JPH11247011A - 冷感衣類 - Google Patents

冷感衣類

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JPH11247011A
JPH11247011A JP10049708A JP4970898A JPH11247011A JP H11247011 A JPH11247011 A JP H11247011A JP 10049708 A JP10049708 A JP 10049708A JP 4970898 A JP4970898 A JP 4970898A JP H11247011 A JPH11247011 A JP H11247011A
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cloth
garment
fabric
clothing
chest
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JP10049708A
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Hideo Suketa
英雄 助田
Yoko Kagawa
洋子 香川
Akihiro Sato
彰洋 佐藤
Atsushi Goto
淳 後藤
Kazushi Hosokawa
一志 細川
Takashi Nakajima
孝 中島
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Gunze Ltd
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Gunze Ltd
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    • A41WEARING APPAREL
    • A41DOUTERWEAR; PROTECTIVE GARMENTS; ACCESSORIES
    • A41D27/00Details of garments or of their making
    • A41D27/28Means for ventilation

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  • Textile Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 夏用の肌着シャツは、その全体が薄手の生地
によって作られており、屋外等で涼しく蒸れないように
なっている。しかし、冷房のきいた屋内へ入ると、涼感
を通り越して冷えを感じることさえあった。このような
ことがないようにする。 【解決手段】 生地全体を薄手にするのではなく、胸部
に対応する部位だけに放熱性に優れた生地2を用いるよ
うにする。そして、この放熱性に優れた生地2を用いた
以外の部分では、それほど薄手のものは用いないものと
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肌着シャツやスポ
ーツウェア、パジャマ等を含んだ、主として上衣側とさ
れる衣類において、蒸し暑さが防止されると共に、涼感
が得られ、それでいて環境温度が所定以下になったよう
なときには身体の冷やしすぎを防止できるようにした冷
感衣類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、夏物の肌着シャツやスポーツウェ
ア等では、蒸し暑い屋外を快適に過ごせるようにする点
に主眼をおいて、生地全体に薄手のものを用いているの
が普通である。また、夏物のパジャマ等では、就寝へ向
けて深部体温を下げようと発汗量や皮膚血流量を増やす
身体の働きを助成し、スームスな入眠ができるようにす
るために、やはり生地全体に薄手のものを用いているの
が普通である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】夏物の肌着シャツやス
ポーツウェア等の場合、生地全体が薄手であることに起
因して、確かに屋外では快適であるものの、冷房のきい
た屋内等へ入ると、涼感を通り越して冷たさや寒さを感
じるということがあった。一方、夏物のパジャマ等の場
合でも、確かに涼感を得ながらのスムースな入眠はでき
るものの、朝方の冷え込み等によって身体が部分的又は
全身的に過冷状態になるということがあった。
【0004】なお、このような冷感に関する不満は、年
齢が高ければ高い者ほど、多く感じているという傾向が
あることを、調査により突き止めている。言うまでもな
く、上記のような冷感に関する不満を解消させるため
に、生地全体に比較的厚手のものを用いるようなことを
すれば、暑苦しく、また蒸れてしまうということにな
る。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、暑い環境下では涼しく蒸れず、また所定温度
以下の環境下では冷えすぎを防止できるようにした冷感
衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発
明に係る冷感衣類では、生地全体を薄手にするのではな
く、胸部に対応する部位だけに、放熱性に優れた生地を
設けるものである。ここにおいて「胸部に対応する部
位」とは、着用時に身体の胸部を覆うようになる部位で
あることは言うまでもないが、この「身体の胸部」と
は、ミゾオチの辺りから上側であって、せいぜい肩部の
前面頂部や首回り、及び腕の付け根へ至る範囲であっ
て、背中までは含まない領域を言うものとする。
【0007】従って、これに伴い「身体の背中」とは、
腰(ミゾオチに対応する裏位置)の辺りから上側であっ
て、肩部の後面頂部及び腕の付け根へ至る範囲を言うも
のとする。なお、これらは、いずれも厳密に規定できる
ような範囲ではない。放熱性に優れた生地を上記のよう
に位置付けたことには、次のような根拠がある。
【0008】すなわち、ヒトには、環境温度が上昇した
ときや運動したとき、或いは就寝へ向かう時等に、発汗
量と皮膚血流量とを高めて深部体温を一定に保とうとす
る機能がある。ところが、これら発汗機能や皮膚血管の
拡張機能は、歳をとればとるほど低下し、その結果、深
部体温の保持能力は、一般に50歳を越えるあたり(以
下、この年齢層の者を総括して「高齢者」と言う)から
若年者との差が顕著になることが報告されている。
【0009】また、このような発汗機能や皮膚血管の拡
張機能の加齢的低下傾向には、更に身体の部位差が存在
し、その低下が下肢から躯幹部へと進行すること、即
ち、大腿、背中、胸部、頭部の順に進行することが明ら
かになっている。図23及び図24は、若年男性(平均
23歳)10名と、高齢男性(平均68歳)10名とに
ついて深部体温保持能力、即ち、暑熱環境下での体温調
節反応を調べた結果である。
【0010】試験条件は、室温28℃、相対湿度45%
R.H.に調節した前室で60分間の椅座安静状態(平
衡期)を保った後、夏季を想定した35℃、45%R.
