JPH11226827A - センタ穴加工方法および軸状物加工装置 - Google Patents

センタ穴加工方法および軸状物加工装置

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JPH11226827A
JPH11226827A JP3447198A JP3447198A JPH11226827A JP H11226827 A JPH11226827 A JP H11226827A JP 3447198 A JP3447198 A JP 3447198A JP 3447198 A JP3447198 A JP 3447198A JP H11226827 A JPH11226827 A JP H11226827A
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chuck
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face
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Hajime Ogawa
元 小川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸状物のセンタ穴加工を行う装置の設備コスト
を低減する。 【解決手段】軸状物加工装置を、加工ヘッド14とチャ
ック16とを備えたものとし、かつ、加工ヘッド14の
タレット40の回転軸線と、チャック16の回転軸線と
が互いに直角となるようする。軸100にセンタ穴を加
工する際には、チャック16に軸100を保持させた状
態で、軸100の一方の端面102を端面切削工具46
により切削加工し、端面106を形成する。その後、タ
レット40を回転させてセンタ穴ドリル48を加工位置
に位置させ、端面106にセンタ穴108を形成する。
端面102側の加工が終了すれば、チャック16を18
0度回転させて端面104を加工ヘッド14に対向さ
せ、端面102の場合と同様にして端面切削加工および
センタ穴加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軸状物の両端面を切
削加工するとともに加工後の両端面にそれぞれセンタ穴
を加工する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸状物の切削,研削等機械加工の多く
は、その軸状物の両端面に設けられたセンタ穴にセンタ
を嵌入させることにより軸状物の心出しを行った状態で
行われる。そのため、軸状物の加工工程の比較的初期の
段階で、両端面を切削加工するとともに加工後の両端面
にそれぞれセンタ穴を加工することが行われており、こ
れらの加工専用の装置として、センタ穴加工装置が知ら
れている。このセンタ穴加工装置は、それぞれ2本ずつ
の主軸を有して互いに対向する2つの主軸台と、それら
2つの主軸台を主軸の軸線に平行な方向に移動させる主
軸台移動装置と、軸状物をその軸状物の軸線が主軸の軸
線と平行になる姿勢で保持するチャックと、そのチャッ
クを主軸の軸線と平行な方向と直角な方向とに移動させ
るチャック移動装置とを含むように構成される。2つの
主軸台の、互いに同心に対向する2対の主軸の1対に端
面切削工具を、他の1対にセンタドリルをそれぞれ保持
させる一方、チャックに軸状物を保持させ、主軸台移動
装置とチャック移動装置とにより2つの主軸台とチャッ
クとを移動させて、2つの端面切削工具と軸状物とを、
2つの端面切削工具が軸状物の両端面を切削加工して軸
状物を所定の長さにする相対位置とし、その相対位置を
保ってチャック移動装置によりチャックを主軸の軸線と
直交する方向に移動させれば、軸状物の両端面が同時に
切削加工される。その後、軸状物が2つのセンタドリル
と同心の状態でそれら2つのセンタドリル間に位置する
ようにチャックをチャック移動装置により移動させた
上、2つの主軸台を互いに接近させれば、軸状物の両端
面に2つのセンタ穴が同時に加工される。
【0003】このように、センタ穴加工装置によれば、
軸状物の両端の端面の切削加工とセンタ穴の加工とを能
率良く行うことができる。しかし、このセンタ穴加工装
置は、主軸台とそれを移動させる主軸台移動装置とを2
組備えているため、構造が複雑になり設備コストが高く
