JPH11228587A - 光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸及びその製造方法 - Google Patents

光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸及びその製造方法

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JPH11228587A
JPH11228587A JP10029803A JP2980398A JPH11228587A JP H11228587 A JPH11228587 A JP H11228587A JP 10029803 A JP10029803 A JP 10029803A JP 2980398 A JP2980398 A JP 2980398A JP H11228587 A JPH11228587 A JP H11228587A
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JP
Japan
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phosphine oxide
optically active
carboxylic acid
group
tetramethylbutyl
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JP10029803A
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English (en)
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Tadashi Sugiya
杉矢  正
Hiroyuki Nohira
博之 野平
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
Original Assignee
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic Table
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/28Phosphorus compounds with one or more P—C bonds
    • C07F9/50Organo-phosphines
    • C07F9/53Organo-phosphine oxides; Organo-phosphine thioxides
    • C07F9/5304Acyclic saturated phosphine oxides or thioxides

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不斉合成触媒の配位子として有用な光学活性
なホスフィン化合物の前駆体として有用な新規な光学活
性なホスフィンオキシドカルボン酸、及びその経済的な
製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(2): 【化1】 で表されるラセミ体のホスフィンオキシドカルボン酸に
光学活性な1−フェニルエチルアミンを反応させ、生成
したジアステレオマー塩を溶媒に対する溶解度の差を利
用して分離し、次いで酸で分解させ、光学活性なホスフ
ィンオキシドカルボン酸を遊離させ、分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性なホスフ
ィンオキシドカルボン酸及びその製造方法に関するもの
である。リン原子に不斉中心のあるホスフィンオキシド
は、不斉合成触媒の配位子として有用な光学活性なホス
フィン化合物の前駆体として特に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】これまでに知られている光学活性なホス
フィンオキシドの製造方法のうち最も古い方法は、メチ
ルエチルフェニルホスフィンオキシドにα−ブロモカン
ファースルホン酸を作用させて、この塩を分別結晶化さ
せた後に、アンモニアで処理して光学活性なホスフィン
オキシドを得たものである。(J. Meisenheimer, L. Lic
htenstadt, Ber., 44, 356 (1911)) この方法は、ホスフィンオキシドの塩基性とカンファー
スルホン酸の酸性により生成するジアステレオマーの溶
解性の差を利用して分割する方法であるが、分割剤に天
然物であるカンファー(ショウノウ)を原料とするカン
ファースルホン酸を用いているため、天然から単離する
際に必ずしも純度よく得られるとは限らないという欠点
がある。
【0003】そこで、メチルフェニルホスフィン酸のよ
うなアルキルの異なるホスフィン酸に、チオニルクロラ
イドと光学活性な1−メントールをトリエチルアミンの
存在下で反応させ、メンチルメチルフェニルホスフィネ
ートのジアステレオマー塩を得て、この塩を分別結晶化
させた後に、塩基で処理して光学活性なメンチルメチル
フェニルホスフィネートを得る。さらに、グリニャール
試薬を反応させて光学活性なホスフィンオキシドを得る
方法も知られている。(Homogeneous CatalysisII, Adv.
