JPH11230255A - イナーシャダンパ - Google Patents

イナーシャダンパ

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JPH11230255A
JPH11230255A JP4619298A JP4619298A JPH11230255A JP H11230255 A JPH11230255 A JP H11230255A JP 4619298 A JP4619298 A JP 4619298A JP 4619298 A JP4619298 A JP 4619298A JP H11230255 A JPH11230255 A JP H11230255A
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magnet
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化による粘度の変化の小さい低粘度の
磁性流体を用いても、粘性減衰係数の減少を抑えて、振
動低減作用を効果的に発揮させる信頼性に優れたイナー
シャダンパを提供する。 【解決手段】 円柱形状の磁石31および磁性体32を
重ねて慣性体の外周部に凹凸を形成し、ハウジング2の
内周にリング5により形成された凹凸部と慣性体の外周
の凹凸部が、それぞれ入り込んだ状態となるように、慣
性体を配置させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転体の回転軸の
振動を低減させるための磁性流体を用いたイナーシャダ
ンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のイナーシャダンパと
しては、たとえば、「磁性流体入門」(神山新一著、産
業図書)の第106頁に記載された技術などがある。
【0003】以下、図3を参照して、このような従来技
術に係る磁性流体を用いたイナーシャダンパについて説
明する。図3は従来技術に係るイナーシャダンパの概略
構成断面図である。
【0004】図3中、101は不図示のステッピングモ
ータの回転軸であり、102は回転軸101に装着され
回転軸101と一体となって回転するハウジングであ
り、ハウジング102は非磁性体から構成されている。
【0005】103はハウジング102の内部に形成さ
れた中空部に隙間を介して収容された慣性体であり、慣
性体103は磁石から構成されている。
【0006】104はハウジング102内の中空部に充
填された磁性流体であり、磁性流体104は慣性体10
3とハウジング102の内壁面との間の隙間を充填して
いる。
【0007】そして、慣性体103は磁性流体104が
付与する磁気浮揚力によってハウジング102の内壁面
に接触することなく浮揚した状態となっている。
【0008】次に、上記のように構成されるイナーシャ
ダンパについての動作を説明する。
【0009】ステッピングモータの回転軸101が加速
度をもって回転すると、ハウジング102は回転軸10
1と共に回転するが、慣性体103はハウジング102
に拘束されていないため、ハウジング102とは独立に
回転する。
【0010】その結果、ハウジング102の内壁と慣性
体103の表面との間に相対速度が生じ、磁性流体10
4の粘性抵抗が回転方向に発生する。
【0011】この粘性抵抗が、ハウジング102と慣性
体103との間の相対的運動に対する抵抗となって減衰
力が発生し、回転軸101に対して振動低減作用として
働き、回転による振動を低減することができるものであ
る。
【0012】なお、このような振動低減作用を効果的に
するためには、慣性体103の慣性モーメントと、粘性
抵抗の大きさを示す粘性減衰係数の値を適正に選ぶ必要
がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0014】上述のような磁性流体を用いたイナーシャ
ダンパでは、温度変化が大きな環境下で使用する場合に
おいては、温度変化による粘性減衰係数の変化が小さく
なるように、粘度の低い磁性流体を用いる必要がある。
【0015】しかし、慣性体は一定の厚さのディスクで
形成されるために、回転による流体抵抗が小さくなり、
低粘度の磁性流体の中では粘性減衰係数が適正値よりも
小さくなってしまい、効果的に振動低減作用を得るのが
困難であった。
【0016】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、温度
変化による粘度の変化の小さい低粘度の磁性流体を用い
ても、粘性減衰係数の減少を抑えて、振動低減作用を効
