JPH11225616A - 魚介類飼育循環瀘過槽及び循環瀘過装置 - Google Patents

魚介類飼育循環瀘過槽及び循環瀘過装置

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JPH11225616A
JPH11225616A JP2989298A JP2989298A JPH11225616A JP H11225616 A JPH11225616 A JP H11225616A JP 2989298 A JP2989298 A JP 2989298A JP 2989298 A JP2989298 A JP 2989298A JP H11225616 A JPH11225616 A JP H11225616A
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JP
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tank
circulating
bacteria
fish
bacterium
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JP2989298A
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Isao Yano
勲 矢野
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KURIO KK
Original Assignee
KURIO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の循環瀘過槽における多くの問題点を解
消し、6箇月以上の長期間にわたって、安定して魚介類
を飼育し得る循環瀘過装置を提供する。 【解決手段】 飼育水槽2と連通している循環瀘過槽1
であって、沈殿・吸着槽、有機物分解細菌付着材が充填
されている有機物分解細菌槽、硝化細菌付着材が充填さ
れている硝化細菌槽、塩基性固形物が充填されている中
和槽、硝酸塩還元細菌及び脱窒細菌付着材が充填されて
いる脱窒細菌槽並びに曝気槽がその順に連結されている
循環瀘過層1と、殺菌装置とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海産魚介類等を飼
育する際に使用する循環瀘過槽及び循環瀘過装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、魚介類、特に高級海産魚介類は沿
岸の海面や海岸近くの沿岸陸地で大規模養殖されてい
る。しかし、沿岸海洋水の環境悪化により魚介類が大量
死し、又、高密度下、大量給餌する養殖による環境悪化
により、死亡の原因ともなる多くの種類の病気を発生さ
せ、その結果海水は多くの種類の病原性の細菌、寄生
虫、ウイルスで汚染された状態となっている。
【0003】一方、海岸から遠く離れた山間部などの奥
地は地価も比較的安く、沿岸海面での魚介類の病気の原
因となる病原性の細菌、寄生虫、ウイルスの汚染の問題
もない。このような理由から、山間部で瀘過槽を使って
飼育水槽からの排水を浄化し、再び利用する循環方式で
の魚介類の養殖が期待されている。しかし、山間部での
魚介類の養殖の発展には、これまで使用されてきた飼育
水の循環瀘過法に、技術的に解決を必要とする幾つかの
困難な問題があった。それは、これまで使われてきた循
環瀘過槽は、主として糞や残餌をフィルターで瀘過し、
魚介類の尿が原因となって発生する有毒なアンモニアや
亜硝酸をもともと海水に存在する硝化細菌を使って最終
的に硝酸に替えるだけの機能しか持たなかったためであ
る。
【0004】このような環境下では、循環瀘過槽におい
ては嫌気性細菌である硫酸塩還元細菌の作用によって毒
性のある硫化水素が発生すると同時に、有機物堆積によ
る環境悪化が起こり、ビブリオ菌、糸状菌などの多くの
病原菌による細菌性の病気や白点病などの寄生虫病を発
生させ、その結果飼育魚の大部分が衰弱し死亡する原因
となってきた。
【0005】以上の理由のため従来の循環瀘過槽は、海
水を数週間毎に頻繁に替えなければならないと同時に、
瀘過槽も瀘材を含めて数週間毎に消毒・洗浄しなければ
ならずそのための費用や労力がかさみこれを使用して数
箇月、更に6箇月以上の長期間にわたって海産の魚介類
を継続して給餌飼育することは極めて困難な状況であっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の循環瀘過槽における多くの問題点を解消し、6箇月以