H.の人工気象室内で42℃の湯による下肢温浴を60
分間行うものとした。そして、結果の判定は、深部体温
の上昇度合と、身体部位別の発汗量とを測定して行っ
た。
【0011】図23から歴然であるように、高齢者の深
部体温は、若年者に比べ上昇し易いものであった。ま
た、図24から明らかなように、発汗量の具体的指標と
なる単一汗腺での汗出力を、身体の部位別に見ると、高
齢者の汗出力は、いずれの部位でも若年者に比べて少量
であった。
【0012】従って、高齢者は、この汗出力の低下が原
因となって、暑熱環境下での深部体温の上昇を引き起こ
しているものと考えられる。なお、図23及び図24の
文献は、学会誌「European Journal
of Applied Physiology」におけ
る「Regional differences in
age−related decrements o
f the cutaneous vascular
and sweating responses to
passive heating」、著者名:Yos
himitsu Inoue,Manabu Shib
asaki(1996年 Volume74)である。
【0013】しかし、上記図24で得られた単一汗腺で
の汗出力に関して重要なことは、高齢者は、若年者に比
べて大腿や背中では顕著な劣差を有しているものの、胸
部や前額では若年者とそれほど差を生じていないことが
確認されたという点にある。すなわち、本発明では、高
齢者でも未だ発汗機能(体温調節反応)が維持されてい
る部位の能力を最大限に活用するために、この該当部位
へ放熱性に優れた生地を設けることにより、この部位か
ら積極的な放熱を行わせるようにし、もって全身的な涼
しさを得ようという考え方に沿ったものであり、ここで
言う、発汗機能が維持されている部位が、胸部に当たる
というわけである。
【0014】そして、このことは反面として、すでに機
能低下している部位には、放熱性に優れた生地を用い
ず、また薄手の生地をも用いないようにできるため、例
えば高齢者で不満の多い、背中や腹部等での冷えが解消
されるという利点にも繋がるものである。なお、高齢者
の場合、背中や腹部と同じく又はそれ以上に、肩部での
冷えを訴える声が強いため、放熱性に優れた生地を設け
るにあたり、胸部に対応する領域の中から肩部に対応す
る前面部位を除外する、即ち、肩部に対応する前面部位
には放熱性に優れた生地を設けないようにするのが好適
となる。
【0015】ところで、本発明の冷感衣類は、高齢者を
対象に使用することが限定されるものではない。図25
は、上記と同じ被験者(若年男性(平均年齢23歳)1
0名と高齢男性(平均年齢68歳)10名)を対象に、
運動中および運動後における局所発汗量(胸部と背中)
を調べた結果である。試験条件は、室温25℃、相対湿
度50%R.H.に調節した前室で60分間の椅座安静
状態(平衡期)を保った後、同温湿度(25℃,50%
R.H.)に調節した人工気象室内で、入室5分後から
15分間にわたって、被験者にエルゴメータ負荷運動を
行わせるものとした。そしてその後、30分間の椅座安
静状態(回復期)を保った。
【0016】この負荷運動は、心拍数が100bpmに
なるような負荷1,110bpmになるような負荷2,
120bpmになるような負荷3、の3種類からなる。
そして結果の判定は、運動15分と回復期30分を合わ
せた、計45分間の発汗量についてその積分値を計算し
て行った。この実験は、前記試験(図23,24)に比
べ、日常生活に即したマイルドな負荷(環境+運動)を
与えているため、高齢者において胸部より背中での発汗
量がかなり少ないことが分かる(日常生活においては、
高齢者の背中の発汗は、かなり低下している)。
【0017】この図25によれば、若年者の場合、運動
の条件や環境、或いは種類によっては、胸部よりも背中
での発汗量が多くなるといったことが起こることが判
る。従って、若年者、殊にスポーツ選手等をはじめ、若
