JPH11246089A - シート分割巻取装置のタッチローラ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バネを交換することなく、小さい接触圧から
大きい接触圧まで広範囲の接触圧を付与することがで
き、しかも巻取ロール相互間に巻取径差が生じても接触
圧の誤差を極力小さく抑えることができるシート分割巻
取装置のタッチローラ装置を提供する。 【解決手段】 シート分割巻取装置のタッチローラ装置
は、一列状に並んだ巻取ロールＲの外周に接触する個別
のタッチローラ１と、タッチローラ１に平行に、かつ回
転可能に設けた支持軸４と、支持軸４に所要の回転力を
加える流体圧シリンダ装置５と、支持軸４に揺動可能に
装着した、タッチローラ１を支持する支持腕７と、支持
軸４と支持腕７の間に設けた、支持腕７に対する支持軸
４の回転力に弾力的に抗するバネ装置８とを備えるもの
であり、バネ装置８は、直列に組み合わせたバネ定数の
異なる複数の圧縮バネ１５、１６を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックフィ
ルム、紙等の帯状シートを複数条に分割しながらロール
状に巻取るシート分割巻取装置において、巻取中の分割
シートの巻取ロール外周にタッチローラを押し付けて所
定の接触圧を付与するタッチローラ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、小型のシート分割巻取装置には、
分割シートを二つの巻取位置へ振り分け、巻取位置で帯
状シートの幅方向に一列状に並べた各々の巻芯のまわり
に巻取るものがあり、そのタッチローラ装置には、分割
シートの巻取ロールの外周に接触する個別のタッチロー
ラと、機枠に回転可能に支持した支持軸と、支持軸に所
要の回転力を加える駆動装置と、支持軸にスライド可能
に、かつ支持軸に対し回転しないように装着した少なく
とも一対のブラケットと、支持軸の長手中心軸線を中心
として揺動できるようにブラケットに装着した、タッチ
ローラを支持する支持腕と、タッチローラを巻取ロール
へ押し付ける方向に駆動装置で支持軸を回転させたと
き、可動部材に備えたブラケットで支持腕を弾力的に引
っ張ることができるように、ブラケットと支持腕とを連
結するバネとで構成されたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】最近、小型のシート分
割巻取装置で処理するシートの多様化に伴い、タッチロ
ーラと巻取ロールとの接触圧を、小さいものから大きい
ものまで広範囲にわたり正確に付与することが要求され
るようになっている。しかし従来のタッチローラ装置で
は、単一のバネの引っ張り力により支持軸の回転力をブ
ラケットからタッチローラの支持腕に伝達するため、接
触圧を正確に付与できる範囲が狭く、バネを交換しない
と上述の要求に応えられないという問題がある。

【０００４】即ち、一列状に並んだ巻取中の巻取ロール
の外径に差が生じると、その差によって支持腕と支持軸
との間のバネの伸び量に差が生じる。そして、そのバネ
のバネ定数が大きいと、バネの伸び量が小さくても大き
な接触圧を得ることができ、大きい接触圧が必要なとき
でもバネ装置の占有空間が小さくて済むので都合がよい
が、小さな接触圧が必要なときは、巻取ロール相互間の
外径の差が小さくても即ちバネの伸び量が小さくても、
バネの力が大きくなってタッチローラの押圧力の差は大
きくなるので、接触圧の誤差の割合が大きくなり、巻取
不良が生じる原因となる。また、そのバネのバネ定数が
小さいと、巻取ロール相互間の外径の差が大きくてもタ
ッチローラの押圧力の差は小さくなるので、巻取ロール
相互間の接触圧の誤差の割合は小さくなるので、小さい
接触圧が必要なときには支障がないが、大きい接触圧が
必要な場合は、伸び量が過大になり、そのバネの伸びが
弾性限界を超えても必要なバネ力が得られず、所要の接
触圧が得られなくなる。

