JP3188650B2 - ズボン下類 - Google Patents
ズボン下類Info
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Description
類をはじめ、パジャマやスェットスーツの下物等を含ん
だ衣類として、失禁に対応でき、且つ保温性を良好にで
き、更に失禁の抑制をも図れるようにしたズボン下類に
関するものである。
類として、股部の内側に、吸水性のある失禁対応部材を
設けたものが一般に広く知られている。この種、衣類
は、失禁対応部材の存在によってある程度、厚手になっ
ている。しかし、高齢者や病人、身体障害者等にとって
失禁は精神面で非常にデリケートな問題であるため、こ
の種、衣類の着用を敬遠する傾向があることは否めな
い。
下物の衣類、殊に高齢者が身に着けるものでは、保温機
能を持たせたいという要請がある。この理由の一つに
「高齢者と尿失禁」、「冷えと尿失禁」の関係から、抹
消部を暖めることが尿失禁に対して非常に有効であると
いうことがある(この点についての詳細は後述する)。
しかし、一般に保温機能を持たせるには、生地自体に厚
手のものを用いており、そのために衣類も厚手で重くな
り、着用時に動き難くなるという難点があった。
号公報等には、パジャマを例に挙げて、肌着と重ならな
い部位だけ、即ち、膝や肘などの関節部や肩等に別生地
を縫い付けて二重にし、全体が重くなりすぎるのを防止
しつつ保温することが記載されている。なお、上記別生
地の縫い付け位置は、主として関節部等に対応させるよ
うにしていたので、その縫着には、別生地の全面にわた
って格子状又は平行線状のキルティングを施すのが好適
となる。
上記したように失禁対応部材によって厚手になり、ただ
でさえ、身に着けたり脱いだりし難く、また着用時には
動き難くなるという問題があった。従って、この失禁対
策用の衣類に保温機能を持たせようとする場合では、上
記問題を助長する結果となり、このことが益々、この
種、衣類の着用を敬遠させるものとなっていた。
記載の技術は、「肌着と重ならない部位」という観点か
ら別生地の縫い付け部位を決めており、別生地の位置付
けに確固たる根拠があったわけではない。そのため、別
生地の大きさやその位置付けは、製品種やメーカーによ
ってまちまちとなり、中には十分な保温効果が得られて
いないものもあった。
温効果に対する不満は、年齢が高い者ほど生じ易いとい
う傾向があった。そこで、保温効果が不十分とされた衣
類を調べてみると、その大半は、別生地を身生地に対し
てキルティングによって縫着していたことが判明した。
このことから、キルティングは縫い目が多く、縫い付け
後の全体厚さが薄くなるために放熱し易いのではないか
と推察される。
り付けを行った場合、その位置付けを関節部に対応させ
ているときには、着心地や動きが悪化するという欠点を
招来することになる。本発明は、上記事情に鑑みてなさ
れたものであって、まず大前提として失禁に対応できる
ものとして、身に着けたり脱いだりが容易にでき、また
着用時における着心地や動きを悪化させることもないよ
うにし、なおかつ、この状態を保持したままで確実な保
温ができ、しかも失禁に対する抑制をも図れるようにし
た失禁対策用保温衣類を提供することを目的とする。
成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発明
に係る失禁対策用保温衣類では、股部の両側に大腿部を
包む左右の筒状部位が設けられたズボン下類において、
該左右の筒状部位における大腿部の前面部だけに対応し
てこの左右の筒状部位の内面部に保温材料を有する生地
片からなる保温部材を重合状に設け、この生地片からな
る保温部材の外周部を縫着することにより、この保温部
材を外から見えない状態にして当該保温部材と筒状部位
の内面部との間に空気層を形成したものである。
内側には、失禁対応部材が設けられている。そして、こ
の失禁対応部材は、股部形成生地(即ち、身生地として
股部を形成している部分)が横方向へ伸縮自在とされて
いるのに対して、縦方向への伸縮が自在となる状態で取
り付けられている。股部形成生地が横伸縮自在であるこ
とは、この衣類を身に着けたり脱いだりするのを容易と
するうえで有益となっている。また、股部に対して失禁
対応部材が縦伸縮自在な状態で取り付けられていること
は、この衣類を着用したときの着心地や動き易さを良好
にすることに繋がる。
持たせる構成としてもよいが、失禁対応部材を股部へ取
り付けるのに、縦方向に伸縮自在となる吊り下げ部材を
用いて、間接的な取付構造にするのがその構造上、最も
簡単である。ところで、本出願人は、失禁対策用の衣類
に保温機能を持たせることが、単に、衣類としての保温
性を高めることだけに留まるものではなく、これが失禁
をある程度、抑制する効果をも、もたらすものであるこ
とを、各種の実験により確証するに至った。
収縮し、尿道を通して尿を排泄しようとする(我慢する
ときには、括約筋を随意的に収縮させる)。 ・一日の尿量は1000〜1500ccであり、一回に
排出する尿量は普通(尿失禁などの疾患のない人で)2
00〜300ccなので、トイレには通常一日5〜7回
行くこととなる。ここで、この「1回尿量200〜30
0cc」が尿失禁に対する重要なポイントとなる。 〔高齢者と尿失禁について〕 ・尿失禁には代表的なものとして「腹圧性尿失禁」と
「急迫性尿失禁」があり、前者はくしゃみなどで洩れる
失禁で一般に太った中年女性に多く、後者は尿意を催し
たら我慢できずにすぐ出てしまうというもので、高齢者
尿失禁(50歳以上:男女共)の原因として最も頻度が
高い。又、後者は脳梗塞や脳卒中の既往暦を持つ者にも
多い。
な形で現れるものであり、時には複数以上の原因の共同
作業により出来上がっていることもある。その原因に
は、老化による生理的な変化、高齢者に多くみられる疾
患、種々の原因によりもたらされる病態、手術、薬剤の
影響などがあげられる。 ・具体的には、老化に伴い頭の働きや動作が鈍くなる、
視力が落ちることなどが、頻尿(我慢できる時間が短く
なる)に結び付いたり(失敗が多くなり、早め早めにト
イレに行こうとすることによる悪循環)、トイレまで間
に合わないという現象を生じさせ、尿失禁となることが
ある。
の減少(老化により膀胱が硬く伸展性も悪くなるた