Chem. Ser., No. 132, 274 (1974)) この方法は、不斉源である1-メントールを等化学論量使
用して、それを反応基質であるホスフィン酸に共有結合
で導入する方法であるが、高価な不斉源を多量に使用
し、そのうえ反応後共有結合で導入されている不斉源部
分を何らかの化学的処理によって除去、回収しなければ
ならない。したがって、このような不斉反応は、プロス
タグランジンのような付加価値の高い化合物には利用で
きるものの、一般の工業プロセスとしては必ずしも実用
的でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記問題
に鑑み鋭意検討した結果、多種多様の構造をした光学活
性な化合物を得る最も合理的な方法であり、且つジアス
テレオマー塩の溶解性を利用した光学分割方法におい
て、1-フェニルエチルアミンのような工業的に入手が容
易で、あまり高価でない光学活性なアミンを用いること
により、ラセミ体のホスフィンオキシドカルボン酸よ
り、容易に光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸を
得ることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の光学活性なホスフィンオキシドカル
ボン酸は、新規な化合物であり、またかかる化合物を製
造する方法も新規な方法である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、入手が
容易であってあまり高価でない光学分割剤を使用し、簡
単な工程で、新規な光学活性を有するホスフィンオキシ
ド及びその化合物を製造する方法を提供することにあ
る。すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R1、R2は炭素数1〜18の直鎖
または分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ア
ミノアルキル基または、置換もしくは無置換のフェニル
基を示し、R1、R2は互いに異なるものであり、Aは直
鎖または分岐のアルキレン基を示す。)で表される光学
活性なホスフィンオキシドカルボン酸を提供するもので
ある。さらにまた本発明は、下記一般式(2):
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R1、R2及びAは前記に定義した
とおりである。)で表されるラセミ体のホスフィンオキ
シドカルボン酸に光学活性な1-フェニルエチルアミンを
反応させ、生成したジアステレオマー塩を溶媒に対する
溶解度の差を利用して分離し、次いで酸で分解させ、光
学活性なホスフィンオキシドカルボン酸を遊離させ、分
離することを特徴とする光学活性なホスフィンオキシド
カルボン酸の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。 (光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸)本発明の
光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸は、一般式
(1)で表されるものであるが、式中のAは例えば、メ
チレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレ
ン基、などの直鎖または分岐のアルキレン基であるが、
好ましくは炭素数1〜4の直鎖状アルキレン基である。
また、R1、R2は、特に限定はされないが、炭素数1〜
18の直鎖または分岐状のアルキル基、ヒドロキシアル
キル基、アミノアルキル基または、置換もしくは無置換
のフェニル基を示し、リン原子上に不斉中心のある光学
活性体で、R1、R2がお互いに異なる。
【0011】本発明の具体的な化合物としては、(-)-
(S)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)メチル]ホスフィンオキシド、(+)-(R)-[(カルボキシ
メチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]ホスフィ
ンオキシド、(-)-(S)-[(2-カルボキシエチル)(1,1,3,3-
テトラメチルブチル)メチル]ホスフィンオキシド、(+)-
(R)-[(2-カルボキシエチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)メチル]ホスフィンオキシド、(-)-(S)-[(カルボキシ
メチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)エチル]ホスフィ
ンオキシド、(+)-(R)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テ
トラメチルブチル)エチル]ホスフィンオキシド、(-)-
(S)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)(1,1,-ジメチルエチル)]ホスフィンオキシド、(+)
-(R)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)(1,1,-ジメチルエチル)]ホスフィンオキシド、(-)