年層から高齢層へ移行途上の年齢層(30歳〜40歳代
等)、又は高齢者でも比較的若くて(50歳前半等)発
汗機能を十分に残しているような者が使用する衣類とし
ては、背中に対応する部位へ単独に、又は胸部及び背中
の双方に対応する部位に、放熱性に優れた生地を設ける
ようにしてもよい。
【0018】ただ、高齢者の大半は、若年者に比べて背
中からの発汗量がかなり低下していると言わざるを得
ず、放熱性に優れた生地を設ける部位は、やはり胸部だ
けにとどめておくべきである。なお、若年者等の場合で
も、肩部を必要以上に冷やすことは好ましくないとされ
るので、胸部や背中に対応する部位のうち、肩部に対応
する前面部位や後面部位には、放熱性に優れた生地を設
けないようにするのが好適となる。
【0019】放熱性に優れた生地は、衣類本体を形成す
る生地の一部に設けられた開口部を塞ぐかたちで設けた
り、この放熱性に優れた生地の形状によって外観的アク
セントを付与させるようにしたりすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明に係る冷感衣類1
の第1実施形態を示している。この冷感衣類1は、放熱
性に優れた生地(以下、「放熱生地」と言う)2が、衣
類全体のなかの、胸部に対応する部位(以下、「胸部対
応部位」と言う)3にだけ設けられたものであり、その
他の部位は、例えば綿100%のメリヤス生地等の通常
生地によって形成されている。
【0021】この第1実施形態は、普通袖の半袖肌着シ
ャツに適用したものであり、放熱生地2の設けられる部
位が胸部対応部位3の略全領域にわたっている。すなわ
ち、放熱生地2は、その下限が、着用状態でミゾオチは
覆うがヘソまでには及ばない範囲に至り、またその上限
が、肩部においてその前面頂部及び首回りを覆うが背中
へは及ばない範囲に至り(即ち、だいたい衣類全体の丈
寸法の70%以内となる)、更に左右が、肩部において
腕の付け根あたりまでで、また脇腹部においては背中へ
は及ばない範囲に至っている。
【0022】放熱生地2は、綿等の天然繊維、人絹や酢
酸繊維等の人造繊維、ナイロンやポリエステル系等の合
成繊維(仮撚加工糸等をも含む)、或いはこれらに類す
る糸素材を、単糸として用いたり、撚糸又は合撚糸とし
て用いたりして、交編織成したものである。そして、そ
の編組織としては、アイレット編地やひねり編によるメ
ッシュ生地(穴明部分、即ち、空隙部分の面積が全体の
20〜80%の範囲とするのが好適)、平編やフライス
編(ゴム編)等による薄手生地、表地を平編とし裏地を
メッシュ編にした二重編のメリヤス生地、表地をナイロ
ン等の合成繊維とし裏地を人絹等の人造繊維で編成した
メリヤス生地、表地側が合成繊維となり裏地側が人造繊
維となるようにプレーティング編したメリヤス生地、綿
メリヤス生地のシルケット加工生地や硫酸加工生地、ガ
ーゼ編のメリヤス生地等を採用することが可能である。
【0023】図2乃至図7は、それぞれ、本発明に係る
冷感衣類1の第2乃至第7実施形態を示している。これ
らの各実施形態でも、放熱生地2が胸部対応部位3にだ
け設けられている点では上記第1実施形態と同じである
が、胸部対応部位3に対して放熱生地2の設けられる領
域、配置、形状等が、それぞれ、種々に異なっている。
【0024】すなわち、図2に示す第2実施形態では、
第1実施形態に比べて放熱生地2の上端部を下方へ下げ
てあり、肩部に対応する部位(以下、「肩部対応部位」
と言う)4の前面側には放熱生地2が設けられないもの
としている。また、図3に示す第3実施形態では、胸部
対応部位3の上端部を更に下方へ下げてある。このよう
にすることによって、肩部での冷えすぎが生じないよう
にしている。
【0025】また、図4に示す第4実施形態、図5に示
す第5実施形態、図6に示す第6実施形態、及び図7に
示す第7実施形態では、それぞれ、放熱生地2が、長方
形状、円形状、三角及び菱形状、小粒円形状等の断片状
