JPH112266A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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JPH112266A
JPH112266A JP15688797A JP15688797A JPH112266A JP H112266 A JPH112266 A JP H112266A JP 15688797 A JP15688797 A JP 15688797A JP 15688797 A JP15688797 A JP 15688797A JP H112266 A JPH112266 A JP H112266A
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JP
Japan
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disk rotor
brake pad
brake
shim
pad
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JP15688797A
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English (en)
Inventor
Kenji Abe
健司 阿部
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用初期から制動履歴後の長期に亘ってブレ
ーキ鳴きの発生を抑制する。 【解決手段】 ディスクロータ14の両側に配設される
インナパッド50及びアウタパッド52間には、一対の
リターンスプリング66、68が張設されている。ディ
スクロータ14の回転方向に対してリーディング側とな
る方のリターンスプリング66のバネ定数は、トレーリ
ング側となる方のリターンスプリング68のバネ定数よ
りも高く設定されている。従って、面圧のアンバランス
が解消されて、使用初期から制動履歴後の長期に亘って
ブレーキ鳴きの発生を抑制することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪と共に回転す
るディスクロータに対して接離可能に設けられ、かつ、
制動時にディスクロータに圧接される摩擦材及びこの摩
擦材を支持する裏金を含んで構成されるブレーキパッド
を有するディスクブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、制動時におけるディスクブレ
ーキ装置の所謂ブレーキ鳴きを抑制しようとする試みが
種々なされている。この種のブレーキ鳴きの発生を抑制
することを目的とした開示例としては、特開平2−12
0535号公報等がある。
【0003】この公報に開示された構成は、ブレーキパ
ッドにおけるリーディング側とトレーリング側とで、ブ
レーキパッドの摩擦材の硬度、圧縮歪み、樹脂反応濃
度、樹脂量、スチールファイバ量の少なくとも一要素以
上を異ならせることにより、リーディング側とトレーリ
ング側との振動レベルのアンバランスを解消しようとす
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された構成はブレーキパッドの摩擦材の材質を
リーディング側とトレーリング側とで変更するというも
のであるため、初期には狙い通りのブレーキ鳴き抑制効
果が得られたとしても、種々の制動履歴を経た後では熱
等の影響からブレーキパッドのμ特性が大きく変化し、
狙い通りのブレーキ鳴き抑制効果を得ることが困難であ
る。
【0005】本発明は上記事実を考慮し、使用初期から
制動履歴後の長期に亘ってブレーキ鳴きの発生を抑制す
ることができるディスクブレーキ装置を得ることが目的
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、車輪と共に回転するディスクロータに対して接離可
能に設けられ、かつ、制動時にディスクロータに圧接さ
れる摩擦材及びこの摩擦材を支持する裏金を含んで構成
されるブレーキパッドを有するディスクブレーキ装置で
あって、ブレーキパッドをディスクロータから離間する
方向へ付勢する付勢手段を備えており、さらに、ブレー
キパッドにおけるリーディング側となる部分に作用する
付勢手段の付勢力を、ブレーキパッドにおけるトレーリ
ング側となる部分に作用する付勢手段の付勢力に対して
強く設定した、ことを特徴としている。