【０００５】本発明は、一列状に並んだ巻取ロールの外
周に接触する個別のタッチローラと、前記タッチローラ
に平行に、かつ一定位置において回転可能又は巻取ロー
ルへ接近離反可能に設けた支持軸と、前記支持軸に一定
位置での所要の回転力又は巻取ロールへの所要の接近離
反力を加える駆動装置と、前記支持軸に揺動可能に装着
した、前記タッチローラを支持する支持腕と、前記支持
軸と前記支持腕の間に設けた、前記支持腕に対する前記
支持軸の回転力に弾力的に抗するバネ装置とを備える、
シート分割巻取装置のタッチローラ装置であって、バネ
を交換することなく、小さい接触圧から大きい接触圧ま
で広範囲の接触圧を付与することができ、しかも巻取ロ
ール相互間に巻取径差が生じても接触圧の誤差を極力小
さく抑えることができるものを提供することを課題とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、バネ装置が、
直列に組み合わせたバネ定数の異なる複数の圧縮バネを
備えることを特徴としている。それによって、複数の圧
縮バネのうちバネ定数の最も小さいバネが圧縮限まで圧
縮されるまでは、バネ装置のバネ定数は、直列に組み合
わせたバネの個々のバネ定数を合成したものとなり、最
もバネ定数が小さくなり、バネ定数の第２番目に小さい
バネが圧縮限まで圧縮されるまでは、バネ定数が一番小
さいバネ以外のバネ定数を合成したものになる。そして
バネ定数が小さい順にバネが圧縮限まで圧縮されるにし
たがい、バネ装置の、合成されたバネ定数は大きくな
る。したがって、小さい接触圧が必要なときは、圧縮限
まで圧縮されるバネの数は少なくバネ装置の合成された
バネ定数が小さくなるため、巻取ロール相互間の外径に
差が生じても、接触圧の誤差の割合が大きくならず、大
きい接触圧が必要なときは、圧縮限まで圧縮されるバネ
の数が多くなってバネ装置の合成されたバネ定数は大き
くなるため、少ない縮み量で大きい接触圧を得ることが
できる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。

【０００８】図１においてシート分割巻取装置のタッチ
ローラ装置は、シート幅方向に一列状に並んだ巻取ロー
ルＲの外周に接触する個別のタッチローラ１と、タッチ
ローラ１に平行にかつ一定位置で回転可能に機枠２に軸
受３を介して装着した支持軸４と、支持軸４に回転力を
加える流体圧シリンダ装置５と、支持軸４の外周に装着
した可動部材６により揺動可能に支持した、タッチロー
ラ１を支持する支持腕７と、支持軸４と支持腕７の間に
設けた、支持軸４の支持腕７に対する回転力に弾力的に
抗するバネ装置８とを備え、各巻取ロールＲの外周にタ
ッチローラ１を個別に所定の押圧力で接触させる。なお
図１では装置中央部分の巻取ロールを省略して両端の巻
取ロールのみを示している。各巻取ロールＲは、巻取位
置にシート幅方向に平行に設けた公知の巻軸９の外周に
装着した巻芯Ｃの外周に分割シートをロール状に巻取る
ことにより形成される。前記分割シートは、幅の広い帯
状シートを、図示しないスリッターで所要幅になるよう
長手方向に切断して複数条に分割したもので、その後二
つの巻取位置の巻芯Ｃへ互い違いに振り分けられて巻芯
Ｃ上に至ったものである。

【０００９】可動部材６は、タッチローラ１を巻取ロー
ルＲに対応させて位置つけできるよう、支持軸４上を所
要位置へスライドさせることができ、その位置でハンド
ル付きボルト１０により支持軸４に固定することができ
る。支持腕７は、可動部材６の両端部に装着した一対の
腕部材１１を備え、流体圧シリンダ装置５のシリンダ部
５ａは機枠２に枢着し、ピストンロッド５ｂは、継手５
ｃにより、支持軸４の端部に固着したアーム１２に連結
してあり、流体圧シリンダ装置５には、図示しない流体
供給装置より必要な圧力の流体が供給される。

【００１０】図２においてバネ装置８は、一対の腕部材
１１に固着した横部材１３と可動部材６に固設した腕部
材１４との間に設けてあり、直列に組み合わせた互いに
バネ定数の異なる圧縮コイルバネ１５と圧縮コイルバネ
１６とを備える。圧縮コイルバネ１５と圧縮コイルバネ
１６とは、その間に座金１７を挟んで、横部材１３と腕
部材１４にまたがって取り付けたボルト１８により貫通
保持してある。

【００１１】図２に示す状態で流体圧シリンダ５により
支持軸４に、タッチローラ押し付け方向つまり図２では
反時計方向の回転力を加えると、腕部材１４を経て支持
軸４の回転力が圧縮コイルバネ１５、１６に加わる。そ
して圧縮バネ１５、１６が縮み、その反作用に応じた押
圧力で支持腕７の先端部に保持したタッチローラ１が巻
取ロールＲを押圧する。

【００１２】図３はバネ装置８のバネ力とバネの縮み量
の関係を示す線図である。図において、横軸はバネの縮
み量、縦軸はバネ力を表し、線１５は圧縮コイルバネ１
５、線１６は圧縮コイルバネ１６、そして線８は、直列
に組み合わせた圧縮コイルバネ１５と圧縮コイルバネ１
６とによるバネ装置８全体についての、各バネ力とバネ
の縮み量との関係を表す。またＦ１は、圧縮コイルバネ
１５が圧縮限まで圧縮されてそれ以上圧縮することがで
きない状態になるときのバネ力、Δｈ１はそのときのバ
ネの縮み量である。