果的に発揮させる信頼性に優れたイナーシャダンパを提
供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、回転軸に固定され、かつ中空部を
有したハウジングと、前記中空部内に充填される磁性流
体と、前記中空部内に収容され、かつ磁性流体による磁
気浮揚力によって浮揚される慣性体と、を備えたイナー
シャダンパにおいて、円周方向における、ハウジングの
内周および慣性体の外周に各々凹凸部を設け、それぞれ
の凹凸部が入り込んだ状態で慣性体が配置されることを
特徴とする。
【0018】したがって、円周方向で、ハウジングと慣
性体との対向する面積が増えるので粘性抵抗が増加す
る。
【0019】前記慣性体は、それぞれ径の異なる円柱形
状の磁石および磁性体を交互に重ねることにより形成さ
れるとよい。
【0020】したがって、複雑な加工を必要としない円
柱形状の磁石および磁性体を重ねるだけで、慣性体の外
周に凹凸部を設けることができる。
【0021】また、前記慣性体は、円柱形状の磁石と、
外周に凹凸部を施された磁性体とを重ねることにより形
成されることもできる。
【0022】したがって、磁石に比べて加工の容易な磁
性体を加工することにより慣性体の外周に凹凸部を設け
ることができる。
【0023】前記磁性体は磁石よりも比重が大きいとよ
い。
【0024】したがって、磁石のみで慣性体を構成する
場合に比べて、慣性モーメントを増やすことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する
趣旨のものではない。
【0026】(第1の実施の形態)図1を参照して、本
発明の第1の実施の形態に係るイナーシャダンパについ
て説明する。
【0027】図1は本発明の第1の実施の形態に係るイ
ナーシャダンパの概略構成断面図である。
【0028】図1中、1は不図示のステッピングモータ
などの回転体の回転軸であり、2は回転軸1に装着され
回転軸1と一体となって回転するディスク状のハウジン
グであり、ハウジング2は非磁性体から構成されてお
り、また、ハウジング2の内部には中空部が設けられて
いる。
【0029】31は磁石、32は磁性体であり、磁石3
1および磁性体32が図のように交互に複数個重ねられ
て、慣性体が構成されており、この慣性体はハウジング
2の内部に形成された中空部に隙間を介して収容されて
いる。
【0030】そして、慣性体は、それぞれ径の異なる磁
石31および磁性体32が交互に複数個重ねられること
で、慣性体の外周部には凹凸が形成されている。
【0031】このように、比較的加工が容易な円柱形状
の磁石31および磁性体32を重ねるだけで、簡単に慣
性体の外周部に凹凸を形成することができる。
【0032】4はハウジング2内の中空部に充填された
磁性流体であり、磁性流体4は慣性体とハウジング2の
内壁面との間の隙間を充填している。
【0033】そして、慣性体は磁性流体4が付与する磁
気浮揚力によってハウジング2の内壁面に接触すること
なく浮揚した状態となっている。
【0034】ここで、磁石31および磁性体32の寸
法、個数等は磁性流体4が付与する磁気浮揚力が慣性体
をハウジング2内で浮揚保持するのに必要な値を下回ら
ないように選定されるものである。
【0035】そして、本実施の形態においては、ハウジ
ング2の内周には、円筒状をなし、内壁面に凹凸部が設
けられ、ハウジング2と一体となって回転する非磁性体
により構成されるリング5を備えている。
【0036】また、リング5は瓦型形状に分割できるよ
うに構成することで、ダンパの組み立てや加工が容易と
なる。
【0037】そして、ハウジング2の内周にリング5に
より形成された凹凸部と慣性体の外周の凹凸部が、図に
示したようにそれぞれ入り込んだ状態となるように、慣
性体は配置される。
【0038】なお、この時、それぞれの凹凸部の間には
所定分だけの隙間が形成される。
【0039】以上のような構成により、ハウジング2の
内周と慣性体の外周との間では、それぞれの凹凸部が入
り込んだ状態となるため、両者間の対向面積は大きくな
り、粘性抵抗が増大する。
【0040】そのため、回転軸1が加速度をもって回転
すると、大きな粘性抵抗が回転軸1に対して制動力とし
て作用するため、回転軸1の振動を十分に低減させるこ
とができる。
【0041】したがって、低粘度の磁性流体の場合であ
っても、効果的に振動低減作用が得られるので、温度変
化の大きな環境下でも常に安定した振動低減作用が得ら
れ、信頼性が向上する。
【0042】(第2の実施の形態)図2には、本発明の
第2の実施の形態が示されている。上記第1の実施の形