【0007】請求項2記載の本発明は、車輪と共に回転
するディスクロータに対して接離可能に設けられ、か
つ、制動時にディスクロータに圧接される摩擦材及びこ
の摩擦材を支持する裏金を含んで構成されるブレーキパ
ッドを有するディスクブレーキ装置であって、ブレーキ
パッドは裏金の裏面側にシムを備えており、さらに、シ
ムにおけるブレーキパッドのリーディング側となる部分
に対応する部分の弾性率を、シムにおけるブレーキパッ
ドのトレーリング側となる部分に対応する部分の弾性率
に対して低く設定した、ことを特徴としている。
【0008】請求項1記載の本発明によれば、制動時に
なると、ディスクロータに対して接離可能に設けられた
ブレーキパッドが付勢手段の付勢力に抗してディスクロ
ータ側へ接近され、ブレーキパッドの摩擦材がディスク
ロータに圧接される。これにより、所定の制動力が得ら
れる。
【0009】ここで、本発明では、ブレーキパッドにお
けるリーディング側となる部分に作用する前記付勢手段
の付勢力を、ブレーキパッドにおけるトレーリング側と
なる部分に作用する付勢手段の付勢力に対して強く設定
したので、面圧が高くなる側であるリーディング側では
相対的に強い付勢力が作用し、面圧が低くなる側である
トレーリング側では相対的に弱い付勢力が作用すること
になる。従って、摩擦材とディスクロータとの間に生じ
る面圧のアンバランスが抑制される。
【0010】請求項2記載の本発明によれば、制動時に
なると、ディスクロータに対して接離可能に設けられた
ブレーキパッドが付勢手段の付勢力に抗してディスクロ
ータ側へ接近され、ブレーキパッドの摩擦材がディスク
ロータに圧接される。これにより、所定の制動力が得ら
れる。
【0011】ここで、本発明では、シムにおけるブレー
キパッドのリーディング側となる部分に対応する部分の
弾性率を、シムにおけるブレーキパッドのトレーリング
側となる部分に対応する部分の弾性率に対して相対的に
低く設定したので、面圧が高くなる側であるリーディン
グ側ではシムは相対的に軟性を示し、面圧が低くなる側
であるトレーリング側ではシムは相対的に硬性を示す。
従って、摩擦材とディスクロータとの間に生じる面圧の
アンバランスが抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕以下、図1〜図4を用いて、第1実施
形態について説明する。
【0013】図3には、浮動型のキャリパ(スライディ
ングキャリパ)10を備えたディスクブレーキ装置12
の組付状態の外観斜視図が示されており、又図2にはキ
ャリパ10の断面構造が一部切り欠いた状態で示されて
いる。
【0014】これらの図に示されるように、ディスクブ
レーキ装置12は、車輪と共に回転する円板状のディス
クロータ14と、このディスクロータ14の外周一部に
配設されたキャリパ10と、を含んで構成されている。
さらに、キャリパ10は、側面視で略コ字形に形成され
たトルクメンバ16と、このトルクメンバ16に対して
浮動的に支持されたキャリパボディー18と、含んで構
成されている。
【0015】簡単に説明すると、トルクメンバ16の両
側部の所定位置には図示しない一対のネジ孔が形成され
ており、これらのネジ孔へ図示しない固定ボルト螺入さ
れることにより、トルクメンバ16はステアリングナッ
クル等のサスペンションパーツに固定されている。ま
た、トルクメンバ16の両側部の先端部には、軸心部に
ガイド孔20が形成された一対のガイド部22が形成さ
れている。さらに、トルクメンバ16におけるガイド部
22に隣接する位置には、後述するインナパッド50及
びアウタパッド52の各々に対応してインナ側トルク受
部24及びアウタ側トルク受部26が一体に形成されて
いる。
【0016】一方、キャリパボディー18の車両内方側
となる部分の中央部にはシリンダ部28が形成されてお
り、このシリンダ部28内には有底円筒状のピストン3
0が収容されている。シリンダ部28内にピストン30
が収容された状態では、シリンダ部28の底部とピスト
ン30の底部との間に油室32が形成されている。油室
32は、図示しないブレーキホースと接続された油入口
34と連通されている。また、シリンダ部28の内周面
所定位置には、シール材36及びダストブーツ38が配
設されている。
【0017】また、キャリパボディー18のシリンダ部
28からは、一対のアーム部40が互いに離反する方向
へ延出されている。各アーム部40の先端部には雌ねじ
が形成されており、この雌ねじへはボルト42が螺入さ