なることを避け得ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】本発明は、以上の事情を背景として、設備コ
ストを比較的低く抑えながら、軸状物の両端面の切削加
工とセンタ穴加工とを比較的能率よく行い得るセンタ穴
加工方法およびその方法の実施に好適な軸状物加工装置
を得ることを課題としてなされたものであり、本発明に
よって、下記各態様のセンタ穴加工方法および軸状物加
工装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分
し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引
用する形式で記載する。各項に記載の特徴の組合わせの
可能性を明示するためである。 (1)互いに平行に配設され、それぞれ回転駆動される
少なくとも2本の回転軸に、センタ穴ドリルと端面切削
工具とをそれぞれ保持させる一方、前記回転軸の軸線に
対して直角な回転軸線のまわりに回転可能なチャック
に、前記回転軸の軸線と平行に軸状物を保持させ、チャ
ックと前記端面切削工具を保持させた回転軸との相対移
動と端面切削工具の回転とを伴って軸状物の第1端面を
前記端面切削工具により端面切削加工した後、その第1
端面を前記センタ穴ドリルに同軸に対向させてセンタ穴
加工を行い、さらに、前記チャックの180度の回転に
より軸状物の前記第1端面とは反対側の第2端面を前記
端面切削工具と前記センタ穴ドリルとに対向可能な姿勢
とし、その姿勢で第2端面の端面切削加工とセンタ穴加
工とを順次行うセンタ穴加工方法。このように軸状物の
一方の端面に対する端面切削加工とセンタ穴加工とを行
った後、チャックの180度の回転により軸状物を反転
させ、反対側の端面に対する端面切削加工とセンタ穴加
工とを行えば、前述の2つの主軸台を備え、専用で高価
なセンタ穴加工装置を使用することなく、それに似た加
工を実施することができる。片側ずつの端面に対して順
次ではあるが、端面切削加工に続いてセンタ穴加工を行
うことができるのであり、能率よくセンタ穴加工を行う
ことができる。しかも、次項以下に記載するように、そ
れぞれ回転駆動される複数本の回転軸を備えた加工ヘッ
ドを備えた切削加工装置は、軸状物の加工に広く使用さ
れている汎用的な装置であり、この装置に、回転軸の軸
線に対して直角な回転軸線のまわりに回転可能なチャッ
クを設ければ、本センタ穴加工方法の実施が可能になる
ため、安価な設備により軸状物の両端面に対する端面切
削加工とセンタ穴加工とを能率よく行うことができるこ
とになる。 (2)互いに平行に配設され、それぞれ回転駆動される
少なくとも2本の回転軸を備えた加工ヘッドと、前記回
転軸の軸線に対して直角な回転軸線のまわりに回転可能
であり、自身の回転軸線と直角に軸状物を保持するチャ
ックと、そのチャックを、少なくとも、そのチャックに
保持された軸状物の互いに反対側の第1端面と第2端面
とがそれぞれ前記回転軸と対向する2回転位置へ回転さ
せるチャック回転装置と、前記加工ヘッドと前記チャッ
クとを、少なくとも前記回転軸の軸線に平行な方向と直
角な一方向とに相対移動させ、チャックに保持された軸
状物を前記少なくとも2本の回転軸の少なくとも一方と
同軸に対向させる移動装置とを含む軸状物加工装置。上
記2本の回転軸の一方に端面切削工具を、他方にセンタ
ドリルをそれぞれ取り付ければ、前項に記載のセンタ穴
加工方法を実施することができる。移動装置が、加工ヘ
ッドとチャックとを、回転軸の軸線に平行な方向と直角
な一方向とに相対移動させ得るものであれば、端面切削
工具およびセンタドリルと軸状物との軸方向位置を変更
することと、軸状物を端面切削のために端面切削工具に
対して相対移動させることと、軸状物を端面切削工具に
対向する位置とセンタドリルに対向する位置とへ移動さ
せることとが可能になる。ただし、上記回転軸の軸線に
直角な一方向を、2本の回転軸が並ぶ方向に選定するこ
とが必要である。上記チャック回転装置は、例えばサー
ボモータ等の電動モータを駆動源とし、チャックを任意
の角度回転させ、任意の回転位置で固定し得るものでも
よく、例えば油圧揺動モータや、油圧シリンダとラック
・ピニオンとの組合わせ等によりチャックを180度の
み回転させ得るものとしてもよい。少なくとも、チャッ