め)、尿意発現の遅延、残尿の増加、更に無抑制膀胱収
縮の発現などが頻尿になりうる変化であり、又、尿失禁
に直接的に関連しそうな尿道抵抗の減少(尿道括約筋の
劣化)も高齢者には認められる。(※膀胱容量…膀胱が
尿を貯めておける量) ・更に、高齢になると、腸ぜん動運動の低下により便秘
がよくみられるが、高度になると直接的に膀胱を圧迫し
たり(膀胱容量の減少)、又は循環の異常により、急迫
性尿失禁をもたらす。
ることは一般的で、そのために眠りが浅くなっている。
これは、高齢になると尿の濃縮力低下(腎臓の機能低
下)により、夜間多尿が生じることによる。加えて膀胱
容量の減少があるとなおさら頻尿に結び付きやすくな
り、何度もトイレに起きなければならない。 〔冷えと尿失禁について〕 ・冷えると自律神経の失調をきたし、膀胱が過敏となり
尿意を催しやすい(膀胱容量の減少)。又、抹消血管が
閉まり腎血流が増えることにより、尿量が増加する(逆
に暖めれば腎血流が減り、尿量も減少する)。
い。又、暖房のきいた部屋から外に出る時のように大き
な気温の変化があると、一時的に尿量が増え、又、膀胱
容量も減るので、急迫性尿失禁を起こしやすくなる。 ・よって、特に寒い時期には体が冷えないように(膀胱
容量を減少させないように)暖めることが重要となる。
めに設ける保温部材の位置付けにも、確固たる根拠があ
る。すなわち、ヒトは、環境温度が上昇したときや運動
したとき等に、発汗能と皮膚血流量とを高めて体温を一
定に保っているが、これら発汗能や皮膚血流量は加齢に
伴って低下する。すなわち、このような体温調節機能の
低下は、同時に、環境温度が低下した場合等に体温の低
下を防止しようとする機能の低下乃至鈍化をも意味する
ことになる。
の男性と10名とについて体温保持能力、即ち、寒冷暴
露下での体温調節反応を調べた結果である。環境条件
は、28℃一定に調節した前室で60分間椅座安静状態
(平衡期)を保った後、春又は秋季を想定した室温17
℃、湿度45%R.H.の人工気候室内で60分間暴露
したときと、冬季を想定した室温12℃、湿度45%
R.H.の人工気候室内で60分間暴露したときとの、
二場面を設定した。また、被験者の着衣は、同型の水泳
パンツ一枚とした。そして、結果の判定は、それぞれの
場面について、寒冷暴露後の直腸温及び平均皮膚温を測
定して行った。
血圧等に異常が認められないことを条件とし、また体脂
肪率と体積表面/質量に群差が生じないように配慮し
た。この図50から歴然であるように、高齢者は若年成
人に比べて体温の保持能力に劣るということが結論づけ
られる。一方、上記のような発汗能や皮膚血流量の低下
は、下肢からはじまり、次いで躯幹(ひらたく言えば胴
体である)の後面、前面へと移行し、そして頭部へ至る
ものとされている。また、下肢の中でも大腿部の放熱効
率が最も高いこと等に起因して、大腿部における皮膚血
流量及び発汗能の低下が若年成人に比べて高齢者で顕著
に生じていることがわかっている。
pean Journal ofApplied Ph
ysiology」における「Thermoregul
atory responses of young
and older men to cold exp
osure」、著者名:Yoshimitu Inou
e,Mikio Nakao,Tsutomu Ara
ki,and Hiroyuki Ueda (199
2年 Volume65)である。
一の被験者による身体部位差による老化特性を調べた結
果である。また、被験者の着衣も、上記と同一としてい
る。環境条件は、28℃一定に調節した前室で60分間
椅座安静状態(平衡期)を保った後、室温35℃、湿度
45%R.H.の人工気候室内で42℃の湯による下肢
温浴を行うものとした。そして、結果の判定は、下肢温
浴後の血流量及び発汗量を測定して行った。
の血流量及び発汗量は、総合的にみて若年成人より少な
いと共に、身体の部位ごとに血流量の低下、発汗量の低
下が起きているということがわかる。なお、この測定時
に得られた一つの考察として、高齢者における発汗量の
低下は、活動汗腺数の減少ではなく、単一汗腺での汗出
力の低下であることが認められている。
プ福祉財団研究調査報告集8」における「暑熱環境下皮
膚血流量の加齢的低下機序;発汗量と皮膚血流量との対
応関係の身体部位差からの検討」、著者名:井上芳光、
荒木勉、芝崎学、平田耕造(1995年発行)である。
このようなことから、本発明では、第一に、大腿部に対
応させて保温部材を設けているのである。
して、保温効果に対する不満が高齢者等で生じ易いとい
う傾向があったことについては、上記した体温調節機能
の低下が加齢によって生じることをもってすれば、容易
に理解されるところとなる。大腿部を包む筒状部位に対
して保温部材を設ける場合、保温部材は、それ自体の保
温効果を直接肌へ伝えられる点において、筒状部位の内
面部に設けるのが好適とされる。また、このようにする
と外側へ向く生地が身生地自体となるので、外観的に、
保温部材を設けたことによる違和感がないという利点も
ある。
縫着でも接着でもよいし、また面ファスナー等を用いて
着脱自在な構造にしてもよい。ただ、例えば縫着の場合
にあってキルティング縫着等を採用すると、保温部材と
筒状部位の内面との間に形成される空気層を細分化して
しまうことになり、保温性を高めるうえであまり好適と
は言えないので、保温部材の外周部だけで縫着等を行う
ようにするとよい。
ルティング等を施すことを否定したものではなく、要は
筒状部位とこの内面に設けた保温部材との間に、空気層
を形成することで、断熱作用を向上するものであれば良
く、また、空気層は筒状部位の外面と保温部材との間に
形成したものでもよい。接着や面ファスナー等を用いた
取り付けを行う場合も、上記と同じであって、接着剤の
塗布位置や面ファスナーの取付位置を保温部材の外周部
だけとしたり、或いは点在的としたりするのが好適であ
る。
れば、関節痛などに悩む人にとってはその保温効果を一
層高めることができる。なお、上記したように皮膚血流
量や発汗能の低下は、下肢に次いで躯幹後面及び躯幹前
面へと移行することに鑑み、組み合わせて使用する上物
の衣類として、比較的、放熱効率が高く、且つ寒さに敏
感な肩部(図51参照)に対してその前面から後面にか
