JPH11226975A - 反応性重合成形方法および装置 - Google Patents

反応性重合成形方法および装置

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JPH11226975A
JPH11226975A JP4442898A JP4442898A JPH11226975A JP H11226975 A JPH11226975 A JP H11226975A JP 4442898 A JP4442898 A JP 4442898A JP 4442898 A JP4442898 A JP 4442898A JP H11226975 A JPH11226975 A JP H11226975A
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JP
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reaction
molded body
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stock solution
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JP4442898A
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English (en)
Inventor
Atsushi Nishibe
淳 西部
Hirotoshi Tanimoto
博利 谷本
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形体に含有されるボイドを少なくすること
により、機械的強度、耐久性などの特性を向上し、成形
体の表面の平滑性を向上すること。 【解決手段】 筒状の金型2内に反応原液を供給する。
金型2は密封可能な構造となっている。金型2の一端部
の貫通孔は蓋部材11bにより閉塞され、この蓋部材1
1bには仕切弁15bを有する管部材13bが一体的に
設けられている。ガス供給装置17のノズル17aをこ
の管部材13bに接続し、金型2内に不活性ガスを注入
することにより、金型2の内部を陽圧とし、この状態で
金型2を回転させることにより、反応原液に遠心力を加
えて反応重合させる。金型2内を陽圧とすることより、
反応原液中の気泡が分離除去され、成形品にボイドが含
有されることが少なくなる。不活性ガスで陽圧としてい
るから、酸化も防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性重合成形方
法および装置に関し、さらに詳しくは、反応原液を金型
内に入れ、金型を回転させるなどにより、反応原液に遠
心力を加えた状態下で反応重合させるようにした反応性
重合成形方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】反応性重合成形方法とは、本明細書にお
いては、金型の内部で反応原液を反応させて重合させる
方法を広く意味するものとし、反応性重合成形方法の1
態様として、反応射出成形(RIM)法があるものとす
る。このRIM法は、二以上の反応原液をミキシングチ
ャンバで混合して金型装置のキャビティに送り込み、金
型装置内で反応させつつ射出成形を行う製法である。こ
のRIM法は、ノルボルネン系モノマーからポリマー
(成形体)を成形する場合などに好適に用いられてい
る。
【0003】RIM成形体は、耐衝撃性に優れ、しかも
成形圧力が低く成形が容易であることから、多方面の技
術分野において用いられることが検討されている。
【0004】しかしながら、従来の反応射出成形によ
り、たとえばチューブなどのように、内部が中空の成形
体を成形することは、中空部に相当する部分に、入れ子
型などを入れる必要があり、非常に困難であった。ま
た、中空部に相当する部分に、入れ子型などを入れるこ
とは、成形中において、入れ子型と接触する反応射出成
形体樹脂が冷やされ、硬化不良などが生じるおそれがあ
った。
【0005】また、成形体をチューブなどとして用いる
場合には、チューブ内に流体を流すことから、チューブ
の内面が滑らかであることが要求されるので、チューブ
の内面に不良が生じることを極力避ける必要がある。
【0006】なお、米国特許第4808,364号公報
には、回転する金型の内部に、反応原液を混合して入
れ、金型を回転させて、反応原液に遠心力を加えつつ、
金型の内部で反応原液を反応させて重合させることによ
り、チューブ状成形体を製造する技術が開示してある。
【0007】また、特開平3−69357号公報には、
熱融着性、熱可塑性、弾性等に優れた特性を有する材料
と、補強性や耐熱性等に優れた特性を有する材料とを積
層配置することにより、両者の利点を生かすための技術
として、成形体に対して接着性のあるポリエチレン管を
金型として用い、このポリエチレン管を軸芯回りに回転
させながら、反応性重合反応を行い、得られる成形体を
ポリエチレン管と一体化させる多層化技術が開示してあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これら公報に示すよう
な遠心成形においては、反応原液に遠心力を加えながら
成形するため、液中に含まれる気泡が少なくなることが
期待される。
【0009】ところが、本発明者等の実験によると、遠
心成形によっても、たとえば1mm以下程度の小さい気
泡は消えることがなく、このような小さな気泡をも除去
することができる成形方法が求められていた。
【0010】なお、原液中に気泡が存在すると、その気
泡に対応して成形体にはボイドが形成され、機械的強
度、耐久性、その他の特性が低下する場合があるととも
に、表面付近に残留する気泡により表面(内面)の平滑
性が損なわれる場合があった。
【0011】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、反応原液に含まれる気泡を効果的に除去し、成形体