れている。このボルト42の貫通端部はスライドピン4
4の頭部に螺入されており、このスライドピン44が前
述したトルクメンバ16のガイド部22の軸心部に形成
されたガイド孔20内へスライド可能に挿入されてい
る。
【0018】また、キャリパボディー18のシリンダ部
28側からはディスクロータ14を跨ぐようにしてブリ
ッジ部46が一体に形成されており、更にブリッジ部4
6の車両外方側となる端部にはディスクロータ14の軸
心側へ向けて突出する爪部48が一体に形成されてい
る。
【0019】上述したトルクメンバ16における一対の
インナ側トルク受部24間には、「ブレーキパッド」と
してのインナパッド50がディスクロータ14の内側の
側面に対して接離可能に保持されている。同様に、トル
クメンバ16における一対のアウタ側トルク受部26間
には、「ブレーキパッド」としてのアウタパッド52が
ディスクロータ14の外側の側面に対して接離可能に保
持されている。
【0020】インナパッド50は、ディスクロータ14
の内側の側面に対して所定の隙間をあけて配置される摩
擦材54と、摩擦材54が取り付けられて当該摩擦材5
4を支持する裏金56と、裏金56の裏面に配設される
金属製かつ薄肉平板状のシム58と、を含んで構成され
ている。インナパッド50は、ピストン30によって押
圧されることによりディスクロータ14側へ接近し、当
該ディスクロータ14の内側の側面に圧接されるように
なっている。
【0021】アウタパッド52は、ディスクロータ14
の外側の側面に対して所定の隙間をあけて配置される摩
擦材60と、摩擦材60が取り付けられて当該摩擦材6
0を支持する裏金62と、裏金62の裏面に配設される
薄肉平板状のシム64と、を含んで構成されている。ア
ウタパッド52は、ピストン30がインナパッド50を
押圧した際の反動でキャリパボディー18がスライドす
ることにより爪部48によって押圧されてディスクロー
タ14の外側の側面に圧接されるようになっている。
【0022】ここで、図1及び図2に示されるように、
上述したインナパッド50及びアウタパッド52間に
は、「付勢手段」としての一対のリターンスプリング6
6、68が張設されている。より具体的に説明すると、
これらのリターンスプリング66、68は形状的には同
一に構成されており、U字形状の基部66A、68A
と、この基部66A、68Aから延出された一対の脚部
66B、68Bと、各脚部66B、68Bの先端部を同
一方向へ直角に屈曲させることにより形成された係止部
66C、68Cと、によって構成されている。なお、基
部66A、68AをU字形状にしているのは、応力集中
を回避するためである。
【0023】また、これらのリターンスプリング66、
68は、図4(A)において一点鎖線で示される状態が
自然状態であり、これよりも弾性変形させた状態である
実線図示状態が組付状態であり、これよりも更に弾性変
形させた状態である二点鎖線図示状態が制動状態とされ
ている。そして、組付状態となるまでリターンスプリン
グ66、68を弾性変形させた状態で、各々の係止部6
6C、68Cをこれに対応して形成された裏金56、6
2の小孔内へ挿入及び係止させることにより、一対のリ
ターンスプリング66、68は互いに対向して配置され
た摩擦材54、60をディスクロータ14の側面から離
間する方向へ付勢している。
【0024】さらに、本実施形態では、前進時における
ディスクロータ14の回転方向(矢印X方向)に対して
リーディング側となる方に配設されたリターンスプリン
グ66のバネ定数を、ディスクロータ14の回転方向に
対してトレーリング側となる方に配設されたリターンス
プリング68のバネ定数よりも、大きく設定しており、
この点に本実施形態の特徴がある。これにより、リーデ
ィング側に配設されたリターンスプリング66の方が、
トレーリング側に配設されたリターンスプリング68よ
りも、弾性復元力(即ち、ディスクロータ14の側面か
ら摩擦材54、60を離間させる付勢力)が強くなるよ
うに設定されている。
【0025】ちなみに、本実施形態では、リーディング
側に配設されるリターンスプリング66のバネ定数にあ
っては0.14〔kg/mm〕と高めに設定し、トレー
リング側に配設されるリターンスプリング68のバネ定
数にあっては0.07〔kg/mm〕と低めに設定して
いる。
【0026】次に、本実施形態の作用並びに効果につい
て説明する。非制動時には、油室32にブレーキフルー
ドが送給されないので、ピストン30及び爪部48はデ
ィスクロータ14から離間された状態(初期位置)に保
