JPH11240749A - 繊維強化セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents
繊維強化セラミックスおよびその製造方法Info
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- JPH11240749A JPH11240749A JP10064557A JP6455798A JPH11240749A JP H11240749 A JPH11240749 A JP H11240749A JP 10064557 A JP10064557 A JP 10064557A JP 6455798 A JP6455798 A JP 6455798A JP H11240749 A JPH11240749 A JP H11240749A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐熱衝撃性、断熱性、低熱膨張性などに優
れ、これに加えて、強度および靱性などの機械的性質に
も優れたセラミックスを提供する。 【解決手段】 無機繊維および金属繊維の少なくとも1
種以上の繊維で、カルシウムシリケートとリチウムアル
ミノシリケートが複合した結晶組織を主体とする基材を
強化してあり、かつ密度が理論密度の90%以上である
繊維強化セラミックス。無機繊維および金属繊維の少な
くとも1種以上の繊維とカルシウムシリケートとリチウ
ムアルミノシリケートを含む原料配合物を成形し、これ
を900〜1400℃で焼成し、上記繊維強化セラミッ
クスを得る。
れ、これに加えて、強度および靱性などの機械的性質に
も優れたセラミックスを提供する。 【解決手段】 無機繊維および金属繊維の少なくとも1
種以上の繊維で、カルシウムシリケートとリチウムアル
ミノシリケートが複合した結晶組織を主体とする基材を
強化してあり、かつ密度が理論密度の90%以上である
繊維強化セラミックス。無機繊維および金属繊維の少な
くとも1種以上の繊維とカルシウムシリケートとリチウ
ムアルミノシリケートを含む原料配合物を成形し、これ
を900〜1400℃で焼成し、上記繊維強化セラミッ
クスを得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱衝撃性を要求
される各種低高温部品・治具・機器、低熱膨脹性を要求
される各種精密型材・精密検査装置部品・高温計器部
品、断熱性を要求される半導体用断熱材などに好適なセ
ラミックスに関わり、その上さらに高強度で、かつ高靱
性なセラミックスおよびその製造方法に関わる。
される各種低高温部品・治具・機器、低熱膨脹性を要求
される各種精密型材・精密検査装置部品・高温計器部
品、断熱性を要求される半導体用断熱材などに好適なセ
ラミックスに関わり、その上さらに高強度で、かつ高靱
性なセラミックスおよびその製造方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】従来のセラミックス、すなわちアルミ
ナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素などは、個々
の特性には優れたものが有るが、全体的には一長一短が
あり、一種の素材で耐熱衝撃、断熱、低熱膨張、高強
度、高靱性などの種々の用途に対応できない現状にあ
る。例えば、アルミナは、ICパッケージ基板を始め各
種用途に用いられているが、強度も比較的低い上に、耐
熱衝撃性に劣るため、圧電素子、磁性材料などの熱処理
治具の如き急激な昇降温を受ける高温治工具、あるい
は、−269℃の極低温の液体He環境で使用される超
伝導用の低温治工具、などに使用することはできない。
ナ、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素などは、個々
の特性には優れたものが有るが、全体的には一長一短が
あり、一種の素材で耐熱衝撃、断熱、低熱膨張、高強
度、高靱性などの種々の用途に対応できない現状にあ
る。例えば、アルミナは、ICパッケージ基板を始め各
種用途に用いられているが、強度も比較的低い上に、耐
熱衝撃性に劣るため、圧電素子、磁性材料などの熱処理
治具の如き急激な昇降温を受ける高温治工具、あるい
は、−269℃の極低温の液体He環境で使用される超
伝導用の低温治工具、などに使用することはできない。
【0003】また、コーディエライト、スポジューメ
ン、チタン酸アルミなどに代表される低熱膨脹セラミッ
クスやマシナブルセラミックスと称される加工性に富む
セラミックスなども、何れかの特性に問題がある点では
同様であり、またマシナブルセラミックスにおいては、
素材コストが比較的高いという問題があることから、ご