-(S)-[(カルボキシメチル)(o-メトキシフェニル)フェ
ニル]ホスフィンオキシド、(+)-(R)-[(カルボキシメチ
ル) (o-メトキシフェニル)フェニル]ホスフィンオキシ
ド、(-)-(S)-[(カルボキシメチル)(o-エチルフェニル)
フェニル]ホスフィンオキシド、(+)-(R)-[(カルボキシ
メチル)(o-エチルフェニル)フェニル]ホスフィンオキ
シド、などが挙げられる。
【0012】(本発明の製造方法) (出発原料)本発明の製造方法に使用する出発原料は、
一般式(2):
【0013】
【化5】
【0014】(式中、R1、R2、Aは前記と同義を示
す。)で表されるラセミ体のホスフィンオキシドカルボ
ン酸であり、式中のAはメチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、テトラメチレン基、などの直鎖または分岐
のアルキレン基であるが、好ましくは炭素数1〜4の直
鎖状アルキレン基である。また、R1、R2は、特に限定
はされないが、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のア
ルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基ま
たは、置換もしくは無置換のフェニル基を示しR1、R2
はお互いに異なるものである。
【0015】(溶媒)本発明で用いる溶媒は、アセト
ン、メチルエチルケトン、MIBK等のケトン類が適し
ており、特にアセトン、メチルエチルケトンが望まし
い。溶媒の使用量は、溶解度によって異なるが、一般に
溶質の5〜10倍量(重量比)が適当である。
【0016】(光学分割方法)光学分割剤である光学活
性な1-フェニルエチルアミンの使用量は、ラセミ体であ
るホスフィンオキシドカルボン酸に対して0.7〜1.0
モルの割合が適当である。両者の反応は、中和反応であ
るので、特別な反応条件を必要としない。混合する方法
も、任意であり、直接溶媒中に混合しても、それぞれの
溶液を混合しても差し支えない。反応温度は、室温ない
しは加熱した場合は溶媒の沸点以下の温度において均一
な溶液とし、静置して難溶性なジアステレオマー塩とし
て析出させる。静置させる温度は、室温もしくは冷蔵庫
または冷凍庫などで冷却した温度でも構わない。このと
き、析出させようとする塩の種結晶を接種することも通
常行われる。
【0017】析出した塩は、濾過または遠心分離により
溶媒から分け、必要に応じて再結晶して精製する。得ら
れた塩は、塩酸、硫酸などの強酸で処理して塩を分解さ
せ、ホスフィンオキシドカルボン酸が可溶な水と混合し
ない溶媒で抽出することにより、光学活性なホスフィン
オキシドカルボン酸が得られる。また必要に応じて再結
晶により精製する。上記方法により、得られる光学活性
なホスフィンオキシドカルボン酸は、新規な化合物であ
り、不斉合成触媒の配位子として有用な光学活性なホス
フィン化合物の前駆体として特に有用な化合物である。
【0018】光学分割に使用した光学活性な1−フェニ
ルエチルアミンは、ホスフィンオキシドカルボン酸を溶
媒抽出した後の水溶液を、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムのような強塩基と反応させ、溶媒抽出または減圧
蒸留などの方法により容易に回収することができ、再使
用することが可能である。
【0019】
【実施例】(実施例 1) (ラセミ体の合成)反応容器約1リットルの撹拌機付き
ステンレス製のオートクレーブを使用し、内部を窒素置
換した後、溶媒としてn-ヘキサン300mlとイソブチ
レンダイマー(2,4,4−トリメチル-1-ペンテン75%、
2,4,4-トリメチル-2-ペンテン22%の混合物)112.
2g(1.0モル)とホスフィン34.0g(1.0モ
ル)を室温にて添加した。反応温度を、80℃に昇温
し、メタンスルホン酸96.1g(1.0モル)を圧入ポ
ンプで約3時間かけて添加した。オートクレーブ内の圧
力は、12.5気圧から4.5気圧まで低下した。さら
に、80℃に保ちながら4時間熟成させた。反応終了
後、室温まで冷却させ、未反応のホスフィンを排気し、
窒素で系内を十分に置換した。反応生成物をオートクレ
ーブより抜き取り、一昼夜室温にて静置後、分液し下層
のメタンスルホン酸を除去した。このn−ヘキサン層を
減圧蒸留することにより、無色透明の液体98.3gを
得た。沸点79〜80℃(62mmHg)の1,1,3,3−
テトラメチルブチルホスフィンであった。このもののN
MRによる分析結果は以下のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.02(s,9H,CH3), 1.32(d,6H,JPCCH
=10.8Hz,CH3), 1.51(d,2H,CH2,JPCCH=13.2Hz), 2.92(d,
2H,P-H,JPH=190.8Hz) GC-MASS(EI); m/z=146[M+] FT-IR(KBr,cm-1); 2959,2880,2275,1465,1360,1065
【0020】撹拌機、温度計、滴下ロート、コンデンサ
ーを備えた1000mlの四つ口フラスコを十分に窒素
置換し、1,1,3,3−テトラメチルブチルホスフィン73.