クを、そのチャックに保持された軸状物の互いに反対側
の第1端面と第2端面とがそれぞれ前記回転軸と対向す
る2回転位置へ回転させ得るものであればよいのであ
る。 (3)前記移動装置が、前記加工ヘッドとチャックと
を、前記回転軸の軸線と直交する平面内において互いに
直交する2軸に平行な方向に移動させる直交2軸方向移
動装置を含む (2)項に記載の軸状物加工装置。本態様に
よれば、上記ただし書きの条件が不可欠ではなくなる。 (4)前記移動装置が、前記加工ヘッドを前記回転軸の
軸線に平行なX軸方向とそのX軸方向に直角なZ軸方向
とに移動させる加工ヘッド移動装置と、前記チャックを
前記X軸方向および前記Z軸方向に直角なY軸方向に移
動させるチャック移動装置とを含む (3)項に記載の軸状
物加工装置。 (5)前記加工ヘッド移動装置が、水平なZ軸方向に移
動するZ軸スライドと、そのZ軸スライド上において水
平なX軸方向に移動し、前記加工ヘッドを支持するX軸
スライドとを備え、前記チャック移動装置が、垂直なY
軸方向に移動するY軸スライドを備えた (4)項に記載の
軸状物加工装置。 (6)前記加工ヘッドが、回転軸線まわりに回転可能で
あり、前記複数の回転軸を自身の回転軸線に平行な軸線
まわりに回転可能に保持するタレットと、そのタレット
を、回転させることにより前記複数の回転軸の1本を選
択的に加工位置に位置決めするタレット回転装置とを含
む (2)ないし (5)項のいずれか1つに記載の軸状物加工
装置。このように加工ヘッドがタレットおよびタレット
回転装置を含む軸状物加工装置は、一般的に使用されて
おり、この一般的な軸状物加工装置に特殊なチャックお
よびチャック回転装置を付加すれば、本発明に係る軸状
物加工装置の一例が得られる。 (7)前記タレットに前記複数の回転軸が等角度間隔で
保持され、前記タレット回転装置が、タレットを前記複
数の回転軸の保持間隔と等しい角度ずつ割出回転させる
割出回転装置である (6)項に記載の軸状物加工装置。 (8)前記チャックが、そのチャックの回転軸線を含む
一平面を対称面として面対称に移動する状態で保持され
た一対の爪を備えた (2)ないし (7)項のいずれか1つに
記載の軸状物加工装置。本態様のチャックに軸状物を保
持させれば、軸状物の軸線が必然的に回転軸の軸線を含
む一平面上に位置する状態になるため、その一平面に直
角な方向におけるチャックと回転軸との位置決めを行え
ば、必然的に軸状物の同方向における回転軸に対する位
置決めを行ったことになり、その分、軸状物の端面切削
工具やセンタ穴ドリルに対する相対位置決めが容易にな
る。 (9)前記チャックが、チャック本体と、そのチャック
本体に前記チャックの回転軸線を含む一平面に沿って移
動可能に保持された前記一対の爪と、それら一対の爪を
チャックの回転軸線を対称軸として互いに軸対称に移動
させる爪移動装置とを含む (8)項に記載の軸状物加工装
置。本態様のチャックは、次項に記載の態様のチャック
の他、一対の爪が、チャックの回転軸線に対して直角な
回動軸線のまわりに回動することにより、チャックの回
転軸線を対称軸として互いに軸対称に移動する態様のチ
ャックも包含している。ただし、チャックがこの後者の
態様である場合に、保持させるべき軸状物の直径が変わ
れば、軸状物の軸線がチャックの回転軸線を含む一平面
内に位置することは保証されるが、チャックの回転軸線
に平行な方向の位置が変わることは避け得ない。したが
って、次項の態様のチャックを使用する方が軸状物とセ
ンタドリルとを同心に位置決めることが容易になる。 (10)前記一対の爪が、前記チャック本体に、前記チ
ャックの回転軸線と直交する一直線に沿って移動可能に
保持された (9)項に記載の軸状物加工装置。本態様のチ
ャックをセンタ穴ドリルに対して予め定められた相対位
置に位置決めすれば、軸状物をセンタ穴ドリルと同心に
位置決めすることができ、軸状物とセンタドリルとの相
対位置決めが容易になる効果が得られる。 (11)前記一対の爪の一方が、前記チャック本体に対
して前記チャックの回転軸線と平行な回転軸線の回りに
回動可能であり、一対の爪の他方が回動不能である (9)
項または(10)項に記載の軸状物加工装置。本態様のチャ
ックによれば、軸状物の外周面が黒皮のままである等の
理由で、軸状物の直径が精度よく均一ではない場合で