けて保温部材を設けるようにすると、更に良好な効果を
得ることができる。
る構造であれば、生地が二重になる領域を最小限に抑え
られるため、重さや動き難さに関しての不具合は生じな
い。従って、高齢者の場合、ただでさえ身体を動かすの
がおっくうになり、また着膨れ等を伴って実質的に動き
難くなる傾向の中で、保温部材によって、更に運動不足
に輪をかけてしまうことがないようにできるものであ
る。
(上記したように吊り下げ部材を用いる場合はこの吊り
下げ部材に対する取付時)に、失禁対応部材をその周縁
全部でなく、部分的に取り付けるようにすると、失禁対
応部材から股部の形成生地(身生地)側へ尿がしみ出す
ということを極力防止できる。また、取り付けのための
手間も容易となるし、着用時において動きやすさが得ら
れる利点もある。
材を内装させるだけでなく、必要に応じて追加吸水材を
取り付けできるようにしておくと、失禁回数や失禁量が
多い使用者への対応も可能になる。また、失禁回数や失
禁量が標準又は少ない者にとっては、追加吸収材を不要
にして薄手感を強調できるし、また身に着けたり脱いだ
りし易く、着用時の着心地や動き易さも図れるという利
点がある。
施の形態を説明する。図1(1)(2)(3)は、本発
明に係るズボン下類(以下、単に「衣類」と言う)1の
第1実施形態を示し、図1(1)は男性用、図1(2)
は失禁対応部材11、図1(3)は女性用である。この
第1実施形態の衣類1は、大腿部を包む筒状部位2を有
した「下物」である。具体的には、肌着の一種である半
ズボンタイプのズボン下としており、上記筒状部位2
は、裾まわりを形成したものである。
対して保温部材3が設けられていると共に、これら筒状
部位2の根元側となる股部10の内側に失禁対応部材1
1が設けられている。まず、保温部材3について説明す
る。保温部材3は、縦長の長方形状等の適宜形状をした
生地片によって形成されたもので、図2及び図3に示す
ように筒状部位2の内面部に対して重ね合わせた状態で
取り付けられている。従って、この衣類1を身につけれ
ば、保温部材3は外からは見えない。
は、保温部材3の外周部に沿った縫着としてある。筒状
部位2の前半部に対して保温部材3が占める幅方向の範
囲(θ)は、丁度、衣類1の股下部に設けられるマチ4
との前面側継ぎ合わせ部を一方の端縁部として、ここか
らおおよそ150°程度の位置までとされている。な
お、角度θは150°≦θ≦360°の範囲が好まし
い。
下から保温部材3の上端部までをa寸法、この上端部か
ら下端部までをb寸法までとするとき、a寸法として0
〜10cmが好ましく、またb寸法として15〜60c
mが好ましいものである。このとき、a寸法は、衣類1
のサイズ適合者における握りコブシ1個分ぐらいと言い
換えることができ、またb寸法は、衣類1のサイズ適合
者における膝真下位置(膝蓋骨の下位置)に対応するよ
うな寸法と言い換えることができる。しかし、これら各
寸法は限定されるものではなく、必要に応じてある程
度、変更可能である。
ら上方10cm以内、或いは股下から下方15cm以内
とするようにしてもよい。筒状部位2の内面と保温部材
3との間には空気層が形成されているが、上記のように
筒状部位2に対して保温部材3の外周部だけが縫着され
ているため、この空気層は、細分化されることなく、保
温部材3の平面大きさに略匹敵する状態を保持されてい
る。そのため、この保持された空気層によって断熱作用
が一層高められることになって、保温性が維持される。
繊維」と言う)に保温材料を予め練り込み、この繊維で
生地形態に編み込んだもの、ベース繊維により編成され
た生地(以下、ベース生地」と言う)に保温材料をコー
ティング等によって付着させたもの、保温材料より成る
繊維を単一的又はベース繊維と複合的に用いて生地形態
に編みあげたもの、ベース生地に保温材料で形成したシ
ート材を重ね合わせて縫着したもの等がある。
用いられる。この保温材料を練り込みや付着に用いる場
合には、粉状、顆粒状に粉砕して用いる。なお、保温材
料としてのセラミックに、AlO3 、MgO、Si
O2 、ZrO2 、TiO2 等の遠赤外線放射源となり得
るものを用いると、この保温材料を練り込んだ繊維、又
は付着させた状態の繊維を、遠赤外線繊維とすることが
できるものである。
等の繊維を原料として炭化賦活して製造した活性炭を用
いることもできる。従って、この保温材料を練り込んだ
繊維、又は付着させた状態の繊維を活性炭素繊維とする
ことができ、遠赤外線温熱効果だけでなく、抗菌、浄
化、還元、消臭、吸湿、断熱等の効果を得ることも可能
になる。
絹等の動物性繊維、ナイロンやポリエステル系又は吸水
性アクリル糸をはじめとする合成繊維等の、各種繊維を
用いることができる。また、吸水性アクリルなどの発熱
性繊維は、水分を吸着するときに熱を発する性質を有し
ており、この性質を利用して保温効果を更に高めるよう
にすることができる(発熱性繊維)。
る生地形態は、メリヤス生地、起毛メリヤス生地(マイ
クロ起毛やモチ肌等を含む)、パイル編地等とすること
ができる。また、メリヤス生地としては、図4及び図5
に示すような袋編み又は二重編みに編成したキルト地と
することが可能(実公平1−21797号公報、実公昭
54−34076号公報、実公昭57−45273号公
報等参照)である。
維の中の一種(例えば綿)を単独で編成する場合だけに
限らず、複数種(例えば綿と合成繊維)の繊維を交編す
るようなことも可能である。また、袋編み等をする場合
にあって、芯糸6(図5参照)として例えば綿糸又はポ
リエステル系等の合成繊維より成る仮撚加工糸等を用い
たり、又はこの芯糸6を用いないようにしたりも可能で
ある。
袋編み(キルティング調メリヤス編地)とした例を示し
たもので、表地3X(筒状部位2側)として綿又は絹、
毛、又は合成繊維を用い、裏地3Y(肌側)としてアク
リルニトリルと塩化ビニリデンの共重合体による複合型
繊維や、アクリルにセラミックを練り込み紡糸した糸
(セラミックアクリル)を用い、これら表地3Xと裏地
3Yとを接結部3Zを介して接結している。
部材3の取付位置や取付範囲を異ならせた各種の実施形
態を示したものである。衣類1として半ズボンタイプの
ズボン下に適用している点、及び保温部材3の取付方法
等は、いずれも第1実施形態と同じである。図6及び図
