JPH11233095A - 電池用セパレーター - Google Patents

電池用セパレーター

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JPH11233095A
JPH11233095A JP10036879A JP3687998A JPH11233095A JP H11233095 A JPH11233095 A JP H11233095A JP 10036879 A JP10036879 A JP 10036879A JP 3687998 A JP3687998 A JP 3687998A JP H11233095 A JPH11233095 A JP H11233095A
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JP
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film
polymer
acrylamide
battery separator
separator
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JP10036879A
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English (en)
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Tokuji Miyashita
徳治 宮下
Yasuo Kaminami
康夫 神波
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池の高性能化に対応することができる超薄
膜であり、電解液親和性、イオン親和性、シャットダウ
ン特性等に優れた電池用セパレーターを提供する。 【解決手段】 高分子LB膜よりなる電池用セパレータ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高分子LB膜よりな
る電池用セパレーターに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、電気・電子機器には種々のタイプ
の電池が使用されているが、これら電池は、通常、電池
の正極と負極の間には短絡防止のために、フィルム状、
布状、板状のセパレータが使用されている。この電池用
セパレーターとしては、イオン透過性が高く、かつ、電
気抵抗が小さくするため、多孔状又は空隙の多い形状の
ものが望ましい。
【0003】また、リチウム電池では、電池の誤使用に
より、異常電流が流れ、電池内温度が上昇した場合に、
セパレーターができるだけ低い温度(シャットダウン温
度)で、孔又は空隙部分が無孔してイオン透過を遮断す
る性能や、同時に更に温度上昇があってもできるだけ高
い温度までセパレーターの形状が保持される性能が、特
に要求されている。更には、リチウム電池を充放電して
使用する際に、充電時には負極が膨潤し、放電時には正
極が膨潤するため、正負極に挟まれているセパレーター
が圧迫されることにより、セパレーター中に含まれる電
解液が絞り出され、セパレーターの電気抵抗が大きくな
り、サイクル特性が悪化し、遂には、電池の内部短絡の
危険性が高まるため、これをできるだけ防止できる性能
が要求される。
【0004】以上の電池用セパレーター(バッテリー・
セパレーター)としては、現在、主にポリオレフィンか
らなる膜が使用されている。これは、ポリオレフィン原
料からは、孔径が比較的シャープで、適当な孔径を有
し、しかもある程度の薄膜化された微多孔性フィルムが
得られるなどの利点による。一方、一つのモノマー分子
内に疎水性基と親水性基の両方を有する両親媒性物質が
水面上で単分子膜を形成させ、この単分子膜を固体基板
上に移し取り、それを幾層にも累積させた膜は一般にラ
ングミュアー−ブロジェット膜(以下「LB膜」と略記
する。)と呼ばれている。このLB膜は、膜厚を分子オ
ーダ−で制御でき、また、膜構造を分子オーダーで高度
制御することができるなどの点で注目されている。しか
しながら、LB膜の多くはに研究段階に留まっているの
が現状であり、LB膜を機能材料として応用する場合に
は、その機能を発揮させるために物理的性質に関する各
種の要求を満足する必要がある。具体的な要求として、
たとえば熱安定性、溶媒への不溶性、機械的強度および
膜の一様性の向上等があげられる。
【0005】上記のLB膜の問題を解決するための種々
