JPH112257A - 可撓継手及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】大幅な質量の軽量化を図るとともに、継手にか
かる負荷荷重による疲労破損や磨耗などに対する機械的
強度の確保も図れる、安価な撓み板継手方式の可撓継手
を提供することにある。 【解決手段】電動機側の駆動軸と歯車装置側の被駆動軸
とを、それぞれフランジ部を有する中間継手で連結した
撓み板継手方式の可撓継手において、中間継手の材質を
アルミニウムまたはアルミニウム合金とし、ボルトとナ
ットにより撓み板を中間継手に締結する所の中間継手部
分と、２つの中間継手同志を締結する所の中間継手フラ
ンジ部分に、鉄鋼あるいはチタン合金製のカラーを装着
させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は機械的回転軸継手に
関するものであり、特に駆動軸と被駆動軸との間に接続
され、これら回転軸間の芯ずれを吸収しながらトルクを
伝達する撓み板方式の可撓継手に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図８（ａ），（ｂ）は一般に良く知られ
ている従来の撓み板方式による可撓継手の一例で、図
（ａ）は側面図、図（ｂ）は図（ａ）のＡ−Ａ線断面図
である。図８において、駆動軸に嵌着された駆動側継手
（図示せず）と中間継手１ａとの間、及び被駆動軸に嵌
着された被駆動側継手（図示せず）と中間継手１ｂとの
間を、ボルト４とナット５及び座板３を用いて撓み板２
により連結し、かつ中間継手１ａと中間継手１ｂの間
を、ボルト６とナット７を用いて各々の中間継手１ａと
１ｂのフランジ部を連結し、駆動軸と被駆動軸の芯ずれ
に対しては撓み板２がしなることにより芯ずれを吸収し
ながら、トルク伝達を行っている。撓み板継手方式の可
撓継手にかかる荷重としては、トルクによる伝達力と回
転による遠心力並びに芯ずれによる曲げ力が重畳して作
用するため、従来では撓み板２と座板３の材質として鉄
鋼（クロームモリブデン鋼）またはＣＦＲＰ（炭素繊維
強化プラスチック）が使用され、中間継手１ａと１ｂ並
びにボルト４と６及びナット５と７の材質としては鉄鋼
（炭素鋼）が用いられ、疲労破損や磨耗などに対する機
械的強度の確保を図ってきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、電車のスピード
アップに伴って車体の軽量化が必要となり、特に車体の
バネ下質量の軽量化が最重要課題であり、このためユー
ザから撓み板継手方式の可撓継手に対する軽量化の要望
が増々強くなってきた。しかしながら、従来の撓み板方
式の可撓継手の構成部品は、前述したように大部分が密
度の大きな鉄鋼材料であり、しかも熱処理や切削などの
機械加工を施して製作されており、このため可撓継手の
質量が重い上に、継手の組立作業や分解作業もやり難
く、しかも価格的にも高価であるという欠点があった。
本発明は上述した点に鑑みて創案されたもので、その目
的とするところは、これらの課題を解決し撓み板継手方
式の可撓継手を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成
するための手段は、 （１）請求項１ 電動機側の駆動軸と歯車装置側の被駆動軸とを、それぞ
れフランジ部を有する中間継手で連結した撓み板方式の
可撓継手において、中間継手の材質をアルミニウムまた
はアルミニウム合金とし、鉄鋼あるいはチタン合金製の
カラーを、ボルトとナットによって撓み板を中間継手に
締結する所の中間継手部分又はボルトとナットによって
２つの中間継手同志を締結する所の中間継手フランジ部
分、或いは両者の部分に装着させたことにある。

【０００５】（２）請求項２ 請求項１記載において、前記アルミニウムまたはアルミ
ニウム合金製の中間継手をダイカストやスクイズキャス
ト等により製造するものとし、鋳込み前に前記鉄鋼ある
いはチタン合金製のカラーをそれぞれ鋳造用の金型に前
もって付着させて置き、その状態で鋳込みを行って、前
記中間継手と前記カラーを一体化して製作したことにあ
る。

