JPH11230286A - 無段変速用プーリ - Google Patents

無段変速用プーリ

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JPH11230286A
JPH11230286A JP21002495A JP21002495A JPH11230286A JP H11230286 A JPH11230286 A JP H11230286A JP 21002495 A JP21002495 A JP 21002495A JP 21002495 A JP21002495 A JP 21002495A JP H11230286 A JPH11230286 A JP H11230286A
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JP
Japan
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pulley
surface forming
shaft
continuously variable
diameter
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Katsuhisa Otsuka
勝久 大塚
Toshio Okamura
俊雄 岡村
Takeshi Maekawa
猛 前川
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/32Friction members
    • F16H55/52Pulleys or friction discs of adjustable construction
    • F16H55/56Pulleys or friction discs of adjustable construction of which the bearing parts are relatively axially adjustable
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/32Friction members
    • F16H55/52Pulleys or friction discs of adjustable construction
    • F16H55/54Pulleys or friction discs of adjustable construction of which the bearing parts are radially adjustable

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ベルトの耐久性を確保しにくくベルトの狭い
両側端面を挟持するためスリップ率が大きくトルク伝達
効率とトルク伝達性能を高めにくい。 【解決手段】 各プーリ体220L,220R は、相手側に向か
ってリニアに小径化するテーパコーン面を周方向に24
等分した部分テーパコーン面の1つおきの12の部分テ
ーパコーン面を形成する、断面形状が15°開角の扇形に
近い形状の12個のプーリ面形成部材230a,230b を有
し、プーリ体220L,220R は相対向状に軸方向に部分的に
ラップさせ且つ位相を15°ずらしてプーリ面形成部材が
交互に位置するように軸部材221 に装着され、プーリ面
形成部材の内側辺近傍部がスプライン軸部の溝に係合さ
れ、プーリ面形成部材の交差部には中実状の環状部237
が形成され、環状部の外周部の最小直径部とその軸方向
両側近傍部でベルト214 の内周面を受け、1対のプーリ
体間間隔を変えることで最小直径部の直径を変える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速用プーリ
に関し、特にベルトの両側端面ではなくベルトの内周面
を受ける構造の無段変速用プーリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ベルト方式の無段変速機として、
広幅Vベルトを2組の無段変速用プーリに掛装したもの
が実用化されている。図25に示すように、ベルト方式
の無段変速機300では、無段変速用プーリ301と、
無段変速用プーリ302とに広幅Vベルト303が掛装
され、無段変速用プーリ301は、軸部材304と、α
=75°のコーン面305aを有する固定プーリ305
と、同傾斜角のコーン状プーリ面306aを有する可動
プーリ306と、可動プーリ306を軸方向に移動駆動
するダイヤフラム式の流体圧アクチュエータ307を有
し、無段変速用プーリ302は、軸部材308と、同傾
斜角のコーン状プーリ面309aを有する固定プーリ3
09と、同傾斜角のコーン状プーリ面310aを有する
可動プーリ310と、可動プーリ310を固定プーリ3
09の方へ付勢するスプリング311を有する。
【0003】広幅Vベルト303は、無段変速用プーリ
301の1対のプーリ面305a,306a間に挟んだ
状態に掛装されるとともに、無段変速用プーリ302の
1対のプーリ面309a,310a間に挟んだ状態に掛
装される。両プーリ305,306間の間隔を小さくす
るとプーリ径が大きくなり、また、その間隔を大きくす
るとプーリ径が小さくなる。広幅Vベルト303のルー
プ長は一定であるため、無段変速用プーリ301のプー
リ径に応じて無段変速用プーリ302のプーリ径が自動
的に変化する。
【0004】広幅Vベルト303には、プーリ面305
a,306a、309a,310aからベルト幅方向向
きの強力な圧縮力が作用するため、広幅Vベルト303
としては、特別に圧縮強度を高めたベルトや、圧縮強度
と耐久性を高めた金属ベルトが適用されることもある。
【0005】一方、前記のような特殊な広幅Vベルトで
はなく、標準的なVベルトを適用できる無段変速用プー
リとして、図26に示すものも実用化されている。この
無段変速用プーリ320は、中継用プーリであり、Vベ
ルト321の為のプーリ径とVベルト322の為のプー
リ径とを変えることで変速する。この無段変速用プーリ
320は、前記同様の傾斜角のコーン状の第1プーリ面
323aと第2プーリ面323bとを有する一体的に連
結されたメーンプーリ323と、このメーンプーリ32
3に外装され同傾斜角のコーン状プーリ面324a,3
24bを有する可動プーリ324とを備え、標準的なV
ベルトであるVベ
【0006】ルト321,322の幅が小さいために、
プーリ面323aとプーリ面324aとの干渉、プーリ
面323bとプーリ面324bとの干渉が生じやすい。
そこで、その干渉を防止する為に、プーリ面323a,
323b,324a,324bの周方向複数個所に切込
み325とプーリ面形成部326が交互に形成され、プ
ーリ面形成部326を相手側のプーリ面の切込み325
に挿入させることにより、プーリ面323aとプーリ面
324a、プーリ面323bとプーリ面324bとが相
互に交差可能に構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図25に示す無段変速
用プーリにおいては、広幅Vベルトの内周面を支持する
構造ではなく、広幅Vベルトの両側端面を支持する構造
であるため、広幅Vベルトにベルト幅方向の強力な圧縮
力を作用させる必要がある。そのため、その圧縮力に耐
える特殊な構造の広幅Vベルトにする必要があること、
広幅Vベルトの両側端面が損傷し易くベルトの耐久性を
確保するのが難しいこと、ベルトとプーリとの接触面積
が小さいためスリップが生じやすいこと、ベルトの張力
が大きい場合には圧縮力も大きくなるためまたスリップ
も生じ易いため駆動力伝達効率が低下すること、等の問
題がある。
【0008】図26に示す無段変速用プーリも、前記同
様にVベルトの内周面を支持する構造ではなく、本質的
にVベルトの両側端面を支持する構造であり、前記と同
様に、ベルトとプーリとの接触面積が小さいためスリッ
プが生じやすいこと、ベルトの張力が大きい場合には圧
縮力も大きくなり駆動力伝達効率が低下すること、変速
比を大きくするには限界があること、等の問題がある。
本発明の目的は、ベルトの内周面を支持可能な無段変速
用プーリを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の無段変速用プ
ーリは、軸部材と、この軸部材に支持され少なくとも1
つのプーリ体が軸部材に対して相対回転不能な1対の相
対向するプーリ体であって、一方のプーリ体が軸方向に
移動自在の1対のプーリ体とを備え、各プーリ体は、軸
部材の軸心に対して軸部材の半径よりも大きな任意の所
定半径の部位から相手側プーリ体に向かってリニアに小
径化するテーパプーリ面を周方向に2n(但し、nは3
以上の任意の正の整数)等分した2n個の部分テーパプ
ーリ面のうちの1つおきのn個の部分テーパプーリ面を
形成するn個のプーリ面形成部材
【0010】を備え、各プーリ面形成部材は、テーパプ
ーリ面に対応する軸方向範囲において、軸部材と直交す
る各面における断面形状が、その各面における軸部材の
軸心から部分テーパプーリ面までの距離を半径とする円