中のボイドを少なくするとともに、成形体の表面の平滑
性を向上することができる反応性重合成形方法および装
置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の反応性重合成形方法は、金型内に存在する
反応原液に遠心力を加え、かつ大気圧より高い陽圧状態
下で反応重合させることを特徴とする。
【0013】本発明方法によると、たとえばチューブな
どのように、内部が中空の成形体を成形する場合に、従
来と異なり入れ子型などを入れる必要がないので、その
成形が簡単であるとともに、成形中において、入れ子型
と接触して冷やされ、樹脂の硬化不良などが生じるおそ
れもない。
【0014】本発明において、陽圧とは大気圧以上の雰
囲気圧力をいう。本発明では、大気圧以上の状態下で、
かつ遠心力を加えた状態下で反応重合させることによ
り、反応原液中に含まれる比較的大きな気泡は、遠心力
により除去され、比較的小さな気泡(たとえば1mm以
下)は、陽圧状態下での成形により除去される。なお、
気泡の発生原因としては、反応原液が金型内に入れられ
る前の撹拌や入れられた後の遠心力による巻き込み等が
ある。
【0015】本発明では、反応原液中に含まれる気泡が
ほとんど除去されることから、ボイドが少ない成形体が
得られ、成形体の機械的強度や耐久性が向上する。これ
に加えて、中空部内面(表面)に残留する気泡も少なく
なるから、内面の平滑性が向上し、たとえば流体を流通
させるためのチューブなどを成形する場合に、流体の円
滑的な流通を行うことができる。
【0016】本発明において、陽圧状態は、たとえば金
型自体を実質的に密封可能な構造として、該金型内を保
圧または与圧することにより実現することができる。こ
こで、「保圧」とは対象空間(この場合は金型内)に圧
縮ガス等を充填して大気圧以上にした後にガスの供給を
停止しその状態を保持することをいい、「与圧」とは圧
縮ガス等の供給を継続的に行って対象空間(この場合は
金型内)を大気圧よりも高い気圧に常時維持することを
いう。ただし、本発明では反応原液が陽圧状態下で反応
する環境を有すればよく、金型自体を密封可能な構造と
せずに、金型を密封室内に設置して、該密封室内を保圧
または与圧することにより、かかる環境を実現すること
ができる。
【0017】本発明では、陽圧の開始タイミングは特に
限定されないが、好ましくは反応原液のゲル化開始時刻
(PL:ポットライフ)の前であり、反応原液の注入前
でも後でも良い。
【0018】加える圧力は、大気圧以上であれば良く、
好ましくはゲージ圧(以下同じ)で0.1〜1.0kg
/cm2 、さらに好ましくは0.3〜0.8kg/cm
2 、特に好ましくは0.5〜0.7kg/cm2 の範囲
に設定するのが効率が良い。なお、1.0kg/cm2
以上の圧力としても勿論良いが、1.0kg/cm2
上では気泡低減の効果がほとんど変わらないにも拘わら
ず、金型等の強度が必要となるため好ましくない。
【0019】この陽圧状態は乾燥された空気を金型内に
供給することにより行うことができるが、他のガスを用
いることもでき、特に、窒素ガス等の不活性ガスを用い
ることが好ましい。反応原液の酸化に伴い成型品の特性
が劣化することを防止するためである。とりわけ、この
点は、複数の反応原液を時間差をもって金型内に注入す
るようにした多層構造の成型品を製造する反応性重合成
形方法の場合には、各層間の界面における酸化を防止し
て接着性を向上するために重要である。なお、陽圧とし
ていることから、外部環境からの空気が進入することが
確実に防止され、酸化防止効果が高い。
【0020】上述した目的を達成するための本発明の反
応性重合成形装置は、その内部に存在する反応原液に遠
心力を作用させる金型と、前記金型内にガスを供給する
ことにより、該金型内を陽圧にするガス供給手段と、を
備えたことを特徴とする。
【0021】本発明装置は、本発明に係る方法を実施す
るために好適な装置である。なお、ガス供給手段として
は、N2 を含む不活性ガスのガスタンクなどを用いるこ
とができ、乾燥空気の場合には、乾燥させた空気を金型
内に送り込むための通常の送風機(場合により圧縮機)
を採用することができ、容積式・遠心式および軸流式の
いずれでも良い。
【0022】本発明において、遠心力に基づく加速度の
下限は、特に限定されないが、好ましくは0.5G以
上、さらに好ましくは1G以上、特に好ましくは1.2
G以上の加速度が良い。加速度が低すぎると、金型の内
周面に反応原液および充填剤が均一に張り付き難く、均
一な厚みの成形体が得られ難い傾向にある。
【0023】本発明において、加速度の上限は特に限定
されないが、大型の成形体を得る場合には、好ましくは
20G以下、さらに好ましくは10G以下、特に好まし
くは7G以下の加速度が良い。
【0024】反応原液には充填剤を混入させることがで
き、この場合には、所定の加速度の遠心力が得られる前
に、1G以下の加速度となるような遠心力で、金型を回
転させる(準備回転)ことが好ましい。重合反応による
成形前に、充填剤と反応原液とを十分に混合するためで
ある。このような観点からは、準備回転の所要時間は、
反応原液による反応が開始する前までの時間であること
が好ましい。
【0025】本発明においては、反応原液は、予め金型
内に入れておき、その後、金型の回転等を行って遠心力
を作用させ、あるいは金型の回転等を行った後に反応原
液を注入するようにできる。
【0026】反応原液 反応原液の組成は特に限定されないが、ウレタン系、ウ
レア系、ナイロン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル
系、フェノール系および、ノルボルネン系などが挙げら
れ、特にノルボルネン系が好ましい。金型の内部に入れ
る前の反応原液温度は20〜80°Cが好ましく、反応
原液の粘度は、たとえば、30°Cにおいて、好ましく