の方法が検討されているが、その1つとして累積膜の重
合による高分子化が試みられている。例えば、特公平7
−31398号公報には、長鎖アルキル基で置換したN
−アルキル置換(メタ)アクリルアミド重合体の累積膜
及びそれを用いたレジストへの応用が報告されている。
また、該公報には、前記累積膜が、レジスト以外にも光
変調素子等の光集積回路、大面積太陽電池等の光電変換
装置、大面積低電圧パネルディスプレイ等のフォトクロ
ミック素子、光合成系模倣の光学素子、表面コーティン
グの分野に応用が可能であると記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のポリオレフィン
膜では、その原料のポリオレフィンや微孔形成剤の選
択、製造方法、あるいは膜の後処理などの手段による電
池用セパレータとしての性能改良について膨大な提案が
報告されている。しかしながら、電池用セパレータに対
する要求物性の高度化に対して、現状のポリオレフィン
膜では、その性能改良には限界があり、例えば、電池の
高性能化や電池サイズの縮小化に対応するためにより薄
膜化が要求されるが、膜強度、電解保持力、安全性など
の点で薄膜化にも限界がある。また、ポリオレフィン膜
では、通常、シャットダウン温度が130〜140℃
で、形状保持温度が150〜180℃であり、その差
(ΔT)が10〜50℃にすぎず、安全上の要求に十分
に対応することが困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した点
に鑑み、理想的な性能を有する電池用セパレーターにつ
いて鋭意検討した結果、高分子LB膜を用いることによ
り、いかなる所望物性にも対応できる電池用セパレータ
が実現しうることを見いだし、本発明に到達した。即
ち、本発明は高分子LB膜よりなる電池用セパレーター
に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の電池用セパレーターとして用いる累積膜を
構成する高分子の原料化合物としては、高分子LB膜を
形成しうるモノマーであれば特に制限はないが、一つの
分子内に疎水性基と親水性基の両方を有する両親媒性化
合物(両親媒性モノマー)が望ましい。
【0009】具体的には、ω−トリコセン酸、α−オク
タデシルアクリル酸等の高級不飽和脂肪酸、ステアリン
酸ビニル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オク
タデシルの等の高級脂肪酸エステルのカルボン酸部位ま
たはエステル部位に不飽和基を導入した化合物、N−ア
ルキル置換(メタ)アクリルアミドなどのビニル系両親
媒性物質の他、オクタジエン又はドコセジエンのような
ジエニル系両親媒性物質、あるいはジアセチレン系の両
親媒性物質等であるが、好ましくは、以下の一般式で表
されるN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドであ
る。
【0010】
【化2】
【0011】(但し、R1 は水素原子またはメチル基
を、R2 はアルキル基を示す。) このN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドでは、定
量的に重合反応が進行し、かつ、均一性の高い膜が得ら
れやすいという点において、アミド基に置換しているア
ルキル基(R2 )が、直鎖状のものが分枝状のものがよ
り好ましく、また、炭素数としては4〜30、特に6〜
24が好ましい。更に、アクリルアミド誘導体とメタク
リルアミド誘導体では、一般的にはアクリルアミド誘導
体の方が重合速度が速いという点でより好ましい。かか
るN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドとしては、
具体的には、N−ドデシルアクリルアミド、N−ドデシ
ルメタクリルアミド、N−テトラデシルアクリルアミ
ド、N−テトラデシルメタクリルアミド、N−ヘキサデ
シルアクリルアミド、N−ヘキサデシルメタクリルアミ
ド、N−オクタデシルアクリルアミド、N−オクタデシ
ルメタクリルアミド、N−エイコシルアクリルアミド、
N−エイコシルメタクリルアミド、N−ドコシルアクリ
ルアミド、N−ドコシルメタクリルアミド、N−テトラ
コシルアクリルアミド、N−テトラコシルメタクリルア
ミド等をあげることができる。なお、アルキル基(R2
)の一部がその他の置換基で更に置換されていてもよ
く、例えば、高分子膜の疎水性の調節等を目的としてフ
ッ素置換されたものも利用することができる。
【0012】以上のN−アルキル置換(メタ)アクリル