く一部の所に使用されている程度である。
ン、チタン酸アルミなどに代表される低熱膨脹セラミッ
クスやマシナブルセラミックスと称される加工性に富む
セラミックスなども、何れかの特性に問題がある点では
同様であり、またマシナブルセラミックスにおいては、
素材コストが比較的高いという問題があることから、ご
く一部の所に使用されている程度である。
【0004】こういった、既存のセラミックスが抱えて
いる問題を解決する一つのものとして、先に本願発明者
らは、カルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケ
ートを主体とするセラミックスの技術を開示した(特開
平4−305046、特開平6−55394)。このカ
ルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケートを主
体とするセラミックスは、加工性に優れかつ耐熱衝撃
性、低熱膨張性、断熱性などの熱的特性にも優れた材料
で、比較的広範囲に使用できる材料であるが、靱性、強
度といった機械的特性が金属材料などの高強度材料の領
域には及んではいない。このため、加工性ならびに耐熱
衝撃性、低熱膨張性、断熱性などの熱的特性に優れた上
記カルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケート
を主体とするセラミックスにおいて、さらに強度や靱性
などの機械的特性を向上させることが望まれている。
いる問題を解決する一つのものとして、先に本願発明者
らは、カルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケ
ートを主体とするセラミックスの技術を開示した(特開
平4−305046、特開平6−55394)。このカ
ルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケートを主
体とするセラミックスは、加工性に優れかつ耐熱衝撃
性、低熱膨張性、断熱性などの熱的特性にも優れた材料
で、比較的広範囲に使用できる材料であるが、靱性、強
度といった機械的特性が金属材料などの高強度材料の領
域には及んではいない。このため、加工性ならびに耐熱
衝撃性、低熱膨張性、断熱性などの熱的特性に優れた上
記カルシウムシリケートとリチウムアルミノシリケート
を主体とするセラミックスにおいて、さらに強度や靱性
などの機械的特性を向上させることが望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、本願
発明の課題は、耐熱衝撃性、低熱膨張性、断熱性などの
熱的特性および加工性に優れたカルシウムシリケートと
リチウムアルミノシリケートを主体とするセラミックス
において、さらにその強度および靱性などの機械的性質
を飛躍的に向上させることである。
発明の課題は、耐熱衝撃性、低熱膨張性、断熱性などの
熱的特性および加工性に優れたカルシウムシリケートと
リチウムアルミノシリケートを主体とするセラミックス
において、さらにその強度および靱性などの機械的性質
を飛躍的に向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】ここで、本発明の繊維強
化セラミックスは、カルシウムシリケートとリチウムア
ルミノシリケートを必須成分として複合させた結晶組織
を主体とする基材を、無機繊維および金属繊維の少なく
とも1種以上の繊維で強化した繊維強化セラミックスで
あって、密度が理論密度の90%以上のものである。
(請求項1)
化セラミックスは、カルシウムシリケートとリチウムア
ルミノシリケートを必須成分として複合させた結晶組織
を主体とする基材を、無機繊維および金属繊維の少なく
とも1種以上の繊維で強化した繊維強化セラミックスで
あって、密度が理論密度の90%以上のものである。
(請求項1)
【0007】また、本発明の繊維強化セラミックスの製
造方法は、無機繊維および金属繊維の少なくとも1種以
上の繊維と、カルシウムシリケートと、リチウムアルミ
ノシリケートを含む原料配合物を、成形し、これを90
0〜1400℃で焼成して上記の繊維強化セラミックス
を得るものである。(請求項2)
造方法は、無機繊維および金属繊維の少なくとも1種以
上の繊維と、カルシウムシリケートと、リチウムアルミ
ノシリケートを含む原料配合物を、成形し、これを90
0〜1400℃で焼成して上記の繊維強化セラミックス
を得るものである。(請求項2)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックス中に含有さ
せる強化用繊維は、無機繊維や金属繊維が望ましい。無
機繊維としては、それぞれのウイスカーを含めて、炭素