を周方向に2n等分した扇形形状のうちの少なくとも外
周側部分を占める形状に形成され、一方のプーリ体のプ
ーリ面形成部材と他方のプーリ体のプーリ面形成部材と
は、軸方向に部分的にラップし且つ周方向に交互に位置
するように配置されて、それらの交差部に中実状の環状
部が形成され、1対のプーリ体は環状部の外周部に形成
される直径最小部とその軸方向両側近傍部とでベルトの
内周面を受けるように構成され、1対のプーリ体の軸方
向間隔を変えて直径最小部の直径を変えるように構成し
てある。
【0011】前記中実状の環状部は、一方のプーリ体の
n個のプーリ面形成部材と他方のプーリ体のn個のプー
リ面形成部とが交互に面接触状に位置して形成され、各
プーリ面形成部材の形状を前記のように構成してあるた
め、中実状の環状部は径縮小側へ変形しない剛性の高い
ものになる。しかも、少なくとも1つのプーリ体が軸部
材に対して相対回転しないので、中実状の環状部も軸部
材に対して相対回転しない。前記中実状の剛性の高い環
状部の外周部に形成される直径最小部とその軸方向両側
近傍部とでベルトの内周面を受けるため、ベルトの内周
面を強力に支持して、環状部とベルトとの間でトルクの
大小によらず確実にトルク伝達できる。
【0012】しかも、各プーリ体のプーリ面形成部材が
周方向に間欠的に存在するため、歯付きプーリとほぼ同
様にベルトのスリップが生じにくくなり、大きなトルク
を伝達が可能になり、トルク伝達効率とトルク伝達性能
に優れる。また、ベルトの内周面を受けるため、ベルト
にその幅方向の圧縮力を作用させる必要がなく、ベルト
には主に張力のみが作用することになるから、前記圧縮
力に耐える特殊構造のベルトではなく簡単な構造のベル
トを適用でき、ベルトの耐久性を確保できる。
【0013】ここで、前記プーリ面形成部材は、プーリ
本体と一体的に構成してもよいし、別体部品に構成して
プーリ本体に固着してもよい。各プーリ面形成部材は、
ロッド状に形成してもよく、ほぼ扇形断面形状の板状に
形成してもよい。また、テーパプーリ面の軸部材の軸心
に対する角度は、約75°以下にすることが望ましい
が、その角度を小さくする程無段変速用プーリの軸方向
長さが大きくなるので、軸方向長さの許容範囲内におい
て、前記角度を小さく設定するのが望ましい。
【0014】整数nは3以上であればよいが、プーリ面
形成部材をある程度まで細分化する為に8〜18程度と
することが望ましい。整数nが2以下の場合、各プーリ
体におけるプーリ面形成部材同士間の間隔が大きくなり
過ぎるため好ましくない。1対のプーリ体を軸部材に対
して相対回転不能に支持することが望ましいが、1対の
プーリ体は、両者のプーリ面形成部材を介して相対回転
不能の関係になっているので、少なくとも1つのプーリ
体だけを軸部材に対して相対回転不能に支持してもよ
い。
【0015】請求項2の無段変速用プーリは、軸部材
と、この軸部材に軸方向に移動自在に支持され少なくと
も1つのプーリ体が軸部材に対して相対回転不能な1対
の相対向するプーリ体とを備え、各プーリ体は、軸部材
の軸心に対して軸部材の半径よりも大きな任意の所定半
径の部位から相手側プーリ体に向かってリニアに小径化
するテーパプーリ面を周方向に2n(但し、nは3以上
の任意の正の整数)等分した2n個の部分テーパプーリ
面のうちの1つおきのn個の部分テーパプーリ面を形成
するn個のプーリ面形成部材を備え、各プーリ面形成部
材は、テーパプーリ面に対応する軸方向範囲において軸
部材と直交する各面における断面形状が、そ
【0016】の各面における軸部材の軸心から部分テー
パプーリ面までの距離を半径とする円を周方向に2n等
分した扇形形状のうちの少なくとも外周側部分を占める
形状に形成され、一方のプーリ体のプーリ面形成部材と
他方のプーリ体のプーリ面形成部材とは、軸方向に部分
的にラップし且つ周方向に交互に位置するように配置さ
れて、それらの交差部に中実状の環状部が形成され、1
対のプーリ体は環状部の外周部に形成される直径最小部
とその軸方向両側近傍部とでベルトの内周面を受けるよ
うに構成され、1対のプーリ体の軸方向間隔を変えて直
径最小部の直径を変えるように構成してある。1対のプ
ーリ体が軸方向に移動自在である点で、請求項1の発明
と異なるのみで、1対のプーリ体自体の構成は、請求項
1のものと同様であるので、プーリ体自体の構成として
は請求項1と同様である。
【0017】請求項3の無段変速用プーリは、請求項1
又は請求項2の発明において、各プーリ体は、n個のプ
ーリ面形成部材の大径側部分が固着され、軸部材に相対
回転不能に外嵌された環状部材を備えたものである。前
記環状部材はプーリ本体に相当するものであり、環状部
材を介してn個のプーリ面形成部材の大径側部分が相互
に固定関係になる。プーリ面形成部材を環状部材とは別
部品に構成してから環状部材に嵌合や溶接等により固着
してもよいし、また、環状部材とn個のプーリ面形成部
材を鋳造等の方法で一体的に構成してもよい。前記環状
部材を介して軸部材とn個のプーリ面形成部材が一体回
転するように構成してもよいし、これに加えて、n個の
プーリ面形成部材の軸部材側の部分を軸部材に相対回転
不能に係合してもよい。
【0018】請求項4の無段変速用プーリは、請求項3
の発明において、各プーリ体は、n個のプーリ面形成部
材の小径側端部が固着され、相手側のプーリ体のn個の
プーリ面形成部材の内側に配設されて軸部材に相対回転
不能に外嵌された筒状部材を備えたものである。前記筒
状部材はプーリ本体の一部に相当するものであり、筒状
部材を介してn個のプーリ面形成部材の小径側端部が相
互に固定関係になる。各プーリ面形成部材の大径側部分
と小径側端部とが環状部材と筒状部材とで両端支持され
るため、プーリ面形成部材の強度の面で有利である。
【0019】請求項5の無段変速用プーリは、請求項3
の発明において、各プーリ体の環状部材は、相手側のプ
ーリ体のn個のプーリ面形成部材の大部分を収容可能な
ほぼコーン状のリセスを有するものである。そのため、
プーリ径を大きくする為に1対のプーリ体間の間隔を小
さくしても、プーリ体と、相手側のプーリ体のプーリ面
形成部材とが干渉することがない。
【0020】請求項6の無段変速用プーリは、請求項3
の発明において、軸部材には軸方向に所定長さのスプラ
イン軸部が形成され、1対のプーリ体の各プーリ面形成
部材が軸部材に沿う内側辺を有する板状に形成されると
ともに各プーリ面形成部材の小径側端部が自由端に形成
され、少なくとも一方のプーリ体の各プーリ面形成部材
の内側辺の近傍部がスプライン軸部のスプライン溝に係
合されたものである。それ故、一方のプーリ体のプーリ
面形成部材と他方のプーリ体のプーリ面形成部材とが面
接触する交差部の面積が大きくなり、また、少なくとも
一方のプーリ体のプーリ面形成部材内側辺の近傍部がス
プライン溝に係合して軸部材に対して相対回転しなくな
るため、トルク伝達性能が高まる。
【0021】請求項7の無段変速用プーリは、請求項6
の発明において、各プーリ体の環状部材とn個のプーリ
面形成部材とが一体品に構成されたものである。各プー
リ面形成部材の断面形状が前記のような形状であるた
め、鋳造等の方法により、各プーリ体の環状部材とn個
のプーリ面形成部材とを一体品に構成できる。
【0022】請求項8の無段変速用プーリは、同心状か
つ相対向状に配設された1対のプーリ体であって少なく
とも一方のプーリ体が軸心方向に移動自在に支持された
1対のプーリ体を備え、各プーリ体は、その軸心に対し
て任意の所定半径の部位から相手側プーリ体に向かって
リニアに小径化するテーパプーリ面を周方向に2n(但
し、nは3以上の任意の正の整数)等分した2n個の部
分テーパプーリ面のうちの1つおきのn個の部分テーパ
プーリ面を形成するn個のプーリ面形成部材を備え、各
プーリ面形成部材は、テーパプーリ面に対応する軸心方
向範囲において
【0023】軸心と直交する各面における断面形状が、
その各面における軸心から部分テーパプーリ面までの距
離を半径とする円を周方向に2n等分した扇形形状のう
ちの少なくとも外周側部分を占める形状に形成され、一
方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプーリ体のプ
ーリ面形成部材とは、軸心方向に部分的にラップし且つ
周方向に交互に位置するように配置されて、それらの交
差部に中実状の環状部が形成され、1対のプーリ体は環
状部の外周部に形成される直径最小部とその軸心方向両
側近傍部とで、ベルトの内周面を受けるように構成さ
れ、1対のプーリ体の軸心方向間隔を変えて直径最小部
の直径を変えるように構成したものである。
【0024】ここで、各プーリ体自体の構成は、請求項
1のものと略同様であるので、略同様の作用が得られ
る。1対のプーリ体を必ずしも共通の軸部材に支持する
必要はなく、例えば、一方のプーリ体を第1軸部材に固
定して第1軸部材を介して回転可能に支持し、他方のプ
ーリ体を第2軸部材に固定して第2軸部材を介して回転
可能に支持した構成を適用できる。1対のプーリ体のプ
ーリ面形成部材が交差しているため、1対のプーリ体は
相対回転不能で、ベルトの内周面を支持して一体的に回