のものに形成されていて、それらが肩部対応部位4の前
面や脇腹部の前面等を除いて、胸部対応部位3内で適宜
分散状に配置されたものとなっている。
【0026】このように、放熱生地2を小さな断片状に
して分散配置させる場合には、図8に示すように、衣類
本体を形成する生地7の一部に開口部8を設けておき、
この開口部8を塞ぐかたちでその裏側から放熱生地2を
設けるようにすればよい。これら第4乃至第7実施形態
のような構造を採り入れることは、放熱生地2の使用面
積を必要に応じて広くしたり狭くしたりする(即ち、放
熱性の強弱を設定する)方法として有効なだけでなく、
放熱生地2の各形状や配置自体を、冷感衣類1としての
外観上のアクセントにできる利点にも繋がる。
【0027】なお、上記した第1乃至第7実施形態で例
示した半袖肌着シャツにおいて、その首部9として、U
ネック、ラウンドネック(丸首)、Vネック、スクエア
ネック、ハイネック等の各種のものを示しているよう
に、細部の形状は何ら限定されるものではない。また、
これらの細部形状と、放熱生地2の領域、配置、形状等
との組み合わせが限定されるものでもない。
【0028】図9乃至図12は、それぞれ、本発明に係
る冷感衣類1の第8乃至第11実施形態を示している。
これら第8乃至第11実施形態でも、放熱生地2が胸部
対応部位3にだけ設けられている。また、各実施形態ご
とに放熱生地2の設けられる領域、配置、形状等が種々
に異なっている。ただ、上記した第1乃至第7実施形態
と異なるところは、採用の対象とする半袖肌着シャツ
が、ラグラン袖11を有したものであり、このラグラン
袖11において放熱生地2は、一切、設けられていない
という点にある。
【0029】すなわち、ラグラン袖11は、首部から肩
部にかけて一体的な覆い構造を有するものであるから、
このラグラン袖11に放熱生地2が用いられていないこ
とによって、それだけ肩部に対する保温性が高く、冷え
にくいという利点が得られるものである。図13は、本
発明に係る冷感衣類1の第12実施形態を示している。
【0030】この第12実施形態は、パジャマの上衣に
適用したものである。なお、胸部対応部位3に設けられ
た放熱生地2において、その片胸側に胸ポケット12を
設けるものとしてあり、この胸ポケット12も放熱生地
2によって形成したものとした。ただ、パジャマにおい
てこのような胸ポケット12は、外観的なアクセサリー
とする意味合いが強いため、この胸ポケット12は省略
してもよい。
【0031】図14及び図15は、それぞれ、本発明に
係る冷感衣類1の第13実施形態及び第14実施形態を
示している。これら第13及び第14実施形態は、普通
袖又はラグラン袖の半袖肌着シャツに適用されたもので
あり、放熱生地2が、背中に対応する部位15にだけ、
又は胸部対応部位3との組み合わせ(第1乃至第11実
施形態等との組み合わせ)において、設けられている。
【0032】従って、若年層のスポーツ選手等、発汗量
が多く、また発汗力が強い者に対して、放熱面積の拡大
を図るような場合に好適となる。また、本発明に係る冷
感衣料は、図1〜7および図9〜12において符号3A
で示した部位を通常生地(メリヤス生地等)とすること
により所謂腹巻き部位3Aとすることで腹を冷すことは
なく、環境変化に対する緩衝性が良好となるのである。
【0033】ところで、本発明は、上記各実施形態に限
定されるものではない。例えば、胸部対応部位3におい
ては、第1乃至第12実施形態に示した以外にも、放熱
生地2を設ける領域や配置、形状等を種々様々に変更し
たり、また実施形態同士の中で組み換えたりすることが
可能である。また同様に、背中対応部位15において
も、第13及び第14実施形態に示した以外にも、放熱
生地2を設ける領域や配置、形状等を種々様々に変更し
たり、また実施形態同士の中で組み換えたりすることが
可能である。例えば、この背部対応部位15に設ける放
熱生地2を、第1乃至第11実施形態で示したような胸