繊維、炭化ケイ素系繊維、アルミナ系繊維、窒化ケイ素
系繊維など公知のものを使用できる。また、金属繊維と
しては、タンタル系、モリブデン系、タングステン系、
ニオブ系、ニッケル系、チタン系およびステンレス系繊
維などの公知のものを使用できる。
せる強化用繊維は、無機繊維や金属繊維が望ましい。無
機繊維としては、それぞれのウイスカーを含めて、炭素
繊維、炭化ケイ素系繊維、アルミナ系繊維、窒化ケイ素
系繊維など公知のものを使用できる。また、金属繊維と
しては、タンタル系、モリブデン系、タングステン系、
ニオブ系、ニッケル系、チタン系およびステンレス系繊
維などの公知のものを使用できる。
【0009】これらの繊維には、その直径が、大きいも
のでは数100μm程度から、小さいものではウイスカ
ーのような0.01μm程度のものまであり、また、単
繊維に分散したものから、複数の繊維を束ねた、いわゆ
る繊維束まであるが、いずれも使用できる。また、繊維
の長さも、連続状のものから、わずか1μm程度のウイ
スカーもあるが、いずれも使用できる。
のでは数100μm程度から、小さいものではウイスカ
ーのような0.01μm程度のものまであり、また、単
繊維に分散したものから、複数の繊維を束ねた、いわゆ
る繊維束まであるが、いずれも使用できる。また、繊維
の長さも、連続状のものから、わずか1μm程度のウイ
スカーもあるが、いずれも使用できる。
【0010】本発明の繊維強化セラミックスには、上記
のいずれの繊維も使用可能であるが、2種類以上の繊
維、同種の繊維でも形状の異なるものなどを、併用する
こともできる。なお、無機繊維の中では、炭素繊維や炭
化ケイ素系繊維が、基材との反応性が小さいため、望ま
しく、金属繊維では、ステンレス系繊維を用いると、コ
スト面で有利となる。また、導電性の繊維を用いると、
繊維強化セラミックスそのそものに導電性を付与するこ
とも可能となる。
のいずれの繊維も使用可能であるが、2種類以上の繊
維、同種の繊維でも形状の異なるものなどを、併用する
こともできる。なお、無機繊維の中では、炭素繊維や炭
化ケイ素系繊維が、基材との反応性が小さいため、望ま
しく、金属繊維では、ステンレス系繊維を用いると、コ
スト面で有利となる。また、導電性の繊維を用いると、
繊維強化セラミックスそのそものに導電性を付与するこ
とも可能となる。
【0011】本発明の繊維強化セラミックス中に含まれ
る繊維量は、0.1体積%未満のときは、繊維の強化作
用がほとんど現れずに、繊維強化セラミックスの機械的
特性の改善硬化が少なく、また、75体積%を越える
と、強化用繊維同士の干渉が顕著で、繊維と基材との付
着が疎になるため、同様に機械的特性が改善されない。
したがって、繊維量は、望ましくは0.1体積%ないし
75体積%であり、より望ましくは、5体積%ないし6
0体積%である。
る繊維量は、0.1体積%未満のときは、繊維の強化作
用がほとんど現れずに、繊維強化セラミックスの機械的
特性の改善硬化が少なく、また、75体積%を越える
と、強化用繊維同士の干渉が顕著で、繊維と基材との付
着が疎になるため、同様に機械的特性が改善されない。
したがって、繊維量は、望ましくは0.1体積%ないし
75体積%であり、より望ましくは、5体積%ないし6
0体積%である。
【0012】基材中の繊維の状態は、いわゆる長繊維強
化と呼ばれている連続状の長繊維を基材中で一定方向に
配向させたものや任意の方向に交差させて配置したもの
であっても、また、いわゆる短繊維強化と呼ばれている
短繊維を一次元的、二次元的、あるいは三次元的に分散
させたものであってもよい。
化と呼ばれている連続状の長繊維を基材中で一定方向に
配向させたものや任意の方向に交差させて配置したもの
であっても、また、いわゆる短繊維強化と呼ばれている
短繊維を一次元的、二次元的、あるいは三次元的に分散
させたものであってもよい。
【0013】基材は、カルシウムシリケート、あるいは
リチウムアルミノシリケートの何れか1種類だけでは、
ち密化が成されず、強度、面粗さなど上記要件を満たす
ことができない。すなわち、基材に含まれるリチウムア
ルミノシリケート量は、望ましくは1重量%ないし99
重量%である。
リチウムアルミノシリケートの何れか1種類だけでは、
ち密化が成されず、強度、面粗さなど上記要件を満たす
ことができない。すなわち、基材に含まれるリチウムア
ルミノシリケート量は、望ましくは1重量%ないし99
重量%である。
【0014】焼結した基材の平均結晶粒径は、大きい場
合、基材のち密化が十分に行われずに、繊維の強化作用
が十分に発揮されず、しかも、その研削・研磨加工面も
粗いものとなる。したがって、基材の平均結晶粒径は、
望ましくは20μm以下であり、より望ましくは10μ
m以下である。
合、基材のち密化が十分に行われずに、繊維の強化作用