転することになる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。本実施形態は、無段変速機に本
発明を適用した場合の例であるが、最初に第1実施形態
について、図1〜図5を参照して説明する。図1〜図5
に示すように、この無段変速機1は、駆動側の無段変速
用プーリ2と、このプーリ2のプーリ径を変更する駆動
機構3と、従動側の無段変速用プーリ4と、このプーリ
4のプーリ径を変更する駆動機構5と、これらプーリ
2,4に掛装された無端ベルト6と、張力調整機構7
と、ケーシング8等を有する。
【0026】駆動側のプーリ2は、所定の長さのスプラ
イン軸部12を有する駆動軸11、このスプライン軸部
12に相対向状に外嵌された1対のプーリ体10L,1
0R、駆動軸11を支持する軸受け13,14等を有す
る。プーリ体10L,10Rは、金属材料(例えば、鋼
やアルミニウム合金など)で構成される。駆動軸11に
は入力軸が連結され、入力軸から駆動力が入力される。
【0027】プーリ体10L,10Rは、同じ構造のも
ので、軸方向に部分的にラップさせて相対向状に且つ位
相を15°ずらして交差状に設けられている。そこで、
プーリ体10Lを例にして説明する。プーリ体10L
は、スプライン軸部12にスプライン嵌合された大径の
第1環状部材15と、プーリ体10Rの内周側において
スプライン軸部12にスプライン嵌合された小径の第2
環状部材25(これが筒状部材に相当する)と、第1環
状部材15と第2環状部材25とに両端において固着さ
れ周方向に等間隔おきに配置された12本のプーリ面形
成部材30とを有する。
【0028】第1環状部材15は、環状部16と環状部
16の内周部からプーリ体10Rと反対側へ突出するコ
ーン部18と筒状部19とを一体形成したものであり、
コーン部18と筒状部19の内側には、プーリ体10R
の第2環状部材25及び12本のプーリ面形成部材30
(30b)の大部分を収容可能なほぼコーン状のリセス
20が形成され、筒状部19の外周面には角溝21が形
成されている。また、部品の段階において、第1環状部
材15の環状部16には、12本のプーリ面形成部材3
0の大径側端部を嵌合させる12個の嵌合溝17が周方
向に等間隔おきに形成されている(図4参照)。
【0029】第2環状部材25は、厚肉筒状の部材であ
り、部品の段階において、第2環状部材25の外周部に
は、12本のプーリ面形成部材30の小径側端部32を
嵌合させる12個の嵌合溝26が周方向に等間隔おきに
形成されている。12個のプーリ面形成部材30は、第
1環状部材15の環状部16の外周の部位から相手側プ
ーリ体10Rに向かってリニアに小径化するテーパプー
リ面を周方向に24等分した24個の部分テーパプーリ
面のうちの1つおきの12個の部分テーパプーリ面33
を形成している。
【0030】各プーリ面形成部材30は、テーパプーリ
面に対応する軸方向範囲おいて駆動軸11と直交する各
面における断面形状が、その各面における駆動軸11の
軸心から部分テーパプーリ面33までの距離を半径とす
る円を周方向に24等分した扇形形状のうちの少なくと
も外周側部分を占める形状(内外の2辺が円弧の台形状
の形状)に形成されている(図2、図5参照)。各プー
リ面形成部材30の大径側端部には嵌合溝17に嵌合し
て溶接等で固着される嵌合部31が形成され、小径側端
部には嵌合溝26に嵌合して溶接等で固着される嵌合部
32が形成されている。各プーリ面形成部材30の部分
テーパプーリ面33から駆動軸11の軸心までの角度θ
は45°であるが、この角度θは75°以下の任意の角
度、30〜60°に設定することが望ましい(図5参
照)。
【0031】プーリ体10Lのプーリ面形成部材30a
と、プーリ体10Rのプーリ面形成部材30aとは、軸
方向に部分的にラップし且つ周方向に交互に位置するよ
うに、駆動軸11に装着される。そこで、部品段階にお
いて、12個のプーリ面形成部材30a,30bの嵌合
部32を対応する第2環状部材25に夫々固着した2つ
の1次組立て体を製作し、プーリ体10L,10Rの2
つの1次組立て体を交差状に組合せてから、12個のプ
ーリ面形成部材30aの嵌合部31が第1環状部材15
に嵌合して固着され、同様に、12個のプーリ面形成部
材30bの嵌合部32が第1環状部材15に嵌合して固
着される。
【0032】図2,図3に示すように、プーリ面形成部
材30aとプーリ面形成部材30bとが交差するほぼ平
行四辺形の交差部には、隣接するプーリ面形成部材30
aとプーリ面形成部材30bとが面接触して中実状の環
状部35が形成され、この環状部35の外周部に直径最
小部36が形成され、この直径最小部36とその軸方向
両側近傍部とでベルト6の内周面を支持するように構成
されている。尚、直径最小部36の直径をプーリ径とい
うことにする。
【0033】但し、プーリ面形成部材30a,30b
は、図示のような角ロッド状ではなく、テーパの付いた
板状に形成してもよいし、また、各プーリ体10L,1
0Rにおけるプーリ面形成部材30a,30bの数は、
12に限定されるものではなく、3以上の任意の数にす
ることができるが、性能と製作コストの観点から8〜1
8程度とするのが望ましい。プーリ面形成部材30a,
30bの数を夫々2以下とすると、各プーリ体10L,
10Rにおけるプーリ面形成部材間の間隔が大きくなる
ため好ましくない。
【0034】次に、駆動機構3について説明する。駆動
機構3は、左ネジボールネジ軸41と右ネジボールネジ
軸42とをカプラ43で連結したボールネジ軸40と、
1対のボールネジナット44,47と、ボールネジナッ
ト44に固定されたフォーク部材45であってプーリ体
10Lの角溝21に摺動自在に係合したフォーク部46
を有するフォーク部材45と、ボールネジナット47に
固定されたフォーク部材48であってプーリ体10Rの
角溝21に摺動自在に係合したフォーク部49を有する
フォーク部材48と、軸受け50と、ロータリエンコー
ダ52を備えた電動モータ51と、電動モータ51の出
力軸53と左ネジボールネジ軸41とを連結するカプラ
54等を有する。
【0035】電動モータ51でボールネジ軸40を矢印
方向へ回転させると、その回転角度に比例する距離だ
け、1対のボールネジナット44,47が接近方向へ対
称に移動して直径最小部36の直径が増加し、その反対
に回転させると直径最小部36の直径が減少する。従っ
て、図示外の制御ユニットにより、ロータリエンコーダ
52からの検出信号に基づいて、電動モータ51を制御
することによりプーリ径を自由に制御することができ
る。
【0036】但し、前記駆動機構3は一例にすぎず、モ
ータ51とロータリエンコーダ52に代わりにステッピ
ングモータを適用したり、或いは、1対の流体圧アクチ
ュエータ(ダイヤフラム式アクチュエータや流体圧シリ
ンダ等)と、それら流体圧シアクチュエータの移動量又
は1対のプーリ体10L,10R間の距離を検出する検
出器と1対の流体圧アクチュエータを対称に同期して駆
動する流体圧供給系とを適用してもよい。
【0037】従動側の無段変速用プーリ4は、従動軸6
1と、従動軸61のスプライン軸部62に外嵌された1
対のプーリ体60L,60Rとを有する。プーリ体60
L,60Rは金属材料(例えば、鋼やアルミニウム合金
など)で構成される。従動軸61は、軸受け63,64
で支持され、従動軸61から駆動力を出力する出力軸6
8が、カプラ67により従動軸61に連結される。1対
のプーリ体60L,60Rの構造は、前記1対のプーリ
体10L,10Rの構造と同様で、同様に機能するので
その説明は省略する。但し、プーリ体60Lの第1環状
部材15、第2環状部材25、プーリ面形成部材30
a、プーリ体60Rの第1環状部材15、第2環状部材
25、プーリ面形成部材30bが図示されている。
【0038】従動側の無段変速用プーリ4の1対のプー
リ体60L,60Rを軸方向に移動駆動する駆動機構5
は、前記駆動機構3と同様の構造であるので説明を省略
するが、ボールネジ軸40A、フォーク部46A,49
A、電動モータ51A、ロータリエンコーダ52Aが図
示されている。但し、この駆動機構5も一例にすぎず、
前記同様の種々の駆動機構を適用できる。
【0039】張力調整機構7について説明する。ベルト
6は、ベルト6の伸びが発生していない状態において、
駆動側のプーリ2を最小のプーリ径とし、従動側のプー
リ4を最大のプーリ径にしたときに過不足のない長さに
設定される。このベルト長を前提とし、プーリ2のプー
リ径に応じてプーリ4のプーリ径が制御される。それ
故、張力調整機構7は、無段変速機1の使用に伴うベル
ト6の伸びを吸収する為のもので、テンションプーリ7
0と、テンションプーリ70の両端部を弾性付勢する1
対の引張スプリング71とを有する。各引張スプリング
71の他端は、ケーシング8に固定されたピン部材72
に連結されている。
【0040】ベルト6は、5角形断面の無端ベルトであ
り、ベルト6に作用する張力が大きい場合には、内部に
複数の無端ワイヤ等の補強部材を設けるものとする。ま
た、スリップ抑制の為に、ベルト6のラバー材料中に磁
性体の粉末を混合して磁化させた磁力を有するベルトに
