収容し、床２７に穿孔を施こし、吹出
口２０並びにリターン口２１を設けている。

【００１９】図８ａ、ｂは扉用枠２５を建物の柱、側壁
を取付基盤とした場合で示した室内ユニット型空調機構
１９の設置例の紹介で、扉用枠２５の上枠２５ａを設置
基盤としたものを示す。この場合には既述した床２７の
吹出口２０、リターン口２１、ダクトＤ等の加工は一切
不要となり、床２７は防熱処理のみで済む。図示省略す
るも、該鉄骨架構フレーム１５でも可能であり、その床
版部１５ｂの室内ユニット型空調機構１９についての設
計負担は不要となる。断熱カーテン１４の降下代Ｓは該
室内ユニット型空調機構１９の上端部となる。

【００２０】図９ａ、ｂは図８に類する提案で、空調機
構１９を断熱カーテン１４天端に囲成した昇降枠３０に
吊設するとしたものを示す。ワイヤー１６に負担が増す
点で図８と相違するのみである。図１０ａ、ｂは断熱カ
ーテン１４のワイヤー１６による吊り位置設定例を示
す。ａ図は、通常の４点吊りで、降下時通路１２に障害
が生じることに留意しなければならない。これに比し、
ｂ図は、通路１２両端に２点づつの計４点を付加した８
点吊りで、降下時通路１２の上方空間確保の効果が生じ
る。

【００２１】図１１、１２は床面より均一に冷気供給す
る方式における吹出口２０並びにリターン口２１の構成
例を示す。すなわち、この場合には品物１３の載置でも
って閉塞する事態が生じる（図１１）が、口開閉を図１
２に示す如く、栓３１をスプリング３２で開口座３３に
浮かした構成とすることにより非閉塞時（ａ）は通気
し、閉塞時（ｂ）は栓３１の閉塞作用で遮気するものと
したものである。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、以上の如く構成されるので、
以下に述べる効果を奏する。 (1) 一の冷凍冷蔵倉庫内でもって、多品種少量の格納物
ごとに最適な冷凍冷蔵環境を提供できる（格納物別の適
正保管）。これは、荷主に対する最大のセールスポイン
トとなる。 (2) 荷が変わる等の経営環境に合わせて、フレキシブル
に対応できる（設備が固定しない）。これは、倉庫業者
に対する最大のセールスポイントとなる。 (3) 多様化する商品の質的変化（適正保管温度等）に合
わせた保管環境をフレキシブルに提供できる。 (4) 高度化する商品の量的変化（荷動き変動量、在庫量
変動等）に対応する格納空間をフレキシブルに提供でき
る。 (5) 最初から大規模な設備投資をしなくても冷凍冷蔵倉
庫が作れる（バージョンアップしていけるので、いつで
も最新の冷凍冷蔵倉庫でいられる）。これは、これから
参入しようとする倉庫業者に対する最大のセールスポイ
ントとなる。 (6) 冷蔵設備の運転にむだ、むら、むりが無くなり、ラ
ンニングコストが低減できる。これは、倉庫業者の最大
の関心事である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の対象モジュール平面図である。