が十分に発揮されず、しかも、その研削・研磨加工面も
粗いものとなる。したがって、基材の平均結晶粒径は、
望ましくは20μm以下であり、より望ましくは10μ
m以下である。
【0015】基材を構成するカルシウムシリケートとし
ては、CaOをC、SiO2をSと略して表記した場合
に、CS、C2S、C3S、C3S2で示されるものを、単
独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのう
ち、CSのウォラストナイトが望ましく、さらに、この
ウォラストナイトには、αとβの二種類があるが、基材
の強度が大きくなるので、βのウォラストナイトが最も
望ましい。CSのウォラストナイトを用いる場合、C2
S、C3Sなどが含まれても構わないが、量的に多い
と、ち密化が損なわれるため、2重量%程度までが望ま
しい。
ては、CaOをC、SiO2をSと略して表記した場合
に、CS、C2S、C3S、C3S2で示されるものを、単
独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのう
ち、CSのウォラストナイトが望ましく、さらに、この
ウォラストナイトには、αとβの二種類があるが、基材
の強度が大きくなるので、βのウォラストナイトが最も
望ましい。CSのウォラストナイトを用いる場合、C2
S、C3Sなどが含まれても構わないが、量的に多い
と、ち密化が損なわれるため、2重量%程度までが望ま
しい。
【0016】基材を構成するもう一方のリチウムアルミ
ノシリケートとしては、Li2O、Al2O3、SiO2を
L、A、Sで略して表記した場合に、LAS2で示され
るユークリプタイト、LAS4で示されるスポジューメ
ン、あるいはスポジューメン固溶体、さらにはLAS8
で示されるペタライト(焼成によりスポジューメン固溶
体となる)などを、単独で用いても、二種以上を併用し
てもよい。これらのうちユークリプタイトに比べると、
スポジューメン、スポジューメン固溶体、ペタライトの
方がコスト面などで望ましい。スポジューメンにはα、
βの二種あるが、焼成によりαからβに転移するため、
始めからβのスポジューメンが最も望ましい。
ノシリケートとしては、Li2O、Al2O3、SiO2を
L、A、Sで略して表記した場合に、LAS2で示され
るユークリプタイト、LAS4で示されるスポジューメ
ン、あるいはスポジューメン固溶体、さらにはLAS8
で示されるペタライト(焼成によりスポジューメン固溶
体となる)などを、単独で用いても、二種以上を併用し
てもよい。これらのうちユークリプタイトに比べると、
スポジューメン、スポジューメン固溶体、ペタライトの
方がコスト面などで望ましい。スポジューメンにはα、
βの二種あるが、焼成によりαからβに転移するため、
始めからβのスポジューメンが最も望ましい。
【0017】また、繊維強化セラミックスの基材には、
不可避の不純物成分として、Fe2O3、TiO2、Mg
O、MnO、Na2O、K2O、P2O5などが2重量%前
後まで含まれていても構わない。また、本発明の繊維強
化セラミックスの密度は、理論密度の90%以上でなく
てはならない。これより少ない場合、空隙が増大するた
め、強度および靱性は低下する。
不可避の不純物成分として、Fe2O3、TiO2、Mg
O、MnO、Na2O、K2O、P2O5などが2重量%前
後まで含まれていても構わない。また、本発明の繊維強
化セラミックスの密度は、理論密度の90%以上でなく
てはならない。これより少ない場合、空隙が増大するた
め、強度および靱性は低下する。
【0018】先に説明した長繊維強化タイプのセラミッ
クスの焼成前の成形体の作製は、たとえば以下のように
行う。連続状の繊維あるいは繊維束を、たとえばエチル
アルコールなどの溶媒でスラリー状にした基材原料中を
通過させた後、溶媒を蒸発乾燥させることにより、基材
の原料粉末を繊維または繊維束表面に付着させ、この基
材の原料粉末が付着した繊維または繊維束を必要に応じ
て切断し、成形型に入れ、成形を行う。または、連続状
の繊維あるいは繊維束を成形型に配置し、スラリー状の
基材を含浸させて、成形を行う。
クスの焼成前の成形体の作製は、たとえば以下のように
行う。連続状の繊維あるいは繊維束を、たとえばエチル
アルコールなどの溶媒でスラリー状にした基材原料中を
通過させた後、溶媒を蒸発乾燥させることにより、基材
の原料粉末を繊維または繊維束表面に付着させ、この基
材の原料粉末が付着した繊維または繊維束を必要に応じ
て切断し、成形型に入れ、成形を行う。または、連続状
の繊維あるいは繊維束を成形型に配置し、スラリー状の
基材を含浸させて、成形を行う。
【0019】また、上記短繊維強化タイプのセラミック
スの焼成前の成形体は、繊維と基材原料を攪拌混合した