態では、円柱形状の磁石および磁性体を重ねて慣性体の
外周部に凹凸を形成する構成を示したが、本実施の形態
では、円柱形状の磁石と、外周に凹凸部を施した磁性体
とを重ねて慣性体の外周部に凹凸を形成する構成を示し
ている。
【0043】その他の構成および作用については第1の
実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同
一の符号を付して、その説明は省略する。
【0044】図2は本発明の第2の実施の形態に係るイ
ナーシャダンパの概略構成断面図である。
【0045】本実施の形態においては、図に示したよう
に、慣性体を、円柱形(ディスク)状の磁石33と、円
柱形(ディスク)状の外周に凹凸部を施した磁性体34
を重ね合わせることで構成している。
【0046】このように、磁石に比べて比較的加工の容
易な磁性体に凹凸部を形成させることで、図のように一
つの磁石33を二つの磁性体34により挟み込むだけ
で、慣性体の外周部に凹凸を形成させることができ、磁
石33は一つだけで済む。
【0047】ただし、磁石33の磁力は所定以上に大き
いことが必要である。
【0048】以上のような構成によっても、上述の第1
の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】(その他の実施の形態)上述の各実施の形
態において、慣性体を構成する磁性体を磁石よりも比重
の大きなものを用いれば、磁石のみで慣性体を構成する
場合に比べて、(大きさが同じであるとして)重量を大
きくすることができるので、慣性モーメントが大きくな
り、相対的に装置の小型化が可能となる。
【0050】
【発明の効果】本発明は、円周方向における、ハウジン
グの内周および慣性体の外周に各々凹凸部を設け、それ
ぞれの凹凸部が入り込んだ状態で慣性体が配置されるよ
うにしたので、円周方向で、ハウジングと慣性体との対
向する面積が増えて粘性抵抗を増加させることができ
る。
【0051】したがって、低粘度の磁性流体を用いて
も、粘性減衰係数の減少を抑え、振動低減作用を効果的
に発揮させることができるので、温度変化の大きな環境
下での使用も可能となり、信頼性が向上する。
【0052】慣性体は、複雑な加工を必要としない、そ
れぞれ径の異なる円柱形状の磁石および磁性体を重ねる
だけで、容易に慣性体の外周に凹凸部を設けることがで
きる。
【0053】また、慣性体は、円柱形状の磁石と、磁石
に比べて加工の容易な磁性体の外周に凹凸部を施した磁
性体とを重ねることによっても簡単に慣性体の外周に凹
凸部を設けることができ、この場合、磁石は一つだけで
も良い。
【0054】磁性体は磁石よりも比重を大きくすれば、
磁石のみで慣性体を構成する場合に比べて、慣性モーメ
ントを増やすことができ、装置を小型化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態に係るイナー
シャダンパの概略構成断面図である。
【図2】図2は本発明の第2の実施の形態に係るイナー
シャダンパの概略構成断面図である。
【図3】図3は従来技術に係るイナーシャダンパの概略
構成断面図である。
【符号の説明】
1 回転軸 2 ハウジング 31 磁石 32 磁性体 33 磁石 34 磁性体 4 磁性流体 5 リング

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸に固定され、かつ中空部を有したハ
    ウジングと、 前記中空部内に充填される磁性流体と、 前記中空部内に収容され、かつ磁性流体による磁気浮揚
    力によって浮揚される慣性体と、を備えたイナーシャダ
    ンパにおいて、 円周方向における、ハウジングの内周および慣性体の外
    周に各々凹凸部を設け、それぞれの凹凸部が入り込んだ
    状態で慣性体が配置されることを特徴とするイナーシャ
    ダンパ。
  2. 【請求項2】前記慣性体は、それぞれ径の異なる円柱形
    状の磁石および磁性体を交互に重ねることにより形成さ
    れることを特徴とする請求項1に記載のイナーシャダン
    パ。
  3. 【請求項3】前記慣性体は、円柱形状の磁石と、外周に
    凹凸部を施された磁性体とを重ねることにより形成され
    ることを特徴とする請求項1に記載のイナーシャダン
    パ。
  4. 【請求項4】前記磁性体は磁石よりも比重が大きいこと
    を特徴とする請求項2または3に記載のイナーシャダン
    パ。
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