JPH11228330A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

歯科用硬化性組成物

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JPH11228330A
JPH11228330A JP10034975A JP3497598A JPH11228330A JP H11228330 A JPH11228330 A JP H11228330A JP 10034975 A JP10034975 A JP 10034975A JP 3497598 A JP3497598 A JP 3497598A JP H11228330 A JPH11228330 A JP H11228330A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化体の透明性及び着色を向上させた歯科用
硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 メチルメタクリレート等の(メタ)アク
リレート系重合性単量体及びポリメチルメタクリレート
等の充填剤、並びに(a)5−ブチル−1−シクロヘキ
シルピリミジントリオン等のピリミジントリオン誘導
体、(b)ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド等
のハロゲンイオン形成化合物及び(c)アセチルアセト
ン銅等の第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物から
なる重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用硬化
性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化体の透明性及
び着色を改善した歯科用硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリレート系重合性単量体を
化学重合触媒を用いて硬化させる方法は、歯科の分野で
広く利用されており、このような方法を使用したものと
しては、歯科用セメント、歯科用接着剤、コンポジット
レジン、歯科用常温重合レジン等が挙げられる。これら
の材料における化学重合触媒は、一般的に過酸化ベンゾ
イル及びアミンが使用されている。しかしながら、この
化学重合触媒を使用した場合、次のような3つの欠点を
有する。即ち、第一の欠点は口腔内の唾液や口腔内温
度、食物など口腔内環境により硬化体が着色をおこす点
である。第二の欠点は未反応のモノマー、促進剤及び鎖
状分子中に形成されない誘導体等が可塑剤の働きをな
し、硬化体の物理的性質を低下させるということであ
る。第三の欠点は硬化体の透明性が不足していることで
ある。これら欠点は、歯科用補修材として使用したとき
の次のような問題の原因となり好ましくないものであ
る。即ち、上記第一の欠点は、補修後に経時的に着色が
起こることを意味し審美性の耐久性の点から好ましくな
い。また、上記第二の欠点は補修部分の強度不足につな
がり、機械的耐久性の点で好ましくない。また、第三の
欠点は、補修当初から補修部分の色調と未補修部分の色
調が異なり補修部分が不自然に見えるため好ましくな
い。
【0003】これらの欠点は、特開昭63−21681
1公報に記載されている“ピリミジントリオン誘導体、
有機金属化合物及び有機ハロゲン化合物の組み合わせに
よる触媒系”を用いることによりある程度解決できる。
しかしながら、第三の欠点である硬化体の透明性不足に
ついては、その効果は充分とはいえない。また、前記第
二及び第三の欠点を解決する方法として、特開平6−2
19919号公報に記載されている“ピリミジントリオ
ン誘導体、有機金属化合物、有機ハロゲン化合物及び芳
香族3級アミンの組み合わせによる触媒系”を使用する
方法が知られているが、該方法でも透明性の点で満足の
ゆくものは得られておらず、また該触媒系を用いた場合
にはその一成分である芳香族3級アミンが酸化劣化して
着色するという新たな欠点が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、物理的性質
の低下なしに硬化体の透明性不足及び着色を解決する歯
科用硬化性組成物を開発することを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討の結果、特定のピリミジントリオ
ン誘導体、ハロゲンイオン形成化合物及び第二銅イオン
又は第二鉄イオン形成化合物を用いることにより、物理
的性質の低下なしに透明性不足及び着色の問題を一掃で
きることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0006】即ち、本発明は、(メタ)アクリレート系
重合性単量体、充填剤、並びに(a)下記一般式(1)
【0007】
【化3】
【0008】(但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基、
又はシクロアルキル基である。)で示されるピリミジン
トリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び
(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物からな
る重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用硬化性
組成物である。
【0009】また、他の発明は、メチルメタクリレート
を主成分とする(メタ)アクリレート系重合性単量体、
樹脂系充填剤、並びに(a)上記一般式(1)で示され
るピリミジントリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形
成化合物及び(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成