上の長期間にわたって、安定して魚介類を飼育し得る循
環瀘過槽及び循環瀘過装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、循環瀘過槽に、脱窒細菌等が入っている脱
窒細菌培養槽、又は有機物分解細菌が入っている有機物
分解細菌培養槽を設けることにより、好ましくはそれら
の槽と従来の循環瀘過槽の独立した機能を有する槽を関
連づけて組み合わせることにより、本発明の目的を達成
し得ることを見出だし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、魚介類飼育水槽と連
通している循環瀘過槽であって、該循環瀘過槽は、硝酸
塩還元細菌及び脱窒細菌付着材が充填されている脱窒細
菌培養槽並びに有機物分解細菌付着材が充填されてお
り、酸素供給手段を備えている有機物分解細菌培養槽か
ら選ばれる少なくとも一つの槽を有することを特徴とす
る魚介類飼育循環瀘過槽を要旨とする。
【0009】更に、本発明は、魚介類飼育水槽と連通し
ている循環瀘過槽であって、沈殿槽及び吸着槽から構成
される沈殿・吸着槽、有機物分解細菌付着材が充填され
ており、酸素供給手段を備えている有機物分解細菌培養
槽、硝化細菌付着材が充填されており、酸素供給手段を
備えている硝化細菌培養槽、塩基性固形物が充填されて
いる中和槽、硝酸塩還元細菌及び脱窒細菌付着材が充填
されている脱窒細菌培養槽並びに酸素供給手段を備えて
いる曝気槽を有することを特徴とする魚介類飼育循環瀘
過槽を要旨とする。
【0010】又、本発明の循環瀘過槽は、上記循環瀘過
層が、上記沈殿・吸着槽、上記有機物分解細菌培養槽、
上記硝化細菌培養槽、上記中和槽、上記脱窒細菌培養槽
及び上記曝気槽がその順に連結されていることを特徴と
する。又、本発明の循環瀘過槽は、上記塩基性固形物
が、炭酸カルシウム若しくは炭酸カリウム又はそれらを
含有する物質であることを特徴とする。
【0011】更に、本発明は、上記循環瀘過槽と殺菌装
置とを有することを特徴とする魚介類飼育循環瀘過装置
を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の循環瀘過槽は、脱窒細菌
培養槽単独、又は有機物分解細菌培養槽単独、更には脱
窒細菌培養槽及び有機物分解細菌培養槽、を少なくとも
有するものであるが、好ましくは図1に示すように、魚
介類飼育水槽2と連通している沈殿・吸着槽、有機物分
解細菌培養槽、硝化細菌培養槽、中和槽、脱窒細菌培養
槽及び曝気槽の6槽を備えているものである。又、本発
明の循環瀘過装置は、循環瀘過装置1と殺菌装置9とを
備えている。
【0013】上記6槽の各層及び殺菌装置は、以下の機
能を有する。第1の沈殿・吸着槽は、残餌や飼育魚介類
から出る糞などを沈殿させ除去するとともに、微細な残
餌や糞をマットを使って物理的に吸着し除去する機能を
有する。第2の有機物分解細菌培養槽は、糞や残餌から
水中に溶け出し、沈殿することもなくマットでも全く吸
着されない水溶性の有機物を蛋白質分解細菌等の有機物
分解細菌を使って分解する機能を有する。第3の硝化細
菌培養槽は、飼育魚介類から排出される尿に含まれるア
ンモニア或いは糞や残餌に含まれる蛋白質や含窒素高分
子化合物が蛋白質分解細菌や脱アミノ細菌等の働きによ
って、種々の分解過程を経て最終的には無機化されて生
じたアンモニアをそれぞれアンモニア酸化細菌や亜硝酸
酸化細菌などの硝化細菌を利用して安全な硝酸に替える
機能を有する。第4の中和槽は、弱塩基性物質を使って
酸性化した水を中和させる機能を有する。第5の脱窒細
菌培養槽は、アンモニアから転換された硝酸も蓄積する
と水のpHが低下することから、第4の中和槽の機能と
同時に硝酸塩還元細菌及び脱窒細菌を利用して硝酸を最
終的に窒素ガスに替える機能を有する。第6の曝気槽
は、硝酸塩還元細菌及び脱窒細菌によって生成された窒
素ガスを曝気によって常に空中に放出する機能を有す
る。又、殺菌装置は、ビブリオ菌やカビ等の海産魚介類
の病気の原因となる細菌を減菌或いは滅菌する機能を有
する。以下、上記各槽及び殺菌装置について説明する
が、上記各槽についてはその最も好ましい態様である図
2により個別に説明する。
【0014】(1)沈殿・吸着槽 沈殿・吸着槽3は、沈殿槽31と吸着槽32から構成さ
れている。沈殿槽31は、図示するように、その底部が
逆円錐形状となるようにするのが好ましい。又、その底
部には沈殿物排水管12が取り付けられている。魚介類
を飼育している水槽2からの排水は、図1に示すように