持されている。このため、インナパッド50の摩擦材5
4及びアウタパッド52の摩擦材60も、一対のリター
ンスプリング66、68の弾性復元力(付勢力)によっ
て、ディスクロータ14の側面から離間した状態に保持
される。
【0027】この状態から、前進時において図示しない
ブレーキペダルが踏み込まれると、図示しないブレーキ
ホースを介して油入口34から油室32内へブレーキフ
ルードが供給される。このため、ピストン30がディス
クロータ14側へ押圧され、一対のリターンスプリング
66、68の付勢力に抗して、インナパッド50の摩擦
材54がディスクロータ14の内側の側面に圧接され
る。これにより、当該摩擦材54とディスクロータ14
の内側の側面との間に所定の摩擦力が発生し、ディスク
ロータ14のインナ側での制動力が得られる。
【0028】その一方で、ピストン30が移動すると、
その際の反動がキャリパボディー18に作用し、スライ
ドピン44にガイドされながら、当該キャリパボディー
18がディスクロータ14から離間する方向へスライド
する。このため、ブリッジ部46を介して爪部48がデ
ィスクロータ14側へ移動して、アウタパッド52がデ
ィスクロータ14側へ押圧される。従って、一対のリタ
ーンスプリング66、68の付勢力に抗して、アウタパ
ッド52の摩擦材60がディスクロータ14の外側の側
面に圧接される。これにより、当該摩擦材60とディス
クロータ14の外側の側面との間に所定の摩擦力が発生
し、ディスクロータ14のアウタ側での制動力が得られ
る。
【0029】ところで、前進時における制動を例にする
と、通常、ディスクロータ14の回転方向(矢印X方
向)に対して摩擦材54、60におけるリーディング側
となる部分(図1の斜線P部)の方が、トレーリング側
となる部分(図1の斜線Q部)よりも、モーメントの関
係等により面圧が高くなる。そして、この面圧のアンバ
ランスに起因して所謂ブレーキ鳴きが発生する。なお、
付言すると、5000〔Hz〕以上の高周波の異音は一
般に認知されていることから、本実施形態で抑制しよう
とするのは2000〔Hz〕程度の低周波の異音であ
る。
【0030】ここで、本実施形態では、前進時における
ディスクロータ14の回転方向(矢印X方向)に対して
リーディング側となる方に配設されたリターンスプリン
グ66のバネ定数を、ディスクロータ14の回転方向に
対してトレーリング側となる方に配設されたリターンス
プリング68のバネ定数よりも大きく設定することで、
摩擦材54、60におけるリーディング側となる部分
(斜線P部)の方にトレーリング側となる部分(斜線Q
部)よりも強い弾性復元力(ディスクロータ14からの
離間力)を作用させる構成としたので、リーディング側
とトレーリング側とで生じる面圧の高低のバランスがと
れて略均一化される。その結果、本実施形態によれば、
使用初期から制動履歴後の長期に亘って特に2000
〔Hz〕程度の低周波のブレーキ鳴きの発生を効果的に
抑制することができる。
【0031】また、本実施形態の要部となるリターンス
プリング66、68は基本的には既存の部品であること
から、部品点数の増加を招くこともなく、コスト的にも
有利である。
【0032】さらに、本実施形態では、摩擦材の硬度や
原材料の配合比率等をリーディング側とトレーリング側
とで異ならせるものではないので、従来構造に比べて、
生産性の向上を図ることができる。
【0033】なお、本実施形態では、リーディング側に
配設されるリターンスプリング66及びトレーリング側
に配設されるリターンスプリング68のバネ定数〔弾性
復元力(付勢力)〕の設定を異ならせる構成を採ってい
るが、その手法としては、各リターンスプリングの線径
は同一にして異種材質を用いることでバネ定数を変更す
る手法、材質は同一にして線径を異ならせることでバネ
定数を変更する手法、同一線径及び同一材質のバネ材を
用いかつリターンスプリングを構成するバネ材の使用本
数を変更する手法〔例えば、リーディング側のリターン
スプリングにあっては複数本(例えば、2本)束ねて一
体化する〕等があり、いずれの手法を適用してもよい。
【0034】また、本実施形態では、リーディング側に
配設されるリターンスプリング66とトレーリング側に
配設されるリターンスプリング68とを別個独立に配設
したが、これに限らず、リーディング側及びトレーリン
グ側の双方に亘って掛け渡されるような単体のリターン
スプリングを用い、当該リターンスプリングをリーディ
ング側に配置されるバネ部分とトレーリング側に配置さ
