JPH11246963A - 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜 - Google Patents

蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜

Info

Publication number
JPH11246963A
JPH11246963A JP10053249A JP5324998A JPH11246963A JP H11246963 A JPH11246963 A JP H11246963A JP 10053249 A JP10053249 A JP 10053249A JP 5324998 A JP5324998 A JP 5324998A JP H11246963 A JPH11246963 A JP H11246963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
boat
vapor deposition
plate
deposition material
vapor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10053249A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Murata
剛 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP10053249A priority Critical patent/JPH11246963A/ja
Publication of JPH11246963A publication Critical patent/JPH11246963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 砂目防止効果の大きい蒸着用ボートを提供す
る。 【解決手段】 少なくとも、蒸着材料を載置する底板
と、遮蔽板と、上板を有する蒸着用ボートであって、前
記遮蔽板及び上板にはそれぞれ蒸着材料蒸気が通過する
ための開口部が設けられており、その開口部は各部材を
組み立てた際に一致しない位置に配置され、前記上板に
前記遮蔽板及び底板を摺動し、かつ固定するための折り
返し突起部が設けられていることを特徴とする蒸着用ボ
ート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、堆積膜の形成に用
いられる蒸着用ボート、および該ボートにより成膜され
た堆積膜に関する。
【0002】
【従来の技術】我々の身近には種々の成膜法により成膜
された機能性膜が多く用いられている。 例えば金属表
面を保護する鍍金膜、液晶の駆動を可能にする導電性透
光薄膜、工具の寿命を飛躍的に改善する耐磨耗性超硬
膜、光学部材の表面の反射を低下させ、光学部材の結像
性能を改善する光学薄膜などが挙げられる。特に、光学
的特性を改善するための光学薄膜は古くから利用されて
おり、光学製品に搭載される光学部材には多くの場合、
反射防止膜や反射膜といった光学薄膜が用いられてい
る。身近なものでは、カメラ用レンズや眼鏡用レンズの
反射防止膜、サングラスやカーフィルムの反射膜がその
代表的な例だといえる。
【0003】これらの機能性膜の多くは、一般には表面
が平滑で組織が均一であることが望まれる。不均一な構
造は膜の機能を阻害し、目的機能を低下させる原因とな
るため、膜組織の均一性を実現させるために多くの工夫
がなされている。例えば光学薄膜において膜剥がれ、亀
裂の発生、異物の付着、傷等の構造的欠陥は散乱、吸収
の増大につながり、光学特性を低下させる。
【0004】光学薄膜の成膜方法により、その均一性の
実現方法、あるいは膜欠陥防止の方法は異なるが、光学
薄膜を形成する手段のうち真空蒸着法により成膜する場
合に電子線加熱蒸着と並んで最もよく用いられる抵抗加
熱蒸着においては、成膜速度の制御、蒸着材料の選択、
真空度の制御、基板温度の制御等により膜欠陥の発生を
防止するのが一般的である。
【0005】蒸着膜においてしばしば問題になる膜欠陥
として、蒸着材料粒子の基板への付着により生ずる点欠
陥、すなわちいわゆる“砂目”が挙げられる。砂目は加
熱された蒸着材料の突沸、あるいは蒸着材料粒子内に存
在する閉気孔内のガスの急激な膨張による蒸着材料粒子
の破壊により生ずると考えられる。砂目発生の程度は用
いる蒸着材料の種類により異なり、砂目の発生しにくい
蒸着材料と砂目の発生しやすい蒸着材料とがある。選択
の余地があれば砂目の発生しにくい蒸着材料を用いるの
が簡単であるが、他の優れた物性のため砂目の発生しや
すい蒸着材料を用いなくてはならない場合も少なくな
い。このような場合、砂目の原因となる飛沫粒子の発生
を抑えるため、成膜速度を遅くすることが考えられる
が、完全に飛沫粒子の発生を無くすのは困難であり、し