7に示す第2実施形態では、保温部材3を筒状部位2の
外面側に取り付けるようにしている。その他の構成及び
各種事情、例えば筒状部位2の外面側と保温部材3との
間に空気層を形成することは、第1実施形態と同じであ
る。
を、筒状部位2に対する前面対応部3a、後面対応部3
b、マチ対応部3cの三部分より成るものとして、その
幅方向取付範囲を、筒状部位2の内面全周としている。
また図9に示す第4実施形態では、保温部材3を、筒状
部位2に対する前面対応部3d、後面対応部3e、マチ
対応部3fの三部分より成るものとして、その幅方向取
付範囲を、筒状部位2の外面全周としている。
は、大腿部まわりを保温部材3によって全周的に囲むよ
うにしてある。なお、筒状部位2にマチ4が設けられる
とは限らないので、保温部材3の位置付けや取付範囲
は、マチ4を目安とすることが限定されるものではな
い。従って、図8や図9に示したように筒状部位2の内
・外面に対して保温部材3を全周的に設ける場合、例え
ば保温部材3を周方向に一体にして繋ぎ目を1箇所だけ
にしたり、二分割又は四分割以上にしたりすることも可
能になる。
保温部材3の取付方法を異ならせた実施形態を示したも
のである。衣類1として半ズボンタイプのズボン下に適
用している点、及び保温部材3の取付範囲等は、いずれ
も第1実施形態と同じである。図10に示す第5実施形
態では、筒状部位2の外面部と保温部材3の裏面部と
に、それぞれ丸ボタン形に形成した面ファスナー7a,
7bを点在状に取り付け、必要に応じて保温部材3の着
脱が自在に行えるようにしてある。
ル生地等を利用することができる。なお、面ファスナー
7a,7bの形状は、丸ボタン形に限定されず、多角形
状等としてもよい。筒状部位2や保温部材3に対する面
ファスナー7a,7bの固定は、縫着でもよいし、直接
に塗布した接着剤によって行ってもよいし、両面粘着テ
ープを用いて行ってもよい。
に取り付けることも可能であるので、面ファスナー7
a,7bを筒状部位2の内面部と保温部材3の表面部と
に取り付けるようにしてもよい。図11に示す第6実施
形態では、帯状に形成した面ファスナー8a,8bを用
いている点を除き、第5実施形態と同じである。
施形態の面ファスナー方式に変えて、同位置箇所に接着
剤を用いるようにした接着止め方式とすることも可能で
ある。図12に示す第7実施形態では、筒状部位2の外
面部に、三方部を縫着等によって固定したポケット部9
を設け、このポケット部9に対して保温部材3を出し入
れ自在にしている。
ではない。また、ポケット部9は、筒状部位2の内面部
に設けてもよい。ポケット部9に対して自家発熱形式
(手もみカイロ)の保温部材3を入れるようにしてもよ
い。図13及び図14は、衣類1として適用の対象を異
ならせた実施形態を示したものである。
のズボン下に適用したものであり、図14に示す第9実
施形態は長ズボンタイプのズボン下に適用したものであ
る。これら第8及び第9実施形態でも、筒状部位2に対
する保温部材3の取付位置、取付範囲、取付方法等は、
第1乃至第7実施形態に記載した各種のものを採用する
ことができる。
性が要求されているものでは、保温部材3も、その繊維
質や太さ、編成方法等について伸縮性を豊富にできるも
のを採用するのが好適である。また保温部材3は、筒状
部位2だけに限らず、例えば少しであれば下腹部や臀部
に対応する部位に及ぶように設けてもよい。上記各実施
形態において、保温部材3の形状は、四角形状や取付部
位の形状に即した形状とする他にも、円形、楕円形、三
角形、六角形、その他の多角形等、任意に変更可能であ
る。
の前面部と後面部とに別々に設けるようにしてもよい。
次に、失禁対応部材11について説明する。失禁対応部
材11(図1、図13、図14参照)は、図17に示す
ように股部10の内側において、前身頃10A側の前端
部と後身頃10B側の後端部(いずれも腰ゴム取付部1
2に対応する部分)との間で下弛み状に掛け渡された吊
り下げ部材13を介して取り付けられている。そして、
前身頃10A寄りでは下腹部に対応するあたりまで及ん
でおり、後身頃10B寄りでは臀部に対応するあたりま
で及んでいる。
1の取り付けは、失禁対応部材11の周縁部のうち複数
の部分14(6か所程度)を縫着することにより行われ
ている。このような部分的な取付構造とすることで、失
禁対応部材11から股部10の形成生地10X側へ尿が
しみ出すということを極力防止できる。また、失禁対応
部材11の取り付けも容易となるし、着用時においてあ
る程度のゆとりを持たせられ、動きやすさを得ることに
も繋がる。
ク等によるものに置換することにより、失禁対応部材1
1を吊り下げ部材13(股部10)から着脱自在にする
ことも可能である。吊り下げ部材13は、股部形成生地
10Xと同じ、例えば綿等によって形成されているが、
この股部形成生地10Xが縦方向に編立てられて横方向
に伸縮自在とされるのに対して、吊り下げ部材13の編
立て方向は横方向とされている。従って、失禁対応部材
11は、股部10に対して縦方向、即ち、前身頃10A
と後身頃10Bとの相互間方向に沿って伸縮自在な状態
になっている。
により、衣類1を身に着けたり脱いだりするときの容易
性が得られ、失禁対応部材11の縦伸縮自在な取付状態
により、衣類1を着用したときの良好な着心地や動き易
さが得られる。なお、失禁対応部材11自体に縦伸縮性
を持たせることができる場合には、この吊り下げ部材1
3を不要にして、失禁対応部材11を直接に前身頃10
Aや後身頃10Bへ縫着等すればよい。
9に示すように吊り下げ部材13側から、ラミネート材
15、吸水材16、合成繊維生地17を積層して形成さ
れている。また、全面にキルティング加工が施されてい
ると共に、その周縁部全周に、表裏を挟み込むようなか
たちで撥水性テープ生地18が縫着されている。ラミネ
ート材15は、ポリウレタン系等の熱可塑性の合成樹脂
より成る表膜部20を、ナイロンやポリエステル等の合
成繊維で編成した経編生地又は丸編生地より成る生地部
21に対して、熱圧着等によりラミネート状に積層する
ことによって形成されている。
が良好となり、尿の滲出を確実に防止できる。吸水材1
6は、ナイロン等の合成繊維とキュプラ繊維(銅アンモ
ニアレーヨン)の混合不織布に、高吸水性樹脂を付着さ