化合物からなる重合触媒を含んでなることを特徴とする
歯科用常温重合レジン用または歯科用リベース材用の硬
化性組成物である。
【0010】
【発明の実施形態】本発明の歯科用硬化性組成物では、
(メタ)アクリート系重合性単量体を使用することを必
須としているが、その理由は重合性が良いこと、生体組
織に対する刺激性が一過性で軽いこと等による。
【0011】本発明に使用される(メタ)アクリート系
重合性単量体としては、歯科用として使用されている公
知の(メタ)アクリレート系重合性単量体が特に制限な
く用いられる。
【0012】具体的な例を示せば、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メ
タ)アクリロキシエチルプロピオネート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−
ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエ
トキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メ
タ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート等があり、これらは
1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0013】なお、本発明の歯科用硬化性組成物は、歯
科用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用に使用す
る場合には、操作性の観点から(メタ)アクリレート系
重合性単量体としてメチルメタクリレートを主成分とす
る重合性単量体を使用するのが好適である。一般に歯科
用常温重合レジン又は歯科用リベース材は、後述するよ
うに樹脂系充填剤ユニットとモノマーユニットを適切な
比率で混和して餅状にしてから所定の型枠中に入れ、室
温又は加熱下で重合して製造される。ここで餅状の状態
とは、樹脂系充填剤が重合性単量体と混和されることに
より当初の水で濡れた砂上の状態から次第に膨潤して糸
を引く状態を経由して、手で触れてもくっつかなく容器
から離れやすい軟らかい餅状となった状態のことであ
り、所定の型枠中に装填するのに最も適した状態のこと
である。混和物が餅状の状態になる過程はいくつかの要
因により左右されるが、この餅状になっている時間が適
切な長さであることが歯科技工上重要なポイントの一つ
となり、この点でメチルメタクリレートを主成分とす
る、即ち50重量%以上含む(メタ)アクリル系モノマ
ーが適している。
【0014】本発明の歯科用硬化性組成物では、更に上
記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に、硬化体
強度の向上又は吸水率の低減と言う目的で他の重合性単
量体を混合して重合することも可能である。これらの他
の重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フ
マル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エス
テル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチル
スチレン等のスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジ
アリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリル
ジグリコールカーボネート等のアリル化合物を挙げるこ
とができる。これらの他の重合性単量体は、1種又は2
種以上を混合して用いることができる。
【0015】これらの他の重合性単量体の配合量は目的
に応じて選択すればよいが、前記した(メタ)アクリレ
ート系重合性単量体100重量部に対して0〜200重
量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】本発明の歯科用硬化性組成物では、機械的
強度を向上する目的で充填剤を配合する。充填剤を配合
しない場合には強度は低下する。
【0017】本発明で使用する充填剤は、特に限定され
ず、樹脂系充填剤、無機充填剤、複合充填剤(無機酸化
物とポリマーの複合体を粉砕したもの)等の何れでも使
用できる。しかしながら、樹脂系充填剤を用いた場合に
は、前記充填剤の餅状化により操作性が向上するので、
特に歯科用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用と
して使用する場合には樹脂系充填剤を使用するのが好適
である。
【0018】充填剤の代表的な例を挙げれば、無機充填
剤としては、石英粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、炭
酸カルシウム、酸化チタン、乾式シリカ、湿式シリカ等
があり、樹脂系充填剤としては、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メ
タクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メ
チル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アク
リロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−
スチレン−ブタジエン共重合体等があり、これらは1種
又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0019】なお、充填剤が樹脂系充填剤である場合、
該樹脂系充填剤の分子量はとくに限定されないが、一般
的には5000〜1000000の分子量の物が好まし
い。また、樹脂系充填剤が共重合体からなる充填剤であ
る場合、その共重合比等も特に制限されず、前記充填剤