れるバネ部分とでバネ定数が相互に異なるようにしても
よい。例えば、板バネで当該リターンスプリングを構成
し、リーディング側に配置されるバネ部分とトレーリン
グ側に配置されるバネ部分とで、板厚、板幅、ビードの
設定の有無等による強度等を適宜調整することにより、
バネ定数を相互に異ならせるようにしてもよい。 〔第2実施形態〕次に、図5を用いて、第2実施形態に
ついて説明する。
【0035】この実施形態では、裏金56、62の裏面
に配設されるシム80の弾性率をリーディング側とトレ
ーリング側とで異ならせた点に特徴がある。なお、シム
80の本来的な役割は、インナパッド50及びアウタパ
ッド52が曲げ変形した際にシム80と裏金56、62
との間に剪断力を作用させ、この剪断力によって振動を
減衰させてブレーキ鳴きを低減することにある。従っ
て、本実施形態では、このブレーキ鳴き抑制用のシム8
0の本来的機能に、更にブレーキ鳴き抑制効果を確実な
ものとするべく、弾性率をリーディング側とトレーリン
グ側とで異ならせた構成として把握される。
【0036】具体的には、本実施形態では、一例とし
て、シム80においてインナパッド50及びアウタパッ
ド52のリーディング側となる部分に対応する部分であ
る斜線R部(図5(B)参照)の弾性率にあっては、リ
ーディング側での面圧が高くなることから、40〔kg
/mm2 〕と低めに設定し、トレーリング側となる部分
に対応する部分である斜線S部の弾性率にあっては、ト
レーリング側での面圧が低くなることから、60〔kg
/mm2 〕と高めに設定している。なお、このような弾
性率の変更は、シム80を構成する材質をリーディング
側とトレーリング側とで異ならせることによりなされて
いる。
【0037】上記構成によれば、弾性率が低めに設定さ
れた斜線R部は、弾性率が高めに設定された斜線S部よ
りも相対的に硬いものとなる。このため、本実施形態に
よれば、面圧が高くなる側であるリーディング側にあっ
ては、弾性率が相対的に低い(即ち、硬軟度が相対的に
軟らかい)斜線R部を介して摩擦材54、60をディス
クロータ14側へ押圧し、面圧が低くなる側であるトレ
ーリング側にあっては、弾性率が相対的に高い(即ち、
硬軟度が相対的に硬い)斜線R部を介して摩擦材54、
60をディスクロータ14側へ押圧することになる。従
って、リーディング側とトレーリング側とで生じる面圧
の高低のバランスがとれて略均一化される。その結果、
本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様
に、使用初期から制動履歴後の長期に亘って特に200
0〔Hz〕程度の低周波のブレーキ鳴きの発生を効果的
に抑制することができる。
【0038】また、本実施形態の要部となるシム80も
基本的には既存の部品であることから、部品点数の増加
を招くこともなく、コスト的にも有利である。
【0039】さらに、本実施形態では、シム80の弾性
率をリーディング側とトレーリング側とで異ならせる点
において前述した第1実施形態よりも生産性は劣るもの
の、摩擦材の硬度や原材料の配合比率等をリーディング
側とトレーリング側とで異ならせる場合に比べれば、生
産工程数が減るので、生産性を向上させることができ
る。
【0040】なお、本実施形態では、シム80を構成す
る材質をリーディング側とトレーリング側とで異ならせ
ることで弾性率の設定を異ならせる手法を採ったが、こ
れに限らず、シムの厚さをリーディング側とトレーリン
グ側とで変える(例えば、トレーリング側のみ二枚貼り
のシムとする等)ことで弾性率の設定を異ならせる手法
を採るようにしてもよい。
【0041】また、本実施形態では、金属製のシム80
を用いたが、材質的にはこれに限らず、弾性率の設定を
異ならせることで上記効果を得ることができる材質であ
ればすべて適用可能である。 〔ブレーキ鳴き抑制についての評価結果〕図6は、実車
で100回ブレーキを踏んだときの2000〔Hz〕程
度のブレーキ鳴きの発生回数を示したものである。この
図から判るように、第1実施形態及び第2実施形態のい
ずれも、2000〔Hz〕程度のブレーキ鳴きに対して
抑制効果があることが確認された。
【0042】なお、上述した実施形態では、浮動型のキ
ャリパ(スライディングキャリパ)10に対して本発明
を適用したが、これに限らず、浮動ヨーク型のキャリ
パ、対向ピストン型のキャリパ、デュアルピストン型の
キャリパ等に対して本発明を適用してもよい。
【0043】また、上述した実施形態では、リターンス
プリング66、68を利用するタイプとシム80を利用