も、軸状物をチャックに強固に保持させることができ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
軸状物加工装置およびそれによるセンタ穴加工方法を図
面に基づいて詳細に説明する。図1において10は軸状
物加工装置12のベースであり、ベース10上には、加
工ヘッド14およびチャック16等が設けられている。
加工ヘッド14は、ベース10上において、水平面内で
互いに直交する2方向であるZ軸方向およびX軸方向に
直線移動させられる。そのため、ベース10上には送り
ねじの一種であるボールねじ20がZ軸方向に平行に設
けられるとともに、Z軸スライド22に設けられた図示
しないナットに螺合されており、ボールねじ20がZ軸
移動用サーボモータ24によって回転させられることに
より、Z軸スライド22がZ軸方向に移動させられる。
この移動は、ベース10上に設けられた案内部材たる一
対のガイドレール26と、Z軸スライド22に固定の被
案内部材たるガイドブロック28とにより案内される。
【0006】Z軸スライド22上には、ボールねじ30
がX軸方向に平行に設けられるとともに、X軸スライド
32が図示しないナットにおいて螺合されている。ボー
ルねじ30がX軸移動用サーボモータ34によって回転
させられることにより、X軸スライド32は一対のガイ
ドレール36に案内されてX軸方向に移動させられる。
以上ナット,ボールねじ20,Z軸スライド22,Z軸
移動用サーボモータ24およびナット,ボールねじ3
0,X軸スライド32,X軸移動用サーボモータ34等
が加工ヘッド移動装置38を構成している。
【0007】上記X軸スライド32上に前記加工ヘッド
14が支持されている。加工ヘッド14は、タレット4
0とタレット回転装置42とを備え、タレット40はそ
の外周部に複数本(本実施形態の場合10本)の回転軸
44をそれぞれ自身の軸線まわりに回転可能に保持して
いる。これら回転軸44は、それらの軸線が互いに平行
かつタレット40の回転軸線に平行になる状態で等角度
間隔に設けられている。これら回転軸44には、端面切
削工具46およびセンタ穴ドリル48(図4参照)等を
含む複数の工具49がそれぞれ相対回転不能かつ相対移
動不能に取り付けられる。タレット回転装置42は、タ
レット40を相対回転可能に保持するタレット保持台5
0と、タレット保持台50に接続されてタレット40を
回転駆動するタレット駆動用モータ52とを備えてい
る。タレット40は、タレット保持台50内に設けられ
た図示しないクランプ装置によりクランプ,アンクラン
プされる。アンクランプ状態では、タレット40はタレ
ット保持台50に対して回転可能であり、タレット駆動
用モータ52により工具49の取付角度間隔と等しい角
度ずつ割出回転させられることにより、複数の工具49
のうちのいずれか1つが被加工物加工のための加工位置
に位置決めされる。その後タレット40がクランプされ
れば、位置決めされた工具49がタレット保持台50に
対して相対移動不能となる。加工位置に位置決めされた
工具49は、図示しない回転駆動装置により回転駆動さ
れる。
【0008】ベース10上の、加工ヘッド14のX軸方
向における前進端位置近傍に前記チャック16が設けら
れている。チャック16はX軸方向およびZ軸方向と直
交する垂直方向であるY軸方向に移動可能に設けられて
いる。チャック16はY軸スライド60に保持されてお
り、Y軸スライド60はそのナットにおいて、Y軸方向
に平行に延びるボールねじ62に螺合されている。ボー
ルねじ62がプーリ,ベルトを介してY軸移動用サーボ
モータ64によって回転させられることにより、Y軸ス
ライド60が一対のガイドレール66に案内されてY軸
方向に昇降させられる。これらナット,Y軸スライド6
0,ボールねじ62,Y軸移動用サーボモータ64等が
チャック移動装置68を構成している。
【0009】なお、上記Z軸移動用サーボモータ24,
X軸移動用サーボモータ34およびY軸移動用サーボモ
ータ64の各回転位置は図示しないエンコーダによって
検出されるようになっており、それによりZ軸スライド
22,X軸スライド32およびY軸スライド60のそれ
ぞれの位置がわかるようになっている。各サーボモータ
は、駆動源たる電動モータの一種であって、回転角度を
制御可能なモータであり、サーボモータに代えてステッ
プモータを用いてもよい。