の餅状化による操作性が良好なもの適宜選択して使用す
ればよい。
【0020】上記充填剤の形状は特に限定されなく、通
常の粉砕により得られる様な粉砕形粒子あるいは球状粒
子でよい。また、上記充填剤の粒子径は特に限定されな
いが、一般的には粒径0.01〜200μmの物が好ま
しい。
【0021】これらの充填剤の添加量は、操作性及び硬
化体強度の観点から、(メタ)アクリレート系重合性単
量体100重量部に対して50〜400重量部の範囲が
好適である。また、本発明の歯科用硬化性組成物を歯科
用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用として使用
する場合に使用する樹脂系充填剤の添加量は、(メタ)
アクリレート系重合性単量体100重量部に対して10
0〜300重量部の範囲が好適である。
【0022】本発明では重合触媒として前記一般式
(1)で示されるピリミジントリオン誘導体{以下
(a)成分ともいう}、ハロゲンイオン形成化合物{以
下(b)成分ともいう}及び第二銅又は第二鉄イオン形
成化合物以下(c)成分ともいう}からなる重合触媒を
使用する。この様な重合触媒を使用することにより重合
時の発熱は小さく、残留モノマーも少なくでき、しかも
得られる硬化体は透明で着色の少ないものとなる。
【0023】(a)成分であるピリミジントリオン誘導
体は、前記一般式(1)で示される化合物であり、式中
のRは炭素数4〜8アルキル基、又はシクロアルキル基
である。該Rとしては、精製の容易さ、(メタ)アクリ
レート系重合性単量体に対する溶解性を両立するという
点から、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基及びn−ペンチル基が好ましい。
【0024】(b)成分であるハロゲンイオン形成化合
物としては、溶液中でハロゲン化物イオンを形成させる
化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用でき
る。該成分は本発明の歯科用重合性単量体中でハロゲン
イオンを形成して(a)成分と反応し(a)成分をラジ
カルとするか自らがラジカルとなる働きを持つ。
【0025】本発明で使用できる好適なハロゲンイオン
形成化合物としては、ジラウリルジメチルアンモニウム
クロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムク
ロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ジイソブチルアミンハイドロクロライド、テトラ−
n−ブチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン
ハイドロクロライド、トリメチルアミンハイドロクロラ
イド、ジメチルアミンハイドロクロライド、ジエチルア
ミンハイドロクロライド、メチルアミンハイドロクロラ
イド、エチルアミンハイドロクロライド、イソブチルア
ミンハイドロクロライド、トリエタノールアミンハイド
ロクロライド、β−フェニルエチルアミンハイドロクロ
ライド、アセチルコリンクロライド、2−クロロトリメ
チルアミンハイドロクロライド、(2−クロロエチル)
トリエチルアンモニウムクロライド、テトラ−デシルジ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラエチル
アンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムク
ロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライ
ド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、
ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、
ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、テトラブ
チルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアン
モニウムブロマイド等が挙げられ、これらは1種又は2
種以上を混合して使用してもよい。
【0026】また、(c)成分である第二銅又は第二鉄
イオン形成化合物としては、溶液中で2価の銅イオン又
は3価の鉄イオンを形成する化合物であれば特に限定さ
れない。該成分は(a)成分をラジカルにする機能を持
つ。
【0027】本発明で好適に使用できる第二銅又は第二
鉄イオン形成化合物としては、アセチルアセトン銅、酢
酸第二銅、オレイン酸銅、アセチルアセトン鉄等があ
り、これらは1種又は2種以上混合して使用してもよ
い。また、ハロゲンイオン形成化合物と第2銅又は第2
鉄イオン形成化合物とは必ずしも別の化合物である必要
はなく、ハロゲン化物イオンと2価の銅イオン又は3価
の鉄イオンの両方を同時に形成する化合物であってもよ
い。このような化合物として、例えば、ハロゲン化第2
銅又はハロゲン化第2鉄を使用することも可能であり、
具体的な例としては、塩化第二銅、臭化第二銅等のハロ
ゲン化第二銅、塩化第二鉄、臭化第二鉄等のハロゲン化
第2鉄等を挙げることができる。
【0028】重合触媒として前記(a)成分、(b)成
分及び(c)成分からなるものを使用するとき、(b)
成分であるハロゲンイオン形成化合物の配合比は(a)
成分であるピリミジントリオン誘導体1重量部に対し
0.001〜0.5重量部の範囲で用いればよく、好ま
しくは0.05〜0.3重量部の範囲で用いるのが好適
である。また、(c)成分である第二銅又は第二鉄イオ
ン形成化合物の配合比は(a)成分であるピリミジント
リオン誘導体1重量部に対し0.0001〜0.05重
量部の範囲で用いればよく、好ましくは0.001〜
0.01の範囲で用いるのが好適である。
【0029】上記した(a)成分、(b)成分、及び
(c)成分からなる化学重合触媒の添加量は、(メタ)
アクリレート系重合性単量体100重量部に対して0.
