JP2000117757A - 反応性重合回転成形方法および金型装置 - Google Patents

反応性重合回転成形方法および金型装置

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JP2000117757A
JP2000117757A JP29191498A JP29191498A JP2000117757A JP 2000117757 A JP2000117757 A JP 2000117757A JP 29191498 A JP29191498 A JP 29191498A JP 29191498 A JP29191498 A JP 29191498A JP 2000117757 A JP2000117757 A JP 2000117757A
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mold
reaction
reaction solution
hot air
molding
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JP29191498A
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English (en)
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Hirotoshi Tanimoto
博利 谷本
Atsushi Nishibe
淳 西部
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応時間を短縮できるとともに、良好な内面平
滑性を持ち、しかも高品質の成形体を成形することがで
きる反応性重合回転成形方法および金型装置を提供す
る。 【解決手段】金型を回転させながら、該金型内で反応原
液を反応させて重合させる反応性重合回転成形方法であ
って、前記金型の内周面に張り付いた反応原液層を、好
ましくは反応原液層の内面を、たとえば温風、ランプま
たは放射線などで加熱する。また、こうした加熱手段を
有する金型装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反応性重合回転成形
方法および金型装置に係り、さらに詳しくは、良好な内
面平滑性を持つ成形体を成形することができる反応性重
合回転成形方法および金型装置に関する。
【0002】なお、「反応性重合回転成形方法」とは、
金型を回転させながら、金型内で反応原液を反応させて
重合させる方法を広く意味するものとする。
【0003】
【従来の技術】反応性重合回転成形方法と異なり、金型
を回転させないで反応原液を金型内に射出して成形品を
成形する反応射出成形(RIM)法がある。このRIM
法は、高圧衝突ミキサーを用いて反応性の高い2成分以
上の液状化学原料を混合し、これを金型装置のキャビテ
ィに送り込み、金型装置内で反応させつつ射出成形を行
い、高分子成形品を製造するプロセスをいう。実用化例
としては、ウレタン、ナイロン、ポリウレア、ジシクロ
ペンタジエン系などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
RIM法に際しては、金型のキャビティ内への反応原
液の射出時に泡が混入することがあり、その結果、成形
体中にボイドなどが生じることがあった。成形体中にボ
イドが混入すると、成形体の透明性が低下したり、成形
体表面がざらついたりして、成形体の品質を低下させ
る。内部が中空の成形体(たとえば、パイプやチュー
ブなど)を成形するには、中空部に相当する部分に入れ
子型などを入れる必要があり、成形中に入れ子型と接触
する反応原液が冷やされ、硬化不良などを生じるおそれ
があった。成形体中に硬化不良を生じると、成形体内部
に流体を流通させると内部が詰まる原因となる。
【0005】なお、こうしたRIM法の変形として、米
国特許第4,808,364号公報には、回転する金型
の内部に、反応原液を混合して入れ、金型を回転させな
がら反応原液に遠心力を加えつつ、加熱することなく金
型の内部で反応原液を反応させて重合させ、内面に空洞
を持つ成形品(パイプ)を成形することができる回転成
形方法が概念的に開示してある。
【0006】さらに特開平3−69357号公報には、
成形体に対して接着性のあるポリエチレン管を金型とし
て用い、このポリエチレン管を軸芯回りに回転させなが
ら、該ポリエチレン管内に反応原液を注入しつつ、該反
応原液の反応を促進するために必要に応じて金型を加熱
しながら反応性重合反応を行い、得られる成形体をポリ
エチレン管と一体化させる技術が開示してある。
【0007】しかしながら、上記いずれの公報に記載の
方法によっても、得られる成形体の内面の平滑性が不十
分であり、得られた成形体を下水道管などの配管として
使用した場合に、内部が詰まり易いという課題を有して
いる。また、上記公報に記載の成形方法では、反応に時
間がかかるという課題も有している。
【0008】本発明はこうした実状に鑑みてなされ、反
応時間を短縮できるとともに、良好な内面平滑性を持
ち、しかも成形体中にボイドが発生したり、硬化不良を
生じないなどの高品質の成形体(特に、パイプやチュー
ブなどの中空の成形物)を成形することができる反応性
重合回転成形方法および金型装置を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、反応時間
を短縮できるとともに、良好な内面平滑性を持ち、しか
も高品質の成形体を成形することができる反応性重合回
転成形方法および金型装置について鋭意研究した結果、
金型を回転させながら、該金型内で反応原液を反応させ
て重合させる反応性重合回転成形方法において、金型の
内周面に張り付いた反応原液層を加熱することにより、
反応時間を短縮できるとともに、良好な内面平滑性を持
ち、しかも高品質の成形体を成形することができること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明方法は、金型を回転させ
ながら、該金型内で反応原液を反応させて重合させる反
応性重合回転成形方法であって、該金型の内周面に張り
付いた反応原液層を、好ましくは反応原液層の内面を加
熱することを特徴とする。なお、反応原液層とは、金型
内に投入された反応原液が、所定の厚みを持って金型の
内周面に沿って張り付いた状態を意味している。
【0011】本発明方法によれば、金型内の反応原液層
を加熱することとしてあるので、反応原液層の反応を促
進でき、反応時間を短縮できる。特に反応原液層の内面