のち、成形型を用いて成形したり、スラリー状にして乾
燥させるなどの方法によって作製する。なお、繊維と基
材原料の攪拌混合は、乾式や湿式のボールミル、振動ミ
ル、高速回転ミルなどの粉砕機を用いることにより、均
質に混合できる。特に、機械的に強制攪拌を行う高速回
転ミルは、混合時間が短縮できるので、繊維の損傷が比
較的少なく、しかも、生産性を上げられるので望まし
い。さらに、長繊維強化タイプと同様に、不織布状にし
た繊維または繊維束を成形型に配置し、スラリー状の基
材を含浸させて、成形することもできる。
スの焼成前の成形体は、繊維と基材原料を攪拌混合した
のち、成形型を用いて成形したり、スラリー状にして乾
燥させるなどの方法によって作製する。なお、繊維と基
材原料の攪拌混合は、乾式や湿式のボールミル、振動ミ
ル、高速回転ミルなどの粉砕機を用いることにより、均
質に混合できる。特に、機械的に強制攪拌を行う高速回
転ミルは、混合時間が短縮できるので、繊維の損傷が比
較的少なく、しかも、生産性を上げられるので望まし
い。さらに、長繊維強化タイプと同様に、不織布状にし
た繊維または繊維束を成形型に配置し、スラリー状の基
材を含浸させて、成形することもできる。
【0020】上述したようなカルシウムシリケートとリ
チウムアルミノシリケートと強化繊維からなる成形体を
900〜1400℃で焼成する。焼成には、大気炉、真
空炉、雰囲気炉などを用いるが、必要に応じて加圧焼結
が可能なホットプレス炉や熱間静水圧加圧焼結炉なども
使用することができる。
チウムアルミノシリケートと強化繊維からなる成形体を
900〜1400℃で焼成する。焼成には、大気炉、真
空炉、雰囲気炉などを用いるが、必要に応じて加圧焼結
が可能なホットプレス炉や熱間静水圧加圧焼結炉なども
使用することができる。
【0021】焼成温度が900℃未満の場合、焼結体
は、ち密化しないため、密度が理論密度の90%以上に
ならず、強度、靱性ともに低下する。焼成温度が140
0℃を超える場合、焼結体中に発泡が生じやすく、同様
に密度が理論密度の90%以上にならず、また基材中の
粒成長が顕著となり、強度および靱性が低下する。
は、ち密化しないため、密度が理論密度の90%以上に
ならず、強度、靱性ともに低下する。焼成温度が140
0℃を超える場合、焼結体中に発泡が生じやすく、同様
に密度が理論密度の90%以上にならず、また基材中の
粒成長が顕著となり、強度および靱性が低下する。
【0022】
【実施例】以下に、本発明をより一層明確にするため、
表1を参照して、本発明の実施例およびこれに対する比
較例を説明する。
表1を参照して、本発明の実施例およびこれに対する比
較例を説明する。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例1)強化用繊維として、ステンレ
ス(SUS316)繊維を用いた。繊維の直径は20μ
mである。基材の原料は、カルシウムシリケート原料と
して天然のそむβウォラストナイト(CaO:46.2
重量%、SiO2:51.1重量%、その他:1.6重
量%、強熱減量1.1重量%)を、リチウムアルミノシ
リケート原料として天然のαスポジューメン(Li
2O:7.6重量%、Al2O3:26.5重量%、Si
O2:64.5重量%、その他:1.2重量%、強熱減
量0.2重量%)を用いた。
ス(SUS316)繊維を用いた。繊維の直径は20μ
mである。基材の原料は、カルシウムシリケート原料と
して天然のそむβウォラストナイト(CaO:46.2
重量%、SiO2:51.1重量%、その他:1.6重
量%、強熱減量1.1重量%)を、リチウムアルミノシ
リケート原料として天然のαスポジューメン(Li
2O:7.6重量%、Al2O3:26.5重量%、Si
O2:64.5重量%、その他:1.2重量%、強熱減
量0.2重量%)を用いた。
【0025】上記基材の原料すなわちβウォラストナイ
トとαスポジューメンを重量比で75:25となるよう
に計量し、水を溶媒としたアルミナ製ボールミルで2μ
mに粉砕した後、噴霧乾燥を行い、造粒粉とした。この
造粒粉と上記強化用繊維とを、完全にち密化した焼結体
における繊維含有率が20体積%となるように計量し、
高速回転型ミルを用いて混合し、繊維強化セラミックス
の原料の混合粉とした。この混合粉中の強化用繊維の長
さを顕微鏡で実測したところ、およそ2mmであった。
この混合粉を炭素製の型に入れ、焼成を行った。焼成に
はホットプレス炉を用い、真空下で20MPaの加圧を
行いながら、1050℃で15分間保持した。
トとαスポジューメンを重量比で75:25となるよう
に計量し、水を溶媒としたアルミナ製ボールミルで2μ
mに粉砕した後、噴霧乾燥を行い、造粒粉とした。この
造粒粉と上記強化用繊維とを、完全にち密化した焼結体