05〜15重量部の範囲で用いればよく、好ましくは
0.1〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。
【0030】本発明の歯科用硬化性組成物には、必要に
応じて他の成分を添加することができる。具体例を挙げ
れば、エタノール等の有機溶媒、ブチルヒドロキシトル
エン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤、4−メ
トキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ベ
ンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収
剤、α−メチルスチレンダイマー等の重合調整剤、色
素、顔料、香料等のその他の成分を添加することができ
る。
【0031】本発明の歯科用硬化性組成物は、従来の歯
科用硬化性組成物と比べ、硬化体の透明性を大きく低減
させることができる。このため本発明の歯科用硬化性組
成物は、歯科用常温重合レジン又は歯科用リベース材に
利用するのに特に有用である。例えば、常温重合レジン
又はリベース材として使用する場合には 粉末成分ユニ
ットとメチルメタクリレートを主成分とする重合性単量
体からなる液状成分ユニットからなる2包装形態に調製
することが好ましい。具体的な例を示せば、ポリメタク
リル酸メチル等の樹脂系充填剤にピリミジントリオン誘
導体、アセチルアセトン銅等の第二銅イオン形成化合物
を配合した粉末ユニットとメタクリル酸メチル等の重合
性単量体にジラウリルジメチルアンモニウムクロライド
等のハロゲンイオン形成化合物を配合した液体ユニット
との組み合わせ等が挙げられる。上記粉末ユニットと液
体ユニットを適切な比率で混和して所定の型枠中に入
れ、室温又は加熱下で重合して使用する。
【0032】
【実施例】以下に本発明に関する実施例と比較例を示す
が、本発明は該実施例に限定されるものではない。尚、
評価は以下の方法で行った。
【0033】(1)透明性の評価 透明性の評価は、以下の方法で行った。まず、各成分を
所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで10m
m×10mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で
24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を
偏光板により観察し、10mm×10mmの範囲におけ
る不溶物の数により評価した。
【0034】(2)曲げ強度及びヌープ硬度の測定 硬化体の曲げ強度の測定は、以下の方法で行った。ま
ず、各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。
次いで25mm×4mm×2mmのモールドに流し込
み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得ら
れた硬化体を支点間距離20mmで曲げ破壊試験を行っ
た。クロスヘッドスピードは1mm/minである。ま
た、硬度の測定には上記硬化体の表面をバフ研磨したも
のを用い、松沢精機製微小硬度計で10g、20秒荷重
でヌープ硬度を測定した。なお、測定は23℃の恒温室
で行った。
【0035】(3)硬化体の耐変色性試験 硬化体の耐変色性試験は、以下の方法で行った。まず、
各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次い
で10mm×10mm×2mmのモールドに流し込み、
37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた
硬化体を80℃水中に30日間保存し、硬化体の変色の
度合いを表1に示す評価基準に従って目視で評価した。
【0036】(4)初期着色の評価 初期着色の評価は、以下の方法で行った。まず、各成分
を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで10
mm×10mm×2mmのモールドに流し込み、37℃
で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体
の初期着色を目視で評価した。
【0037】
【表1】
【0038】本発明の実施例および比較例に使用した化
合物の略号を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例1〜3及び比較例1〜2 表3に示す各組成の液及び粉を調製し、両者を所定の粉
液比(液に対する粉の重量比:P/L)で混合して、透
明性の評価、曲げ強度、ヌープ硬度、硬化体の耐変色試
験及び初期着色の評価を行った。その結果を表4に示
す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】実施例1〜3の結果から重合触媒の(a)
成分に該当する5−n−ブチル−1−シクロヘキシルピ
リミジントリオン、1−シクロヘキシル−5−ヘキシル
ピリミジントリオン及び1−シクロヘキシル−5−オク
チルピリミジントリオンは(a)成分に該当しないの1
−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン及び
1−シクロヘキシル−5−プロピルピリミジントリオン
を使用した比較例1及び比較例2に比べて1cm2あた
りの不溶物の数が少なく透明性が高いことが分かる。
【0044】実施例4〜12及び比較例3 液及び粉の組成を表5に示す組成のものに変えた以外は
実施例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】比較例3に示されるように、化学重合触媒
として芳香族3級アミンが存在すると硬化体の初期及び
耐変色性試験時の着色が大きい。また、実施例4〜12
に示すように、本発明の範囲内であれば重合触媒の各成
分の種類を変えても、また各種添加剤を加えた場合でも
硬化体物性は優れたものとなっている。
【0048】
【発明の効果】本発明の歯科用硬化性組成物は、物理的
性質を低下させることなしに硬化体の透明性及び着色を
改善することができる。このため、上記した常温重合レ
ジンの他、リベース材料としても好適に使用できる。
【0049】特に、透明性のよい歯科用の硬化体を与え
る化学重合触媒として知られている前記した特開昭63
−216811号公報に記載されているピリミジントリ
オン誘導体を含む触媒系を使用したときと比較してもさ
らに透明性を向上させることができるうえに、劣化によ
る着色も生じない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリレート系重合性単量体、
    充填剤、並びに(a)下記一般式(1) 【化1】 (但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基、又はシクロア
    ルキル基である。)で示されるピリミジントリオン誘導
    体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅
    イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を
    含んでなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 メチルメタクリレートを主成分とする
    (メタ)アクリレート系重合性単量体、樹脂系充填剤、
    並びに(a)下記一般式(1) 【化2】 (但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基、又はシクロア
    ルキル基である。)で示されるピリミジントリオン誘導
    体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅
    イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を
    含んでなることを特徴とする歯科用常温重合レジン用ま
    たは歯科用リベース材用の硬化性組成物。
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