飼育水槽2の水面の高さと循環瀘過槽1の水面の高さの
落差によって、沈殿槽31に流入する。流入した水中に
浮遊している糞や残餌の大半は、逆円錐形状の沈殿槽の
底に散在しないように集まり、沈殿物排水管11から少
量の水とともに排出される。糞や残餌の大半が分離され
た水は、隣接する吸着槽32に流れ込む。沈殿槽31
は、1槽に限らず、必要に応じて2槽以上を連続して設
けても良い。吸着槽32は、排水より比重が軽いかほぼ
同であるため,水面もしくは水中に浮いたりして沈殿し
にくい微細な糞、残餌を吸着する機能を有するものであ
り、その内部にはガラス繊維や合成樹脂繊維等を素材と
する複数枚のマット33が敷設されている。沈殿槽を瀘
過した排水は引き続き上記マット33を通過し、マット
33を構成する繊維表面に微細な糞や残餌が吸着する。
飼育水槽から排水された水中の残餌や糞を、まず最初に
マット等を使用して吸着するという従来の循環瀘過槽と
異なって、本循環瀘過槽は飼育水槽から排水された水中
に浮遊している糞や残餌をまず最初に沈殿させ、その
後、マットを使用するという構成を採っている。沈殿・
吸着槽3は、内部で付着藻類が繁茂しないように自然光
を遮るために蓋をし、内部を暗くする。藻類がマットで
繁殖するとマットの吸着力を低下させるだけでなく、槽
内で繁茂した後、枯死した藻類は有機物堆積の一因とな
るためである。循環瀘過槽1全体の容積に占める沈殿・
瀘過槽3の容積の割合は、必要に応じて適宜設定され
る。
【0015】(2)有機物分解細菌培養槽 沈殿・吸着槽3を通った水は、有機物分解細菌培養槽4
に流入する。有機物分解細菌培養槽4は、糞や残餌から
水中に溶け出し、沈殿・瀘過槽3で除去されない有機物
を、この槽で培養された蛋白質分解細菌等の有機物分解
細菌により分解するよう機能する。有機物分解細菌培養
槽4は、有機物分解細菌付着材41が充填されており、
酸素供給手段10を備えている。有機物分解細菌付着材
41は、蛋白質分解細菌等の有機物分解細菌を効果的に
培養するためのものであり、有機物分解細菌が付着し増
殖しやすく、耐水性のものならばどのようものでも良
く、槽の容積をほぼ満たすように入れられている。付着
材41としては、例えば、砂、礫、コークス、石炭殻、
ゼオライト、セラミック、プラスチック等が挙げられ、
その形状は任意であるが、より多くの有機物分解細菌が
付着するうように、表面積が大きいものを、閉塞による
有機物の堆積を防ぐため、空隙率が大きく通氷性に富む
ものを使用するのが望ましい。培養槽4は、内部で付着
藻類が繁茂しないように自然光を遮るために蓋をし、内
部を暗くするのが望ましい。藻類は、繁茂すると有機物
分解細菌付着材41を覆い、付着材41の有機物分解細
菌付着を妨げるだけでなく、槽内で繁茂した藻類は枯れ
死した後、有機物堆積の一因となるためである。循環瀘
過槽1全体の容積に占める有機物分解細菌培養槽4の容
積の割合は、必要に応じて適宜設定される。また、この
槽では、好気的環境もしくは低酸素下でも有機物を効率
良く分解する能力を有する好気性従属栄養細菌である澱
粉分解細菌、蛋白質分解細菌やキチン分解細菌や光合成
細菌等の微生物を使用する。
【0016】(3)硝化細菌培養槽 有機物分解細菌培養槽4を通った水はこの硝化細菌培養
槽5に流入する。この槽は、飼育魚介類から排出される
尿に含まれる有毒なアンモニアを水中に存在する通常の
硝化細菌、もしくは特別に培養された硝化能力の高い硝
化細菌を使用して安全な硝酸に替えるよう機能する。こ
の培養槽5は、有機物分解細菌培養槽4が有機物分解細
菌を使って有機物を分解させるのに対して、硝化細菌を
使ってアンモニアを硝酸に替える点で異なるだけであ
り、その構造は実質同じである。すなわち、有機物分解
細菌培養槽4には、その機能を持たせるために有機物分
解細菌付着材41が充填されているが、本培養槽5で
は、その機能を持たせるために硝化細菌付着材51が充
填されており、培養槽4の場合と同様に酸素供給手段1
0が備えられている。硝化細菌付着材51は、その材質
及び形状を有機物分解細菌付着材41の場合と同様にす
るのが好ましい。培養槽5は、内部で付着藻類が繁茂し
ないように自然光を遮るために蓋をし、内部を暗くする
のが望ましい。藻類は、繁茂すると硝化細菌付着材51
を覆い、硝化細菌付着材51への硝化細菌の付着を妨げ
るだけでなく、槽内で繁茂した藻類は枯れ死した後、有
機物堆積の一因となるためである。循環瀘過槽全体の容
積に占める硝化細菌培養槽5の容積の割合は、必要に応
じて適宜設定される。この槽では硝化細菌は、アンモニ
アを亜硝酸に転換する能力を有する例えば、ニトロソモ