【０００６】（３）請求項３ 請求項１，２記載において、前記カラーの外周形状を円
形あるいは四角形や八角形などの多角形にしたことにあ
る。

【０００７】（４）請求項４ 請求項２記載において、前記カラーの外周形状を円形あ
るいは多角形にし、外周部分に少なくとも１箇所以上の
切欠き溝を設けるか、又は外周部分に少なくとも１箇所
以上の環状溝を設けるか、更には外周部分に両者の切欠
き溝及び環状溝を併設したことにある。その作用は、次
に述べる実施例と併せて説明する。以下、本発明の実施
例を図面に基づいて詳述する。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１（ａ），（ｂ）は本発明の請
求項１記載の第１の実施例を示す撓み板方式の可撓継手
で、図（ａ）は側面図、図（ｂ）は図（ａ）のＡ−Ａ線
断面図である。図１において、駆動軸に嵌着された駆動
側継手（図示せず）と中間継手１ａとの間、及び被駆動
軸に嵌着された被駆動側継手（図示せず）と中間継手１
ｂとの間を、ボルト４とナット５及び座板３を用いて撓
み板２により連結し、かつ中間継手１ａと中間継手１ｂ
の間を、ボルト６とナット７を用いて各々の中間継手１
ａと１ｂのフランジ部で連結し、駆動軸と被駆動軸の芯
ずれに対しては撓み板２がしなることにより芯ずれを吸
収しながら、トルク伝達を行っている。中間継手１ａと
１ｂの材質は共に密度の小さいアルミニウムまたはアル
ミニウム合金であり、ボルト４とナット５によって撓み
板２を中間継手１ａと１ｂに締結する所の中間継手部分
には、鉄鋼あるいはチタン合金製のカラー８が装着され
ている。

【０００９】撓み板２と座板３の材質は鉄鋼またはＣＦ
ＲＰであり、ボルト４と６及びナット５と７の材質は鉄
鋼である。撓み板方式の可撓継手において、最も大きな
構成部品である中間継手１ａと１ｂの材質と共に密度の
小さなアルミニウムやアルミニウム合金にすることによ
り、大幅な質量の軽量化が図れるとともに、ボルト４に
よって締結される中間継手部分に、少なくとも鉄鋼以上
の機械的強度がある鉄鋼あるいはチタン合金製のカラー
８を装着させることにより、負荷荷重による疲労破損や
磨耗などに対する機械的強度の確保も図れる。

【００１０】図２（ａ），（ｂ），（ｃ）は本発明の請
求項１記載の第２の実施例を示す撓み板継手で、図
（ａ）は側面図、図（ｂ）は図（ａ）のＡ−Ａ線断面
図、図（ｃ）は図（ａ）のＢ−Ｂ線断面における中間継
手フランジ部分の詳細図である。図２において、駆動軸
に嵌着された駆動側継手（図示せず）と中間継手１ａと
の間、及び被駆動軸に嵌着された被駆動側継手（図示せ
ず）と中間継手１ｂとの間を、ボルト４とナット５及び
座板３を用いて撓み板２により連結し、かつ中間継手１
ａと中間継手１ｂの間を、ボルト６とナット７を用いて
各々の中間継手１ａと１ｂのフランジ部で連結し、駆動
軸と被駆動軸の芯ずりに対しては撓み板２がしなること
により芯ずれを吸収しながら、トルク伝達を行ってい
る。

【００１１】中間継手１ａと１ｂの材質は共に密度の小
さいアルミニウムまたはアルミニウム合金であり、ボル
ト６とナット７によって２つの中間継手１ａと１ｂ同志
を締結する所の中間継手フランジ部分には、図（ｃ）に
示すように、鉄鋼あるいはチタン合金製のカラー９ａと
９ｂが装着されている。撓み板２と座板３の材質は鉄鋼
またはＣＦＲＰであり、ボルト４と６及びナット５と７
の材質は鉄鋼である。撓み板方式の可撓継手において、
最も大きな構成部品である中間継手１ａと１ｂの材質を
共に密度の小さなアルミニウムやアルミニウム合金にす
ることにより、大幅な質量の軽量化が図れるとともに、
ボルト７によって締結される中間継手フランジ部分に、
少なくとも鉄鋼以上の機械的強度がある鉄鋼あるいはチ
タン合金製のカラー９ａと９ｂを装着させることによ
り、負荷荷重による疲労破損や磨耗などに対する機械的
強度の確保も図れる。