は20〜1500cps、さらに好ましくは30〜70
0cps程度である。
【0027】反応原液の粘度が低すぎる場合には、反応
原液に遠心力が作用せずに底部に停留する傾向にあり、
粘度が高すぎる場合には、加速度を利用した自由な形の
成形が困難になる傾向にある。
【0028】また、既に述べたように、反応原液には充
填剤を混入することができる。充填剤としては、特に限
定されないが、補強剤や難燃剤などを兼ねたものでも良
く、たとえば、繊維状のものとしては、ガラス繊維、ア
ラミド繊維、カーボン繊維、超高分子量ポリエチレン繊
維、金属繊維、ポリプロピレン繊維、アルミコーティン
グガラス繊維、木綿、アクリル繊維、ボロン繊維、シリ
コンカーバイド繊維、アルミナ繊維などを挙げることが
できる。粒状またはブロック状の充填剤としては、珪
砂、ミルドガラス、カーボンブラック、タルク、クレー
(ケイ酸アルミニウム)、けい藻土、炭酸カルシウム、
水酸化アルミニウム、雲母、チタン酸カリウム、硫酸カ
ルシウムなどが例示される。充填剤は、反応原液を入れ
る前に金型内に予め入れて置いても良い。
【0029】反応原液には、前記充填剤と共に、酸化防
止剤、顔料、着色剤、摺動付与剤、エラストマー、ジシ
クロペンタジエン系熱重合樹脂およびその水添物など種
々の添加剤を配合しても良い。添加剤を添加することに
より、得られるポリマーの特性を改質することができ
る。
【0030】酸化防止剤としては、フェノール系、リン
系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止
剤がある。エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合
体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
ク共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン
−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)およびこれらの水素化物などがあ
る。添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一方または
双方に混合しておく。
【0031】金型 本発明では、金型の内部に反応原液を入れた後、金型の
内部の反応原液に対して遠心力を加えることができるよ
うな構造となっている。たとえば金型が、一軸あるいは
多軸回りに回転可能になっている。金型を回転させるこ
とで、金型の内部にある反応原液には、遠心力による加
速度が作用する。
【0032】また、金型内を保圧または与圧する場合に
は、この金型は密封可能な構造とし、ガス供給手段から
のガスを供給するためのガス供給口を設ける必要があ
る。金型内の与圧はガス供給手段からガスが一定の圧力
で供給されることにより行われる。なお、金型内の圧力
は該ガス供給手段により一定に制御することができ、あ
るいはガス供給手段により所定圧力のガスを供給して、
金型内が一定圧以上となった時にレリーフ弁によって圧
力を逃がして金型内が一定圧力に維持されるようにして
も良い。金型内の圧力制御は、一定である必要は必ずし
もなく、時間経過や反応原液の反応過程に応じて変更調
整するようにしても良い。金型内を保圧する場合には、
金型のガス供給口の近傍に仕切弁や逆止弁等を設けて、
該金型の回転等を開始する前にガス供給手段から該ガス
供給口を介してガスを充填するようにできる。
【0033】金型の温度は、好ましくは、10〜150
°C、より好ましくは、20〜120°C、さらに好ま
しくは、30〜100°Cに制御される。金型の温度制
御は、本発明では必ずしも必要ではないが、金型を回転
させながら温度制御を行う場合には、加熱手段として、
ランプやヒートガンなどを用いることが好ましい。
【0034】なお、金型内に反応原液を注入する前に、
金型の内部に温風を流通させ、少なくとも金型のキャビ
ティ内部を所定温度に加熱した後、温風の流通を停止
し、金型装置のキャビティへ反応原液を流し込み、成形
を行うようにしても良い。
【0035】本発明において用いられる金型の材質は、
特に限定されないが、金型からの離型性が良く、滑らか
な外周面形状の成形体を得るためには、成形体に対して
非接着性の材質のものが好ましく、たとえば、鋳鉄、
鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル電鋳などの金
属が好ましい。ただし、成形体に対して非接着性の材質
のものであれば、合成樹脂、あるいはその他の材質でも
良い。反応性重合成形は、比較的低圧での成形が可能で
あるから、必ずしも高剛性の金型を用いる必要はない
が、金型内を陽圧とする場合には、その圧力の大きさと
の関係で金型の耐圧設計を行う必要がある。
【0036】金型を合成樹脂で構成する場合には、合成
樹脂としては、成形体に対して非接着性な、繊維強化プ
ラスチック(FRP)、フェノール、ポリエステルなど
の極性樹脂で構成した場合には、反応性重合成形体とは
一体化されないことから、反応性重合成形毎に金型装置
を取り外して繰り返し用いることができるので好まし
い。ただし、本発明においては、成形体に対して接着性
のある金型を用い、成形体と一体化しても良い。
【0037】また、金型内を陽圧とする場合には、これ
との関係上、金型は密封性について特別の配慮が必要で
あるが、この点を損なわない限り、その形状、構造は自
由に設定できる。自由な形状の成形が可能であることか
ら分割可能な割型が好ましいが、チューブなどを成形す
る場合には、分割されない筒状の型でも良い。筒状の型
の場合には、得られる成形体を引き抜く必要があること
から、離型性を良くするために、型の内周面に沿って、
原液の注入前に、予めワックスや滑剤などを塗布してお
くことも好ましい。また、成形体を引き抜く時には、成
形体の温度が、成形体のガラス転移温度(Tg)以下の
温度、好ましくは(Tg−50)°C以下の温度に成っ