における繊維含有率が20体積%となるように計量し、
高速回転型ミルを用いて混合し、繊維強化セラミックス
の原料の混合粉とした。この混合粉中の強化用繊維の長
さを顕微鏡で実測したところ、およそ2mmであった。
この混合粉を炭素製の型に入れ、焼成を行った。焼成に
はホットプレス炉を用い、真空下で20MPaの加圧を
行いながら、1050℃で15分間保持した。
【0026】得られた焼結体から、ダイヤモンド砥石に
よる研削加工で、3×4×40mmの試験片を作製し、
この試験片について、曲げ試験装置(島津オートグラフ
AG2000)を用い、JIS R1601に基づき試
験片の曲げ強度を測定した。また、曲げ試験で得られた
荷重変位曲線の面積を求め、この値を破壊エネルギとし
て、焼結体の靱性評価を行った。また、焼結体の密度
は、アルキメデス法によって測定し、原料組成から算出
した理論密度で除して相対密度として評価した。さら
に、曲げ試験後の焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡で
観察し、基材の粒径を実測した。
よる研削加工で、3×4×40mmの試験片を作製し、
この試験片について、曲げ試験装置(島津オートグラフ
AG2000)を用い、JIS R1601に基づき試
験片の曲げ強度を測定した。また、曲げ試験で得られた
荷重変位曲線の面積を求め、この値を破壊エネルギとし
て、焼結体の靱性評価を行った。また、焼結体の密度
は、アルキメデス法によって測定し、原料組成から算出
した理論密度で除して相対密度として評価した。さら
に、曲げ試験後の焼結体の破断面を走査型電子顕微鏡で
観察し、基材の粒径を実測した。
【0027】それらの結果を表1に示す。実施例1で得
られた焼結体の曲げ強度は、300MPa、また破壊エ
ネルギは360J/m2と、高い強度および靱性を示し
た。また、焼結体の相対密度は98%、基材の粒径は2
〜3μmであった。
られた焼結体の曲げ強度は、300MPa、また破壊エ
ネルギは360J/m2と、高い強度および靱性を示し
た。また、焼結体の相対密度は98%、基材の粒径は2
〜3μmであった。
【0028】(実施例2)基材原料の一つであるリチウ
ムアルミノシリケートを、天然のαスポジューメンを予
め1200℃で焼成した作ったβスポジューメンに変
え、ボールミル粉砕による基材原料の粒径を0.4μm
とした他、焼成温度を表1に示した条件として、実施例
1と同様の手順で、焼結体の作製およびその評価を行っ
た。
ムアルミノシリケートを、天然のαスポジューメンを予
め1200℃で焼成した作ったβスポジューメンに変
え、ボールミル粉砕による基材原料の粒径を0.4μm
とした他、焼成温度を表1に示した条件として、実施例
1と同様の手順で、焼結体の作製およびその評価を行っ
た。
【0029】繊維強化セラミックスの原料混合粉中の強
化用繊維の長さを顕微鏡で実測したところ、5mmであ
った。そして、焼結体の相対密度は100%とよくち密
化しており、また、焼結した基材の粒径は0.4〜1μ
mであった。また、曲げ強度および破壊エネルギは、そ
れぞれ250MPaおよび140J/m2と、高強度、
高靱性を示した。
化用繊維の長さを顕微鏡で実測したところ、5mmであ
った。そして、焼結体の相対密度は100%とよくち密
化しており、また、焼結した基材の粒径は0.4〜1μ
mであった。また、曲げ強度および破壊エネルギは、そ
れぞれ250MPaおよび140J/m2と、高強度、
高靱性を示した。
【0030】(実施例3〜6)強化用繊維の種類、直径
および長さ、繊維含有率、基材および焼成条件が表1に
示した通りである他は、実施例1と同様にした。いずれ
の焼結体も、相対密度は93%以上であり、また、曲げ
強度および破壊エネルギは、それぞれ、370MPaお
よび1100J/m2(実施例3)、350MPaおよ
び1700J/m2(実施例4)、260MPaおよび
210J/m2(実施例5)、そして270MPaおよ
び180J/m2(実施例6)と、飛躍的に高い値を示
した。
および長さ、繊維含有率、基材および焼成条件が表1に
示した通りである他は、実施例1と同様にした。いずれ
の焼結体も、相対密度は93%以上であり、また、曲げ
強度および破壊エネルギは、それぞれ、370MPaお
よび1100J/m2(実施例3)、350MPaおよ
び1700J/m2(実施例4)、260MPaおよび
210J/m2(実施例5)、そして270MPaおよ
び180J/m2(実施例6)と、飛躍的に高い値を示
した。
【0031】(実施例7)強化用繊維をステンレス系繊
維と炭素繊維の併用とし、その他の条件を表1に示した
通りとして、実施例2と同様の手順で繊維強化セラミッ
クスの作製および評価を行った。複数種の強化用繊維を