【００１２】図３（ａ），（ｂ），（ｃ）は本発明の請
求項１記載の第３の実施例を示す撓み板方式の可撓継手
で、図（ａ）は側面図、図（ｂ）は図（ａ）のＡ−Ａ線
断面図、図（ｃ）は図（ａ）のＢ−Ｂ線断面における中
間継手フランジ部分の詳細図である。図３において、駆
動軸に嵌着された駆動側継手（図示せず）と中間継手１
ａとの間、及び被駆動軸に嵌着された被駆動軸（図示せ
ず）中間継手１ａとの間を、ボルト４とナット５及び座
板３を用いて撓み板２により連結し、かつ中間継手１ａ
と中間継手１ｂの間を、ボルト６とナット７を用いて各
々の中間継手１ａと１ｂのフランジ部で連結し、駆動軸
と被駆動軸の芯ずれに対しては撓み板２がしなることに
より芯ずれを吸収しながら、トルク伝達を行っている。

【００１３】中間継手１ａと１ｂの材質は共に密度の小
さいアルミニウムまたはアルミニウム合金であり、ボル
ト４とナット５によって撓み板２を中間継手１ａと１ｂ
に締結する所の中間継手部分には、鉄鋼あるいはチタン
合金製のカラー８が装着されており、ボルト６とナット
７によって２つの中間継手１ａと１ｂ同志を締結する所
の中間継手フランジ部分には、鉄鋼あるいはチタン合金
製のカラー９ａと９ｂが装着されている。撓み板２と座
板３の材質は鉄鋼またはＣＦＲＰであり、ボルト４と６
及びナット５と７の材質は鉄鋼である。撓み板方式の可
撓継手において、最も大きな構成部品である中間継手１
ａと１ｂの材質を共に密度の小さなアルミニウムやアル
ミニウム合金にすることにより、大幅な質量の軽量化が
図れるとともに、ボルト４によって締結される中間継手
部分に、少なくとも鉄鋼以上の機械的強度がある鉄鋼あ
るいはチタン合金製のカラー８を装着させ、かつボルト
７によって締結される中間継手フランジ部分にも、少な
くとも鉄鋼以上の機械的強度がある鉄鋼あるいはチタン
合金製のカラー９ａと９ｂを装着させることにより、負
荷荷重による疲労破損や磨耗などに対する機械的強度が
いずれのボルト締結部においても確保できる。

【００１４】図４（ａ），（ｂ），（ｃ）は本発明の請
求項３記載の一実施例を示す説明図であり、図４におい
ては、前記カラー８，９ａ，９ｂの外周形状を円形（図
（ａ））あるいは四角形（図（ｃ））や八角形（図
（ｂ））などの多角形にしたことを表す可撓継手のカラ
ー形状の一例である。

【００１５】図５（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）は本
発明の請求項４記載の第１の一実施例を示す説明図であ
り、図（ａ），（ｃ）は正面図、図（ｂ），（ｄ）は図
（ａ），（ｃ）の側面図であり、前記カラー８，９ａ，
９ｂの外周形状を円形或いは多角形とし、かつ外周部分
に少なくとも１箇所以上の切欠き溝１０ａ，１０ｂを設
けたことを表す可撓継手のカラー形状の一例である。

【００１６】図６（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）は本
発明の請求項４記載の第２の一実施例を示す説明図であ
り、図（ａ），（ｃ）は正面図、図（ｂ），（ｄ）は図
（ａ），（ｃ）の側面図であり、前記カラー８，９ａ，
９ｂの外周形状を円形或いは多角形とし、かつ外周部分
に少なくとも１箇所以上の環状溝１０ｃ，１０ｄを設け
たことを表す可撓継手のカラー形状の一例である。

【００１７】図７（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）は本
発明の請求項４記載の第３の一実施例を示す説明図であ
り、図（ａ），（ｃ）は正面図、図（ｂ），（ｄ）は図
（ａ），（ｃ）の側面図であり、前記カラー８，９ａ，
９ｂの外周形状を円形或いは多角形とし、かつ外周部分
に少なくとも１箇所以上の切き溝１０ａ，１０ｂと少な
くとも１箇所以上の環状溝１０ｃ，１０ｄを併設したこ
とを表す可撓継手のカラー形状の一例である。