【図２】ａは図１における要部の拡大平面図、ｂは同立
面図である。

【図３】ａ、ｂは本発明における出入用開閉扉の設置要
領説明図である。

【図４】ａ、ｂは本発明におけるモジュール単位体、単
位体連続説明図である。

【図５】本発明の入出庫の多い昼間時の断熱カーテン操
作説明図である。

【図６】ａ、ｂは本発明の入出庫のない夜間時の断熱カ
ーテン操作説明用正、側面図である。

【図７】ａ、ｂは本発明の室内ユニット型空調機構の床
部組み込み説明図である。

【図８】ａ、ｂは本発明の室内ユニット型空調機構の設
置要領説明の正、側面図である。

【図９】ａ、ｂは本発明の室内ユニット型空調機構の設
置要領説明の正、側面図である。

【図１０】ａ、ｂは本発明の断熱カーテン吊り要領説明
図である。

【図１１】本発明の吹出口、リターン口配置要領説明図
である。

【図１２】ａ、ｂは本発明の吹出口、リターン口の開閉
制御説明図である。

【図１３】従来の空間小分けの対象冷蔵倉庫の縦断面図
である。

【図１４】同横断平面図である。

【図１５】同部分斜視図である。

【符号の説明】

１ 外郭版 １ａ屋上版 １ｂ底版 １ｃ外壁版 ２ 区劃壁 ３ 物品保管室 ４ 通路 ５ 開口部 ６ 屋根梁 ７ 基礎梁 ８ 床板 ９ 小分け空間 １０ 柱 １１ 側壁 １２ 通路 １３ 品物 １４ 断熱カーテン １５ 鉄骨架構フレーム １５ａ梁部 １５ｂ床版部 １５ｃ柱 １６ ワイヤー １７ ウィンチ １８ ターンテーブル １９ 室内ユニット型空調機構 ２０ 吹出口 ２１ リターン口 ２２ 床上照明 ２３ 出入用開閉扉 ２４ エアカーテンユニット ２５ 扉用枠 ２６ 建物天井 ２７ 建物床下 ２８ 単位 ２９ 天井 ３０ 昇降枠 ３１ 栓 ３２ スプリング ３３ 開口座

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪内 信朗 千葉県印西市大塚１丁目５番地１ 株式会 社竹中工務店技術研究所内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷凍冷蔵倉庫内の空間を小分けするとこ
   ろの格納物に対して蚊帳状に被覆繞囲する天井側から昇
   降自在に吊設のフレキシブルな断熱カーテンと、当該断
   熱カーテンの繞囲空間に対してのみ作用するように配設
   された室内ユニット型空調機構と、該断熱カーテンの所
   定側面を開口枠縁取りして配設した出入用開閉扉とから
   成る冷凍冷蔵倉庫における空間可変型冷凍冷蔵システ
   ム。
2. 【請求項２】 断熱カーテンの取付基盤を庫内に持ち込
   みの自立型の鉄骨架構フレームの梁部にとり、室内ユニ
   ット型空調機構を当該鉄骨架構フレームの吹出口、リタ
   ーン口、ダクトを有する床版部に内蔵させ、出入用開閉
   扉の開口枠縁取りの取付基盤を該鉄骨架構フレームの所
   定の柱に設定した請求項１記載の冷凍冷蔵倉庫における
   空間可変型冷凍冷蔵システム。
3. 【請求項３】 断熱カーテンの取付基盤を建物の天井に
   とり、出入用開閉扉の開口枠縁取りの取付基盤を建物の
   柱若しくは側壁にとり、室内ユニット型空調機構の組み
   込み基盤を建物床の下に防熱型の天井を貼って確保した
   設置空間におき、該建物床に吹出口、リターン口を形成
   するとした請求項１記載の冷凍冷蔵倉庫における空間可
   変型冷凍冷蔵システム。
4. 【請求項４】 室内ユニット型空調機構の取付基盤を出
   入用開閉扉の開口枠縁取りの上枠上にとり、床部の吹出
   口、リターン口、ダクトを省略した請求項１記載の冷凍
   冷蔵倉庫における空間可変型冷凍冷蔵システム。
5. 【請求項５】 室内ユニット型空調機構の取付基盤を断
   熱カーテン天端に囲成した昇降枠下にとり、床部の吹出
   口、リターン口、ダクトを省略した請求項１記載の冷凍
   冷蔵倉庫における空間可変型冷凍冷蔵システム。
6. 【請求項６】 断熱カーテンの吊り部を四隅のみでなく
   通路幅両端にても吊るとした請求項１記載の冷凍冷蔵倉
   庫における空間可変型冷凍冷蔵システム。
7. 【請求項７】 室内ユニット型空調機構における床部に
   構成の吹出口、リターン口を、床面均等配設、かつ、弾
   撥支持の浮き上がりで開、品物載置の降下で閉の栓を有
   するものとした請求項２又は３記載の冷凍冷蔵倉庫にお
   ける空間可変型冷凍冷蔵システム。