【００１３】図２に示す支持軸５から支持腕６に伝達さ
れる回転力が大きくなると、その反作用としてのバネ力
が大きくなる。そしてバネ装置８のバネ力が図４におい
てＦ１より小さいとき、バネ装置８のバネ定数は、圧縮
コイルバネ１５のバネ定数と、それに直列に並ぶ圧縮コ
イルバネ１６のバネ定数とを合成したものとなり、バネ
装置８のバネの縮み量が大きくてもバネ力は図４に示す
ように小さい。そのため、小さい接触圧を得るために支
持軸５に小さい回転力を加えたとき、巻取中に巻取ロー
ルの相互間の巻取径に差が生じてバネ装置８の縮み量が
大きくなっても、巻取ロールの相互間の接触圧の差を小
さくすることができる。

【００１４】また、バネ装置８のバネ力が、図４におい
てＦ１を超えると、圧縮コイルバネ１５は縮まなくな
り、そのときのバネ装置８のバネ定数は、圧縮コイルバ
ネ１６のバネ定数と等しくなり、バネ装置８のバネ力が
Ｆ１より小さいときのバネ定数より大きくなる。そのた
め、バネ装置８のバネ力が大きくてもバネの縮み量を小
さくすることができるので、大きい接触圧を付与しても
バネ装置８のバネの縮み量を小さくすることができる。
そのため、支持軸５に対する支持腕６の回転角が一定の
範囲以下に制限されていても、大きい接触圧を付与する
ことができる。

【００１５】本発明によれば、支持軸４は、前述のよう
に一定位置で回転可能に設けたものに限らず、必要応じ
て図４に示すように、支点軸１９を中心に揺動可能に機
枠に装着した揺動アーム２０で、巻取ロールＲへ接近離
反可能に支持し、この揺動アーム２０に流体圧シリンダ
装置５を連結して揺動駆動力を加えることより、支持軸
５に巻芯Ｃへの接近離反力を与えることができるように
したものでもよい。また支持軸を直線運動で巻取ロール
へ接近離反するように支持したものでもよい。またタッ
チローラは、巻取ロールの半径増加に従い巻芯から離反
するものでもよく、あるいは巻取中に巻取ロールの半径
増加に従い巻芯が後退するようにしてあるため、僅かな
範囲でしか変位しないものでもよい。またバネ装置は、
図２では二つの圧縮コイルバネを備えているが、二つ以
上のバネを直列に備えたものでもよく、またバネ装置の
圧縮バネは、図３で説明したような、圧縮コイルバネと
同様の機能をもつものであればよく、必要に応じて圧縮
コイルバネに代え皿バネや同様に機能をもつ他の弾性体
を用いてもよい。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、小さい接触圧が必要な
ときは、バネ装置の合成されたバネ定数が小さくなり、
大きい接触圧が必要なときは、バネ装置の合成されたバ
ネ定数は大きくなるため、小さい接触圧が必要なとき
は、巻取ロール相互間に巻径差が生じても、それによる
接触圧の誤差の割合は大きくならず、大きい接触圧が必
要なときは、小さな縮み量で大きい接触圧を得ることが
できるので、バネを交換しなくても、小さい接触圧から
大きい接触圧まで広範囲の接触圧を付与することがで
き、しかも巻取ロール相互間に巻取径差が生じても接触
圧の誤差を極力小さく抑えることができる。また支持腕
に対する支持軸の回転角度を小さくすることができるの
で、支持軸に回転力又は接近離反力を与える機構の占有
空間を小さくするためにも都合がよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート分割巻取装置のタッチローラ装
置の一実施態様に係る概略正面図である。

【図２】図１に示すタッチローラ装置の概略側面図であ
る。

【図３】図２に示すバネ装置のバネ力と縮み量の関係を
説明するための線図である。

【図４】支持軸の別の支持態様を説明するためのタッチ
ローラ装置の概略側面図である。

【符号の説明】

Ｒ 巻取ロール １ タッチローラ ４ 支持軸 ５ 駆動装置 ７ 支持腕 ８ バネ装置 １５ 圧縮コイルバネ １６ 圧縮コイルバネ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一列状に並んだ巻取ロールの外周に接触
   する個別のタッチローラと、前記タッチローラに平行
   に、かつ一定位置において回転可能又は巻取ロールへ接
   近離反可能に設けた支持軸と、前記支持軸に一定位置で
   の所要の回転力又は巻取ロールへの所要の接近離反力を
   加える駆動装置と、前記支持軸に揺動可能に装着した、
   前記タッチローラを支持する支持腕と、前記支持軸と前
   記支持腕の間に設けた、前記支持腕に対する前記支持軸
   の回転力に弾力的に抗するバネ装置とを備える、シート
   分割巻取装置のタッチローラ装置であって、前記バネ装
   置は、直列に組み合わせたバネ定数の異なる複数の圧縮
   バネを備えることを特徴とするシート分割巻取装置のタ
   ッチローラ装置。