側から加熱することにより、該反応原液層の反応を内面
から外面にかけて順次進行でき、良好な内面平滑性を持
つ成形体を成形できる。さらに金型を回転させながら加
熱することとしてあるので、金型の内側に張り付いた反
応原液層を均一な厚みにすることができ、しかも該反応
原液層を均一に加熱できるので、均一に重合反応を促進
することができ、ひいては得られる成形体にボイドや硬
化不良を生じるおそれが少なくなる。したがって、本発
明方法によれば、良好な内面平滑性を持つ高品質の成形
体を生産性良く製造することができ、特に中空の成形体
(たとえば、パイプやチューブなど)の成形に適用して
好ましい。
【0012】反応原液層を加熱するタイミングは、該反
応原液を金型内に投入し、金型を回転させて該反応原液
が金型の内周面に張り付いてから加熱するのが好まし
い。
【0013】反応原液層の加熱方法は、特に限定されな
いが、好ましくは反応原液層に接触することなく加熱す
る非接触性加熱方法を採用することが望ましい。非接触
法を用いることで、成形中における反応原液の硬化不良
を効果的に防止できる。こうした非接触性加熱方法とし
ては、特に限定されず、たとえば温風、ランプ(たとえ
ば、赤外線ランプ、遠赤外線ランプ、ハロゲンランプな
ど)、放射線(たとえば、マイクロ波、電子線、電磁波
など)などを例示することができる。
【0014】なお、前記反応原液層を加熱するとき、金
型を加熱していても、加熱していなくても良いが、好ま
しくは予め加熱しておくことが望ましい。金型の加熱方
法としては、特に限定されないが、ラバーヒーター、温
風などが例示できる。
【0015】また、本発明に係る反応性重合回転成形方
法において、成形に用いられる材料は、特に限定され
ず、反応して重合体となる反応原液に限らず、その他の
樹脂、コンクリート、金属などであっても良いが、反応
原液であることが好ましい。
【0016】また、本発明装置は、金型を回転させなが
ら、該金型内で反応原液を反応させて重合させる反応性
重合回転成形に用いられる金型装置であって、前記金型
の内周面に張り付いた反応原液層の内面を加熱する手段
を有することを特徴とする。
【0017】本発明装置によれば、金型に、該金型内の
反応原液層を加熱する手段を有するので、反応原液層の
反応を促進でき、反応時間を短縮できる。また反応原液
層の内面側から加熱する手段を有するので、該反応原液
層の反応を内面から外面にかけて順次進行でき、良好な
内面平滑性を持つ成形体を成形できる。さらに金型を回
転させながら加熱することとしてあるので、金型の内側
に張り付いた反応原液層を均一な厚みにすることがで
き、しかも加熱手段により該反応原液層の内面を均一に
加熱できるので、均一に重合反応を促進することがで
き、ひいては得られる成形体にボイドや硬化不良を生じ
るおそれが少なくなる。したがって、本発明装置によれ
ば、良好な内面平滑性を持つ高品質の成形体を生産性良
く製造することができ、特に中空の成形体(たとえば、
パイプやチューブなど)の成形に適用して好ましい。
【0018】反応原液層内面を加熱する手段としては、
特に限定されないが、好ましくは反応原液層内面に接触
することなく加熱する非接触性加熱手段を採用すること
が望ましい。これを用いることで、成形中における反応
原液の硬化不良を効果的に防止できる。こうした非接触
性加熱手段としては特に限定されず、たとえば上記と同
様の温風、ランプ、放射線などが例示される。
【0019】なお、本明細書において、「回転成形方
法」とは、金型を、1G(Gは重力加速度を意味する。
以下同じ)未満の加速度を加えた状態で回転させて成形
する狭義の回転成形と、1G以上の加速度を加えた状態
で回転させて成形する遠心成形との双方を意味するもの
とする。
【0020】反応原液 反応原液としては、特に限定されないが、ウレタン系、
ウレア系、ナイロン系、エポキシ系、不飽和ポリエステ
ル系、フェノール系、ノルボルネン系などが挙げられる
が、ノルボルネン系が特に好ましい。金型の内部に入れ
る前の反応原液温度は20°C〜80°Cが好ましい。
【0021】反応原液の粘度は、たとえば、30°Cに
おいて、好ましくは20cps〜1500cps、さら
に好ましくは30cps〜1000cps程度である。
反応原液の粘度が低すぎる場合には、反応原液に遠心力
が作用せずに底部に停留する傾向にあり、粘度が高すぎ
る場合には、回転成形による遠心力を利用した自由な形
の成形が困難になる傾向にある。
【0022】かかる成形では、補強材を予め金型内に設
置しておき、その中に反応原液を供給して重合させるこ
とにより強化ポリマー(成形体)を製造することができ
る。
【0023】補強材としては、例えば、アラミド繊維、
超高分子量ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、木
綿、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維
の有機繊維およびガラス繊維、カーボン繊維、金属繊
維、アルミコーティングガラス繊維、ボロン繊維、シリ
コンカーバイド繊維、アルミナ繊維などの無機繊維など
を挙げることができる。
【0024】これらの補強材は、長繊維状またはチョッ
プドストランド状のものをマット化したもの、布状に織
ったもの、チョップ形状のままのものなど、種々の形状
で使用することができる。これらの補強材は、その表面
をシランカップリング材等のカップリング剤で処理した
ものが、樹脂との密着性を向上させる上で好ましい。
【0025】これら補強材の使用量は特に制限はない
が、通常、成形品全重量の10重量%以上、好ましくは
20〜60重量%の範囲となるように使用することが望
ましい。
【0026】また、反応原液には、上記補強材の他に、
たとえば、酸化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、発泡
剤、難燃剤、摺動付与剤、エラストマー、ジシクロペン
タジエン系熱重合樹脂およびその水素添加物などの種々
の添加剤を配合することにより、得られるポリマーの特
性を改質することができる。
【0027】酸化防止剤としては、フェノール系、リン
系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止
剤などが挙げられる。
【0028】充填剤としては、ミルドガラス、カーボン
ブラック、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、雲母、チタン酸カリウム、硫酸カルシウムなどの無
機質充填剤などが挙げられる。