せて吸水率を高めたものである。この吸水材16は、統
計的にみて、だいたい平均的となる失禁回数や失禁量に
対応できるだけの標準吸水量を確保したもので、面積や
層厚との関係においてその吸水量を所定に設定する等の
理由から、積層数を適宜変更できるものである(図例で
は3層としたが、単層でもよい)。
だキュプラ繊維は、消臭性及び殺菌性を有しているた
め、尿の臭いを消すことができる利点もある。なお、こ
の吸水材16を複数層の積層構造にする場合、各層ごと
に、消臭性繊維を含んだ層、吸水性繊維を含んだ層等と
して作用分担をさせ、これらを圧着又はニードルパンチ
ングによる混合で一体化するようにしてもよい。
然繊維、合成繊維、レーヨン等の適宜の短繊維に対し
て、活性炭を混入するか、又は銅、亜鉛、銀等を含んだ
各種合物等によって消臭・殺菌処理を施すかした繊維材
を用いることができる。また吸水性繊維としては、合成
繊維、綿等の天然繊維、レーヨン等の繊維材に対して、
吸水性樹脂で吸水加工を施したものを用いるとよい。ま
た、中空繊維、異形断面繊維、捲縮性繊維や、アクリル
系やポリエステル系等の合成繊維より成る保水性繊維を
用いてもよい。
テル系等の合成繊維により、ラッセル生地等のような経
編生地又はメリヤス丸編生地としてあり、且つ、肌面に
臨む面を起毛面22とさせて肌触り感や着用感を良好に
してある。撥水性テープ生地18は、ポリエステル系等
の合成繊維で編成したメリヤス丸編生地等に対してフッ
素樹脂等の撥水性材料をコーティングさせたものとして
ある。
17及び図18中に二点鎖線で示すように肌面に臨む面
側に対して、失禁回数や失禁量が多い場合等、必要に応
じて追加吸水材24を着脱自在にできるようになってい
る。この追加吸水材24は、失禁対応部材11からはみ
出さない範囲で、股部10の前身頃10A側及び後身頃
10B側へ及ぶように、例えば長丸片状に形成されてい
る。
1に示すように外周部の複数箇所にカギ片をもつ面ファ
スナー26が設けられており、この面ファスナー26に
よって失禁対応部材11に対する係合・離脱が可能にな
っている。なお、失禁対応部材11には、面ファスナー
26に対して受け側となる面ファスナーを設けておいて
もよいが、上記したように合成繊維生地17は起毛面2
2を有しているため、上記面ファスナー26がこの起毛
面22に対して直接に係合・離脱可能になっている。
ことで、追加吸水材24を取り付けた状態では勿論のこ
と、これを付けない状態の失禁対応部材11として、分
厚くなるのを防止できる利点がある。また、失禁対応部
材11に対する追加吸水材24の位置決めが細かく制限
されるものではないので、その着脱が容易となる利点も
ある。
維生地17の肌側又は合成繊維生地17の代わりとし
て、例えばネット生地等によって形成した袋(図示略)
を形成させておき、この袋内へ追加吸水材24を入れた
り出したりできるようにしてもよい(実開平7−187
08号公報参照)。この追加吸水材24は、失禁対応部
材11側(図21の上側)から、合成繊維生地27、吸
水材28、起毛生地29を積層して形成されている。ま
た、全面にキルティング加工が施されていると共に、そ
の周縁部全周に、表裏を挟み込むようなかたちで撥水性
テープ生地30が縫着されている。
テル系等の合成繊維により、ラッセル生地等のような経
編生地又はメリヤス丸編生地としてある。吸水材28
は、材質的には、失禁対応部材11の吸水材16と全く
同一のものを用いてある。ただ、その積層数や層厚につ
いては、失禁回数や失禁量が多量とされる場合のなかで
失禁対応部材11の吸水材16では吸収しきれない量を
吸水できれば十分であるので、その面積との関係におい
て分厚くなり過ぎない範囲で適宜設定すればよい。
の積層数や層厚を種々に異ならせた複数種のものを予め
製造準備しておいて、使用者が選べるようにしておくこ
ともできる。起毛生地29は、ナイロンやポリエステル
系等の合成繊維により、ラッセル生地等のような経編生
地又はメリヤス丸編生地とし、且つ、肌面に臨む面を起
毛面31とさせて肌触り感や着用感を良好にしてある。
応部材11の撥水性テープ生地18と全く同一のものを
用いてある。言うまでもなく、この追加吸水材24は、
失禁回数や失禁量が殊更多くない者の使用に供する場合
には不必要なものであり、失禁対応部材11から外して
おく。なお、この追加吸水材24としては、一般に市販
された吸水用のパット部材、紙、布等を用いることも可
能である。
ることで、外したときにおける失禁対応部材11の薄手
化が図れ、着用感等を良好にすることが可能になる。ま
た、衣類1の洗濯時には、追加吸水材24を外して別に
洗ったり、干したりすることによって仕上がりのムラを
防止でき、また時間の短縮化も図れる利点がある。な
お、図1、図13、図14に示した衣類1は、いずれも
男性用としてあるが、女性用のものにも適用できること
は言うまでもない。男性用であれば、失禁対応部材11
及び追加吸水材24を股部10における前身頃10A寄
りへ配置し、女性用であれば、反対に後身頃10B寄り
へ配置すればよい。
実施形態に示したような肌着類に限定されるものではな
い。例えば図22は、衣類1がパジャマのズボンとされ
る場合の第10実施形態を示している。筒状部位2に対
する保温部材3の取付範囲、取付構造、保温部材3の材
質、及びそれらの変形実施形態等については、上記各実
施形態で説明したものと同じである。
物側の衣類35にも、保温部材3を設けることができ
る。例えば、上物衣類35の肩部36を中心としてその
前面側から後面側へかけた内面部又は外面部や、袖部3
7の内面部又は外面部等に対して、保温部材3を設ける
とよい。この場合の保温部材3の取付構造、保温部材3
の材質、及びそれらの変形実施形態等は、上記各実施形
態で説明したものと同じである。参考までに言うと、肩
部36に保温部材3を設ける場合であれば、肩頂部から
の高さ寸法は、5〜30cmとするのが好ましく、袖部
37に保温部材3を設ける場合であれば、その周方向で
150°程度から全周の間、長さ寸法で15〜30cm
とするのが好ましいものである。
有するが、保温部材3の配置については異なる3タイプ
の衣類を用意し、これらを用いて人体生理試験を行っ
た。タイプ1及びタイプ2の衣類は、女性用の5分パン
ティ(形体的には図1に示した半ズボン状のもの)であ