アミドは、通常、以下の2つの方法で製造できる。1つ
は、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極
性溶媒中水酸化カリウムの如き強塩基性物質の存在下で
(メタ)アクリルアミドとハロゲン化アルキルとを反応
させることにより製造する方法である。2つ目は(メ
タ)アクリル酸クロライドとアルキルアミンとの反応で
製造する方法である。
【0013】累積膜製造に供される両親媒性モノマーは
単一のものであってもよいが、累積膜の生成を損なわな
い範囲においては、累積膜の性質、例えば、電池用セパ
レ−タ−としての機械的強度、電導性、電解液に対する
親和性等を調整させるために2種以上の両親媒性モノマ
ーを併用してもよい。例えば、両親媒性モノマーとし
て、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドを主成分
として用いる場合、他の種類のN−アルキル置換(メ
タ)アクリルアミドやN−アルキル置換(メタ)アクリ
ルアミド以外の親油性モノマーを併用してもよい。親油
性モノマーとしては、N,N−ジ−n−プロピルアクリ
ルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘ
キシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルア
ミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オク
チルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリ
ルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導
体、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシ
メチルアクリルアミド、N−n−プロポキシメチルアク
リルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、
N−n−ブトキシメチルメタアクリルアミド、N−イソ
ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−オクトキシメ
チルアクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)
アクリルアミド誘導体、N,N−ジグリシジルアクリル
アミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−
(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4
−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−
グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グ
リシドキシヘキシル)アクリルアミド等のN−(ω−グ
リシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体、
エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジル
メタクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチ
レン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ブタジ
エン、イソプレン等が挙げられる。
【0014】また、共重合成分として、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの架橋性モノマーを用いること
により重合膜の強度をより向上させることもできる。更
に、電池用セパレーターで要求される性質を考慮した場
合、そのイオン透過性を改良させる手段として、共重合
モノマーとして金属イオン認識能を有する置換基を含む
ビニル系モノマーを用いるが効果的である。かかる金属
イオン認識能を有する置換基としては、クラウンエーテ
ル基、ポリオキシアルキレン基などが挙げられる。以上
のような共重合モノマーの使用量は全モノマー成分の通
常0.01〜10重量%である。
【0015】さて、上記のようなモノマーから高分子L
B膜の調製方法としては大きくは以下の三つの方法があ
る。 A)両親媒性モノマーを水面上に展開してモノマー単分