【0029】エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブ
タジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重
合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロ
ック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレ
ン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体(EVA)およびこれらの水素添加物など
が挙げられる。
【0030】添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一
方または双方に混合しておくことが望ましい。
【0031】金型 本発明では、金型の内部に反応原液を入れた後、金型の
内部の反応原液に対して加速度を加えることができるよ
うな構造であることが望ましい。たとえば金型が、一軸
あるいは多軸回りに回転可能になるような構造が例示で
きる。金型を回転させることで、金型の内部にある反応
原液には、遠心力による加速度が作用し、均一に金型内
面側に張り付くようになる。また遠心力により、反応原
液から泡が分離され、得られる成形体中にボイドが少な
くなる。
【0032】金型の温度は、好ましくは10〜150°
C、より好ましくは20〜120°C、さらに好ましく
は30°C〜100°Cで内面温度より低く制御される
ことが好ましい。なお、金型内に反応原液を注入する前
に、金型の内部に温風を流通させ、少なくとも金型のキ
ャビティ内部を所定温度に加熱した後、温風の流通を停
止し、金型装置のキャビティへ反応原液を流し込み、成
形を行うようにしても良い。
【0033】本発明において、反応原液を用いて回転成
形を行う場合には、金型の材質は、特に限定されず、鋳
鉄、鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル電鋳など
の金属に限らず、合成樹脂、あるいはその他の材質でも
良い。反応原液を用いた成形は、比較的低圧での成形が
可能であり、必ずしも高剛性の金型を用いる必要はな
い。
【0034】金型を合成樹脂で構成する場合には、合成
樹脂としては、特に限定されず、ポリエチレン(たとえ
ば、LDPE、MDPE、HDPE、超高分子PE)、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ウレ
タン、エポキシ、フェノール、ポリエステルなどが例示
される。
【0035】金型を非極性樹脂(たとえば、LDPEや
MDPEなどのポリエチレン、またはポリスチレンな
ど)で構成した場合には、これらの樹脂が成形体と容易
に一体化されるので、成形毎に、使い捨てて用いること
もできる。すなわち、製品となる金型の内面に、反応原
液の重合成形体から成るライニング層を一体的に成形す
ることも可能である。
【0036】金型を極性樹脂(たとえば、フェノール、
ポリエステルなど)で構成した場合には、反応性重合成
形体とは一体化されないことから、反応性重合成形毎に
金型装置を取り外して繰り返し用いることができる。
【0037】金型は、自由な形状の成形が可能な分割可
能な割型が好ましいが、外周面にリブなどが形成されて
いないパイプなどのパイプ状成形体などを成形する場合
には、分割されない筒状の型でも良い。
【0038】筒状の型の場合には、得られる成形体を引
き抜く必要があることから、離型性を良くするために、
型の内周面に沿って、原液の注入前に、予めワックスや
滑剤などを塗布しておくことも好ましい。また、成形体
を引き抜く時には、成形体の温度が、成形体のガラス転
移温度(Tg)以下の温度、好ましくは(Tg−50)
°C以下の温度になってから成形体を引き抜き始めるこ
とが好ましい。その方が、成形体の形状が崩れないと共
に、作業性がよいからである。
【0039】重合時間は、適宜選択すればよいが、反応
液の注入終了後、遠心力を加える場合には、金型を所定
の回転数まで上げるために数秒〜数十秒かかることか
ら、好ましくは5〜30秒、さらに好ましくは5〜15
秒である。
【0040】ポットライフ(液流動可使時間)は、適宜選
択すればよいが、反応原液の注入終了後、回転力を加え
る場合には、金型を所定の回転数まで上げるために数秒
〜数十秒かかることから、好ましくは5〜100秒、さ
らに好ましくは5〜35秒である。なお、金型を回転し
ている状態で、反応原液を注入しても良い。
【0041】また金型の内部には、継手部が一体成形さ
れた管を成形するための回転成形用空間を形成しても良
く、また金型の回転軸方向の少なくとも一端には、軸方
向に着脱自在な蓋体を装着してもよい。前記蓋体の内側
は、得られる成形体の継手部を成形するための形状を有
しても良い。前記蓋体が、リングまたはその一部とな
り、蓋体の外周面が、金型を回転するための駆動ローラ
と接触するように構成しても良い。
【0042】加熱方法 本発明において、「温風」とは、空気を所定温度に加熱
したものが安価であるが、窒素ガスなどの不活性ガスを
加熱したものであっても良い。
【0043】温風の温度は、特に限定されないが、好ま
しくは30〜120°C、更に好ましくは40〜100
°Cである。この温度が低すぎると本発明の効果が少な
く、高すぎると不経済である。
【0044】本発明において、「ランプ」は、赤外線ラ
ンプ、遠赤外線ランプあるいはハロゲンランプなどであ
り、金型の中央に位置するように固定してもよく、金型
の軸方向に移動可能にしてもよい。こうしたランプとし
ては石英ガラスを使用している直管型のヒーターが好ま
しい。ランプの長さは、反応原液層の軸方向の長さより
長くすることが好ましいが、短くても軸方向に前後移動
することで、反応原液層の全体(内面から加熱する場合
には反応原液層の内面全体)を均一に加熱可能となる。
ランプによる加熱の場合、ランプの加熱温度は金型の大
きさなどにもよるが、温風による加熱の場合と同等な熱
量を反応原液層(内面から加熱する場合には反応原液層
の内面)に与える程度が好ましい。
【0045】本発明において、「放射線」は、マイクロ
波、電子線あるいは電磁波などであり、塗装硬化に使う
ものでよい。放射線の放射口の配置は、反応原液層の全
体(内面から加熱する場合には反応原液層の内面全体)
に放射線が当るように工夫することが好ましい。また、
適当なエネルギーの放射線を使うことによって、樹脂部
分のみに放射線エネルギーを集中できるものが好まし
い。放射線による加熱の場合、放射線のエネルギー出力