ナス(Nitrosomonas) 属若しくはニトロソコッカス(Nit
rosococcus)属のアンモニア酸化細菌等の微生物と、亜
硝酸を硝酸に転換する能力を有する例えば、ニトロバク
ター(Nitrobacter)属若しくはニトロコッカス(Nitroco
ccus)属の亜硝酸酸化細菌等の微生物の両者を使用し、
培養する。
【0017】(4)中和槽 硝化細菌培養槽5を通った水はこの中和槽6に流入す
る。この中和槽6は、硝化細菌培養槽5を通った水を中
和するよう機能する。中和槽6は、酸性化した水を中和
することが出来る塩基性固形物61が充填されている。
塩基性固形物61は、槽5の容積をほぼ満たすように入
れる。固形物61は、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等
の炭酸塩等の中和剤、それら炭酸塩等を含有する物質か
らなる中和剤等が挙げられる。中和槽6は、内部で付着
藻類が繁茂しないように自然光を遮るために蓋をし、内
部を暗くするのが好ましい。藻類は、繁茂すると塩基性
固形物61を覆い、その中和作用を妨げるだけでなく、
槽内で繁茂した藻類は枯れ死した後有機物堆積の一因と
なるためである。循環瀘過槽全体1の容積に占める中和
槽6の容積の割合は、必要に応じて適宜設定される。
【0018】(5)脱窒細菌培養槽 中和槽6を通過した水がこの脱窒細菌培養槽7に流入す
る。この槽では、硝酸を亜硝酸に換える硝酸塩還元細菌
と亜硝酸から窒素ガスを生成することの出来る脱窒細菌
を使用して効率的に硝酸を最終的に窒素ガスに替えるよ
う機能する。この脱窒細菌培養槽7には、硝酸塩還元細
菌や脱窒細菌の効果的な培養のために、脱窒細菌付着材
71が槽の容積をほぼ満たすよう充填されている。脱窒
細菌付着材71は、その材質及び形状を有機物分解細菌
付着材41の場合と同様にするのが好ましい。この培養
槽7も、内部で付着藻類が繁茂しないように自然光を遮
るために蓋をし、内部を暗くするのが好ましい。藻類
は、繁茂すると脱窒細菌付着材71を覆い、その中和作
用を妨げるだけでなく、槽内で繁茂した藻類は枯れ死し
た後有機物堆積の一因となるためである。循環瀘過槽全
体1の容積に占める培養槽7の容積の割合は、必要に応
じて適宜設定される。この槽では硝酸を亜硝酸に転換す
る例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属若しく
はプシュードモナス(Pseudomonas)属の硝酸塩還元細菌
等の微生物と、亜硝酸から窒素ガスを生成する能力を有
する、例えばプシュードモナス(Pseudomonas)属の脱窒
細菌等の微生物の両者を使用し、培養する。
【0019】(6)曝気槽 脱窒細菌培養槽7を通過した水がこの曝気槽8に流入す
る。この槽8では、脱窒細菌培養槽7において生成した
窒素ガスを曝気によって大気中に放出するよう機能す
る。曝気は、酸素を供給することによってなされるが、
曝気槽8の底部に単に酸素含有ガスを供給すればよい。
循環瀘過槽全体1の容積に占める曝気槽8の容積の割合
は、必要に応じて適宜設定される。
【0020】(7)殺菌装置 曝気槽8を通過した水は、殺菌装置9をさらに通過す
る。殺菌装置9としては、該水中の雑菌を殺菌する機能
を有するものであればどのようなものでも良く、例えば
オゾン発生装置等が挙げられる。
【0021】殺菌装置9を通過し殺菌された水は、図1
に示したように揚水ポンプ11によって再び魚介類飼育
水槽2に戻る。循環瀘過槽1の大きさは、基本的には飼
育魚介類から尿として排泄されるアンモニアと糞や残餌
に含まれる蛋白質や含窒素高分子化合物が細菌の働きに
よって、種々の分解過程を経て最終的には無機化されて
生じたアンモニアの総量と硝化細菌によってアンモニア
から転換される亜硝酸、硝酸の総量、さらに糞や残餌に
よって生じる有機物の総量とによって異なることが明ら
かになっている。これらの総量は、水槽で飼育する魚介
類の密度と投与する餌飼料の総量に応じて決まる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)約0.9m3 の海水が入った約1m3 の容
積を持つ飼育水槽2でイセエビ(体重300〜600
g;尾数25〜28)を毎日総体重の2%の配合飼料を
投与しながら23〜28℃で飼育し、飼育水槽2から毎
時0.3m3 の流量で排水される海水を、約1m3 の容
積をもち、図2に示された循環瀘過槽1を使用して継続
して浄化した結果、表1に示す通りイセエビ約10kg
を、6箇月にわたって海水を交換することなく、98.