1g(0.5モル)、沃化メチル212.9g(1.5モ
ル)を室温にて仕込んだ。還流温度まで昇温すると、白
濁し結晶が析出し、撹拌が困難になるまで加熱した。減
圧下過剰の沃化メチルを留去させ、純水200ml、n-
ヘキサン200mlを添加し、1.1倍モルの苛性ソー
ダ水溶液を添加した。冷却後、窒素雰囲気下で分液し、
ヘキサン層は濃縮後、減圧蒸留することにより、無色透
明液体63.9gを得た。沸点63〜66℃(16mm
Hg)の(1,1,3,3−テトラメチルブチル)メチルホス
フィンであった。このもののNMRによる分析結果は以
下のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.11(s,9H,CH3), 1.65(d,6H,JPCCH
=20.2Hz,CH3), 1.79(d,2H,CH2,JPCCH=15.4Hz), 2.16(d,
3H,P-CH3,JPCH=15.0Hz), 7.56(d,1H,P-H,JPH=497.2Hz) GC-MASS(EI); m/z=160[M+] FT-IR(KBr,cm-1); 2965,2280,1470,1364,1296,1236,972
【0021】撹拌機、温度計、滴下ロート、コンデンサ
ーを備えた1000mlの四つ口フラスコを十分に窒素
置換し、(1,1,3,3−テトラメチルブチル)メチルホス
フィン48.0g(0.3モル)、エタノール150ml
を仕込み、ブロム酢酸エチル100.2g(0.9モル)
を滴下した。滴下後、還流温度で3時間熟成し、エバポ
レーターで濃縮して、溶媒を除去した。純水200ml
を添加し、2.2倍モルの水酸化ナトリウム水溶液を室
温にて滴下した。さらに、還流温度で3時間熟成させ
た。ジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層は
0.1Nの塩酸水溶液で洗浄し、さらに純水で洗浄し
た。有機層は、無水硫酸ナトリウムで脱水し、一昼夜静
置し、濾別後エバポレーターで濃縮すると白色固体を得
た。アセトンで再結精製することにより、融点99〜1
00℃の白色結晶17.1gを得た。分析の結果、[(カ
ルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]
ホスフィンオキシドであった。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.34(d,6H,JPCCH
=17.9Hz,CH3), 1.52(d,2H,CH2,JPCCH=8.8Hz), 1.71(d,3
H,P-CH3,JPCH=12.3Hz), 2.71(dd,1H,JPCH=9.2Hz,Jgem=1
3.4Hz,P-CH-), 3.00(dd,1H,J=14.3Hz,Jgem=13.4Hz,P-C
H'-), 10.78(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=235[M+H+] FT-IR(KBr,cm-1); 2955,2872,1714,1270,1158,1103,97
0,896 UV-VIS(MeOH); εmax=40.5、λmax=217.6nm
【0022】(光学分割)300mlのフラスコに、得
られた[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)メチル]ホスフィンオキシド16.7g(71.5mモ
ル)、メチルエチルケトン200mlを入れ、(-)-(S)-
1-フェニルエチルアミン8.7g(71.5mモル)を添
加した。わずかに発熱して完全に溶解した。室温で一昼
夜静置させ結晶を析出させた。結晶を濾別し、真空乾燥
させて、20.5gの白色結晶を得た。融点121−1
23℃、旋光度[α]25D=−1.89(c 1.212 CHCl3)で
あった。続けて、アセトン220mlで再結晶化させ
て、白色結晶3.7gを得た。一部サンプルを、塩酸で
遊離させ、ジクロロメタンで抽出することにより得られ
たホスフィンオキシドを分析した。融点115−117
℃、光学純度o.p.=66.5%e.e.(HPLC)であった。さら
に、アセトン150mlで再結晶化させ、白色結晶2.