構成し、その磁力でプーリ面形成部材30に吸着させさ
せるように構成してもよい。但し、ベルト6としては、
通常の構造のベルト以外に、伸びにくい金属製ベルトや
その他種々の構造のベルトを適用できる。尚、プーリ面
形成部材30a,30bの稜線部でベルト6の内周面が
損傷しないように、稜線部には半径0.5 〜1mm程度の
丸みを付けることが望ましい。ケーシング8は、軸受け
13,14,63,64を含む面で分割可能に構成して
あり、複数のボルト74により一体的に連結される。
【0041】以上説明した無段変速機1の作用について
説明する。駆動側のプーリ2のプーリ径を最小に設定
し、従動側のプーリ4のプーリ径を最大に設定すると減
速比が最大になり、その状態から前者のプーリ径を増加
させ、後者のプーリ径を減少させるのに応じて、減速比
が連続的に減少し、両者のプーリ径が等しくなると減速
比が1になる。その状態から前者のプーリ径を増加さ
せ、後者のプーリ径を減少させるのに応じて、増速比が
連続的に増大していく。
【0042】この無段変速機1では、駆動側のプーリ2
の1対のプーリ体10L,10Rを対称的に移動させ、
従動側のプーリ4の1対のプーリ体60L,60Rを対
称的に移動させるので、ベルト6の位置が軸方向に変動
することはない。プーリ体10L,10Rにおいて、プ
ーリ面形成部材30a,30bの両端部が、第1環状部
材15と第2環状部材25に夫々固定され、第1,第2
環状部材15,25がスプライン軸部12にスプライン
嵌合しているため、駆動軸11とプーリ面形成部材30
a,30bとの間でトルク伝達が確実になされ、プーリ
面形成部材30a,30bとベルト6と間でトルク伝達
が確実になされる。
【0043】プーリ面形成部材30a,30bが両端支
持されており、それらの交差部に中実状の環状部35が
形成されるため、プーリ面形成部材30a,30bが径
縮小側へ変形することなく、ベルト6の広い内周面を強
力に支持して大きなベルト張力に耐えつつ、大きなトル
クを伝達できる。しかも、テーパプーリ面の全長にわた
って、プーリ面形成部材30aもプーリ面形成部材30
bも夫々周方向に間欠的に配置されているため、歯付き
プーリとほぼ同様に、ベルト6とプーリ体10L,10
R間にスリップが発生しにくくなり、トルク伝達効率が
高まり、優れたトルク伝達性能が得られる。
【0044】プーリ体10L,10Rにより、ベルト6
の広い内周面を受ける構造であるため、ベルト6にその
幅方向の圧縮力を作用させる必要がなく、ベルト6には
主に張力のみが作用するからベルト6の耐久性を十分に
高めることができ、大きなトルクを伝達できる。尚、従
動側のプーリ4においても前記と同様の作用・効果が得
られる。それ故、この無段変速機1は、自動車用の無段
変速機として適用でき、その他種々の機械装置の無段変
速機として適用できる。尚、この無段変速機1の駆動機
構3,5の代わりに、後述の第4、第5実施形態と同様
に、プーリ体10L、プーリ体60Rを駆動軸に軸方向
移動不能に支持し、プーリ体60Lを圧縮スプリングに
よりプーリ体60Rの方へ付勢し、プーリ体10Rを流
体圧アクチュエータ(流体圧シリンダ式のアクチュエー
タ、ダイヤフラムアクチュエータ等)又はその他のアク
チュエータにより軸方向に移動駆動するように構成して
もよい。
【0045】次に、第2実施形態に係る無段変速機につ
いて説明する。図6、図7に示すように、この無段変速
機80は、駆動軸87と、プーリ径一定の駆動側プーリ
81と、従動側の無段変速用プーリ83と、このプーリ
83の為の駆動機構84と、駆動側プーリ81と従動側
のプーリ83とに掛装された無端ベルト85と、張力調
整機構86等を有する。駆動軸87は、1対の軸受け8
8,89により支持され、駆動力を入力する入力軸90
にカプラ91により連結されている。
【0046】駆動側プーリ81は、V形周面溝82を有
し、駆動軸87に外嵌して固定されている。従動側のプ
ーリ83は、従動軸61Bと、従動軸61Bのスプライ
ン軸部62Bに外嵌された1対のプーリ体97L,97
Rとを有し、前記実施形態における従動側の無段変速用
プーリ4と同様のものであるので、同構造の部品に同一
の符号を付して説明を省略する。尚、駆動側プーリ81
のプーリ径は、従動側のプーリ83の最小プーリ径とほ
ぼ同程度の大きさであり、この無段変速機80は主に減
速用のものである。
【0047】1対のプーリ体97L,97Rを軸方向に
対称に移動駆動する駆動機構84は、ボールネジ軸40
Bと、1対のボールネジナットと、1対のフォーク部4
6B,49Bを含むフォーク部材と、ロータリエンコー
ダ52B付きの電動モータ51Bを有し、前記実施形態
の駆動機構3,5と同様であるので説明を省略する。
【0048】張力調整機構86は、2つのアイドルプー
リ92,93、テンションプーリ94、1対のロッドレ
スエアシリンダ95,96を有する。2つの鍔付きのア
イドルプーリ92,93は、ケーシングに固定した支軸
に回転自在に枢着され、鍔付きのテンションプーリ94
を回転自在に支持する支軸の両端部は、1対のロッドレ
スエアシリンダ95,96の出力部材に夫々ピン結合さ
れ、テンションプーリ94は、1対のロッドレスエアシ
リンダ95,96により独立に張力付加方向へ付勢され
ている。尚、ケーシングは図示省略してある。
【0049】この無段変速機80のプーリ83において
も、1対のプーリ体97L,97Rのプーリ面形成部材
30a,30bが交差する交差部に、中実状の環状部3
5が形成されるため、通常の一体型のプーリと同様に機
能し、トルク伝達性能とスリップ抑制性能に優れる。こ
の無段変速用プーリ83の作用は前記無段変速機1の無
段変速用プーリ2,4と同様であるので説明を省略す
る。この無段変速機80では、駆動プーリ81を簡単な
構造の形状不変のプーリで構成するため、全体的に構成
が簡単化する。
【0050】次に、第3実施形態に係る無段変速用プー
リについて説明する。図8〜図11に示すように、この
無段変速用プーリ100は、所定の長さのスプライン軸
部102を有する軸部材101と、スプライン軸部10
2に軸方向移動自在に外嵌装着された1対のプーリ体1
10L,110Rと、1対のプーリ体110L,110
Rを軸方向に対称に移動駆動する駆動機構130とを有
し、軸部材101は、1対の軸受け105,106で支
持されている。
【0051】プーリ体110Lは、第1環状部材111
と、12個の略三角形の板状のプーリ面形成部材120
とを有し、テーパプーリ面の軸部材101の軸心に対す
る角度θは30°に設定されている。第1環状部材11
1は、環状部112と環状部112の内周部からプーリ
体110Rと反対側へ突出するコーン部115とスプラ
イン軸部102にスプライン嵌合した筒状部116とを
一体形成したもので、前記同様のリセス117も形成さ
れ、環状部112と12個の板状のプーリ面形成部材1
20の外周側端部の外周部には環状の角溝113が形成
されている。
【0052】各プーリ面形成部材120は、軸部材10
1の表面に沿う内側辺121を有し、その内側辺121
の近傍部にはスプライン軸部102のスプライン溝10
3の半幅部に係合する係合部122が形成され(図11
参照)、その係合部122がスプライン溝103の半幅
部に軸方向移動自在に係合している。各プーリ面形成部
材120の小径側端部は自由端に形成されている。図1
0に示すように、各プーリ面形成部材120は、テーパ
プーリ面に対応する軸方向範囲おいて軸部材101と直
交する各面における断面形状が、その各面における軸部
材101の軸心から部分テーパプーリ面123までの距
離を半径とする円を周方向に24等分した扇形形状のう
ちの大部分を占める形状に形成されている。各プーリ面
形成部材120の大径側端部には、環状部112の嵌合
溝114に嵌合して溶接等で固着される嵌合部124が
形成されている。尚、プーリ面形成部材120をコーン
部115の内面まで延長し、第1環状部材111と12
個のプーリ面形成部材120とをアルミニウム合金等の
材料を用いて金型鋳造等の方法で一体的に形成してもよ
い。
【0053】プーリ体110Rは、プーリ体110Lと
同様の構造であり、相対向状に且つ軸方向に部分的にラ
ップする状態に且つ15°位相を異ならせて軸部材10
1に装着されている。それ故、プーリ体110Lとプー
リ体110Rの交差部において、隣接するプーリ面形成
部材120aとプーリ面形成部材120bとが面接触し
て中実状の環状部125が形成され、この環状部125
の外周側に直径最小部126が形成され、この直径最小
部126とその軸方向両側近傍部とでベルト146の内
周面を支持する。テーパプーリ面の角度θを小さくする
と、交差部の接触面積が大きくなるため、大トルク伝達
用の無段変速用プーリに好適である。プーリ面形成部材
120a,120bの小径側端部が自由端に形成されて
いるため、無段変速用プーリが組立てる際に、各プーリ
体110L,110Rを組み立ててから、それらを軸部
材に簡単に組付けることができる。
【0054】駆動機構130は、左ネジボールネジ軸1
32と右ネジボールネジ軸133とをカプラ134で連
結したボールネジ軸131と、1対のボールネジナット