部対応部位3に設ける放熱生地2の領域、配置、形状
と、表裏対称的に合わせるようにしてもよい。
【0034】なお、放熱生地2は、その周囲の他の生地
と同色乃至同系色のものとすることにより、目立たない
存在にさせることも可能であるが、反対に、周囲の他の
生地とは異なる色にしたり、モアレ現象(玉虫状光沢)
を生じさせるような処理を施しておいたりすれば、放熱
生地2を際立った存在にすることが可能になる。この場
合、放熱生地2を、文字や図形、或いはキャラクター等
の形体に形成させておくことで、目立ち効果を一層有益
なものとして利用できるし、放熱生地2として刺繍生地
を採用することでより斬新性と意匠観を向上できるので
ある。
【0035】放熱生地2の周囲の他の生地には、必要に
応じて保温性に優れた生地を用いるようにしてもよい。
一方、本発明の冷感衣類1において、適用対象となる衣
類形体としても、長袖の肌着シャツをはじめ、スポーツ
ウェア、Tシャツ等、用途を越えた種々のものが適用可
能であるし、また使用の対象となる者についても、高齢
者以外の全ての年齢層の者(勿論、性別は問わない)を
含むものである。
【0036】更に、この冷感衣類1を着用する季節も何
ら限定されるものではなく、例えばスポーツ関連衣類と
して使用する場合等であれば、夏季以外の季節にも使用
可能である。
【0037】
【実施例】第8実施形態(図9参照)の冷感衣類1と、
放熱生地2を具備しない従来の肌着シャツ(その形体は
第8実施形態で示したものと同型:なお、以下「従来衣
類」と言う)とを用いて、以下の通り、夏季暑熱環境シ
ミュレート試験を行った。試験条件は、図16に示すよ
うに室温25℃、相対湿度50%R.H.に調節した前
室で45分間の椅座安静状態(平衡期)を保った後、夏
季を想定した室温30℃、相対湿度50%R.H.の人
工気象室で、最初30分間の椅座安静と、続けて55分
間の間欠的エルゴメータ運動とを被験者に課した。
【0038】そして、その後、室温23℃、相対湿度5
0%R.H.に設定しなおした前室に戻り、30分間の
椅座安静状態を要求した。この一連の環境条件は、夏季
における日常生活をシミュレートしたものであり、運動
前30分間の椅座安静は屋外安静時を想定し、間欠的エ
ルゴメータ運動は屋外歩行時を想定し、運動後30分間
の椅座安静は冷房された屋内での安静時を想定してい
る。
【0039】また、この試験では、実生活での着衣条件
に近づけるため、被験者に対し、その共通着衣として、
夏用の外衣(半袖、半ズボン:いずれもレーヨン85
%、麻15%)、ブリーフ(綿100%)、靴下(綿1
00%)を着用させた。そして、前室内での平衡期が終
了してから5分後の時点をデータ採取開始時点として、
ここから可及的に短い間隔で110分間にわたって発汗
量、衣服内湿度、血流量、舌下温の測定、及び感覚アン
ケート(温冷感、蒸れ感)を行った。
【0040】被験者は高齢男性6名とし、それぞれ各人
が本発明の冷感衣類1を着用した場合と、従来衣類を着
用した場合とで、比較実行した。被験者の平均年齢は6
7歳、平均身長は162cm、平均体重は56.2k
g、平均体脂肪率は22.1%であった。本発明の冷感
衣類1において、衣類本体に用いた生地(即ち、放熱生
地2以外の部位)は、綿100%フライスとし、放熱生
地2は、綿100%メッシュ素材によるものとした。
【0041】また、従来衣類は、その全体を綿100%
フライスの生地とした。発汗量の測定には、ミツワ電子
株式会社製の発汗量測定装置「ハイドログラフAMU−
3」を用いた。衣服内湿度及び舌下温の測定には、株式
会社テクノセブン製のサーミスタ高精度温度データ収録
装置「K731」を用いた。
【0042】血流量の測定には、株式会社アドバンス製
のレーザー血流計「ALF21D」を用いた。図17乃
至図20は、それぞれの測定結果を示したグラフであ
る。すなわち、これら各図から明らかなように、本発明
の冷感衣類1では、発汗量(図17参照)において、特