る。このうちタイプ1では、腰部だけに保温部材3を設
けてあり、タイプ2では、腰部と大腿部とに保温部材3
を設けた。
グス(形体的には図14に示した長ズボン状のもの)で
あって、膝部だけに保温部材3を設けた。環境条件は、
大室と小室とを有する人工気候室において、図23に示
すように小室内を室温30℃、湿度50%R.H.に設
定し、また大室内を室温25℃、湿度50%R.H.に
設定しておき、まず小室内で60分間の馴らしを行って
から被験者を大室へ移し、この小室内で椅座安静状態
(平衡期)を保たせるものとした。
(足指及び手指)や大腿部、下腿部等の皮膚温を測定し
た。また同時に、1回の尿量と、尿意を催してから我慢
できなくなるまでの時間と、1回の失禁量とを測定した
うえで、それらを比較して考察するものとした。なお、
失禁対応部材11も保温部材3も有しない従来の5分パ
ンティやフルレングス等を身に着けた場合を比較対照用
に設定したり、1回の尿量が増えたときを膀胱容量の増
加として判断すること等によって、失禁を抑える効果の
評価精度が高められるように努力した。
経後の女性で、勿論、急迫性失禁を患っている者(特
に、冷え性を自覚する者が好ましい)を選出した。これ
は、この年齢では未だ、膀胱が極度に硬くなったりトイ
レへ行き着くまでの動作速度が極端に鈍くなったりする
時期には至っておらず、また脳梗塞や脳卒中等の既往歴
を持っていない確率が高いからである。
4.2±6.6歳であった。また、各被験者の共通着衣
は、パンティと靴下(いずれも綿100%)及び8分キ
ャミソール(肩部に保温部材3を設けたもの)とした。
各部皮膚温の測定には、株式会社テクノセブン製のサー
ミスタ高精度温度データ収録装置「K731」を用い
た。
を示したグラフである。また、参考資料1乃至参考資料
6は、各種測定時においてサーモグラフィー(熱測定画
像機):日本アビオニクス株式会社製「サーマルビデオ
システムTVS−8100(スターリングクーラ型)」
を用いて身体表面の温度分布を調べた結果を示すハード
コピーである。図24〜図29のいずれでも、タイプ1
の衣類は「H」、タイプ2の衣類は「HH」、タイプ3
の衣類は「L」で表している。
に末梢皮膚温(足指及び手指)について、タイプ2で
は、タイプ1よりもかなり好結果となっているだけでな
く、タイプ2は、皮膚を包んだ面積が最も広いタイプ3
に比べても更に好結果となっていることが判る。このこ
とから、大腿部を部分的に保温するだけで、生地による
断熱効果だけでなく、皮膚血管の収縮を抑えて血行を促
すことができるものであると言うことができる。
によると、タイプ2よりもタイプ1やタイプ3の保温効
果が高くなっているが、タイプ3については下腿部を直
接に包んでいるか否かの差が出ているものと推測される
し、タイプ1については誤差程度の差であると判断でき
る。なぜなら、大腿皮膚温を示す図27や、身体各部の
皮膚温測定データから求めた平均皮膚温を示す図26に
おいて、タイプ2はタイプ1,3に対して同等以上の好
結果を出しているからである。
おいて、タイプ2が、タイプ1,3とは異なって90分
経過した時点でも足背乃至足指にわたる範囲や手背乃至
手指にわたる範囲、特に足や手の指先に至るまで、高温
分布になっていることが判ることによって、疑う余地の
ないものである。そして、保温効果と尿量や失禁等との
関係を比較検討した結果としては、明らかに、保温効果
が高いほど尿量の減少、失禁回数や失禁量の抑制が確認
された。即ち、タイプ2においてそれらの効果が最も顕
著に現れていた。 〔試験2〕第1実施形態(図1乃至図3参照)で説明し
た本発明の衣類1と、保温部材3を設けていない従来の
半ズボン下(形体は図1に示したものと同型)と、保温
部材3を設けていない従来の長ズボン下(形体は図14
に示したものと同型)とを用いて、以下の通り、人体生
理試験を行った。
℃、湿度50%R.H.の人工気候室内で60分間の椅
座安静状態(平衡期)を保ち、十分に馴らしを行ってか
ら、室温25℃、湿度50%R.H.を目標に60分を
かけて室温を一定速度で下げてゆき、目標到達後、その
ままの環境を30分間保つようにした。この環境条件
は、秋・冬における外衣と肌着との間の気候を想定した
ものである。
後)を開始時点として、ここから15分おきに120分
間にわたって直腸温の測定をし、また開始時点から5分
おきに120分間にわたって末梢皮膚温の測定をし、更
に15分毎に血圧を測定して室温低下に伴う影響を調べ
るようにした。被験者は60歳代の高齢者3名とし、1
人ずつ、本発明の衣類1と従来の半ズボン下と従来の長
ズボン下とを着用した。各被験者の共通着衣は、ブリー
フ、長袖シャツ、靴下(いずれも綿100%)とした。
及び保温部材3と、従来の半ズボン下に用いた生地は、
いずれも綿糸40番手で編成はスムース(両面編)によ
るものとした。また、従来の長ズボン下に用いた生地
は、綿糸30番手で編成はフライス編によるものとし
た。
(ゴム編)によるものを用いた。直腸温の測定には、株
式会社テクノセブン製のサーミスタ高精度温度データ収
録装置「K731」を用いた。血圧の測定には、オメダ
株式会社製の非観血的連続自動血圧計「2300Fin
apres」を用いた。
ブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装置「K73
1」を用いた。図30乃至図32は各種測定の結果を示
したグラフであり、図33は被験者によるアンケート結
果をまとめたものである。また、参考資料7乃至参考資
料11は、各種測定時においてサーモグラフィー(熱測
定画像機):日本アビオニクス株式会社製「サーマルビ
デオシステムTVS−8100(スターリングクーラ
型)」を用いて身体表面の温度分布を調べた結果を示す
ハードコピーである。図30〜図33のいずれでも、本
発明の衣類1は「B」、従来の半ズボン下は「A」、従
来の長ズボン下は「C」で表している。
に直腸温及び末梢皮膚温(手指及び足指)のいずれも、
室温の低下(測定開始後30分から)と共に低下の傾向
を示している。この中で、直腸温は、各衣類の間で大き
な差異は認められなかったものの、末梢皮膚温では、本
発明の衣類1が、従来の他の衣類に比して0.2℃から
1℃以上もの良好な保温性能を発揮していることが明ら
