JPH11245042A - プラズマアーク溶接方法及び装置 - Google Patents

プラズマアーク溶接方法及び装置

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JPH11245042A
JPH11245042A JP10060577A JP6057798A JPH11245042A JP H11245042 A JPH11245042 A JP H11245042A JP 10060577 A JP10060577 A JP 10060577A JP 6057798 A JP6057798 A JP 6057798A JP H11245042 A JPH11245042 A JP H11245042A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム,アルミニウム合金,マグネシ
ウム合金などその表面に高い融点をもつ酸化膜が形成さ
れる被溶接物を交流プラズマアークにより良好にスポッ
ト溶接できること。 【構成】 電極2と,この電極2を囲み電極2との間に
不活性ガスを流すガス流路を形成するノズルとからなる
プラズマアークトーチ1を備え,電極2と被溶接物6間
にその電極2を負,被溶接物6を正とする電圧を印加し
て溶接用プラズマアークAを発生させ、また前記ノズル
と被溶接物6間にそのノズルを正,被溶接物6を負とす
る電圧を印加してクリーニング用プラズマアークBを発
生して、被溶接物6をクリーニングしながら溶接を行う
プラズマ溶接方法において、前記クリーニング用プラズ
マアークAが前記溶接用プラズマアークBとほぼ同じ溶
接箇所に結ばれるように被溶接物6の溶接箇所の周辺を
機械的に覆って、電気的に絶縁することを特徴とするプ
ラズマアーク溶接方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は,アルミニウムおよび
その合金のような高い融点をもつ酸化膜の形成される材
料をスポット溶接するのに適したプラズマアーク溶接機
に関する。
【0002】
【従来の技術】 例えば、電子部品の一般にアルミニウ
ム又はその合金材料からなる容器に電気絶縁油、あるい
は所定の薬液を封入孔から注入した後、その封入孔を同
質の材料からなる小さい封止部材で封止することが行わ
れている。この場合、封入孔へ封止部材を差し込んだ状
態で、従来はレーザ溶接により一方の被溶接物となる封
止部材を他方の被溶接物となる容器に溶接してシールを
行っている。レーザ溶接は、アルミニウム又はその合金
材料からなる容器及び封止部材に形成される酸化膜をそ
の熱により除去しながら溶接することができるので、こ
のような材料を溶接するには好都合の手段である。
【0003】 しかし,溶接箇所が前記封止部材のよう
な小面積で段差がある場合には、レーザ溶接では完全な
シールを得るのが難しく、自動でレーザ溶接を行うと、
その歩留りが経済性を損なうほど低下するという大きな
問題が生じている。また、レーザ溶接装置は価格が高い
という欠点もある。
【0004】 レーザ溶接に代わるものとしてプラズマ
アークの熱を利用するプラズマアーク溶接があるが、前
述のとおり、アルミニウム,アルミニウム合金,マグネ
シウム合金などはその表面に高い融点をもつ酸化膜が形
成されているので,この酸化膜を除去するクリーニング
機能を備える必要があり、このようなクリーニング機能
をもつ一般のプラズマアーク溶接機はクリーニング用ア
ークも溶接用アークも電極と被溶接物間に発生させるた
めに電極の消耗が激しく、自動化組み立てラインに組み
込むことは不適切であった。
【0005】 このような問題点を解決したものとし
て、特許第271196号がある。これを簡単に説明すると、
溶接用プラズマアークは従来と同様に電極と被溶接物と
の間に、その電極を負、被溶接物を正とする極性で発生
し、クリーニング用プラズマアークは従来とは全く違っ
て、ノズルと被溶接物との間に、そのノズルを正、被溶
接物を負とする極性で発生するところに特徴がある。こ
のプラズマ溶接では、クリーニング用プラズマアークの
発生時には電極が消耗しないので、アルミニウム,アル
ミニウム合金,マグネシウム合金などはその表面に高い
融点をもつ酸化膜が形成される金属を自動的に溶接する
場合には、大きな威力を発揮することが確認されてい
る。
【0006】
【発明が解決するための課題】 しかし、このプラズマ
溶接にもスポット溶接のような場合には次のような欠点
があることがわかった。特許第271196号に記載された交
流プラズマアーク溶接方法では、前述のように、クリー
ニング用プラズマアークはノズルと被溶接物との間に発