【００１８】請求項３は、図１〜図７にそれぞれ示した
撓み板方式の可撓継手において、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金製の中間継手１ａと１ｂの製作方法に関
するものである。図１〜図７において、前記アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金製の中間継手１ａあるいは１
ｂをダイカストやスクイズキャスト等により製造するも
のとし、鋳込み前に前記鉄鋼あるいはチタン合金製のカ
ラー８，９ａ，９ｂをそれぞれ鋳造用の金型に前もって
付着させて置き、その状態で鋳込みを行って、前記中間
継手１ａ，１ｂと前記カラー８，９ａ，９ｂをそれぞれ
一体化して製作するものであり、カラーを装着した中間
継手を安価に提供することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、撓
み板方式の可撓継手において、最も大きな構成部品であ
る２つの中間継手の材質を共に密度の小さいアルミニウ
ムやアルミニウム合金にすることにより、大幅な質量の
軽量化が図れるとともに、ボルトとナットによって撓み
板を中間継手に締結する所の中間継手部分に、鉄鋼ある
いはチタン合金製のカラーを装着させたり、あるいはボ
ルトとナットによって２つの中間継手同志を締結する所
の中間継手フランジ部分にも、鉄鋼あるいはチタン合金
製のカラーを装着させたりすることによって、継手にか
かる負荷荷重による疲労破損や磨耗などに対する機械的
強度の確保も図れる。また、前記アルミニウムまたはア
ルミニウム合金製の中間継手をダイカストやスクイズキ
ャスト等により製造するものとし、鋳込み前に前記鉄鋼
あるいはチタン合金製のカラーをそれぞれ鋳造用の金型
に前もって付着させて置き、その状態で鋳込みを行って
前記中間継手と前記カラーを一体化して製作することに
より、カラーを装着した中間継手強いては可撓継手全体
を安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の請求項１記載の第１の実施例を示す撓
み板方式可撓継手の説明図である。

【図２】本発明の請求項１記載の第２の実施例を示す撓
み板方式可撓継手の説明図である。

【図３】本発明の請求項１記載の第３の実施例を示す撓
み板方式可撓継手の説明図である。

【図４】本発明の請求項３記載の一実施例を示す説明図
である。

【図５】本発明の請求項４記載の第１の一実施例を示す
説明図である。

【図６】本発明の請求項４記載の第２の一実施例を示す
説明図である。

【図７】本発明の請求項４記載の第３の一実施例を示す
説明図である。

【図８】一般に良く知られている従来の撓み板方式によ
る可撓継手の説明図である。

【符号の説明】

１ａ 中間継手 １ｂ 中間継手 ２ 撓み板 ３ 座板 ４ ボルト ５ ナット ６ ボルト ７ ナット ８ カラー ９ａ カラー ９ｂ カラー １０ａ 切欠き溝 １０ｂ 切欠き溝 １０ｃ 環状溝 １０ｄ 環状溝

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機側の駆動軸と歯車装置側の被駆動
   軸とを、それぞれフランジ部を有する中間継手で連結し
   た撓み板方式の可撓継手において、中間継手の材質をア
   ルミニウムまたはアルミニウム合金とし、鉄鋼あるいは
   チタン合金製のカラーを、ボルトとナットによって撓み
   板を中間継手に締結する所の中間継手部分、又はボルト
   とナットによって２つの中間継手同志を締結する所の中
   間継手フランジ部分、或いは両者の部分に装着させたこ
   とを特徴とする可撓継手。
2. 【請求項２】 前記アルミニウムまたはアルミニウム合
   金製の中間継手をダイカストやスクイズキャスト等によ
   り製造するものとし、鋳込み前に前記鉄鋼あるいはチタ
   ン合金製のカラーをそれぞれ鋳造用の金型に前もって付
   着させて置き、その状態で鋳込みを行って、前記中間継
   手と前記カラーを一体化して製作したことを特徴とする
   請求項１記載の可撓継手の製造方法。
3. 【請求項３】 前記カラーの外周形状を円形あるいは四
   角形や八角形などの多角形にした請求項１又は２記載の
   可撓継手。
4. 【請求項４】 前記カラーの外周形状を円形あるいは多
   角形にし、外周部分に少なくとも１箇所以上の切欠き溝
   を設けるか、又は外周部分に少なくとも１箇所以上の環
   状溝を設けるか、更には外周部分に両者の切欠き溝及び
   環状溝を併設するかした請求項２記載の可撓継手。