かである。
も、本発明の衣類1において肩から胸部及び上腕部へか
けた範囲、手首から手背及び指先にかけた範囲、大腿、
足首から足背及び足指にかけた範囲で、従来の他の衣類
よりも広範で且つ高温となる分布を示していることから
も一目瞭然である。すなわち、本発明の衣類1では、室
温が低下することによっても皮膚温の低下は少ないの
で、皮膚温低下をもたらす血管収縮による心臓の負担、
即ち、血圧の上昇も抑えられているという結果が得られ
た(図32参照)。
着用したいずれの被験者も、環境温変化時の感想として
涼感を訴えたのに対し、本発明の衣類1を着用した被験
者からは、寒さを殆ど感じなかったという答えが得られ
た(図33参照)。このことも、上記各種測定結果を裏
付けている。以上のように本発明の衣類1によって良好
な保温機能が得られていることが明らかなので、尿量の
減少、失禁回数や失禁量の抑制も図られることは言うま
でもない。 〔試験3〕第1実施形態(図1乃至図3参照)で説明し
た本発明の衣類1と、保温部材3を設けていない従来の
長ズボン下(形体は図14に示したものと同型)とを用
いて、以下の通り、保温性能試験を行った。
℃、湿度40%R.H.の人工気候室内で60分間の椅
座安静状態(平衡期)を保ち、十分に馴らしを行ってか
ら、室温15℃、湿度40%R.H.を目標に90分を
かけて室温を一定速度で下げてゆくと共に、このうち後
半の30分間は、被験者に間欠的エルゴメータ運動を課
した。この環境条件は、秋・冬における環境温(スポー
ツウェアの外側の環境)を想定したもので、椅座安静状
態は日常生活における室内を想定し、また間欠的エルゴ
メータ運動状態は外出歩行時を想定している。
件に近づけるため、被験者に対する共通着衣としてジャ
ージ生地のフード無しスポーツウェア上・下を着用させ
た。そして、馴らし時間経過時点を開始時点として、こ
こから可及的に短い間隔で90分間にわたって各種デー
タの採取をした。被験者は5名とし、それぞれ各人が本
発明の衣類1を着用した場合と、従来の長ズボン下を着
用した場合と、これらに対応する衣類を着用しなかった
場合とで、試験に臨んだ。
(歳)、平均身長は162±7(cm)、平均体重は5
4.9±7.5(kg)、平均皮下脂肪厚は9.6±
4.0(mm)であった。本発明の衣類1においてベー
スとした生地及び保温部材3は、いずれも綿糸40番手
で編成はスムース(両面編)によるものとした。
綿糸30番手で編成はフライス編によるものとした。靴
下には、綿糸24番手で編成がリブ編(ゴム編)による
ものを用いた。スポーツウェア上・下には、綿糸40番
手で編成がスムース(両面編)によるものを用いた。
ブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装置「K73
1」を用いた。体温及び各部皮膚温の測定には、株式会
社テクノセブン製のサーミスタ高精度温度データ収録装
置「K731」を用いた。血圧の測定には、オメダ株式
会社製の非観血的連続自動血圧計「2300Finap
res」を用いた。
たグラフであり、図48及び図49は被験者によるアン
ケート結果をまとめたものである。また、参考資料12
乃至参考資料14は、各種測定時においてサーモグラフ
ィー(熱測定画像機):日本アビオニクス株式会社製
「サーマルビデオシステムTVS−8100(スターリ
ングクーラ型)」を用いて足背表面の温度分布を調べた
結果を示すハードコピーである。図35〜図47のいず
れでも、本発明の衣類1は「H」、従来の長ズボン下は
「L」で表している。また「N」は、ズボン下に対応す
る下物肌着を未着用の場合を表している。
5は、衣服内温度の測定結果であり、これらから室温に
並行した低下の傾向が見られ、秋・冬特有の温度勾配で
あることが確認されると同時に、胸部では衣類の種類や
有無による偏差はあまり生じていないことが読み取れ
る。しかし、これに対して大腿部では、衣類の種類や有
無により保温効果に大きな開きが出ていることが明らか
となっている。
が、ここでも室温と並行した低下の傾向が見られ、秋・
冬特有の温度勾配であることが確認されると同時に、衣
類の種類による偏差はあまり生じていないことが読み取
れる。一方、図37は身体全体の熱量を表した平均体温
の推移であり、図38は、図39乃至図45に示した身
体各部の皮膚温測定データから求めた平均皮膚温の推移
である。図39乃至図45を見ると、下腿皮膚温(図4
4参照)を除く他の全ての部位で、本発明の衣類1を着
用した場合の皮膚温低下が抑えられていることが判る。
1を着用した場合よりも従来の長ズボン下を着用した場
合の方が保温効果が高いのは、皮膚を包んだ面積の差が
出ているものと推測される(従来の長ズボン下のみが下
腿部を覆っているための断熱効果)。しかし、本発明の
衣類1を着用した場合は、末梢部(手指、足指)の皮膚
温が高いことから長ズボン下及び未着用時に較べ、身体
全体の血行が良くなっていることが分かり、更に従来の
長ズボン下を着用した場合に比べて運動機能は良く、下
物肌着未着用の場合とは数段に優れた保温効果を発揮し
ているということは言える。
よる総合評価として、本発明の衣類1を着用した場合
は、従来の長ズボン下を着用した場合や、下物肌着未着
用の場合に比べて良好な保温性能を発揮しているという
ことが言える。勿論、これらの要因となっているのは、
保温部材3による大腿の保温によるものである。なお、
一つの考察として、大腿は下腿に比べて冷点の感受性が
高いことが判っているため、脳への「暖かい」という入
力に対する効果は、保温部材3と空気層による大腿皮膚
温での保温性が大きな要因になっていると言える。すな
わち、このような脳への効果的な入力により、体幹部
(図39参照)や上肢(図40参照)はもとより、末梢
部、即ち、手指(図41参照)や足背(図45参照)に
までもわたって、皮膚血管の収縮を抑制する命令が出て
いると考えられる。
温が低下してゆく度合が、従来の長ズボン下を着用した
場合(参考資料14)や下物肌着未着用の場合(参考資
料12)に比べて、本発明の衣類1で部分保温した場合
(参考資料13)では格段に抑制されている、即ち、保
温されていることが一目瞭然である。図46及び図47
は、循環系の指標として脈拍及び平均血圧を測定した結
果である。図46において、脈拍として衣類の種類や有