用いることにより、本実施例の繊維強化セラミックス
は、表1に示すように強度、靱性ともに高い値を示し
た。
維と炭素繊維の併用とし、その他の条件を表1に示した
通りとして、実施例2と同様の手順で繊維強化セラミッ
クスの作製および評価を行った。複数種の強化用繊維を
用いることにより、本実施例の繊維強化セラミックス
は、表1に示すように強度、靱性ともに高い値を示し
た。
【0032】(実施例8〜9)強化用繊維に炭化ケイ素
系繊維および炭化ケイ素ウイスカーを用い、焼成を大気
雰囲気の常圧焼結とし、その他の条件は表1に示した通
りとして、実施例8は実施例1と、実施例9は実施例2
と同様にした。これらの実施例の繊維強化セラミックス
は、常圧焼結法で焼結させたにもかかわらず、相対密度
は92%以上とち密化しており、高い強度と靱性を示し
た。
系繊維および炭化ケイ素ウイスカーを用い、焼成を大気
雰囲気の常圧焼結とし、その他の条件は表1に示した通
りとして、実施例8は実施例1と、実施例9は実施例2
と同様にした。これらの実施例の繊維強化セラミックス
は、常圧焼結法で焼結させたにもかかわらず、相対密度
は92%以上とち密化しており、高い強度と靱性を示し
た。
【0033】(実施例10〜11)強化用繊維を炭素繊
維束(1繊維束は300本の繊維で構成)の平織りと
し、炭素製の成形型に強化用繊維とエチルアルコールで
スラリー状にした基材とを交互に重ねて成形体を作製
し、その他の条件を表1に示した通りとして、実施例1
と同様にして、繊維強化セラミックスを作製した。本実
施例の繊維強化セラミックスは、高い強度に加え、極め
て高い靱性を示した。
維束(1繊維束は300本の繊維で構成)の平織りと
し、炭素製の成形型に強化用繊維とエチルアルコールで
スラリー状にした基材とを交互に重ねて成形体を作製
し、その他の条件を表1に示した通りとして、実施例1
と同様にして、繊維強化セラミックスを作製した。本実
施例の繊維強化セラミックスは、高い強度に加え、極め
て高い靱性を示した。
【0034】(比較例1〜2)強化用繊維を用いずに、
また、基材および焼成温度を表1に示す条件とし、実施
例1と同様にして、焼結体を得た。これらの焼結体は、
ち密化はしているものの、強化繊維による強化作用がな
いため、強度、靱性ともに実施例には及んでいない。
また、基材および焼成温度を表1に示す条件とし、実施
例1と同様にして、焼結体を得た。これらの焼結体は、
ち密化はしているものの、強化繊維による強化作用がな
いため、強度、靱性ともに実施例には及んでいない。
【0035】(比較例3〜4)焼成温度を表1に示すよ
うに、温度を850℃(比較例3)および1450℃
(比較例4)とした以外は、実施例1と同様にして焼結
体を得た。比較例3のものは、焼成温度が低いため、相
対密度が86%で、ち密化しておらず、強度および靱性
ともに実施例にくらべて著しく劣る。比較例4のもの
は、焼成温度が高すぎたため、基材中に気泡が発生し、
強度、靱性ともに著しく低下した。
うに、温度を850℃(比較例3)および1450℃
(比較例4)とした以外は、実施例1と同様にして焼結
体を得た。比較例3のものは、焼成温度が低いため、相
対密度が86%で、ち密化しておらず、強度および靱性
ともに実施例にくらべて著しく劣る。比較例4のもの
は、焼成温度が高すぎたため、基材中に気泡が発生し、
強度、靱性ともに著しく低下した。
【0036】(比較例5〜6)基材をカルシウムシリケ
ートのみ(比較例5)およびリチウムアルミノシリケー
トのみ(比較例6)とし、また、焼成温度を表1に示す
温度とした以外は、実施例1と同様にして焼結体を得
た。これらのものは、相対密度が85%で、ち密化して
おらず、強度、靱性ともに実施例に比し著しく劣るもの
であった。
ートのみ(比較例5)およびリチウムアルミノシリケー
トのみ(比較例6)とし、また、焼成温度を表1に示す
温度とした以外は、実施例1と同様にして焼結体を得
た。これらのものは、相対密度が85%で、ち密化して
おらず、強度、靱性ともに実施例に比し著しく劣るもの
であった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、カルシウムシリケート
とリチウムアルミノシリケートを主体として、耐熱衝撃
性、断熱性、低熱膨張性などを必要とする幅広い用途に
優れた特性を有する酸化物セラミックスにおいて、さら
に強度および靱性を飛躍的に向上させることができた。
とリチウムアルミノシリケートを主体として、耐熱衝撃
性、断熱性、低熱膨張性などを必要とする幅広い用途に
優れた特性を有する酸化物セラミックスにおいて、さら