135,136と、ボールネジナット135に固定され
たフォーク部材137であって角溝113に摺動自在に
係合したフォーク部138を有するフォーク部材137
と、ボールネジナット136に固定されたフォーク部材
139であって角溝113に摺動自在に係合したフォー
ク部140を有するフォーク部材139と、軸受け14
1と、ロータリエンコーダ143を備えた電動モータ1
42と、電動モータ142の出力軸144と左ネジボー
ルネジ軸132とを連結するカプラ145等を有する。
この駆動機構130の作用は前記駆動機構3,5の作用
と同様であるので説明を省略する。
【0055】尚、この無段変速用プーリ100におい
て、一方のプーリ体110Lを軸部材101に軸方向移
動不能に装着し、他方のプーリ体110Rを軸部材10
1に軸方向移動自在に装着して電動モータや流体圧アク
チュエータ(流体圧シリンダ式アクチュエータやダイヤ
フラム式アクチュエータ等)を備えた駆動機構等で軸方
向に移動駆動するように構成してもよい。図12に示す
ように、一方のプーリ体110Lの各プーリ面形成部材
120aの内側辺121の近傍部をスプライン溝103
に係合させ、他方のプーリ体110Rの各プーリ面形成
部材120bの内側辺121をスプライン溝103に係
合させずにスプライン歯104の外面に当接させてもよ
い。プーリ体110L,110Rは、金属製に限らず、
強度に優れる合成樹脂材料で構成してもよい。
【0056】次に、第4実施形態の無段変速機について
説明する。図13〜図18に示すように、この無段変速
機150は、駆動側の無段変速用プーリ151と、この
プーリ151のプーリ径を変更する為の駆動機構152
と、従動側の無段変速用プーリ153と、プーリ151
とプーリ153とに掛装された無端ベルト154と、プ
ーリ151のプーリ径の変更に応じてプーリ153のプ
ーリ径を変更する弾性付勢機構155等を有する。
【0057】駆動側のプーリ151は、所定の長さのス
プライン軸部162を有する駆動軸161と、このスプ
ライン軸部162に軸方向に移動自在に外嵌された可動
プーリ体160Lと、スプライン軸部162に外嵌して
固定された固定プーリ体160Rと、駆動軸161を支
持する軸受け163,164等を有し、駆動機構152
は可動プーリ体160Lに対して固定プーリ体160R
と反対側に設けられている。
【0058】可動プーリ体160Lは、周方向に等間隔
おきに配置された12個の三角形の板状のプーリ面形成
部材170と、プーリ面形成部材170の大径側部分に
設けられた環状部171と、環状部171から固定プー
リ体160Rと反対側へ張出したコーン部172と、コ
ーン部172の小径側端部に連なる厚肉の筒状部173
とを、アルミニウム合金等の材料を用いて金型鋳造等の
方法で一体形成したものである。筒状部173がスプラ
イン軸部162にスプライン嵌合し、隣合うプーリ面形
成部材170aの間には、プーリ面形成部材170bの
大部分を収容可能な収容穴174が形成されている。つ
まり、12個の収容穴174がリセスに相当するもので
ある。12個のプーリ面形成部材170は、駆動軸16
1の表面に沿う内側辺を有し、図11に示したものと同
様に、その内側辺の近傍の係合部がスプライン軸部16
2のスプライン溝の半幅部に夫々係合されている。
【0059】前記実施形態のプーリ体と同様に、各プー
リ面形成部材170における、テーパプーリ面に対応す
る軸方向範囲おいて駆動軸161と直交する各面におけ
る断面形状が、その各面における駆動軸161の軸心か
ら部分テーパプーリ面175までの距離を半径とする円
を周方向に24等分した扇形形状の大部分を占める形状
に形成され、各プーリ面形成部材170の部分テーパプ
ーリ面175から駆動軸161の軸心までの角度θは約
40°である。但し、この角度θは75°以下の任意の
角度に設定してもよい。そして、各プーリ面形成部材1
70の小径側端部は自由端に形成されている。
【0060】固定プーリ体160Rは、可動プーリ体1
60Lと略同様の構造であり、同構造の部品に同一の符
号を付して説明するが、固定プーリ体160Rは可動プ
ーリ体160Lに対して、相対向状に且つ軸方向に部分
的にラップする状態に且つ15°位相を異ならせて駆動
軸161に装着され、筒状部173はスプライン軸部1
62にスプライン嵌合されるとともにビス184で駆動
軸161に固着されている。可動プーリ体160Lと、
固定プーリ体160Rとの交差部において、隣接するプ
ーリ面形成部材170aとプーリ面形成部材170bと
が面接触して、中実状の環状部176が形成され、この
環状部176の外周部に直径最小部177が形成され、
この直径最小部177とその軸方向両側近傍部とでベル
ト154の内周面が支持される。
【0061】図14に示すように、駆動機構152は、
可動プーリ体160Lを軸方向へ駆動して、プーリ15
1のプーリ径を変更する為のもので、ケーシング(図示
略)に固定された環状の油圧シリンダ178と、油圧シ
リンダ178の6本のピストンロッド194と可動プー
リ体160Lとを連結する連結機構179とを有する。
油圧シリンダ178のシリンダ本体190は、軸方向に
相対向状に設けられた1対の端板180,185と、径
の異なる2つの筒部材191,192とで構成されてい
る。筒部材191,192の両端部を端板181,18
5の環状溝に嵌合させ、端板181,185を8本のボ
ルト195とナット196とで連結してある。
【0062】シリンダ本体190の内部には、環状のピ
ストン部材193が、軸方向に摺動自在に装着され、ピ
ストン部材193に、6本のピストンロッド194が周
方向等間隔おきに突設されて、端板180の挿通孔18
1を挿通して延び、これらピストンロッド194の先端
部が、連結機構179を介して可動プーリ体160Lに
相対回転自在に連結されている。
【0063】図14に示すように、連結機構179は、
可動プーリ体160Lのコーン部172に外嵌固定され
た環状部材197と、各ピストンロッド194の先端部
に固着され周方向に所定の長さの係合部材198とで構
成され、係合部材198には、環状部材197の鍔部と
環状部171の間の環状溝に摺動自在に係合する係合部
199が設けられ、ピストン部材193と6本のピスト
ンロッド194が駆動されると、連結機構179を介し
て可動プーリ体160Lが軸方向に駆動され、プーリ1
51のプーリ径が変更される。
【0064】端板180は穴182を有し、プーリ15
1のプーリ径が最小の状態では、この穴182からシリ
ンダ本体190の内側へ、可動プーリ体160Lの筒状
部173とコーン部172の一部が突入する。端板18
0,185には、シリンダ本体190に油圧を供給する
為の油圧通路183,186が夫々形成され、油圧供給
源(図示略)から延びる1対の油圧ホース188,18
9は、端板185の穴187からシリンダ本体190の
内側へ延び、油圧通路183,186に接続されてい
る。
【0065】一方、図15に示すように、従動側のプー
リ153は、軸受け203,204で支持された従動軸
201と、従動軸201のスプライン軸部202に外嵌
して固定された固定プーリ体200Lと、スプライン軸
部202に軸方向へ移動自在に外嵌された可動プーリ体
200Rとを有し、固定プーリ体200Lは、固定プー
リ体160Rと同構造で、可動プーリ体200Rは可動
プーリ体160Lと同構造であるため、同構造の部品に
同一符号を付して説明を省略する。 但し、無端ベルト
154が軸161,201と直交するように、無段変速
用プーリ151と無段変速用プーリ153とが配設され
ている。尚、軸受け163,164,203,204は
ケーシングに支持され、駆動軸161と従動軸201の
端部はカプラにより入力軸、出力軸に夫々連結されてい
る。
【0066】弾性付勢機構155は、プーリ151のプ
ーリ径の変更に応じてプーリ153のプーリ径を変更す
る為のものであり、可動プーリ体200Rを固定プーリ
体200Lの方へ弾性付勢する圧縮スプリング209を
主体として構成されている。スプリング209は、可動
プーリ体200Rのコーン部172に外嵌固着されバネ
取付け溝206を有する環状のバネ受け部材205と、
従動軸201に固着されバネ取付け溝208を有する円
板部材207との間に装着されている。
【0067】プーリ151のプーリ径が大きくなる際に
は、無端ベルト154の張力により、ベルト154が右
方へ移動してプーリ153のプーリ径が小さくなり、プ
ーリ151のプーリ径が小さくなる際には、スプリング
209により、可動プーリ体200Rが固定プーリ体2
00Lの方へ駆動されてプーリ153のプーリ径が大き
くなる。
【0068】この無段変速機150によれば、第1〜3
実施形態の無段変速機と略同様の作用・効果が得られる
が、プーリ体160L,160R,200L,200R
は略同様の構造であり、各プーリ体は、12個の板状の
プーリ面形成部材170と、環状部171と、コーン部
172と、筒状部173とを一体形成したものであるた
め、これらプーリ体をアルミニウム合金等の材料を用い
て金型鋳造等の方法で簡単に安価に製作できる。しか
も、プーリ体のプーリ面形成部材170の小径側の端部