てから成形体を引き抜き始めることが好ましい。その方
が、成形体の形状が崩れないと共に、作業性がよいから
である。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。
【0039】図1(A),(B)は本発明の1実施形態
に係る反応性重合成形方法に用いる金型の概略斜視図、
同図(C)は成形品の一例を示す概略斜視図、図2は金
型の断面図、図3は金型を回転させるための駆動装置の
側面図、図4は駆動装置の平面図、図5は(A)は図1
(C)に示す成形体のV−V線に沿う断面図、同図
(B)はその拡大要部断面図、図6は本発明の他の実施
形態に係る反応原液の時間経過と温度との関係を示す図
である。
【0040】第1実施形態 本実施形態では、ノルボルネン系モノマーを含む反応原
液を反応させて重合させ、外径が400mm以上のチュ
ーブ(充填剤含有)を製造する方法について説明する。
反応原液に遠心力を加えるために、本実施形態では、図
1(A),(B)に示す金型2を用いる。
【0041】金型2は、割面3に沿って縦方向に2つに
分割可能な割型4と、この割型4が組み合わされた状態
で、その両端部の外周に軸方向から取り付けられる一対
の転動リング8とを有する。割型4は、たとえばアルミ
ニウム製鋳物などで構成してあり、転動リング8は、鋳
鉄などで構成される。
【0042】割型4の割面3には、シール材が装着して
あることが好ましい。シール材を装着することで、割面
3から反応原液が漏れるなどの不都合を防止することが
できる。本実施形態に用いて好適なシール材としては、
特に限定されず、シリコンゴム製シール材などを用いる
ことができる。
【0043】割面3で組み合わされた割型4の内部に
は、内周面が形成してあり、この内周面に、所定の粘度
の反応原液が、所定の加速度を持つ遠心力で押し付けら
れるようになっている。割型4の軸方向両端部には、そ
れぞれ貫通孔5a,5bが形成されるように端板6,6
が形成してある。
【0044】図2に示すように、金型2の一方の貫通孔
5aは、該貫通孔5aに嵌合する蓋部材11aにより閉
塞される。蓋部材11aは金型2の端板6に対して着脱
可能に構成されている。蓋部材11aには内外に貫通す
る管部材13aが一体的に取り付けられ、この管部材1
3aの中間には仕切弁15aが取り付けられている。反
応原液を供給するための図示しない原液供給装置のノズ
ルをこの管部材13aの外側端部に連結し、仕切弁15
aを開いた状態で反応原液を供給することにより、反応
原液を金型2の内部に入れることができる。反応原液の
供給の後、仕切弁15aを閉じて、該ノズルの管部材1
3aに対する連結を解除する。なお、金型2内の気密性
を高めるため、蓋部材11aと端板6の間には、シリコ
ンゴム等の弾性体からなるシール部材が介装される。な
お、仕切弁15aに代えて、逆止弁を採用することがで
き、逆止弁を用いることにより、反応原液の供給時の弁
の開閉作業が省略でき効率的となる。
【0045】また、金型2の他方の貫通孔5bは、該貫
通孔5bに嵌合する蓋部材11bにより閉塞される。蓋
部材11bは金型2の端板6に対して着脱可能に構成さ
れている。蓋部材11bには内外に貫通する管部材13
bが一体的に取り付けられ、この管部材13bの中間に
は仕切弁15bが取り付けられている。窒素ガス等の不
活性ガスを供給するためのガス供給装置17(図2に点
線で表示)のノズル17aをこの管部材13bの外側端
部に連結し、仕切弁15bを開いた状態で不活性ガスを
供給することにより、金型2の内部に不活性ガスを充填
するとともに、陽圧とすることができる。不活性ガスの
充填の後、仕切弁15bを閉じて、該ノズル17aの管
部材13bに対する結合を解除する。なお、金型2内の
気密性を高めるため、蓋部材11bと端板6の間には、
シリコンゴム等の弾性体からなるシール部材が介装され
る。なお、仕切弁15bに代えて、逆止弁を採用するこ
とができ、逆止弁を用いることにより、不活性ガスの充
填時の弁の開閉作業が省略でき効率的となる。
【0046】さらに、金型2の一方の端板6にはレリー
フ弁19が取り付けられており、このレリーフ弁19は
金型2の内部が所定の圧力よりも高くなった場合に開く
ことにより、金型2の内部の圧力を一定に保持するため
のものである。このレリーフ弁19は、たとえば0.5
kg/cm2 ゲージで開くものが使用され、ガス供給装
置17から所定圧力の不活性ガスを供給し、一定圧以上
となった場合に圧力が逃げるようにする。なお、レリー
フ弁19は、この実施形態では金型2に直接取り付けた
が、蓋部材11aまたは11bに取り付けることがで
き、その方が適宜に交換される金型の構成の簡略化が図
れる。
【0047】図3および4に示すように、金型2におけ
る一方の転動リング8には、一対のフランジ付き駆動ロ
ーラ12が係合し、他方の転動リング8には、一対のフ
ランジ無しの駆動ローラ14が係合するようになってい
る。これら駆動ローラ12および14は、変速機16お
よび定トルクインバータモータ18に接続してあり、全
て略同じ回転速度で回転するようになっている。これら
駆動ローラ12および14が、全て略同じ回転速度で回
転することで、それらに係合する転動リング8も、その
軸芯回りに回転し、割型4,4から成る金型2をも同時
に軸芯回りに回転する。なお、駆動ローラ12,14、
変速機16およびモータ18は、ベース20の上に装着
してある。また、軸方向一方の駆動ローラ12をフラン
ジ付きとしたのは、フランジが転動リング8の軸方向移
動を制限することにより、金型2の軸方向移動を制限す
るためである。軸方向双方の駆動ローラ12,14をフ
ランジ付きとしても良いが、一方のみで十分に金型2の
軸方向移動を制限することができる。
【0048】次に、上記の金型2を用い、反応性重合成
形方法によりチューブを成形する方法について説明す
る。
【0049】まず、図1(B)に示すように、割型4,
4を組み合わせ、次に、図1(A)に示すように、組み
合わされた割型4,4の両端部に転動リング8,8を装