に強度および靱性を飛躍的に向上させることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三崎 紀彦 山口県小野田市大字小野田6276番地 秩父 小野田株式会社中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 無機繊維および金属繊維の少なくとも1
種以上の繊維で、カルシウムシリケートとリチウムアル
ミノシリケートが複合した結晶組織を主体とする基材を
強化してなり、かつ密度が理論密度の90%以上である
ことを特徴とする繊維強化セラミックス。 - 【請求項2】 無機繊維および金属繊維の少なくとも1
種以上の繊維と、カルシウムシリケートと、リチウムア
ルミノシリケートとを含む原料配合物を、成形し、これ
を900〜1400℃で焼成することを特徴とする請求
項1に記載の繊維強化セラミックスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10064557A JPH11240749A (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 繊維強化セラミックスおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10064557A JPH11240749A (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 繊維強化セラミックスおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11240749A true JPH11240749A (ja) | 1999-09-07 |
Family
ID=13261663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10064557A Pending JPH11240749A (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 繊維強化セラミックスおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11240749A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001089255A (ja) * | 1999-09-16 | 2001-04-03 | Sgl Technik Gmbh | 繊維束で強化された複合材料 |
JP2002173365A (ja) * | 2000-12-06 | 2002-06-21 | Kyocera Corp | リチウムアルミノシリケート系セラミックス |
CN114382813A (zh) * | 2021-12-27 | 2022-04-22 | 天宜上佳(天津)新材料有限公司 | 碳陶制动盘对偶刹车片用摩擦材料、制备方法及其用途 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60195064A (ja) * | 1984-03-15 | 1985-10-03 | 日本特殊陶業株式会社 | 繊維で強化された複合セラミックスの製造法 |
JPS63297278A (ja) * | 1987-05-08 | 1988-12-05 | コーニング グラス ワークス | 繊維強化セラミックスマトリックス合成物とその製法 |
JPS6479066A (en) * | 1987-09-22 | 1989-03-24 | Takenaka Komuten Co | Production of large-sized ceramic plate |
JPH0655394A (ja) * | 1992-05-18 | 1994-03-01 | Onoda Cement Co Ltd | 易加工性治具およびその製造方法 |
-
1998
- 1998-02-27 JP JP10064557A patent/JPH11240749A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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CN114382813A (zh) * | 2021-12-27 | 2022-04-22 | 天宜上佳(天津)新材料有限公司 | 碳陶制动盘对偶刹车片用摩擦材料、制备方法及其用途 |
CN114382813B (zh) * | 2021-12-27 | 2024-04-05 | 天宜上佳(天津)新材料有限公司 | 碳陶制动盘对偶刹车片用摩擦材料、制备方法及其用途 |
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