子膜を形成後、固体基板上に累積し、その後、光や熱で
モノマーLB膜を重合する。 B)予め溶液重合などにより両親媒性高分子を調製後、
水面上に展開して高分子単分子膜を形成し、その高分子
の単分子膜を固体基板上に累積する。 C)水面上に形成されたモノマー単分子膜を重合し、そ
の高分子単分子膜を累積する。
【0016】上記のうち、好ましくはAないしBの方法
であり、特に好ましくはBの方法である。Aの方法では
配向性のよいモノマーLB膜が得られるが、LB膜状態
という分子の運動性が規制された反応場で重合を行うた
め、定量的な重合がなされにくく、未反応モノマーが残
ったり、部分的な重合熱による歪や重合に伴う体積変化
にる歪みが生じ、比較的欠陥を有する重合LB膜が生じ
る。これに対して、Bの方法では、まず、両親媒性の高
分子を初めに得ることは比較的容易であり、共重合高分
子の累積膜である高分子LB膜を得る方法として有利で
ある。
【0017】以上の高分子LB膜の調製方法としてAの
方法を実施する場合は、一般に、初めにモノマーをを有
機溶媒に溶解し、その溶液を水面上に滴下し、単分子膜
を形成させる。次いで、該単分子膜をガラス板、シリコ
ン板等の基板上に後述するラングミュアー−ブロジェッ
ト法により累積し、該累積膜を重合して高分子LB膜を
製造する。モノマーを溶解する有機溶媒としては、該モ
ノマーを溶解するものでも水と相容するものでもよい
が、好ましくは水と相容しないものがよい。具体的に
は、該モノマーを溶解するものとして、エタノール等の
アルコール類、ベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族
類、テトラハイドロフラン、各種グライム等のエーテル
類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセ
トニトリル等のニトリル類、クロロホルム等の脂肪族ハ
ロゲン化炭化水素類等があげられる。溶解する時のモノ
マーの濃度は高すぎると分子同士が重なり合って単分子
膜の形成が困難となり、一方、濃度が低すぎると、単分
子膜を基板上に累積する際多大な時間を費やすことにな
るが、その濃度は通常10-4〜5×10-2mol/l、好まし
くは5×10-4〜10-2mol/lである。
【0018】次に、モノマー溶液を水面上に滴下すると
水面上に溶液が展開し、単分子膜が形成される。その
際、溶液の滴下量は単量体の濃度に大きく依存するの
で、概ね水面の広さ10cm平方当り5〜100μlで
ある。また、その際の温度は、通常0〜50℃の範囲、
好ましくは10〜30℃である。製造した単分子膜の性
質は、表面膜圧力計を使用し表面圧−面積曲線を測定す
ることにより特徴づけることができる。より具体的に
は、単分子膜の一端に表面張力計を他端に可動性のバー
を設置し、バーで徐々に膜を圧縮しながら膜の表面圧を
測定すればよい。そして、その時の膜の面積とその膜を
構成するモノマー分子の総数より、一分子当たりの占有
面積を算出し、表面圧と占有面積との関係をグラフにプ
ロットする。そのグラフで、固体凝縮膜に相当する部分
の曲線を占有面積の軸(通常、横軸)に外捜し、その交
点より、一分子当たりの占有面積を極限面積として算出
できる。
【0019】次に、上記した単分子膜をガラス、シリコ
ン等の基板上に累積する方法は種々考えられ、基板を水
平に保ちながら膜面に接近させて移し取る水平付着法等
があるが、ラングミュア−ブロジェット法の採用が好ま
しい。また、単分子膜ができることとそれが累積できる
こととは必ずしも一致するものでなく、具体的には
(1)累積する時、膜を圧縮してゆくので、その圧に耐
えられること、(2)累積すべき基盤との間に密着性を
有すること、(3)単分子膜の減少面積と基板に累積さ
れた膜面積が等しいことすなわち累積比が1であること
等の要件を満たす必要がある。従って、単分子膜と累積
膜とは同一に論じることはできない。
【0020】累積すべき基板は、板状であればその目的
に応じ多種類のものが使用できる。具体的には、シリコ
ン板、ガリウム−ひ素板、石英板、ガラス板、フッ化カ
ルシウム板等の水不溶性無機塩板、セラミック板、ポリ
アミド、ポリスルホン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、
アセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリフ
ェニレンオキシド、シリコーン樹脂等の高機能性樹脂等
があげられる。それらの基板をそのまま累積に使用でき
るが、より効果的に累積を行うには、その基板表面に疎