生し、溶接用プラズマアークは電極と被溶接物との間に
発生するために、クリーニング用プラズマと溶接用プラ
ズマアークが被溶接物上に結ぶ点が幾分ずれる。このず
れは連続的にプラズマアークを発生させて溶接を行う場
合には全く支障がないが、極く短時間に点に近い溶接を
行うスポット溶接の場合には、その点状の溶接箇所がク
リーニングされないことがあるために酸化膜が良好に除
去されないことがあり、溶接がうまく行えないという欠
点があった。
【0007】 したがって、本発明ではこのような欠点
を解決することにより、電極の消耗が少ない交流プラズ
マアーク溶接で、アルミニウム,アルミニウム合金,マ
グネシウム合金などその表面に高い融点をもつ酸化膜が
形成される金属を良好にスポット溶接できるようにする
ことを主目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求1に記載の発明は、
上記問題を解決するために、電極と,該電極を囲みその
電極との間に不活性ガスを流すガス流路を形成するノズ
ルとからなるプラズマアークトーチを備え,前記電極と
溶接物間にその電極を負,被溶接物を正とする電圧を印
加して溶接用プラズマアークを発生させ、また前記ノズ
ルと被溶接物間にそのノズルを正,被加工物を負とする
電圧を印加してクリーニング用プラズマアークを発生し
て、被溶接物をクリーニングしながら溶接を行うプラズ
マ溶接方法において、前記クリーニング用プラズマアー
クが前記溶接用プラズマアークとほぼ同じ溶接箇所に結
ばれるように被溶接物の溶接箇所の周辺を機械的に覆う
と同時に、電気的に絶縁することを特徴とするプラズマ
アーク溶接方法を提供するものである。
【0009】 請求2に記載の発明は、上記問題を解決
するために、電極と,該電極を囲みその電極との間に不
活性ガスを流すガス流路を形成するノズルとからなるプ
ラズマアークトーチを備え,前記電極と溶接物間にその
電極を負,被溶接物を正とする電圧を印加して溶接用プ
ラズマアークを発生させ、また前記ノズルと被溶接物間
にそのノズルを正,被加工物を負とする電圧を印加して
クリーニング用プラズマアークを発生して、被溶接物を
クリーニングしながら溶接を行うプラズマ溶接方法にお
いて、前記ノズルの狭窄孔の径よりも大きく、該ノズル
先端の外径よりも小さい径の窓をもつ電気的に絶縁され
たマスク部材を前記被溶接物上に配置し、前記窓を通し
て溶接箇所をクリーニングすると共に、溶接することを
特徴とするプラズマアーク溶接装置を提供するものであ
る。
【0010】 請求3に記載の発明は、上記問題を解決
するために、請求項2において、前記マスク部材の窓は
表面側の径が小さく、被溶接物側の径が大きいことを特
徴とするプラズマアーク溶接機を提供するものである。
【0011】 請求4に記載の発明は、上記問題を解決
するために、請求項1ないし請求項3のいずれかにおい
て、前記マスク部材は複数の金属板とそれらの間に挟ま
れて電気的に絶縁する電気絶縁材料とからなることを特
徴とするプラズマアーク溶接装置を提供するものであ
る。
【0012】
【発明を実施するための形態及び実施例】 図1ないし
図3に従って本発明の実施例について説明するが、本発
明は、特許第271196号で開示された交流プラズマ溶接機
を利用するので、先ずその溶接方法について簡単に説明
する。
【0013】 図2において、プラズマアークトーチ1
は周知のものであり、中央に位置する電極2、それを囲
む第1のノズル3、その外側に位置する第2のノズル
4、及びその外側に位置するシールド用ノズル5を備え
る。6は被溶接物である。それら各部材間はガス通路と
なっており、不活性ガスが外部より供給される。電源1
0は電極2と第2のノズル4間に、電極2を負、ノズル
4を正とする極性の電圧を供給し、電源11はスイッチ
12が閉じられるとき電極2と被溶接物6との間に、電
極2を負、被溶接物6を正とする極性の電圧を印加す
る。また、電源13スイッチ14が閉じられるとき第2
のノズル4と被溶接物6との間にノズル4を正、被溶接
物6を負とする電圧を供給する。ここで、スイッチ12
と14は交互に開閉する。
【0014】 スイッチ12が閉じているとき,電源1
1により被溶接物6を陽極として被溶接物6から電極2
に電流が流れ,電極2と被溶接物6間に正極性の溶接用
のプラズマアーク柱Aが形成される。次にスイッチ12
を開き,スイッチ14を閉じると,電源13により第2
のノズル4を陽極として第2のノズル4から被溶接物6
に電流が流れ,第2のノズル4と被溶接物6間にクリー
ニング用の負極性のプラズマアークBが形成される。し