かも成膜時間が長くなり生産性を悪化させることとな
る。
【0006】そこで、蒸着に用いるボートの形状を工夫
することにより、蒸着材料から発生する飛沫粒子が基板
に到達するのを防ぐための努力がなされている。例え
ば、外筒と中筒の二重構造からなり、中筒がメッシュ状
で、外筒と中筒の間のボート上部を遮蔽するためのドー
ナツ状の蓋を備え、外筒と中筒の間に蒸着材料を充填し
た場合、蒸着材料蒸気は中筒のメッシュ及び蓋の開口部
から拡散し、飛沫粒子は基板に到達しない構造の蒸着用
ボートが考案されている。このようなボートは一般にチ
ムニータイプと呼ばれているが、その構造の複雑さのた
め加工コストがかかり、一個数万円と価格が高いのが普
及の障害となっている。またその構造より、使用できる
蒸着材料は昇華性材料に限られ、溶融性材料を充填して
加熱すると中筒内側に溶融した蒸着材料が流れ込み、中
央開口部より蒸着材料が見える状態となり飛沫粒子の遮
蔽効果は無くなる。そこで、より廉価な砂目防止蒸着用
ボートとして、図3の分解斜視図に示すような上板1
1、遮蔽板12、および底板13の3枚の部材より構成
された蒸着用ボートが考案された。該ボートは遮蔽板1
2に2個、上板11に1個の蒸着材料蒸気が通過する開
口部14、15、を備え、各部材を組み立てた場合、遮
蔽板12に設けられた2個の開口部15と、上板11に
設けられた1個の開口部14は一致せず、蒸着用ボート
上部から上板11の開口部14を通して直接、底板13
に載置された蒸着材料が見えない構造となっている。
【0007】このため、図4に示すように、蒸着材料7
から発生する飛沫粒子は直進するので、遮蔽板12の2
個の開口部15を通過した飛沫粒子は上板11の開口部
14には到達せず、上板11の開口部14よりボート外
部に飛沫粒子が飛び出すことはない。また、蒸着用ボー
トは3枚の部材より構成されているが、組み立てた際に
各部材を一つに固定するために底板13の2つ長辺部に
折り返し突起部16が設けられ、上板がずれたり、外れ
たりしないようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この蒸
着用ボートを使用して実際に成膜を行うと、わずかであ
るが砂目が発生することがある。そこで、本発明はかか
る問題点に鑑みてなされたものであり、砂目防止効果の
大きい蒸着用ボートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、その原因を
鋭意研究した結果、以下の現象を確認した。蒸着材料7
を加熱するとボート内は蒸着材料蒸気8で満たされる。
蒸気の多くは遮蔽板12および上板11の開口部14を
通ってボート外へ拡散していくが、図5に示すように一
部はボートの温度の低い部分、例えば電極に近い長手方
向両端部や底板13の折り返し突起部16と上板11の
間隙で凝縮あるいは析出する。
【0010】ボート内の蒸着材料が減少してくると成膜
速度が下がるため、投入電流を増やして成膜速度を一定
に保つように制御しているので、ボート温度が上昇す
る。そうすると、前述した温度が低い部分に凝縮あるい
は析出していた蒸着材料が再び蒸発あるいは昇華するこ
ととなる。この際上板11と底板折り返し突起16の間
隙にたまった蒸着材料の一部はボート外に露出してお
り、ボート温度が上がった際に飛沫粒子の発生源となる
ことがわかった。
【0011】このように原因を突き詰め、本発明をする
に至った。本発明は、第一に「少なくとも、蒸着材料を
載置する底板と、遮蔽板と、上板を有する蒸着用ボート
であって、前記遮蔽板及び上板にはそれぞれ蒸着材料蒸
気が通過するための開口部が設けられており、その開口
部は各部材を組み立てた際に一致しない位置に配置さ
れ、前記上板に前記遮蔽板及び底板を摺動し、かつ固定
するための折り返し突起部が設けられていることを特徴
とする蒸着用ボート(請求項1)」を提供する。
【0012】また、本発明は第二に「請求項1記載の蒸
着用ボートを用いて真空蒸着法により成膜した層を含む
ことを特徴とする光学薄膜(請求項2)」を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる実施形態の
蒸着用ボートを図面を参照しながら説明する。図1は第
1の実施形態の蒸着用ボートの概略断面図である。本発
明に係る実施形態の蒸着用ボートは、上板1、遮蔽板
2、底板3よりなる少なくとも3枚以上の部材より構成
され、上板1、遮蔽板2にはそれぞれ開口部4、5が設
けられている。その開口部4、5は、各部材を組み立て
た際に一致しないように配置され、飛沫粒子が直接飛ん
で行かないようになっている。
【0014】さらに、組み立てる際に遮蔽板2及び底板
3が摺動可能であり、組み立てた際に各部材を一つに固
定するために(各部材がバラバラにならないために)、
上板1の2つの長辺に折り返し突起部6が設けられお
り、その突起部6は底板3側に向けて折り曲げられてい