5%の高い生残率と46.3%の増重率で飼育すること
ができた。また、飼育開始25日後の飼育水槽2の海水
のpH、アンモニア態窒素量及び硝酸態窒素量は表1に
示す。表1に示したとおり、海水のpHは8.0と弱ア
ルカリ性が継続して維持されており、アンモニア態窒素
量及び硝酸態窒素量は、それぞれイセエビの生存や成長
になんら影響を及ぼす濃度ではない0.15mg/l、
0.18mg/lと非常に低い。
【0023】(実施例2)実施例1で用いた飼育水槽2
でマダイ(体重15〜20g;尾数150〜160)を
毎日総体重の3〜5%の配合飼料を投与しながら23〜
28℃で飼育し、飼育水槽2から毎時0.3m3 の流量
で排水される海水を、実施例1で用いた循環瀘過槽を使
用して継続して浄化した結果、表1に示す通りマダイ約
10kgを6箇月にわたって海水を交換することなく、
93.8%の高い生残率と486%の増重率で飼育する
ことができた。また、飼育開始25日後の飼育水槽2の
海水のpH、アンモニア態窒素量及び硝酸態窒素量は表
1に示す。表1に示したとおり、海水のpHは7.9と
弱アルカリ性が継続して維持されており、アンモニア態
窒素量及び硝酸態窒素量は、それぞれマダイの生存や成
長になんら影響を及ぼす濃度ではない0.18mg/
l、0.24mg/lと非常に低い。
【0024】実施例1と実施例2において、イセエビと
マダイの6箇月間の増重率の相違は、イセエビの成長が
マダイに比べてもともと遅いためである。なお、それら
の例においては、沈殿槽に生じる残餌や糞等の沈殿物を
底に設置された沈殿物排水管16から除去する際やマッ
トに吸着された油分や微細な残餌を除去するために新し
いマットと交換する際に失った海水は、新しい海水を等
量分その都度補充した。また、飼育試験中に飼育水槽2
及び循環瀘過槽1から水分が蒸発したり或いは海水が飛
沫した時は、海水の塩分濃度をチェックした上で、その
分の真水或いは海水を補充した。
【0025】(比較例1)本発明に係る循環瀘過槽の飼
育水浄化能力を比較検証するために、これまで一般的に
使われてきた単純瀘過槽を使用した。単純瀘過槽は1m
3 の容積を持つプラスチック容器に、まず粒子が荒めの
砂利を敷き、その上に糞や残餌を吸着するマットを3枚
重ねて作成した。飼育水槽や循環瀘過槽の大きさ、飼育
水槽と循環瀘過槽の収容海水量、飼育温度、飼育水槽と
循環瀘過槽を循環する海水の毎時当たりの流量、毎日の
配合飼料の投与量、飼育密度は、実施例1と同じであ
る。単純瀘過槽のマットも糞や残餌の吸着度に応じて新
しいマットと交換した。その結果、飼育開始後、28日
までに総てのイセエビは死亡した。また、飼育開始25
日後の飼育水槽2の海水のpH、アンモニア態窒素量及
び硝酸態窒素量は表1に示す。表1に示したとおり、海
水のpHは6.0と低下しており、アンモニア態窒素量
及び硝酸態窒素量も、それぞれ非常に高い値を示してい
る。
【0026】(比較例2)比較例1で用いた単純瀘過槽
を使用した以外は、実施例2と同様にしてマダイを飼育
したが、飼育開始後、32日までに総てのマダイは死亡
した。また、飼育開始25日後の飼育水槽2の海水のp
H、アンモニア態窒素量及び硝酸態窒素量は表1に示
す。表1に示したとおり、海水のpHは5.8と低下し
ており、アンモニア態窒素量及び硝酸態窒素量も、それ
ぞれ非常に高い値を示している。
【0027】
【表1】 上記の結果は、本発明に係る循環瀘過槽を使用すること
によって、高密度下での海産魚介類の給餌飼育にともな
って生じる有毒なアンモニアの発生、さらに硝化細菌に
よってアンモニアから転換された硝酸の蓄積そしてそれ
にともなって起こる海水の酸性化の問題が、魚介類の生