に胸部で従来衣類よりも低く抑えられた結果となってい
る。
【0043】また、本発明の冷感衣類1では、衣服内湿
度(図18参照)において、胸部及び背中の双方で従来
衣類よりも低く抑えられた結果となっている。更に、本
発明の冷感衣類1では、血流量(図19参照)におい
て、従来衣類よりも少ない結果となっている。なお、深
部体温の指標として測定した舌下温(図20参照)にお
いて、これが仮に従来衣類を上回るような傾向を示した
場合には、上記した発汗量や血流量の抑制結果を、却っ
てマイナス要因として判断せざるを得なくなるが、本発
明の冷感衣類1では従来衣類と殆ど変わらない結果が得
られているため、特に問題視する必要はないものであっ
た。
【0044】実際のところ、図21及び図22に示す感
覚アンケートの集計結果によれば、殆どの被験者が、本
発明の冷感衣類1の方が従来衣類よりも涼しく、且つ蒸
れないと感じていることが判る。この理由の第一は、や
はり、本発明の冷感衣類1では発汗量、衣服内湿度の上
昇が低く抑えられている点にあるものと考えられ、この
ことは、放熱生地2を介しての胸部の積極的な放熱効果
が要因となっていることは言うまでもない。
【0045】なお、図17及び図18に示したように、
本発明の冷感衣類1では、胸部だけでなく、背中でも発
汗量や衣服内湿度の上昇が抑えられたかたちとなってい
るが、これらは、放熱生地2としてのメッシュ素材を胸
部対応部位3だけに使用したことに伴い、その涼しく蒸
れないという感覚が脳で統合され、全身的(図示は省略
したが、大腿においても背中と同様の結果が得られてい
る)に発汗量を調節したからではないかと考えられる。
【0046】このようなことから、総合評価として、本
発明の冷感衣類1を着用することにより、従来衣類より
も良好な涼感が得られるということになる。また、胸部
以外の部位(すでに機能低下している部位)には放熱生
地2を用いていないために、特に高齢者で不満の多い、
腹部や背中及び肩部の冷えも解消されるということにも
繋がっている。
【0047】従って、例えば蒸し暑い屋外では涼しく蒸
れないことにより快適となり、冷房のきいた屋内等でも
肩部や腹部、背中等が冷えないので快適となるといっ
た、理想的な着用感が得られることになる。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る冷感衣類(夏用衣類)では、これを着用すること
により、暑い環境下では涼しく蒸れず、また、かといっ
て所定温度以下の環境下では冷えすぎが防止されるもの
である。すなわち、本発明に係る夏用衣類では、肩や腹
部を冷やすことなく、確実な涼感性能を持ち合わせるこ
とが可能となった。
【0049】つまり、蒸し暑い屋外では、涼しく蒸れな
いことにより快適であり、冷房のきいた室内などでも肩
や腹部が冷えないので快適といえる。よって、本発明の
夏用衣類1は、高齢者の体温調節機能の低下を効果的に
補うことのできる夏用衣類であることが確認された。ま
た、発汗量が少なくてすむので、若年者に比べなかなか
汗が出ず、さらに体の水分比率が低い高齢者において、
特に意義のある夏用衣類と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷感衣類の第1実施形態を示す正
面図である。
【図2】本発明に係る冷感衣類の第2実施形態を示す正
面図である。
【図3】本発明に係る冷感衣類の第3実施形態を示す正
面図である。
【図4】本発明に係る冷感衣類の第4実施形態を示す正
面図である。
【図5】本発明に係る冷感衣類の第5実施形態を示す正
面図である。
【図6】本発明に係る冷感衣類の第6実施形態を示す正
面図である。
【図7】本発明に係る冷感衣類の第7実施形態を示す正
面図である。
【図8】衣類本体に放熱生地を取り付ける構造例を示す
拡大側断面図(図4のA−A線に相当)である。
【図9】本発明に係る冷感衣類の第8実施形態を示す正
面図である。