が自由端であるため、1対のプーリ体を軸部材に組付け
る際にも、簡単に組付けることができる。尚、プーリ1
51を従動側プーリとし、プーリ153を駆動側プーリ
としてもよい。また、プーリ体を強度に優れる合成樹脂
材料で構成してもよい。
【0069】次に、第5実施形態の無段変速機210に
ついて説明する。図19〜図21に示すように、この無
段変速機210は、駆動側の無段変速用プーリ211
と、このプーリ211のプーリ径を変更する為の駆動機
構212と、従動側の無段変速用プーリ213と、プー
リ211とプーリ213とに掛装された無端ベルト21
4と、プーリ211のプーリ径の変更に応じてプーリ2
13のプーリ径を変更する為の弾性付勢機構215等を
有する。
【0070】図20に示すように、駆動側のプーリ21
1は、所定の長さのスプライン軸部222を有する駆動
軸221と、このスプライン軸部222に軸方向に移動
自在に外嵌された可動プーリ体220Lと、スプライン
軸部222に外嵌して軸方向移動不能に固定された固定
プーリ体220Rと、駆動軸221を支持する軸受け2
23,224等を有し、駆動機構212は可動プーリ体
220Lに対して固定プーリ体220Rと反対側に設け
られている。
【0071】可動プーリ体220Lは、周方向に等間隔
おきに配置された12個の板状のプーリ面形成部材23
0と、プーリ面形成部材230の大径側端部に連なる環
状部232とを、アルミニウム合金等の材料を用いて金
型鋳造等の方法で一体形成したものである。各プーリ面
形成部材230は、駆動軸221の表面に沿う内側辺を
有し、前記図11に示したものと同様に、その内側辺の
近傍の係合部がスプライン軸部222のスプライン溝の
半幅部に係合されている。環状部232には環状の角溝
234が形成され、可動プーリ体220Lの隣合うプー
リ面形成部材230aの間には、固定プーリ体220R
のプーリ面形成部材230bの大部分を収容可能な収容
穴235が形成され、各収容穴235は開口235aで
開口している。
【0072】各プーリ面形成部材230は、テーパプー
リ面に対応する軸方向範囲おいて駆動軸221と直交す
る各面における断面形状が、その各面における駆動軸2
21の軸心から部分テーパプーリ面231までの距離を
半径とする円を周方向に24等分した扇形形状の大部分
を占める形状に形成され、各プーリ面形成部材230の
部分テーパプーリ面231から駆動軸221の軸心まで
の角度θは50°である。但し、前記実施形態と同様
に、この角度θは75°以下の任意の角度に設定しても
よい。また、各プーリ面形成部材230の小径側端部は
自由端に形成されている。
【0073】固定プーリ体220Rは、可動プーリ体2
20Lと略同様の構造であるが、固定プーリ体220R
には、環状部232から可動プーリ体220Lと反対側
へ張出したコーン部236が一体的に形成されている。
固定プーリ体220Rの隣合うプーリ面形成部材230
bの間には、可動プーリ体220Lのプーリ面形成部材
230aの大部分を収容可能な収容穴238が形成さ
れ、各収容穴238はコーン部236の内側まで延びて
いる。固定プーリ体220Rは、可動プーリ体220L
に対して、相対向状に且つ軸方向に部分的にラップする
状態に且つ15°位相を異ならせて駆動軸221に装着
され、コーン部236の小径側端部を駆動軸221のス
プライン軸部222と軸受け224との間に固定して、
固定プーリ体220Rが軸方向へ移動不能に装着されて
いる。尚、コーン部236の小径側端部をスプライン軸
部222に嵌合し、軸方向へ移動しないように位置規制
してもよい。
【0074】可動プーリ体220Lと、固定プーリ体2
20Rとの交差部には、隣接するプーリ面形成部材23
0aとプーリ面形成部材230bとが面接触して、中実
状の環状部237が形成され、この環状部237の外周
部に直径最小部238が形成され、この直径最小部23
8とその軸方向両側近傍部とでベルト214の内周面を
支持している。
【0075】図20に示すように、駆動機構212は、
可動プーリ体220Lを軸方向へ駆動してプーリ211
のプーリ径を変更する為のもので、軸受け223と環状
部232の外周側部分との間に周方向に120°間隔お
きに配設された3本の油圧シリンダ240と、各油圧シ
リンダ240のピストンロッド241の先端部と可動プ
ーリ体220Lを連結する為の連結部材244と、各連
結部材244を軸方向へガイドするガイド部材248等
を有する。
【0076】油圧シリンダ240の基端部は、ブラケッ
ト242を介して軸受け223のケースにピン結合さ
れ、油圧シリンダ240のピストンロッド241の先端
部が連結部材244に連結されている。連結部材244
は、連結部245と、係合部246と、ガイド部247
を備え、ピストンロッド241の先端部の連結金具24
3が連結部245にピン結合され、係合部246が角溝
234に摺動自在に係合され、ガイド部247がガイド
部材248のT溝に軸方向へ移動自在に案内されてい
る。ガイド部材248は、軸方向に所定長さを有し、ケ
ーシングに固定されている。尚、図示省略したが、各油
圧シリンダ240の2つの油圧ポートは、図示外の油圧
供給源に接続され、油圧供給源の流量制御弁や方向切換
弁を図示外の制御ユニットで制御することにより、3本
の油圧シリンダ240が同期して同方向へ駆動される。
【0077】図21に示すように、従動側の無段変速用
プーリ213は、軸受け253,254で支持された従
動軸251と、従動軸251のスプライン軸部252に
外嵌して固定された固定プーリ体250Lと、スプライ
ン軸部252に軸方向へ移動自在に外嵌された可動プー
リ体250Rとを有し、固定プーリ体250Lは固定プ
ーリ体220Rと同構造であり、可動プーリ体250R
は可動プーリ体220Lとほぼ同構造であるので、同構
造の部品に同一符号を付して説明を省略する。但し、プ
ーリ211,213に掛装される無端ベルト214が従
動軸251と直交するように、プーリ211,213が
配設されている。尚、軸受け223,224,253,
254はケーシングに支持されており、駆動軸221及
び従動軸251の端部は、カプラにより駆動入力軸、出
力軸に夫々連結されている。
【0078】弾性付勢機構215は、可動プーリ体25
0Rを固定プーリ体250L側へ付勢する圧縮スプリン
グ265を有し、無端ベルト214の張力と、スプリン
グ265の付勢力によって、プーリ213のプーリ径が
変更される。スプリング265は、可動プーリ体250
Rの環状部232と、従動軸251に固定された円板部
材261間に装着され、スプリング265の一端部は、
環状部232に固着されたリング部材260の内部に嵌
まり、スプリング265の他端部は、円板部材261の
環状溝263に嵌合されている。 尚、円板部材261
には、厚肉の筒状部262が一体形成されており、この
筒状部262がビス264で従動軸251に軸方向移動
不能に固定されている。
【0079】以上説明した無段変速機210によれば、
第4実施形態のものと同様の作用・効果が得られるが、
プーリ体220L,220R,250L,250Rの構
造がより簡単化され、製作コストを低減できる。尚、プ
ーリ211を従動側プーリとし、プーリ215を駆動側
プーリとしてもよい。また、プーリ体を強度に優れる合
成樹脂材料で構成してもよい。尚、可動プーリ体220
L、250Rにも、必要に応じてコーン部を一体形成し
てもよい。
【0080】次に、第6実施形態に係る無段変速用プー
リについて図22を参照して説明する。この無段変速用
プーリ270は、同心状かつ相対向状に配設された1対
のプーリ体271L,271Rを備え、可動プーリ体2
71Lの環状部材272には軸部材273が一体的に連
結され、この軸部材273は軸受け274に回転自在且
つ軸方向に移動自在に支持され、固定プーリ体271R
の環状部材272には軸部材275が一体的に連結さ
れ、この軸部材275は軸受け276に回転自在に且つ
軸方向移動不能に支持されている。
【0081】各プーリ体271L,271Rは、軸心2
77に対して任意の所定半径の部位から相手側プーリ体
271R,271Lに向かってリニアに小径化するテー
パプーリ面を周方向に24等分した24個の部分テーパ
プーリ面のうちの1つおきの12個の部分テーパプーリ
面278を形成する12個のプーリ面形成部材279を
備えている。各プーリ面形成部材271L,271R
は、テーパプーリ面に対応する軸心方向範囲おいて軸心
277と直交する各面における断面形状が、その各面に
おける軸心から部分テーパプーリ面278までの距離を
半径とする円を周方向に24等分した扇形形状にほぼ近
い形状に形成されている。
【0082】可動プーリ体271Lのプーリ面形成部材
279aと固定プーリ体271Rのプーリ面形成部材2
79bとは、軸心方向に部分的にラップし且つ周方向に
交互に位置するように配置されて、それらの交差部に中
実状の環状部280が形成され、1対のプーリ体271
L,271Rは環状部280の外周部に形成される直径
最小部282とその軸心方向両側近傍部とで、ベルト2
81の内周面を受けるように構成され、可動プーリ体2
71Lと固定プーリ体271Rの軸方向間隔を変えて直