存や成長になんら影響を及ぼさない状態にまで解消され
ることを示している。
【0028】
【発明の効果】本発明の循環瀘過装置は、飼育水槽から
排出される水を循環瀘過槽で浄化した後、再びもとの飼
育水槽に戻すことを繰り返すことによって、6箇月以上
の長期間にわたって魚介類を飼育することができる。従
って、本循環瀘過装置は、海水を頻繁に替えることが困
難な山間部などの奥地での海産魚介類の養殖や観賞用の
アクアリウムでの海産魚介類の長期飼育を可能とし、大
規模な陸上池等での淡水魚の養殖にも貢献する。又、本
発明の循環瀘過装置は、上記のようにほぼ完全な閉鎖系
のシステムであるため、飲食店や魚市場等での活魚の一
時保存や輸送時、或いは観賞用水槽に適用した場合、飼
育水の交換頻度を大幅に減少することができる。更に、
充分な水質管理により、適用可能な魚種の拡大や、保存
中の魚介類の品質の悪化、死亡等による損失を減少させ
ることもでき、経済的効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の循環瀘過槽の一態様例の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 循環瀘過槽 2 飼育水槽 3 沈殿・吸着槽 4 有機物分解細菌培養槽 5 硝化細菌培養槽 6 中和槽 7 脱窒細菌培養槽 8 曝気槽 9 殺菌装置 10 酸素供給手段 11 揚水ポンプ 12 排水管 13 排水管 31 沈殿槽 32 吸着槽 33 マット 41 有機物分解細菌付着材 51 硝化細菌付着材 61 塩基性固形物 71 脱窒細菌付着材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚介類飼育水槽と連通している循環瀘過
    槽であって、該循環瀘過槽は、硝酸塩還元細菌及び脱窒
    細菌付着材が充填されている脱窒細菌培養槽並びに有機
    物分解細菌付着材が充填されており、酸素供給手段を備
    えている有機物分解細菌培養槽から選ばれる少なくとも
    一つの槽を有することを特徴とする魚介類飼育循環瀘過
    槽。
  2. 【請求項2】 魚介類飼育水槽と連通している循環瀘過
    槽であって、沈殿槽及び吸着槽から構成される沈殿・吸
    着槽、有機物分解細菌付着材が充填されており、酸素供
    給手段を備えている有機物分解細菌培養槽、硝化細菌付
    着材が充填されており、酸素供給手段を備えている硝化
    細菌培養槽、塩基性固形物が充填されている中和槽、硝
    酸塩還元細菌及び脱窒細菌付着材が充填されている脱窒
    細菌培養槽並びに酸素供給手段を備えている曝気槽を有
    することを特徴とする魚介類飼育循環瀘過槽。
  3. 【請求項3】 上記循環瀘過槽は、上記沈殿・吸着槽、
    上記有機物分解細菌培養槽、上記硝化細菌培養槽、上記
    中和槽、上記脱窒細菌培養槽及び上記曝気槽がその順に
    連結されていることを特徴とする請求項2記載の魚介類
    飼育循環瀘過槽。
  4. 【請求項4】 上記塩基性固形物は、炭酸カルシウム若
    しくは炭酸カリウム又はそれらを含有する物質であるこ
    とを特徴とする請求項2又は3記載の魚介類飼育循環瀘
    過槽。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の魚
    介類飼育循環瀘過槽と殺菌装置とを有することを特徴と
    する魚介類飼育循環瀘過装置。
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