するタイプとを別個独立に採用した場合の例を示した
が、これに限らず、両者を併用するようにしてもよい。
【0044】さらに、上述した実施形態では、前進時の
制動を基準にしてリターンスプリング66、68のバネ
定数の設定、或いはシム80の弾性率の設定をしたが、
これに限らず、後進時の制動を基準にして本発明を適用
することも可能であり、この場合にはバネ定数の設定関
係或いはシムの弾性率の設定関係が逆になるようにすれ
ばよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の本発
明に係るディスクブレーキ装置は、ブレーキパッドをデ
ィスクロータから離間する方向へ付勢する付勢手段を備
えており、さらに、ブレーキパッドにおけるリーディン
グ側となる部分に作用する付勢手段の付勢力を、ブレー
キパッドにおけるトレーリング側となる部分に作用する
付勢手段の付勢力に対して強く設定したので、摩擦材と
ディスクロータとの間に生じる面圧のアンバランスを抑
制することができ、その結果、使用初期から制動履歴後
の長期に亘ってブレーキ鳴きの発生を抑制することがで
きるという優れた効果を有する。
【0046】請求項2記載の本発明に係るディスクブレ
ーキ装置は、ブレーキパッドは裏金の裏面側にシムを備
えており、さらに、シムにおけるブレーキパッドのリー
ディング側となる部分に対応する部分の弾性率を、シム
におけるブレーキパッドのトレーリング側となる部分に
対応する部分の弾性率に対して低く設定したので、摩擦
材とディスクロータとの間に生じる面圧のアンバランス
を抑制することができ、その結果、使用初期から制動履
歴後の長期に亘ってブレーキ鳴きの発生を抑制すること
ができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の要部に係る一対のリターンスプ
リングをインナパッド及びアウタパッドへの組付状態で
示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る浮動型のキャリパの内部構
造を一部破断して示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係るディスクブレーキ装置を示
す斜視図である。
【図4】(A)は図1に示されるリターンスプリングの
平面図であり、(B)は同リターンスプリングの(B)
−(B)線に沿う断面図である。
【図5】第2実施形態の要部に係るシムの三面図であ
る。
【図6】第1実施形態及び第2実施形態を採用した場合
のブレーキ鳴き抑制効果を示すグラフである。
【符号の説明】
12 ディスクブレーキ装置 14 ディスクロータ 50 インナパッド(ブレーキパッド) 52 アウタパッド(ブレーキパッド) 54 摩擦材 60 摩擦材 66 リターンスプリング(付勢手段) 68 リターンスプリング(付勢手段) 80 シム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と共に回転するディスクロータに対
    して接離可能に設けられ、かつ、制動時にディスクロー
    タに圧接される摩擦材及びこの摩擦材を支持する裏金を
    含んで構成されるブレーキパッドを有するディスクブレ
    ーキ装置であって、 ブレーキパッドをディスクロータから離間する方向へ付
    勢する付勢手段を備えており、 さらに、ブレーキパッドにおけるリーディング側となる
    部分に作用する付勢手段の付勢力を、ブレーキパッドに
    おけるトレーリング側となる部分に作用する付勢手段の
    付勢力に対して強く設定した、 ことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 車輪と共に回転するディスクロータに対
    して接離可能に設けられ、かつ、制動時にディスクロー
    タに圧接される摩擦材及びこの摩擦材を支持する裏金を
    含んで構成されるブレーキパッドを有するディスクブレ
    ーキ装置であって、 ブレーキパッドは裏金の裏面側にシムを備えており、 さらに、シムにおけるブレーキパッドのリーディング側
    となる部分に対応する部分の弾性率を、シムにおけるブ
    レーキパッドのトレーリング側となる部分に対応する部
    分の弾性率に対して低く設定した、 ことを特徴とするディスクブレーキ装置。
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