径最小部282の直径を変えるように構成してある。但
し、可動プーリ体271Lを軸心方向に移動駆動する駆
動機構としては、前記実施形態と同様に、電動モータ式
アクチュエータや流体圧アクチュエータを主体とする駆
動機構を適用できる。
【0083】軸心277に対して所定半径の位置におい
て、各プーリ面形成部材279a,279bの一方の面
には軸心方向向きの細い係合溝が形成されるとともに他
方の面にはその形成溝に嵌合するサイズの係合凸条が軸
心方向向きに形成され、隣接して面接触するプーリ面形
成部材279a,279bの係合溝に係合凸条が係合さ
れている。それ故、12組の係合溝と係合凸条とからな
る係合機構により、ベルト281から作用する張力に耐
える構造となる。尚、可動プーリ体271Lを軸部材2
73と軸受け274とで軸心方向に移動自在に支持する
代わりに、可動プーリ体271Lの環状部材272の環
状部272aにスプライン歯を形成し、スプライン内歯
を有する筒体の内部に可動プーリ体271Lを係合させ
て軸方向に移動自在に支持してもよい。尚、両方のプー
リ体271L,271Rを軸心方向に移動自在に構成し
てもよい。
【0084】次に、第7実施形態に係る無段変速用プー
リについて、図23、図24を参照しつつ説明する。こ
の無段変速用プーリは、基本的には、第5実施形態のも
のと同様の1対のプーリ体を備えているので、異なる構
成についてのみ説明する。図23に示すように、各プー
リ体285の例えば18個のプーリ面形成部材286の
各々は、軸方向から視て開角36°の扇形をなしてい
る。各プーリ体285の最大径側の部分では、隣接する
プーリ面形成部材286間の周方向間隔が大きくなる。
そこで、その間隔を小さくする為に、隣接するプーリ面
形成部材286間に補助プーリ面形成部材287が設け
られ、補助プーリ面形成部材287は環状部材288の
環状部288aに一体形成されている。補助プーリ面形
成部材287は、プーリ体285の外周部から約1/2
半径の位置に達するもので、軸方向から視てほぼ扇形を
なし、テーパコーン面の一部を形成し、内側辺は軸部材
298と平行に形成してある。
【0085】各プーリ面形成部材286には、相手側の
プーリ体の補助プーリ面形成部材287が嵌まる収容部
290が形成され、収容部290は軸方向から視てほぼ
扇形をなし、収容部290に相手側のプーリ体の補助プ
ーリ面形成部材286が挿入されたとき、一方のプーリ
体285と他方のプーリ体285との交差部に前記実施
形態と同様に中実状の環状部が形成されるように構成さ
れている。こうして、隣接するプーリ面形成部材286
間の周方向間隔を小さくし、トルク伝達を滑らかにする
ことができる。
【0086】
【発明の効果】請求項1の無段変速用プーリにおいて
は、相対向する1対のプーリ体のうちの一方のプーリ体
だけが軸部材に軸方向移動自在に支持してあり、少なく
とも1つのプーリ体が軸部材に対して相対回転不能であ
る。各プーリ体は、軸部材の軸心に対して軸部材の半径
よりも大きな任意の所定半径の部位から相手側プーリ体
に向かってリニアに小径化するテーパプーリ面を周方向
に2n(但し、nは3以上の任意の正の整数)等分した
2n個の部分テーパプーリ面のうちの1つおきのn個の
部分テーパプーリ面を形成するn個のプーリ面形成部材
を有する。
【0087】つまり、各プーリ体が周方向等間隔おきの
n個のプーリ面形成部材を有し、一方のプーリ体のプー
リ面形成部材と他方のプーリ体のプーリ面形成部材と
は、軸方向に部分的にラップし且つ周方向に交互に位置
するように配置され、各プーリ面形成部材は、テーパプ
ーリ面に対応する軸方向範囲において軸部材と直交する
各面における断面形状が、その各面における軸部材の軸
心から部分テーパプーリ面までの距離を半径とする円を
周方向に2n等分した扇形形状のうちの少なくとも外周
側部分を占める形状に形成されている。
【0088】従って、一方のプーリ体を軸方向に移動さ
せることにより、1対のプーリ体の軸方向間隔を変える
ことで、直径最小部の直径を変えることが可能である
が、直径最小部の直径を変える際にベルトは軸方向に移
動する。一方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプ
ーリ体のプーリ面形成部材とが交差する交差部では、一
方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプーリ体のプ
ーリ面形成部材とが面接触状になり、その交差部には中
実状の高剛性の環状部が形成される。それ故、1対のプ
ーリ体の環状部の外周部に形成される直径最小部とその
軸方向両側近傍部とでベルトの内周面を受けて回転する
とき、前記環状部は、通常の一体型のプーリと同様に中
実状の環状を保持してベルトとの間でトルク伝達を行
う。
【0089】このように、ベルトの内周面を受ける構造
の無段変速用プーリであるので、ベルトに幅方向の圧縮
力を作用させることなく、ベルトの内周面に作用する摩
擦力を介してトルク伝達が可能になる。それ故、トルク
伝達効率を高め、ベルトの構造を簡単化でき、ベルトの
耐久性を格段に高めることができる。しかも、ベルトの
広い内周面を介してトルクを伝達するため、トルク伝達
性能を高めることができるうえ、各プーリ体のn個のプ
ーリ面形成部材がテーパプーリ面の全長にわたって周方
向に間欠的に存在するので、歯付きプーリと同様にスリ
ップ抑制作用が得られ、トルク伝達効率、トルク伝達性
能が向上する。
【0090】請求項2の無段変速用プーリにおいては、
軸部材と、この軸部材に軸方向に移動自在に支持され且
つ少なくとも1つのプーリ体が軸部材に相対回転不能な
相対向する1対のプーリ体とを備え、各プーリ体の構成
及びその他の構成は、請求項1と同様であるので、基本
的に請求項1の発明と同様の効果が得られる。但し、両
方のプーリ体を軸方向に対称に移動させて1対のプーリ
体の軸方向間隔を変えることで、直径最小部の直径を変
えるので、直径最小部の直径を変える際にベルトは軸方
向に移動しない。
【0091】請求項3の無段変速用プーリにおいては、
請求項1又は請求項2と同様の効果を奏するが、各プー
リ体は、n個のプーリ面形成部材の大径側部分が固着さ
れ、軸部材に相対回転不能に外嵌された環状部材を備え
たので、環状部材を介してプーリ面形成部材と軸部材間
でトルク伝達が可能である。
【0092】請求項4の無段変速用プーリにおいては、
請求項3と同様の効果を奏するが、各プーリ体は、n個
のプーリ面形成部材の小径側端部が固着され、相手側の
プーリ体のn個のプーリ面形成部材の内側に配設されて
軸部材に相対回転不能に外嵌された筒状部材を備えたの
で、各プーリ面形成部材の両端部を環状部材と筒状部材
とで支持することができ、プーリ面形成部材の強度面で
有利となり、プーリ面形成部材と軸部材間のトルク伝達
性能が向上する。
【0093】請求項5の無段変速用プーリにおいては、
請求項3と同様の効果を奏するが、各プーリ体の環状部
材は、相手側のプーリ体のn個のプーリ面形成部材の大
部分を収容可能なほぼコーン状のリセスを有するので、
1対のプーリ体を十分に接近させても、各プーリ体と相
手側のプーリ体とが干渉しない。
【0094】請求項6の無段変速用プーリにおいては、
請求項3と同様の効果を奏するが、軸部材には軸方向に
所定長さのスプライン軸部が形成され、1対のプーリ体
の各プーリ面形成部材が軸部材に沿う内側辺を有する板
状に形成されるとともに各プーリ面形成部材の小径側端
部が自由端に形成され、少なくとも一方のプーリ体の各
プーリ面形成部材の内側辺の近傍部がスプライン軸部の
スプライン溝に係合されているため、一方のプーリ体の
プーリ面形成部材と他方のプーリ体のプーリ面形成部材
とが面接触する部分の面積が大きくなり、プーリ面形成
部材が軸部材に対して相対回動しなくなるため、トルク
伝達性能を高めることができる。しかも、各プーリ面形
成部材の小径側の端部が自由端に形成してあるため、1
対のプーリ体を軸部材に相対向状かつ交差状に組付ける
際にも、簡単に組付けることができ、各プーリ体を製作
する為にも有利である。
【0095】請求項7の無段変速用プーリにおいては、
請求項6と同様の効果を奏するが、各プーリ体の環状部
材とn個のプーリ面形成部材とが一体品に構成されてい
るため、各プーリ体を金型鋳造等の方法で比較的安価に
製作でき、無段変速用プーリの組付けも簡単化し、無段
変速用プーリの製作コスト的に有利となる。
【0096】請求項8の無段変速用プーリにおいては、
同心状かつ相対向状に配設された1対のプーリ体であっ
て少なくとも一方のプーリ体が軸心方向に移動自在に支
持された1対のプーリ体を備え、1対のプーリ体自体の
構成は、請求項1のプーリ体と略同様の構成であるの
で、基本的に請求項1と略同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の無段変速機の側面図で
ある。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】プーリ体の斜視図である。
【図5】プーリ面形成部材の斜視図である。