は金型の大きさなどにもよるが、温風による加熱の場合
と同等な熱量を反応原液層(内面から加熱する場合には
反応原液層の内面)に与える程度が好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。図1の(A)および(B)は本
発明の第1実施形態に係る金型の概略斜視図、(C)は
成形体の一例を示す概略斜視図、図2は本発明の第1実
施形態に係る金型の断面図、図3は本発明の第2実施形
態に係る金型の断面図、図4は金型を回転させるための
駆動装置の側面図、図5は駆動装置の平面図、図6は本
発明の第3実施形態に係る金型の概略断面図、図7は本
発明の第4実施形態に係る金型の概略断面図である。
【0047】第1実施形態 本実施形態では、図1(A)および(B)に示す金型2
を用い、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液を反応
させて重合させ、チューブを製造する方法について説明
する。
【0048】まず、本実施形態に係る金型装置について
説明する。
【0049】図1(A)に示すように、金型2は、割面
3に沿って縦方向に2つに分割可能な割型4,4と、こ
の割型4,4が組み合わされた状態で、その両端部の外
周に軸方向から取り付けられる一対の転動リング8とを
有する。
【0050】割型4,4は、たとえばアルミニウム製鋳
物などで構成してあり、転動リング8は、鋳鉄などで構
成される。
【0051】割型4の割面3には、シール材が装着して
あることが好ましい。これを装着することで、割面3か
ら反応原液が漏れるなどの不都合を防止できる。
【0052】シール材としては、特に限定されないが、
シリコーンゴム製シール材、あるいは下記に示すシール
材が装着してあることが好ましい。
【0053】本実施形態において好適なシール材は、粘
土を主成分とするシール材である。このシール材の主成
分である粘土は、含水ケイ酸塩鉱物の集合体であって、
適当量の水を混ぜてこねると可塑性を示し、乾けば剛性
を示し、高い温度で焼くと焼結するような物質として定
義され、その化学成分は、主としてケイ素、アルミニウ
ム、マグネシウム、アルカリ金属、アルカリ土金属と水
分とから成っている。
【0054】粘土と共に用いることができる充填剤とし
ては、雲母、シリカ、炭酸カルシウム、クレー(ケイ酸
アルミニウム)、タルク、けい藻土などが例示される。
シール材中には、その他の成分として、アロマテック
ス、ナフテン、パラフィン、ホワイトオイル、ペトロラ
タム、石油スルホン酸塩などの石油系の又は鉱物油系の
軟化剤が好ましく含有され、又は植物油系の軟化剤を単
独で又は組合わせて含有させてもよい。
【0055】シール材中の粘土成分の含有量は、シール
材の全体を100重量%として、好ましくは30〜10
0重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
また、シール材中の充填剤の含有量は、シール材の全体
を100重量%として、好ましくは0〜70重量%、さ
らに好ましくは10〜50重量%である。また、シール
材中のその他成分の含有量は、シール材の全体を100
重量%として、好ましくは10〜40重量%、さらに好
ましくは20〜30重量%である。
【0056】シール材は、たとえば断面円形又は楕円形
の紐状に成形してあり、使用に際しては、所定長さに切
断されて、密封すべき隙間に装着される。また、このシ
ール材は、従来のスポンジパッキンなどと併用して用い
ることもできる。
【0057】割面3で組み合わされた割型4,4の内部
には、内周面が形成してあり、この内周面に、所定の粘
度の反応原液が遠心力で押し付けられ、反応原液層を形
成するようにしてある。
【0058】割型4,4の軸方向両端部には、貫通孔5
が形成されるように端板6,6を形成してある。
【0059】また、図2および図1(A)に示すよう
に、貫通孔5は、それぞれの貫通孔5a,5bに嵌合す
る蓋部材11a,11bにより閉塞してある。こうした
蓋該部材11a,11bは金型2の端板6に対して着脱
可能に構成されていてもよい。
【0060】貫通孔5aに嵌合する蓋部材11aには、
内外に貫通する管部材13aを一体的に取り付けてあ
り、この管部材13aには仕切弁15aを取り付けてあ
る。そして、反応原液を供給するための図示しない原液
供給装置のノズルを前記管部材13aの外側端部に連結
し仕切弁15aを開いた状態で反応原液を供給すること
により、反応原液を金型2の内部に入れることができ
る。反応原液の供給の後、仕切弁15aを閉じて、該ノ
ズルの管部材13aに対する連結を解除する。なお、金
型2内の気密性を高めるため、蓋部材11aと端板6の
間には、シリコンゴム等の弾性体からなるシール部材が
介装される。なお、仕切弁15aに代えて、逆止弁を採
用することができ、逆止弁を用いることにより、反応原
液の供給時の弁の開閉作業が省略でき効率的となる。
【0061】貫通孔5bに嵌合する蓋部材11bには、
内外に貫通する管部材13bを一体的に取り付けてあ
り、この管部材13bには仕切弁15bを取り付けてあ
る。そして、温風を供給するための温風供給装置17
(図2に点線で表示)のノズル17aを前記管部材13
bの外側端部に連結し、仕切弁15bを開いた状態で、
所定時間、温風を供給することにより、金型2の内周面
に形成される反応原液層をその内面から加熱するように
してある。温風を供給するに際し、反対側の仕切弁15
aを開いても開かなくても良い。該仕切弁15aを閉じ
ておくことで密閉とし、大気圧以上の雰囲気圧力(以
下、陽圧ともいう)下で、温風を供給するようにしても
良い。こうした陽圧下で、金型内周面に張り付いている
反応原液層の内面を加熱して重合を促進させることで、
金型2の回転によっても除去できない反応原液層中の比
較的小さなボイドでも、効果的に除去することができ
る。
【0062】なお、金型2内の気密性を高めるため、蓋
部材11bと端板6の間には、シリコンゴム等の弾性体
からなるシール部材を介装してあってもよい。また仕切
弁15bに代えて、逆止弁を採用することができる。逆
止弁を用いることにより、温風供給時の弁の開閉作業が
省略でき効率的となる。
【0063】図4および5に示すように、金型2におけ
る一方の転動リング8には、一対のフランジ付き駆動ロ
ーラ12が係合し、他方の転動リング8には、一対のフ
ランジ無しの駆動ローラ14が係合するようになってい
る。これら駆動ローラ12および14は、変速機16お
よび定トルクインバータモータ18に接続してあり、全
て略同じ回転速度で回転するようになっている。これら