たがって,スイッチ12と14を交互にスイッチングさ
せることにより,電極2を正極性にすることなくプラズ
マアークトーチ1と被溶接物6間に正極性,負極性のプ
ラズマアークを交互に発生させることができる。ここで
ノズル3、4は従来と同様,あるいはそれ以上に水冷さ
れた液冷ノズルであるので、ノズルの損耗は他の従来装
置よりも大きくなるが、比較的小さく抑えることができ
る。なお、ガスなどの供給方法については、上記特許に
記載した方法と同じなので、省略する。
【0015】 図3からも分かるように、電極2と被溶
接物6間に形成される正極性の溶接用のプラズマアーク
柱Aと、ノズル4と被溶接物6間に形成されるクリーニ
ング用の負極性のプラズマアークBは、被溶接物6上で
僅かにずれる。このずれの範囲は、種々の実験結果か
ら、ノズル4を拡大した図2に示したように、第2のノ
ズル4の狭窄孔4bを中心に有する先端面4aの外径D
のほぼ1/2程度以下で、狭窄孔4bの直径dのほぼ1
/2以上になることが分かった。
【0016】 このような結果を踏まえて、第2のノズ
ル4の先端面4aの直径Dのほぼ1/2又はそれ以下
で、狭窄孔4bの直径dのほぼ1/2又はそれ以上の溶
接穴をもつ電気絶縁マスク部材を用意し、その溶接穴を
通してプラズマアークを溶接箇所に発生させることによ
り、その溶接箇所に溶接用の正極性のプラズマアーク柱
Aとクリーニング用の負極性のプラズマアークB双方を
むすぶことができ、アルミニウム,アルミニウム合金,
マグネシウム合金などその表面に高い融点をもつ酸化膜
が形成される金属材料の溶接を良好に行うことができ
る。
【0017】 本発明の一実施例を示す図1において、
図3と同一の記号は相当する部材を示すものとし、7は
電気絶縁マスク部材、8は被溶接物6A,6Bの裏当て
部材であり、被溶接物6Aの支持と冷却を行う。電気絶
縁マスク部材7は、安価かつ丈夫で被溶接物6Aの冷却
も行える一例であり、熱伝導の良好な2枚の銅板7Aと
7B,及びこれら間に挟まれて銅板7Aと7Bを電気的
に絶縁する電気絶縁部材7Cからなる。銅板7Aは電気
絶縁部材7Cにより接地電位から浮いている。銅板7A
と7B及び気絶縁部材7Cは円形の溶接穴を有し、銅板
7Aの溶接穴は7aは第2のノズル4の先端面4aの直
径Dのほぼ1/2程度又はそれ以下で、狭窄孔4bの直
径dのほぼ1/2程度又はそれ以上の径をもつ。銅板7
Bと気絶縁部材7Cは銅板7Aの溶接穴7aの径と同等
以上の径の溶接穴を有し、それら溶接穴はすべて同心状
態に位置する。なお、電力供給装置9は図3に示した各
電源とスイッチなどを含むものである。
【0018】 溶接するに当たって、電気絶縁マスク部
材7はその溶接穴のほぼ中心が電極2の先端と被溶接物
6Bとを結ぶ線上にあるよう配置される。この状態で、
電力供給装置9を動作させると、一方の半サイクルでは
溶接用の正極性プラズマアーク柱Aが電極2と被溶接物
6B、6A間に形成され、他方の半サイクルではクリー
ニング用の負極性プラズマアークBが、電気絶縁マスク
部材7により制限されてその溶接穴を通してノズル4と
被溶接物6B、6A間に形成される。この場合のスポッ
ト溶接に要する時間は例えば、0. 8秒から1秒であ
り、したがって、商用交流周波数の50Hzで、デュー
ティサイクルを50%とした場合には、一回のスポット
溶接で40回から50回交互に溶接用の正極性プラズマ
アーク柱Aとクリーニング用の負極性プラズマアークB
が発生することになる。特許第271196号によれば、周波
数やデューティサイクルは任意に設定できるので、プラ
ズマアーク柱AとプラズマアークBの発生時間の割合
を、例えば2:1というように任意に設定することがで
きる。
【0019】 ここで電気絶縁マスク部材7の作用につ
いて更に述べると、銅板7Aは電気絶縁部材7Cにより
接地点から浮いているので、クリーニング用の負極性の
プラズマアークBは第2のノズル4と銅板7Aとの間に
は形成されず、電気の特質から第2のノズル4とこれに
最も近い接地電位にある箇所、つまり電気絶縁マスク部
材7の溶接穴を通して第2のノズル4に対面する被溶接
物6B又はその近傍箇所との間に形成される。したがっ
て、このような電気絶縁マスク部材7を用いることによ
り、溶接箇所のクリーニングを確実に行うことができ、
このことはとりもなおさず良好な溶接結果が得られるこ
とにつながる。
【0020】 なお、電気絶縁マスク部材7はセラミッ
ク材料のような高耐熱性材料であるならば、機械的強度
が満足されればその高耐熱性材料だけでも良く、金属板
をセラミック材料のような高耐熱性材料で被覆したもの
でも良い。また、金属板を電気絶縁材料からなる枠で支