水化処理を施すことが好ましい。特に無機系の基板で
は、疎水化処理が極めて有用となる。疎水化処理の具体
的方法としては、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチ
ルジシラザン等のシランカップリング剤で表面処理する
方法と、ステアリン酸鉄のような高級脂肪酸塩を溶融し
てそれを該基板表面に塗布して処理する方法等がある。
【0021】次に、ラングミュア−ブロジェット法によ
り単分子膜を基板上に一層ずつ移し取る。具体的には膜
を固体状態に保ちながら、水面を切る方向に基板を上下
すると単分子膜が付着し、その操作を繰り返すことによ
り累積膜を得ることができる。一般に累積膜製造時にお
いて、基板の上昇及び下降のいずれの時にも膜が基板に
付着する場合(この時の膜をY膜と称する。)、基板の
下降時にのみ付着する場合(X膜)、基板の上昇時にの
み付着する場合(Z膜)の3つのケースがあり、それぞ
れに応じて3種の膜ができる。例えば、前記一般式で表
されるN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドの場合
には、安定性が最も優れているY膜を形成する。
【0022】具体的な累積膜の製造方法としては、ま
ず、所定濃度の単量体溶液を所定量水面上に滴下し、単
分子膜を形成させる。その際、有機溶媒が蒸発した後累
積を行った方が好ましいので、通常10分〜2時間その
ままの状態で放置しておく。ついで、単分子層の他端よ
り圧縮して膜の表面圧を所定の値に保ちながら、基板を
まず下降させ、ついで上昇させるという繰り返しを行っ
て基板上に膜を累積していく。累積する時の膜の表面圧
は表面圧−面積曲線よりその膜が固体凝縮膜を形成して
いる範囲の表面圧であればよい。但し、あまりその圧が
高すぎると膜構成分子が重なり合い、一方圧が低すぎる
と安定に累積できなくなるので、通常10〜40dyne/c
m、好ましくは15〜30dyne/cmである。また、累積す
る層の厚さは累積膜の用途により変化し、薄すぎると累
積の効果が表れず、また厚すぎても膜の性質が変化する
恐れがあるので、一概には言えないが、通常10〜10
00層である。
【0023】次に、上記のようにして製造した累積膜は
重合して高分子LB膜とし、各種用途に供することがで
きる。その時の重合方法としてラジカル重合で行うこと
が好ましい。ラジカル重合を開始させる方法として、重
合開始剤の存在下に該累積膜を加熱したり、もしくは該
累積膜に光、電子線、X線、放射線、レーザー光線等を
照射する方法を採用できる。
【0024】一方、前記の高分子LB膜の調製方法とし
てBの方法、即ち、予め溶液重合などにより両親媒性高
分子を調製後、水面上に展開して高分子単分子膜を形成
し、その高分子の単分子膜を固体基板上に累積する方法
においても、前記Aの方法で説明した重合条件、単分子
膜化、単分子膜の累積などの単位操作に準ずるものであ
る。
【0025】
【実施例】以下高分子LB膜が電池用セパレータとして
の優れた諸物性を有していることを示す実施例を示すこ
とにより、本発明を更に具体的に説明する。 実施例 N−ドデシルアクリルアミドポリマ−よりなる累積膜 1)ポリマ−の合成 N−ドデシルアクリルアミドモノマーをベンゼン中に
0.052mol/l の濃度で溶解し、これに開始剤として
2、2’−アゾビスイソブリロニトリル(AIBN)を
加えた。この液を、反応器に導入し、系内を窒素置換し
た後、60℃で6時間重合を行った。室温まで冷却後、
重合液よりベンゼンを留去した後、アセトニトリルを加
えポリマーを沈殿させ、その液を濾過して、ポリマーを
回収した。該ポリマーを減圧乾燥した後、クロロホルム
/アセトニトリル混液を用いて再沈殿させて精製した。
得られたポリマーの構造をH−NMR及びIRにより同
定した。また、GPC法による分子量測定(ポリスチレ
ン換算)を行ったところ、数平均分子量(Mn )が36
00であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw /M
n )が1.24であった。 2)単分子膜の調製 協和界面化学(株)製のHBM表面膜圧力計AP型を使
用し、19℃に保持した水槽中の水面上に上記ポリマー
の1×10-3mol/l濃度のクロロホルム溶液200μlを
静かに滴下し、膜を展開した。30分間放置して溶媒を
蒸発させた後、テフロンバリアにより一定速度で圧縮を
行い、膜面積より算出される1分子当たりの占有面積A
と表面圧πを測定し、その関係を図1に示した。図1よ
