JP2007307538A - 水中の無機栄養塩類の除去法 - Google Patents
水中の無機栄養塩類の除去法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 従来の嫌気層による脱窒還元濾過法では、完全に無機栄養塩類を取り除くことが難しく、しかも硫化水素の発生により養殖魚が全滅する危険を孕んでいる。蠣殻による濾過の場合は海水のみで、淡水産の低硬度を好む魚種には応用できない。好気濾過だけでは硝酸塩は水中に蓄積される。これら雑多な欠点を一度に解決する。
【解決手段】 植物遺体由来のセルロースを充填した濾過槽を設置し、そこに多種の菌群を繁殖させる。するとセルロース表面が窒素飢餓状態になり、微生物が水中の硝酸態窒素を能動輸送し始める。取り込んだ硝酸態窒素はセルロースの異化産物と共に、セルロース分解による化学エネルギーを使って同化され、タンパク態窒素に再合成され微生物の体の一部を構成する。高分子化されたこれらを回収もしくは再び餌にすることで、上記の欠点を全て補うことができる。
【選択図】図1
【解決手段】 植物遺体由来のセルロースを充填した濾過槽を設置し、そこに多種の菌群を繁殖させる。するとセルロース表面が窒素飢餓状態になり、微生物が水中の硝酸態窒素を能動輸送し始める。取り込んだ硝酸態窒素はセルロースの異化産物と共に、セルロース分解による化学エネルギーを使って同化され、タンパク態窒素に再合成され微生物の体の一部を構成する。高分子化されたこれらを回収もしくは再び餌にすることで、上記の欠点を全て補うことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、水族館や養殖施設等の飼育水と、汚水処理場や屎尿処理施設等から出る汚排水(合わせて以下富栄養水という)中に含まれる無機栄養塩類を除去するための浄化処理方法に関するものである。
従来の方法ではサンゴや砂を厚く堆積させて嫌気層を作り、嫌気性細菌に脱窒還元を行わせることで硝酸塩のみを浄化していた。(例えば、実用新案登録2540338号や特許文献1,2参照)また、好気下で蠣殻を使って硝酸塩やリン酸塩を沈殿させたり、微細な泡に吸着させて取り除いたりしていた。(特許文献3)
平成9年特許願第295360号 2001年特許願第185617号 2001年特許願第350387号
以上に述べた従来の浄化方法では、次のような欠点がある。まず嫌気層を作った場合は飼育水槽内の半分近い体積が砂で覆われるうえに、その嫌気層から硫化水素が発生し魚の大量死を引き起こすことがある。次に蠣殻を使った好気濾過の場合、一度蠣殻のカルシウムイオンと結合した硝酸塩やリン酸塩は確かに不溶性となり浄化槽内に堆積するのだが、微生物によってカルシウムイオンが外されるともう一回塩が水溶してしまう。更にカルシウムイオンが水の総硬度を上げることにより、低硬度を好む淡水魚での応用ができない。
本発明は、これら従来の浄化法とは異なる考え方を使った方法で上記の欠点をなくすものであり、富栄養水中の無機栄養塩類を脱窒や蠣殻に頼らずに水中から取り除くことを目的とする。
そして本発明は上記目的を達成するために、アンモニア硝化槽の次にセルロース充填濾過層を設けた。この濾過槽は、落ち葉や稲藁などの植物遺体を水洗し、必要であれば塩素系漂白剤で脱色したのちに濾過槽に充填したものである。このセルロースが本研究の特徴である。
上記の新たな濾過槽により、微生物が植物遺体上で繁殖する。すると植物の遺体中にある窒素源を同化し尽くし、今度は水中に含まれる硝酸塩を能動輸送するようになる。同じ仕組みによりその他の無機栄養塩類も微生物内に取り込まれる。取り込まれた種々の無機栄養素は、微生物が植物遺体中のセルロースを分解することによって得た化学エネルギーにより、核酸やタンパク質やリン脂質となって微生物の体を構成する。
こうして高分子化された窒素やリンは、セルロース充填濾過槽から植物遺体ごと取り出してもいいし、そのまま濾過水を徴生物と共に二枚貝に吸わせて餌にしてもよい。エビや鯉の餌にすることも出来る。それらの動物からまたアンモニアが排出されるが、もう一度濾過槽内に通水してやれば、また菌が同化し再合成してくれる。これを繰り返せば生体内に蛋白質という形で窒素が蓄積し、水溶している硝酸塩は0に近くなる。リン酸塩もリン脂質となり生体に同化される。他の無機栄養塩類も同じ仕組みで微生物体内に輸送され同化される。こうして富栄養水中の無機栄養塩類を水中から取り除くという目的が達成されることとなる。
この方法は、菌が繁殖できるのであれば淡水海水を選ばずどのような水質でも実施でき、且つ従来のどのような濾過方式よりも安価に水質を改善することができるものである。
更に、一つの水槽の中に収められるほど濾過槽が小さく、水槽に蓋をして魚介類を飼育できるため、従来の海水飼育で問題になっていた蒸発による塩の析出も防ぐことができ、比重の変化もほとんど見られない。