着し、金型2を組み立てる。その後、図2に示すよう
に、蓋部材11a、11bを金型2に取り付けることに
より、貫通孔5a,5bを閉塞する。次に、この金型2
を、図3,4に示す駆動ローラ12,14の上に、回転
自在に載置する。
【0050】その後、上述したように、原液供給装置の
ノズルを金型2の管部材13aに連結し、仕切弁15a
を開いて、金型2の内部に反応原液を供給し、仕切弁1
5aを閉じて、原液供給装置のノズルを管部材13aか
ら取り外す。
【0051】反応原液の金型2の内部への供給の後、上
述したように、ガス供給装置17のノズル17aを金型
2の管部材13bに連結し、仕切弁15bを開いて、金
型2の内部に不活性ガスを充填した後、仕切弁15bを
閉じることにより、金型2の内部を保圧する。その後、
ガス供給装置17のノズル17aを管部材13bから取
り外す。なお、不活性ガスの充填は、反応原液の金型2
の内部への供給の前に、あるいは同時に行うこともでき
る。
【0052】本実施形態で行う反応性重合成形は、ノル
ボルネン系モノマーを用いた成形であり、使用するノル
ボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、
ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン
(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペン
タジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環
体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペン
タジエン四量体等の七環体;これらのメチル、エチル、
プロピル、ブチルなどのアルキル、ビニル等のアルケニ
ル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、
ナフチル等のアリール等の置換体;更にこれらのエステ
ル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性
基を有する置換体などが例示される。これらのモノマー
は、1種以上を組み合わせて用いても良い。入手が容易
であり、反応性に優れ、得られる樹脂成形体の耐熱性に
優れる点から、三環体、四環体、あるいは五環体のモノ
マーが好ましい。
【0053】また、生成する開環重合体は熱硬化型とす
ることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系
モノマーの中でも、シクロペンタジエン三量体等の反応
性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なく
とも含むものが用いられる。全ノルボルネン系モノマー
中の架橋性モノマーの割合は、2〜30重量%が好まし
い。
【0054】なお、本発明の目的を損なわない範囲で、
ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオク
テン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、
コモノマーとして用いても良い。
【0055】ノルボルネン系モノマーを用いた成形にお
いて使用することができるメタセシス触媒は、六塩化タ
ングステン、またはトリドデシルアンモニウムモリブデ
ート、もしくはトリ(トリデシル)アンモニウムモリブ
デート等のモリブデン酸有機アンモニウム塩等のノルボ
ルネン系モノマーの塊状重合用触媒として公知のメタセ
シス触媒であれば特に制限はないが、モリブデン酸有機
アンモニウム塩が好ましい。
【0056】活性剤(共触媒)としては、特開昭58−
127728号公報、特開平4−226124号公報、
特開昭58−129013号公報、特開平4−1452
47号公報に開示してあるような公知の活性剤であれ
ば、特に制限はないが、例えばエチルアルミニウムジク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルア
ルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウム
ハライドなどの有機アルミ化合物、有機スズ化合物等が
挙げられる。
【0057】成形の前準備として、ノルボルネン系モノ
マー、メタセシス触媒及び活性剤を主材とする成形用材
料を、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒とより
なるB液と、前記のノルボルネン系モノマーと活性剤と
よりなるA液との安定な2液に分けて、それぞれを原液
供給装置の対応するタンクに入れておく。
【0058】本実施形態では、平均粒径が0.2〜3m
m程度の珪砂などの充填剤を、予め金型の内部に入れて
おく。充填剤の充填割合は、特に限定されないが、金型
中に入れられる反応原液の全重量を100重量%とした
場合に、30〜60重量%程度の高充填割合とすること
もできる。
【0059】成形を開始するには、原液供給装置のノズ
ルを管部材13aの端部に連結し、該原液供給装置のミ
キサーを制御し、タンクからのA液およびB液を混合し
て、その混合液をノズルおよび管部材13aを介して吐
出させることにより、金型2の内部に供給する。金型2
内に供給された反応原液の粘度は、たとえば30°Cに
おいて、50cps〜1500cpsである。
【0060】本実施形態においては、金型2は、必ずし
も加熱する必要はないが、重合反応を生じ易くする観点
から、熱媒体あるいは温風などを利用して加熱しても良
い。
【0061】金型2の回転数は、反応原液に1G以上5
G以下の加速度が加えられるように設計され、金型2の
内周面の径などによっても異なり、内周面の径を400
〜600mmとした場合には、金型2の軸芯回りの回転
数は、80〜150rpm程度が好ましい。