【0010】チャック16は、Y軸スライド60に支持
されたチャック保持台70により相対回転可能に保持さ
れている。チャック保持台70は、内部に回転角度を制
御可能な回転駆動モータ等を含むチャック回転装置72
を備えており、チャック16は、このチャック回転装置
72により加工ヘッド14の回転軸線に直角な回転軸線
まわりに回転させられる。本実施形態におけるチャック
16は、図2および図3に示すように、チャック16の
回転軸線と直交する直線に沿って互いに軸対称に接近,
離間可能な一対の爪74,76を有する二つ爪チャック
である。これら爪74,76は、チャック本体78によ
りチャック16の回転軸線と直交する直線に沿って移動
可能に保持された図示しない移動部材に着脱可能に取り
付けられている。チャック16は、チャック本体78に
設けられた図示しない締付ねじが回転操作されるのに伴
って上記移動部材を互いに接近,離間させ、それにより
一対の爪74,76を互いに接近,離間させる爪駆動機
構を有している。この爪駆動機構は一般に知られたもの
であるため、図示および詳細な説明は省略する。
【0011】爪74,76は、基端部より先端部側が幅
の広いT字形を成す取付部80と、取付部80の先端部
の長手方向に隔たった両端から延び出す一対の爪部82
とを備えている。爪部82の先端面には、V溝である係
合溝84が形成されている。爪74,76の各取付部8
0の基端部側には、それぞれ2個のボルト穴86,88
が形成されている。爪76の取付部80のボルト穴88
は、爪74のボルト穴86よりやや大径とされている。
爪74,76は、各爪部82の係合溝84が互いに対向
する状態で、取付部80においてボルト90,92によ
りチャック本体78の前記移動部材に取り付けられてい
る。ただし、爪74は、前記移動部材に相対移動不能に
固定されているが、爪76は移動部材に対して僅かに相
対移動可能に取り付けられている。ボルト92は、軸部
が先端の雄ねじ部よりやや大径とされることにより段付
面を備えており、この段付面が移動部材に当接するまで
締め込まれた状態においても、頭部がボルト穴88のさ
ぐり部の底面から僅かに浮いた状態になるようにされて
いる。そのため、爪76が移動部材に取り付けられた状
態で、移動部材に対して僅かに相対移動することが許容
されるのであり、この相対移動には、爪76がチャック
16の回転軸線と平行な回動軸線のまわりに小角度回動
する移動も含まれている。
【0012】また、図1に示すように、ベース10の、
チャック16の下方に位置する部分には、位置決め部材
保持装置94が設けられており、これに位置決め部材9
6が取り付けられるようになっている。図示の例では、
位置決め部材保持装置94が、軸状の位置決め部材96
を垂直な姿勢で、かつ、上下方向の位置を調節可能に保
持するものとされているが、位置決め部材96の上下方
向位置を一義的に定めて保持するものとすることも可能
である。この場合には、位置決め部材96を複数種類準
備し、加工すべき軸状物の長さに合わせて選択して位置
決め部材保持装置に保持させればよいのである。
【0013】以上のように構成された軸状物加工装置に
より、軸状物の両端面に端面切削加工とセンタ穴加工と
が施される。ここでは、加工されるべき軸状物が、直径
が長手方向において均一である単純な軸100であると
する。軸100をチャック16に保持させる際には、チ
ャック16が位置決め部材96近傍である取付位置に位
置させられ、かつ、爪74,76が互いに離間させられ
る。そして、軸100が垂直の姿勢で爪74,76間に
挿入され、両端面102,104のうちの一方(例えば
端面104)が位置決め部材96の上向きの端面105
に当接させられることにより軸方向の位置決めがなされ
る。その後、チャック16の爪74,76が互いに接近
する向きに移動させられ、軸100が、爪部82の係合
溝84に係合した状態で、爪部82により両側から挟ま
れる。この状態では、軸100は、軸100の軸線がチ
ャック16の回転軸線と直交するとともに、軸100の
軸線とチャック本体78との距離が一義的に決められた
状態(軸100のチャック16の回転軸線方向の位置が
決められた状態)で、チャック16に強固に保持され
る。また、軸100の直径が正確に均一ではない場合に
おいても、前述のように爪76が小角度回動可能とされ