【図10】本発明に係る冷感衣類の第9実施形態を示す
正面図である。
【図11】本発明に係る冷感衣類の第10実施形態を示
す正面図である。
【図12】本発明に係る冷感衣類の第11実施形態を示
す正面図である。
【図13】本発明に係る冷感衣類の第12実施形態を示
す正面図である。
【図14】本発明に係る冷感衣類の第13実施形態を示
す背面図である。
【図15】本発明に係る冷感衣類の第14実施形態を示
す背面図である。
【図16】本発明に係る冷感衣類の効果確認試験の実施
手順を説明した図である。
【図17】効果確認試験による発汗量の測定結果を示し
たグラフである。
【図18】効果確認試験による衣服内湿度の測定結果を
示したグラフである。
【図19】効果確認試験による血流量の測定結果を示し
たグラフである。
【図20】効果確認試験による舌下温の測定結果を示し
たグラフである。
【図21】効果確認試験における温冷感に関するアンケ
ートの集計結果を示したグラフである。
【図22】効果確認試験における蒸れ感に関するアンケ
ートの集計結果を示したグラフである。
【図23】若年者と高齢者との体温保持能力の違いを示
すグラフである。
【図24】若年者と高齢者との汗出力の違いを示すグラ
フである。
【図25】若年者及び高齢者における運動を伴った場合
の局所発汗量の違いを示すグラフである。
【符号の説明】
1 冷感衣類 2 放熱性に優れた生地(放熱生地) 3 胸部に対応する部位(胸部対応部位) 4 肩部に対応する部位(肩部対応部位) 7 衣類本体を形成する生地 8 開口部 15 背中に対応する部位(背中対応部位)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 淳 京都府綾部市井倉新町石風呂1番地 グン ゼ株式会社京都研究所内 (72)発明者 細川 一志 大阪府大阪市北区中崎西二丁目4番12号 グンゼ株式会社アパレル事業本部内 (72)発明者 中島 孝 京都府宮津市惣262番地 グンゼ株式会社 宮津工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 胸部に対応する部位(3)に、放熱性に
    優れた生地(2)が設けられていることを特徴とする冷
    感衣類。
  2. 【請求項2】 背中に対応する部位(15)に、放熱性
    に優れた生地(2)が設けられていることを特徴とする
    冷感衣類。
  3. 【請求項3】 胸部に対応する部位(3)及び背中に対
    応する部位(15)に、放熱性に優れた生地(2)が設
    けられていることを特徴とする冷感衣類。
  4. 【請求項4】 放熱性に優れた生地(2)の下方部位
    は、腹の冷えをおさえるための腹巻き部位(3A)とさ
    れていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
    記載の冷感衣類。
  5. 【請求項5】 前記放熱性に優れた生地(2)は、肩部
    に対応する部位(4)には設けられていないことを特徴
    とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷感衣
    類。
  6. 【請求項6】 前記放熱性に優れた生地(2)は、衣類
    本体を形成する生地(7)の一部に設けられた開口部
    (8)を塞ぐかたちで設けられていることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の冷感衣類。
  7. 【請求項7】 前記放熱性に優れた生地(2)の形状に
    よって外観的アクセントが付与されていることを特徴と
    する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の冷感衣
    類。
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