駆動ローラ12および14が、全て略同じ回転速度で回
転することで、それらに係合する転動リング8も、その
軸芯回りに回転し、割型4,4から成る金型2をも同時
に軸芯回りに回転する。
【0064】なお、駆動ローラ12,14、変速機16
およびモータ18は、ベース20の上に装着してある。
また、軸方向一方の駆動ローラ12をフランジ付きとし
たのは、フランジが転動リング8の軸方向移動を制限す
ることにより、金型2の軸方向移動を制限するためであ
る。軸方向双方の駆動ローラ12,14をフランジ付き
としても良いが、一方のみで十分に金型2の軸方向移動
を制限できる。
【0065】次に、上記の金型2を用い、反応原液を用
いた反応性重合回転成形方法によりチューブを成形する
方法について説明する。
【0066】まず、図1(B)に示すように、割型4,
4を組み合わせ、次に、図1(A)に示すように、組み
合わされた割型4,4の両端部に転動リング8,8を装
着し、金型2を組み立てる。
【0067】次に、この金型2を、図4および図5に示
す駆動ローラ12,14の上に、回転自在に載置する。
その後、金型2内に反応原液を注入し、所定時間、金型
2を回転させ、該金型2の内周面に均一に反応原液層が
形成されると、図2に示すように管部材13bの外側端
部に連結してある温風供給装置17のノズル17aから
温風が供給され、該反応原液層の内面が加熱されて反応
が進行し、成形体の成形が行われる。
【0068】本実施形態では、ノルボルネン系モノマー
を用いた成形であり、使用するノルボルネン系モノマー
の具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等
の二環体; ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエ
ン二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環
体; テトラシクロドデセン等の四環体; シクロペン
タジエン三量体等の五環体; シクロペンタジエン四量
体等の七環体; これらのメチル、エチル、プロピル、
ブチルなどのアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリ
デン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等
のアリール等の置換体; 更にこれらのエステル基、エ
ーテル基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性基を有す
る置換体; などが例示される。
【0069】これらのモノマーは、それぞれ単独である
いは2種以上を組み合わせて用いても良い。入手が容易
であり、反応性に優れ、得られる樹脂成形体の耐熱性に
優れる点から、三環体、四環体あるいは五環体のノルボ
ルネン系モノマーが好ましい。
【0070】また、生成する開環重合体は熱硬化型とす
ることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系
モノマーの中でも、シクロペンタジエン三量体等の反応
性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なく
とも含むものが用いられる。全ノルボルネン系モノマー
中の架橋性モノマーの割合は、2〜30重量%が好まし
い。
【0071】なお、本発明の目的を損なわない範囲で、
ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオク
テン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、
コモノマーとして用いても良い。
【0072】ノルボルネン系モノマーを用いた成形にお
いて使用することができるメタセシス触媒は、六塩化タ
ングステン、またはトリドデシルアンモニウムモリブデ
ート、もしくはトリ(トリデシル)アンモニウムモリブ
デート等のモリブデン酸有機アンモニウム塩等のノルボ
ルネン系モノマーの塊状重合用触媒として公知のメタセ
シス触媒であれば特に制限はないが、モリブデン酸有機
アンモニウム塩が好ましい。
【0073】活性剤(共触媒)としては、特開昭58−
127728号公報、特開平4−226124号公報、
特開昭58−129013号公報、特開平4−1452
47号公報に開示してあるような公知の活性剤であれ
ば、特に制限はないが、例えばエチルアルミニウムジク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルア
ルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウム
ハライドなどの有機アルミ化合物、有機スズ化合物等が
挙げられる。
【0074】成形の前準備として、ノルボルネン系モノ
マー、メタセシス触媒及び活性剤を主材とする成形用材
料を、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒とより
なるB液と、前記のノルボルネン系モノマーと活性剤と
よりなるA液との安定な2液に分けて、それぞれを別の
タンクに入れておく。
【0075】成形を開始するには、ミキサーを制御し、
タンクからのA液およびB液を混合し、その混合液を反
応原液として、ノズルなどを用いて、金型2の貫通孔5
から金型2の内部に供給する。なお、反応原液の混合
は、金型に入れる前であっても、後であっても良い。金
型2内に供給する前の反応原液の温度は、特に限定され
ないが、好ましくは20〜80°Cである。
【0076】金型2内に供給された反応原液の粘度は、
30°Cにおいて、50cps〜1000cpsであ
り、金型2を回転することで、反応原液は、遠心力によ
り、金型2の内周面にチューブ状に張り付くことにな
る。
【0077】本実施形態においては、金型2は、必ずし
も加熱する必要はないが、重合反応を生じ易くする観点
から、熱媒体あるいは温風などを利用して加熱しても良
い。
【0078】金型2の回転数は、反応原液に1G以上、
1G以上5G以下、好ましくは1G以上4G以下、特に
好ましくは1.2以上4G以下の加速度が加えられるよ
うに設計され、金型2の内周面の径などによっても異な
り、内周面の径を400〜600mmとした場合には、
金型2の軸芯回りの回転数は、80〜150rpm程度
が好ましい。
【0079】金型2を、その軸芯回りに一定な回転速度
で回転するために必要な初期起動時間は、数秒から30
秒程度である。その後は、一定の回転速度で回転が可能