無による差異はあまり認められないものの、図47で
は、血圧に関し、本発明の衣類1を着用した場合に低い
値を示していることが判る。
皮膚温の低下が少ないので、皮膚温低下をもたらす血管
の収縮による心臓の負担、即ち、血圧の上昇が抑えられ
た結果であると推測できる。そして、図48及び図49
に示すアンケート結果からも明らかなように、被験者に
よる試験中の感想として、本発明の衣類1を着用した場
合では殆ど寒さを感じなかったという答えが、各種測定
結果を裏付けている。
において、履きにくさ、動き難さ、着用時の重荷感、脱
ぎにくさ等といった特別なマイナスイメージはなく、む
しろ、長ズボン下に比べれば、これらいずれの観点で
も、本発明の衣類1の方が勝っていたとの感想を得てい
る。以上のように本発明の衣類1によって良好な保温機
能が得られていることが明らかなので、尿量の減少、失
禁回数や失禁量の抑制も図られることは言うまでもな
い。 〔試験4〕図22に示した形体のパジャマ上・下におい
て、保温部材3の有無やその配置を異ならせた3タイプ
を用意し、これらを用いて保温効果を調べた。
来のものであり、タイプ2は、下物を本発明に係る衣類
1とし且つ上物衣類35の袖部37に保温部材3を設け
ないものであり、タイプ3は、第10実施形態として説
明したそのものである。環境条件は、室温30℃、湿度
50%R.H.の人工気候室(A室)で60分間の椅座
安静状態(平衡期)を保ち、その後、室温20℃、湿度
50%R.H.の人工気候室(B室)に移動して椅座安
静状態で皮膚温の経時的変化を観察した。
の高齢者とした。また、各人とも、共通の一般的な肌着
(ブリーフ、シャツ)及び靴下を着用した。試験結果
は、サーモグラフィー(熱測定画像機)を用いて顔面、
手背、足の表面温度分布を調べることによって判断し
た。参考資料15は、その結果を示すハードコピーであ
る。この参考資料15において、タイプ1の着用状態を
、タイプ2の着用状態を、タイプ3の着用状態を
で示す。
発明の衣類1を含むタイプ2,3(及び)では、手
首から手背及び指先にかけた範囲や、足首から足背及び
足指にかけた範囲で、従来のパジャマであるタイプ1よ
りも広範で且つ保温状態となる分布になっていることが
一目瞭然である。以上のように本発明の衣類1によって
良好な保温機能が得られていることが明らかなので、尿
量の減少、失禁回数や失禁量の抑制も図られることは言
うまでもない。
係るズボン下類では、言うまでもなく失禁に対応できる
ものであって、そのうえで身に着けたり脱いだりが容易
にでき、また着用時における着心地や動きを悪化させる
こともないようにし、なおかつ、この状態を保持したま
まで確実な保温ができ、更に、失禁に対する抑制をも図
れるようになった。
態を示し、図1(1)は男性用、図1(2)は失禁対応
部材、図1(3)は女性用の各正面図である。
図である。
た斜視図である。
た平面断面図である。
て示した平面断面図である。
て示した平面断面図である。
した分解斜視図である。
した分解斜視図である。
した分解斜視図である。
を示した要部平面図である。
その内側に設けられた失禁対応部材を示す展開平面図で
ある。
ある。
す拡大平面図である。
省略断面図である。
た第10実施形態を示す正面図である。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
フである。
たグラフである。
ラフである。
フである。
グラフである。
フである。
グラフである。
たグラフである。
たグラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
グラフである。
である。
ラフである。
フである。
示すグラフである。
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 股部(10)の両側に大腿部を包む左右
の筒状部位(2)が設けられたズボン下類において、該
左右の筒状部位(2)における大腿部の前面部だけに対
応してこの左右の筒状部位(2)の内面部に保温材料を
有する生地片からなる保温部材(3)を重合状に設け、
この生地片からなる保温部材(3)の外周部を縫着する
ことにより、この保温部材(3)を外から見えない状態
にして当該保温部材(3)と筒状部位(2)の内面部と
の間に空気層を形成していると共に、上記股部(10)
の内側に失禁対応部材(11)が設けられており、該失
禁対応部材(11)は、横方向へ伸縮自在とされる股部
形成生地(10X)に対して縦方向への伸縮が自在とな
る状態で取り付けられていることを特徴とするズボン下
類。 - 【請求項2】 生地片からなる保温部材(3)は、長方
形状とされていることを特徴とする請求項1記載のズボ
ン下類。 - 【請求項3】 筒状部位(2)の前半部に対して保温部
材(3)が占める幅方向の範囲(Q)はおおよそ150
°程度とされていることを特徴とする請求項1又は2記
載のズボン下類。 - 【請求項4】 前記失禁対応部材(11)は、股部(1
0)の内側において、前身頃10A側の前端部と後身頃
10B側の後端部との間で下弛み状に掛け渡された吊り
下げ部材(13)を介して取り付けられていることを特
徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のズボ
ン下類。 - 【請求項5】 前記失禁対応部材(11)は、吊り下げ
部材(13)側から、ラミネート材(15)、吸水材
(16)、合成繊維生地(17)を積層して形成され、
全面にキルティグ加工が施されているとともに、その周
縁部全周に表裏を挟み込んで撥水性テープ生地(18)
が縫着されていることを特徴とする請求項1〜4のいず
れかに記載のズボン下類。 - 【請求項6】 前記失禁対応部材(11)は標準吸水量
の吸水材(16)を内装していると共に、肌面に臨む面
側に対して追加吸水材(24)が着脱自在になっている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記
載のズボン下類。 - 【請求項7】 請求項1〜6に記載のズボン下類は女性
用であることを特徴とするズボン下類。
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