また湖沼の浄化であれば、ごく少ない資金で富栄養湖の水質向上に貢献できる。それに伴って、以前は不可能であった水の乏しい地域の貯水池での食用魚養殖も可能となる。
本発明の実施形態を添付の図面を使って説明すると、まず図1に書かれているパイプ1から送られてきた水が濾材3に満遍なく注がれ、微生物によるアンモニアの硝化反応が行われる。水は次に網4を抜けてセルロース充填濾過槽に入る。ここで無機栄養塩類が、植物遺体7の上に繁殖している微生物により微生物の体内に能動輸送される。これにより無機栄養塩類が取り除かれ、浄化された水が排水パイプ6を通って排出される。
微生物に同化され高分子となった窒素やリンを回収したりセルロース濾材を交換するには、図2の蓋9を開けて、中のセルロース濾材をかき出すことで達成される。
なお、濾過槽などという箱に入れずに、直接同じ仕組みを水路に設けたとしても同様の効果が得られる。水際にセルロース充填濾過槽のみを設けることもできる。
バケツに落葉樹の落ち葉を200グラム入れ、水10リットルを注いだ後、牛肉片50グラムと硝化濾過用の砂利を網に詰めてバケツに入れ、その砂利の下からばっ気した。すると、一ヶ月後にアンモニア態窒素と硝酸態窒素の両方が、比色試験紙で検出されない程度にまで濃度が低くなった。
上記の実施例から落ち葉200グラムを抜いたものを用意し、一ヶ月間ばっ気した後に調べてみたところ、10mg/l以上の硝酸塩が検出された。
上記の実施例から落ち葉200グラムを抜いたものを用意し、一ヶ月間ばっ気した後に調べてみたところ、10mg/l以上の硝酸塩が検出された。
1:散水を行うための穴の開いたパイプ
2:外壁
3:硝化反応を行うための濾材
4:網
5:水面
6:排水パイプ
7:植物遺体もしくはそれに準ずる炭化水素化合物
2:外壁
3:硝化反応を行うための濾材
4:網
5:水面
6:排水パイプ
7:植物遺体もしくはそれに準ずる炭化水素化合物
8:蝶番
9:取っ手付きの蓋
10:水漏れせず密閉できる材質のもの
9:取っ手付きの蓋
10:水漏れせず密閉できる材質のもの
Claims (3)
- アンモニアを硝化する濾過室の次に、無機栄養塩類を同化する微生物を担持させるためのセルロースを充填した部屋を備えていることを特徴とする、無機栄養塩類を水中から取り除くための濾過槽。
- 植物の遺体もしくはそれに準ずる炭化水素化合物を使い、その表面に微生物を担持させ、そこに通水することにより、水中の無機栄養塩類をその微生物群に同化させ高分子化し、その高分子を回収することで水中から無機栄養塩類を取り除くことができる濾過方法。
- 植物の遺体を使い、その表面に微生物を担持させ、そこに無機栄養塩類に富んだ水を通水することにより、水中の無機栄養塩類をその微生物群に同化させ高分子化し、その高分子を再び生体の餌にすることで水中から無機栄養塩類を取り除くことができる濾過方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006165336A JP2007307538A (ja) | 2006-05-18 | 2006-05-18 | 水中の無機栄養塩類の除去法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=38840868
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006165336A Pending JP2007307538A (ja) | 2006-05-18 | 2006-05-18 | 水中の無機栄養塩類の除去法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4547688B1 (ja) * | 2009-05-15 | 2010-09-22 | フモト・トレーディング株式会社 | 閉鎖型水槽 |
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JP2014042520A (ja) * | 2013-09-25 | 2014-03-13 | National Agriculture & Food Research Organization | 並行複式無機化反応を行う微生物群が固定化された固体担体、触媒カラム、および、植物栽培用固形培地の製造方法 |
CN109392816A (zh) * | 2018-10-23 | 2019-03-01 | 郭俊桦 | 水产品保鲜用自动换水换气装置 |
-
2006
- 2006-05-18 JP JP2006165336A patent/JP2007307538A/ja active Pending
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