【0062】金型2を、その軸芯回りに一定な回転速度
で回転するために必要な初期起動(準備回転)時間は、
数秒から30秒程度である。この準備回転時間中に、反
応原液および充填剤に、1G以下程度の加速度が加わ
り、反応原液および充填剤が均一に混合される。その
後、金型の回転数を上げて、一定の回転数とし、1G〜
5G程度の加速度を金型内の反応原液と充填剤とに作用
させる。
【0063】なお、原液供給装置のノズルを回転自在に
構成して、管部材13aに連結した状態で金型2の回転
に伴って回転するようにした上で、金型2を、その軸芯
回りに一定な回転速度で回転する状態となった後に、反
応原液を供給しても良い。
【0064】金型2を、その軸芯回りに一定な回転速度
で回転することで、金型2内部に供給された反応原液
は、遠心力により金型2の内周面にチューブ状に張り付
き、充填剤は、反応原液中で、少なくとも周方向に均一
に分散することになる。その状態を、たとえば1〜10
分間保持することで、反応原液における反応が進み、塊
状重合が行われる。
【0065】その後、金型2の回転を停止し、金型2を
冷却した後、図2に示す状態から、蓋部材11a,11
bを取り外した図1(A)に示す状態を経て、同図
(B)に示す状態となるように、転動リング8を外し、
割型4,4を開けば、同図(C)に示すようなチューブ
状の成形体10を得ることができる。このチューブ状の
成形体10は、ノルボルネン系モノマーの反応性重合成
形体で構成され、図5(A)および(B)に示すよう
に、樹脂層9中に充填剤7が均一に分散してあるものが
得られる。
【0066】なお、得られる成形体10の厚みは、特に
限定されないが、本実施形態では、5〜100mm程度
である。
【0067】陽圧の開始タイミングは特に限定されない
が、少なくとも反応原液のSMTより前である必要があ
り、好ましくは反応原液のPLの前であり、反応原液の
注入前でも後でも良い。また、陽圧の終了タイミングも
特に限定されないが、少なくとも反応原液が最大温度
(Tmax)に達した後、好ましくはガラス転移温度
(Tg)に達した後に終了するのが良い。なお、SMT
とは反応原液の反応が急激に進み、生成樹脂の表面より
わずかに白煙が上がる時刻であり、PLとはポットライ
フであり、樹脂が流動可能な時間である。
【0068】本実施形態では、金型2内に窒素ガス等の
不活性ガスを充填して保圧することにより、反応開始前
またはその直後から反応終了までの間、金型2内を陽圧
状態としているから、反応原液中に混入しあるいは反応
途中で発生した気泡が積極的に反応原液から分離され、
したがって、得られる成形体中に気泡が包含されること
が少ない。なお、反応原液に遠心力が加えられているこ
とも、反応原液からの気泡の分離に寄与していると考え
られる。これにより、強度性や耐久性に優れ、かつ内面
が滑らかな成形体が得られる。
【0069】また、本実施形態の方法により得られる図
1(C)に示すチューブ状成形体10の内周面は、成形
の過程において何にも触れることなく、遠心力により得
られる面となるので、成形中に反応原液の硬化不良など
の不都合も生じることがなく、その内周面が滑らかにな
る。得られるチューブ状成形体は、たとえば流体配管な
どとして用いられ、配管内に流体を流すことから、内周
面が滑らかであることは、配管として用いて都合がよ
い。
【0070】加えて、金型2内が不活性ガスにより保圧
されているので、金型2内への空気の進入が防止される
から、反応原液が酸化することが少なくなり、得られる
成形体の特性向上も期待できる。
【0071】さらに、本実施形態に係る方法により得ら
れたチューブ状成形体は、ノルボルネン系モノマーの塊
状重合反応を利用して得られた重合体であることから、
耐衝撃性および耐久性などの機械的特性に優れている。
また、この方法によれば、比較的大口径のチューブ状成
形体でも、比較的容易に成形することができる。
【0072】加えて、本実施形態によると、充填剤7が
均一に分散された樹脂層9に充填剤7が均一に分散され
ているから、機械的強度や難燃性に優れた特性を有して
いる。
【0073】さらに本実施形態では、割型4,4を用
い、この外周に転動リング8,8を装着し、この転動リ
ング8,8を利用して、金型2を、その軸芯回りに回転
させているので、割型を用いることによる成形体の自由
形状の成形と、リングを利用した回転ぶれの少ない回転
との双方を実現することができる。なお、回転ぶれが生
じたら、回転中に、リング8,8の外周を削ることによ
り、回転ぶれを抑制することもできる。また、リング
8,8の交換も容易である。
【0074】本実施形態により得られたチューブ状成形
体の用途としては、特に限定されないが、特に大口径
(400mm以上、1000〜2000mm)のパイプ
として、下水配管、農道用配水管、ダム用配水管、宅地
造成用配水管、その他の配管などとして好適に用いるこ
とができる。
【0075】第2実施形態 上述した第1実施形態では、金型2内を保圧するように
しているが、この第2実施形態では金型2内を与圧する
ようにしている。その他については、第1実施形態と同
様である。
【0076】まず、その構成を図2を参照して説明す
る。この実施形態におけるガス供給装置17は、そのノ
ズル17aが同図で左右方向にスライド自在に構成され
るとともに、金型2の回転中心軸に概略一致する回転軸
を中心として回転自在に構成されている。蓋部材11
a,11bが取り付けられた金型2を、図3,4に示す
駆動ローラ12,14の上に載置した状態で、ガス供給
装置17のノズル17aを該金型2の方向にスライドさ
せて、ノズル17aの先端を管部材13bに連結する。
金型2の回転が開始されると、ノズル17aもこれに伴
い回転するようになっており、金型2が回転している状
態で、金型2内の圧力を任意に制御することができるよ
うになっている。
【0077】反応原液の反応過程と金型内の圧力制御と
の関係を図6を参照して説明する。図6は時間(t)の
経過に伴う温度(T)の変化の関係の一例を示すグラフ