である。なお、金型2を、その軸芯回りに一定な回転速
度で回転する状態となった後で、貫通孔5からノズルを
入れて、反応原液を供給しても良い。
【0080】金型2を、その軸芯回りに一定な回転速度
で回転することで、金型2内部に供給された反応原液
は、遠心力により、金型2の内周面にチューブ状に張り
付くことになる。
【0081】そして、管部材13bに連結してある温風
供給装置17のノズル17aから温風を供給し、金型2
の内面に張り付いている反応原液層の内面を加熱する。
温風の温度は40°C〜100°Cの範囲である。その
状態を、たとえば1〜10分間保持することで、反応原
液における反応が進み、塊状重合が行われ、チューブ状
の成形体が得られる。
【0082】その後、金型2の回転を停止し、金型2を
冷却した後、図1(A)に示す状態から同図(B)に示
す状態となるように、転動リング8を外し、割型4,4
を開けば、同図(C)に示すようなチューブ状の成形体
10を得ることができる。このチューブ状の成形体10
は、ノルボルネン系モノマーの反応性重合成形体で構成
される。
【0083】本実施形態に係る方法によれば、金型の内
面に均一に張り付いた反応原液層の内面を、所定の温度
で所定時間加熱することとしてあるので、該反応原液層
の内面から外面にかけて均一に順次反応が進行してい
く。
【0084】また反応原液に遠心力を加えることによ
り、成形中において、遠心力により泡が反応原液から分
離され、得られる成形体中にボイドがなくなる。
【0085】また本実施形態により得られる図1(C)
に示すチューブ状成形体10の内周面は、成形の過程に
おいて何にも触れることなく、遠心力により得られる面
となるので、成形中に反応原液の硬化不良などの不都合
も生じることがなく、その内周面が滑らかになる。
【0086】得られるチューブ状成形体は、たとえば流
体配管などとして用いられ、配管内に流体を流すことか
ら、内周面が滑らかであることは、配管として用いて都
合がよい。
【0087】また、本実施形態に係る方法により得られ
たチューブ状成形体は、ノルボルネン系モノマーの塊状
重合反応を利用して得られた重合体であることから、耐
衝撃性および耐久性などの機械的特性に優れている。
【0088】また、この方法によれば、比較的大口径の
チューブ状成形体でも、比較的容易に成形することがで
きる。
【0089】さらに本実施形態では、割型4,4を用
い、この外周に転動リング8,8を装着し、この転動リ
ング8,8を利用して、金型2を、その軸芯回りに回転
させているので、割型を用いることによる成形体の自由
形状の成形と、リングを利用した回転ぶれの少ない回転
との双方を実現することができる。なお、回転ぶれが生
じたら、回転中に、リング8,8の外周を削ることによ
り、回転ぶれを抑制することもできる。また、リング
8,8の交換も容易である。しかも、本実施形態に係る
金型2では、金型に別途、回転駆動軸を装着する必要が
ないので、回転体の重量を著しく軽減することができ、
特に大型の成形体(外径が400mm以上、好ましくは
400〜4000mm、特に100〜2500mmの大
口径のパイプ状成形体など)を成形する場合に適してい
る。
【0090】第2実施形態 本実施形態では、反応原液層の内面の加熱方法としてラ
ンプ30を用いる以外は、前記第1実施形態と同様にし
て、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液を反応させ
て重合させる。
【0091】まず、金型装置について説明する。
【0092】図1(A)に示すように、金型2は、割面
3に沿って縦方向に2つに分割可能な割型4,4と、こ
の割型4,4が組み合わされた状態で、その両端部の外
周に軸方向から取り付けられる一対の転動リング8とを
有する。
【0093】割型4の割面3には、シール材が装着して
あることが好ましい。
【0094】割面3で組み合わされた割型4,4の内部
には、内周面が形成してあり、この内周面に、所定の粘
度の反応原液が遠心力で押し付けられ、反応原液層を形
成するようにしてある。
【0095】割型4,4の軸方向両端部には、貫通孔5
が形成されるように端板6,6を形成してある。
【0096】貫通孔5からは反応原液を供給するための
ノズルが差し込まれ、金型2の内部へ反応原液を供給可
能にしてある。
【0097】また、図3および図1(A)に示すよう
に、貫通孔5からは前記金型2の内周面に形成される反
応原液層をその内面から加熱するためのランプ30が差
し込まれるようにしてある。ランプ30の出力は金型2
の大きさなどに応じて適宜決定される。こうしたランプ
30は必ずしも金型2の貫通孔5から差し込まれている
必要はなく、別途、図示しない専用の差込孔により金型
2内部に差し込むようにしてもよい。なお、上記加熱手
段としては、ランプ30の他に、たとえば放射線を用い
て加熱するようにしても良い。
【0098】本実施形態に係る方法によれば、金型の内
面に均一に張り付いた反応原液層の内面を、所定の温度
で所定時間加熱することとしてあるので、該反応原液層
の内面から外面にかけて均一に順次反応が進行してい
く。
【0099】また反応原液に遠心力を加えることによ
り、成形中において、遠心力により泡が反応原液から分
離され、得られる成形体中にボイドがなくなる。
【0100】また本実施形態により得られる図1(C)
に示すチューブ状成形体10の内周面は、成形の過程に
おいて何にも触れることなく、遠心力により得られる面
となるので、成形中に反応原液の硬化不良などの不都合
も生じることがなく、その内周面が滑らかになる。
【0101】得られるチューブ状成形体は、たとえば流
体配管などとして用いられ、配管内に流体を流すことか
ら、内周面が滑らかであることは、配管として用いて都
合がよい。
【0102】また、本実施形態に係る方法により得られ
たチューブ状成形体は、ノルボルネン系モノマーの塊状
重合反応を利用して得られた重合体であることから、耐
衝撃性および耐久性などの機械的特性に優れている。
【0103】また、この方法によれば、比較的大口径の
チューブ状成形体でも、比較的容易に成形することがで
きる。
【0104】さらに本実施形態では、割型4,4を用
い、この外周に転動リング8,8を装着し、この転動リ
ング8,8を利用して、金型2を、その軸芯回りに回転
させているので、割型を用いることによる成形体の自由
形状の成形と、リングを利用した回転ぶれの少ない回転
との双方を実現することができる。なお、回転ぶれが生
じたら、回転中に、リング8,8の外周を削ることによ
り、回転ぶれを抑制することもできる。また、リング
8,8の交換も容易である。しかも、本実施形態に係る