り、固体凝縮膜の部分の傾きを横軸に補外して極限面積
を求めると、28(Å)2 /分子となった。この占有
面積の値から、N−ドデシルアクリルアミドポリマー
(PDDA)が膜内でポリマー鎖を密にパッキングした
凝集状態で単分子膜を形成していることが推定できる。 3)累積膜の調製 基板としてステアリン酸鉄塗布処理したフッ化カルシウ
ムを使用して、その片面にN−ドデシルアクリルアミド
を320層まで累積した。累積を行う際、適宜、累積膜
の表面状態を微分干渉光学顕微鏡にて観察したが、膜面
に亀裂更には基板よりの剥離もなく、基板に密着した均
一な状態であった。 4)PDDAのLB膜の状態 PDDAのLB膜の累積状態を調べるために、PDDA
の各累積膜のUV吸収スペクトルをバリアン製Cary14型
紫外可視光吸収分光光度計により測定した結果を図2に
示す。また、カルボニル基による195nm付近の吸光
度と累積膜数の関係を図3に示す。図2、図3より累積
膜が均一になされていることが明らかである。また、カ
ルボニル基による195nm付近の吸光度につき、ラン
ベルト−ベールの法則に基づき、モル吸光係数ε=96
00を算出した。
【0026】更に、島津製作所(株)製のVD−1型X
線回折装置を用いて、累積膜のX線回折を行った。その
X線回折チャ−トを図4に示す。かかるX線回折のピ−
クを解析することにより累積膜1層の膜厚が1.74n
mであることがわかった。一方、LB膜の表面状態を検
討するためにLB膜表面の接触角を、ナカムラワ−クス
(株)製接触角計を用いて測定した。図5にはPDDA
累積膜の累積数と膜表面の接触角を示した他、アルキル
鎖長の異なるN−デシルアクリルアミド(PDA)とN
−テトラデシルアクリルアミド(PTDA)の各累積膜
のの累積数と膜表面の接触角も示した。比較のためにそ
れぞれのポリマ−のスピンコ−ト膜の接触角の値も同時
に示した。図5より、層数が奇数の時が偶数の時よりも
接触角が大きくなったいることわかる。これは、水面上
の単分子膜のY型に累積することにより疎水表面と親水
表面が交互に作られていることを意味するものである。
疎水性と親水性は、それぞれ、側鎖アルキル鎖とアミド
鎖によるものである。ポリマ−分子がランダムに配向し
ていると考えられるスピンコ−ト膜の接触角の値は、膜
が3層以上累積されているときの奇数層と偶数層の値の
中間値を取っている。以上のことから用いた3種類のア
ルキル鎖を有するポリマ−の累積膜は長鎖アルキル鎖と
アミド基を交互に表面に配向させた構造を取っているこ
とがわかる。また、3層以上の累積後の偶数、奇数によ
る変化は、3層以上の累積膜が均一で再現性のある表面
を形成しており、1層及び2層では固体表面上の凹凸等
の影響を受けているものと考えられる。かかる累積膜
は、電池用セパレ−タ−として、安定な構造の膜が得ら
れ、且つ、所望の厚さに調整することが可能である。 4)PDDAのLB膜のイオン透過性 インジウム−スズ酸化物(ITO)を蒸着した透明導電
性フィルム(ダイセル化学(株)製セレックK−LC)
(20mm×50mm×125μm)を基板として、P
DDA膜を累積したものを作用電極とし、対極として白
金線を用い、参照電極に飽和カラメル電極を用い、0.
1mol/l-KNO3 に1mmolのK3 Fe(CN)6 を溶解
した電解質溶液に用い、窒素雰囲気中で、サイクリック
ボルタンメトリーを測定した。作用電極上に累積した膜
を0、1、2及び4層とした場合について測定した結果
を図6に示す。この結果、層の累積によって鉄イオンの
酸化還元反応速度が大きく変化していることがわかる。
かかる累積膜は、電池用セパレ−タ−としては、膜の厚
さに調整することにより、所望のイオン伝導性を調整す
ることが可能である。 5)PDDAのLB膜の耐溶媒性 モノマーであるDDA,PDDA粉末及びPDDAのL
B膜(100層)につき、10分間、各溶媒に浸したと
きの溶解性を観察した結果を表−1に示す。ポリマーを
累積膜とするとDMFに対して不溶化しており、ランダ
ム状態のポリマーを累積膜として規則的配列にすると対
溶媒性が増加していると言える、また、累積膜にUV照
射するとベンゼン及びトルエンに対しても不溶化した。
かかる累積膜は、耐溶剤性に優れているので、非水系電
解液電池用セパレ−タ−としての使用が可能である。
【0027】
【表1】
【0028】6)PDDAのLB膜の耐熱性 ステアリン酸鉄塗布処理したフッ化カルシウム基板にP
DDA膜を160層累積して、60、80、100、1
20及び150℃で熱処理を行い、熱処理前後のIRス
ペクトルを透過法により測定した。熱処理温度に吸光度