6gを得た。塩酸で遊離させ、ジクロロメタンで抽出す
ることにより1.2gの白色結晶を得た。融点99−1
00℃、光学純度o.p.=98.6%e.e.(HPLC)、旋光度
[α]25D=−15.8(c 1.040 CHCl3)で、(-)-(S)-[(カ
ルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]
ホスフィンオキシドであった。このもののNMRによる
分析結果は以下のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.34(d,6H,JPCCH
=18.0Hz,CH3), 1.53(d,2H,CH2,JPCCH=8.7Hz), 1.69(d,3
H,P-CH3,JPCH=12.0Hz), 2.71(dd,1H,JPCH=9.6Hz,Jgem=1
3.2Hz,P-CH-), 3.04(dd,1H,J=15.3Hz,Jgem=13.2Hz,P-C
H'-), 11.32(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=235[M+H+]
【0023】(実施例 2)実施例1でラセミ体の[(カ
ルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]
ホスフィンオキシドから(-)-(S)-[(カルボキシメチル)
(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]ホスフィンオキ
シドを分離した後の濾過母液である、(+)-(R)-[(カルボ
キシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]ホス
フィンオキシド/(-)-(S)-1-フェニルエチルアミン塩の
(+)-(R)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テトラメチルブ
チル)メチル]ホスフィンオキシドがリッチな母液を、室
温で一昼夜静置させ結晶を析出させた。結晶を濾別し、
真空乾燥させて、2.6gの白色結晶を得た。一部サン
プルを、塩酸で遊離させ、ジクロロメタンで抽出するこ
とにより得られたホスフィンオキシドカルボン酸を分析
した。融点117−118℃、光学純度o.p.=55.6%
e.e.(HPLC)であった。さらに、アセトン100mlで再
結晶化させ、白色結晶1.5gを得た。塩酸で遊離さ
せ、ジクロロメタンで抽出することにより1.5gの白
色結晶を得た。融点98−99℃、光学純度o.p.=93.
7%e.e.(HPLC)、旋光度[α]25D=+14.8(c 1.284 C
HCl3)で、(+)-(R)-[(カルボキシメチル)(1,1,3,3-テト
ラメチルブチル)メチル]ホスフィンオキシドであった。
このもののNMRによる分析結果は以下のとおりであ
る。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.35(d,6H,JPCCH
=17.9Hz,CH3), 1.56(d,2H,CH2,JPCCH=8.3Hz), 1.67(d,3
H,P-CH3,JPCH=10.9Hz), 2.84(dd,1H,JPCH=9.2Hz,Jgem=1
3.4Hz,P-CH-), 3.02(dd,1H,J=14.3Hz,Jgem=13.4Hz,P-C
H'-), 10.36(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=235[M+H+]
【0024】(実施例 3) (ラセミ体の合成)撹拌機、温度計、滴下ロート、コン
デンサーを備えた300mlの四つ口フラスコを十分に
窒素置換し、実施例1で得られた(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)メチルホスフィン16.0g(0.1モ
ル)、濃塩酸15.6g(0.15モル)を仕込み、20
〜25℃に冷却して保ちながらアクリル酸7.2g(0.
1モル)を滴下した。滴下後、40℃で2時間熟成し、
エバポレーターで濃縮して、過剰の塩酸を除去した。純
水100mlを添加し、80℃まで昇温し、35%過酸
化水素水10.7g(0.11モル)を温度を保ちながら
徐々に滴下した。さらに、同温度で3時間熟成させた。
濃縮することにより得られた粘性固体をアセトンで再結
精製することにより、融点100〜103℃の白色結晶
15.8gを得た。分析の結果、[(2-カルボキシエチル)
(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチル]ホスフィンオキ
シドであった。このもののNMRによる分析結果は以下
のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.35(d,6H,JPCCH
=17.6Hz,CH3), 1.50(d,2H,CH2,JPCCH=8.6Hz), 1.59(d,3
H,P-CH3,JPCH=11.7Hz), 1.92-2.27(m,2H,P-CH2-), 2.57
-2.80(m,2H,-CH2-COO), 11.81(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=249[M+H+] FT-IR(KBr,cm-1); 2953,2918,1735,1422,1233,1171,111
2,964,903 UV-VIS(MeOH); εmax=140.1、λmax=218.1nm
【0025】(光学分割)50mlのフラスコに、得ら
れた[(2-カルボキシエチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチ
ル)メチル]ホスフィンオキシド3.03g(12.2mモ
ル)、アセトン4.5mlを入れ、(+)-(R)-1-フェニル
エチルアミン1.48g(12.2mモル)を添加した。
わずかに発熱して完全に溶解した。0℃で一昼夜静置さ
せ結晶を析出させた。結晶を濾別し、真空乾燥させて、
0.83gの白色結晶を得た。融点135−138℃、
旋光度[α]25D=+3.42(c 1.072 CH3OH)であった。
塩酸で遊離させ、ジクロロメタンで抽出することにより
0.11gの白色結晶を得た。融点145−146℃、
旋光度[α]25D=−8.17(c 1.040 CH3OH)で、(-)-(S)
-[(2-カルボキシエチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)
メチル]ホスフィンオキシドであった。このもののNM
Rによる分析結果は以下のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.33(d,6H,JPCCH
=17.0Hz,CH3), 1.50(d,2H,CH2,JPCCH=8.4Hz), 1.49(d,3
H,P-CH3,JPCH=11.7Hz), 1.78-2.16(m,2H,P-CH2-), 2.46
-2.71(m,2H,-CH2-COO), 10.34(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=249[M+H+]
【0026】(実施例 4)50mlのフラスコに、実
施例2で得られた[(2−カルボキシエチル)(1,1,3,3-テ
トラメチルブチル)メチル]ホスフィンオキシド3.05
g(12.3mモル)、アセトン4.5mlを入れ、(-)-
(S)-1-フェニルエチルアミン1.48g(12.2mモ
ル)を添加し、0℃で一昼夜静置させ結晶を析出させ
た。結晶を濾別し、真空乾燥させて、0.32gの白色
結晶を得た。融点126−131℃であった。塩酸で遊
離させ、ジクロロメタンで抽出することにより0.18
gの白色結晶を得た。融点144−146℃、旋光度
[α]25D=+6.30(c 0.238 CH3OH)で、(+)-(R)-[(2-
カルボキシエチル)(1,1,3,3-テトラメチルブチル)メチ
ル]ホスフィンオキシドであった。このもののNMRに
よる分析結果は以下のとおりである。1 H-NMR(ppm,CDCl3); 1.06(s,9H,CH3), 1.33(d,6H,JPCCH
=17.0Hz,CH3), 1.50(d,2H,CH2,JPCCH=8.4Hz), 1.49(d,3
H,P-CH3,JPCH=11.7Hz), 1.83-2.22(m,2H,P-CH2-), 2.53
-2.76(m,2H,-CH2-COO), 10.72(s,1H,COOH) FAB-MASS(Pos.); m/z=249[M+H+]
【0027】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、1-
フェニルエチルアミンのような工業的に入手が容易で、
あまり高価でない光学活性なアミンを用いることによ
り、ラセミ混合物のホスフィンオキシドカルボン酸よ
り、容易に光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸を
得ることができる。本発明の光学活性なホスフィンオキ
シドカルボン酸は、新規な化合物であり、またこの化合
物は、不斉合成触媒の配位子として有用な光学活性なホ
スフィン化合物の前駆体として特に有用な化合物であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2は炭素数1〜18の直鎖または分岐状
    のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル
    基または、置換もしくは無置換のフェニル基を示し、R
    1、R2は互いに異なるものであり、Aは直鎖または分岐
    のアルキレン基を示す。)で表される光学活性なホスフ
    ィンオキシドカルボン酸。
  2. 【請求項2】 下記一般式(2): 【化2】 (式中、R1、R2は炭素数1〜18の直鎖または分岐状
    のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル
    基または、置換もしくは無置換のフェニル基を示し、R
    1、R2は互いに異なるものであり、Aは直鎖または分岐
    のアルキレン基を示す。)で表されるラセミ体のホスフ
    ィンオキシドカルボン酸に光学活性な1−フェニルエチ
    ルアミンを反応させ、生成したジアステレオマー塩を溶
    媒に対する溶解度の差を利用して分離し、次いで酸で分
    解させ、光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸を遊
    離させ、分離することを特徴とする光学活性なホスフィ
    ンオキシドカルボン酸の製造方法。
JP10029803A 1998-02-12 1998-02-12 光学活性なホスフィンオキシドカルボン酸及びその製造方法 Pending JPH11228587A (ja)

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JPH0662521B2 (ja) * 1988-02-24 1994-08-17 日東紡績株式会社 新規コリン誘導体及びそれを用いた血清コリンエステラーゼ活性測定法

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