金型2では、金型に別途、回転駆動軸を装着する必要が
ないので、回転体の重量を著しく軽減することができ、
特に大型の成形体(外径が400mm以上、好ましくは
400〜4000mm、特に100〜2500mmの大
口径のパイプ状成形体など)を成形する場合に適してい
る。
【0105】第3実施形態 本実施形態では、図6に示す金型2aを用いる以外は、
前記第1実施形態と同様にして、ノルボルネン系モノマ
ーを含む反応原液を反応させて重合させる。
【0106】本実施形態では、金型2aが、一対の割型
4a,4aと、これら割型が組み合わされた状態で軸方
向から割型4a,4aの外周に装着されるリング8a,
8aとを有する。本実施形態では、割型4a,4aの外
径が軸方向に一様ではなく、その軸方向一端部22にお
いて、外径が大きくしてあり、その内部に位置する反応
原液層24の端部に、継手用拡径部26を一体成形する
ことができるようにしてある。この継手用拡径部26の
内側には、別の反応原液層24(中空状成形体)の小径
側端部が挿入され、接続可能になっている。
【0107】このような継手付きの成形体(反応原液層
26)でも、本実施形態の金型によれば容易に成形する
ことができる。しかも、割型4a,4aの肉厚を必要以
上に厚くする必要がなく、軽量な金型2aとすることが
できる。本実施形態の金型2aは、前記実施形態と同様
にして、回転駆動されるが、軽量なことから、その取り
扱いが容易である。また、割型の外周には、リングが装
着されるのみであるため、その取り付けおよび取り外し
も容易である。
【0108】第4実施形態 本実施形態では、図7に示すように、回転成形用金型2
bが、組み合わされてチューブ形状となる一対の金属製
の割型35,35と、組み合わされた割型35,35の
両端部外周に着脱自在に装着される一対のリング36,
36と、各リング36,36の外周に、継手部形成用空
間38を形成するように装着されるキャップ(蓋体)3
7とを有する。キャップ37の中央部には、貫通孔39
が形成してある。この貫通孔39を通して、反応原液を
供給するためのノズルが割型35,35の内部に入り込
み、反応原液を供給可能になっている。
【0109】リング36の一部となるキャップ37の外
周には、図2および3に示す駆動ローラ12,14が係
合し、駆動ローラ12,14により回転駆動され、前記
第1実施形態と同様にして、反応原液に遠心力を加えた
状態下で、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液を反
応させて重合させる。得られた成形体を取り出すには、
まずキャップ37をリング36から取り外し、その後、
リング36を割型35から取り外し、割型35を開け
ば、フランジ状の継手部が両端部に一体的に形成された
回転成形体から成る中空パイプを得ることができる。
【0110】その他の実施形態 なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の範囲内で種々に改変することができ
る。たとえば、前記第1実施形態では、組み合わされた
割型4,4の外周に、二つの転動リングのみを装着した
が、軸方向に3つ以上の転動リングを装着しても良い。
また、全ての転動リングに対して駆動ローラ12,14
が係合する必要はなく、駆動ローラ12,14が係合し
ないリングが割型4,4の外周に装着してあっても良
い。
【0111】また、上述した実施形態では、割型4,4
aを二分割としたが、三分割以上であっても良い。
【0112】
【実施例】以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づ
き説明するが、本発明は、これら実施例に限定されな
い。
【0113】実施例1 図1(A)に示す金型2を準備し、図4および図5に示
す金型回転装置の駆動ローラ12,14上にセットし
た。
【0114】一対の割型4,4は、アルミニウム鋳物製
であり、その外径は、500mm、その内径は、400
mm、その軸方向長さは、1200mmであった。
【0115】割型4,4の両端部に形成された端板6の
貫通孔5の内径は、150mmであった。
【0116】この割型4,4を割面3で組み合わせた。
割面3には、山中鋳材商会より入手の横断面円形の紐状
モールドシール(商品名)を用いた。そのモールドシー
ルの断面外径は、3mmであった。またそのモールドシ
ールの組成分析を行ったところ、SiOが46.3
0重量%、Alが7.50重量%、Fe
が1.13重量%、CaOが1.50重量%、Mg
(OH)が7.60重量%、MgOが2.60重量
%、NaOが0.10重量%、KOが0.10
重量%、Cが0.65重量%、アロマティックスが1
2.80重量%、ナフテンが7.45重量%、パラフィ
ンが7.63重量%であった。
【0117】割型4,4の割面3がシールされた状態
で、転動リング8,8を取り付けた。転動リング8,8
は、鋳鉄で構成してあり、その外径は700mm、その
軸方向厚みは50mmであった。
【0118】転動リング8,8を駆動ローラ12,14
の上に乗せ、割型の軸方向貫通孔5からノズルを用い
て、反応原液を金型2の内部に供給した。反応原液の調
整は以下のように行った。
【0119】ジシクロペンタジエン(DCP)85重量
%と、トリシクロペンタジエン15重量%とからなる混
合モノマーを用い、このモノマー総量100重量部に対
して、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体(クレイトン1170、シェル社製)を5重量部とフ
ェノール系の酸化防止剤であるイルガノックス1010
(チバガイギー社製)を2重量部とを溶解させ、これを
2つの容器に入れ、一方には混合モノマーに対しジエチ
ルアルミニウムクロリド(DEAC)を40ミリモル濃
度、n−プロパノールを44ミリモル濃度、四塩化ケイ
素を20ミリモル濃度となるように添加した(A液)。
他方には、混合モノマーに対しトリ(トリデシル)アン
モニウムモリブデートを10ミリモル濃度となるように
添加した(B液)。
【0120】A液およびB液をそれぞれギヤーポンプに
て1対1の容積比となるようにミキサーに送液し、次い
で、金型2の貫通孔5から金型2内部に、ノズルを用い
て供給した。反応原液の温度は、30°Cであり、その
粘度は、30°Cで、300cpsであった。
【0121】反応原液の供給完了後、直ぐに、駆動ロー
ラ12,14を回転させ、金型2を、その軸芯回りに回
転した。15秒で、金型2の回転速度が、120rpm
となり、その速度を維持した。反応原液に作用する加速
度を計算すると、3Gであった。