ていることにより、爪74,76の2対の爪部82のい
ずれにも軸100が強固に挟まれる。
【0014】以上のようにして軸100がチャック16
に保持された後、チャック16がチャック移動装置68
により上昇させられることによって、軸100が位置決
め部材96から離間させられ、被加工位置まで上昇させ
られる。このとき軸100は端面102が上向きとなる
姿勢で保持されている。そして、被加工位置においてチ
ャック回転装置72によりチャック16が90度回転さ
せられ、図4に示すように軸100の端面102が加工
ヘッド14に対向させられる。一方、加工ヘッド14は
加工ヘッド移動装置38により加工開始位置まで移動さ
せられ、かつ、タレット回転装置42によりタレット4
0が回転させられることによって端面切削工具46が加
工位置に位置決めされている。
【0015】以上で加工準備が完了し、加工が開始され
る。端面切削工具46が自身の軸線まわりに回転させら
れつつ加工ヘッド移動装置38によりZ軸方向に移動さ
せられることにより、軸100の端面102が図4に二
点鎖線で示すように切削加工されて端面106が形成さ
れる。端面切削加工が終了し、端面切削工具46が加工
開始位置へ復帰させられた後、タレット40が一定角度
回転させられ、センタ穴ドリル48が加工位置に位置決
めされる。続いて、センタ穴ドリル48が回転させられ
るとともに、加工ヘッド移動装置38により加工ヘッド
14がZ軸方向とX軸方向とに順次移動させられること
により、まずセンタ穴ドリル48が軸100に同軸に対
向させられ、次に軸100に接近させられて、軸100
の端面106に、図4に二点鎖線で示すようにセンタ穴
108が形成される。
【0016】端面102側の端面切削加工およびセンタ
穴加工が終了し、加工ヘッド移動装置38により加工ヘ
ッド14が加工開始位置に復帰させられた後、チャック
16が180度回転させられ、他方の端面104が加工
ヘッド14に対向する状態とされる。そして、上記端面
102の場合と同様にして、端面切削工具46,センタ
穴ドリル48により端面104の端面切削加工とセンタ
穴加工とが行われる。
【0017】本実施形態においては、タレット40を有
する加工ヘッド14を備えた汎用の軸状物加工装置12
に、特殊なチャック16を設けることによって、軸10
0の端面切削およびセンタ穴加工を行うことが可能にな
るため、専用のセンタ穴加工装置を設置する必要がな
く、設備コストを低減することができる。また、タレッ
ト40には複数種類の工具49を保持させることができ
るため、端面切削,センタ穴加工以外に、例えば平面取
りやタップ加工等種々の加工も可能となる。
【0018】なお、付言すれば、本実施形態において
は、軸100のチャック16に対する軸方向の位置決め
が、位置決め部材保持装置94に保持された位置決め部
材96により行われるようになっているが、加工される
べき軸状物自体に被位置決め部がある場合には、チャッ
クに位置決め部を設けて軸方向の位置決めを行うことも
可能である。例えば、図5に示すように、軸状物110
が半径方向に突出したフランジ部112を有するもので
ある場合には、チャック16のチャック本体78に位置
決め突起114を設け、その位置決め突起114にフラ
ンジ部112の端面を当接させることにより、軸状物1
10の軸方向の位置決めを行うのである。フランジ部1
12等の被位置決め部に当接する位置決め部を爪74,
76に設けることも可能である。
【0019】また、前記実施形態においては、ボルト9
2が段付面を有するものとされるとともに、チャック1
6の爪76側の取付部80のボルト穴88が爪74のボ
ルト穴86よりやや大径とされることにより、爪76が
小角度回動可能とされていたのであるが、ボルト穴8
6,88のいずれか一方の少なくとも1個を円弧状の長
穴とすることにより、いずれか一方の爪74,76を小
角度回動可能とすることもできる。また、段付面を有す
るボルト92を使用する代わりに、ボルト90に、爪7
6のボルト90が貫通する部分の厚さより僅かに長いス
リーブを嵌合し、そのスリーブがボルト90により移動
部材に固定された状態でも、ボルト90の頭部が爪76
から僅かに浮いた状態となるようにすることによって
も、一方の爪76を小角度回動可能とすることができ
る。さらに、爪74,76の一方を移動部材に固定する
ボルトを僅かに緩めた状態で、チャックに軸状物を把持