る。従って、多量の蒸着材料がボート内に充填され、折
り返し突起部6に溶融した蒸着材料が毛細管現象で進入
した場合であっても、飛沫粒子が基板に到達することは
なく、砂目は発生しない。
【0015】なお、上板1、遮蔽板、底板3の材料とし
ては、モリブデン、タンタル、タングステンが用いられ
る。
【0016】
【実施例】[実施例1]実施形態で説明したモリブデン
製蒸着用ボートを用いて真空蒸着法によりガラス(BK
−7)基板上に、λ=500nmにおいて、光学的膜厚
が0.2λのNdF3からなる高屈折率層と、光学的膜
厚0.3λのMgF3からなる低屈折率層との交互層を
20周期積層してなる誘電体多層膜ミラーを成膜した。
【0017】図6は実施例1で製作した誘電体多層膜ミ
ラーの反射率特性図である。図6から、最大反射率はλ
=500nmにおいて98%であることがわかる。 [比較例]図3に示す従来の蒸着用ボートを用いて真空
蒸着法により実施例1と同様の構成の誘電体多層膜ミラ
ーを成膜した。
【0018】図7は比較例1で製作した誘電体多層膜ミ
ラーの反射率特性図である。図7から、最大反射率はλ
=500nmにおいて96%であることがわかる。ま
た、図6、図7から、実施例1の蒸着用ボートを用いて
成膜した誘電体多層膜ミラーは、比較例1の蒸着用ボー
トを用いて成膜した誘電体多層膜ミラーに比べて全体的
に反射率が高いので、光の散乱損失が少ない、即ち散乱
損失の原因となる砂目が少ないということがわかる。
【0019】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明にかかる蒸着
用ボートは、折り返し突起部に溶融した蒸着材料が毛細
管現象により進入した場合であっても、折り返し突起部
は上板に設けられ、底板に向けて折り曲げられているの
で、飛沫粒子が基板に到達することはない。
【0020】従って、本発明のかかる蒸着用ボートを使
用して成膜した機能膜は点状欠陥が存在せず、膜の均一
性により優れた目的機能を発現する。特に、光学部材の
反射防止膜および反射膜の形成に本発明を適用すること
により、散乱による光エネルギーロスの少ない良好な光
学特性を有する光学部材の作製が可能となる。
【0021】さらに、高エネルギーレーザの光学系に用
いることにより、光学系のレーザ耐性を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施形態の蒸着用ボートの分解
斜視図である。
【図2】(A)は本発明にかかる実施形態の蒸着ボート
の長手方向に直交する方向の概略断面図であり、(B)
はその一部拡大断面図である。
【図3】従来の蒸着用ボートの分解斜視図である。
【図4】従来の蒸着用ボートの長手方向の概略断面図で
ある。
【図5】(A)は従来の蒸着用ボートの長手方向に直交
する方向の概略断面図であり、(B)はその一部拡大断
面図である。
【図6】実施例1で製作した誘電体多層膜ミラーの反射
率特性図である。
【図7】比較例1で製作した誘電体多層膜ミラーの反射
率特性図である。
【符号の説明】
1、11・・・上板 2、12・・・遮蔽板 3、13・・・底板 4、14・・・上板開口部 5、15・・・遮蔽板開口部 6・・・上板折り返し突起部 7・・・溶融蒸着材料 8・・・蒸着材料蒸気 16・・・底板折り返し突起部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、蒸着材料を載置する底板と、
    遮蔽板と、上板を有する蒸着用ボートであって、 前記遮蔽板及び上板にはそれぞれ蒸着材料蒸気が通過す
    るための開口部が設けられており、その開口部は各部材
    を組み立てた際に一致しない位置に配置され、前記上板
    に前記遮蔽板及び底板を摺動し、かつ固定するための折
    り返し突起部が設けられていることを特徴とする蒸着用
    ボート。
  2. 【請求項2】請求項1記載の蒸着用ボートを用いて真空
    蒸着法により成膜した層を含むことを特徴とする光学薄
    膜。
JP10053249A 1998-03-05 1998-03-05 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜 Pending JPH11246963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10053249A JPH11246963A (ja) 1998-03-05 1998-03-05 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10053249A JPH11246963A (ja) 1998-03-05 1998-03-05 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11246963A true JPH11246963A (ja) 1999-09-14