【0122】この状態を5分間維持しつつ、金型内周面
に張り付いた反応原液層の内面への加熱手段として、温
風発生機(株式会社竹綱製作所製のTKS熱風発生機
「TKS−15」)を用いた。
【0123】70°C温風を1m/分の流量で送風
した。その後、回転を停止し、金型2を取り出し、転動
リング8、8を取り外し、割型4、4を開いたところ図
1(C)に示すようなチューブ状成形体10が得られた。
【0124】(1)ボイドの発生の有無 このチューブ状成形体10を複数箇所で切断し、断面状
態を調べたが、ボイドは確認されなかった。
【0125】(2)内面平滑性 チューブ成形体10の内周面を観察したところ、硬化不
良などの不具合がなく、滑らかであることが確認され
た。
【0126】(3)表面状態 最大粗さ(Rmax.)は、2.6mm、中心線平均粗さ
(Ra)は1.4mmであった。
【0127】(4)断面の真円度 チューブ状成形体の中空部断面の真円度を計測したとこ
ろ、ほとんど偏芯のない良好な真円度が得られたことが
確認された。
【0128】実施例2 非接触型加熱方法として温風から遠赤外線ヒーターに変
えた以外はすべて実施例1と同じ操作を繰り返した。
【0129】遠赤外線ヒーターとして坂口電熱株式会社
製を用いた。仕様は、電圧200V,容量500W,照
射長950mmである。
【0130】照射面温度が60°Cになるように照射し
た。その後、回転を停止し、金型2を取り出し、転動リ
ング8、8を取り外し、割型4、4を開いたところ図1
(C)に示すようなチューブ状成形体10が得られた。
【0131】(1)ボイドの発生の有無 このチューブ状成形体10を複数箇所で切断し、断面状
態を調べたが、ボイドは確認されなかった。
【0132】(2)内面平滑性 チューブ成形体10の内周面を観察したところ、硬化不
良などの不具合がなく、滑らかであることが確認され
た。
【0133】(3)表面状態 Rmax.=3.0mm、Ra=1.9mmであった。
【0134】(4)断面の真円度 チューブ状成形体の中空部断面の真円度を計測したとこ
ろ、ほとんど偏芯のない良好な真円度が得られたことが
確認された。
【0135】比較例1 実施例1において温風を送らずに室温で成形した。
【0136】重合時間は長くなり15分回転させた。そ
の後、回転を停止し、金型2を取り出し、転動リング
8、8を取り外し、割型4、4を開いたところ図1(C)
に示すようなチューブ状成形体10が得られた。
【0137】(1)ボイドの発生の有無 このチューブ状成形体10を複数箇所で切断し、断面状
態を調べたが、ボイドは確認されなかった。
【0138】(2)内面平滑性 内面を目視観察したところ艶消しで、実施例1あるいは
実施例2に比較して平滑性の劣るものであった。
【0139】(3)表面状態 Rmax.=4.3mm、Ra=2.6mmあった。
【0140】(4)断面の真円度 チューブ状成形体の中空部断面の真円度を計測したとこ
ろ、ほとんど偏芯のない良好な真円度が得られたことが
確認された。
【0141】
【発明の効果】本発明方法によれば、反応時間を短縮で
きて成形サイクルタイムを大幅に減少できるとともに、
優れた内面平滑性を持ち、しかも高品質の成形体(たと
えば、チューブやパイプなど)を提供できる。したがっ
て、本発明方法により得られた成形体は、下水道管など
の配管用途に適用して好ましいものである。
【0142】本発明装置によれば、反応原液層の反応を
促進できて成形サイクルタイムを大幅に減少できるとと
もに、優れた内面平滑性を持ち、しかも高品質の成形体
を提供できる。したがって、本発明装置は、下水道管な
どの配管用途に使用される成形体を成形するのに適用し
て好ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(A)および(B)は本発明の第1実施
形態に係る金型の概略斜視図、(C)は成形体の一例を
示す概略斜視図である。
【図2】図2は本発明の第1実施形態に係る金型の断面
図である。
【図3】図3は本発明の第2実施形態に係る金型の断面
図である。
【図4】図4は金型を回転させるための駆動装置の側面
図である。
【図5】図5は駆動装置の平面図である。
【図6】図6は本発明の第3実施形態に係る金型の概略
断面図である。
【図7】図7は本発明の第4実施形態に係る金型の概略
断面図である。
【符号の説明】
2,2a,2b… 金型 3… 割面 4,4a,35… 割型 5,5a,5b,39… 貫通孔 6… 端板 8… 転動リング 10… 成形体 11,11a,11b,37… 蓋部材(キャップ) 12,14… 駆動ロール 13a,13b… 管部材 15a,15b… 仕切弁 17… 温風供給装置 17a… ノズル 30… ランプ 38… 継手部形成空間 36… リング
フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AA12 AA36 AC05 AG08 AJ02 AJ03 AJ05 AK01 AM03 CA04 CB01 CC07 CK41 CN01 CN12 CN22 4F205 AA12 AA36 AC05 AG08 AJ02 AJ03 AJ05 AK01 AM03 GA01 GB01 GC04 GE02 GE06 GE25 GF01 GF21 GN01 GN13 GN28

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型を回転させながら、該金型内で反応
    原液を反応させて重合させる反応性重合回転成形方法で
    あって、 前記金型の内周面に張り付いた反応原液層を加熱するこ
    とを特徴とする反応性重合回転成形方法。
  2. 【請求項2】 金型を回転させながら、該金型内で反応
    原液を反応させて重合させる反応性重合回転成形に用い
    られる金型装置であって、 前記金型の内周面に張り付いた反応原液層の内面を加熱
    する手段を有することを特徴とする金型装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006000770A1 (en) * 2004-06-26 2006-01-05 Clarehill Plastics Ltd Rotational moulding product and process
GB2420165A (en) * 2004-11-10 2006-05-17 Wavin Bv Jetting resistant sewer pipe fittings

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