【図6】第2実施形態の無段変速機の側面図である。
【図7】図6のVII −VII 線断面図である。
【図8】第3実施形態の無段変速用プーリの断面図であ
る。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】プーリ面形成部材の斜視図である。
【図11】図9の部分拡大図である。
【図12】変形例に係る図9の部分拡大図である。
【図13】第4実施形態の無段変速機の側面図である。
【図14】図13の無段変速機の駆動側の無段変速用プ
ーリの縦断面図である。
【図15】図13の無段変速機の従動側の無段変速用プ
ーリの縦断面図である。
【図16】図14のXVI −XVI 線断面図である。
【図17】図14のXVII−XVII線断面図である。
【図18】図14のXVIII −XVIII 線断面図である。
【図19】第5実施形態の無段変速機の側面図である。
【図20】図19の無段変速機の駆動側の無段変速用プ
ーリの縦断面図である。
【図21】図19の無段変速機の従動側の無段変速用プ
ーリの縦断面図である。
【図22】第6実施形態の無段変速用プーリの断面図で
ある。
【図23】第7実施形態に係る無段変速用プーリの一方
のプーリ体を軸方向から視た部分正面図である。
【図24】図23のプーリ体の要部縦断側面図である。
【図25】従来技術に係る無段変速機の断面図である。
【図26】従来技術に係る無段変速用プーリの正面図で
ある。
【符号の説明】 1,80,150,210 無段変速機 2,151,211 無段変速用プーリ 4,83,100,153,213,279 無段変
速用プーリ 6,85,146,154,214,281 ベルト 10L,10R,60L,60R,97L,97R,
プーリ体 110L,110R,271L,271R,285
プーリ体 11,161,221 駆動軸 12,62,102,162,202,222,252
スプライン軸部 15,111 第1環状部材 20,117,238 リセス 25 第2環状部材(筒状部材) 30a,30b,120a,120b プーリ面形成
部材 35,125,176,237,280 環状部 36,126,177,238,282 直径最小部 61,201,251 従動軸 101 軸部材 160L,200R,220L,250R 可動プー
リ体 160R,200L,220R,250L 固定プー
リ体 170a,170b,230a,230b プーリ面
形成部材 279a,279b,286 プーリ面形成部材 174,235 収容穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前川 猛 京都市伏見区淀新町30番地

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と、この軸部材に支持され少なく
    とも1つのプーリ体が軸部材に対して相対回転不能な1
    対の相対向するプーリ体であって、一方のプーリ体が軸
    方向に移動自在の1対のプーリ体とを備え、 各プーリ体は、軸部材の軸心に対して軸部材の半径より
    も大きな任意の所定半径の部位から相手側プーリ体に向
    かってリニアに小径化するテーパプーリ面を周方向に2
    n(但し、nは3以上の正の整数)等分した2n個の部
    分テーパプーリ面のうちの1つおきのn個の部分テーパ
    プーリ面を形成するn個のプーリ面形成部材を備え、 各プーリ面形成部材は、テーパプーリ面に対応する軸方
    向範囲において軸部材と直交する各面における断面形状
    が、その各面における軸部材の軸心から部分テーパプー
    リ面までの距離を半径とする円を周方向に2n等分した
    扇形形状のうちの少なくとも外周側部分を占める形状に
    形成され、 一方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプーリ体の
    プーリ面形成部材とは、軸方向に部分的にラップし且つ
    周方向に交互に位置するように配置されて、それらの交
    差部に中実状の環状部が形成され、 1対のプーリ体は環状部の外周部に形成される直径最小
    部とその軸方向両側近傍部とでベルトの内周面を受ける
    ように構成され、 1対のプーリ体の軸方向間隔を変えて直径最小部の直径
    を変えるように構成したことを特徴とする無段変速用プ
    ーリ。
  2. 【請求項2】 軸部材と、この軸部材に軸方向に移動自
    在に支持され少なくとも1つのプーリ体が軸部材に対し
    て相対回転不能な1対の相対向するプーリ体とを備え、 各プーリ体は、軸部材の軸心に対して軸部材の半径より
    も大きな任意の所定半径の部位から相手側プーリ体に向
    かってリニアに小径化するテーパプーリ面を周方向に2
    n(但し、nは3以上の任意の正の整数)等分した2n
    個の部分テーパプーリ面のうちの1つおきのn個の部分
    テーパプーリ面を形成するn個のプーリ面形成部材を備
    え、 各プーリ面形成部材は、テーパプーリ面に対応する軸方
    向範囲において軸部材と直交する各面における断面形状
    が、その各面における軸部材の軸心から部分テーパプー
    リ面までの距離を半径とする円を周方向に2n等分した
    扇形形状のうちの少なくとも外周側部分を占める形状に
    形成され、 一方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプーリ体の
    プーリ面形成部材とは、軸方向に部分的にラップし且つ
    周方向に交互に位置するように配置されて、それらの交
    差部に中実状の環状部が形成され、 1対のプーリ体は環状部の外周部に形成される直径最小
    部とその軸方向両側近傍部とでベルトの内周面を受ける
    ように構成され、 1対のプーリ体の軸方向間隔を変えて直径最小部の直径
    を変えるように構成したことを特徴とする無段変速用プ
    ーリ。
  3. 【請求項3】 各プーリ体は、n個のプーリ面形成部材
    の大径側部分が固着され、軸部材に相対回転不能に外嵌
    された環状部材を備えたことを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の無段変速用プーリ。
  4. 【請求項4】 各プーリ体は、n個のプーリ面形成部材
    の小径側端部が固着され、相手側のプーリ体のn個のプ
    ーリ面形成部材の内側に配設されて軸部材に相対回転不
    能に外嵌された筒状部材を備えたことを特徴とする請求
    項3に記載の無段変速用プーリ。
  5. 【請求項5】 各プーリ体の環状部材は、相手側のプー
    リ体のn個のプーリ面形成部材の大部分を収容可能なほ
    ぼコーン状のリセスを有することを特徴とする請求項3
    に記載の無段変速用プーリ。
  6. 【請求項6】 軸部材には軸方向に所定長さのスプライ
    ン軸部が形成され、1対のプーリ体の各プーリ面形成部
    材が軸部材に沿う内側辺を有する板状に形成されるとと
    もに各プーリ面形成部材の小径側端部が自由端に形成さ
    れ、少なくとも一方のプーリ体の各プーリ面形成部材の
    内側辺の近傍部がスプライン軸部のスプライン溝に係合
    されたことを特徴とする請求項3に記載の無段変速用プ
    ーリ。
  7. 【請求項7】 各プーリ体の環状部材とn個のプーリ面
    形成部材とが一体品に構成されたことを特徴とする請求
    項6に記載の無段変速用プーリ。
  8. 【請求項8】 同心状かつ相対向状に配設された1対の
    プーリ体であって少なくとも一方のプーリ体が軸心方向
    に移動自在に支持された1対のプーリ体を備え、 各プーリ体は、その軸心に対して任意の所定半径の部位
    から相手側プーリ体に向かってリニアに小径化するテー
    パプーリ面を周方向に2n(但し、nは3以上の任意の
    正の整数)等分した2n個の部分テーパプーリ面のうち
    の1つおきのn個の部分テーパプーリ面を形成するn個
    のプーリ面形成部材を備え、 各プーリ面形成部材は、テーパプーリ面に対応する軸心
    方向範囲において軸心と直交する各面における断面形状
    が、その各面における軸心から部分テーパプーリ面まで
    の距離を半径とする円を周方向に2n等分した扇形形状
    のうちの少なくとも外周側部分を占める形状に形成さ
    れ、 一方のプーリ体のプーリ面形成部材と他方のプーリ体の
    プーリ面形成部材とは、軸心方向に部分的にラップし且
    つ周方向に交互に位置するように配置されて、それらの
    交差部に中実状の環状部が形成され、 1対のプーリ体は環状部の外周部に形成される直径最小
    部とその軸心方向両側近傍部とで、ベルトの内周面を受
    けるように構成され、 1対のプーリ体の軸心方向間隔を変えて直径最小部の直
    径を変えるように構成したことを特徴とする無段変速用
    プーリ。
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