が依存しなかったアミド〓の吸収強度を1.0として主
要ピークのの吸収強度を求めた、熱処理前の各々の相対
強度を1.0として熱処理温度に対してプロットした結
果を図7に示す。PDDAのガラス転移点は80℃、融
点は116℃であり、図7によれば、この間にプラトー
な領域が認められる。この領域の温度でアニ−リングし
ており、PDDALB膜内での自由空間の減少が起こっ
ていることが予想され、120℃以上ではPDDAが溶
解し始める。かかる累積膜の耐熱性は良好であり、電池
用セパレ−タ−としての高温時使用の際の高い安全性が
期待できる。
【0029】
【発明の効果】本発明の高分子LB膜からなる電池用セ
パレーターでは、電極表面に高分子による超薄膜が形成
され、電気抵抗を下げるとことができる。また、高分子
累積膜の原料の一部に機能性モノマーを用いることによ
り、電解液親和性やイオン親和性を更に改良することが
できる。更に、高分子LB膜の原料モノマーの分子量や
架橋度などを制御することにより、シャットダウン温度
や、ΔTのより大きなセパレーターが提供でき、電池の
高性能化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、N−ドデシルアクリルアミドポリマ
ー(PDDA)の単分子膜の表面圧と1分子当りの占有
面積との関係を示す図である。
【図2】 図2は、PDDAの各LB膜のUV吸収スペ
クトルを示す。
【図3】 図3はPDDAの各LB膜のUV吸収スペク
トル中のカルボニル基による195nm付近の吸光度と
LB積の関係を示す図である。
【図4】 図4は、PDDAのLB膜のX線回折図を示
す。
【図5】 図5は、PDDA、PDA、PTDAの各L
B膜の累積数と膜表面の接触角の関係を示す図である。
【図6】 図6は PDDAのLB膜を用いた電極での
サイクリックボルタンメトリーを示す図である。
【図7】 図7は、PDDAのLB膜の熱処理後の主要
IRピークの熱処理前との相対強度を温度に対してプロ
ットした結果を示す図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子LB膜よりなる電池用セパレータ
    ー。
  2. 【請求項2】 高分子LB膜が、単分子膜を累積し、次
    いで、重合してなる請求項1の電池用セパレーター。
  3. 【請求項3】 高分子LB膜が、単分子を重合し、得ら
    れた高分子の膜を累積してなる請求項1の電池用セパレ
    ーター。
  4. 【請求項4】 単分子が疎水性基と親水性基の両方を有
    する両親媒性化合物である請求項1〜3のいずれかの電
    池用セパレーター。
  5. 【請求項5】 高分子がN−アルキル置換(メタ)アク
    リルアミド重合体である請求項1〜4のいずれかの電池
    用セパレーター。
  6. 【請求項6】 高分子がN−アルキル置換(メタ)アク
    リルアミドと金属イオン認識能を有する置換基を含むビ
    ニル系モノマーの共重合体である請求項1〜5のいずれ
    かの電池用セパレーター。
  7. 【請求項7】 金属イオン認識能を有する置換基がクラ
    ウンエーテル基である請求項6の電池用セパレーター。
  8. 【請求項8】 金属イオン認識能を有する置換基がポリ
    オキシアルキレン基である請求項6の電池用セパレータ
    ー。
  9. 【請求項9】 N−アルキル置換(メタ)アクリルアミ
    ドが一般式 【化1】 (但し、R1 は水素原子またはメチル基を、R2 は炭素
    数4〜30のアルキル基を示す。)で表される請求項5
    〜8のいずれかの電池用セパレーター。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001093498A (ja) * 1999-09-24 2001-04-06 Nippon Muki Co Ltd 非水電解液電池用セパレータ
JP2013546147A (ja) * 2011-02-15 2013-12-26 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング ポリマー・イオノホア型セパレータ
JP2017042748A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 国立大学法人佐賀大学 層状ペロブスカイト薄膜の製造方法及びそれを用いたキャビティポラリトンレーザ

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