させ、その後、ボルトを完全に締め付けて爪74,76
の一方を移動部材に固定することによっても、直径が正
確に均一ではない軸状物をチャックに強固に把持させる
ことができる。
【0020】チャックをY軸方向に移動可能とすること
は不可欠ではなく、位置固定のチャック保持台にチャッ
クを回転可能に保持させることも可能である。ただし、
この場合には、タレット40の回転により加工位置に位
置決めされるセンタ穴ドリル48の軸線とチャックの回
転軸線とが同一平面(加工ヘッド移動装置38による加
工ヘッド14の移動方向であるX軸方向とZ軸方向との
両方に平行な一平面)上に位置するように、チャックを
チャック保持台に保持させることが必要である。
【0021】また、Y軸方向に移動する機能を有しない
チャックを備えた軸状物加工装置とすることも可能であ
る。この場合には、市販のターニングセンタや、少なく
とも2本の回転軸を有する旋盤等を利用して本発明を実
施することができる。ただし、前記実施形態における位
置決め部材96のようにチャックの外部に設けられた位
置決め部材により軸状物の相対位置決めを行う場合に
は、軸状物のチャックへの取付け終了後、位置決め部材
を移動装置によりチャックから離間させることが必要と
なる。その他、特許請求の範囲を逸脱することなく、当
業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で
本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である軸状物加工装置を示
す斜視図である。
【図2】上記軸状物加工装置のチャックを概略的に示す
正面図である。
【図3】上記チャックの底面図である。
【図4】上記軸状物加工装置による軸状物の加工を説明
するための図である。
【図5】本発明の別の実施形態である軸状物加工装置の
チャックを概略的に示す正面図である。
【符号の説明】
10:ベース 14:加工ヘッド 16:チャック
38:加工ヘッド移動装置 40:タレット
42:タレット回転装置 44:回転軸 46:端
面切削工具 48:センタ穴ドリル 49:工具
68:チャック移動装置 72:チャック回転装置
74,76:爪 100:軸 102,10
4:端面 110:軸状物 112:フランジ部
114:位置決め突起

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配設され、それぞれ回転駆
    動される少なくとも2本の回転軸に、センタ穴ドリルと
    端面切削工具とをそれぞれ保持させる一方、前記回転軸
    の軸線に対して直角な回転軸線のまわりに回転可能なチ
    ャックに、前記回転軸の軸線と平行に軸状物を保持さ
    せ、チャックと前記端面切削工具を保持させた回転軸と
    の相対移動と端面切削工具の回転とを伴って軸状物の第
    1端面を前記端面切削工具により端面切削加工した後、
    その第1端面を前記センタ穴ドリルに同軸に対向させて
    センタ穴加工を行い、さらに、前記チャックの180度
    の回転により軸状物の前記第1端面とは反対側の第2端
    面を前記端面切削工具と前記センタ穴ドリルとに対向可
    能な姿勢とし、その姿勢で第2端面の端面切削加工とセ
    ンタ穴加工とを順次行うことを特徴とするセンタ穴加工
    方法。
  2. 【請求項2】 互いに平行に配設され、それぞれ回転駆
    動される少なくとも2本の回転軸を備えた加工ヘッド
    と、 前記回転軸の軸線に対して直角な回転軸線のまわりに回
    転可能であり、自身の回転軸線と直角に軸状物を保持す
    るチャックと、 そのチャックを、少なくとも、そのチャックに保持され
    た軸状物の互いに反対側の第1端面と第2端面とがそれ
    ぞれ前記回転軸と対向する2回転位置へ回転させるチャ
    ック回転装置と、 前記加工ヘッドと前記チャックとを、少なくとも前記回
    転軸の軸線に平行な方向と直角な一方向とに相対移動さ
    せ、チャックに保持された軸状物を前記少なくとも2本
    の回転軸の少なくとも一方と同軸に対向させる移動装置
    とを含む軸状物加工装置。
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