Family

ID=12937530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10053249A Pending JPH11246963A (ja) 1998-03-05 1998-03-05 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11246963A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005200767A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Applied Films Gmbh & Co Kg 昇華性材料のための蒸発装置
JP2007524763A (ja) * 2004-02-25 2007-08-30 イーストマン コダック カンパニー 凝縮効果が最少にされた蒸着源
KR100889761B1 (ko) * 2002-09-30 2009-03-24 삼성모바일디스플레이주식회사 유기박막 형성장치의 가열용기

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100889761B1 (ko) * 2002-09-30 2009-03-24 삼성모바일디스플레이주식회사 유기박막 형성장치의 가열용기
JP2005200767A (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Applied Films Gmbh & Co Kg 昇華性材料のための蒸発装置
JP2007524763A (ja) * 2004-02-25 2007-08-30 イーストマン コダック カンパニー 凝縮効果が最少にされた蒸着源
JP4718538B2 (ja) * 2004-02-25 2011-07-06 グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー 凝縮効果が最少にされた蒸着源

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4422721A (en) Optical article having a conductive anti-reflection coating
US10444575B2 (en) Electro-optic element with IMI layer
EP1621915A2 (en) Light modulator with a light-absorbing layer
US7239464B2 (en) Absorption type multi-layer film ND filter
US4784467A (en) Multi-layered anti-reflection coating
FR2820511A1 (fr) Film fonctionnel aux proprietes optiques et electriques ameliorees
BR112020013731A2 (pt) artigo revestido tendo camada que inclui metamaterial, revestimento tendo camada que inclui metamaterial, e/ou método de fabricação dos mesmos
US4957358A (en) Antifogging film and optical element using the same
US6034820A (en) Dielectric optical filter with absorptive metal layer
FR2820512A1 (fr) Film fonctionnel aux proprietes optiques et electriques ameliorees
JPH11246963A (ja) 蒸着用ボートとそれを用いて成膜した光学薄膜
KR101961688B1 (ko) 발색 구조체 및 발색 구조체의 제조 방법
JP2004334012A (ja) 反射防止膜及び光学フィルター
US4355866A (en) Stripe-color filter
JP2008026093A (ja) 多層膜反射鏡およびその製造方法
JPH0968602A (ja) 反射防止層を有する光学物品
JP2002267803A (ja) 反射防止膜及び光学部品
JPH0685004B2 (ja) 高耐久性赤外反射鏡
US20040075909A1 (en) Fingerprint resistant anti-reflection coatings for plastic substrates
JPH10268107A (ja) 反射防止膜付合成樹脂レンズ
US5982547A (en) Optical filter
JPH11149005A (ja) 内面反射ミラーおよびその製造方法
CN212586575U (zh) 一种消光的遮光片材
JP3502150B2 (ja) 反射防止コーティング
JP3679500B2 (ja) 光分割膜、ndフィルター及び光分割素子