であり、同図において、PLは反応原液のポットライ
フ、SMTは反応原液のスモークタイムである。また、
Tgは反応原液のガラス転移温度を、t1はガラス転移
温度に達する時刻を示しており、Tmaxは最大温度
を、t2は最大温度に達する時刻を示している。なお、
Tminは反応原液の注入時の温度である。
【0078】この実施形態では、ガス供給装置17によ
る不活性ガスの供給、すなわち金型2内の与圧(加圧)
の開始は、図6に符号Sで示すように、反応原液の供給
直後に行うようにした。実用上は、原液供給装置による
反応原液の金型2内への供給後、ポットライフ(PL)
の前が良いと考えられる。ポットライフの前としたの
は、ポットライフ後に行うと、反応原液のゲル化が進行
するから、気泡の放出効果が薄れてしまうためであり、
反応原液の供給後としたのは、供給前では後に行われる
反応原液の供給圧力を与圧に対応して高くする必要があ
るからである。
【0079】ただし、反応原液の供給前に与圧を開始し
ても勿論良い。また、ポットライフゲルポイントと同時
にあるいはその後に与圧を開始しても勿論良いが、この
場合には最大温度到達時刻(t1)よりも前が好まし
く、スモークタイム(SMT)よりも前がさらに好まし
い。
【0080】一方、この実施形態では、ガス供給装置1
7による不活性ガスの供給の解除、すなわち金型2内の
与圧(加圧)の終了は、図6に符号Eで示すように、ガ
ラス転移温度到達時刻t2の直後に行うようにした。与
圧の終了は、最大温度到達時刻t1より前であっても勿
論かまわないが、最大温度到達時刻t1の後に行うのが
好ましく、ガラス転移温度到達時刻t2よりも後に行わ
れるのがさらに好ましい。
【0081】ガス供給装置17による金型2内の圧力
は、大気圧以上であれば良いが、金型2の耐圧設計等の
軽減を考慮して、0.5kg/cm2 に設定した。これ
以上の圧力であっても勿論かまわない。なお、この実施
形態では圧力は与圧開始から終了に至るまで一定に制御
するようにしているが、時間経過にしたがって変化させ
るようにしても良い。
【0082】また、ガス供給装置17により、金型2内
に供給するガスの種類は、窒素ガス等の不活性ガスが好
ましいが、乾燥空気等でも良い。
【0083】その他の実施形態 なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の範囲内で種々に改変することができ
る。たとえば、上記実施形態では、1層構造の反応性重
合成形体について説明しているが、本発明はこれに限定
されず、異種あるいは同種の複数の反応原液を時間差を
もって金型内に順次注入することにより、多層構造の成
形体を成形する場合に適用することができる。
【0084】また、上述した第1実施形態では、反応性
重合成形体中に充填剤を含有させたが、本発明では、必
ずしも充填剤を含有させなくても良い。
【0085】さらに、本発明で用いることができる金型
としては、上述した実施形態に限定されず、種々に改変
することができる。
【0086】加えて、上述した実施形態では、金型を1
軸回りに回転させたが、2以上の多軸回りに回転させて
も良い。
【0087】
【実施例】以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づ
き説明するが、本発明は、これら実施例に限定されな
い。
【0088】実施例1 図1(A)に示す金型2を準備した。一対の割型4,4
は、アルミニウム鋳物製であり、その外径は、500m
m、その内径は、400mm、その軸方向長さは、12
00mmであった。割型4,4の両端部に形成された端
板6の貫通孔5の内径は、150mmであった。
【0089】この割型4,4を割面3で組み合わせた。
割面3には、シリコンゴム製シール材を装着した。
【0090】割型4,4の割面3がシールされた状態
で、転動リング8,8を取り付けた。転動リング8,8
は、鋳鉄で構成してあり、その外径は700mm、その
軸方向厚みは50mmであった。
【0091】図3,4に示す金型回転装置の駆動ローラ
12,14上の上に転動リング8,8を乗せてセット
し、金型2の内部に、充填剤として珪砂(龍森製RS−
シリカ、平均粒径1mm)を5kg投入した。
【0092】次いで、図2に示すように、金型2の端板
6,6のそれぞれの貫通孔5a,5bを蓋部材11a,
11bを取り付けることによりそれぞれ閉塞し、仕切弁
15a,15bを閉じた状態で、管部材13aに原液供
給装置のノズルを接続するとともに、管部材13bにガ
ス供給装置17のノズル17aを接続した。
【0093】その後、仕切弁15aを開いて、合計で1
0kgの反応原液を金型2の内部に供給し、仕切弁15
aを閉じて、原液供給装置のノズルを管部材13aから
取り外した。その直後に、仕切弁15bを開いて、ガス
供給装置17から窒素ガスを供給し、金型2の内部が
0.5kg/cm2 ゲージ圧になるまでの時間の経過を
待って、仕切弁15bを閉じて、ガス供給装置17のノ
ズル17aを管部材13bから取り外した。
【0094】反応原液の調整は以下のように行った。ジ
シクロペンタジエン(DCP)85重量%と、トリシク
ロペンタジエン15重量%とからなる混合モノマーを用
い、このモノマー総量100重量部に対して、スチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体(クレイトン
1170、シェル社製)を5重量部とフェノール系の酸
化防止剤であるイルガノックス1010(チバガイギー
社製)を2重量部とを溶解させ、これを2つの容器に入
れ、一方には混合モノマーに対しジエチルアルミニウム
クロリド(DEAC)を40ミリモル濃度、n−プロパ
ノールを44ミリモル濃度、四塩化ケイ素を20ミリモ
ル濃度となるように添加した(A液)。他方には、混合
モノマーに対しトリ(トリデシル)アンモニウムモリブ
デートを10ミリモル濃度となるように添加した(B
液)。これらA液およびB液から成る反応原液につい