承した構造のものでも良い。さらにまた、電気絶縁マス
ク部材7をプラズマトーチ1に着脱可能な形で取り付け
る構造であっても良い。
【0021】 前記実施例ではクリーニング用の負極性
プラズマアークBを第2のノズル4と被溶接物6との間
に形成する場合について説明したが、特許第271196号に
は第1のノズル3と被溶接物6との間に形成する例につ
いても記載されており、種々の実験の結果、これについ
ても前記実施例と同様な電気絶縁マスク部材を用いるこ
とにより、同等の結果を得ることができることを確認し
た。
【0022】 被溶接物に関しては、被溶接物6A、6
Bの形状に無関係に良好なプラズマ溶接を行うことがで
きる。本発明はプラズマアークによるスポット溶接の場
合に最も威力を発揮するが、直線状又は曲線状に連続し
て溶接する場合にも、溶接線に沿った溶接スリットをも
った電気絶縁マスク部材であれば、適用可能である。
【0023】
【発明の効果】 以上述べたようにこの発明によれば、
クリーニング用の負極性プラズマアークBを第2のノズ
ル4と被溶接物6との間に形成する、電極の消耗が少な
い交流プラズマアーク溶接で、アルミニウム,アルミニ
ウム合金,マグネシウム合金などその表面に高い融点を
もつ酸化膜が形成される被溶接物を良好にスポット溶接
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラズマアーク溶接の一実施例を説
明するための図である。
【図2】 本発明を説明するための図面である。
【図3】 本発明に関連するプラズマアーク溶接機の一
例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・プラズマアークトーチ 2・・・電極 3,4・・・第1,第2のノズル 5・・・シール
ドノズル 6・・・被溶接物 7・・・電気絶
縁マスク部材 8・・・裏当て部材 9・・・電力供
給装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B23K 103:10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極と,該電極を囲みその電極との間に
    不活性ガスを流すガス流路を形成するノズルとからなる
    プラズマアークトーチを備え,前記電極と溶接物間にそ
    の電極を負,被溶接物を正とする電圧を印加して溶接用
    プラズマアークを発生させ、また前記ノズルと被溶接物
    間にそのノズルを正,被加工物を負とする電圧を印加し
    てクリーニング用プラズマアークを発生して、被溶接物
    をクリーニングしながら溶接を行うプラズマ溶接方法に
    おいて、 前記クリーニング用プラズマアークが前記溶接用プラズ
    マアークとほぼ同じ溶接箇所に結ばれるように被溶接物
    の溶接箇所の周辺を機械的に覆って、電気的に絶縁する
    ことを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 電極と,該電極を囲みその電極との間に
    不活性ガスを流すガス流路を形成するノズルとからなる
    プラズマアークトーチを備え,前記電極と溶接物間にそ
    の電極を負,被溶接物を正とする電圧を印加して溶接用
    プラズマアークを発生させ、また前記ノズルと被溶接物
    間にそのノズルを正,被加工物を負とする電圧を印加し
    てクリーニング用プラズマアークを発生して、被溶接物
    をクリーニングしながら溶接を行うプラズマ溶接方法に
    おいて、 前記ノズルの狭窄孔の径と同程度又はそれよりも大き
    く、該ノズル先端の外径と同程度又はそれよりも小さい
    径の窓をもつ電気的に絶縁された電気絶縁マスク部材を
    前記被溶接物上に配置し、前記窓を通して溶接箇所をク
    リーニングすると共に、溶接することを特徴とするプラ
    ズマアーク溶接装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記電気絶縁マスク
    部材の窓は表面側の径に比べて、被溶接物側の径が大き
    いことをと特徴とするプラズマアーク溶接機。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかにお
    いて、前記電気絶縁マスク部材は複数の金属板とそれら
    の間に挟まれて電気的に絶縁する電気絶縁材料とからな
    ることを特徴とするプラズマアーク溶接装置。
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