て、各種の値を計測したところ、ポットライフPL=3
分10秒、スモークタイムSMT=10分56秒であっ
た。また、最大温度Tmax=210°C、最大温度到
達時刻t1=11分2秒、ガラス転移温度Tg=140
〜150°C、ガラス転移温度到達時刻t2=11分1
2秒であった。
【0095】反応原液について、A液およびB液をそれ
ぞれギヤーポンプにて1対1の容積比となるようにミキ
サーに送液し、次いで、上述のようにして金型2内部に
供給した。反応原液の温度(Tmin)は、30°Cで
あり、その粘度は、300cpsであった。
【0096】反応原液の供給および金型の保圧完了後、
直ぐに、駆動ローラ12,14を回転させ、金型2を、
その軸芯回りに回転した。15秒で、金型2の回転速度
が、120rpmとなり、その速度を維持した。反応原
液に作用する加速度を計算すると、3Gであった。
【0097】この状態を、反応原液の注入開始から15
分間維持し、その後、回転を停止し、金型2を取り出
し、蓋部材11a,11b、転動リング8,8を取り外
し、割型4,4を開いたところ、図1(C)に示すよう
なチューブ状成形体10が得られた。成形体の厚みd
(図5(B)参照)は、10mmであった。
【0098】確認のため、このチューブ状成形体10を
複数箇所で切断し、断面状態を調べたが、ボイドは確認
されず、充填剤としての珪砂7が、樹脂層9内で均一に
分散していることも確認できた。また、チューブ状成形
体10の内周面を観察したところ、硬化不良などの不具
合がなく、滑らかであることが確認された。また、チュ
ーブ状成形体10の中空部断面の真円度を計測したとこ
ろ、真円に近いものであり、良好な真円度が得られたこ
とが確認された。
【0099】実施例2 金型2内の与圧時期を調整するようにしたこと以外は、
実施例1と同様にして反応性重合反応を行い成形体を得
た。
【0100】この実施例2では、ガス供給装置17とし
て、そのノズル17aが金型2の回転に伴って回転する
構成のものを使用した。反応原液の供給直後に金型2の
回転を開始した。反応原液を金型2の内部に供給した直
後に、ガス供給装置17を作動制御して金型2内に窒素
ガスを供給し、金型2の内部が0.5kg/cm2 ゲー
ジ圧に達した時点でその状態を維持するように制御し
た。
【0101】ガス供給装置17による窒素ガスによる金
型2内の与圧の開始は、反応原液の供給終了直後とし
た。ガス供給装置17による与圧の終了は、ガラス転移
温度到達時刻t2の直後とした。ガス供給装置17によ
る金型2内の圧力は、与圧開始から終了まで上記圧力で
ほぼ一定に保持した。
【0102】確認のため、このチューブ状成形体10を
複数箇所で切断し、断面状態を調べたが、ボイドは確認
されず、充填剤としての珪砂7が、樹脂層9内で均一に
分散していることも確認できた。また、チューブ状成形
体10の内周面を観察したところ、硬化不良などの不具
合がなく、滑らかであることが確認された。また、チュ
ーブ状成形体10の中空部断面の真円度を計測したとこ
ろ、真円に近いものであり、良好な真円度が得られたこ
とが確認された。
【0103】実施例3 充填剤としての珪砂を金型内に投入しなかった以外は、
実施例1と同様にして反応性重合反応を行い成形体を得
た。
【0104】得られた成形体を確認したところ、ボイド
が存在しないことが確認できた。また、成形体の内周面
を観察したところ、硬化不良などの不具合がなく、滑ら
かであることが確認された。また、成形体の中空部断面
の真円度を計測したところ、真円に近いものであり、良
好な真円度が得られたことが確認された。
【0105】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、反応原液中に含まれる比較的小さな気泡をも除去す
ることができ、成形体のボイドを低減することができ、
機械的強度、耐久性などの特性に優れるとともに、成形
体表面の平滑性を向上した反応性重合成形体を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A),(B)は本発明の1実施形態に係
る反応性重合成形方法に用いる金型の概略斜視図、同図
(C)は成形品の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は金型の断面図である。
【図3】図3は金型を回転させるための駆動装置の側面
図である。
【図4】図4は駆動装置の平面図である。
【図5】図5(A)は図1(C)に示す成形体のV−V
線に沿う断面図、同図(B)はその拡大要部断面図であ
る。
【図6】図6は本発明の他の実施形態に係る反応原液の
時間経過と温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
2… 金型 3… 割面 4… 割型 5a,5b…貫通孔 6… 端板 7… 充填剤 8… 転動リング 9… 樹脂層 10… 成形体 11a,11b… 蓋部材 12,14… 駆動ロール 13a,13b… 管部材 15a,15b… 仕切弁 16… 変速機 17… ガス供給装置 17a… ノズル 18…トルクインバータモータ 19… レリーフ弁 20… ベース

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型内に存在する反応原液に遠心力を加
    え、かつ大気圧より高い陽圧状態下で反応重合させるこ
    とを特徴とする反応性重合成形方法。
  2. 【請求項2】 前記金型内に不活性ガスを供給すること
    により、該金型内を陽圧にすることを特徴とする請求項
    1に記載の反応性重合成形方法。
  3. 【請求項3】 その内部に存在する反応原液に遠心力を
    作用させる金型と、 前記金型内にガスを供給することにより、該金型内を陽
    圧にするガス供給手段と、を備えたことを特徴とする反
    応性重合成形装置。
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